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特集「音楽情報科学」の編集にあたって

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Academic year: 2021

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(1)Vol. 43. No. 2. Feb. 2002. 情報処理学会論文誌. 特集「音楽情報科学」の編集にあたって 松. 島. 俊. 明†. 音楽は,他の科学技術分野と比べても早くから計算. 企画を行った.論文募集に対して予想を大幅に上回る. 機の利用・応用が進んだ領域であり,1957 年にはす. 27 件の投稿があり,そのうち,査読者とメタレビュア. でにコンピュータによる自動作曲「 イリアック組曲」. の厳正な査読により,12 件を採録とした.採択率は. が発表されている.このように芸術分野の中では理論 的な解析に馴染みやすい対象であり,計算機の利用あ. 44%となった.当初の予定どおり,論文募集締切から 8 カ月後の 2 月号での掲載と,最新の研究成果を紹介. るいは可能性を試みる領域として,いち早く注目され. することができた.採録が決定した論文は,楽音合成,. てきた.以来,音楽とコンピュータの接点における研. 歌声の生成,音価の量子化問題,リズム認識,演奏生. 究・開発は,実験的な音楽,最近では,エンターテイメ. 成,演奏支援システム,合奏の演奏制御モデル,遠隔. ントやホビー領域として定着したコンピュータミュー. セッション,音楽検索,音楽の知識表現,音楽におけ. ジック領域におけるニーズに答える技術として発展し. る電子透かし,インタラクティブアートなど ,特集号. 続けている.特に,近年のマシンパワーの増大に支え. にふさわしく音楽情報処理に関するさまざまな領域の. られる形で,セッションシステムや演奏ゲームなど イ. 論文を掲載することができた.芸術やコンテンツにか. ンタラクションに関する技術開発もさかんに行われて. かわる領域であるため,情報処理学会の一般的な論文. いる.また,聴覚や認知を考究するため具体的対象と. とは若干質的に異なっている論文もあるが,従来の音. しても取り組まれ,具体的な成果が上がりつつある状. 楽関係の論文で散見されていた音楽用語の誤用や不適. 況にある.. 切な使用法に関しては特に慎重にチェックを行うなど,. このような状況の中,音楽情報科学研究会は 1993. 音楽情報科学研究会の今後の指針を示す論文集として,. 年に発足以来,国内における計算機と音楽に関する研. 結果的に良い特集号が構成できたと考えている.. 究の中心的存在として活動を行っており,年 5 回開. 今回の特集号では,今まで研究会等での研究報告が. 催している研究発表会では 50 件以上の研究発表が行. なかった研究者からの投稿もあり,研究者の開拓とい. われている.このほか,研究支援活動も含め積極的に. う点からも意義深いものになった.不採択となった論. 活動を行っており,1993 年には,コンピュータ音楽. 文の中にもユニークなものがあり,今後の研究成果が. の分野で最も権威ある国際会議である International. 期待される.予想以上の論文が集まったこともあり,. Computer Music Conference( ICMC )の東京開催に. 論文投稿の後押し,研究領域の活性化等の観点からも,. おいて,実質的な開催母体となった.また,1995 年 の作品発表・交流の場として実施しているインターカ. 2 年に 1 回程度のペースで特集号を出していきたいと 考えている.また,音楽関係の論文では,文章や図か らではその価値を判断することが難しい場合があるた. レッジ・コンピュータ音楽コンサートの支援を行い,. め,音や動画等,紙メディア以外での投稿や論文誌へ. コンサート付きの研究発表会として毎年共催で開催し. の付録 CD-ROM の添付等が可能となれば,より効果. ている.さらに本分野の啓蒙活動の一環として,コン. 的と思われる.. 度より,コンピュータ音楽を志す国内の音楽系大学生. ピュータ音楽に関するチュートリアルを 1997 年より. 「音楽情報科学」特集編集委員会. 毎年実施している. このように研究会活動自体は活発である一方で,国. • 編集長 松島俊明( 東邦大学). 内の音楽情報科学に関する論文は,情報処理学会論文 誌および電子情報通信学会論文誌等に分散して掲載さ. • 編集委員( 50 音順) ,片寄晴弘(和歌山大学) ,平賀 小坂直敏( NTT ) ,堀内 譲( 図書館情報大学) ,平田圭二( NTT ). れているため,当該領域における最新の研究成果を概 観するのに不便をきたしている.本特集号は,計算機 と音楽に関連した最新の研究や開発例を一括掲載する ことにより,会員に有意義な情報を提供するとともに, 本分野の研究推進と発展に寄与することを目的として † 東邦大学. 207. 靖雄( 千葉大学) ,間瀬健二( ATR ).

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