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:古典的結び目のカンドルホモトピー不変量

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全文

(1)

曲面結び目のカンドルホモトピー不変量と レギュラーアレクサンダーカンドルについて

野坂 武史

(

京都大学 数理解析研究所 博士課程

)

概要

有限なカンドルに対し,まず曲面結び目のカンドルホモトピー不変量を定式化した. その不変量は,カンドルの 分類空間の3次ホモトピー群に値を持ち,またカンドルコサイクル不変量の普遍不変量である. 本研究ではまず その空間の有理ホモトピー群を決定した. 次に,レギュラーアレクサンダーカンドルに対し,或る条件下で3次 ホモトピー群を決定付けた. 系として,カンドルコサイクル不変量やカンドルホモロジー群に応用を得た. また この手法を使い,2次ホモトピー群をも計算した. この報告書の詳細はプレプリント[N3]をご参照ください.

1 Introduction

:古典的結び目のカンドルホモトピー不変量

カンドルとは

,

分配側を満たす或る代数系の事である

.

カンドルとはおおよそ

,

群より弱い演 算で

,

「等質空間」に入る二項演算のことであって

,

カンドルは結び目理論への応用が多い

.

回は

Fenn-Rourke-Sanderson[FRS]

によって導入されたカンドルホモトピー不変量という古典

的絡み目の不変量に注目する

.

その不変量は

,

ラック空間

BX

の2次ホモトピー群

π2(BX)

に 値を持つのであった

.

以前

,

筆者はその不変量を調べていた

[N1].

一方で

,

論文

[CJKLS]

において

,

その空間

BX

(

)

ホモロジー群を改良したカンドル

(

)

ホモロジー群が導入された

.

さらにその

3-

コサイクルを使い

,

曲面結び目のカンドルコサ イクル不変量が導入された

.

この不変量は

,

任意の局所系係数の3次コホモロジー群に対しても 拡張された

[CEGS].

そのカンドルコサイクル不変量は

,

いくつかの論文で計算されている

.

本講演の趣旨の

1

つは

,

古典絡み目のカンドルホモトピー不変量を曲面絡み目へ拡張・適用 させ

,

その基でのカンドルコサイクル不変量を研究していくものである

.

2

復習:カンドルと

X-

カラリング

まずはカンドルから復習する

.

カンドル とは

,

集合

X

と二項演算

: X2 X

の組で

,

x, y, z X, xx=x, (xz)(yz) = (xy)z

を満たし

,x, y X, !wX,wx=y

を満たすものである

.

例えば

, Z[T±]-

加群に

,

二項演算を

xy =T x+ (1T)y

と入れたもの をアレクサンダーカンドルという

.

カラリングを復習する

.

有向古典的絡み目に対し

,

その1つの絡み目図式

D

を選ぶ

.

カンド ル

X

に対し

,D

X-

カラリングとは

D

のアークの集合から

X

への写像であり

,

各交点で左下 図のような関係式を満たすものとする

.

また同様に

,

有向曲面結び目

Σg ,S4

に対し

,

その1 つの結び目図式を

D S3

をとる

. D

X-

カラリングとは

, D

のシートの集合から

X

への写 像であり

,

各々の二重線で右下図のような関係を満たすものとする

.

曲面絡み目の図式

D

に関して

, ColX(D)

X-

カラリングの集合とかく

.

同じ絡み目の別の

図式

D

をとると

,

自然な一対一対応

ColX(D) ←→1:1 ColX(D)

がある事はよく知られている

. (

これは

1

次元絡み目においても同様である

).

よって

, ColX(D)

は絡み目不変量になるが

,

典的な対象物である

.

例えば

D

を結び目図式とし

X

をアレクサンダーカンドルとするとき

, ColX(D)

はアレクサンダー加群で表される事が知られている

[Ino].

そこで

,

次にこの不変量

ColX(D)

に重みを課して細かい不変量を作っていく

.

(2)

α β

γ

C(α)C(β) =C(γ)

α

β

γ

3

定義:曲面結び目のカンドルホモトピー不変量

この節では

,

曲面結び目のカンドルホモトピー不変量の定義

[N2, §2.2]

を解説する

.

この為に

,

カンドル

X

に関し

,

ラック空間

BX

を或るコーン

(

)

を取る事で改良し

,

カンドル空間

BQX

を紹介する

.

テクニカルな議論のため定義

3.1

を一瞥し

,

次節を先に読まれても支障はない

.

まず準備としてラック空間

BX

の3スケルトンを説明する

.

まず

,

1スケルトンは

, a X

でラベルされた円達の一点和である

.

次に2スケルトンは

,

左下図のように

, 1

スケルトン

(a, b) X2

でラベルした正方形らを貼り付けたものである

;

ここで各辺のラベルに適合

するように

,

正方形を貼合せている

.

次に3スケルトンは

,

下中図のように

,

2スケルトンに

(a, b, c)X2

でラベルした立方体らを張り合わせたものである

.

次に

,

カンドル空間

BQX

の3スケルトンは

,

ラック空間

BX

の3スケルトンに

, (a, a)-

セル のコーンをとったもの達を貼り付けたものとして定義する

(

右下図

).

a

b b

ab

a b

b ab

c c c

c ac bc

bc

(ab)c a a

a a

1 (a, a)でラベルされた2-セルと, (a, b, c)でラベルされた3-セルと,コーン.

次に

,

有向曲面絡み目

L

に対し

,

不変量を構成する

.

その為にセル写像

S3 BX

を構成 していこう

.

まず

D

を図式とし

, D

を有向曲面から

S3

への正則横断的な嵌め込みと見なすこ とで

,

その双対分割を

S3

が得られる

.

先ず

, a X

でカラーされたシートを横断する

1-

セル を

, BX

a X

でラベルされた

1-

セルに送る

.

次に

, (a, b) X2

でカラーされた2重線に 双対な

2-

セルを

, BX

(a, b) X

でラベルされた

2-

セルに送る

.

次に

, (a, b, c) X3

でカ ラーされた3重点付近の

3-

セルを

, BX

(a, b, c) X

でラベルされた

3-

セルに送る

(

2

を 見よ

).

最後に

, (a, a) X2

でカラーされた

branch point

の周りを

BQX

(a, a) X2

付の コーンへ移すことにする

(

ただし

,

厳密には

branch point

の周りのセル分割を改良する必要が あり詳細は

[N3,§2.2]

にまわす

).

とにもかくにも

,

これらの構成は全体的に貼り合い

,

セル写像

ξD,C : S3 BQX

が構成される

.

そのホモトピー類を

ΞX(D;C) π3Q(BX)

とおく

,

実は

,

カ ンドル空間の

4-cell

の定義から

, ΞX(D;C)

は図式

D

の取り方に因らない

(

詳細

[N3, §2.2]).

ここで

,

実は

, ΞX(D;C)π3(BQX)

,

或る部分群に入る事を見よう

.

それには

,

我々は

D

(3)

ab b

a

c

ξD,C

(ab)c bc

ac

a b ab

b

c

c

c

c bc

ac (ab)c bc

2 (a, b, c)でカラーされた3重点から, (a, b, c)でラベルされた3-セルへ

として

branch point

を持たない図式として取る

[CS].

すると上のセル写像は

ξD,C :S3 BX

へと制限される

.

入射

ι : BX BQX

をおき

,

部分群

π3Q(BX) π3(BQX)

をその誘導射

ι

による像とする

.

すると

,

結論は

ΞX(D;C)πQ3(BX)

となる

.

定義

3.1. L S4

を曲面絡み目とし

, D S3

をその図式とする

. X

を有限カンドルとする

.

カンドルホモトピー不変量とは

ΞX(L) =

CColX(D)

ΞX(D;C) ZQ3(BX)]. (1)

この不変量はホモトピー群に値を持つので

,

一見解り辛い

.

そこでこの不変量の「ココロ」を 節

8

で簡単に述べておいた

.

然しながら次のように定量的な話に還元できる

.

注意

3.2.

この不変量は

, generalized

カンドルコサイクル不変量に普遍的である事を見よう

(

下 式

(2)

がそれを意味する

).

これを見る為に

,

まず局所系係数の

3-

コサイクル

ψ H3(BQX;A)

を固定する

. HA: π3(BQX) H3(BQX;A)

,

その局所系のフルヴィッツ準同型とする

.

ると

ψ

generalized

カンドルコサイクル不変量とは次で定義される

:

Ψψ(L) =

CColX(D)

ψ,HA

(ΞX(D;C))

⟩ ∈Z[A]. (2)

この空間のホモロジー群

H3(BQX;A)

, [CJKLS, CEGS]

で定義されたカンドルコホモロ ジー群

H3Q(X;A)

と一致する事を注記する

.

するとフルヴィッツ準同型の定義より

, [CEGS]

で 導入された

Ψψ(L)

の組合せ的定義と

(2)

とは一致する事がわかる

.

この式

(2)

の意義を述べる

:

即ち

,

カンドルホモトピー不変量は定義からほぼ計算不可能なものであるが

,

もし

3-

コサイクル

ψ

の具体的表示が解れば

,

カンドルコサイクル不変量を通じて計算可能にするともいえる

.

注意

3.3.

重要な局所系の一例を述べる

.

まず随伴群

As(X)

の定義を思い出す

:

即ち

As(X) =

x X | a·b = b·(ab)

という群表示で定義する

.

ここで上のセル分割より

As(X) = π1(BX) = π1(BQX)

に留意する

.

任意の

aX

に対して

,

全単写

(• ∗a) :X X (x7→xa)

を考える

.

全ての

a X

を考えると

,

これは作用

π1(BX) y X

を誘導する

.

そこで

X

貼る自由加群

Z⟨X

, Z1(BX)]-

加群と見なす

.

すると複体の形から

H3(BX;Z⟨X)

自明係数の

H4(BX;Z)

に同型となる

[FRS2, Prop. 5.1].

するとこの同型を通じ

, 4-cocycle ϕ H4(BQX;A)

を局所系係数の

3-cocycle

と見なす事が出来る

.

これによるカンドルコサイ

クル不変量は

, [CKS]

で導入されたシャドーコサイクル不変量と呼ばれる

.

(4)

4

結果:

π3Q(BX)

π2(BX)

の計算

我々は定義

3.1

, Abel

πQ3(BX)

を使った不変量を構成した

.

そこで2つ問題を考えよう

:

問題

(i)

不変量の器である

π3Q(BX)

を調べ

,

カンドルホモトピー不変量を計算できるか?

(ii) π3Q(BX)

を調べる暁に

,

非自明な

generalized

カンドルコサイクル不変量を 抽出する局所系係数を決定せよ

.

(i)

に応えるために

,

まず

π3Q(BX)

の自由部分群

(

有理ホモトピー群

)

を決定した:

定理

4.1. X

連結成分

l

である有限カンドルとするとき

, π3Q(BX)

は有限生成である

.

さらに

, π3Q(BX)Q=Ql(l−1)(l−2)

3 .

特に

, l = 1

の時

, π3Q(BX)

は有限である

.

注意

4.2. l-

成分絡み目のボルディズム群を有理数でテンソルしたものは

Ql(l1)(l3 2)

である事が 知られている

. π3Q(BX)Q

は自然に

,

その群へ同型を作れる事がわかった

.

これの云わんと する事は

,

この自由部分群はカンドル

X

から連結成分の情報しか取り出せない事を意味する

.

次に

,

連結成分が

l = 1

のとき

, πQ3(BX)

の捩れ部分群を決定しよう

.

だが一般の空間では ホモトピー群の計算が難しいため

,

定理

4.3

では条件を課し議論した

.

まず

,

アレクサンダー カンドル

X

がレギュラーとは

, Z[T±]-

加群として

(1T)X = X

を満たし

, (Te1)X = 0

を満たす最小数

e

|X|

と互いに素となる事をいう

.

例として

,

有限体

Fq

ω Fq

に対し

, xy:=ωx+ (1ω)y

とした

Fq

上のカンドル構造は

,

レギュラーである

,

但し

ω ̸= 0,1

とする

.

定 理

4.3. X

を レ ギ ュ ラ ー ア レ ク サ ン ダ ー カ ン ド ル と す る

.

ま た

|X|

が 奇 数 で あ り

, H2Q(X;Z)= 0

と仮定する

.

このとき

, πQ3(BX)=H4Q(X;Z)

となる

.

注意

4.4.

この定理で多くの仮定をおいたが

,

そこそこ広いクラスである

.

例えば

,

奇数次の拡 大体

Fq

に入る上述のカンドルではこの条件を見たす

,

ただし標数は2を除く

.

証明は

§7

で解説する

.

ここでは

,

問題

(ii)

に応える系を紹介したい:

4.5.

定理

4.3

内の

X

に対し

,

任意のカンドルコサイクル不変量は

, HQ4(X;A)

のコサイクル によるカンドルコサイクル不変量の線形和となる

.

ここで注意

3.3

より

HQ4(X;A)

を局所系係 数コホモロジー群と思っている

.

Proof.

定理

4.3

での同型が

, Hurewicz

準同型を通じて得られる事による

.

詳細略

.

さらに

,

奇素数位数の連結なカンドルに関して

,

カンドルコサイクル不変量を決定した:

4.6. X = Z[T]/(p, T ω)

とする

. ω ̸= ±1

のとき

, π3Q(BX) = 0. ω = 1

のとき

π3Q(BX) =Z/pZ

であり

,

さらにその

X

の任意のカンドルコサイクルは

,

望月3コサイクル不

変量の定数倍である

.

ここで望月3コサイクルとは

H3(BQX;Fp)=Zp

の生成元をいう

. Proof. H2Q(X;Z) = 0

は知られている

.

また

ω ̸= ±1

のとき

, H4Q(X;Z) = 0

であり

, ω = 1

のとき

, H4Q(X;Z) =Z/pZ

となる事を著者は示した

([N2]).

また望月3コサイクルを使った不

変量は

,

非自明である事が知られている

.

後は定理

4.3

から得られる

.

(5)

5

結果:

π2(BX)

の計算

さらに今回の計算手法を使い

, π2(BQX)

を計算した

.

これは一次元結び目のカンドルホモト ピー不変量の容れ物であった

(

定義は

[N1, §2]

を見よ

).

或る

X

のクラスに関し

, π2(BQX)

を 次のように決定付けた:

定理

5.1.

奇数位数のレギュラーアレクサンダーカンドル

X

に対し

,

次の分裂完全列を与える:

0−→π2(BQX)−→H3Q(X;Z)−→H2Q(X;Z)ZH2Q(X;Z)−→0.

この定理の証明は

§7

で後述する

.

以下

,

この定理の完全列がどう強力であるかを述べたい

.

ま ず

H2Q(X;Z)

H3Q(X;Z)

から

,

位数の

9

以下のレギュラーアレクサンダーカンドル

X

に関し

,

捩れ込みで

π2(BQX)

をすべて決定した

.

位数の

6

以下は

, [N1]

で調べたので

, 7≤ |X| ≤ 9

の 場合に下表のようにまとめた

.

ここで

H2Q(X;Z)

H3Q(X;Z)

の計算は

Litherland-Nelson[LN]

による

.

X H2Q(X;Z) H3Q(X;Z) π2(BQX)

Z[T]/(7, T + 1) 0 Z/7Z Z/7Z

Z[T]/(7, T ω) 0 0 0

Z[T]/(2, T3+T2+ 1) 0 Z/2Z Z/2Z

Z[T]/(9, T + 1) 0 Z/9Z Z/9Z

Z[T]/(3, T2+ 1) Z/3Z (Z/3Z)3 (Z/3Z)3

Z[T]/(3, T2+T 1) 0 0 0

Z[T]/(3, T2T 1) 0 0 0

1 H2Q(X;Z)H3Q(X;Z)から得られるπ2(BQX)たち. ここでω̸=−1とした.

さらに有限体上に入るアレクサンダーカンドルに関しては

,

その

Fq

係数

2,3

次コホモロジー 群は

,

望月拓郎先生に決定されている

[M1].

であるので

,

上の完全列を使い

,

有限体上のアレク サンダーカンドルの

π2(BQX)Z/pZ

は厳密に計算できるようにした

. 3

次拡大までの有限体 に関しては

π2(BQX)Z/pZ

全てを決定した

(

詳細は

[N3, §6]

を見よ

).

その計算結果の中で

,

注目に値するものを紹介しよう

:

5.2. X

を 二 面 体 カ ン ド ル の

h

個 直 積 と す る

: X = (

Z[T]/(p, T + 1))h

.

こ の 時

, dim(π2(BQX)Fp) =h2(h2+ 11)/12.

h= 1

のとき

,

以前

,

畠中英里氏と著者は

π2(BX)

と群ホモロジー

H3(Z/pZ;Z)

との自然な 同型を作った

[HN].

この同型は

Dijkgraaf-Witten

不変量とカンドルコサイクル不変量を繋げ る有効な同型であった

.

しかし

h >1

の時

, dim(π2(BQX)Fp)

は4次の割合で増加するので

, (

3次的に増加する

)

群ホモロジーより豊富な量と期待される

.

さらに応用として

,

次のように或る

3

次カンドルホモロジー群を決定した

:

5.3. X

を奇数位数の二面体カンドルとする

.

即ち

, X = Z[T]/(m, T + 1).

この時

, H3Q(X;Z)=Z/mZ

である

.

Proof.

畠中氏と著者

[HN]

, π2(BQX)=Z/mZ

を示した

.

また

H2Q(X;Z)= 0

は知られてい

るので

,

定理

5.1

から直接結果を得る事が出来る

.

(6)

注意

5.4.

望月拓郎先生により

,

奇素数

p

に関し

H3Q(X;Z)Z/pZ

を決定していた

[M2].

一方 で

m

が奇素数のとき

, [NP, §3]

でホモロジー代数の手法で解決された

.

今回はホモトピー群か ら接近し

,

捩れ部分群こみで

m

の一般化を得る事が出来た事になる

.

また一方で

,

一次元結び目における問題

(ii)

の答えとして

,

強い主張が得られた

:

5.5. X

を奇数位数のレギュラーアレクサンダーカンドルとする

.

任意のカンドル

(

ホモト ピー

)

コサイクル不変量は

, HQ3(X;A)

の3コサイクルによるシャドーコサイクル不変量の線形 和とかける

.

この事より

, HQ3(X;A)

によるシャドーコサイクル不変量が

,

レギュラーアレクサンダーカ ンドルから出来上がる不変量の限界ともいえる

.

逆に言えば

,

今後の課題として

, HQ3(X;A)

の シャドーコサイクル不変量を調べれば

,

不変量の意味が解っていくだろうと期待している

.

6

定理

4.1

の証明方針:

π3Q(BX)Q

π2(BX)Q

の計算

定理らの証明で一番鍵となるのは

, Clauwens[Cla]

により発見されたラック空間上の位相モ ノイド構造である

.

この構造を説明する為に

, [FRS, FRS2]

によるラック空間の抽象的な定義を思いおこそう

.

まず

Y

X-set

とする

,

即ち

As(X)

の作用付き集合とする

.

そのとき

BYX

を思い出そう

.

定 義は次である:

X

Y

に離散位相をいれて

,

空間

n0

(Y ×([0,1]×X)n)

を考える

.

そして 次の同値関係を考える

:

(y;t1, x1, . . . , xj1,1, xj, . . . , tn, xn)(y·xj;t1, x1xj, . . . , xj1xj, tj+1, xj+1, . . . , tn, xn).

(y;t1, x1, . . . , xj1,0, xj, tj+1, . . . , tn, xn)(y;t1, x1, . . . tj1, xj1, tj+1, xj+1, . . . , tn, xn), (3)

この商空間を

BYX

とかきラック空間と呼ぶ

. Y

が一点の時

, §2

BX

と一致する事がわかる

.

また次に

,

カンドル空間

BYQX

を定義しよう

.

まず次の部分空間を考える

:

n2

{(y;t1, x1, . . . , tn, xn)Y ×([0,1]×X)n |xi =xi+1 for some iZ, in1}. (4)

これを

XYD

と書き

,

合成写像

:XYD ,

n0

(Y ×([0,1]×X)n)proj.

BYX

を考える

.

そこでカ ンドル空間を合成写像の錐

(

コーン

)

と定義し

, BYQX

とかく

. Y

が一点のとき

, §2

での

BQX

と一致する事がわかる

.

X

をレギュラーなアレクサンダーカンドルとする

. Y =Z/eZoX

とする

. (ϵ, y)Z/eZoX

に対し

,

全単写

(ϵ, y) :X X; x7→Tϵy+ (1T)x

をとると

, Y

X

への作用を誘導する

.

[Cla]

に基づいて

, BYX

に位相モノイド構造を入れよう:

µ: (G×[0,1]n×Xn)×(G×[0,1]m×Xm)G×[0,1]n+m×Xn+m, µ([g;t1, . . . , tn, x1, . . . , xn],[h;t1, . . . , tm, x1, . . . , xm]) :=

[gh;t1, . . . , tn, t1, . . . , tm, x1·h, . . . , xn·h, x1, . . . , xm], BYX

は弧状連結となる事も注記する

.

さらに写像

BYX BX

は主

Y

束になるので

πr(BYX)=πr(BX)

に注意しよう

(r2).

(7)

定理

4.1

の概証

Y =Z/eZ oX

とする

.

まず

BYX

のモノイド構造から

,H(BYX;Q)

にホッ プ代数構造を入れる

.

また

, BYX

は或る基点付ループ空間になる事も注意しよう

.

定義より

, BYX

は有限型の

CW

複体だから

,

ミルナー・ムーアの定理が適用できる

:

即ち

, Hurewicz

準 同型

π(BX)Q H(BYX;Q)

は単写であり

,

なおかつその像は原始的元の貼る部分空間 に同型となる事になった

( [FHT]

を見よ

).

被覆

BYX BX

のトランスファーを使う事で,

H(BYX;Q) = H(BX;Q)

がすぐ解る

.

また

H(BX;Q)

の構造はよく知られている

[EG]

ので,すぐ原始的元が何かわかる

.

とくに

π3(BX)Q = Ql(l+1)(l+2)

3

がわかる

.

さらに入射

BX BQX

による誘導射

H(BX;Q)H(BQX;Q)

に着目する

.

この射による原始的元の 行き先を確認する事

(

詳細略

)

,

目的の

πQ3(BX)Q=Ql(l1)(l3 2)

が得られる

.

7

証明の方針:

π3Q(BX)

π2(BX)

の計算

定理

5.2

の概証

Y =Z/eZ oX

とする

.

まず

BYX

は或る基点付ループ空間になるので

,

知ら れている事に

,

一次ポストニコフ不変量

k3 H31(BYX);π2(BYX))

は二倍で消える

[AP].

π1(BYX)

の捩れ部分群の位数は

|X|

で割り切れるので

k3 = 0

となる

(

下の補題

7.1

を見よ

).

これは次を即座に意味する

:

即ち

, Hurewicz

準同型

H: π2(BYX) H2(BYX;Z)

が単写であ り

,

次の分裂完全列がある:

0π2(BX)−→H H2(BYX;Z)−→H21(BYX);Z)−→0.

π2(BX) =π2(BQX)Z

を思い起こす

([N1, Proposition 3.12]).

そこで右ふたつの項を計算 しよう

.

その際に

,

次の二つ補題を示す必要がある

(

これの証明は

[N3, §4

5]

を見よ

)

: 補題

7.1. X

をレギュラーアレクサンダーカンドルとする

. π1(BYX)=ZH2Q(X;Z).

補題

7.2. X

を同様とする

.

このとき

H2(BYX;Z)=ZH2Q(X;Z)H3Q(X;Z).

π2(BX)=Zπ2(BQX)

より

,

補題らを上の完全系列に代入すれば

,

定理の結果が得られる

定理

4.3

の概証 次に

H2Q(X;Z) = 0

の仮定の基で

π3(BX)

を計算しよう

.

普遍被覆空間

BXg BYX

をおく

. BXg

に位相モノイド構造を入れると

,

再び

[AP]

の結果より

,

2次ポスト ニコフ不変量

k4 H42(BX);g π3(BXg))

は二倍で消える

.

よって

, Hurewicz

準同型を奇素数

p

で局所化することで

,

次の分裂完全系列を得る事になる

:

0−→π3(BX)g (p) −→H H3(BXg;Z)(p)−→H32(BXg);Z)(p)−→0. (5)

ここで定理

5.2

から右項が

π2(BX) =H3Q(X;Z)

が即座にわかる

.

次に真ん中の項を計算す るために

, BXg

を見ていこう

.

次のホモトピー同値を与える簡単な補題が有用である

:

補題

7.3. M

,

弧状連結で

π1(M)=Z

な位相モノイドとする

.

このとき

M ×S1 Mf.

Proof. f : S1 → M

を基本群の生成元として取る

. M

の二項演算

µ

,

被覆

g : M → Mf

取ると

,µ(f×g) :S1×M → Mf

は弱ホモトピー同値を与える

.

また次に

, Y =Z/eZ oX

として

, BYX

を考える

.

補題

7.1

により

, π1(BYX) = Z

である

.

よって

,BXg ×S1 BYX

である

.

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