教 育用 言語 としての英 語
一 南 ア フ リカ の 場 合 一
山 本 忠 行
【要 旨】
南 ア フ リカ 共 和 国 で はマ ンデ ラ政 権 誕 生後 、 憲 法 改 正 に よ りll公 用 語 政 策 を と る こ とに な っ た もの の 、 英 語 の 重 要 性 は増 す ば か りで あ る。 中
])
等 教 育 以 上 の 教 育 用 言 語 と して は 英 語 が 圧 倒 的 で あ る。 しか し、 これ が 多 くの 黒 人 か ら教 育 ・就 業 の 機 会 を奪 っ て い る と も言 え る。
そ の 一 方 で ア フ リカ土 着 の言 語(以 下 、 「ア フ リカ ン言 語 」 とす る)に 対 す る意 識 に は大 き な変 化 が 見 られ る。 現 状 で は教 育 用 言 語 と して 発 展 す る余 地 は 少 な いが 、 白人 もア フ リカ ン言 語 を学 び始 め る よ うに な るな ど、 少 な く と も英 語 を 中 心 とす る多 言 語 社 会 に 向 か っ て い る こ とは間 違 い な い。
【キ ー ワ ー ド】 ア フ リ カ ン 言 語 、 英 語 圏 ア フ リカ 、 教 育 言 語
1.は じめ に
サ ハ ラ以 南 ア フ リカ 諸 国 の 多 くは欧 米 列 強 の都 合 に よ っ て 国 境 線 が 引 か れ た た め に 、 多 民 族 ・多 言 語 国 家 とな っ て い るが 、 そ れ は大 き くフ ラ
ンス 語 圏 と英 語 圏 に分 け られ る。 そ して そ の 多 くで は今 な お 教 育 用 言 語 と して 旧宗 主 国 言 語 で あ る フ ラ ンス 語 、 あ るい は英 語 を用 い て い るが 、 この こ とに よ って ア フ リカ の 国 々 は さ ま ざ まな問題 を抱 え込 む こ とに な っ
教育 用言 語 として の英語
た 。 本 稿 で は主 に南 ア フ リカ 共 和 国 を例 に取 り上 げ、 他 の 英 語 圏 ア フ リ カ諸 国 と比 較 しな が ら教 育 用 言 語 と して の英 語 を め ぐ る問 題 につ い て 考 察 を加 え る。
南 ア フ リカ 共 和 国 は英 語 とア フ リカ ー ン ス 語 以 外 に 土 着 の主 要 な ア フ リカ ン言 語 が9言 語 あ る。 これ はサ ハ ラ以 南 ア フ リカ 諸 国 の 中 で は 比 較 的 に少 な い 方 で あ り、 東 ア フ リカ の ケ ニ ア は40以 上 、 タ ンザ ニ ア に 至 っ て は120以 上 の言 語 が 話 され て い る。 多 民 族 ・多 言 語 で あ れ ば 、 国 を統 治 し、 軍 隊 や 警 察 、 消 防 な どを作 っ た り、 あ るい は教 育 を行 っ た りす る
た め に は共 通 の 言 語 、 い わ ゆ る リ ンガ フ ラ ンカ(linguafranca)が 必 要 に な る。 そ して これ らの 国 々 で は 旧宗 主 国 が イ ギ リス で あ っ た た め に英 語 が そ の 役 割 を担 っ て い る。 特 に 中等 教 育 以 上 の 教 育 用 言 語 は た い て い 英 語 が 用 い られ て い る。 す な わ ち 英 語 が で きな けれ ば、 ま と も な教 育 も 受 け られ ず 、 就 職 の機 会 も限 られ る とい う こ とに な る。 この こ とは ア フ リカ の 国 々 で 英 語 が 民 族 を結 ぶ 言 語 とな る一 方 で 、 垂 直 方 向 の 上 昇 を 阻 む 障 壁 とな り、 言 語 能 力 に よ る経 済 的 ・社 会 的 格 差 を生 む とい う こ とを 意 味 す る。
2.英 語 普 及 の 実 態
2.1.南 ア フ リカ に お け る 英 語 普 及
黒 人 の 問 に どの 程 度 英 語 が 普 及 して い るか とい う こ とが 、 ア フ リカ に お け る教 育 用 言 語 と して の 英 語 を 考 え る上 で 重 要 な 判 断 材 料 とな る。 と ころ が 、 各 種 の 調 査 デ ー タ が 出 て は い る もの の 、 実 に まち まち な 数 が 出 て お り、 実 態 が 判 然 と しな い 。 ア フ リカ に お け る英 語 普 及 につ い て 考 え る に は各 種 調 査 に示 され る数 字 の 背後 に あ る もの を よ く検 討 しな けれ ば な らな い。
英 語 の 普 及 率 とい っ て も何 を も っ て 英 語 が で き る と判 断 す るか が 難 し
い。 調 査 の 多 くは ア ン ケ ー ト形 式 の 自 己 申 告 を も とに した もの で あ り、
これ が デ ー タ の信 頼 度 を低 い もの に し、 調 査 に よ る差 を大 き く して い る と思 わ れ る。 い ず れ にせ よ、 自分 の名 前 が 書 けれ ぼ 識 字 者 に数 え られ る とい う よ うな 極 端 な例 は 除 く と して も、 せ め て初 級 ・中 級 ・上 級 ぐ らい の レベ ル 別 に、 どれ ぐ らい の 比 率 に な るの か 知 りた い と こ ろ で あ る。 さ らに は4技 能 別 、 あ るい は語 彙 力 や 構 文 力 な どの観 点 か らの デ ー タ もほ しい と こ ろ で あ る。 も し、 これ を調 べ よ う とす る と、 全 国 民 を 対 象 に 英 語 能 力 試 験 を実 施 す る必 要 が 出 て くるが 、 そ れ を実 現 す る こ とは まず 不 可 能 で あ る。 で は 、 ど うす る か 。
Hebb(1996)は1994年 のSABC(南 ア フ リカ放 送 公 社)の 調 査 を引用 し て い るが 、 これ に よ る と国 民 の69%が 英 語 が理 解 可 能 と回 答 した とい う。
1991年 度 の 国勢 調 査 で は7歳 以 上 の 国民 の49.1%が 話 し ・読 み ・書 きの す べ て が 可 能 と回答 した とされ るが 、 黒 人 に限 る と36.3%が 話 す ・読 む ・ 書 くの い ず れ か が で き る と答 え、 す べ て で き る と答 えた の は28.6%だ っ た とい う。 この 統 計 に は 旧 ホ ー ム ラ ン ドが 含 まれ て い な い の で 、 南 ア フ
リカ 全 土 が 対 象 に な る と、 も っ と低 い数 字 が 出 るで あ ろ う。 表1に1996 年 度 の 国 勢 調 査 に よ る人 種 別 学 歴 構 成 比 を示 した が 、 中 等 教 育 修 了 以 上
の 黒 人 が 約15%と な っ て い る。 厳 し く見 れ ぼ、 英 語 で あ る程 度 高 度 な 内 容 の もの を読 ん だ り、 書 い た りで き るの は この15%で あ る とみ て よ い で
あ ろ う。
で は、 なぜSABCの 調 査 で は69%と い う数 字 が 出 るの か 。 調 査 対 象 と
2)
調 査 方 法 の 問 題 が 考 え ら れ る 。 第 一 に 理 解 可 能 か ど う か に つ い て 調 査 し て い る 点 が ま ず 指 摘 で き る 。 こ れ と国 勢 調 査 の よ う に 英 語 を 話 した り、
読 み 書 き が で き る と い う こ と は 違 う 。SABCの 調 査 で は 英 語 能 力 も 調 べ た と さ れ るが 、 そ こ に 示 さ れ た例 は 中 級 は̀Howmanyyearshaveyoubeen
livinginthishouse?'と い う質 問 に 、 上 級 は̀Whenyouarelis一
教 育 用言語 として の英 語
teeingtoapieceofmusicbeingplayedontheradioorata
party,whichinstrumentdoyoumostliketohear?'と い う質 問 に そ れ ぞ れ答 え られ た か ど うか で 判 断 した とい う。 た しか に後 者 は複 雑 な 文 で あ るが 、 最 後 の部 分 が 分 か っ た だ けで も答 え られ る質 問 で あ り、 能 力 を判 定 す る基 準 と して は疑 問 が 残 る。 い ず れ にせ よ、 この 調 査 で は黒 人 の59%(中 級25%、 上 級34%)が 英 語 が 理 解 で き る と…報 告 され て い る の で あ る。
ま た、 放 送 公 社 の 調 査 は 国 勢 調 査 と異 な り、S娼Cの 放 送 を視 聴 す る こ とが 可 能 な地 域 ・家 庭 を対 象 に した もの の よ うで あ る。 電 気 の 普 及 率 が 約5割 程 度 とい う現 状 か らす る と、 都 市 部 か ど うか も影 響 す るで あ ろ う
し、 家 庭 の 経 済 力 に よっ て も英 語 の 理 解 力 、 運 用 力 に大 き な差 が 出 るで あ ろ う こ とは容 易 に 推 測 さ れ る。
上 に述 べ た こ とか ら推 測 す る と、 黒 人 の 約 半i数は な ん とか 英 語 が 理 解 で き るが 、 そ の うち読 み 書 き能 力 を あ る程 度 備 え た者 は三 分 の 一 程 度 と い うの が 南 ア フ リカ 黒 人 の 英 語 力 の現状 と見 て よ い で あ ろ う。
表1二 成 人 の人種 別 学歴構 成比(1996年 度 国勢 調査)
黒人 カ ラ ー ド イ ン ド人 白人 計
高等教育 3.0 4.3 10.0 24.1 6.2 中等教育修了 12.1 X2.3 30.4 40.7 lfi.4
中等教 育一 部 32.8 42.5 40.0 32.S 33.9
初 等教 育修 了 ・一部 27.S 30.7 13.1 1.2 24.2 就学経験 な し 24.3 10.2 6.5 1.2 e
〈注 〉男女別 統計 で は初等 教 育修 了者 と未修 了者 が分 け られ てい るが、人 種 別統 計 で は なぜ か分 け られ てい な い。
2.2.他 の 英 語 圏 ア プ リ力 諸 国 の 英 語 普 及 率
で は、 南 ア フ リカ 以 外 の 英 語 圏 ア フ リカ諸 国 で は どの 程 度 英 語 が 普 及
して い る の で あ ろ うか 。 一 言 で 言 う と、 国 に よ っ て 多 少 の 差 は あ る もの の植 民 地 と して の 長 い歴 史 が あ りな が ら、 極 め て厳 しい と言 え る。 こ う
4)
した 状 況 は フ ラ ンス 語 圏 で も似 た り よ った りで あ る。
まず 、 ケ ニ アで は小 学 校 の早 い段 階 か ら教 育 用 言 語 を英 語 に切 り替 え る こ とに な っ て い るた め、 英 語 普 及 率 も高 く、 英 語 能 力 も高 い と言 わ れ る。 しか し、 英語 普 及 率 を示 す 信 頼 で き る統 計 を 入 手 で きな か っ た の で 、 確 実 な数 字 を こ こに示 す こ とが で きな い 。Schmied(1990)は タ ンザ ニ ア で 英 語 が 話 せ る者 を5%未 満 、 ケ ニ ア は そ の3倍 程 度 で あ ろ う と して い る。 た しか に ナ イ ロ ビ市 内 で 生 活 す る限 り、 英 語 が 普 及 して い る と実 感 す る。 と こ ろが 、 ナ イ ロ ビ大 学 の学 生 の 書 く英 語 を 見 る と、 語 彙 や 文 法 面 で か な り問題 を抱 えた 学 生 が 多 い こ とが 分 か る。 筆 者 滞 在 中 の文 学 科 の教 授 会 で も、 どの よ う に学 生 の英 語 能 力 を高 め るか とい う こ とが 大 き な 話 題 とな って い た 。 中 に は な ま りが き つ い学 生 が い て 、 こち らが 聞 き 取 れ ず に い た ら、 隣 の 学 生 が そ れ を言 い 直 して くれ る とい う経 験 も した 。
タ ンザ ニ ア の英 語 普 及 率 につ い て はRubagumya(1990)は 、 英 語 が あ る 程 度 理 解 で き る者 は15%と して い る。 しか し、 初 等 教 育 は原 則 と して ス ワ ヒ リ語 で 行 われ て い る こ とや 、 中等 教 育 進 学 率 が2%程 度 とい う こ と か ら考 え る とそれ ほ ど英 語 が 普 及 して い る とは 考 え が た い 。 英 語 教 育 が 1998年 か ら小 学 校1年 か ら行 わ れ る こ とに な った とは言 え、 教 科 書 を み て も他 の 英 語 圏 と比 較 して レベ ル は か な り低 い 。 ダ ル エ ス サ ラ ー ム 市 内 で も英語 が あ ま り通 じな い こ とは少 な くな い。 少 々 古 いが ブ リテ ィ ッシ ュ・
カ ウ ン シ ル の 調 査(Criper&Doddl984)で は、FormI(中 等 教 育 の1 年 目)で 英 語 を教 育 用 言 語 と して使 用 す る の にふ さわ しい能 力 を備 え た 生 徒 は1%に す ぎ な い と報 告 され て い る。
Rubagumya(同)は 分 野 別 の言 語 使 用 を表 に して い るが、 英 語 が よ く使 わ れ る と して い る の は 中等 ・高 等 教 育 、 大 き な ビ ジ ネ ス 、 観 光 、 最 高 裁
教 育用 言語 と しての英 語
判 所 な どで あ る。 逆 に ス ワ ヒ リ語 が 主 に使 用 され る と して い るの は 、 近 所 づ きあ い、 職 場 、 初 等 教 育 、 教 会 、 文 学 、 国 政 、 地 方 行 政 、 地 方 裁 判 所 な どで あ る。 新 聞 も ス ワ ヒ リ語 の もの が 中 心 で あ る。 この よ うな 使 用 域 の 違 い も英 語 の 普 及 が どの程 度 で あ るか を知 る 目安 に な る。
で は、 なぜ 南 ア フ リカ と他 の 英 語 圏諸 国 で 英 語 普 及 率 に これ だ け の 差 が あ るの か 。 南 ア フ リカ で 英 語 を母 語 とす る人 口 は表2に 示 す よ う に第 5位 で あ り、 多 数 派 とは言 え な い 。 そ れ で もア フ リカ の 国 家 と して は ア フ リカ ー ナ ー を含 め た 白人 の入 口比 率 が10.9%(1996)を 占 め、 他 の ア フ リカ 諸 国 と比 べ て 群 を抜 い て 高 い 。 こ の人 口比 率 と植 民 地 と して の 歴 史 の長 さ、 都 市 化 ・工 業 化 の程 度 及 び経 済 力 の違 い な どが 黒 人 へ の 英 語 普 及 率 が 高 い こ との一 因 で あ る こ とは 間 違 い な い 。 そ して 忘 れ て は な ら
な い の が 政 府 の 関 与 、 す な わ ち 教 育 言 語 政 策 の影 響 で あ る。
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表2:母 語 別 人 口比 率(X996年 度 国 勢 調 査)
3.南 ア フ リカ に お け る 教 育 用 言 語 と して の 英 語 一 黒 人 の 側 か ら 3.1.実 効 性 の 乏 しい11公 用 語 政 策
南 ア フ リカ で は1994年 の マ ンデ ラ政 権 誕 生 に よ り、 アパ ル トヘ イ ト体 制 が 崩 壊 し、 そ れ まで の英 語 と ア フ リカ ー ンス 語 とい う2っ の 公 用 語 政
策 が11公 用 語 政 策 へ と転 換 され た。 これ は よ く言 え ぼ、 多 言 語 主 義 に基 づ く理 想 社 会 の 実 現 を 目指 した もの と言 え るが 、 実 際 は11も の言 語 を実 質 的 な公 用 語 とす る こ とは 現 状 か ら言 っ て ほ ぼ 不 可 能 で あ り、 現 実 的 選 択 で は な い 。 な ぜ な ら公 用 語 とさ れ た す べ て の 言 語 が 生 活 の あ らゆ る面 を カ バ ー で き る わ け で は な い う え に、翻 訳 ・通 訳 で き る人 材 も乏 し く、
裏 付 け とな る予 算 もな い か らで あ る。
この11公 用 語 政 策 の実 態 は皮 肉 な見 方 を す れ ば、 言 語 使 用 の あ り方 を 国家 と して 統 制 す る こ とを あ き らめ 、 放 任 した の だ とみ る こ ともで き る。
そ して 結 果 は とい う と、 マ ス コ ミあ るい は教 育 現 場 で 英 語 の 単 一 言 語 化 の流 れ が 加 速 しつ つ あ る こ とは顕 著 で あ る。 ア フ リカ ー ン ス 語 が か っ て の 影 響 力 を失 う0方 で 、 他 の ア フ リカ ン言 語 は0応 は公 用 語 とされ た こ
とに よ っ て 多 少 は そ の 地 位 が 保 障 され た と言 え るが 、 名 目上 の 公 用 語 、 あ るい は せ い ぜ い 地 域 共 通 語 的 な もの に と どま っ て い る とい うの が 実 情 で あ る。
3.z.南 ア フ リカ 黒 人 初 等 教 育 の 変 遷
まず 、 黒 人 初 等 教 育 が これ ま で どの よ う に行 わ れ て きた か を概 観 して み た い 。1948年 の 国 民 党 政 権 樹 立 以 前 はイ ギ リス系 の ミ ッシ ョ ンス ク ー ル が 中 心 とな っ て 、 英 語 に よ る教 育 が 行 わ れ て い た 。 そ の 学 校 数 も生 徒 数 も限 られ た もの で は あ っ た が 、 白人 教 師 に よ っ て そ れ な りの質 の教 育 が 行 わ れ て い た 。 そ の 時 代 に 教 育 を受 け た の が 、 マ ンデ ラ前 大 統 領 を は じ め とす る黒 人 指 導 者 達 で あ る。1953年 か らはバ ン ッー 教 育 と呼 ばれ る 人 種 別 教 育 が 行 わ れ る よ う に な っ た 。 そ の 大 き な 目 的 は経 済 発 展 に と も な う労 働 力 不 足 の解 消 で あ っ ーた。 特 に経 済 界 で は鉱 山 や 工 場 な どで 働 く 低 賃 金 労 働 者 を 数 多 く必 要 と して い た の で 、 政 府 は そ れ に応 え るた め に
それ ま で の ミ ッ シ ョン任 せ をや め 、 黒 人 教 育 に政 府 自 ら乗 り出 し、 最 低 限 の(白 人 の 指 示 が 理 解 で き る程 度 の 英 語 お よ び ア フ リカ ー ン ス語 の 力
教 育用言 語 と しての英語
と、 簡 単 な 計 算 力 を身 につ け させ る〉 教 育 を従 来 よ り多 くの 黒 人 に 受 け させ よ う と した の で あ っ た 。
一 方 で これ はpoorwhiteと 呼 ばれ る 白人 貧 困 層(主 に ア フ リカ ー一ナ ー で 農 場 経 営 に失 敗 して 都 市 に流 入 して きた 人 々)の 救 済 も意 図 した もの で もあ っ た 。 つ ま り、 イ ギ リス 系 ミ ッシ ョ ン に よ っ て 自 由主 義 的 な イ デ オ ロギ ー と、 か な り高 度 な 知 識 や 技 術 を 身 につ けた 黒 人 が 、 白人 の職 場 や 地 位 を浸 食 す る こ とに警 戒 心 を抱 き は じめ た グル..̲̲プの考 え方 も反 映
3}
され て い た の で あ る。
バ ン ッー 教 育 を特 徴 づ け る もの の ひ とつ が 母 語 に よ る教 育 で あ っ た 。 初 等 教 育 で の母 語 使 用 そ の もの はUNESCOの 専 門 家 会 議 の報 告 書(1951)
に も示 され て い る通 り、 黒 人 に 対 す る教 育 の 普 及 と生 活 の 向 上 か ら考 え れ ぼ 当 然 と も言 え る決 定 で あ るが 、 上 述 した よ うに そ の 目的 一 黒 人 を 白 人 の た め に仕 え る労 働 力 と して 活 用 す るた め 一 に問 題 が あ っ た。 具 体 的 に は 小 学 校 の 授 業 時 間 の 半 分 は 英 語 とア フ リカ ー一ンス 語 の 習 得 に あ て ら れ 、 あ とは キ リス ト教 と簡 単 な計 算 、 園 芸 、 木 工 、 裁 縫 な どが 母 語 に よっ て 教 授 され た 。 黒 人 教 育 に 割 り当 て られ た 生 徒 一 人 当 た りの 予 算 は、 白 人 の 数 十 分 の 一 で あ った の で 、 教 材 も乏 し く、 設 備 も貧 弱 で 、 教 室 数 も 不 足 し、 教 師 の 多 くが 教 員 資 格 を持 っ て い な い とい う状 況 で 実 施 され た の が バ ン ツ ー教 育 で あ っ た 。 この よ うな教 育 が 初 等 教 育8年 間行 わ れ れ ば、 白人 が 受 け る教 育 とは大 きな 差 が 付 くこ とは明 らか で あ る。
さ ら に大 きな 問題 は 、 そ れ まで 英 語 か ア フ リカ ー ン ス語 の い ず れ か で i教育 が 受 け られ た 中 等 教 育 を、 英 語 とア フ リカ ー ン ス 語 に よ っ てXO‑‑50 原 則 で 教 え る、 つ ま り教 科 の 半 分 ず つ を各 公 用 語 で 教 え る と した こ とで
あ る。 結 果 的 に黒 人 に とっ て 初 等 教 育 と中 等 教 育 の 間 に大 き な言 語 障 壁 が 生 まれ 、 中 等教 育 以 上 に進 む 黒 人 は ご く限 られ る こ とに な っ た 。(特 に 都 市 部 で は 中 等 学 校 の設 立 が 厳 し く制 限 され て い た た め 、 中 等 教 育 を 受
け た けれ ば ホ ー ム ラ ン ドへ 行 く必 要 が あ っ た 。 しか し、 そ の定 員 も限 ら れ て お り、 学 力 が あ っ て も家 庭 の 経 済 力 や コネ が な い 都 市 の子 ど も た ち
に とっ て 中 等 教 育 へ 進 む の は極 め て狭 き門 で あ っ た 。)た だ し、 中等 ・高 等 教 育 か ら全 て の 黒 人 を排 除 す る こ とは な か っ た 。 それ は黒 人 の 支 配 や 管 理 、 あ る い は教 育 を 黒 人 自 身 に行 わせ るた め に は それ な りの 教 育 や 訓 練 を受 けた 黒 人 の 人 材 が 必 要 だ っ た か らで あ る。
と もあ れ 、 言 い 方 を換 えれ ば 、 母 語 に よ る教 育 が アパ ル トヘ イ トの シ ン ボ ル とな り、 人 種 隔 離 の 道 具 と して 利用 され た わ け で あ る。 そ して 国 民 党 政 権 は1976年 の ソ ウ ェ ト蜂 起 とい う惨 劇 が 起 き る まで 、 この政 策 の 強 制 を強 め よ う とす るば か りで あ っ た 。 これ が 一 種 の トラ ウマ とな り、
今 で も南 ア フ リカ 黒 人 が 母 語 に よ る教 育 に 否 定 的 な 態 度 を示 す 大 き な 原 因 とな っ て い る。
3.3.南 ア フ リカ黒 人 教 育 の 現 状
政 府 は1994年 以 降 、 初 等 教 育 の最 初 の 段 階 で は教 育 用 言 語 と して 家 庭
5)
語 を用 い 、 段 階 的 に 英 語 ←一部 は ア フ リカ ー ンス 語)へ と移 行 す る こ と を推 奨 す る よ う に な っ た が 、 最 初 か ら英 語 に よ る教 育 を子 供 に受 け させ よ う とす る父 母 は少 な くな い 。 これ は 家 庭 語 の 能 力 す ら十 分 で な い子 供 に とっ て 大 変 な 負 担 で あ り、 初 等 教 育 段 階 で 多 くの 黒 人 の子 ど も た ち が
6}
脱 落 す る大 き な 要 因 とな っ て い る。
で は 、 な ぜ 親 は子 供 に とっ て 負 担 の 大 き い英 語 に よ る教 育 を受 け させ た が るの で あ ろ うか 。 第 一 に 家 庭 語 で あ る ア フ リカ ン言 語 は 日常 生 活 の 中 で 既 に 身 に付 い て い るの で あ るか ら、 わ ざ わ ざ学 校 で 習 う必 要 が な い と考 え る親 が 多 い こ とが 、 挙 げ られ る。 言 う まで も な く、 会 話 が で き る とい う こ と と、 読 み 書 き とは別 の 話 で あ るが 、 親 は子 ど も に家 庭 語 の 読 み書 きが で き る よ う に な る こ とを求 め て い な い 。 とい うの は、 社 会 人 が ア フ リカ ン言 語 を読 ん だ り、 書 い た りす る機 会 は ほ とん どな く、 学 ぶ だ
教育 用言 語 としての英 語
けの メ リ ッ トが な い の で あ る。 仕 事 に も 日常 生 活 に も役 立 た な い の で は、
家 庭 語 で 子 供 に教 育 を受 け させ よ う とす る親 が 増 え な い の も、 や む を得 な い面 が あ る。
セ ネ ガ ル で も ウ ォ ロ フ語 を は じ め とす る ア フ リ カ ン言 語 がlangues nationales(日 本 で言 う 「国 語 」 とは地 位 も機 能 も異 な るので 、 「国 民語 」
とで も訳 した 方 が よい 。)と され て い るが 、 初 等 教 育 の 最初 か ら フ ラ ン ス 語 の み で 行 わ れ て い るた め 、 半 数 以 上 の 国 民 が ウ ォ ロ フ語 が あ る程 度 理 解 で き る に もか か わ らず 、 ウ ォ ロ フ語 の読 み書 きが で き る者 は ほ とん ど
アラ
い な い とい う。 つ ま り多 くの 黒 人 に とっ て 一 番 わ か りや す い は ず の 言 語 が特 別 の教 育 を受 け た も の しか 読 み書 きで きな い の で あ る。 これ に は 大
き な矛 盾 が あ る よ うに思 わ れ る。
3.4.ア フ リカ ー ナ ー と英 語
ア フ リカ ー ンス 語 は11公 用 語 政 策 導 入 と と もに、 これ まで保 障 さ れ て い た 、 英 語 と同 等 の 地 位 を 失 っ た 。 今 で も役 所 に提 出 す る書 類 に は英 語 とア フ リカ ー ン ス語 が 併 記 され て い るが 、 国 会 の 議 事 録 や 裁 判 記 録 な ど は英 語 だ け に し よ う とい う動 きが 出 て い る。 以 前 は 英 語 とア フ リカ ー ン ス語 で 極 力 同 じ時 間 放 送 さ れ て い た テ レ ビ番 組 も英 語 の もの が 増 えつ つ あ る。 そ の 一 方 で ア フ リカ ン言 語 の番 組 も徐 々 に で は あ るが 作 られ る よ
うに な っ た の で 、 テ レ ビ放 送 の世 界 で ア フ リカ ー ン ス 語 の 番 組 は大 き く 減 って きて い る。
また 、 これ まで ア フ リカ ー ン ス語 で教 育 を行 って きた ポ チ ェ フ ス トロ ー ム大 学 や ス テ レ ン ボ ッシ ュ大 学 で 英 語 に よ る講 座 が 増 え た り、 英 語 だ け を使 用 す る コ ー ス も設 置 さ れ る よ う に な って き た。 さ ら に は ア フ リカ ー ナ ー が 多 い職 場 で も、 会 議 が 英 語 で 行 わ れ る こ とが 多 くな っ た とい う。
ウ ィ ッ トウ ォー ター ス ラ ン ト大 学 で は2001年 に ア フ リカ ー一ンス 語 学 科 が 廃 止 さ れ て し ま った 。 ア フ リカ ー ナ ー に とっ て ア フ リカ ー ンス 語 だ け で
す べ て の 生 活 を行 う とい う こ とは厳 し くな って き た 。 英 語 話 者 は ア フ リ カ ー ン ス 語 を あ る程 度 理 解 で きれ ば 困 らな いだ ろ うが 、 ア フ リカ ー ン ス 語 話 者 は教 育 を受 け る の に も、 仕 事 をす るの に もか な りの英 語 力 が 必 要 と され る よ うに な っ て きて い る こ とが 反 映 され た も の と考 え られ る。 こ う した 状 況 の 中 で 、 ア フ リカ ー ン ス語 か ら英 語 へ とい うIanguageshift
8}
の 兆 候 が 見 られ る こ とは注 目 さ れ る。
4民 族 語 の 地 位 向 上 を 阻 む も の 4.1.民 族 語 と ア フ リカ の 国 々
黒 人 の初 等 教 育 の 向 上 を考 えれ ば、UNESCOの 提 言 を待 つ ま で も な く、
母 語 の使 用 が 望 ま しい。 しか し、 現 実 に は そ うは い か な い 。 ア フ リカ で は 国 家 とい う枠 組 み は植 民 地 時 代 に 欧米 に よ って 与 え られ た もの で あ り、
確 固 と した もの で は な い 。 一 つ の 国 が 多 くの 民 族 を抱 え込 む形 に な っ て お り、 そ れ ぞれ の 国 は 「国家 と して の 統 一性(nationalunity)」 を人 為 的 に作 り上 げ な けれ ば な らな い 。 リン ガ フ ラ ン カ の普 及 は この 点 で 非 常 に重 要 な課 題 で あ る。 言 語 問 題 が 原 因 で 国 家 が 分 裂 して しま うお そ れ す ら あ る。 た とえ ば、 ケ ニ ア で 有 力 な 民 族 とい え ぼ キ クユ 、 ル オ ー 、 カ ン パ な どの グ ル ー プが あ るが 、 この い ず れ か の言 語 を公 用 語 に制 定 した と す れ ば、 た ち ま ち 民 族 抗 争 が 生 じ る こ とは容 易 に予 想 さ れ る。 そ れ を避 け る に は 旧宗 主 国言 語 を使 うの が 一 番 安 全 で 、 手 間 の か か らな い道 とな る。 ス ワ ヒ リ語 もケ ニ ア のnationallanguage(国 民語)と され て い るが、
ケ ニ アで ス ワ ヒ リ語 を母 語 とす るの は海 岸 地 方 に住 む 、1%程 度 の 住 民 にす ぎ な いか らこ そ選 ぼ れ た と言 っ て よい。 も し、 有 力 部 族 の言 語 で あ っ
9)
た ら、 国 民 語 と して 選 ば れズ い な か っ た 可 能 性 が 高 い 。
また 、 初 等 教 育 修 了後 の こ と も考 え な け れ ぼ な らな い 。 南 ア フ リカ で は進 学 す るに も、 就 職 す る に も英 語 が 不 可 欠 で あ り、 英 語 力 は社 会 的 地
教 育用 言語 として の英語
位 と経 済 力 につ な が る社 会 的 上 昇 の 手 段 で あ る。 母 語 で い く ら知aや 技 術 を 学 ん で も、 そ れ を 生 か す 環 境 が な い 。 ア フ リカ ン言 語 で は教 科 書 や 辞 書 も限 られ た もの しか な く、 本 もほ とん ど出 版 され て い な い 。 新 聞 で す らズ ー ル ー 語1紙 で あ る。 こ うい う現 状 を変 え て い か な い 限 り、 ア フ
リカ ン言 語 の 将 来 は 明 る くな らな い 。
南 ア フ リカ 共 和 国 憲 法 は 言 語 権 を保 障 し、 多 言 語 主 義 を 唱 え て い る。
そ の理 念 の推 進 役 と して 憲 法 で 設 置 が 決 め られ たPANSALB(汎 南 ア フ リカ 言 語 委 員 会)は 研 究 や 政 策 立 案 と とも に行 政 や 企 業 に お け る多 言 語 主 義 の番 人 と して 紛 争 処 理 に 当 た っ て い る。PANSALBは さ まざ まな研 究 の 支 援 を行 った り、 シ ン ポ ジ ウ ム を 開 催 した り して 、 国 民 の 意 識 啓 蒙 に も取 り 組 ん で い る。 この よ うな 活 動 の 成 果 か 、 最 近 は 白人 の側 も ア フ リカ ン 言 語 を 中 等 教 育 で 学 ぶ よ うに な っ て きて い る し、 教 材 も徐 々 に増 えつ つ あ る。 ズ ー ル ー 語 や コ ーサ 語 はCD‑ROMの 教 材 も市 販 され て い る。 か な り高 価 な も の で あ るが 、 こ うい う もの が 出版 され る よ う に な った の は社 会 的 ニ ー ズ が 出 て きた か らで あ ろ う。 さ らに は患 者 との コ ミ ュニ ケ ー シ ョン を ス ム ー ズ に す るた め に とい う理 由 か ら、 医 学 部 で ア フ リカ ン言 語 の学 習 を義 務 づ け よ う とい う提 案 も示 され て い る。
42.タ ン ザ ニ ア の 例
独 立 後 、 ニ エ レ レ大 統 領 の 指 導 の 下 で 、 現 地 語 つ ま りス ワ ヒ リ語 の 普 及 に最 も力 を入 れ た タ ンザ ニ アで も最 近 は 自 由化 の 流 れ の 中 で 初 等 教 育 に お け る英 語 教 育 の 強 化 が 叫 ばれ る よ う に な っ て き て い る。 これ に は社 会 主 義 の崩 壊 に よ る貧 富 の 差 の 拡 大 な どの 中 で 出 て きた 富 裕 層 が 仕 事 や 旅 行 で 海 外 へ 出 か けた り、 子 供 を留 学 させ た り とい っ た こ とが 増 え 、 や は り 「英 語 こ そが 人 生 の鍵 」(木 村1999)と い う意 識 が 高 まっ て きた こ と が 大 き い と思 わ れ る。 欧 米 に留 学 させ るの が 難 し くて も、 ケ ニ アや ウ ガ
ン ダ な ど近 隣 の 英 語 圏 の 国 へ 留 学 させ て 初 等 教 育 か ら英 語 で 学 ばせ よ う
とい う親 も増 え て い る。木 村(同)に よれ ぼ、 教 育 の 有償 化 に よ り、1980 年 代 に90%あ っ た識 字 率 は65%に まで低 下 して い る とい うが 、 この ま
まで は貧 困 層 は ス ワ ヒ リ語 もあ ま りわ か らな い非 識 字 者 で 形 成 され 、 中 間 層 は ス ワ ヒ リ語 を、 富 裕 層 は英 語 を使 う とい う社 会 構 造 が で き あ が る 可 能 性 も あ る。
5.教 育 用 言 語 と して の 英 語 5.1.学 校 側 の 言 語 意 識
南 ア フ リカ で は親 の 多 くが 最 初 か ら子 ど も に 英 語 に よ る教 育 を受 け さ せ よ う とす る と述 べ た が 、 一 方 で 教 師側 は ど う考 え て い る か を み て み た い 。 表4は1989年 に教 育 訓 練 省 管 轄 の 学 校(黒 人 学 校)を 対 象 に行 わ れ た 教 育 用 言 語 を ど うす るか とい う調 査 の 結 果(Crawhall1993)で あ る。
回 答 を寄 せ た の は全 体 の67%に あ た る7368校 で あ る。 これ を見 る と、
最 初 か ら英 語 で 教 え る とい うの は2割 強 に 過 ぎ ず 、 親 の 意 識 とはか な り ず れ が 見 られ る。 や は り教 育 現 場 で は 日頃 の 経 験 か ら現 実 的 な選 択 と し て 英 語 へ の緩 や か な 移 行 が 望 ま しい と考 え て い た こ とが 分 か る。 この 調 査 は アパ ル トヘ イ ト崩 壊 過 程 に お け る調 査 で あ るた め 、 母 語 使 用 が 望 ま
しい と考 えて い た 学 校 が どれ ぐ らい あ るか わ か らな い の が 残 念 で あ るが 、 ソ ウ ェ ト蜂 起 以後 の ア フ リカ ー ン ス語 の地 位 低 下 が 数 字 と して 顕 著 に表 れ て い る。
StraightforEnglish StraightforAfrikaans GradualtransfertoEnglish GradualtransfertoAfrikaans SuddentransfertoEnglish 回 答 保 留
22.0 1.5 54.0 005
×3.4 7.5
表4=望 ま しい 教 育 用 言 語(1989年 の 調 査)
教 育 用言 語 と して の英 語
5.2.プ ラ ス の側 面
ア フ リカ の 国 々 で 英 語 を 教 育 用 言 語 と して 用 い る メ リ ッ トに は どの よ うな もの が あ るか とい う と、 まず 第 一 に特 定 の 民 族 に しぼ られ な い の で 、 民 族 対 立 を抑 止 し、 民 族 を超 え た コ ミ ュニ ケ ー シ ョ ン を 可 能 に す る こ と で あ る。 これ に よ って 単 一 言 語 化 が 進 め ぼ、 行 政 の効 率 化 に もっ な が る。
ア フ リカ ン言 語 で 書 か れ た もの は 数 少 な い が 、 英 語 で 書 か れ た もの は あ ふ れ て お り、豊 富 な情 報 が 得 られ 、 最 新 の科 学 技 術 を学 ぶ こ とが で き る。
また 、 海 外 の 資 金 や 支 援 に頼 らざ る を得 な い現 状 で は、 国 境 を越 え た 経 済 活 動 を す る た め に 国 際 語 を使 い こ なす こ とは エ リー トの 条 件 と な る。
5.3.マ イ ナ ス の 側 面
た だ し、 小 学 校 を ち ゃん と卒 業 で き る黒 入 生 徒 は半 数 あ ま り とい う高 い ドロ ッ プ ア ウ ト率 か ら もわ か る よ うに 、 多 くの 黒 人 に と って 英 語 に よ
る学 習 が 大 き な 負 担 、 壁 とな っ て い る。 これ を克 服 で きな い 入 々 は社 会 の 底 辺 で 貧 困 に あ え ぐ こ と に な り、 それ が 治 安 の悪 化 に見 られ る社 会 不 安 の 要 因 の 一 つ に もな っ て い る。 政 治 家 の 演 説 も含 め て 、 多 くの 情 報 は 英 語 に よ っ て 流 され て お り、 英 語 が 分 か らな い半 数 の 黒 人 達 は 情 報 か ら 隔 離 され た ま ま とな って い る。 こ う した こ とは劣 等 意 識 を作 り出 す と と も に、 民 族 の 誇 りを 失 わせ る こ とに も な る。 さ ら に は 口承 文 芸 を は じめ とす る文 化 遺 産 の 伝 承 に も支 障 を来 す 。
6.言 語 に対 す る意 識 の 変 化
表5は 西 ケ ー プ大 学 で 行 わ れ た 学 生 の 教 育 用 言 語 に 対 す る意 識 調 査 の 結 果(Dyers1999)で あ るが 、 母 語 を大 切 に しよ う とい う学 生 が か な りい る こ とに驚 か され る。 これ は1994年 以 降 の政 治 の流 れ の 変 化 が 意 識 に 表 れ た もの と思 わ れ る。 現 実 は 英 語 一 辺 倒 で あ って も、 意 識 と して は 自分 た ち の 言 語 や 文 化 を大 切 に した い とい う気 持 ちが 強 ま っ て い る の で あ ろ
う。 こ うい う意 識 を持 っ た者 が 増 え て くれ ば 、 ア フ リカ ン言 語 の使 用 域 が 今 後 拡 大 す る可 能 性 もあ る。特 に ア フ リカ ン言 語 で 大 学 教 育 を 受 けた い と考 え て い る者 が か な りい る こ とに気 づ く。 筆 者 滞 在 中 の2000年8月 に に ポ チ ェ フス トロ ー ム大 学 で 開催 され たPANSALBの 会 議 の テ ー マ は 「高 等 教 育 に お け る言 語 政 策 」 で あ っ た が 、 そ こで は各 大 学 が 学 内 の 案 内 板 に ア フ リ カ ン言 語 を取 り入 れ た とか 、 デ ィス カ ッシ ョン を ア フ リカ ン言 語 で 行 っ た ら好 評 だ っ た とい う よ うな 意 見 が 次 々 と出 され た 。 しか し、
教 師 が そ れ に対 応 で き な い とか 、 試 験 の 時 に 困 るな ど とい う問 題 点 も数 多 く指 摘 さ れ た 。
表5西 ケ ー プ大学 の学 生 の言語意 識
第1学 年 第2学 年 賛成 反対 賛成 反対 初 等 中等 教 育 で は母語 だ けを使用 すべ き 40.4 54.4 30.8 61.5 憲 法 で保 障 されて い るのだ か ら大 学 の講義 の一部
あ るい は全 部 を母語 で受 け られ る ようにすべ き 45.9 4Q.3 28.2 48.7 すぺ ての ア フ リカ ン言語 が大 学教 育 で使 える よ う
にす べ き 64.9 61.5
標 準化 され たNguni系 の言 語(Zulu,Xhosa)を 教
育 で 使 え る言 語 の 一 つ に育 て るべ き 63.1 43.6 標 準化 さ れ たSothoやTswanaを 教 育 で使 え る言 語
の 一 つ に 育 て るべ き 31.6 40.4 20.6 38.4
Tutorialの 討 議 で 母 語 を 使 い た い 45.6 47.4 33.3 59.0 Tutorialで み ん なが 自分 の言 葉 を使 い 出 す と問 題
が 生 じ る 78.9 74.3
Tutorialで 母 語 が 使 え た ら、 理 解 度 が 増 す 64.9 69.6 学 内 に お け る他 の 学 生 との 日常 のi接触 に よっ て 他
の ア フ リカ ン言 語 が 理 解 ・使 用 で き る よ うに な っ た
4'1.3 15.8 33.3 41.0
※ 学 生 の 母 語Xhosa44,2%,Afirkaans16.0%,Englishl9.0,EngIish&Afri‑
kaans8.0%,Sotho3.0%,Tswana3.2
教 育用言 語 と して の英 語
7.課 題
7.1.英 語 教 育 の 質 の 向 上
今 の 南 ア フ リカ に とっ て 行 政 で も企 業 で も英 語 を使 わ な い とい う こ と は考 え られ な い こ とで あ るか ら、 ど うや っ て 国 民 の 間 に英 語 を 普 及 させ 、 そ の レペ ル ア ッ プ を 図 るか は 重 要 課 題 の ひ とつ で あ る。 英 語 を母 語 と し な い 児 童 に ど うす れ ば効 率 的 か っ 効 果 的 な英 語 教 育 が で き るの か 、 研 究 な らび に教 材 開 発 、 教 授 法 の 改 善 な どが 求 め られ る。 また 、 他 の 科 目 の 教 師 を含 む 黒 人 教 師 の 英 語 力 の 向 上 も大 き な課 題 で あ る。 ク ワズ ー ル ー ・
ナ タ ー ル 州 の 教 育 長 官 で あ る チ ャ ー ル ズ ・ジ ャ ミニ(CharIesDlamini)
は2002年5月 に ダー バ ン で 開 か れ た ワ ー ク シ ョ ッ プで 多 くの 生 徒 が 第 二 言 語 で 学 習 しな けれ ぼ な らな い こ とで 大 き な 損 を して い る と し、 さ らに 教 師 が 十 分 な 英 語 力 を備 え て い な い こ とが 問 題 を複 雑 に して い る と指 摘
した 。(DailyNews.2002/5/16) 7.2.言 語 障 壁 の 解 決
英 語 を第 一 言 語 と しな い者 は、 当然 の こ とな が ら大 学 進 学 時 に大 き な ハ ン デ ィ キ ャ ッ プが あ る。 そ の た め そ うい う志 願 者 が 大 学 進 学 す る と き に は得 点 が 加 算 され る とい う、 い わ ゆ る ア フ ァー マ テ ィ プ ア ク シ ョ ンが
と られ て い るが 、 これ に は 白人 の側 か ら強 い不 満 の 声 が 出 て い る。
現 在 、 高 等 教 育 を受 け る に は英 語 か 、 ア フ リカ ー ンス 語 の 能 力 が 必 要 で あ るが 、 ズ ー ル ー一語 や コ ー サ 語 は そ れ よ り も大 き な思 語 人 口 を抱 え て い るの で あ るか ら、 取 り組 み 方 次 第 で は ア フ リカ ン言 語 で 高 等 教 育 を 行 う こ とは不 可 能 で は な い は ず で あ る。 そ うな れ ぼ入 学 資 格 試 験(融TRIC) も各 言 語 で 行 う こ とに な るで あ ろ う。 それ を可 能 にす るた め に は政 府 が 積 極 的 に 関 与 す る必 要 が あ る。 専 門用 語 を 制 定 し、 文 法 や 表 記 で も標 準 化 して い か ね ば な らな い し、 辞 書 や 教 科 書 、 新 聞 ・雑 誌 な どの 発 行 も推 進 す る必 要 が あ るが 、 そ う した とき ア フ リカ ン言 語 が9つ あ る とい うの
は大 き な コ ス ト的 障 害 に な る。
この9つ の 言 語 は言 語 の 系統 か ら 「ン グニ 系 言 語 」 と 「ソ ト語 系 言 語 」 お よ び 「そ の他 」 に分 け られ る。 それ ぞ れ の 系 統 内 で は特 に学 習 しな く て もあ る程 度 通 じ る の で 、 方 言 とい っ て もい い よ うな と こ ろ もあ る。 南
ア フ リカ の 言 語 政 策 立 案 の 中 心 的 役 割 を担 って き た ケ ー プ タ ウ ン大 学 の ネ ヴ ィル ・ア レキ サ ンダ ー(NevilleAlexander)な どは ア フ リカ ン言 語 を言 語 の系 統 別 に統 合 し、 標 準 語 化 を 図 っ て 、 「共 通 ン グ ニ 語 」 「共 通 ソ
ト語」 と して リンガ フ ラ ンカ に して、 英語 に代 わ る 「民族 を結 ぶ言 葉(link‑
inglanguage)」 に して い き、 他 の 少 数 言 語 は保 護 して い くこ とを提 案 し て い る。 しか し、 そ れ ぞ れ の 言 語 の 標 準化 す ら ま ま な らな い 現 状 で は 、
その 実 現 の 可 能 性 は 少 な い 。 この よ うに言 語 の数 を減 ら して い くこ とは、
国 の統 一 性 を高 め る 、 あ る い は行 政 や 経 済 の 効 率 化 を進 め て い く上 で は 有 効 な手 段 で あ ろ うが 、 言 語 権 の保 護 とい う こ と とは矛 盾 して い る。
8.問 題 提 起
第 一 に考 え な けれ ば な らな い の は、 本 当 に す べ て の 南 ア フ リカ の 黒 人 に知 的 活 動 に必 要 な 言 語 能 力 、 い わ ゆ るCALP(学 習 言 語 能 力)レ ベ ル の 英 語 力 を 求 め る必 要 が あ るの か とい う こ とで あ る。 黒 人 の 問 に 英 語 が 普 及 して い な い とい うの は 、 英 語 が で きな くて も生 活 で き る人 、 英 語 を全 く必 要 と して い な い 黒 人 が 数 多 く、 特 に農 村 部 に い る とい う こ とで あ る。
農 村 部 の黒 人 に とって は 、 英 語 よ りも まず 知 識 や 技 術 が 必 要 で は な いか 。 そ して 英 語 が で き な くて も、 あ る程 度 の チ ャ ン ス が 与 え られ る社 会 を築 い て こ そ、 理 想 的 な 多 言 語 社 会 と言 え るで あ ろ う し、 人 材 の有 効 活 用 に つ な が る と思 わ れ る。
第 二 に黒 人 が 一 方 的 に英 語 を学 ぶ の で は な く、 英 語 母 語 話 者 も多 数 派 で あ る黒 人 の言 語 を 学 び 、 い ず れ の 言 語 で も コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ンが とれ
教 育用 言 語 として の英 語
る よ う に な る こ とが 一 つ の 理 想 的 な姿 だ と言 え よ う。 英 語 が 南 ア フ リカ のlinkinglanguageと して機 能 して い る こ とは 間 違 い な い が、 それ を 当 然 の こ と と受 け止 め る の で は な く、 互 い の 言 語 や 文 化 を 尊 重 して い くこ とが 平 和 的 に共 生 して い くた め に不 可 欠 の 条 件 で あ ろ う。 そ う した とき、
これ ま で厄 介 者 だ っ た 民 族 語 問 題 が 、 は じ め て 文 化 的 資 産 と して 認 め ら れ た こ とに な るの で は な い だ ろ うか 。
g.日 本 の英 語 教 育 へ の 提 言
日本 で は小 学 校 か ら英 語 教 育 を始 め る とか、 ス ーパ ー ・イ ン グ リ ッシ ュ ・ ラ ンゲ ー ジ ・ハ イ ス クー ル を作 る とか 、 さ ま ざ ま な 日本 人 の 英 語 力 向 上 プ ラ ンが 示 され 、 英 語 が 使 え る 日本 人 を増 や そ う と して い る。 しか し、
母 語 に よ る教 育 を 実 施 した くて もな か な か そ れ が 実 現 で き な い ア フ リカ の 事 例 を 調 べ れ ば 調 べ る ほ ど、 母 語 能 力 の 重 要 性 を痛 感 させ られ る。 ゆ と り教 育 の 中 で 国 語 力 が 低 下 して い る 日本 人 に 英 語 を 小 学 校 か ら学 ぼ せ る こ とに どれ ほ どの 意 味 が あ るの か 。 基 礎 的 な コ ミ ュニ ケ ー シ ョ ン に必 要 な英 語 能 力 、 い わ ゆ るBICS(伝 達 言 語 能 力)に も達 して い な い高 校 生
に、 ど うや っ て 英 語 で 教 科 教 育 をや ろ う とい う の か 、 理 解 に 苦 しむ 。 英 語 で 教 科 を教 え れ ば 、 それ で 英 語 能 力 が 高 ま る とい うの な ら、 英 語 とい う科 目 は必 要 な い の だ ろ うか 。 日本 語 教 育 で は 日本 語 以 外 に 日本 事 情 とい う科 目 が 設 け られ る こ とが 多 い 。 これ は 日本 に 関 す る知 識 や 日本 語 の 教 科 書 に 出 な い 語 彙 を増 や す こ とに は な る だ ろ うが 、 日本 事 情 科 目
だ けで 日本 語 能 力 を 向 上 させ られ るわ け で は な い 。 この 計 画 を 立 案 した 人 々 に は この 辺 の違 い を 理 解 して い な い と思 わ れ る。 い ず れ に せ よ英 語 を教 育 用 言 語 と して用 い る こ とに 耐 え られ る能 力 を備 え た 一 部 の 生徒 に エ リー ト教 育 を す るの な らわ か るが 、 国 民 全 員 に 英 語 を 強 制 す る必 要 は
な い し、 無 駄 な こ とで あ る。
英 語 が 使 え る人 材 を養 成 す る とい うの で あ れ ば 、 英 語 に よ る教 科 教 育 よ り も、 英 語 の 教 え方 そ の もの を考 え直 す べ き で は な い か 。 カ ナ ダ を は じめ 、 世 界 各 地 で イ マ ー ジ ョン教 育 が 行 わ れ て い るが 、 これ に よ っ て理 解 力 は 付 い て も、 表 現 力 が 育 た な い とい う こ とが 中 島(1999)な どで す で に報 告 さ れ て い る。 異 文 化 体 験 と して の 意 義 は大 き い で あ ろ うが 、 語 学 教 育 と は言 え な い 。 そ の 一 因 は教 え る側 に言 葉 を 客 観 的 に と らえ る訓 練 が な さ れ て い な い か らだ と思 わ れ る。 自分 の 言 葉 を レベ ル 別 に コ ン ト
ロ,̲.̲ルし、 ど うア プ ロー チ す れ ぼ 、 相 手 が 理 解 で き るか 、 ど う い う刺 激 を 与 えれ ば 、 ど うい う発 話 行 動 を 引 き 出せ るか 、 それ が わ か ら な い の で は 意 味 が な い。
この 点 を 押 さ え な い 限 り、 い く ら英 語 を教 育 用 言 語 と して 他 の科 目 を 教 え る た め に使 っ て も、 理 解 の 妨 げ に な る だ けで な く、 運 用 力 の養 成 に
はつ な が ら な い 。 せ いぜ い 単 語 力 が 増 す だ け に終 わ るだ ろ う。
※本 稿 は2002年9月7日 に青 山 学 院 大 学 で 開 催 さ れ た 大 学 英 語 教 育 学 会 (JACET)全 国 大 会 シ ン ポ ジ ウ ム 「教 育 言 語 と して の 英 語:言 語 政 策 の 観 点 か ら」 に お け る発 表 に加 筆 した もの で あ る。
【注 】
1)MediumofInstruction(MoI)は 「教 育 言 語 」 「教 授 言 語 」 な ど と も呼 ばれ るが 、 意 味 を 明確 に す る とい う趣 旨か ら 「教 育用 言 語 」 と して お く。 南 ア フ リカ で はthelanguageoflearningandteaching(LoLT)と い う名 称 が よ く使 わ れ る よ う に な っ て き た が 、 こ こで は従 来 通 り に して お く。
2)Webb(1996)も この 数 字 の 違 い に つ い て4点 か ら考 察 して い る。 ① どれ だ け の 人 を 対 象 に した か 、 識 字 率 な の か 、 単 に 英 語 の 知 識 が あ る か 、 が 問 題 で あ る。 ② 国 勢 調 査 の 数 に は ア ジ ア人 、 カ ラー ド、 白人 、 黒 人 な どす べ て の住 民 が 含 まれ 、 黒 人 だ け に つ い て 考 え る と英 語 に対 す る 知識 の 意 味 合 い も違 っ
教 育 用言 語 と しての英 語
て くるの で 、 実 用 的 な 英 語 能 力 を備 えた 黒 人 が この 数 字 の分 だ け い る と は言 え な い。 ③ 国 勢 調 査 の49.1%も 旧 ホ ー ム ラ ン ドを含 ん で い な い の で 、 南 ア フ
リカ の 全 体 像 と は言 え な い 。 ④ 言 葉 が 分 か る と言 っ て も基 礎 的 な 段 階 か ら、
き わ め て 高 い レベ ル まで 含 ま れ る。
3)セ ネ ガ ル の1992年 の 非 識 字 率 は73.1%と され て い る。 つ ま り、 字 が 読 め る の は26.9%で あ り、 公 用 語 で あ る フ ラ ンス 語 が 多 少 な り とも理 解 で き る者 の 比 率 は この 程 度 と見 て よ い。 しか し、 実 際 に あ る程 度 フ ラ ンス 語 で 話 した
り、 書 い た りで き る者 の 割 合 は これ よ りか な り低 い と思 わ れ る。
4)国 民 党 政府 に は、西 洋 的 な教 育 で は黒人 は堕 落 す るだ けで あ り、 怠惰 に な っ たSpoiltNativeは 、 よい 労 働 者 に な らな い 、 あ る い は ミ ッシ ョ ン に よ る教 育 は 黒 人 に 白人 と同 じ よ うに な れ る とい うお か しな 夢 や 希 望 を与 え る、 とい
う見 方 が あ っ た。
5)母 語 とほ ぼ 同義 と考 え て よ いが 、MotherTongueは ア パ ル トヘ イ ト時 代 を 連 想 させ るの で 、homelanguageと 呼 ば れ る こ とが 多 い。
6)ド ロ ッ プ ア ウ ト率 の高 さ に つ い て は 「4人 に1人 は第 二 学 年 に進 め な い と い う状 況 が30年 以 上 続 い て い る」(Taylorl989)、 「1972年 に小 学 校 を7年 で 終 え るの は31.3%」(Hartshorne1992)な ど と され て い る。
7)Ka(1993)に よ る とセ ネ ガ ル にお け る ウ ォ 『ロブ語 の 母 語 話 者 は4割 弱 だ が 、 第 二 言 語 話 者 も含 め る とウ ォ ロ フ語 を話 す こ とが で き る者 は人 口 の8割 に の ぼ る とい う。 ウ ォ ロ フ語 を初 等 教 育 に用 い る こ とが試 験 的 に行 わ れ た こ と も あ る もの の 、 明 確 な 目標 が な か っ た こ とや 予 算 の 乏 しさ な どか ら挫 折 した と
して い る。
8)Branford(1996)は1980年 度 と1991年 度 の 国 勢 調 査 を比 較 し、 これ ま で ア フ リカ ー ン ス語 話 者 が ほ とん どだ った カ ラ ー ド人 口 の 中 で 英 語 母 語 話 者 が 12%か ら15%に 上 昇 した こ とに注 目 して い る。 ち な み に1996年 度 の 国 勢 調 査 で は16.4%に な って お り、 さ らに英 語 へ の移 行 が進 み つ つ あ るの だ と思 わ れ る。
9)海 岸 地 方 の 限 られ た 言 葉 に す ぎ な か っ た ス ワ ヒ リ語 を 、 植 民 地 の統 治 上 、 経 営 上 の 必 要 か ら ドイ ツ 、 イ ギ リ ス が 東 ア フ リ カ 各 地 に 広 め た 。
【参 考 文 献 】
木 村 映 子(1999)「 タ ン ザ ニ ア の 教 育 用 言 語 問 題 」 『南 か ら み た 世 界03:ア フ リ カ 』 大 月 書 店
中 島 和 子(1998)『 バ イ リ ン ガ ル 教 育 の 方 法 』 ア ル ク
山 本 忠 行(2002)「 南 ア フ リ カ の 言 語 政 策:英 語 と ア フ リ カ ー ン ス 語 の せ め ぎ 合 い 」 『世 界 の 言 語 政 策 』 く ろ し お 出 版
(2001)「 言 語 政 策 か ら 見 た ソ ウ ェ ト 蜂 起 」 『創 価 大 学 ア フ リ カ 研 究 セ ン タ ー 年 報 』
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