目次 体験記 1 平成 25 年度 東京化学コース 体験記 2 平成 25 年度 東京化学コース 体験記 3 平成 25 年度 東京機械コース 体験記 4 平成 25 年度 東京電気コース 体験記 5 平成 25 年度 大阪化学コース 体験記 6 平成 25 年度 大阪化学コース 体験記 7平成 25 年度 大阪化学コース 体験記 8 平成 25 年度 大阪機械コース 体験記 9 平成 25 年度 大阪機械コース 体験記 10 平成 25 年度 大阪電気コース 体験記 11 平成 26 年度 東京化学コース 体験記 12 平成 26 年度 東京化学コース 体験記 13 平成 26 年度 東京機械コース 体験記 14 平成 26 年度 東京電気コース 体験記 15 平成 26 年度 名古屋機械コース ■体験記 1 1.弁理士育成塾に参加するに至った経緯 自分は弁理士試験合格後,実務未経験で特許事務所 に就職しました。事務所では,新人の指導方針やカリ キュラムはありませんでした。また,OJT は,クライ アントが作成した 8 割近く出来上がった案文(クレー ム作成済み)をチェックし,残りを完成させることで, 自分で1 から明細書を作成する機会はほとんどありま せんでした。 そんな状況下,この業界に 5 年近く居るにもかかわ らず,明細書を一人前に書く実力も自信もなく,また, このままでは今後も自分は明細書を一人前に書くこと ができないだろうと思って,弁理士としての将来に不 安を感じていたところ,育成塾のことを知り,参加を 希望しました。 2.弁理士育成塾に参加した感想 (1) 第 1 クールは座学がメインで,クールの途中か ら明細書の読み込みと読み込んだ明細書についての ディスカッションでした。第 1 クールでは,事務所で は一切指導がなかった明細書を書く上で土台となる最 低限必要な知識(審査基準や明細書の記載パターンな ど)を事細かに解説して頂き,また補足的に裁判例を 紹介して説明して頂いたことが,明細書を 1 からほと んど書いたことがない私にとってはとても勉強にな り,明細書を作成するときだけではなく,普段の業務 でも役立ちました。また,公開公報を用いた発明の把 握のし方の実習も,同様にとても勉強になりました。 (2) 第 2 クールでは演習がメインで,提出課題の発 明の内容についてディスカッションしたり,その場で 実際にクレームを作成したりしました。第 2 クールで は,各人が書いた明細書を先生が添削し,それを講義 で解説して頂けたことがとても大きかったです。特に クレーム作成経験が浅い私にとっては,自分が考えて 作成したクレームを先生(ベテラン弁理士からみたら 特集《弁理士育成塾》
弁理士育成塾受講者による体験記
本体験記は平成 26 年 8 月に書かれたものであり,全受講生が受講過程の途中で執筆しています。各執筆 者の執筆時の状況は次のとおりですので,あらかじめご承知おきください。 ・平成 25 年度パイロット版の受講生(文末に H25 ●●コースと記載) 平成 25 年 11 月〜26 年 3 月に第 1 クールの 40 時間,同 5 月〜7 月に第 2 クールの 30 時間,計 70 時間を修了した受講生。 ・平成 26 年度の受講生(文末に H26 ●●コースと記載) 平成 26 年 6 月から開始した第 1 クール(5 時間× 8 回の講義)の途中 5〜6 回(25〜30 時間)まで の講義を修了した受講生。 要 約どう映るのか)が評価して頂けたことがとても大き かったです。また,自分が当たり前だと思っていたこ とや気づかなかったことが,実はあまり好ましいこと ではないことだったと指摘して頂き,大変勉強になり ました。 3.まとめ (1) 各クールを通して,分からないことや疑問に 思ったことを,先生がその場で直ぐに答えて頂けたこ とや自分が書いた明細書案を先生が添削して頂けたこ と,また先生と生徒との距離が近かったことが,育成 塾に参加して特に良かったと感じたことです。 また,育成塾に参加したことにより,明細書を書く 上で最低限必要な知識や明細書を作成する上で重要な 発明の捉え方や明細書の作成のコツ,言い換えれば, 明細書を作成するための基本を学ぶことができました。 さらに,同時期に弁理士試験に合格した仲間とも知 り合いになれたことも大きかったです。 (2) 一方,育成塾で発明の把握のし方や明細書の作 成などを学べば学ぶほど,育成塾の目標(100 時間で 明細書を一人前に作成できるようになる)を達成する のは難しいと思いました。やはり,明細書を作成する にはある程度の経験が必要だと思います。しかし,育 成塾での講義時間と自宅での学習時間を併せて月日に 換算しても,せいぜい 2〜3ヶ月位にしかなりません。 これに対し,一般的な事務所では,クライアントに提 出できる最低レベルの明細書を書けるようになるのに 早くても 1 年位と聞きました。そうしますと育成塾で 学んだだけでは,時間が圧倒的に足りなく,目標を達 成するのは厳しいと思いました。この点が育成塾の今 後の課題だと思いました。 (3) 最後にこの場をお借りして,弁理士育成塾の東 京化学クラスでご指導して頂いた先生,そしてこのよ うな機会を設けて頂いた弁理士の先輩方と育成塾の運 営に携わって頂いた弁理士会の皆様に深く感謝申し上 げます。 (H25 東京化学コース受講生 T.B 氏) ■体験記 2 育成塾を受講したきっかけ 私が育成塾への参加申請をしたのは,平成 24 年に 弁理士試験に合格し,その後,特許事務所に入所し明 細書作成業務に従事して半年位経過した頃でした。そ の頃,明細書作成業務に従事する機会が少なく,この ままでは弁理士登録年数に比べて実務経験が少なくな り,弁理士登録年数から想定される明細書作成能力が ないため,出願人の信頼を得ることが段々難しくなっ ていくと考えていました。また,勤務していた事務所 が少人数で構成されていましたので,繁忙期に他の所 員に迷惑を掛けないように,一日でも早く明細書作成 能力を身に着けたいと考えていました。そのような理 由から,出願公開公報等を読んで自分なりに勉強して きましたが,独学では明細書作成能力を習得するのは 難しいと感じ,明細書作成についての講座を探してい ました。そんな時に,育成塾が開講されることを知 り,是非受講したいと思い,一度も欠席しないことを 条件に,育成塾化学クラスの第 1 クールを受講させて 頂くことになりました。 講義の内容 育成塾の第 1 クールを受講させて頂くことになった と上記しましたが,育成塾は全 3 クールで構成されて います。 第 1 クールは,一回 4 時間の講義が全 10 回で構成 されていました。第 1 クールでは,明細書を作成する 際の基本的な心構えとして,(1)発明を十分に把握し, 明細書中に明瞭かつ正確に記載すること,(2)明細書 中に,出願後の中間対応を考慮して,発明を段階的, 多面的に表現すること,(3)審査に通りやすく,かつ 有効に権利侵害を防止できるようにすることの重要性 について,私では入手出来ないような貴重な資料,審 査基準及び判例等に基づいて教えて頂きました。そし て,具体的にどのようにすべきかについて,講師から 頂いた資料を基に明細書を作成する課題を行う中で, 指導して頂きました。 第 2 クールは,一回 5 時間の講義が全 6 回で構成さ れていました。第 2 クールでは,第 1 クールよりも多 様な分野の明細書案から明細書を作成する課題を出し て頂きました。そして,課題ごとに,先行技術調査を して先行文献で拒絶にならないように明細書を作成し たり,完成度の低い明細書案から発明の抽出を行って 明細書を作成したりして,今後どの分野のどのような 明細書案でも対応できるようになることを目指しました。 現在受講している第 3 クールも,一回 5 時間の講義 が全 6 回で構成されています。第 3 クールでは,これ まで作成した課題から,受講生が苦手としている所を
重点的に教えて頂くことになっています。 育成塾を受講して良かったこと 育成塾に参加して良かったことは,3 クールで合計 100 時間,同じ講師に指導して頂けるため,指導内容 にブレがないことです。また,授業方針は講師の裁量 に任されているようなので,受講生から,問題点や課 題と思っている所を聞いて,授業内容を柔軟に決めて 頂いているので,個々の講義も内容が濃密になってい ます。そして,化学クラスの講師をして下さっている 小野先生は,私のような明細書作成経験がほとんどな い未熟な受講生の稚拙な質問にも暖かく応じて下さい ます。そのため,自分の疑問点を解消できます。 現在,私は,育成塾に参加申請した頃に在籍してい た特許事務所とは別の特許事務所に在籍しています が,特許事務所が変わっても,育成塾で学んだ内容は 役に立っています。第 3 クールが終わるまであと僅か ですが,最後まで講師である小野先生から技能を吸収 できるように努めたいと思います。 (H25 東京化学コース受講生 A.O 氏) ■体験記 3 1 はじめに 育成塾を受講してよかったこと―それは育成塾には 講師と受講生がいたことである。 育成塾は,平成 25 年 11 月 2 日に開講して以来,お よそ隔週の頻度で開かれ,一回の講義は 5〜6 時間に 及び,この間合計して実に 100 時間にも亘るもので あった。 これは,平成 25 年度育成塾東京機械クラスの受講 生である筆者による体験記である。これにより,育成 塾を受講することを考えている方に対し,育成塾とは どのような場で,どのようなことが行われていたのか を少しでもお伝えすることができれば幸いである。 2 育成塾には経験豊かな講師がいること 育成塾には経験豊かな講師がいて,3〜6 人の受講生 に対し,明細書を作成することについて,講師ご自身 の経験に基づいた講義や添削指導が行われた。 (1) 発明の捉え方についての講義 まず,発明の捉え方について講義を受けた。発明を 目的と構成と効果とから把握すること,その上で,例 えば発明者等に対し,どのような姿勢で臨むべきか, 弁理士としてどのような問いかけができるのか,ま た,すべきなのかを教わり,学ぶことができた。 また,弁理士業務に付随する様々な現実的課題に対 し,講師ご自身の経験を基にした教示を頂くことがで きたことも得難い経験であったが,いつどこにあって もぶれることのない物の見方を弁理士たるもの基礎と して身に着けておかねばならないことを知った。 (2) 明細書作成及び添削指導 それから,明細書を作成し,これについて添削指導 を受けた。まず,課題となる発明を提示され,その発 明について明細書を作成する。作成した明細書に対し て添削による指導を受ける。その指導に従って明細書 を修正し,再び添削による指導を受ける。これを 2〜3 周繰り返し,明細書を少しでもより良いものとし,完 成に近づけていく。このような明細書作成及び添削指 導を通して 4 回行った。 課題となる発明の提示は,ある時は既存の特許公報 が題材とされ,ある時は実施製品とこれに付随する背 景技術や従来製品との相違点を講師から解説を受ける 形で行われた。提示された発明について不明な点があ れば,受講生は講師に質問することが推奨される。講 師は,受講生の質問を受けて,更に解説を進める。発 明の理解が深められた。 添削による指導は,用語の選択は良好か不良か,不 良ならばどのような用語が適切か,文や文章の配列は 良好か不良か,不良ならばどのような配列が適切かと いった点から,明細書に記載しなければならいこと, すなわち,説明しようとする発明が適切に表現されて いるか否か,適切に表現されていないとすれば,そも そもどのように発明を捉えるべきであったのかとの点 にまで及ぶものであった。さらに,この添削指導は, あくまで各受講生が作成した明細書の有する文脈に沿 いつつ,もとの記載をなるべく活かす方向において行 われるものでもあった。そのため,各受講生は,それ ぞれの問題点をより迅速かつ的確に知るとともに,そ の問題点を回避するためにどうすべきであったのかの 最良の代替案を得ることができる。もちろん,添削指 導に対しても,受講生は更なる解説を求めることがで きる。 3 育成塾には志を同じくする受講生がいること 育成塾には 3〜6 人の受講生がいて,明細書を書け るようになりたいとの点では同じだったが,当然なが
らそれぞれ境遇を異にする者ばかりであった。しか し,それぞれの境遇が異なることは,講義での議論は 勿論として,その後に自主的に行われる反省会におい ても大いに刺激となった。わからないなりにも互いに 議論を交わしたことは有益であったように感じる。 また,ある受講生によって作成され,講師によって 添削された明細書は,他の受講生も閲覧することがで きるようにしていた。これにより,他の受講生が作成 した明細書を参考にするとともに大いに励みとするこ とができたように思う。 4 おわりに 育成塾を受講して明細書が書けるようになったか? ―そう問われれば,わからないというほかない。しか しながら,明細書が何たるかの片鱗は知ることができ たように思う。むしろ学んだことのあまりに多さに, 自身に身についたことの少なさを只々嘆くばかりでも ある。とはいえ,育成塾で学んだことを忘れずに今後 の業務へ活かしていきたい。 最後に,熱心にご指導いただいた講師の中山伸治先 生,育成塾でともに切磋琢磨した受講生の皆様,そし て,このような場を用意して下さった弁理士会の方々 にお礼を申し上げて結びとする。 (H25 東京機械コース受講生 T.H 氏) ■体験記 4 1.受講動機 弁理士育成塾モニター生募集開始当時,私はメー カーの研究開発部門に勤務しており,本部長の直属と して発明創出部門内での特許活動の改善に取り組んで いました。弁理士試験合格を機に異動して,この業務 を担当するようになって 1 年強,手応えを感じながら も,まだまだ取り組むべき事柄が山積みだとも感じて いました。 そのなかで,特に力不足を感じていたのが,明細書 です。過去に出願済の案件を読んで,宜しく無い部分 は判るのですが,どう書くべきだったのか,その為に は発明者サイドとして知財部門および事務所にどう働 きかけるべきだったのかを示せません。今後の出願を 改善するためには,単に過去の出願の問題点を指摘す るだけではなく,改善策を明確にする事が必須だと感 じていました。 そんな時に,弁理士育成塾モニター生募集の案内を 読み,ベテランの先生方から直接明細書の書き方の指 導を受ける事は,このまま企業勤務を続ける上でも有 効なスキルになると考え,受講を申し込みました。 2.育成塾の内容 明細書作成の指導方法の定石はまだ無いようで,講 師の先生によっても,またクラスの受講生の構成に よっても,指導方針や進め方は異なります。したがっ て,以下に紹介するのは,東京電気クラスの三谷塾の 事例です。 開講当初にまず教えていただいたのは,明細書のス タイルは一つでは無いという事です。出願人の意向, 技術分野,発明の内容,期限,費用等の様々な事情に 応じて,少なくとも 3 通り,できれば 10 通り位のスタ イルを自由自在に使い分けられるのが本当のプロ フェッショナルだとの事です。 その後,電子出願以前の昔の明細書を出願人の発明 提案書に見立てて,現在のスタイルの明細書に仕上げ る,実際の拒絶理由通知を読んで意見書と手続補正書 を書くなど,色々な題材を使って実習を行っていま す。書いたものについては,三谷先生に講評していた だくだけでなく,受講生間でも意見交換をしていま す。この時に,「もしもこう書いたらどうなる?」「何 故こう書くと良い?」などの疑問を遠慮なく投げかけ あう事で,色々なスタイルの書き方,考え方があると いう事の理解が深まります。 また,例えば手土産の選び方,お客様との付き合い 方,困った時の対処方法など,少人数で顔を合わせる スタイルならではのお話を色々と伺っています。 3.転職 ところで,今年の 1 月に,上司の定年退職と大幅な 組織変更があり,私自身も異動しました。本題とは無 関係なので詳細は控えますが,2 月には具体的に転職 を考えるようになり,縁あって 6 月 1 日より特許事務 所に勤務しています。 初めての転職,しかも大企業から特許事務所とい う,環境を大きく変える転職なので心理的なハードル は高かったです。しかし,実際に私が書いた文書を読 んで指導して下さっている三谷先生から「数をこなし て経験を積めば,独立しても十分にやっていけるレベ ルになれる」と言っていただけたことで,一歩踏み出 す勇気を持てました。
育成塾に参加していなければ,今でも意に沿わない 職場に勤めながら,あちこちで愚痴をばらまく無為な 日々を過ごしていただろうと思います。三谷先生と, 弁理士会,そして現勤務先には,大変感謝しております。 4.受講を検討している方へ 3 クール合計で 100 時間。同じだけの時間を自宅学 習に充てたとして合計 200 時間。これは,1 日 8 時間, 週 40 時間勤務で5 週間分に相当します。未経験で特 許事務所に勤務して,明細書作成実務 5 週間という と,一人前には程遠いでしょう。実際,私は 6 月に転 職して 3 か月が過ぎましたが,まだまだ一人前どころ か半人前にもなっていないのが実態です。 つまり,単に育成塾を卒業しただけで,未経験者が 一人前の明細書作成者になれる訳ではありません。入 口を一歩入って体験してみるという程度に捉えるのが 正しいと思います。 最後に,育成塾への参加をお勧めする人,しない人 について私見を述べます。 (1) 育成塾への参加をお勧めしない人 a)30 代までの人: 特許事務所に勤めてみて,適性が無いと判った ら,もう一度転職しなおす時間的余裕があります。 b)特許事務所に転職すると既に決めている人: 転職して OJT を受けた方が早いです。未経験 での転職は若い人の方が有利なので,1 年間育成 塾を受けてから満を持して転職しようと思うと 却って不利になるかもしれません。 (2) 育成塾への参加をお勧めする人 a)40 代以上で,特許事務所に転職するかどうか 迷っている人: 実際に明細書を書いて,ベテランの先生に見て いただく事で,転職してやっていけそうかどうか 判断をつけられます。 b)即独(実務未経験で独立)した人。事務所勤務 だが,OJT を受けられない人: 弁理士会が,育成塾のターゲットとして想定し ている人です。 (H25 東京電気コース受講生 A.M 氏) ■体験記 5 私は,明細書作成実務に関しては,ほとんど 0 から のスタートであり,受講前は,期待半分,付いていけ るかどうか不安半分でした。 第 1 クール開始時は,先生の説明と他の受講生の発 言を聞いているだけで,全く発言できず,ノートを取 るのに必死でした。しばらくは,毎回一週間前に出さ れる課題の予習,及び,講義後一週間以内に提出しな ければならない宿題をぎりぎりで処理する日が続きま した。 大変でしたが,このサイクルを繰り返していくうち に,明細書を作成する上で,どの点に注意すべきかが, 段々とわかってきました。先生の説明が非常にわかり やすく,また,的外れな質問にも丁寧にお答えいただ けましたので,疑問に思っていることがどんどんクリ アになっていきました。 私たちは,モニター生として受講していますので, 先生方も手探りで講義を進められているようですが, 当クラスの先生からは,毎回,明細書作成の宿題を出 していただいており,講義では,各受講生が作成した 明細書を使用して,審査官側及び出願人側に分かれ て,意見を主張し合うということも行われています。 これにより,明細書作成における留意点や拒絶理由通 知が発せられたときの対処方法など,より実践的な経 験を得ることができていると思っています。 また,それとは別に,クレーム,実施例・比較例, 判例等に絞った課題が出され,講義において,問題点 等を議論し合うということも行われますので,化学分 野特有の留意点,審査時及び権利行使時における有 利・不利,といった知識が蓄積されていきます。 当クラスの受講生は一人も途中でやめることなく, 第 3 クールに進んでいます。 資料が多いため,復習が追いついていないことが気 がかりですが,これだけ熱心に教えていただき,先生 には心から感謝しております。 (H25 大阪化学コース受講生 K.H 氏) ■体験記 6 (1) 育成塾を受講した理由 育成塾を受講しようとした理由は,会社における OJT が充実していないためであり,弁理士として基本 的な明細書作成能力は不足していると感じていたため です。また,現状の会社では出願実務については,あ まり重視されておらず,活用面について重視されてい るために,内作で明細書を作成してもチェックしてく れる方はおらず,自己流になってしまっていると感じ
ていた。出願実務の第一線でご活躍されている先生に 一から教えて頂ける機会を望んでいたために,育成塾 の開講に関する案内を見た時は非常に感動し,更に細 田先生が講師をして頂けることから,即座にモニター 生に応募した。運良くモニター生の選考に選ばれたこ とは,今後の人生を考えると良かったと感じている。 (2) 育成塾第一クールについて 育成塾の第一クールでは,クレームの作成,実施 例・比較例のあり方,明細書の本文の記載方法等の基 本的な事項を学ぶことが出来た。細田先生は,企業に 勤められ,企業内の知財部にも在籍されていた経験を お持ちである。このため,企業側から見た知財目線を 持っておられる先生であり,授業内にもそのような内 容が取り込まれていた。クレームの作成については, 権利活用までを考慮した文言の使い方やクレームの作 成方法について学ぶことが出来た。一つ一つの文言が どのように解釈されるのかを事例を交えて学ぶことが 出来た。実施例・比較例のあり方については,事例を 交えてなぜこの実施例・比較例が必要なのかを学ぶこ とが出来,実務において直ぐに役立つ内容であった。 特に実施例・比較例を作成する際に一番重要で必要な 実施例は何かを見極めるテクニックを学ぶことが出来 た。明細書の本文の記載方法については,実際の事例 を紹介しながら,どのような記載とすべきかを学ぶこ とが出来た。また裁判例を通じて,どのようなクレー ムとすべきか,明細書の記載はどのようにすべきかを 学ぶことが出来た。 (3) 育成塾第二クールについて 第一クールで学んだことを活かして,第二クールで は実際の明細書作成の数を熟していくことに重点を置 かれていた。先生からの課題に対し,実際に明細書を 作成し,先生の赤ペンが入った原稿を返して貰う。コ メントが入った原稿を見ると,間違っていた部分や改 善点が明確になり,すごく勉強になったと感じてい る。また,作成した明細書を使い,3 人のチームに分 かれて,対立構造(審査官,出願人)により中間対応 を行う講義もあった。自分の作成した明細書では審査 官からの指摘や出願人からの要望に対して答えること が出来るのか,出来ないのかがその場で分かり,どの ように改善しなければいけないのかを学ぶことが出来 た。課題として作成した明細書は,一人が取り纏め て,次回の講義では取り纏めたものを見ながら講義を 受ける。他の人がどのように作成しているのかを見る ことが出来,自分に取り入れるべき点が何かを知るこ とが出来,すごく参考となった。第三クールも頑張っ ていきたいと思う。 (H25 大阪化学コース受講生 A.S 氏) ■体験記 7 育成塾を知ったきっかけは,日本弁理士会主催の平 成 24 年度弁理士試験合格者の祝賀会の席上のことで した。古谷会長から,新しい知の承継のための仕組み を作り,世界に出ても恥ずかしくない立派な弁理士を 育成する仕組みの構想が明らかにされ,その理念に感 銘を受け,できれば参加してみたいとの思いをいだき ました。 後日,育成塾のパンフレットを拝見したところ講師 に,よく見たことがある名前を見ました。 日々業務で活用させていただくことがある「化学・ バイオの出願戦略」の著者でいらっしゃる細田芳徳先 生にお会いできるかもしれないと知りました。 奇跡的に高い倍率の中でも運よく拾っていただき, 今回受講させていただきました。 現在,受講中で課題も毎回細かくチェックをしてい ただけることに加え,先生の著書やこれまで蓄積され た分かりやすい説明資料を用いて,丁寧にご教授をい ただいております。 以下にあげる先生の言葉はほんの一部かもしれませ んが,主なものをご紹介します。 まず,細田先生は,企業知財部から独立して特許事 務所を開設されたというご経歴,ご経験からのアドバ イスがありました。 例えば,企業から依頼する特許担当としても,でき るだけ完全な明細書作りをすることを心がけ,それに より事務所からさらに高い完成度を引き出すことがで き,しかも何より自分の力の向上につながります。 顧客サイドに立った視点にも立ち,例えば,共同出 願であればどの範囲を出願することが将来的に紛争が 生じにくいかや,自社開発技術が有利に営業を展開で きるか,という企業戦略にまで踏み込まれることもあ ります。 細田先生の方針として,全 3 クールを,基礎編,実 践編,仕上げ編とし,また各回の講義を 4 つのパート に分割し,第 1 クールであれば,基礎的事項,書く練
習のための演習,発明把握を考えるための演習,実施 例と比較例を検討する演習形式,とメリハリをつけま すので,リズムよく,それぞれの関係が有機的につな がって知識と成るように感じます。 講義では,一方的な授業だけでなく,クラスを 2 分 して対立構造をつくり,審査官側 vs 出願人側,若し くは原告 vs 被告,という状況の中で,自分達が作っ た明細書がどのような結果を生み出すのかを想定して 演習が組まれ,そしてリアルタイムに細田先生から, あるべき方針を示されます。そのため,とてもよく理 解でき,身にしみる思いです。 もちろん,細田先生は,塾生の質問にはとても親身 に耳を傾けていただき,丁寧にご回答をいただけるた め,クラスは真剣でありながら,質問がしやすいアッ トホームな雰囲気で進行します。 また,細田先生は,多種多様な職務がお忙しいにも かかわらず,驚くべきことに,育成塾の演習時間後に は,本育成塾生にお声かけをいただき,番外編を居酒 屋で開催し,演習の続きや,消化し切れなかった内容, 細田先生の弁理士としての考え方,心構えなどをユー モアと共に,共有いただくことが,たいへんありがた いです。 今回,このような貴重な自己研鑽の機会をいただく ことができまして,日本弁理士会,育成塾の関係者に は心から,感謝申上げます。ありがとうございます。 (H25 大阪化学コース受講生 K.K 氏) ■体験記 8 大阪機械クラスでは,権利書として強い明細書作成 をテーマに勉強しています。概要としては,実際の裁 判例のうち,特許権者側が負けたものを題材としてい ます。裁判において明細書中のどのような記載が争点 になり,どのような判断をされて負けたのかを確認し た後,これらの反省点を踏まえて同じ発明について明 細書作成に取り組むことで,裁判で負けない明細書ス キルを磨いています。講義は少人数制のため,先生の 話を一方的に聞くだけでなく,生徒も積極的に発言を します。クラス全体でディスカッションをしながら進 めていく講義ですので,多様な意見があり,自分にな い発想から学ぶことが多々あります。特に,多様な意 見を聞くことで,自分の考え方が無難なものである か,独特なものであるかの物差しにもなり,何気ない 疑問点などもどんどん解決していくことが嬉しいで す。このように,生徒も積極的に参加しますので,土 曜半日(5 時間)という長丁場でも,あっという間に終 わってしまいます。 第一,第二クールを通して,これまで6 件の明細書 を作成しましたが,先生の熱心なご指導とハードな課 題のおかげで,一件こなすごとに着実に良い明細書が 作れている実感を持っています。また,明細書作成に 必要な各種作業についても要領良くこなすことができ るようになりました。明細書作成の流れとしては,① 先行技術調査,②対比表の作成(発明の把握),③ク レーム作成,図面作成,④明細書作成の順に取り組ん でいます。当初はそれぞれの作業に数時間,トータル で 10 時間以上かかっていましたが,最近ではトータ ルで3〜4 時間で最低限のものは作成できるようにな り,育成塾に入塾した当初と比べると格段にスピード アップしました。第三クールでは総仕上げとして,明 細書の記載の詳細な部分までケアしていただけるとの ことで,更なるスキルアップができることを楽しみに しています。 講義が終わった後も大変有意義です。先生や他の生 徒と食事をしながら,講義中とは少し違う雰囲気で ディスカッションできる機会があります。講義とは関 係のない内容でも気軽に質問できますし,なにより, 先生の貴重な経験談を聞かせていただいくことができ ます。 育成塾は,隔週土曜のスケジュールが埋まってしま いますし,課題もハードです。しかし,明細書スキル のレベルアップや,先生・他の生徒との交流など,大 変なこと以上に得られるものがあると感じています。 (H25 大阪機械コース受講生 Y.H 氏) ■体験記 9 何事を学ぶにしても,基本をしっかりマスターする ことが重要ということは言うまでもありませんが,本 講座を通じて学ぶことができた点は,大きく以下の 3 点にあったのではないかと思います。 (1) 大局的思考 (2) フォーカス思考 (3) 戦略的思考 まず,(1)の大局的思考とは,発明の本質をどう捉 えるかを思考していくことですが,先行技術と対比し て本発明は一言でどういう特徴あるのかを大まかに掴 む訓練をしていきます。最初は先行技術の選定等に手
間取ったりして大変でしたが,何回か繰り返すうちに コツがわかってきます。 続いて(2)のフォーカス思考とは,前記発明の本質 (上位概念的なもの)を細部(下位概念)に落とし込む 訓練をしていきます。ここで重要なことは,上位概念 を抽出するにあったての言葉の大切さを学びます。つ まり権利行使の段階においては,前記上位概念化が上 手くできていないために,せっかく特許権を取得して も権利行使できなかったという事案をたくさん検討し ていきます。これによってファーストクレームの記載 がいかに大事なものであるかということが実感できます。 さらに(3)の戦略的思考とは,10 年後,20 年後を 見据えたクレームの立て方を検討して行きます。つま りクライアントの経営方針にあったクレームの選定と は何かという事を学びます。 上記をまとめますと,クレーム作成とはただ単位に審 査を無事通過させることが目的ではなく,強い権利を 取得するにはどう記載すべきかといことを本講座を通 じて掴むことができるのではないでしょうか。 (H25 大阪機械コース受講生 M.N 氏) ■体験記 10 1.はじめに (1) 私は電機分野の明細書作成の経験はありません でした。このため,この分野の明細書を作成したり, 解読したりする勉強を始めるためのキックオフ的なも のとして,弁理士育成塾に申込みました。正直なとこ ろ申込み時点では,塾で出される課題はしょせんバー チャルであるから,実践を踏まなければ明細書をリア ルに作成できることにはならないだろう,というふう に感じていました。 (2) しかし,第 3 クールに突入した今は,本塾の講 義は非常に実践的なものだと感じています。そして, 本塾の自分なりの総括として,明細書作成において自 分の熱意を出願人へ伝える,といった結論を感じてい ることは意外です。 2.実践的な訓練 (1) 例えば,このクラスでは第 2 クールあたりか ら,模擬発明者(講師)と各塾生との一対一での模擬 的なインタビューを行うところから,課題をスタート させています。模擬発明者の設定は,講師の経験に基 づくものと思われ,リアルです。塾生は発明者(また は経営者)の事業を想定した上で,その場でどのよう な出願(権利範囲など)を提案できるのか,そしてイ ンタビューの中で発明の内容(進歩性など)をどのよ うに把握するのか,といった訓練をします。 ときには,塾生を困らせるような質問をぶつけてく ることもありました。たぶん,講師の経験したリアル な失敗を塾生にぶつけているのだと思います。 講師からは,出願人の意図をどのように引き出すの か,そして出願の方針や法的知識をどのように出願人 に説明するのかのテクニック,さらには失敗談を教え ていただきました。 (2) それと同時に,明細書作成に必要と思われる知 識として,電機分野の審査基準,新規性・進歩性,先 行技術調査の方法および拒絶理由の対応などの講義と 訓練を行います。 例えば,想定される拒絶理由(プログラムの発明の 成立性など)の把握は,明細書を作成する上で必要だ と思います。特に,電機分野の審査基準は他の分野と 少し異質なところがあります。講義では,コンピュー タソフトウェア関連の審査基準(CS 審査基準)の改 正の背景や,講師の明細書の記載ぶりの変遷などの説 明がなされ,その上で,塾生が作成したクレームと CS 審査基準を対応させた説明があります。 このため,自分で作成したクレームを CS 審査基準 に基づいて,深く理解することができますし,クレー ムを出願人に理解できるように説明することについ て,いくらか自信がつきました。 (3) そして,クレームおよび明細書の内容ついて塾 生間で討論し,各塾生が明細書を完成させ,その明細 書について講師から講評を受けます。当たり前のこと ですが,いい加減だったなーと思う部分には,みんな からつっこみが入ります。 例えば,出来上がった明細書について,模擬発明者 (講 師)と 各 塾 生 と の 一 対 一 で の 模 擬 的 な イ ン タ ビューを行います。そのインタビューでは,出願の方 針や記載ぶりなどについて,なぜそのように記載した のかを出願人から質問されます。 これにより,出願人を意識した明細書作成の重要性 を今まで以上に実感できました。
3.将来に向けて感じること (1) 弁理士育成塾を通じて,明細書の作成に必要な 経験とは,実際に明細書を作成している段階だけでな く,その前(あるいは後)の出願人との対話の段階を も含む広い概念であることを明確に感じるようになり ました。発明をどのように把握したのか,出願につい てどのような提案をしたのかによって,作成する明細 書の内容が大きく変わると思うからです。 (2) このクラスでは,明細書を作成する能力を出願 人との関係をリンクさせた上で行っているところに特 徴がありました。例えば,出願人を意識した実践的な 講義により,各塾生は作成した明細書(発明の把握や 出願)や,習得した関連知識(CS 審査基準など)につ いて,出願人への説明を意識付けられているからです。 (3) このような実践的な訓練の繰り返しにより,出 願人を交えて,発明について一緒に考えていきたいと いう熱意が,以前にもまして自分の中で強く湧いてく るようになりました。このような想いを説得力を伴っ て出願人に伝えることの重要性を感じ,それについて いくらか自信が持てるようになりました。 今は,育成塾で得られた情熱的な想いをクライアン トや発明者が享受したいと思うように,どのように発 展させるのかについて,具体的に考えています。 (H25 大阪電気コース受講生 S.N 氏) ■体験記 11 技術的バックボーンとして化学を持っているけれど も,実際に化学系(材料系)の明細書を作成する機会 を充分に得られず,指導を得ることができる環境にも なく,けれども材料系の明細書作成に沢山携わりたい と思い,育成塾に応募しました。 講義は演習形式で毎回課題を得ます。講義の回数を 重ねるにつれて,クライアント様からの提案書のよう な形式で,ひととおり明細書作成を考えるような課題 を用意していただけます。これに対して,仮に本当に 今この提案書をクライアント様からいただいたなら, クライアント様からの評価を得ることができる品質の 明細書案を作成したい,という思いで取り組む機会を 継続的に得ることが,楽しみになってきました。 講義は基本 2 週に 1 回開催され,2 週間の間に,前 回講義の復習に約 1 週間,次回講義の予習に約 1 週間 を費やすペースで進みます。この体験記原稿を作成し ている現在は,全 3 クール予定されているうちの第 1 クールの終盤ですが,このペースで最後の講義まで続 けていけば,1 週で明細書 1 本を作成できるような手 応えを得ることができるでしょうか,楽しみです。 また,塾生の皆様の出自も様々です。ですから,「明 細書を作成できるようになる」目的は皆の共通項だと 感じているのですが,それぞれ異なる習慣を持ってい て,同じ課題に対してでもそれぞれ視点が異なり得ま す。私自身は,特許事務所に接する機会を持ってい て,その習慣を当たり前だと思いがちです。塾生の皆 様と一緒に討論できる講義では,自分の偏りに改めて 気付くことができ,楽しいと思います。 また,折角の研修機会ですから,実務を離れて思い 切った明細書案を遠慮なく立案できます。そして,皆 様の異なるバックボーンに接しながら,皆様の異なる 視点を交えて遠慮なく討論できます。私は,今回のこ の育成塾を通じて初めてこのような機会を体験できま した。やはり,このような機会を求めることは,大切 なことだったのだと改めて感じています。 また,育成塾のような機会でないとなかなか難しい と感じることは,(実務とは異なる)講義という形式の 中で,経験豊富な講師の先生からいろいろな場面での 実際的なご助言をいただけることです。今まで自分な りに思案しながら,なんとなく行っていたことが明確 になり,自信につながります。今までの実務経験を基 に,さらに実務スキルを発展させる手がかりを得るこ とができます。質問すれば大概は回答をいただける頼 りがいを身近に感じることができ,安心できます。 参考までに,今回の育成塾で課題としていただいて いる事案は,想像していたよりも実務に近い案件で す。課題に取り組むために技術的背景や先行技術文献 を検索しますが,その度にかなり近い文献に的中して しまって驚きます。ですから,上述した仮にクライア ント様から出願等のご提案をいただいたとしたら,一 定の評価を得る明細書案を作成できる少しでも多くの 自信を,今後どれくらい得ることができるのか楽しみ に思っています。また,折角いただいた弁理士として の成長につながる貴重な機会を,大切にしなければな らないと思っております。 (H26 東京化学コース受講生 N.N 氏)
■体験記 12 1.育成塾を受けるまで 平成 25 年度に弁理士試験に合格して,実務修習を 終えた私が最初に感じたのは,「このままでは,実務経 験が足りない。明細書書くこともおぼつかない」とい うことです。企業の開発部門に所属しているので,特 許出願の発明提案や,原稿のチェック,拒絶理由の技 術的な対応は経験がありました。 しかし,最初から明細書を書いたことがなく,出願 手続きを完了するという実際の手続きは知財部任せです。 実務修習の講師の方々からも,出願明細書作成にし ろ,特許調査にしろ,実務を通じて自己研鑽を続けな ければならないと説明されました。 そこで,育成塾の資料を見て,まず出願明細書作成 に挑戦しようと思いました。 2.最初の講義 最初の講義は,講師の方からまず明細書の書き方に ついての講義と,討論を行いました。2 回目以降は, 各自の宿題発表と講評と討論という形になっています。 討論は,3 チームに分けて,一つのテーマについて 意見を述べ合い,その結果を集約し,意見が分かれた ところについても,なぜ意見が分かれたか発表しました。 テーマは,一見とても簡単なようですが,文章にす るのはとても難しいことでした。 さらに,講義の終わりには,弁理士会会長のご挨拶 があり,一人一人握手されました。期待の高さがうか がえますが,「えらいところに来てしまった。」という のが最初の講義の感想でした。 3.第 6 回目の講義(提出時) 講義の終わりには,宿題がでます。これは 1 週間か けて考えることができますが,私は,いつも提出期限 ぎりぎり,月曜日朝にメールで提出します。 もう一つ,水曜日に来る宿題は,3 日半で作らなけ ればなりません。新幹線の車内と,会場近くのカフェ で,開始直前まで宿題をやっています。 宿題の講評では,書類としてまとめること,明細書 に必要な用語,読点の打ち方,図面の説明などが不備 も指摘されます。私の場合は,特にその点が弱く,課 題を通じて学ぶことができます。 また,定義付け,技術内容,どこが特徴かというこ と考えて討論することは,とてもレベルの高くしか も,すぐに実際の業務で応用できるものばかりです。 さらに,特許のグローバル化を進めるうえでも,日 本国のみ出願と,PCT,欧,米,中国に出願する時の 明細書の記載の違いについてもアドバイスをいただけ ます。 討論では最初は,お互い遠慮がありましたが,よう やく遠慮がなくなってガンガンやりあうようになりま した。このような議論は,日常業務ではほとんどでき ませんのでとても貴重です。 月 1 回は,討論の延長戦(?)と親睦を深めるため に,会場近くの居酒屋へ行きます。 地元の高校野球や趣味の話とか,家の近所(焼きそ ばで有名)の話をしますが,そのまま地域団体商標の 主体要件へ行くのが,さすが全員弁理士です。 討論の延長戦は,「まじめな話ですが・・・」断りを 入れるのが,パターンです。たいてい最後は笑いにつ ながり,楽しく過ごせます。 4.まとめ まだ,第 1 クールも途中で,書ききれなかった貴重 な体験もまだまだあるのですが,体験記としてはここ までにいたします。この後,第 2,第 3 クールは,平成 26 年法改正も視野に入れたより実務に近い討論もあ るらしいので,今から楽しみです。 ここで学んだことで,出願明細書がある程度かける こと,さらに実務を通じて会社と社会に少しでも貢献 できるようになればいいと考えております。 (H26 東京化学コース受講生 T.H 氏) ■体験記 13 独学で明細書を作成できるようになるのは不可能だ と思い育成塾に申込みました。 身近に指導者がいないので,実務修習の資料や市販 されている参考書を読み,いくつか明細書を書いてみ ました。しかし,書いてもどこが悪いのかもわから ず,また具体的な目標もないため,一人で明細書を書 き続ける気力は長くは続きませんでした。 それならばと思い,いくつか明細書作成に関する通 学講座を受講しましたが,受講生の人数が多いので個 人的な指導は受けられず,そのうえ短期間でしたので 明細書作成技術の向上は感じられませんでした。 育成塾の場合は約 1 年間継続して指導を受けられま
す。少人数(6 名)ですので個人的な指導を受けられ ますし,講義中に疑問に思ったことはその場で納得が いくまで質問することができます。 講義は座学ではなく,実践的に明細書の作成に取り 組む形式を採用していますのでOJT の機会も得られ ます。 特に,それぞれの塾生の考え方を参考にできること が得難い機会だと感じています。例えば,講義中に課 題を与えられその場でクレームを作成するときなど は,それぞれの塾生の発明へのアプローチや文章表現 の試行錯誤などを目の当たりにすることができ,自分 自身をブラッシュアップするための多くの手がかりを 得ることができます。 明細書などの文章量が多い場合でも,課題として与 えられ考え抜いて作成し,まだ頭に焼き付けられた状 態で他の塾生が書いたものと自分の明細書とを比較す ると,自分が書いた明細書の良し悪しを明瞭に把握す ることができます。また,どのような考えに基づいて 明細書を書いたのかを他の塾生本人から聞くことがで き,それに対する講師の指導も聞くことができます。 さらに,自分の書いた明細書やクレームについて,講 師からの指導はもちろんのこと,他の塾生から意見を 聞くこともできます。 このように,塾生が 6 人いれば 6 人分の試行錯誤が できるので学習効率が高いと感じています。 「5 年で 100 通の明細書を書く」。これが一人前にな るための条件だと知り合いの弁理士に聞いたことがあ ります。育成塾の研修期間は約 1 年ですが,6 人分の 経験を積むことにより 1 年で明細書が書ける弁理士に なれるのではないか,という期待が持てるのも育成塾 の魅力だと感じています。 (H26 東京機械コース受講生 T.N 氏) ■体験記 14 まだ課程の中途ですが,これまでの講義だけでも能 力は向上していると感じています。 応募した当時は受講料の関係もあり,選別で落とさ れてもそれでいいと思っていました。しかし,今では 満足しています。非常に貴重な勉強をさせていただい ています。 事前の印象では,育成塾と銘打っていることから, 単純に講義のみでなく,実戦形式で,技術を磨いてい く形と思っていました。個人的には,毎回クレーム・ 明細書を事前に,又は講義の中で塾生が自ら作成し て,それに対して指導いただけるとよいなと思ってい ました。それも折角なので,多少負荷がかかる程度の 分量を望んでいました。 実際,ほぼそのような形で塾は進行して行きます。 当初,力量不足から,いきなり出願書類一式を形にす ることは無理もありましたが,受講を重ねて,クレー ム・明細書各項目の記載方法,文章構造の整え方,用 語の使用方法など,多少つかめてきたようです。 クレーム・明細書の作成には,まず発明の把握,展 開があり,ここが要諦になりますが,これを丁寧に練 習させていただきました。後々,この部分がポイント になっていくことと思います。 そして,明細書作成上のテクニック的な事項,各分 野でのポイント,先生の経験談なども披露いただき, 時間を感じさせないほど充実した指導を受けていま す。講義は月に 2 日。1 日正味 5 時間と十分な長さに なっています。 おそらくクレーム・明細書作成は,骨格となる形を 身に付ければ,ある程度,分野・ジャンルが異なる発 明でもこなせるようになる気がします。もちろん,各 分野で特に有する明細書作成上のスキル・技術を理解 することは当然必要ですが。それも骨格となる形があ れば大丈夫ではないかと感じます。 発明の把握に関しては,先生によるポイントの絞り 込み,その展開例に毎回感嘆しています。ここが弁理 士業における奥の深いところかもしれません。発明の ポイントを掴む。そして,とにかく可能性は広げる, 思考は広げる。その上で,どこまで記載するかを検討 して,クライアントとすり合わせる。 資格試験で勉強した条文やその解釈。もちろん重要 です。しかし,当然,一定レベルそれを知っているこ とは最低条件になりますが,弁理士の存在意義,持つ べきスキル・技術,資質,思考過程,望まれる能力, 態度。そういったものは何か。それを勉強させていた だいている気がします。 塾を修了したからといって,それだけで一人前にな ることは難しいかもしれません。しかし,弁理士とし てやっていく土台のようなものを,この育成塾をとお して身に付けていける。こう思っています。 なお,講義では,各塾生の作成したものも各々参考 にして,勉強していきます。また,グループに分かれ
て課題の検討も行います。他の塾生から学ぶところも あります。また,理解が遅れないようにがんばること にもつながっています。 (H26 東京電気コース受講生 H.S 氏) ■体験記 15 1.弁理士育成塾の受講の動機 企業では,知的財産業務に従事しておりましたが, 外部の特許事務所に特許明細書の作成を依頼していた 関係で,クレーム案の作成や明細書原稿のチェック等 の経験はありますが,特許明細書を初めから作成した 経験は全くありませんでした。 世の中には,「特許明細書の書き方」と題する書籍が 数多く存在しますが,主に審査基準や出願手続を基底 として解説したものに過ぎず,明細書がある程度に書 けるようになった者が対象者であり,明細書を書いた 経験が全くない者や,外部の特許事務所が作成した明 細書原稿を単にチェックした程度の経験しか持ち合わ せない者にとっては,何ら十分なものではありません でした。 2.弁理士育成塾の特徴 育成塾は,明細書の作成に特化した演習を指導する 少人数制の研修スタイルを採用しております。 私が受講した名古屋機械コースは,最少催行人数で ある 3 名ですので,あたかもマンツーマンのごとき講 師の指導を享受でき,結果的には極めて幸運でした。 また,少人数であるがゆえに,疑問点,質問等に対し ても,講師から即座に回答を得ることができ,疑問を 直ちに解消できるメリットがあります。 3.体験の内容 講義の内容は,いわゆる OJT を基本にしたもので あり,極めて実務的かつ実践的です。明細書作成につ き実務経験の豊富な講師が,自身の経験や明細書作成 の考え方に基づき,実際に明細書を作成していく手順 に沿って明細書作成を演習形式で行います。そして, 講師がこの演習結果についての対応等を講じます。 具体的には,与えられた課題に基づいて,明細書, 必要な図面を作成します。これに対して,講師から修 正点の指摘や,留意点等の解説がなされます。さら に,明細書等の修正を行いつつ,明細書等を歩一歩と 着実に完成させていきます。この過程において,講師 や他の受講者を含めたディスカッションにより,発明 の把握の仕方や明細書作成のポイントを習得すること となります。また,他の受講生の作成過程における明 細書の内容も開示されますので,これらと自己のもの とを比較検討することにより,着目点の相違や誤りに 気づかされ極めて参考となります。 さらに,種々の種類の明細書の作成が体験できるよ うに,変化を持たせて課題が選択されており,多くの 種類の発明に活用できるものと期待しております。 4.その他 約 1 年間 3 クール,100 時間と短期間の研修ですが, 各課題について別途宿題が課されますので,100 時間 の受講時間以外にも相当の時間を必要とします。 研修後の個人的な時間には,特許事務所の経営の実 態や弁理士業界の状況等につき,建前ではなく実意の 情報を得ることができ,特許事務所の運営や活動およ び弁理士活動について極めて貴重なアドバイスを得る ことができます。また,受講者間においても種々の情 報交換ができ有意義です。 5.感想 未だ,第 1 クールの 4 分の 3 しか経過していない状 況での体験記ではありますが,今後の第 2〜3 クール と経験していけば,十分なレベルの特許明細書が作成 できるのではないかと期待を抱かせてくれます。 研修の具体的なカリキュラムは各講師に任されてお りますので,各講師は,自己の経験に基づき,独自に 課題を設定し,明細書作成の自己の考え方に基づき, 研修を実施していきます。各講師により,特徴が顕著 に異なるかと思われます。したがって,今後,受講さ れる方は,各コースおよび各講師の特徴を事前に十分 に理解したうえで,自身に最も合ったコースおよび講 師を選択されるべきかと思われます。 明細書の作成の OJT の機会が少ない弁理士にあっ ては,初心に戻って弁理士育成塾を受講されることを お勧めし致します。受講料相当分の価値は,十分にあ るかと思われます。 (H26 名古屋機械コース受講生 M.H 氏) (原稿受領 2014. 10. 22)