( 9 9 )
秋田大学医短紀要 2 , P.99‑P.1。
暑 1994.成人看護概論の授業 におけるグループ学習の効果
TheEf f e c t so fGr o upLe a r ni ngMe t hodonaCl a s si nAdul tNur s i ng
伊 藤 登茂子*
Ⅰ.はじめに
成人看護概論で学生が学ぶ主な内容 は,成人 期 にある人の理解 ・成人 と健康 に関わる要因 ・ 成人患者‑のアプローチ, についての基本的事 項である。看護婦が患者 との関係 を理解する事 は,看護ケアを実践する上で基盤 となるもので あ り, この事 につ いて,成人看護概論で は,
「 看護婦 と成人患者の援助 関係」 1 )を一つの単 元 としている。
前年度 にこの単元 を講義形式で行 った ところ, その後の臨床実習での発表で,患者 との信頼関 係や コミュニケーションの大切 さについて,初 めて気がついたように述べ る学生が多 く,講義 での学習効果が余 り上がっていない と感 じられ た。 また,現在青年期か ら成人期へ移行 しつつ ある学生は,少子化 ・核家族化の社会状況の中 で育 っていることもあ り,人間関係 を上手 に保 つ技術が充分 に備わっているとは言い難い。
そこで,看護婦 と成人患者の援助関係 を学ぶ にあた り,学生 自身が主体的にとりくめる効果 的な教授方法の検討が必要 と考 え,グループ学 習 を行 ったので,その方法 ・学習効果 について 考察する。
Ⅱ.研究 日的
看護婦 と成人患者の援助関係 について行 った グループ学習 ( 以下演習 とい う) により,学生 自身が何 を学んだのかに視点 をあて,形成的評 的で行 う評価活動
2)‑ として行 った用紙 に記述 された内容 を分析することで,授業の評価 を行 う。
Ⅲ.研究方法
1.研究対象 :本学医療技術短期大学部看護学 科 1 年生 8 0 名 ( 女子 7 7名,男子 3 名)
この演習の 3 カ月前 に行 われた基礎看護学見学 実習 ( 以下,見学実習 とい う)
3)において約 1 時間程度,実際に患者 と接 した経験 をも
つ 。2.方 法 :成人看護概論 (7週,1 5 時間, 1 単位)の第 5 回目に,看護婦 と成人患者の援 助関係の単元 を計画 し,その 3 週間前 に,表 1
の演習要項 を配布 した。グループメンバーは, かつて 1 度 も同 じグループに所属 したことの無 い組み合 わせで, 5 名ずつ,計 1 6グループを 名簿順 に編成 した。 また, リーダーは,教師 と
秋田大学医療技術短期大学部
*看護学科
Ke y Wo r d s: 成人看護概論 看護婦一患者関係
グループ学習
授業評価
衰 1 演習要項
成 人看 強概 論 看 護婦 とJ J E 入 船 G の援 助 側 係 〔 演酎〕
日的 1 看 護 婦 一 塩 者 関 係 につ いて の 文 献 を読 み 、理 解 を深 め る。
2 グル ー プ と して の学 び を ク ラス 全体 で 共 有す る。
3 グル ー プ ワー ク を とお して 、l ! l 分 の 考 え を述 べ 、 また他 の メ ンバ ー の意 見 を聴 く とい う関 係 の あ りよ う を学 ぶ 。
4 グ ル ー プ の 学 び を節 三 者 に効 先 約 に伝 え るJJ 一 法 を学 ぶ 。
) j f L ‑ グル ー プ ワー クお よ び 教 峯 内発 表
1 文献 リス トよ り一 冊選 び 、 全員 が 読 む。
2 個 々 に学 ん だ こ と を話 し令 い、 グルー プ と して 何 を発 表 した いか 、 討議 す る。
3 3 分 以 内 に党 友で き る よ うに 、1 号5倣 1枚 に讃 料 を ま とめ る。
4 資 料 の提 ui ー ̲ i ̲ ̲ ̲ i ̲ ノ ヨ̲ 一 一 … 9 J I = L ̲ ̲ ̲ ー くー 火 ̲ ) i̲ ̲L2 L i 3 T 9ー 厳守 C‑209 教官 室
5 グル ー プ リー ダー は 11月10 日 ( 水 ) 放 課 後 に C‑209 まで 汽 料 を 受 け 取 りに来 て 、 メ ンバ ー に渡 す 。
6 3 分 以 内 で 発 衣 を行 な う。
7 グ ル ー プ間 で の 意 見 交換 を行 い、 学 び を深 め る。
期 日 i J 1 O F 721u‑ 1 l l H 1 ∩ ( 発 表 H) 臥 E i L ‑ 当叩i
・グル ー プ リー ダー は各 グルー プ 名 簿 の トップ の 人 にお 顔 いす る。
・文献 の示 しJJ ' は 文 献 リス トに準 じる。
・文献 を図書 室 か ら借 りる場 命 は 、借 川 の ル ー ル を厳 守 の ことO
・発 衣 : 打を決 め 、 焚 料 の氏 名 の l 削 こQ 印 をつ け る こ と。
・讃 料 は 、浪 いえ ん ぴ つ 又 はボ ー ル ペ ンで 薄 く こ と。
・3 分 の 先 太 時 間 が 守 れ る よ う 、充 l J Iな練 習 を して 臨 む こ と。 (全 員で )
・発 表 当 El は 、 グル ー プ毎 に ま とま って机 を配 置 し、 準 備 して お く こと。
管 / J ・ ‑ ̲ 札 膵L l 草r l u各 (A‑ 1 ' 各 5 名)
のパ イプ役 を担 って もらうことを主 な理由 とし ンし, グループ としての学 びを B5 版 1 枚 に資 て指名 した。 料 として まとめ,教室内発表 を 3 分で行 う, と グループ学習の内容 は,提示 した文献 の中か い うものである。文献 を提示 した理由は,学生 ら1 冊を選び,各自が読んだ後にデイスカッシヨ がす ぐにで も図書室で手 にす ることが可能 な事
‑ 1 00
‑伊 藤 登茂子
表 2 看護 婦 と成 人患 者 の援助 関係 [ 参 考 文献]
l・ I ‑ 一 野 島 :i 講の掛 する薪誰掛 こなるために 対人 ・札 , ・ ' 朋 係の技' di ・挺学謹胤 1 9 7 8 .
2.大殿智亮 :わた しの助 力論 病気のなかの人間関係,医学畜院,1 9 7 5 . 3. 人段智亮 :両は技術の人間学, メヂカルフレン ド社,1 9 7 7 .
‑ , 1.人段bl 菟 :面はの技法,メヂカルフ レン ド社,I 9 78 .
5. 川野椎茸.金井 ヒロ,稲岡文㈹編 二者掛 こおける対応の技術 臨床の力を高める ために,メヂカルフ レン ド社,1 9 8 7 .
6. 斎藤美津 子 ・ .話 しことばの科学.サイマル‖版会,1 972 .
7. 斎藤美津 1‑:きき j J ‑ の確論 続 ・話 しことばの科学,サ イマル u l l 版会 ,1 9 7 2 . 8. 篠t J ] 知将 :ふれあいの看護 問診 ・面接を滴 しての患者PP . 解,医学讃院.1 9 88 . 9. 千名 裕 :看護婦の言 占し方一也 者と看護婦の人間関係, メヂカルフ レン ド社,
1 97 5 .
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1 4.凹中恒乳 岡川 見,他 :看縄科学へのアプローチ 看 護相談 ・面は,医歯
糞 iLi版,1 9 7 8 .
1 5 . 林 田春夫 :病 者の こころの動 き,医学番院,1 97 5 .
i 6 .平野 馨 :看冶括動における人間関係 その展礎的確論 と ) } 一 法, r ]本看護協会 I I J , 版会,1 9 85 .
1 7 .1 即 日 直義 :問診 と両様の技術一医師 と看繕婦のために‑.択学 ‑ 誇院,1 97 8 . 1 S.メヂカルフ レン ド杜. 編集雑 :新版 信頼 される看護婦 になるために こころ くは
りとマナーのすべて.メヂカルフレン ド社,1 9 7 7 . 1 9 .渡辺三枝 子 :患者 との接 し方,へるすuJ 一 版,1 98 7 .
2 0 . Ber mos l , L ,S ,Mor da n . N . 3 . ,松野かはる訳 :新版 看護面はの理論,医学書院 1 9 8 3 .
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2 2 .I ) a vi s , A 3 . .神 都 博 i f . 1 1 1 美智子 :患者の訴え‑その聴き方 と応え) 1 ‑ ,医学書 院,1 9 8 8 .
2 3 .En el o y ,A . 1 , .swi s h er .S N . , 津川 司 :新 しい問診 ・面接法,医学書院,1 9 89 2 4 .日e i n ,E .C , . 助川尚7・:看湾 とコミュニケー ション,メデ ィカル ・サイエンス .
イ ンターナ ショナル,1 9 8 3 .
2 5 . t tul h Wu , 榊 常f f i r 維 既訳 :病気 と, E L I . 芹の行動,医術j 削I S 版,1 9 7 5 . 2 6 . SI CHa‑Fr a n c o . 〜 H . 井藤和 ( ・・裕 Ll串 ・・件々木 l l : . 宏 :看讃射 由の コミュニ
ケー ション ‑Th er a p e uti c C o m mu ni c aHo n の実際‑,医胎薬 . 出版, 1 9 i 5 .
2 7 .Tr a v el b c e ,) .艮料 I l nl .藤枝知 子 :人 f 批 対人岡の薪讃,択学書院,1 9 77 . 2 8 .ウイ‑デ ンバ ック,A.,池川L y j : f ・: コミュニケー ション‑効果的な看連を展開
す る鍵 . 1 1本看婚協会川版会,1 9 7 9 .
(1
01 )
で,学習へ の動機 づ け を したいためであ る。
( 表 2 参照)
教室内発表 は, 1 グループ 3 分ずつ 8 グルー プ続 けた後 に質疑応答 を 1 5 分行 い, これ を繰 り返 した。教官 は,教室の後 ろに座 り,全体の 様子 を観 なが ら, グループ名お よび発表者の紹 介 をした。 また,経験がなければ解決で きない 疑問にア ドバ イスを し,最後 に,ルース ・ジ ョ
ンス トンに よる 「きい て くだ さい,看 護婦 さ ん 」 4 )を紹介 した。
教室内発表 の終了時 に,評価用紙一 内容 は演 習の形式 につ いて ( 選択式),演習の 自己評価 ( 選択式),演習 を とお して学 んだ事 ( 自由記 述)の 3 項 目‑ を配 り,翌 日まで にリーダーが まとめて提 出す るよう指示 し,記述内容で形成 的評価 をした。
3. 分析方法 :学生が記述 した内容か ら以下の 項 目について分析す る。
1 )演習の形式 について 2 )演習の 自己評価 について
3 )学 んだことについて :自由記述 された内容 の全てを分析対象 とし,セ ンテ ンスお よびパ ラ グラフを分析単位 とす る。意味内容の類似性 に 基づいて, グループ分 け し,分類 カテゴリーを 抽 出す る。
Ⅳ. 結 果
1.演習の形式 について
グループ学習 を行 った回数の平均 は ,3.5 回 ( 最低 2 回,最高 6 回),時 間の平均 は ,4.9 時間 ( 最低 2 時間,最高 9 時間)であった。
グループの人数 については,回答者 78 名中, ち ょうど良い 77 名,多い 1 名であった。
課題提示か ら発表 までの期 間については,回 答者 78 名中, ち ょうど良い 60 名 ( 77%) ,短 い 1 8 名 ( 23%) であった。
発表時 間 については, 回答者 77 名 中, ち ょ うど良い 66 名 ( 86%) ,長い 1名 ( 1 %),短い 1 0 名 ( 13%) であった。
資料 の量 については, 回答者 78 名 中, ち ょ うど良い 67 名 ( 86 %),多い 6 名 ( 8%) ,少 な
い 5 名 ( 6%) であった。
演習全体 について, この単元 を学ぶ上で今 回 の演習 は,役 に立つ と思 う 75 名 ( 93%) , どち らとも言 えない 3 名 ( 4%) ,無回答 2 名 ( 3%) , 役 に立 たない と答 えた学生 はいなかった。
2. 演習の 自己評価 について ( 表 3 参照) 演習の 目的 にそって結果 を述べ る
。1 )文献 を読み,理解 を深めることについて 文献 は , 16 グループ中 , 1 グループ を除い て, メンバー全員の意見 によ り選択 されている。
どの ように読 んだか をみる と,約 6 割 の学生 は 充分 に読 んだ とし,ほ とん ど読 んでいない学生 は一人 もいなか った。
2) グループの学 びをクラス全体 で共有す るこ とについて
資料づ くりにあた り , 2 名の学生 は しかたな く役割 を引 き受 けた と答 え,逆 に,積極的にア イデアを出 し, また役割 も引 き受 けた と答 えた 学生 は 7 名 であ った。 また ,20 名 は他 の意見 に従 った としてい るが ,51 名 の学 生 は,何 か しらのかたちで積極的に関わっている。発表 に むけて分か りやすい ように資料 を工夫 し作成 し た, と答 えた学生が 48 名 ( 620 / o) い ることに
ち,積極性が表れている。
発表の準備 をみる と ,63% が内容 を吟味 し, 74% が発表原稿 を作成 した, としている。 また, 1 8% が発表方法 を工夫 し ,21% が充分 な練習 を 行 った としている。何 も努力 は しなかった と認 識す る学生 はお らず,有意義 な発表 にす るため の姿勢が伺 える
。3) グループメンバー どうしの意見交換 か ら, 関係 のあ りようを学ぶ ことについて
積極 的 に意見 を述べ た学生 は 21 名 で,聞 く ことが多か ったの は 1 3 名, よ く聞い た し,意 見 も述べ たのは ,46 名 ( 58%) であった。
4 ) グループの学 びを第三者 に効果的に伝 える 方法 を学ぶ ことについて
62% の学生が,工夫 した と答 えている。その 内容 は,分か りやすい ように発表内容 を図式化
した り,箇条書 きや,表 に して簡潔 に表 した り, 限 られたスペースには書 ききれない もの を模造
‑ 1 0 2
‑伊 藤 登茂子
(103)紙に表 したり,発表を聞きながら各自がまとめ 3.学んだことについて
られるように余白を設けたり,というものであっ 80 名中,無記入で提出 した 2 名を除き,分
た。 析単位 となったセンテンスおよびパラグラフは
表 3 看護婦 と成人患者の援助関係 [ 演習の自己評価]
( N‑ 川、 * :複数解 答あ り)
1.文献 の選択は、
① メンバー全員の意見調整の うえで決L j L fした
② リーダー にまかせた ・・・・・‑ I・
2. 文献 は、
① 充分 に読んだ ・・・・・・‑ ・・ ・・
② ななめ読み した ・・‑ ・・・・・・ ・ ( 診ポイ ン トにな るよ うな部分 のみ読んだ ・
④ ほ とん ど読 んで いな い 3. グルー プ ワー クでは,
① 積極的 に意見 を述べた ・・・・・・・・
( 診他 のメンバーの話 を聞 くことが多かった
③ 他 の意見 もよ く聞いたが、意見 も述べた 4 ,賃料づ くりにあた り、
① 積極的 に役割 をひきうけた ・・‑ ・・
② しかたな く役割 をひき うけた ・・‑ ・
③ 積極的 にアイデ アをHtした ・・‑ ・・
( 卦他 の意見 に従 った ・・・・・・・I・・
5. 資料 は,
( お酌意部項 にそって作成 した ‑ ‑ ・・
無 解 答 1
・7 5 名 ( 9 4%)
・ 4 名 ( 5 %)
*
無解答 2
・46 名 ( 5 9 % )
・ 9 名 (1 2 %)
・28 名 ( 3 6 % )
・ 0
・21 名 ( 2 6 %)
・1 3 名 (1 6 %)
・46 名 ( 5 8 % )
辛
・2 9 fl ( 3 6 2 号 ′ .(
E■ーhu E..llu % %
・3 6 名 ( 4 5 %)
・2 0 fJ ( 2 5 %)
* 無解答
・3 3
rT 一nJnt川U Ⅵ山HWユ
② 発表時 に分か りやす いよ うによ く ] ‑ ̲ 夫した ・ ・4 8 名 ( 6 2
‑工夫 した点 ・・・ポイ ン ト一因,愉粂誇き,表 、例 示
1■11■hu Ei■nu % %
発表時の f l = . f lを阿 る‑模造紙 を, 雉と 板 に貼 る 類料 に F . ・ FI が記入で きる余 日 6.制限時間内 に自分た ちの学び を発表できるよ う *
( l j内容 を吟味 した
② 発表原稿 を作成 した
( 診発 表方法 を: 1 二 夫 した ・・・・・・ ・ ・・ ・ ‑ Q) 充分な練習 を行なった ・・ ・ ‑ ・・・ ・ ・ ・ ( 9特 に努 力は しなか った ・・ ・ ・‑ ‑ ・ ・ ・
( 昏その他 ( 参考染料の f J L 効粥 川) ・ ・・
‖≠‑此 WJLn I,j' LJ' ) \ノ ー ー ) % % % % % 3 一nI AUnソ ・‑ 6 7 ・‑ り レ ( ′t ( ( ( 名 銘 々巾 QF
Q;名
表 4 学んだことの 自由記述か ら抽出された べている。
カテゴリーと出現率
カテゴリー /l 、 I HJ. J' H i . J l
N‑267 出現率 ( %)
2 8.5
6 5 E 24・4 I O 丁 l1.2 MI M
㌃ 「 言 う 、
合計 267 であ り,学生一人当た りの平均セ ンテ ンスは ,3 . 4 であった。類似性のある内容でグ ループ分け した結果, 8 個のカテゴリーが抽出 された。 ( 表 4 参照)
これは,演習の日的 ( 表 1 参照)が どの よう に達成 されたかを把握するように, 自由記述 さ れた内容 によってセ ンテ ンスおよびパラグラフ を転記 しなが ら分類 し,更 に,共通する内容で グループ分け して命名 したものである。出現率 の高いカテゴリーか ら順 に No1‑ 8 とした。
カテ ゴリ ーNo l 「 学習方法 の承認」 は ,76 セ ンテ ンス と最 も多 く述べ られ,中で も看護婦
と成人患者の援助関係 について , 「 発表 をとお して多 くの考 え ・知識 にふ れ る こ とがで き」
( 27 セ ンテンス,以下単位 を省略する) , 「と て もいい勉強になった」 ( 1 7 ) 。また , 「 深 く考 える機会 」 (6) とな り,漠然 としていた考 え が まとまった, と述べ られている。この演習が か ナれば 「 読むことの無い文献 を読むことがで きた」 (4) し,発表 を聞いて さらに 「 他 の文 献 にも興味がわ き 」 (5) , 「 受け身の授業 より 短期間で濃度の濃い学習がで きた」 (3) とし ている。その他 に, 「まとめや説明の しかた, 文献の理解の しかたを学 んだ 」 (9) とあ り, 一人で まとめるよりうまくまとめ られた, と述
カテゴリー No 2 「 援助関係の成立要因」では, 6 5 セ ンテ ンスの うち, 「人間的ふれあい をと お して,患者 とその環境 を理解 し,対応するこ とが必要」( 1 5 )で, そのために,適切 な 「 言 語的 」 ( 1 2 )「 非言語的」 ( 1 2 )コミュニケーショ ンが重要であることが主に述べ られている。 ま た , 「 対話は,信頼関係の土台」 (4) とな り,
「 相手 に対 しての関心」 (3)や , 「 共感」 (3) を必要 とし , 「 五感」 (3) もはた らかせ なが ら患者 を充分 に理解す るような 「問診」 (5) が,ひいては 「その患者 にとって適切 な援助 に つながる」 (5) とも述べている。
カテゴリー No 3 「 看護婦像」では, 「 何気 な いことばや態度が患者 に大 きな刺激 を与 える」
( 1 6) ので, 「 心配 り,対話が大事」 (6) で あ り, 「 技術 だけではだめ」 (6)で , 「 専 門 的知識が生 きるような,患者の精神的支 えとな れる看護婦が理想 」 (2) , と具体的なレベルで 戒めた内容が合計 30 セ ンテ ンス述べ られてい る。
カテゴリー No 4 「グループ学習 による学び」
では ,30 セ ンテ ンスの うち, 「 他 の人達の考 え方が開けて参考 になった 」 ( 1 4) が最 も多 く,
「自分の考 えを見 なおす良い機会」 (4) に も なった, と述べている。意見 を調整 した り,餐 料 を作 った りするのは 「 思 ったより大変」 (3) だった としなが ら,で きた時の喜 びは大 きく,
「チーム ワークの大切 さ」 (7) を知 った。 こ のことが , 「 看護婦 どうしの対話 にも通 じる」
(1) と述べている。
カテゴリ ーNo5 「自己洞察」では ,23 セ ン テンス述べ られている 。 「 看護の難 しさを改め て実感 」 (4) し, また, 「 人間性 を高め 」 「さ らに学び 」 「学んだこ とを活か してい き」たい ( 1 4) と抱負 を述べ る一方 , 「 患者 を傷つける ようなことをやって しまうのではないか 」(1) と危倶する記述 もある 。 「自分が傷つ きた くな い と思 う気持 ちを捨てなければ,真 に心の通 う コミュニケーションがで きない。一生の課題で ある 」 「自分の意見は常識的だと思っていたが, 全然違 う意見が出て議論が生 まれた」 など,深
‑ 1 0 4
‑伊 藤 登茂子
く自己 を見つめる機会であった ことが伺 われる。
カテ ゴ リ ーNo6 「 課題 の提 示」 で は ,20 セ ンテ ンスの うち, 「 他 の発表内容の理解が充分 にで きなか った 」 (8) とあ り, 「 発表時 間が 短い 」 「グループ数が多い 」 (5) ことが原 因 と
してあげ られ, 「 深 く追究 して も良いのでは」
(2 ) との提案 も述べ られている。 また,ス ラ イ ド,マイクの使用や,資料の大 きさについて な ど,紳かな媒体 に関す る記述 もみ られる。
カテゴリー No 7 「 全体的感想」では, 「 見学 実習で難 しさを感 じたか ら,接 し方,語 り方 に ついての発表が多かった 」 (5) と概観 した り,
「 頭 で分 か って も実際 にで きるか不安 」 「 考 え す ぎてかえって会話が気 まず くな りそ う」 と, 単 に感想 として述べ ている と思 われる記述 な ど, 合計 1 4 セ ンテ ンスであった。
カテゴリー No8 「日常への還元」では, 「 言 葉で勇気づけた り傷つけた り」す ることがある ことを学 び , 「 医療 に携 わる人間 として, 日頃 か ら気 をつけ よう と思 った 」 「 友人, 肉親,見 知 らぬ人 と話 をして経験 を積 まなければな らな い」 (9) と述べ ている。
V. 考 察
いかなる授業 において も,教育効果の高い方 法 は,教 師であれば誰 しもが考 える ところであ る。 このことは成人看護概論 において,一つの 大 きなテーマであるといえる看護婦 と成人患者 の援助関係 を学ぶ にあたっては,対象である学 生の特性か ら,特 に重要視す る必要がある。そ れは,看護が人間 と人間の関係の上 に成 り立つ ものであるのに対 し,学生 はまだその事 に充分 な経験がある とは言 えないか らである。
そ こで今 回,前年度の講義形式でお こなった 反省 をふ まえて, グループ学習 による演習 を試 みた。その大 きな意図は,演習 をとお して援助 関係 に関す る知識 をまとめることは もちろんの こと,それ以上 に自分の考 えを他者 に伝 え, ま た,他者の考 えを聴いて,議論 しなが らグルー プとしての意志決定 を行 う事 にあった。その過 程で, 自分以外 の人 とどの ように関係 をもつか, チームワークの とりかた,意見の調整 と統合,
(105)
教育的機能の経験 について主体 的に取 り組むこ とがで きるのではないか と考 えた。
教授 ・ ノ 学習形態 について下山は, 「 講義法の 長所 に挙 げ られるものは経済性,能率性,共通 性,迅速性,全体性 な どであるが,ただ し短所 に挙 げ られる受動的,強制的,個人差無視や唯 言語主義の一方通行的形態 となることは否定で きない。 ・・中略 ・・グループ学習あるいは集 団指導 と呼ばれる形態は人間が社会生活 を営 ん でいる以上不可欠な ものである。社会性の滴毒 が将来の生 きるうえでの重要な目やす とな り, 集団力学の複雑 さを主体 的に身につけることが 重要 となる 」 5 )と述べ ている。 この ことか らも, 援助関係 を学ぶ手段 として,学習その ものが人
間関係の経験 となるグループ学習 は意義がある と考 える。
次 に,分析 の項 目に従 って,結果 をもとに考 察す る。は じめに,演習の形式 についてである が, グループの人数 ・演習期 間 ・発表時間 ・資 料の量 について ,75% 以上の肯定的な意見 を得 ている。討論 をする ときの人数 について,ギネ は, 「 小 グループの規模 は通常 4‑8 人 」 6 )と述 べてお り , 5 人 とい う数 は,妥当であった とい え る。
3 週 間の演習期 間につ いては,短 い と 1 8 名 ( 23%) が答 えているが,その中で他 の教科 と の関連で充分 な学習がで きなか ったのは 3 名, どちらとも言 えないのは 6 名であった。 3 週 間 とした理由は,一人が 1 冊の文献 を読 むのに3 日要す ると考 え,最大 5 人で回覧す ると 1 5 日, 意見交換 な らびに資料づ くりにお よそ 1 週 間, の考 えか らである。複数冊借 りることで回覧の 期 間は縮小 で き,意見交換 に充分 な時間を費や せ ると考 え られるが,実際の ところ空 き時間が 少 なかった り,個 々の予定の調整が必要な事, また時間的なゆ とりが充分 にあると感 じること で,学習意欲が低下す る事 も考 えると,概 ね妥 当であると考 える。
発表時間の 3 分 とい うことについては,注意
を傾 けて聴 くことので きる時間であることと,
3 分 を有効 に使 うための効果的な資料作成 に配
慮す るのではないか, との考 えか らであった。
8 6% の学生がち ょうど良い と答 えているが,反 面, 自由記述の中で,他のグループの発表内容 が充分理解で きなか った,が 8 セ ンテ ンス,時 間が短い, グループ数が多い,が 5 セ ンテ ンス あ り,更 なる運営上の配慮 の必要性 を示唆 され た。 これは,発表時間その もの よ り,質疑応答 の時 間や,発表 と発表の間の時間にゆ とりが無 い ことを意味 していると考 え られる
。全体 をとお して ,9 3% の学生が この演習 は看 護婦‑患者関係 を学ぶ上で役 に立つ と答 えてい ることか ら,肯定的 に受 け とめ られた と評価で きる。
次 に演習の 自己評価 についてであるが,表 3 の結果か らみて も,文献の選択か ら資料作 りに 至 るまで, グループ学習が積極的 に行 われたこ
とが読み とれる
。文献の選択 をリーダーにまかせ たグループが 1 組 あったが,他 の項 目をみる とリーダー もメ ンバ ーの意見 を聞 き,メ ンバー も積極的 に意見 を述べ た とあることか ら,特 に専制的であった とは言い難い。
グループワークで , 他 のメ ンバーの話 を聞 く ことが多 か ったのは,1 3 名 であ った。 この中 で 3 名の学生は, うま く話せ なかった, 自分の 考 えを人 に伝 えるのは大変, と記述 している
。また, 2 名 は発表者の役割 を果た している。 こ れ らの事か ら, 自主的に関われないでいる学生 に対 しては,他 のメ ンバ ーあるいは,教師が関 与す る場面では教師が , 「 非言語的な手がか り に敏 感 」 7 )とな り,意見 を引 き出 してあげ る事 が重要 と考 える
。グループ学習 においては,必ず しも積極 的に 発言す ることだけが望 ま しいのでは無 く,意見 も言い,人の話 も聴 ける とい うことが重要であ る。その点で ,5 8% の学生がその ようにした と 答 えたことは,基本的な人間関係 の もち方 に対
して理解 されている とも考 えられる。 また , 5 人全員が積極的に意見 を述べた, と答えたグルー プが 1 組あった。その 自由記述 を見 ると,議論 がで きた,患者 に関心 をもって,患者の立場 に 立 って心 の声 を聴 くことが大切 と,それぞれが 述べ てお り,積極的な意見交換が行 われ, また
学 び もあった事が理解で きる。
発表のための資料 の作成 については,それぞ れのグループで工夫がみ られた。 この経験 は, 将来行 うであろう患者教育の場面で も生か され るよう,その ことを扱 う単元 に結 びつ くように 強化 し,動機づけ していかなければな らない。
次 に,学んだことについてであるが, 自由記 述か らは 8 個のカテゴリーが抽 出 された。 また 内容 として,演習 に主体 的に取 り組み,その中 で多 くの考 えにふれて刺激 となった事,看護婦 と成人患者の援助関係 における,看護婦 として の心の持 ちようやアプローチの さまざまな技法 についての知識 を得 た事, な どが述べ られてい る。
この事 は,単 に援助関係 についての理論 を講 義する教授法 に比較 し,主体 的に学 び得 た もの であるがゆえに,保持 ・再現が されやすい と考 え られる。学習 とは,経験 によって生 じる比較 的永続的な行動の変容であ り,教育 は, 「 対象 の行動 における望 ましい変容 をは ぐくむような 経験 を選択す ることによって,学習者の学習 を 促進す る こ とを目指す 」 8 )ものであ る。学生 に 期待す ることは,将来専 門職 と呼 ばれるにふ さ わ しい人 となるよう,知識 ・技術 ・態度 ・人間 性 を備 えたい と自ら志向 し努力 し,感性 をみが くことである。そのことを念頭にお きながら行 っ たこの演習 は,望 ま しい変容 をは ぐくむような 経験の選択であった といえる。 日頃か ら言動 に 気 をつけたい, とい う学 びは, きっそ くあい さ つや,提 出物が遅れた時の詫 びの言葉 として現 れてお り,相手 に対 しての関心や思いや りが大 切である事 を学んだ上での配慮 と考 え られる
。この ような学習がで きたことの要因 として, 学生 自身の見学実習の体験 と,演習の 目的 ・学 習方法 を明確 に示 したことがあげ られる と思 う。
見学実習で実際 に患者 と接 し,会話が, うま く
で きた学生 に とっては 「これで良いのか」 とい
う思い,で きなかった学生 に とっては 「どの よ
うにす るのが良いか」 とい う思い とな り, この
ことは , 「 漠然 とした考 えが まとまった」 とい
う結果 に関連 して述べ られている。 これは,演
習 を行 う上で大 きな動機づ けであった と思 われ
106伊 藤 登茂子
る。
また, 日的 ・学習方法 を明確 に示 したことは, どの ように演習 を行 うかが理解 されやす くな り, またその演習で 自分達が何 を目標 とすべ きかが 認識で き,そ して前述の動機づ け とともに,そ れを行 うことで 自分 に とってプラスになる もの が あ る と期待 が持 てた と思 う。 ライ リー は,
「目標が明確であれば,学習者 はその努力 を目 標 を達成 させ るような活動 に向けることがで き る 」8 )と述べ てお り, 「 与 え られた 目標が 明確 に認識 されていれば,すべ ての参加者がそのエ ネルギー を同一方向 に向 ける こ とが で きる 」8 )
とし, 「 最大の学習効果 をもた らすだけでな く, 協 同的作業 としてすすめ られる教授一学習過程
に不可欠 な信頼 の雰 囲気 を作 りだす 」 8 ) と述べ ている
。この ような学習経験 を積み重ねることで,現 在 カリキュラムのね らい とする ところの問題解 決能力 もは ぐくまれる と考 える。すなわち,課 題 を認識 し, 目的 を明確 に し,その解決のため の方略 を効率性 も考 えなが ら決定す る能力が身 につ くとい う考 えである。単元で何 を学ばせた いか を考 える時,教授法の特徴 をふ まえなが ら その方略 も考 えることは重要である。
今 回看護婦 と成人患者の援助関係 を学ぶ にあ た り,文献 を用 いたグループ学習 をとお して, 人間 と人間 との相互作用がすなわち関係である ことを学 んだ。お互いに刺激 しあい, また 自己 をみつめる機会 となったことは,看護 を学ぶ学 生 にとって, ます ます援助関係 について学 んで いかなければならない事の動機づ けに もな り, 援助 関係 についての理解 を今後 さらに深めてい く上で,新 たな課題の発見で もあった と思われ る。 この演習で学 んだことが,知識 として刻 ま れるだけでは, 目標が達成 された事 にな らない ため,臨床実習 において実践場面でいか される よう,教育的配慮が必要 と考 える。
Ⅵ. 結 論
成人看護概論 において,看護婦 と成人患者の 援助関係 を学ぶために,文献 を用いたグループ
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に記述 された学 びの内容 を分析する事で授業の 評価 を行 った。
1.演習 は学生 に肯定的 に受 け とめ られ,学 びの内容 として ,8 個 のカテゴリーが抽 出 され た。
2. 学生 自身の動機 と, 目的 ・方法の明示 に よ り,積極的な取 り組みがで きた。
3. 学生 どうしの相互作用 により,関係 のあ りようと,援助 関係 の技法 について知識 を得 た。
4. 演習その ものが,理解 をさらに深めてい く動機づ け となった。
おわ りに
授業改善のために,看護婦 と成人患者の援助 関係の単元 について,講義法か らグループ学習 に今回変更 し,その効果 を学生 自身の記述 に視 点 をおいて,考察 した。 しか し,授業改善のた めの研究 とい う視点でみる と, これで充分 とは 決 して言 えない。現在,教 師間の授業参観 とい う方法 は とられていないため,学生が記述 した 内容 と自己評価 によ り判断 している現状 である が,批判的意見 な どご指導頂 けた ら幸いである
。引用文献
1 )小 島操子 ,林 滋子,平 山朝子 e ta l :成 人看 護 学 総 論 ,系 統 看 護 学 講座 4,pp.
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2)三宅和夫,北尾倫彦,小嶋秀夫編 :教育心 理学小辞典 ,pp. 89 ,有斐閣,東京 ,1 9 9 1 . 3 )石井範子,戸井 田ひ とみ,松尾典子 :基礎
体験か ら‑ ,平成 5 年度 日本看護協会 北 海道 ・東北地 区看護研 究学 会 ( 1 993 年 9 月 1 6 日),仙台,北海道 ・東北地区看護研 究学会集録 ,p.1 ‑ 5 ,1 99 3.
4)Tr a ve l be e ,J ‥ 長谷川 浩,藤枝知子 :人 間対 人間の看護 ,pp. 5 ,医学書院,東京, 1 9 77. よ り引用.
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学習 を行 い,形成的評価 として行 った評価用紙 6) Gui ne e,K,K. ,稲 田八 重子 :看護教 育 の
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参考文献
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