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《幻想》 音楽作品の抽象絵画による表現

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Academic year: 2021

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現在、絵画を制作する際に写真を構図やモチーフの資料として使う人は珍しくない。自身 もその 1 人である。自身が高校生の時に初めて油絵を始めたが、その際もスケッチと写真を 撮ってくるように言われたのを覚えている。その頃から写真を使うことに何も疑問を持たず に絵画制作を行ってきた。これは自身だけに限ったことではなく同世代のアーティスト(制 作者)は年上の世代に比べて写真に対する抵抗が少ないように感じる。1981 年~1996 年に 生まれた人は「ミレニアル世代」(アメリカのピュー・リサーチ・センターによって定めら れた言葉)と呼ばれ様々な分野で注目を集めており自身もその世代に含まれる。この世代の 特徴の 1 つに「デジタル・ネイティブ」という言葉がある。これはミレニアル世代がイン ターネットや携帯電話、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)をはじめとする 新たなネットワーク技術を当たり前のものとして受け入れてきた唯一の世代という意味であ る。自身も物心ついた時から日常的にテレビ、パソコン、携帯電話の画面を見て育った。

2011 年、写真を共有するSNSであるFlickrは 1 日に約 700 万枚の写真をアップロードした。

だがその 2 年後の 2013 年に同じく写真を共有するSNSInstagramでは 1 日に約 5500 万枚の 写真が共有されている。ここ数年間で見ても写真というメディアはSNSやスマートフォン によって爆発的に共有され日常に浸透している。このように日常的に写真を消費するミレニ アル世代は絵画制作という場においても写真技術を当たり前のものとして受け入れていると 考えられる。自身も写真技術を当たり前のものとして受け入れてきたが、描く作品は扱う写 真やもたらされた環境によって大きく影響されたと考える。本稿では稿者が絵画制作をする にあたって影響を受けた “ 写真 ” を様々な角度から考察し直し、現在の感覚に合わせて写真 を活用し絵画制作を更新する方法を模索していく。

第1章では2000年代からのデジタル写真の進歩と日常化という点から現在の自身の環境を 作っている写真を様々な角度から考察していき自身の制作にとってどのような影響があった かを確認する。第 2 章ではデジタル写真の影響によって生まれた感覚を解決するために現代 作家のゲルハルト・リヒターを研究し現在の感覚にあった写真の活用方法を探っていく。第 3 章では修了研究作品において写真の活用方法を応用し自身の作品のテーマにあった作品制 作を行い制作についてまとめた。

《幻想》

音楽作品の抽象絵画による表現

《Illusion》

Abstract painting expression by music works

1721M03 廣津 卓郎 Takuro HIROTSU

崇城大学大学院芸術研究科美術専攻 平成30年度修了生 Division of Fine Art, Graduate School of Art, Sojo University

88 崇城大学芸術学部研究紀要 第 12 号 89

(2)

稿者は元々絵画制作とは別に作曲活動も行っており、お互い内に秘めたものを作品という 形で出力する点では同じであり、絵画作品と音楽作品を組み合わせることによって表現の幅 を広げられるのではないかと考えていた。

第一章では音楽作品と抽象絵画を組み合わせる制作スタイルについて述べた。ある時、音 楽を聴きながら抽象絵画作品を制作している際に、抽象絵画の単純な四角や丸などの図形、

線や点にリズムなどの音楽的なインスピレーションを受けた。それをヒントにして、まず音 楽作品を作り、それを基に楽器の音などから形や色を作り出し、それらで画面を構成した抽 象絵画を制作した。最後に制作した抽象絵画作品と音楽作品を一緒に展示することによって 絵画と音楽の融合を実現出来るのではないかと考えた。

第二章では音と、画面の色と形の関係について述べた。前述のように音を基に画面を起こ すというものであるが、当初は展開やフレーズが複雑な楽曲を用いて行っていた。楽曲の情 報量が多ければ、それを基にして形を作り、画面を構成する際も情報量が増えてしまいまと めるのが難しく、乱雑な画面になりがちであった。その問題の解決策として画面の中の形や 色を絞ることにした。音楽作品も単純なフレーズやリズムの繰り返しであるミニマルミュー ジックにして、その中でも高音の目立つ、印象に残る音などを形に、低音や持続音などの目 立ちにくく、印象に残りにくい音を下地の形に表す、生楽器などの暖かい印象の音は暖色 で、機械音などの冷たい印象の音は寒色で表現した。

第三章では修了制作作品《幻想》について述べた。修了制作では「幻想」をテーマにして 上記のように音楽作品を基に形や色を構成する制作方法を行った。音楽作品は、3 つの展開 に分かれた楽曲を使用した。作品に展開性を持たせるための試みであるが、今までの場合、

形にするための音を絞りやすくするため、その他にどのタイミングで作品を観覧したとして も音楽と画面の同期に違和感を少なくするために明確に展開をしないミニマルミュージック を用いていた。そのため上記の問題点に当てはまってしまった。その解決策として、絵画作 品を展開の順に右から並べて、左右の作品の裏にスピーカーを仕込む。そして音楽作品を展 開の順にイントロ、サビ、休憩のように右(R)、中央(R,L)、左(L)にそれぞれ展開ご とにわけて鳴らすことによってどの作品がどの展開に対応しているのということが分かりや すく構成した。

《環》

量による人体把握の追求

―着衣と裸婦による制作を通して―

《Kan》

A Study to Grasp the Woman’s Body in Volume

-Through Making Nude and Clothed Woman Sculptures-

1721M04 山下 智愛 Chie YAMASHITA

崇城大学大学院芸術研究科美術専攻 平成30年度修了生 Division of Fine Art, Graduate Schohol of Art, Sojo University

90 崇城大学芸術学部研究紀要 第 12 号 91

参照

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