国内産農業資源を活用した農作物への
放射性セシウム吸収抑制対策技術の開発
2015 年
目次 1.緒言... 1-7 2.水稲の放射性セシウム吸収抑制対策試験 2-1.南相馬市における水稲作付け試験 (カリ、ゼオライトの効果について) ...8-18 2-2.伊達市における水稲作付け試験 (カリ、ゼオライト、酸性改良の効果について) ... 19-27 2-3.ゼオライトの水稲への放射性セシウム吸収抑制 メカニズム検証のためのポット栽培試験 2-3-(1).ゼオライトの施用が水稲の放射性セシウム吸収 および窒素・カリ溶脱に及ぼす影響 ... 28-37 2-3-(2).酸性改良、窒素施肥およびゼオライト施肥が 水稲の放射性セシウム吸収に及ぼす影響 ... 38-46 3.畑作物の放射性セシウム吸収抑制対策試験 3-1.伊達市における大豆の作付け試験 ... 47-52 3-2.堆肥施用が野菜のセシウム吸収に及ぼす影響 3-2-(1).伊達市におけるグリンピース作付け試験 ... 53-57 3-2-(2). 放射能汚染堆肥の施用が野菜のセシウム吸収に 及ぼす影響について群馬県の調査事例 ... 58-61 3-3-(3). 有機物施用が土壌溶液および野菜の 133Cs 移行に及ぼす影響 ... 62-68 4.堆肥施用がもたらす環境リスクについて 4-1.西日本地域における有機農業実践農地の土壌調査事例 ... 69-81 4-2.長期有機栽培実践畑の調査事例 4-2-(1).農地土壌、井戸水の環境実態調査および
栽培野菜の栄養評価 ... 82-108 4-2-(2).長期有機栽培畑における窒素の流出を抑制した コマツナの栽培試験 ... 109-122 5.堆肥を肥料資源として活用するための迅速分析法の開発 5-1.ディスクリート型自動化学分析装置による 堆肥中の速効性肥料成分量の迅速分析... 123-139 5-2.試験紙による堆肥の速効性肥料成分量の簡易分析 ... 140-155 6.総合考察 ... 156-159 巻末データ ... 160-163 参考文献 ... 164-170 摘要 ... 171-180 Summary ... 181-192 謝辞 ... 193
1 1,緒言 1,背景 2011 年 3 月 11 日に 起こ った 東 北地 方太 平洋 三陸 沖を 震源 地と す る 東 日 本 大 震 災 に 伴 う 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 の 事 故 に よ り 放 射 性 物 質 が 放 出 さ れ 、 こ れ に よ り 福 島 の 森 林 や 土 壌 が 広 範 囲 に わ た り 汚 染 さ れ た 。 飛 散 し た 主 な 放 射 性 核 種 は 131I、134Cs、137Cs で 、 半 減 期 が 30 年 にお よぶ 137Cs が 農地 汚染 核種 の主 体で あっ た。図 1 に 示し たの は放 射性 セシ ウム 拡 散を 示し た 土 壌マ ップ であ るが 、 福 島 第 一 原 発 か ら 半 径 30km 圏 内で 高い 数値 が計 測さ れた 。そ の 分 布 は 同 一 円 上 に 一 様 で な く 、 北 西 - 西 方 の 地 点 に 高 レ ベ ル の 放 射 能 が 局 在 し た 。 ま た 、 同 一 地 域 で も 局 地 的 に 、 あ る い は 遠 隔 地 に お い て 高 レ ベ ル の 放 射 線 が 観 測 さ れ 、 風 向 き な ど の 気 象 条 件 に よ り 放 射 性 物 質 の 降 下 が 集 中 す る ホ ッ ト ス ポ ッ ト と い わ れ る 高 放 射 能 地 点 が 発 見 さ れ た 。 農 水 省 は 原 発 か ら 半 径 20km 県 内に ある 警戒 区域 、計 画的 避難 準 備 区 域 、 緊 急 時 避 難 準 備 区 域 に お い て 水 稲 の 作 付 け 制 限 を 指 示 し 、暫 定 基 準 値 で あ る 500Bq/kg を超 過す る米 が産 出さ れる 可能 性 の 高 い 地 域 で の 作 付 け 制 限 を 決 定 し た 。ま た 、2012 年 には 新基 準 値 と し て 100Bg/kg が設定 され た 。緊急 時避 難準 備区 域の 作付 け制 限 は 解 除 さ れ た が 、米 の 検 査 で 100~500Bq/kg 検出さ れた 一部 区 域 と 併 せ て 、 前 出 荷 制 限 下 で 管 理 計 画 に 基 づ く 米 の 全 量 管 理 と 全 袋 検 査 を 行 う 方 針 と な っ た 。
2 図 1, 放射能 の汚 染マ ップ (農 水 省) 福 島 の 農 耕 地 面 積 は 144,500ha であ りその 7 割(100,500ha) を 水 田 が 占 め 、全 国 第 4 位 の米 生 産県 であ った 。原 発事 故後 の 2012 年 産 水 田 の 作 付 け 面 積 は 64,200ha となり 20%まで 減少 した (統 計 か ら み た 福 島 の 農 業2013)。田 は稲 作を 行わ ない と土 地が 荒れ 、 元 に 戻 る の に 数 年 が 必 要 と な る と 言 わ れ て い る が 、 福 島 県 で は 営 農 再 開 で き な い 理 由 は 原 発 事 故 の 影 響 と の 回 答 が 圧 倒 的 に 多 か っ た ( 農 林 金 融 2014)。 セ シ ウ ム は 土 壌 中 で Cs+と し て 挙 動 し 、バ ー ミ キ ュ ラ イ ト や イ ラ イ ト な ど の 粘 土 鉱 物 に 吸 着 さ れ 土 壌 表 層 に 長 く 留 ま る た め 農 地 で は 長 期 的 対 策 が 必 要 と な る 。著 者 ら は 、2011 年 4 月に 立ち 上げ ら れ た 東 京 農 大 東 日 本 支 援 プ ロ ジ ェ ク ト の 一 環 と し て 、 福 島 県 南 相
3 馬 市 と 伊 達 市 の 水 稲 作 付 け 制 限 区 域 に お い て 、 水 稲 を 中 心 に 農 産 物 へ の 放 射 性 セ シ ウ ム 吸 収 抑 制 対 策 を 確 立 す る た め の 研 究 を 開 始 し た 。 表1 に 示し た 2012 年に 発表 さ れた 農水 省の 除染 マニ ュア ル に よ る と 、5,000Bq/kg 以上の 放射 性 セシ ウム で汚 染さ れた 農地 では 表 土 を 除 去 す る 。一 方 、5,000Bq/kg 以下の 農地 では 、表土 を除 去せ ず 、 耕 耘 ・ 反 転 に よ り 放 射 能 レ ベ ル を 下 げ た 上 で 、 作 物 へ の 放 射 性 セ シ ウ ム 吸 収 抑 制 対 策 を 講 じ る こ と と し た 。 著 者 ら は そ の 対 策 の 一 環 と し て ゼ オ ラ イ ト に 注 目 し た 。 表 1, 農地土 壌の 放射 性物 質除 去 技術 (除 染技 術 ,H23,農水 省) 天 然 ゼ オ ラ イ ト(沸石 化し た白 色 凝灰 岩粉 砕物 、以 下ゼ オラ イト ) と は 、 カ リ ウ ム や ア ン モ ニ ウ ム イ オ ン に 対 し て 選 択 的 な 交 換 吸 着
4 性 を 持 つ こ と(後 藤 ら 1980)、 さ らに セシ ウム はカ リウ ムと 同じ ア ル カ リ 金 属 に 属 す る 元 素 で 、 そ の 水 和 イ オ ン 径 が カ リ ウ ム よ り 小 さ い た め 、ゼ オ ラ イ ト は カ リ ウ ム 以 上 に 交 換 吸 着 さ れ や す い(西 村 1973)こと が知 られ てい る。福 島 第一 原発 内で は、そ の性 質を 利用 し て 事 故 発 生 初 期 か ら 放 射 性 セ シ ウ ム な ど で 汚 染 さ れ た 水 の 処 理 に ゼ オ ラ イ ト が 使 わ れ て き た 。 ま た 、 チ ェ ル ノ ブ イ リ 原 発 事 故 で は 、 放 射 性 セ シ ウ ム で 汚 染 さ れ た 農 地 の 修 復 に も 利 用 さ れ た (KONOPLEV ら 1993、ROSEN ら 2006)。 そ の よ う な 背 景 で 、 福 島 周 辺 で の 汚 染 農 地 で は ゼ オ ラ イ ト を セ シ ウ ム 吸 着 材 と し て 施 用 し 、 作 物 へ の 放 射 性 セ シ ウ ム 吸 収 抑 制 を 図 ろ う と す る 機 運 が 高 ま っ た 。 著 者 ら と 同 時 期 か ら 農 林 水 産 省 と 福 島 県 で も 水 稲 作 付 け 制 限 区 域 内 約 400 ヶ所 の水 田で 試験 作付 け を 実 施 し た 。そ し て 2012 年春 か ら そ のメ カニ ズム が明 らか にさ れ な い 状 態 で 福 島 県 内 の 水 田 に 低 減 対 策 資 材 と し て ゼ オ ラ イ ト が 施 用 さ れ た 。そ の 後 、2013 年 1 月 に 農水 省と 福島 県か ら発 表さ れ「放 射 性 セ シ ウ ム 濃 度 の 高 い 米 が 発 生 す る 要 因 と そ の 対 策 に つ い て 」 で は 、 ゼ オ ラ イ ト の 吸 収 抑 制 効 果 は 、 ゼ オ ラ イ ト に 含 ま れ る カ リ ウ ム に よ る 効 果 で あ り 、 今 後 の 吸 収 抑 制 対 策 は カ リ 肥 料 に よ る 土 壌 中 の カ リ 含 量 の 確 保 を 基 本 に す る(福 島 県 ・ 農 水 省 、 2013)と し た 。そ の た め 、2013 年度 以降 は ゼオ ライ ト施 用を 強く 要望 した 一 部 の 地 域 を 除 い て 復 興 予 算 と し て 計 上 さ れ な か っ た 。 一 方 で 著 者 ら は ゼ オ ラ イ ト の 放 射 能 吸 収 抑 制 効 果 に つ い て は 、 そ の 特 性 に 起 因 す る と 考 え 、 水 稲 や 大 豆 な ど へ の 放 射 性 セ シ ウ ム 吸 収 抑 制 対 策 と し て ゼ オ ラ イ ト と カ リ ウ ム の 施 用 試 験 を 継 続 し て
5 実 施 し た 。 ま た 、 ゼ オ ラ イ ト の 施 用 が 作 物 へ の 放 射 性 セ シ ウ ム 吸 収 に 及 ぼ す 影 響 を 検 討 す る た め の 室 内 実 験 や ポ ッ ト 栽 培 試 験 を 行 っ た 。 そ し て 、 堆 肥 に つ い て は 原 発 周 辺 県 で 収 集 さ れ た 動 植 物 性 堆 肥 原 料 ( 家 畜 排 せ つ 物 、 魚 粉 、 わ ら 、 も み が ら 、 樹 皮 、 落 ち 葉 、 雑 草 、 残 さ 等 ) が 放 射 性 セ シ ウ ム に 汚 染 さ れ て い た 場 合 、 こ れ ら を 原 料 と し て 生 産 さ れ た 堆 肥 は 高 濃 度 の 放 射 性 セ シ ウ ム を 含 有 す る 可 能 性 が あ り 、汚 染 拡 大 防 止 措 置 と し て 暫 定 基 準 値 400Bq/kg を超 過 す る も の に 関 す る 流 通 ・ 販 売 が 規 制 さ れ た 。 し か し 、 利 用 が で き な く な っ た 堆 肥 は 製 造 場 所 に 滞 留 し 、 新 た な 堆 肥 の 保 管 場 所 が 不 足 し た 。 ま た 堆 肥 の 一 時 的 な 移 動 を す る た め に 多 額 の 補 助 金 が 投 じ ら れ た 。 堆 肥 の 処 分 に 関 し て も 放 射 性 物 質 の 飛 散 や 焼 却 灰 を め ぐ る 不 安 が 残 る た め 、 放 射 能 汚 染 堆 肥 の 処 分 に 窮 し て い る の が 現 状 で あ り 、 こ の 堆 肥 の 処 遇 に 関 し て は 急 務 と な る 。 そ こ で 、 カ リ の 代 替 資 材 と し て 堆 肥 の 活 用 が 有 効 で あ る か 確 認 し 、 暫 定 基 準 値 を 超 過 し た 放 射 能 汚 染 堆 肥 を 使 用 し て 栽 培 さ れ た 野 菜 の 調 査 を 実 施 し た 。 な お 、 有 機 質 土 壌 で は セ シ ウ ム の 移 動 性 が 高 く 、 植 物 に 吸 収 さ れ や す く な る こ と が SANCHEZ A L1999、STAUNTION S ら 2002 によ って 実証 され てい るの で、安 定同 位体 であ る 133Cs を 使 用 し た 試 験 を 行 い 、 総 合 的 に 堆 肥 の 有 効 活 用 の 可 能 性 に つ い て 検 討 を お こ な っ た 。 放 射 能 吸 収 抑 制 に 最 も 有 効 で あ る 塩 化 カ リ に つ い て は 100%海 外 か ら の 輸 入 に 依 存 し て い る た め 、 安 定 供 給 を は か る た め に 代 替 資 源 と し て 国 内 の 堆 肥 を 活 用 す る こ と は 非 常 に 重 要 と な る が 、 堆
6 肥 施 用 に は 資 材 の 有 効 利 用 と い う 反 面 で 、 環 境 負 荷 な ど の リ ス ク が 存 在 す る 。こ れ ま で 堆 肥 は 主 に 土 づ く り 資 材(土 壌改 良資 材 )とし て 、 農 地 に 施 さ れ て き た 。 そ の 結 果 、 土 壌 中 の 可 給 態 リ ン 酸 や 交 換 性 カ リ の 蓄 積 に 伴 う 土 壌 養 分 バ ラ ン ス の 悪 化 や 硝 酸 態 窒 素 の 溶 脱 に よ る 地 下 水 汚 染 な ど が 懸 念 さ れ て い る 。 そ こ で 、 有 機 栽 培 実 践 畑 を 対 象 に 土 壌 、 環 境 調 査 を 実 施 し た 。 そ し て 堆 肥 の み を 活 用 し て い る 畑 の 現 状 に つ い て 、 栽 培 さ れ る 野 菜 の 品 質 の 調 査 も お こ な い 、 土 壌 か ら の 地 力 窒 素 溶 出 が 多 い 畑 に お い て 、 窒 素 の 流 亡 を 抑 制 し た 作 付 け 試 験 の 検 討 を 加 え た 。 わ が 国 で は 、 肥 料 資 源 の 多 く を 海 外 か ら の 輸 入 に 頼 っ て い る 。 そ の 一 方 、 国 内 で 約 8,300 万 ト ン発 生す る家 畜排 せつ 物 な どの 有 機 性 廃 棄 物 中 に 含 ま れ る 肥 料 成 分 量 は 輸 入 量 を 大 き く 上 回 る 。 よ っ て 、 そ れ ら 有 機 性 廃 棄 物 を 原 料 と す る 堆 肥 を 肥 料 資 源 と し て 有 効 活 用 す る こ と は 非 常 に 合 理 的 で あ る 。 堆 肥 の 有 効 活 用 並 び に 過 剰 施 肥 を 防 止 す る た め に は 堆 肥 の 適 正 施 用 が 望 ま れ る が 、 そ の た め に は 堆 肥 中 の 肥 料 成 分 含 有 量 を 迅 速 に 測 定 す る 必 要 が あ る 。 そ こ で 、 堆 肥 の 速 効 性 肥 料 成 分 と し て 抽 出 さ れ る ア ン モ ニ ア 態 窒 素 ・ 硝 酸 態 窒 素 ・ リ ン 酸 ・ カ リ ・ 石 灰 ・ 苦 土 を デ ィ ス ク リ ー ト 方 式 に よ る 自 動 化 学 分 析 装 置 に よ り 定 量 す る た め の 検 討 を 行 っ た 。 さ ら に 個 人 で も 簡 単 に 堆 肥 分 析 で き る 、 よ り 生 産 現 場 向 き の 試 験 紙 に よ る リ ア ル タ イ ム 簡 易 測 定 法 に つ い て 検 討 も お こ な っ た 。 2,放射 能 吸収 抑 制対 策 で 用い た 主 要な 資 材 A,カリ資 材
7 カ リ ウ ム は ア ル カ リ 金 属 元 素 に 属 し セ シ ウ ム と 同 族 元 素 で あ る た め 、 作 物 で は 拮 抗 的 に セ シ ウ ム 吸 収 を 抑 制 す る 。 塩 化 カ リ は 100%海外 から の輸 入に 頼っ てお り、主な 取引 先は カナ ダ 、ロ シア 、 ヨ ル ダ ン で あ る 。 よ っ て 、 カ リ 肥 料 の 価 格 は 海 外 の 動 向 に 左 右 さ れ や す い 。 B,ゼオラ イト ゼ オ ラ イ ト と は 火 山 ガ ラ ス が 変 質 し て 形 成 さ れ た 白 色 凝 灰 岩 粉 砕 物 で あ り 、 結 晶 性 ア ル ミ ノ ケ イ 酸 塩 で あ る 。 立 体 網 目 構 造 を 持 ち 、 風 化 抵 抗 性 が 高 く 、 構 造 の 細 孔 に 陽 イ オ ン を 特 異 的 に 捕 捉 す る 性 質 が あ る 。 ま た 、 均 一 な 細 孔 を 有 す る こ と に よ り イ オ ン の 大 き さ に よ る 形 状 選 択 性 が あ り 、 そ の 陽 イ オ ン の 選 択 性 は Cs+>Rb+,NH4+>>K+>Na+,Li+の 序 列 と な る (1973 西村 、 2012 武 島 ら )。今 回 は 還 元 条 件 下 土 壌 に お け る ゼ オ ラ イ ト の 働 き に つ い て 注 目 し た 。 C,転炉ス ラグ 転 炉 ス ラ グ と は 鉄 の 製 鋼 過 程 で 産 出 さ れ る 副 産 物 で あ り 、 ケ イ 酸 カ ル シ ウ ム を 主 成 分 と し 土 壌 の 酸 性 改 良 資 材 と し て 使 用 さ れ る 。 酸 性 矯 正 力 は 苦 土 石 灰 よ り も 弱 い が 、マ グ ネ シ ウ ム 、リ ン 酸 、鉄 、 マ ン ガ ン 、 ホ ウ 素 な ど の 微 量 要 素 を 含 有 す る た め 、 酸 性 改 良 し て も 微 量 要 素 欠 乏 が 起 こ り づ ら い 。 水 田 で は ケ イ 酸 の 補 給 資 材 と し て も 使 用 さ れ る 。( 村 上 ら 1999)
8 2.水稲 の 放射 性 セシ ウ ム 吸収 抑 制 対策 試 験 2-1.南相 馬市 に お ける 水 稲 作付 け 試験 ( カ リ 、 ゼ オ ラ イ ト の 効 果 に つ い て ) 1,はじ め に 福 島 第 一 原 発 か ら 半 径 20.8km に位 置し 、避 難準 備区 域と して 作 付 け 制 限 区 域 に 指 定 さ れ て い る 福 島 県 南 相 馬 市 の 水 田 に お い て 試 験 作 付 け を 行 っ た 。本 圃 場 は 南 相 馬 市 に 許 可 申 請 し 圃 場 番 号 126 と さ れ 、2011 年4 月か ら調 査お よび 試験 を開 始し 、 2014 年ま で 継 続 し て 試 験 を お こ な っ た 。 耕 地 面 積 は 3000m2 で 本 圃 場 は 雑 草 対 策 と し て 原 発 事 故 後 に ロ ー タ リ ー 耕 に よ り 作 土 混 層 が 行 わ れ て お り 、2011 年 10 月 時点 で 放 射 性 Cs 強度は 2,565Bq/kg で あっ た。 その 後も 施肥 や混 層 を 行 っ た た め 、作 付 け 開 始 前 の 土 壌 放 射 性 Cs 強度 は 1,475Bq/kg(2012 年 5 月)ま で低 減し てい た。 こ の圃 場に 放射 能吸 収抑 制対 策資 材 と し て カ リ 、ゼ オ ラ イ ト を 施 用 し て 作 付 け 試 験 を お こ な い 、ま た 、 初 年 度 以 降 は 水 田 に お け る ゼ オ ラ イ ト の 持 続 効 果 に つ い て 検 証 を お こ な っ た 。 ま た 、 対 策 資 材 と 併 せ て 稲 わ ら 鋤 き 込 み に よ る 影 響 に つ い て 検 討 を 行 っ た 。 当 時 、 放 射 能 で 汚 染 さ れ た 稲 わ ら は 圃 場 か ら 持 ち 出 し て 焼 却 処 分 す る こ と と し て い た 。 し か し 、 こ の 方 法 は 手 間 や コ ス ト が か か り 、 ま た 放 射 性 廃 棄 物 を 増 大 さ せ る 。 そ こ で 、 稲 わ ら の 有 効 利 用 の 可 能 性 に つ い て 、 土 壌 肥 沃 度 の 観 点 か ら 検 証 し た 。
9 2,試験 お よび 方 法 試 験 区 に つ い て カ リ ウ ム は 南 相 馬 市 慣 行 施 用 量 で あ る 5kg/10a ( 標 準 区 ) と 、 対 策 区 と し て 30kg/10a( 多量 区)を設 定し、さら に ゼ オ ラ イ ト は カ リ 標 準 区 、多 量 区 に そ れ ぞ れ 、施 用 な し 、1t/10a、 2t/10a 施用 区を 設け 、合 計 6 試 験区 とし た。 カリ 30kg/10a に つ い て は 農 研 機 構 の 土 壌 の 交 換 性 カ リ 含 量 と 放 射 性 セ シ ウ ム の 玄 米 へ の 移 行 係 数 の 関 係(2012 加 藤 ら)を 参考 に玄 米へ の移 行係 数が 0.005 以下 とな る土 壌交 換性 カリ 含量 25mg/100g とな るよ うに 施 肥 量 を 決 定 し た 。 供 試 し た ゼ オ ラ イ ト は 福 島 産 の 日 東 粉 化 工 業 株 式 会 社 製 で あ り 、 2011 年 12 月 10,11 日に ゼオ ラ イト の施 用と 混層 作業 をお こな っ た 。 フ レ コ ン に 入 っ た ゼ オ ラ イ ト を ラ イ ム サ ワ ー に 移 し 所 定 量 散 布 し 、 ロ ー タ リ ー に よ り 作 土 を 混 層 し た 。 2012 年 5 月 20 日に 基肥 とし て 10a 当た り N 5kg,P2O5 4kg,K2O 4kg,MgO 1kg(ニ ュー セー フテ ィ 一発 50kg/10a)を全 面に 施肥 し た 。 尚 、 カ リ 多 量 区 に つ い て は 2012 年 5 月 12 日に あら かじ め基 肥 を 考 慮 し て K2O で合計 25kg/10a とな るよ う KCl で施肥 した 。 水 稲 の 品 種 は ヒ ト メ ボ レ で 施 肥 後 、植 え 付 け を 行 っ た 。収 穫 は 2012 年 9 月 27 日 にお こな い、また 参 考値 とし て茎 葉の 放射 能強 度が 最 も 高 く な る 幼 穂 形 成 期 (2011 年 8 月 10 日) に青 刈り をお こな っ た 。 2012 年 度水 稲作 の稲 わら は持 ち 出さ ずに 全て 圃場 にす き込 んだ 。 2013 年 度産 作付 けに 関し ては 継 続効 果を 確認 する ため ゼオ ライ ト の 追 加 施 用 は せ ず 、 全 面 に K2O 5kg/10a となる よう 塩化 カリ で 施
10 用 し た 。作 付 け し た 水 稲 の 品 種 は テ ン ノ ツ ブ で 2012 年 5 月 上旬 に 定 植 し 、9 月 24 日に 収穫 し、稲 わら も全 て水 田に 鋤き 込ん だ。ま た 、 茎 葉 に つ い て 幼 穂 形 成 期 (7 月 26 日) の調 査も 行っ た。 2014 年度 産作 付け では 、基肥 と して 圃場 全面 に鶏 ふん ペレ ット 100kg/10a(4.0-4.3-3.8kg/10a)と、高 度化 成を 1.1-1.1-1.1kg/10a 施 用 し た 。K2O 施用 量は 併せ て 約 5kg/10a に なる 。 水 稲の 品種 は テ ン ノ ツ ブ で 、2014 年 5 月 15 日 に定 植し 、9 月 24 日に 収穫 した 。 こ ち ら も 幼 穂 形 成 期 (7 月 23 日 )の 調査 を行 った 。 水 稲 の 刈 り 取 り 調 査 は 各 区 3 か 所か らで 、茎 葉に 土壌 が付 着し な い よ う に 地 表 か ら 5cm 程 度の 部分 を切 り取 り、坪刈 り( 50cm× 50cm 四方)を行 った 。そ の後 自 然乾 燥さ せ、脱穀 及び 籾摺 りを お こ な っ た 後 、 キ ャ ン ベ ラ 社 製 の ゲ ル マ ニ ウ ム 半 導 体 検 出 器 に て 玄 米 の 放 射 能 強 度 を 測 定 し た 。 幼 穂 形 成 期 茎 葉 に つ い て は 収 穫 期 と 同 様 な 方 法 で 採 取 し 、 そ の 後 自 然 乾 燥 さ せ 2cm 程度 に裁 断し て容 器 に 充 填 し 放 射 能 強 度 を 測 定 し た 。 な お 、 幼 穂 形 成 期 茎 葉 に つ い て は 参 考 値 で あ る た め 2013 年 度 、2014 年 度は 各区 3 連 であ った が 、2012 年 は各 区 1 連 で作 業を おこ なっ た。玄 米は 放射 能強 度測 定 後 、タ ン パ ク 質 含 量(PS-500 静岡 精機)の測 定を 行 っ た。土壌 は 坪 刈 り を 行 っ た 場 所 の 作 土 を 土 壌 ス コ ッ プ で 採 取 し 、 分 析 に 供 し た 。土 壌 分 析 は 採 取 し た 土 壌 を 風 乾 後 2mm の 篩を 全通 させ 、以 下 の 分 析 に 供 し た 。基 本 分 析 と し て 、pH(H2O)、電 気 伝 導 率 は 1: 5 水浸出 法に より 電気 伝導 率測 定 後、 ガラ ス電 極に より pH(H2O) を 測 定 し た 。 硝 酸 態 窒 素 、 ア ン モ ニ ア 態 窒 素 は 1M 塩 化カ リウ ム 溶 液 で 抽 出 後 FIA に て分 析し た 。陽 イオ ン交 換容 量お よび 交換 性
11 塩 基 は 酢 安 振 と う 抽 出 ‐ICP 発 光分 析 法と し た。 調 査 開始 時 の土 壌 化 学 性 は 表 1 に 示し た。 次 章 以 降 の 放 射 能 分 析 、 土 壌 分 析 に 関 し て も 特 に 記 載 の な い 場 合 は 同 様 の 手 法 と す る 。 表 1, 南 相馬 市作 付け 水田 の土 壌化 学性 ( 2011 年 10 月) 3,結果 お よび 考 察 (1)ゼ オ ラ イ ト と カ リ 施 用 に よ る 水 稲 の 放 射 性 セ シ ウ ム 吸 収 抑 制 効 果 2012 年 度産 水稲 作付 け試 験の 結 果は 表 2 に示 した とお りで ある 。 幼 穂 形 成 期 の 茎 葉 に つ い て は 、 カ リ 5kg/10a、 ゼ オ ラ イ ト な し 区 で 62.0Bq/kg と最も 高く 、ゼ オラ イト 施用 によ り放 射性 Cs 強度 は 低 減 し カ リ 5kg/10a・ゼオ ライ ト 2t/10a 区 とカ リ 30kg/10a 区 で は 20Bq/kg 程度 まで 低減 され た 。カ リと ゼオ ライ ト 施 用量 の間 に は 5%水準 で交 互作 用が 認め られ る結 果と なっ た。玄 米の 放射 能強 度 に つ い て も 茎 葉 と 同 様 な 傾 向 で あ り 、 カ リ 5kg/10a、 ゼ オ ラ イ ト な し 区 で 16.6Bq/kg と最も 高く 、ゼ オラ イト 施用 によ り 1t/10a 区 で 11.8Bq/kg、2t/10a 区 で 6.2Bq/kg と低減 した 。カ リ 30kg/10a 区 で は い ず れ も 5~ 6Bq/kg 程 度 まで 放射 能強 度は 低減 して おり 、 ゼ オ ラ イ ト の 効 果 は 認 め ら な か っ た 。 カ リ と ゼ オ ラ イ ト 施 用 量 の 間 に は 10%水 準で 交互 作用 が確 認 され 、カ リ 5kg 区 でゼ オラ イト pH EC CEC 塩基飽和度
(H2O) dS/m CaO MgO K2O Na2O meq/100g %
6.2 0.04 246 36.4 17.0 1.77 14.1 78.1
12 の 効 果 が 強 い こ と が 示 さ れ た 。 ま た 、 玄 米 の 収 量 に つ い て は ゼ オ ラ イ ト 施 用 に よ り 増 収 が 確 認 さ れ 、 窒 素 の 吸 収 性 が 向 上 し た こ と が 示 唆 さ れ た 。 そ こ で 、 玄 米 の タ ン パ ク 質 含 量 を 計 測 し た 結 果 、 有 意 差 は 認 め ら れ な か っ た も の の 、 ゼ オ ラ イ ト 施 用 に よ り タ ン パ ク 質 含 量 が 増 加 す る 傾 向 に あ り 、 水 稲 の 窒 素 吸 収 性 が 増 加 し た こ と が 窺 え る 。よ っ て 、ゼ オ ラ イ ト 施 用 に よ り 水 稲 の 放 射 性 Cs が 低 減 す る こ と と 、 玄 米 に お け る 窒 素 吸 収 性 の 向 上 が 示 さ れ た 。 天 正 ら (1961) に よ れ ば、 窒 素 肥 料 を施 肥 す る こ と で、 水 稲 の 放 射 性 Cs の 吸収 性は 増大 する こ とが 分か って いる。本試 験は 窒素 吸 収 性 が 向 上 し た に も 関 わ ら ず 、放 射 性 Cs 吸 収は 抑制 され たこ と か ら 、 過 去 の 知 見 と 矛 盾 す る 結 果 と な っ た 。 2013 年 度産 水稲 はゼ オラ イト の 継続 効果 に注 目し て試 験を 行っ た 。 結 果 は 表 3 に 示す とお りで あ る。 2012 年 度産 水稲 では Cs 吸 収 量 が 最 も 高 く な る 幼 穂 形 成 期 に お け る 茎 葉(8 月採 取 )と 比べ 玄 米(9 月収 穫 )で 放射 性 Cs 含量は 1/3 程度ま で低 減し てい た。2013 年 度 産 水 稲 で は 幼 穂 形 成 期 茎 葉 の 放 射 性Cs は 15~7Bq/kg と 2012 年 度 よ り 低 減 し て お り 、 玄 米 で は 幼 穂 形 成 期 茎 葉 の 1/3 と な る 3 ~4Bq/kg 程 度 に な る こ と が 予 測 さ れ た 。 し か し 、 玄 米 の 放 射 性 Cs は 30~47Bq/kg と 2012 年度 産を 超過 する 値で あり 、そ の傾 向 も 統 一 性 が な か っ た 。一 方 で 玄 米 の 収 量 は カ リ 5,30kg/10a 区 共に ゼ オ ラ イ ト の 施 用 に よ り 増 収 し て お り 、 ゼ オ ラ イ ト の 効 果 が 持 続 し て い る こ と が 確 認 さ れ た 。 2013 年度 産水 稲に 関し て考 察す ると 、玄 米の 放射性 Cs は 、幼 穂 形 成 期 茎 葉 の 2.7~4.9 倍に も 及ん だ。2012 年水 稲で は玄 米の 放
13 射 性 Cs は 茎葉 の 0.27~0.34 倍 と 低減 して いる こと から も、 2013 年 玄 米 の 放 射 能 強 度 は 明 ら か な 異 常 値 で あ り 、 青 刈 り を 行 っ た 7 月 下 旬 ~ 収 穫 期 の 9 月下 旬ま で の間 に土 壌吸 収以 外の 経路 で放 射 性 物 質 を 吸 収 し た こ と が 考 え ら れ 、 灌 漑 水 か ら の 流 入 に よ る 径 根 吸 収 や 空 か ら の 降 下 物 飛 散 に よ る 葉 面 か ら の 直 接 吸 収 が 疑 わ れ た 。 2014 年 7 月の 朝日 新聞 では 2013 年 8 月に福 島第 一原 発で のガ レ キ 撤 去 作 業 が 行 わ れ 、 そ れ に 伴 う 放 射 性 物 質 飛 散 の 可 能 性 が 報 道 さ れ た 。 本 試 験 を 実 施 し た 地 域 で は 、 本 試 験 と 同 様 な 異 常 現 象 が 複 数 報 告 さ れ て お り 、行 政 で は 2014 年 7 月から 予定 され てい たガ レキ 撤 去 作 業 を 、こ の 地 域 で の 収 穫 が 終 る 10 月ま で延 期す るこ とと なっ た 。 2014 年度 産水 稲の 結果 は表 4 に 示し た と おり で、幼穂 形成 期茎 葉 の 放 射 能 強 度 は 15Bq/kg 以下 であ り、 玄米 につ いては 5Bq/kg を 下 回 る 値 と な り 予 測 し た よ う な 結 果 と な っ た 。玄 米 の 放 射 性 Cs 強 度 は ゼ オ ラ イ ト 施 用 区 で 低 減 し て お り 、3 年 目に おい ても ゼオ ラ イ ト の 継 続 効 果 を 確 認 す る こ と が で き た 。
14 表 2, 2012 年産 水稲 の茎 葉と 玄米 放射性 Cs と 玄米 収量 表 3, 2013 年 産水 稲の 茎葉 と玄 米放 射性 Cs と玄 米収 量 表 4, 2014 年 産水 稲の 茎葉 と玄 米放 射性 Cs と玄 米収 量 Tukey 法 同 一ア ルフ ァベ ット 間 に 有 意差 なし α=0.25,n=3 *PS500 **幼 穂形 成期 茎葉 収量 K2O ゼオライト 玄米 kg/10a タンパク質 スコア 5kg/10a なし 62.0 c 16.6 c 449 a 6.0 79 1t/10a 34.5 b 11.8 b 530 ab 6.4 74 2t/10a 20.3 ab 6.2 a 553 b 6.2 77 30kg/10a なし 20.1 ab 6.3 a 493 a 6.1 77 1t/10a 20.0 ab 5.9 a 609 bc 6.4 73 2t/10a 15.8 a 5.3 a 676 c 6.5 72 食味計計測値(%)* 放射性Cs(Bq/kg) 試験区 茎葉** 収量 K2O ゼオライト 玄米 kg/10a タンパク質 スコア 5kg/10a なし 10.3 31.4 a 625 a 5.6 82 1t/10a 12.3 33.2 a 896 c 6.1 75 2t/10a 8.2 37.3 a 744 b 5.8 79 30kg/10a なし 7.6 37.0 a 595 a 6.4 74 1t/10a 15.2 47.1 a 776 b 6.7 70 2t/10a 8.3 38.5 a 777 b 6.5 72 茎葉** 試験区 放射性Cs(Bq/kg) 食味計計測値(%)* 収量 K2O ゼオライト 玄米 kg/10a タンパク質 スコア 5kg/10a なし 15 4.1 c 611 a 5.1 84 1t/10a 12 3.1 cb 686 b 4.9 85 2t/10a ND 1.9 ab 693 b 5.3 82 30kg/10a なし 11 2.1 ab 605 a 5.0 85 1t/10a ND 2.4 ab 648 ab 5.1 84 2t/10a ND 1.5 a 707 b 5.4 81 (<10) (<1.5) (検出限界) 茎葉** 放射性Cs(Bq/kg) 食味計計測値(%)* 試験区
15 (2)ゼ オ ラ イ ト 施 用 と 稲 わ ら 鋤 き 込 み に よ る 土 壌 中 カ リ 含 量 の 変 化 図 1 に施 肥後 と収 穫後 の土 壌交 換 性カ リ含 量を 示し た。2012 年 度 水 稲 作 の 収 穫 後 土 壌 に つ い て カ リ 5kg/10a のゼ オラ イト なし で 最 も 低 い 9.9mg/100g であ り、ゼ オラ イト 1t、2t/10a 施用 で 15.0、 17.4mg/100g と増 加し た 。カ リ 30kg/10a ではゼ オラ イト 無施 用区 で 17.1mg/100g と カリ 5kg/10a のゼ オラ イト 無施 用区 と同 等の 値 と な り 、ゼ オ ラ イ ト 1t、2t/10a 施用 により 19.9、27.6mg/100g と 有 意 に 増 加 し 、 ゼ オ ラ イ ト に よ る カ リ 保 持 効 果 を 確 認 し た 。2013 年 度 水 稲 作 の 収 穫 後 土 壌 に つ い て も カ リ 5kg/10a 区で ゼオ ライ ト な し で 17.3mg/100g 、 ゼ オ ラ イ ト 1t 、 2t/10a 施 用 で 21.7 、 27.0mg/100g とな り 、カ リ 30kg/10a 区に おい てゼ オラ イト なし で 24.1mg/100g、 ゼオ ライ ト 1t、2t/10a 施用 で 27.6、33.3mg/100g ま で 増 加 し 、 ゼ オ ラ イ ト に よ る 有 意 な カ リ 保 持 効 果 を 確 認 し た 。 ま た 、2013 年産 水稲 作で は カ リ 施用 は全 面に 5kg/10a しか行 って い な い が 、2012 年 より 交換 性カ リは 全区で 5.7~9.6mg/100g 高く な り 、稲 わ ら の 鋤 き 込 み 効 果 で あ っ た と 考 え ら れ る 。2012 年産 水 稲 の 稲 わ ら 中 の カ リ 含 量 に つ い て 表 5 に示 した が 、稲 わら には 3% 程 度 の カ リ が 含 有 さ れ て お り 、茎 葉 を 全 て 鋤 き 込 む こ と で K2O と し て 15~22kg/10a が土壌 に還 元 され るこ とが 分か る。また 、稲わ ら の 茎 葉 重 は ゼ オ ラ イ ト 施 用 区 で 増 加 す る 傾 向 に あ る た め 、 カ リ 還 元 量 も ゼ オ ラ イ ト 施 用 区 で 増 加 し た 。2012 年度 の収 穫後 カリ 飽 和 度 は 最 も 低 い 区 で 1.6%で あり 、ゼオ ライ ト施 用と カリ 30kg/10a 区 で 2.1~3.9%とな った 。2013 年 では 最も 低い 区でも 3.3%で ゼオ
16 ラ イ ト 施 用 と カ リ 30kg/10a 区で 3.8~5.5%と高い 値を 保持 して い た 。 よ っ て 、 稲 わ ら 鋤 き 込 み に よ る カ リ 還 元 を 行 え ば 、 毎 年 カ リ を 多 量 施 用 す る 必 要 が な い こ と が 分 か っ た 。 ま た ゼ オ ラ イ ト を 1t/10a 施用 すれ ば土 壌の カリ 保 持効 果が 持続 する ため 、稲 わら の 鋤 き 込 み と ゼ オ ラ イ ト 施 用 を 併 用 す る こ と で 初 年 度 以 降 は 慣 行 施 用 量 で 放 射 能 吸 収 抑 制 対 策 と な る 。 図 1, 南相 馬市 水田 の水 稲 収 穫後 の土 壌交 換性 カリ (2012~ 2014) 表 5 , 2012 年産 稲わ らの カリ 含 有量 茎葉 カリウム ゼオライト kg/10a % kg/10a 5kg/10a なし 488 3.0 14.8 1t/10a 767 2.8 21.7 2t/10a 780 2.6 20.7 30kg/10a なし 623 2.9 18.0 1t/10a 651 2.9 18.7 2t/10a 708 2.9 20.3 K2O 試験区
17 3,南相 馬 市水 田 まと め 2013 年 の 土 壌 交 換 性 カ リ は 高 く 保 持 さ れ て い た こ と か ら も 、 2013 年 玄米 の放 射能 異常 値に つ いて は土 壌吸 収以 外の 要因 が強 く 示 唆 さ れ た 。 よ っ て 、2013 年度 産玄 米の 放射性 Cs 異 常吸 収に つ い て は 2013 年 8 月の 福島 第一 原 発ガ レキ 撤去 作業 に伴 う放 射性 物 質 飛 散 が 原 因 で あ る と 考 え ら れ た 。ま た 2014 年産 水稲 作で 放射 能 値 は 正 常 で あ っ た こ と か ら 、 こ の 異 常 値 に つ い て 放 射 性 物 質 飛 散 が 原 因 で あ る こ と を 裏 づ け る こ と と な り 、 本 試 験 の 考 察 か ら 除 外 す る こ と と し た 。 水 稲 の 放 射 性 セ シ ウ ム 吸 収 抑 制 対 策 資 材 と し て 、 カ リ と ゼ オ ラ イ ト の 施 用 が 有 効 で あ る こ と が 分 か っ た 。 特 に ゼ オ ラ イ ト は 低 カ リ 条 件 下 で Cs 吸 収抑 制効 果を 発 揮し た。ゼ オラ イト には 土壌 交換 性 カ リ を 高 く 保 持 す る 効 果 が あ り 、施 用 2、3 年目 の持 続効 果に つ い て も 確 認 し た 。 K+はCs+と 拮 抗 し て 作 物 の Cs 吸 収を 抑制 する こと は知 られ てお り (1961 天 正)、ゼ オラ イト の カリ 保持 効果 によ り、 K+と 拮 抗 し て Cs+の 吸 収 が 抑 制 さ れ た と 考 え ら れ た 。し か し 一 方 で 、ゼ オ ラ イ ト 施 用 に よ る 玄 米 の 増 収 か ら 窒 素 の 吸 収 性 の 向 上 が 示 唆 さ れ た 。 塚 田 ら(2011)らに よれ ば水 稲栽 培 にお いて NH4+の 施 肥 は 、粘 土 鉱 物 に 吸 着 さ れ て い る 交 換 性 Cs と 交 換 反 応 に より 、 土 壌 溶 液 中 に Cs+を 放 出 し 、 水 溶 性 Cs が増 大 する こと で水 稲の Cs 吸 収が 促進 さ れ る こ と が 報 告 さ れ て い る 。 し か し 、 本 試 験 で は ゼ オ ラ イ ト 施 用 に よ り 玄 米 が 増 収 し た こ と か ら 水 稲 の 窒 素 吸 収 性 が 向 上 し た こ と が 示 唆 さ れ に も 関 わ ら ず 、Cs 吸収 抑制 効果 を発 揮す ると いう 結
18 果 と な っ た 。 こ の 課 題 に つ い て は 2-3 章で 検証 する こと とす る。 ま た 、 稲 ワ ラ 鋤 き 込 み は カ リ 還 元 効 果 が 高 く 、 土 壌 交 換 性 カ リ は 2012 年 収穫 後よ り も 2013 年 収穫 後土 壌で 高く 保持 され た。 以 上 か ら 本 試 験 に よ れ ば 、ゼ オ ラ イ ト 1t/10a 施 用し、稲わ らの 鋤 き 込 み を 行 え ば 、 初 年 度 以 降 は 基 肥 の み で 放 射 能 吸 収 抑 制 対 策 が 可 能 で あ っ た 。
19 2.水 稲 の 放 射 性 セ シ ウ ム 吸 収 抑 制 対 策 試 験 2-2,伊 達 市 に お け る 水 稲 作 付 け 試 験( カ リ 、ゼ オ ラ イ ト 、酸 性 改 良 の 効 果 に つ い て ) 1,は じ め に 伊 達 市 水 田 は 暫 定 基 準 値 で あ る 500Bq/kg を 超 過 す る 玄 米 が 産 出 さ れ 、作 付 け 自 粛 区 域 に 指 定 さ れ て い る 。伊 達 地 区 の 3 か 所 の 圃 場 に お い て 放 射 能 吸 収 抑 制 対 策 の た め の 各 試 験 を 実 施 し た 。 A 圃 場 で は 2012 年 に ゼ オ ラ イ ト を 施 用 し 2012 年 、2013 年 の 継 続 効 果 を 検 証 し た 。 ま た 、2013 年 で は さ ら カ リ 標 準 施 用 と 多 量 施 用 区 を 設 け 、 カ リ の 多 量 施 用 が 毎 年 必 要 か 検 討 し た 。 B 圃 場 で は ケ イ 酸 カ リ と 塩 化 カ リ の 施 用 効 果 に つ い て 、C 圃 場 で は 転 炉 ス ラ グ に よ る 酸 性 改 良 の 効 果 に つ い て 2012 年 、2013 年 で の 効 果 を 検 証 し た 。 2,試 験 お よ び 方 法 A 圃 場 の 試 験 作 付 け ( ゼ オ ラ イ ト の 施 用 効 果 ) 2012 年 水 稲 作 で は 対 策 資 材 と し て 、 連 続 す る 2 枚 の 水 田 に ゼ オ ラ イ ト 1t/10a 施 用 区 と 対 照 と し て 無 施 用 区 を 設 定 し た 。 水 田 土 壌 の 放 射 性 Cs 強 度 は 各 4,814Bq/kg、 4,561Bq/kg で あ っ た 。 そ の 他 の 対 策 資 材 と し て 全 面 に 転 炉 ス ラ グ 200kg/10a と ケ イ 酸 カ リ 200kg/10a( K2O 40kg/10a) を 施 用 し た 。 作 付 け 品 種 は コ シ ヒ カ リ で 5 月 上 旬 に 定 植 し 、 9 月 27 日 に 収 穫 し た 。 こ の 圃 場 で 産 出 さ れ た 2012 年 度 産 水 稲 の 茎 葉 は 全 て 持 ち
20 出 し 、 2013 年 作 付 け で は 基 肥 と し て 2.6-5.9-5.3 kg/10a (N-P2O5-K2O) コ シ ヒ カ リ 専 用 肥 料 で 施 用 し 、 さ ら に 各 区 を 2 つ に 分 け 、 基 肥 の み で あ る 標 準 区 ( K2O 5kg/10a) と 多 量 施 用 区 と し て 基 肥 と 合 計 で K2O30kg/10a と な る よ う に 塩 化 カ リ で 追 加 施 用 し た 区 を 設 定 し 、5 月 上 旬 に コ シ ヒ カ リ を 定 植 し 10 月 1 日 に 収 穫 し た 。こ の 圃 場 で は ゼ オ ラ イ ト の 継 続 効 果 に つ い て と 、 カ リ の 多 量 施 用 が 毎 年 必 要 か 検 証 を 行 っ た 。 B 圃 場 の 試 験 作 付 け ( 塩 化 カ リ と ケ イ 酸 カ リ の 施 用 効 果 ) 2012 年 度 に 連 続 す る 3 枚 の 圃 場 に 対 策 資 材 と し て ゼ オ ラ イ ト 1t/10a・ ケ イ 酸 カ リ 200kg/10( K2O40kg/10a) 施 用 区 、 ゼ
オ ラ イ ト 200kg/10a・ 塩 化 カ リ 67kg/10a( K2O 40kg/10a) 施
用 区 、 ゼ オ ラ イ ト 200kg/10a・ ケ イ 酸 カ リ 200kg/10a 施 用 区 の 3 試 験 区 を 設 け た 。 各 圃 場 の 土 壌 放 射 性 Cs 強 度 は 8,836Bq/kg、7,705Bq/kg、 5,350Bq/kg で あ っ た 。 作 付 け 品 種 は コ シ ヒ カ リ で 5 月 上 旬 に 定 植 し て 9 月 27 日 に 収 穫 し た 。 こ の 試 験 で は 特 に カ リ 肥 料 の 施 用 法 に 注 目 し 、塩 化 カ リ と ケ イ 酸 カ リ ど ち ら が 効 果 的 で あ る か 検 証 し た 。 C 圃 場 の 試 験 作 付 け ( 転 炉 ス ラ グ 施 用 に よ る 酸 性 改 良 効 果 ) 2012 年 産 作 付 け で 連 続 す る 2 枚 の 水 田 に 転 炉 ス ラ グ 1t/10a 施 用 区 と 対 照 と し て 転 炉 ス ラ グ 無 施 用 区 を 設 定 し た 。各 圃 場 の 土 壌 放 射 性 Cs 強 度 は 4,363Bq/kg、 4,186Bq/kg で あ っ た 。 ま た 、 対 策 資 材 と し て 両 試 験 区 に ケ イ 酸 カ リ 200kg/10a ( K2O 40kg/10a)を 施 用 し た 。作 付 け 品 種 は コ シ ヒ カ リ で 、5 月 上 旬
21 に 定 植 し 、9 月 27 日 に 収 穫 し た 。2012 年 度 産 水 稲 茎 葉 は 全 て 持 ち 出 し 、2013 年 度 産 水 稲 作 付 け で は 基 肥 と し て コ シ ヒ カ リ 専 用 肥 料 で 施 用 を 3.7-5.4-5.0kg/10a( N-P2O5-K2O)施 用 し た 。 5 月 上 旬 に コ シ ヒ カ リ を 定 植 し 10 月 1 日 に 収 穫 し 、 2 年 目 の 転 炉 ス ラ グ の 効 果 を 検 証 し た 。こ ち ら で も A 圃 場 と 同 様 に 各 区 を 2 つ に 分 け 、基 肥 の み で あ る 標 準 区( K2O 5kg/10a)と 多 量 施 用 区 と し て 基 肥 と 合 計 で K2O30kg/10a と な る よ う に 塩 化 カ リ で 追 加 施 用 し た 区 を 設 定 し た 。ま た 、酸 性 改 良 に よ る 窒 素 発 現 量 の 増 加 が 考 え ら れ た た め 、2012 年 施 肥 後 土 壌 を 用 い た 湛 水 条 件 下 で の 可 給 態 窒 素 量 を 測 定 す る た め の 室 内 培 養 試 験 を お こ な っ た 。 可 給 態 窒 素 分 析 は 定 法 に よ っ た ( 温 度 30℃ で 4 週 間 保 温 静 置 ) 。 各 試 験 圃 場 で は 水 稲 の 刈 り 取 り 調 査 は 各 区 3 か 所 で 坪 刈 り (50cm×50cm 四 方 )を 行 っ た 。そ の 後 自 然 乾 燥 さ せ 、脱 穀 及 び 籾 摺 り を お こ な っ た 後 、キ ャ ン ベ ラ 社 製 の ゲ ル マ ニ ウ ム 半 導 体 検 出 器 に て 玄 米 の 放 射 能 強 度 を 測 定 し た 。玄 米 は 放 射 能 強 度 測 定 後 、タ ン パ ク 質 含 量(PS-500 静 岡 精 機 )の 測 定 を 行 っ た 。 ま た 土 壌 ス コ ッ プ で 作 土 を 採 取 し 分 析 に 供 し た 。 3,結 果 お よ び 考 察 1)A 圃 場 ( ゼ オ ラ イ ト の 施 用 効 果 ) 2012 年 作 付 け 前 の 土 壌 放 射 能 強 度 と 土 壌 化 学 性 に つ い て は 表 1,2 に 示 し た 。
22 表 1, 土 壌 放 射 能 強 度 表 2, 試 験 区 の 施 肥 後 土 壌 化 学 性 2012 年 度 玄 米 の 結 果 は 表 3 に 示 し た と お り で あ る 。 放 射 性 セ シ ウ ム 強 度 に 関 し て は ゼ オ ラ イ ト 0、1t/10a 施 用 区 共 に 4~ 5Bq/kg で あ り 有 意 差 は な か っ た 。2013 年 度 を 表 4 に 示 し た が 、 ゼ オ ラ イ ト 0、1t/10a 施 用 区 及 び カ リ 5、30kg/10a 区 の 全 区 で 放 射 性 セ シ ウ ム は ほ と ん ど 検 出 さ れ な か っ た 。2012 年 か ら 2013 年 の 土 壌 交 換 性 カ リ の 変 化 を 図 1 に 示 し た が 、2012 年 に お い て 施 肥 後 の 交 換 性 カ リ は ゼ オ ラ イ ト 0、1t/10a 施 用 区 で そ れ ぞ れ 15.5、 31.4mg/100g で あ り カ リ 飽 和 度 に 換 算 す る と 各 2.3%、 4.6%で あ っ た 。 土 壌 か ら 玄 米 へ の 放 射 能 吸 収 を 最 大 限 抑 制 す る と さ れ る 土 壌 交 換 性 カ リ 含 量 は カ リ 飽 和 度 で 2%と さ れ て い る 。 今 回 は 両 区 と も に カ リ 飽 和 度 2%を 上 回 る 値 で あ っ た た め 、放 射 性 セ シ ウ ム の 吸 収 は 抑 制 さ れ た と 考 え ら れ た 。一 方 、 収 量 は ゼ オ ラ イ ト 0、 1t/10a 施 用 区 で 各 344、 459kg/10a と ゼ オ ラ イ ト 施 用 区 で 増 収 し た 。ま た 、タ ン パ ク 質 含 量 に つ い て ゼ オ ラ イ ト 施 用 区 で 0.2%高 く 、 ゼ オ ラ イ ト 施 用 に よ り 窒 素 ゼオライト Cs-134 Cs-137 合計Cs t/10a 0 1646 2915 4561 1 1802 3012 4814 Bq/kg ゼオライト pH EC CEC 塩基飽和度
t/10a (H2O) (mS/cm) CaO MgO K2O Na2O meq/100g %
0 6.2 0.07 330 53.9 15.5 7.54 14.1 107
1 6.4 0.08 331 50.6 31.4 16.0 14.4 108 (2012/6/13-15福島調査)
23 吸 収 性 が 向 上 し た こ と が 示 唆 さ れ た 。 2013 年 施 肥 後 土 壌 交 換 性 カ リ は 22~ 38mg/100g で あ り カ リ 飽 和 度 で 3.4~ 5.7%と 高 か っ た こ と に よ り 、 2013 年 玄 米 で 放 射 性 セ シ ウ ム 強 度 は 検 出 限 界 程 度 以 下 に な っ た と 考 え ら れ た 。 ま た 、 収 量 と タ ン パ ク 質 に お い て 有 意 差 は 見 ら れ な か っ た が 、 収 量 は ゼ オ ラ イ ト 施 用 区 で 増 加 傾 向 に あ っ た 。 各 区 に よ る 土 壌 交 換 性 カ リ の 変 化 に つ い て 図 1 を 見 る と 、全 期 間 を 通 じ ゼ オ ラ イ ト 施 用 区 で 交 換 性 カ リ が 高 く 保 持 さ れ て い る こ と が 分 か る 。ま た 、2013 年 10 月 の 収 穫 時 土 壌 で は 各 カ リ 5、30kg/10a 区 に お い て ゼ オ ラ イ ト 施 用 に よ り 5~ 8mg/100g 高 く 、 カ リ 30kg 区 と カ リ 5kg/10a・ ゼ オ ラ イ ト 施 用 区 で は 後 者 の 方 が 交 換 性 カ リ は 高 く 保 持 さ れ て い た 。よ っ て 、カ リ 多 量 施 用 よ り も ゼ オ ラ イ ト 施 用 に よ り 土 壌 交 換 性 カ リ は 高 く 保 持 さ れ る こ と が 分 か っ た 。 表 3,A 水 田 2012 年 産 玄 米 の 収 量 お よ び 放 射 性 セ シ ウ ム 強 度 表 4,A 水 田 2013 年 産 玄 米 の 収 量 お よ び 放 射 性 セ シ ウ ム 強 度 ゼオライト Cs-134 Cs-137 合計Cs 収量 タンパク質 t/10a kg/10a %
0 2.1 3.3 5.4a 344a 5.4a
1 1.6 2.5 4.0a 459b 5.6b
n=3,α =0.25 同一アルファベット間に有意差なし Bq/kg
ゼオライト K2O Cs-134 Cs-137 合計Cs 収量 タンパク質
t/10a kg/10a kg/10a %
0 5 ND ND ND 339a 5.0ab 0 30 ND 0.91 0.91 333a 4.7 a 1 5 ND ND ND 371a 5.0ab 1 30 ND 0.51 0.51 377a 5.2 b n=3,α =0.25 同一アルファベット間に有意差なし Bq/kg
24 図 1, 試 験 水 田 A に お け る 土 壌 交 換 性 カ リ の 推 移 2)B 圃 場 の 試 験 作 付 け ( 塩 化 カ リ と ケ イ 酸 カ リ の 施 用 効 果 ) 連 続 す る 3 枚 の 水 田 の 土 壌 放 射 能 強 度 、 施 肥 後 土 壌 化 学 性 は 表 5,6 に 示 し た と お り で あ る 。 玄 米 の 放 射 性 セ シ ウ ム は 表 7 に 示 し た 通 り で 、 ゼ オ ラ イ ト 1t/10a・ケ イ 酸 カ リ 区 と ゼ オ ラ イ ト 200kg/10a・塩 化 カ リ 区 は 2.4、3.8Bq/kg と 有 意 差 は な か っ た が 、ゼ オ ラ イ ト 200kg/10a・ ケ イ 酸 カ リ 区 で は 11.2Bq/kg と 有 意 に 高 い 値 を 示 し た 。こ こ で は 、収 量 や タ ン パ ク 質 に 差 は な く カ リ ウ ム の 肥 効 の 差 に よ る も の と 考 え ら れ る 。す な わ ち 、水 稲 は 生 育 後 期 に 効 い て く る よ う な ケ イ 酸 カ リ の よ う な 緩 効 性 肥 料 よ り も 、生 育 初 期 に 肥 効 を 示 す 塩 化 カ リ の よ う な 速 効 性 肥 料 の 方 が 放 射 性 セ シ ウ ム 吸 収 を 抑 制 す る 効 果 が 高 い こ と が 示 さ れ た 。
25 表 5, B 水 田 土 壌 放 射 能 強 度 表 6, B 水 田 施 肥 後 土 壌 化 学 性 表 7, B 水 田 玄 米 の 収 量 お よ び 放 射 性 セ シ ウ ム 強 度 3)C 圃 場 の 試 験 作 付 け ( 転 炉 ス ラ グ 施 用 に よ る 酸 性 改 良 効 果 ) 土 壌 放 射 能 強 度 と 施 肥 後 の 土 壌 化 学 性 は 表 8,9 に 示 し た と お り で 、転 炉 ス ラ グ 施 用 に よ る 酸 性 改 良 効 果 で 土 壌 pH は 6.0 か ら 7.3 ま で 上 昇 し た 。2012 年 の 収 穫 し た 玄 米 の 結 果 は 表 10 に 示 し た が 、 放 射 性 セ シ ウ ム は 転 炉 ス ラ グ 施 用 に よ り 58Bq/kg か ら 29Bq/kg ま で 低 減 し て い た 。 ま た 、 収 量 に お い て 414kg/10a か ら 482kg/10a に 増 収 し 、 タ ン パ ク 質 も 増 加 し て い た こ と か ら 水 稲 に お い て 窒 素 の 吸 収 性 が 向 上 し た こ と が 考 え ら れ た 。そ こ で 、土 壌 の 可 給 態 窒 素 量 を 調 べ た と こ ろ 、転 炉 ゼオライト Cs-134 Cs-137 合計Cs kg/10a 200 塩化カリ 2767 4939 7705 200 ケイ酸カリ 2704 4796 5350 1000 ケイ酸カリ 3286 5550 8836 カリの種類 Bq/kg ゼオライト カリの種類 pH EC CEC
kg/10a (K2O 40) (H2O) (mS/cm) CaO MgO K2O Na2O meq/100g
200 塩化カリ 6.1 0.06 682 177 21.9 17.8 34.8 200 ケイ酸カリ 5.9 0.08 617 176 18.4 12.8 33.8 1000 ケイ酸カリ 5.9 0.07 729 199 28.6 9.97 38.5 (2012/6/13-15福島調査) 交換性塩基(mg/100g) ゼオライト Cs-134 Cs-137 合計Cs 収量 タンパク質 kg/10a kg/10a %
200 塩化カリ 1.5 2.3 3.8a 457a 5.3a
200 ケイ酸カリ 4.3 6.9 11.2b 415a 5.3a
1000 ケイ酸カリ 1.1 1.7 2.4a 448a 5.4a
n=3,α =0.25 同一アルファベット間に有意差なし Bq/kg
26 ス ラ グ 施 用 区 で 有 意 に 窒 素 無 機 化 量 が 多 い こ と が 分 か っ た 。す な わ ち 、転 炉 ス ラ グ 施 用 に よ る 酸 性 改 良 効 果 に よ っ て 窒 素 無 機 化 が 促 進 さ れ 、水 稲 の 窒 素 吸 収 性 が 向 上 し た と 考 え ら れ る 。ま た 、2013 年 に お い て は 表 11 に 示 し た よ う に 、放 射 性 セ シ ウ ム は 全 区 で 5Bq/kg 程 度 以 下 と な り 、転 炉 ス ラ グ 施 用 の 有 無 に よ る 放 射 能 強 度 の 相 違 は 認 め ら れ な か っ た 。 表 8, C 水 田 土 壌 放 射 能 強 度 表 9, C 水 田 施 肥 後 土 壌 化 学 性 水 稲 栽 培 に お い て ア ン モ ニ ウ ム イ オ ン の 存 在 は 土 壌 に 吸 着 さ れ て い る セ シ ウ ム イ オ ン と の 交 換 反 応 に よ り 、セ シ ウ ム を 土 壌 コ ロ イ ド か ら 解 離 さ せ 水 稲 へ の セ シ ウ ム 吸 収 を 助 長 す る こ と が 知 ら れ て い る が (1961 天 正 ) 、 今 回 の 試 験 栽 培 で は 酸 性 改 良 効 果 に よ っ て 土 壌 中 の 窒 素 無 機 化 が 促 進 さ れ 、水 稲 の 窒 素 吸 収 性 も 向 上 し た に も 関 わ ら ず 放 射 性 セ シ ウ ム の 吸 収 は 抑 制 さ れ る 結 果 と な っ た 。こ れ は 水 稲 栽 培 に お け る ゼ オ ラ イ ト 施 用 効 果 と 類 似 し た 結 果 と な っ た 。 転炉スラグ Cs-134 Cs-137 合計Cs t/10a 0 1507 2679 4186 1 1571 2792 4363 Bq/kg 転炉スラグ pH EC CEC 塩基飽和度
t/10a (H2O) (mS/cm) CaO MgO K2O Na2O meq/100g %
0 6.0 0.05 262 51.3 11.0 6.75 13.9 89.1
1 7.3 0.12 484 77.6 10.2 7.62 17.6 123
(2012/6/13-15福島調査)
27 こ の 酸 性 改 良 お よ び ゼ オ ラ イ ト の 効 果 に つ い て メ カ ニ ズ ム の 検 証 は 2-3 章 で 行 う こ と と す る 。 表 10, C 水 田 2012 産 水 稲 の 収 量 お よ び 放 射 性 セ シ ウ ム と 窒 素 無 機 化 量 表 11, C 水 田 2013 産 水 稲 の 収 量 お よ び 放 射 性 セ シ ウ ム 転炉スラグ Cs-134 Cs-137 合計Cs 収量 タンパク質 無機化窒素 t/10a kg/10a % mg/100g
0 22 36 58b 414a 5.7a 3.2a
1 11 19 29a 482b 6.2b 4.9b
α =0.05 α =0.30 α =0.25 α =0.10
n=3,同一アルファベット間に有意差なし Bq/kg
転炉スラグ カリ施用 Cs-134 Cs-137 合計Cs 収量 タンパク質
t/10a kg/10a Bq/kg kg/10a %
0 5 2.7 5.6 7.4b 432a 5.4a
0 30 N.D. N.D. N.D. 561b 5.5a
1 5 3.4(2.4>) 6.3 8.5b 569b 5.6a
1 30 N.D. 1.3 1.3a 517b 5.6a
28 2-3. ゼ オ ラ イ ト の 水 稲 へ の 放 射 性 セ シ ウ ム 吸 収 抑 制 メ カ ニ ズ ム 検 証 の た め の ポ ッ ト 栽 培 試 験 2-3-(1).ゼ オ ラ イ ト の 施 用 が 水 稲 の 放 射 性 セ シ ウ ム 吸 収 お よ び 窒 素 ・ カ リ 溶 脱 に 及 ぼ す 影 響 1,は じ め に 現 地 栽 培 試 験 で は 水 田 に お い て ゼ オ ラ イ ト 施 用 に よ る セ シ ウ ム 吸 収 抑 制 効 果 と 、カ リ の 保 持 効 果 が 確 認 さ れ た 。ま た 、ゼ オ ラ イ ト 施 用 に よ る 玄 米 の 増 収 が 確 認 さ れ た こ と か ら 、水 稲 に お け る 窒 素 吸 収 性 の 向 上 が 示 唆 さ れ た 。ゼ オ ラ イ ト は 畑 地 に お い て 土 壌 保 肥 力 を 改 善 す る 土 壌 改 良 資 材 と し て 使 用 さ れ て き た 。一 方 で 、水 田 に お け る ゼ オ ラ イ ト の 効 果 に つ い て そ の 知 見 は 少 な い 。水 田 土 壌 は 還 元 条 件 下 で あ り 、ま た 水 の 流 出 入 が あ る た め 畑 地 と は イ オ ン の 挙 動 が 異 な る こ と が 考 え ら れ る 。そ こ で 実 際 に 水 稲 を 栽 培 し た 場 合 の ゼ オ ラ イ ト の 施 用 効 果 に つ い て 、ポ ッ ト か ら 溶 脱 水 を 抜 き 取 り 水 田 に お け る 水 の 流 出 入 を 再 現 し た 水 稲 栽 培 試 験 を 行 っ た 。ま た 溶 脱 す る イ オ ン を 調 べ 、特 に カ リ ウ ム イ オ ン・ア ン モ ニ ウ ム イ オ ン の 挙 動 に 注 目 し 、ゼ オ ラ イ ト に よ る セ シ ウ ム 吸 収 抑 制 効 果 と の 因 果 関 係 に つ い て 検 証 し た 。 2,材 料 お よ び 方 法 1)供 試 土 壌 土 壌 は 福 島 県 二 本 松 市 内 圃 場 の 灰 色 低 地 土 を 採 取 し 、5mm の 篩 い に か け 均 一 化 し た も の を 供 試 し た 。土 壌 化 学 性 は 表 1 に 示
29 し た 。 土 壌 放 射 能 強 度 は 2552Bq/kg で あ っ た 。 2)供 試 材 料 共 試 し た ゼ オ ラ イ ト は 福 島 県 飯 坂 鉱 山 よ り 産 出 さ れ た モ ル デ ナ イ ト 結 晶 型 で 、 日 東 粉 化 株 式 会 社 の ケ イ ゼ オ ン ( 粒 系 3.3mm 以 下 6 メ ッ シ ュ ) を 使 用 し た 。 Ca 置 換 ゼ オ ラ イ ト 作 成 法 ゼ オ ラ イ ト 中 の カ リ ウ ム イ オ ン と ア ン モ ニ ウ ム イ オ ン を 交 換 す る た め 、1mol/L 塩 化 ア ン モ ニ ウ ム 溶 液 ( 抽 出 比 率 1:20) で 3 回 振 と う を お こ な っ た 。イ オ ン 交 換 水 で 洗 浄 後 、ゼ オ ラ イ ト に 吸 着 さ れ た ア ン モ ニ ウ ム イ オ ン と カ ル シ ウ ム イ オ ン を 交 換 す る た め に 、1mol/L 塩 化 カ ル シ ウ ム 溶 液 を 加 え 、 さ ら に 反 応 を 促 進 さ る た め に 消 石 灰 で pH を 上 昇 さ せ 溶 液 を 加 熱 し 、ア ン モ ニ ア 特 有 の 刺 激 臭 が な く な る ま で 十 分 反 応 さ せ た 。そ の 後 イ オ ン 交 換 水 で 洗 浄 し 、乾 燥 さ せ た ゼ オ ラ イ ト を Ca 置 換 ゼ オ ラ イ ト と し た 。 ゼ オ ラ イ ト 、Ca 置 換 ゼ オ ラ イ ト の 化 学 性 は 表 2 に 示 し た と お り で あ る 。 ゼ オ ラ イ ト に は 交 換 性 カ リ が 1031mg/100g 含 有 さ れ て お り 、 Ca 置 換 ゼ オ ラ イ ト は 132mg/100g と カ リ 除 去 率 は 87%で あ っ た 。ま た 、陽 イ オ ン 交 換 容 量 (CEC) は カ ル シ ウ ム 置 換 操 作 に よ り 141.5meq/100g か ら 130.5meq/100g ま で 低 減 し た 。 CEC の 抽 出 操 作 は 、 酢 酸 ア ン モ ニ ウ ム 溶 液 に よ り 陽 イ オ ン を 全 て ア ン モ ニ ウ ム イ オ ン で 置 換 し た あ と 、塩 化 カ リ 溶 液 で 抽 出 さ れ た ア ン モ ニ ウ ム イ オ ン 量 か ら 陽 イ オ ン 交 換 容 量 を 計 算 す る も の で あ る 。Ca 置 換 ゼ オ ラ イ ト の 場 合 、ア ン モ ニ ウ ム イ オ ン が ゼ オ ラ イ ト に 吸 着 さ れ た 後 、一 部 が 10%塩 化 カ リ 溶 液 で は 抽 出 さ れ な い 不 交 換 態 と な
30 っ た た め 、CEC が 低 減 し た と 考 え ら れ る 。 ま た 10%塩 化 カ リ に よ っ て 抽 出 さ れ た 交 換 態 ア ン モ ニ ウ ム は ゼ オ ラ イ ト 0.5mg/100g、 Ca 置 換 ゼ オ ラ イ ト 41.7mg/100g で あ っ た 。 Ca 置 換 ゼ オ ラ イ ト の 詳 細 な 実 験 デ ー タ は 巻 末 に 示 し た 。 表 1, 供 試 土 壌 化 学 性 表 2, ゼ オ ラ イ ト の 化 学 性 3)試 験 区 試 験 区 は 表 3 に 示 し た 。ゼ オ ラ イ ト 施 用 な し の 対 照 区 と 通 常 の ゼ オ ラ イ ト と Ca 置 換 ゼ オ ラ イ ト 施 用 区 を 設 定 し た 。ゼ オ ラ イ ト 施 用 量 は 0.5t/10a(10g/pot)、1.0t/10a(20g/pot) と し 、ゼ オ ラ イ ト 10g に 含 有 さ れ る 交 換 性 カ リ は 103mg、Ca 置 換 ゼ オ ラ イ ト で 13mg と な る 。土 壌 中 に 含 有 さ れ る 交 換 性 カ リ は 全 区 一 律 で 95mg で あ り 、土 壌 中 +ゼ オ ラ イ ト 中 +施 肥( 塩 化 カ リ )の 合 計 カ リ 量 が 121、198、301、500、600mg と な る よ う 5 段 階 に 設 定 し た 。 総 カ リ 量 121mg に お い て は 対 照 区 と Ca 置 換 ゼ オ ラ イ ト 0.5、 1t/10a 施 用 区 と し 、 総 カ リ 量 198mg で は 対 照 CEC 塩基飽和度
CaO MgO K2O Na2O meq/100g %
94.5 14.7 4.7 5.4 8.6 57.4 交換性塩基(mg/100g) ゼオライト NH4-N 種類 CaO MgO K2O Na2O mg/100g 普通 2264 78.4 1255 1295 0.46 Ca型 2325 22.8 108 109 41.7 ex-base(mg/100gDW)
31 区 、 ゼ オ ラ イ ト 0.5t/10a、 Ca 置 換 ゼ オ ラ イ ト 0.5、 1t/10a 施 用 区 、総 カ リ 量 301mg 以 上 で は 対 照 区 、ゼ オ ラ イ ト 0.5、1t/10a、 Ca 置 換 ゼ オ ラ イ ト 0.5、 1t/10a 施 用 区 を 設 け た 。 そ し て 、 基 肥 と し て P2O5-N=0.5- 0.5 と な る よ う に 過 リ ン 酸 石 灰 と 塩 化 ア ン モ ニ ウ ム で 施 肥 を 行 っ た 。 表 3, 栽 培 試 験 設 計 3)栽 培 方 法 栽 培 期 間 中 に ポ ッ ト の 浸 透 水 を 採 取 で き る よ う な 装 置 を 作 成 し た ( 図 1) 。 1/5000a ワ グ ネ ル ポ ッ ト の 基 底 部 に 、 観 賞 魚 の エ ア レ ー シ ョ ン に 使 用 さ れ る ロ ン グ ス ト ー ン 10cm( 貝 沼 産 業 製 )を 目 が 詰 ま ら な い よ う 、ガ ラ ス 繊 維 濾 紙(203×254mm GF/A ワ ッ ト マ ン ) で く る み 、 そ の 上 を 遮 根 シ ー ト で 覆 っ た 。 ガ ラ ス 管 を 通 し た ゴ ム 栓(9 号 )の 一 方 を ロ ン グ ス ト ー ン と 接 合 し 、一 方 は 底 部 の 穴 か ら 突 き 出 る よ う に し た 。外 部 に 露 出 し た ガ ラ ス 管 に ゴ ム 管 を 接 続 し て 、ピ ン チ コ ッ ク で 先 端 を 塞 げ る よ う に し た 。そ し て 、ロ ン グ ス ト ー ン が 隠 れ る 程 度 の 川 砂 を ポ ッ ト 内 部 に 引 き 詰 め(5cm 程 度 )、土 壌 と 混 ざ ら な い よ う 遮 根 シ ー ト で 川 砂 を 包 み 、そ の 上 に 肥 料 お よ び 各 資 材 を あ ら か じ め 混 和 し た 土 壌 入 れ た 。な お 、土 壌 は 全 ポ ッ ト 同 量 と な る よ う に 試験区
カリ総量 ゼオ無施肥 ゼオ0.5t/10a ゼオ1/10a Caゼオ0.5t/10a Caゼオ1t/10a
121 95+0+26 95+13+13 95+26+0 198 95+0+103 95+103+0 95+13+90 95+26+77 301 95+0+206 95+103+103 95+206+0 95+13+193 95+26+180 500 95+0+405 95+103+302 95+206+199 95+13+392 95+26+379 600 95+0+505 95+103+402 95+206+299 95+13+492 95+26+479 *(土壌中+ゼオライト中+施肥) 各3連 22区 66pot K2O施用量(mg/pot)
32 し た 。そ し て 、土 壌 が 冠 水 す る ま で 水 道 水 を 入 れ 代 掻 き を 行 い 、 数 日 後 に ひ と め ぼ れ を 定 植 し た 。定 植 し て か ら 水 稲 の 根 が 活 着 し た 2 週 間 後 に 下 部 の ピ ン チ コ ッ ク を 開 き 、溶 脱 水 の 採 取 を 開 始 し た 。灌 水 は 毎 朝 水 道 水 で 行 い 、ポ ッ ト か ら の 溶 脱 水 採 取 に つ い て は 現 地 水 田 の 水 の 流 出 入 を で き る だ け 再 現 す る よ う に し た 。 水 田 の 平 均 的 な 減 水 深 2cm( 400mL/ポ ッ ト ) か ら 、 半 分 を 蒸 散 量 と し ポ ッ ト 当 た り 200mL を 1 日 6 時 間( 0.5ml/min) か け て 採 取 し 、栽 培 期 間 中 の 溶 脱 水 中 の 無 機 成 分 に つ い て 分 析 を お こ な っ た 。栽 培 期 間 は 6/9 か ら 8/4 で 、幼 穂 形 成 期 前 に 水 稲 茎 葉 を 刈 り 取 り 、 乾 燥 さ せ 分 析 に 供 し た 。 図 1, ポ ッ ト に 浸 透 し た 溶 脱 水 を 抜 き 取 る た め の 栽 培 試 験 装 置 模 式 図
33 4)測 定 ・ 分 析 方 法 茎 葉 は 自 然 乾 燥 後 2cm 程 度 に 裁 断 し て U8 容 器 に 充 填 し 、キ ャ ン ベ ラ 社 製 の ゲ ル マ ニ ウ ム 半 導 体 検 出 器 に て 放 射 能 強 度 を 測 定 し た 。 ま た 、 溶 脱 水 は No.131 ろ 紙 で ろ 過 後 、 自 動 化 学 分 析 装 置 ( 日 立 7020 ) に て ア ン モ ニ ア 態 窒 素 、 硝 酸 態 窒 素 、 ICP-AES( 島 津 製 作 所 ICPS-8100) に て カ リ ウ ム の 測 定 を お こ な っ た 。ま た 、ア ン モ ニ ア 態 窒 素 と 硝 酸 態 窒 素 の 合 計 量 を 窒 素 溶 脱 量 と 示 し た が 還 元 条 件 下 で あ る た め ほ と ん ど が ア ン モ ニ ア 態 窒 素 で あ る 。 3,結 果 お よ び 考 察 水 稲 の 放 射 性 セ シ ウ ム 強 度 の 結 果 は 図 2、 3 に 示 し た 。 対 照 区 に つ い て は 、ポ ッ ト 中 の カ リ 量 が 多 く な る ほ ど 放 射 性 セ シ ウ ム は 低 減 し た 。ま た 、カ リ 120~ 500mg/pot の 試 験 区 に お い て ゼ オ ラ イ ト 施 用 に よ り 水 稲 の 放 射 性 セ シ ウ ム は 有 意 に 低 減 さ れ た が 、 カ リ 600mg/pot の 試 験 区 で は 有 意 差 は 確 認 で き な か っ た 。ゼ オ ラ イ ト 施 用 量 と カ リ 量 の 間 に は 25%水 準 で 交 互 作 用 が 確 認 さ れ 、カ リ 量 が 少 な い ほ ど ゼ オ ラ イ ト 施 用 に よ る 放 射 性 セ シ ウ ム 低 減 効 果 が 高 い こ と が 示 さ れ た 。ま た 、放 射 性 セ シ ウ ム 吸 収 に つ い て は ゼ オ ラ イ ト と Ca 置 換 ゼ オ ラ イ ト 間 の 差 は 認 め ら れ な か っ た 。
34
図 2, 異 な る カ リ 条 件 下 で の ゼ オ ラ イ ト 施 用 が
放 射 性 セ シ ウ ム 吸 収 に 及 ぼ す 影 響
35 栽 培 期 間 中 に 溶 脱 し た 窒 素 、カ リ に つ い て 図 4、5 に 示 し た 。 カ リ 溶 脱 量 に つ い て ゼ オ ラ イ ト 施 用 に よ っ て 有 意 に 抑 制 さ れ て お り 、ゼ オ ラ イ ト と Ca 置 換 ゼ オ ラ イ ト 間 で の 有 意 差 は な か っ た 。 カ リ 量 と ゼ オ ラ イ ト 施 用 量 の 間 に は ゼ オ ラ イ ト で 25% 水 準 、Ca 置 換 ゼ オ ラ イ ト で 5%水 準 の 交 互 作 用 が 確 認 さ れ 、す な わ ち カ リ 量 が 多 く な る ほ ど ゼ オ ラ イ ト 施 用 に よ っ て カ リ 溶 脱 が 抑 制 さ れ る こ と が 分 か っ た 。 一 方 、窒 素 に つ い て も ゼ オ ラ イ ト 施 用 に よ っ て 溶 脱 が 抑 制 さ れ て い る こ と が 分 か る 。ま た 、カ リ 300mg/pot で Ca 置 換 ゼ オ ラ イ ト 1t/10a 施 用 が 最 も 窒 素 溶 脱 抑 制 し て お り 、 カ リ 600mg/pot で Ca 置 換 ゼ オ ラ イ ト よ り も ゼ オ ラ イ ト で 窒 素 溶 脱 抑 制 効 果 が 高 い こ と が 示 さ れ た 。こ れ は Ca 置 換 ゼ オ ラ イ ト の 作 成 過 程 で 一 部 の 不 交 換 態 と な っ た NH4 +が K+増 加 に よ り 溶 出 さ れ た こ と が 考 え ら れ る 。 図 4, 異 な る カ リ 条 件 下 で ゼ オ ラ イ ト 施 用 が カ リ 溶 脱 量 に 及 ぼ す 影 響
36 図 5, 異 な る カ リ 条 件 下 で ゼ オ ラ イ ト 施 用 が 窒 素 溶 脱 量 に 及 ぼ す 影 響 あ る い は 、 ゼ オ ラ イ ト は イ オ ン 交 換 レ ベ ル に よ っ て ゼ オ ラ イ ト の 各 種 分 子 の 吸 着 量 が 変 化 す る た め 、K+と Ca2 +の イ オ ン 交 換 反 応 に よ り 有 効 細 孔 径 が 変 化 し た こ と に よ り (1991 富 永 ら ) 、Ca 置 換 ゼ オ ラ イ ト で は NH4 +と K+吸 着 性 に 微 妙 な 変 化 を 生 じ た と 推 察 さ れ る 。 ゼ オ ラ イ ト の 陽 イ オ ン の 選 択 性 は NH4+>>K+>Na+>Ca2 +の 序 列 と な る が 、 カ リ 300mg/pot ま で に お い て は ゼ オ ラ イ ト に よ る 選 択 性 に つ い て Ca2 +は K+に 劣 る た め ゼ オ ラ イ ト よ り も Ca 置 換 ゼ オ ラ イ ト に お い て NH4 +と の 交 換 性 が 高 か っ た と 考 え ら れ る 。 一 方 で カ リ 500mg/pot で は ゼ オ ラ イ ト の 種 類 に よ る NH4 +吸 着 性 の 違 い は な く な り 、600mg/pot に お い て 逆 転 し
37 た 。こ れ は K+が 濃 度 の 増 加 に よ っ て 優 勢 イ オ ン に な る こ と で 、 Ca 置 換 ゼ オ ラ イ ト の 有 効 細 孔 径 に 生 じ た 変 化 に よ り NH4 +の 吸 着 性 が 若 干 低 減 し た も の と 考 え ら れ た 。ま た 、ポ ッ ト 中 の カ リ 量 と ゼ オ ラ イ ト 、Ca 置 換 ゼ オ ラ イ ト 施 用 量 の 間 に は そ れ ぞ れ 10%水 準 の 交 互 作 用 が 確 認 さ れ 、低 カ リ 条 件 下 で 窒 素 捕 捉 効 果 が 高 い こ と が 分 か っ た 。 以 上 か ら 、ゼ オ ラ イ ト 施 用 に よ っ て 放 射 性 セ シ ウ ム 吸 収 抑 制 効 果 が 確 認 さ れ た 。そ の 要 因 は ゼ オ ラ イ ト に よ る 陽 イ オ ン の 特 異 吸 着 性 に よ る も の と 判 断 で き る 。 ゼ オ ラ イ ト は Cs+ 、 K+、 NH4 +な ど 陽 イ オ ン を 吸 着 す る が 、Cs+は よ り 強 固 に 捕 捉 さ れ る た め 、 水 稲 は 優 先 的 ま た 拮 抗 的 に K+、NH4+を 吸 収 し 、 そ の 結 果 、放 射 性 セ シ ウ ム 低 減 効 果 を 発 揮 し た と 推 察 で き る 。ま た ゼ オ ラ イ ト は 低 カ リ 条 件 下 で NH4 +の 捕 捉 効 果 が 高 い こ と が 分 か っ た た め 、放 射 性 セ シ ウ ム 吸 収 が 高 い 土 壌 に お い て ゼ オ ラ イ ト 施 用 効 果 は 高 い と 考 え ら れ る 。
38 2-3. ゼ オ ラ イ ト の 水 稲 へ の 放 射 性 セ シ ウ ム 吸 収 抑 制 メ カ ニ ズ ム 検 証 の た め の ポ ッ ト 栽 培 試 験 2-3-(2).酸 性 改 良 、 窒 素 施 肥 お よ び ゼ オ ラ イ ト 施 肥 が 水 稲 の 放 射 性 セ シ ウ ム 吸 収 に 及 ぼ す 影 響 1,は じ め に 現 地 圃 場 に お け る 水 稲 栽 培 試 験 で 、酸 性 改 良 や ゼ オ ラ イ ト 施 用 に よ る 放 射 性 セ シ ウ ム 吸 収 抑 制 効 果 が 確 認 さ れ た 。ま た 、こ れ ら の 試 験 で は 玄 米 が 増 収 し た こ と か ら 窒 素 吸 収 性 の 向 上 し た こ と が 示 さ れ て い る 。 現 地 栽 培 土 壌 を 用 い た 培 養 試 験 か ら 、 酸 性 改 良 に よ る ア ル カ リ 効 果 に よ っ て 土 壌 か ら 窒 素 無 機 化 の 促 進 が 確 認 さ れ て い る 。牧 草 や 畑 作 物 に お い て 酸 性 改 良 に よ っ て 放 射 性 セ シ ウ ム 吸 収 抑 制 効 果 が 報 告 さ れ て い る が (Nisbet ら 1993)、水 田 土 壌 に つ い て そ の 効 果 は 明 確 に さ れ て い な い 。 天 正 ら (1961) は 水 稲 栽 培 に お い て ア ン モ ニ ウ ム イ オ ン の 共 存 は 、放 射 性 セ シ ウ ム 吸 収 を 促 進 す る と 報 告 し お り 、水 稲 の 特 異 的 に 高 い Cs 吸 収 能 は 、 水 田 特 有 の 土 壌 条 件 に 起 因 す る 現 象 で あ り 、窒 素 源 が ア ン モ ニ ア 態 窒 素 で あ る こ と に も と づ く も の で あ る と し て い る 。 そ こ で 、水 稲 栽 培 に お け る ゼ オ ラ イ ト 施 用 と 酸 性 改 良 で は 両 者 に お い て 還 元 条 件 下 土 壌 に お け る 窒 素 の 挙 動 に つ い て 共 通 点 が あ る こ と が 考 え ら れ 、そ の 放 射 性 セ シ ウ ム 吸 収 抑 制 効 果 に つ い て メ カ ニ ズ ム を 解 明 す る た め に 、ア ン モ ニ ウ ム イ オ ン の 挙 動 に つ い て 着 目 し た ポ ッ ト 栽 培 試 験 を 実 施 し た 。
39 2,材 料 お よ び 方 法 1)供 試 土 壌 福 島 県 伊 達 市 に あ る 2 ヵ 所 の 灰 色 低 地 土 圃 場 に お い て 土 壌 を 採 取 し 、5mm の 篩 い に か け 均 一 化 し た も の を 供 試 し た 。 土 壌 化 学 性 は 表 1 に 示 し た が 、 陽 イ オ ン 交 換 容 量 が CEC9 、 CEC30 と 異 な る 。 各 土 壌 の 放 射 能 強 度 は 2552Bq/kg 、 8240Bq/kg で あ っ た 。 表 1, 供 試 土 壌 の 化 学 性 お よ び 放 射 能 強 度 2)供 試 材 料 ゼ オ ラ イ ト は 福 島 県 飯 坂 鉱 山 よ り 産 出 さ れ た モ ル デ ナ イ ト 結 晶 型 で 、 日 東 粉 化 株 式 会 社 の ケ イ ゼ オ ン ( 粒 系 3.3mm 以 下 6 メ ッ シ ュ ) を 使 用 し た 。 酸 性 改 良 資 材 と し て 転 炉 ス ラ グ( ミ ネ ッ ク ス 株 式 会 社 て ん ろ 石 灰 ) を 用 い た 。 3)試 験 区 試 験 区 は 対 照 区 と し て 酸 性 改 良 無 し の 無 改 良 区 と 、転 炉 ス ラ グ に よ っ て pH6.5、pH7.5 に 酸 性 改 良 し た 区 お よ び 窒 素 多 肥 区 を 設 定 し 、各 区 に ゼ オ ラ イ ト 0.5t/10a(10g/pot) 施 用 区 を 設 け た 。 な お 、酸 性 改 良 区 で は 各 土 壌 に つ い て 公 定 法 で あ る pH 緩 衝 曲 線 法 を 用 い 、目 標 pH と な る よ う に 転 炉 ス ラ グ を 施 用 し た 。カ リ の 施 用 量 は ゼ オ ラ イ ト に 含 有 さ れ る K2O 1%を 加 味 し て 、 土 pH EC CEC 塩基飽和度 放射性Cs
(H2O) (mS/cm) CaO MgO K2O Na2O meq/100g % Bq/kg
CEC9 5.40 0.03 94.55 14.66 4.67 5.43 8.58 57.40 2553
CEC30 5.50 0.06 517.22 134.94 10.31 11.07 32.47 83.31 8240
40 壌 交 換 性 カ リ を 含 め 、合 計 で ポ ッ ト あ た り 0.33g と な る よ う 塩 化 カ リ で 調 整 し 施 用 し た 。 ま た 、 窒 素 肥 料 は 窒 素 多 肥 区 で N 0.50g/pot、 そ れ 以 外 で は N 0.25g と な る よ う に 塩 化 ア ン モ ニ ウ ム で 施 用 し 、 リ ン 酸 は 全 区 に お い て P2O5 0.50g/pot と な る よ う 過 リ ン 酸 石 灰 で 施 用 し た 。 4)栽 培 方 法 栽 培 は 1/5000a ワ グ ネ ル ポ ッ ト で 行 い 、 品 種 ひ と め ぼ れ を 6/9 定 植 し 8/4 の 幼 穂 形 成 期 前 に 茎 葉 を 刈 り 取 り 、 乾 燥 さ せ 分 析 に 供 し た 。 栽 培 期 間 中 (56 日 間 ) は 水 道 水 で 灌 水 を お こ な っ た 。 5)窒 素 無 機 化 試 験 酸 性 改 良 に よ る 土 壌 か ら の 窒 素 無 機 化 量 に つ い て 室 内 試 験 を 行 っ た 。 試 験 区 は 無 改 良 と 、 転 炉 ス ラ グ に よ っ て pH6.5、 pH7.5 に 酸 性 改 良 し た 区 で 、公 定 法 で あ る 水 田 土 壌 の 保 温 静 置 法 に よ る 培 養 試 験 を 実 施 し た 。培 養 温 度 は 30℃ で 、2 週 間 ご と に 8 週 間 ( 56 日 間 ) ま で の 窒 素 無 機 化 量 に つ い て 測 定 を 行 っ た 。 6)測 定 ・ 分 析 方 法 茎 葉 は 自 然 乾 燥 後 2cm 程 度 に 裁 断 し て U8 容 器 に 充 填 し 、キ ャ ン ベ ラ 社 製 の ゲ ル マ ニ ウ ム 半 導 体 検 出 器 に て 放 射 能 強 度 を 測 定 し た 。 3,結 果 お よ び 考 察 栽 培 試 験 の 結 果 茎 葉 の 放 射 性 セ シ ウ ム の 結 果 は 図 1 の よ う に な っ た 。 CEC9
41 の 土 壌 で は 無 改 良 区 で 441Bg/kg で あ っ た が 、 pH6.5 で 222Bq/kg、pH7.5 で 217Bq/kg と 酸 性 改 良 に よ り 放 射 性 セ シ ウ ム 低 減 効 果 が 確 認 さ れ 、pH6.5 と pH7.5 間 で の 有 意 差 は 認 め ら れ な か っ た 。一 方 で 窒 素 多 肥 区 で は 797Bq/kg と 有 意 に 放 射 性 セ シ ウ ム 吸 収 が 増 加 し て い た が 、 ゼ オ ラ イ ト 施 用 に よ り 470Bq/kg ま で 低 減 し た 。 ま た 、 無 改 良 、 pH6.5、 pH7.5 の 各 ゼ オ ラ イ ト 施 用 区 は 352、184、152Bq/kg と な り 、有 意 差 は 認 め ら れ な か っ た が 各 pH 条 件 下 に お い て ゼ オ ラ イ ト 施 用 に よ り 放 射 性 セ シ ウ ム は 低 減 す る 傾 向 に あ っ た 。 図 1, 窒 素 、 酸 性 改 良 、 ゼ オ ラ イ ト 施 用 が 水 稲 茎 葉 の 放 射 性 セ シ ウ ム 強 度 に 及 ぼ す 影 響