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筑波技術大学 紀要

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筑波技術大学テクノレポート Vol.22 (1) Dec. 2014

透析患者に対する下肢電気刺激療法と運動療法による 運動耐容能改善効果の比較対象臨床試験の研究

三浦美佐

筑波技術大学 保健科学部 保健学科理学療法学専攻 キーワード:血液透析,運動療法,下肢電気刺激,運動耐容能

成果の概要

わが国の身体障害者に占める内部障害者の増加が著し く,なかでも腎臓機能障害者は内部障害者の中で第 2 位 の患者数を示している。腎臓機能障害者の代表格は慢 性腎不全透析患者であるが,2011 年の透析人口全体で はついに 30 万人を突破し,国民 400 人に1人の割合にま で高まった。しかもその予備軍は更に多い。しかし,近年 の血液透析療法の進歩はめざましく,長期間の生存が可 能になってきた。その一方で,透析患者の ADL 自立度は,

脳血管疾患患者より比較的保たれているとはいえ,透析患 者の運動耐容能自体は心不全患者や COPD 患者の運動 耐容能と同程度まで低下している。また運動習慣のない透 析患者や運動耐容能の低い透析患者の生命予後は不良 であることが判明し,透析療法には至らない保存期慢性腎 不全患者においても状況は同様である。今回,患者に不 快感を与えない微弱な電気刺激や運動療法を腎不全患者 に適用して,それらの臨床的有効性を検証したので,以下 に報告する。運動療法は,運動負荷試験にて心電図異 常がないことを確認,嫌気性代謝閾値(AT)を計測し,

この ATレベルで自転車エルゴメーターを図1のように,週 1 ~ 2 回 30 分間施行した。電気刺激療法は,図 2 のよう に10Hz の微弱電流を下肢に痛み閾値以下の強度で通電 した。

図1 透析中の運動例

図2 透析中の電気刺激例

症例数は 15 例で,運動療法群 5 例,電気刺激群 5 例,

対照群(通常の血液透析治療)18 例とした。性別は,

男性 12 例,女性 3 例で,年齢 71±9 歳,身長 161.5±6.9,

体重(ドライウエイト)60±14.4㎏であった。

18 例に 2 型糖尿病,26 例に高血圧を認め,全例が 4 年以上の透析歴を有していた。

介入前の心臓自律神経活動の計測では,交感神経活 動の過活動と副交感神経活動低下が認められ,日常生 活の活動量も,年齢平均値よりも50 パーセント以上低下 していた。介入前と介入 90 日後の前後比較では,大腿 四頭筋力では運動療法群 70.0 → 84.0,電気刺激群で 45.0 → 52.3N 改善が認められたが,対照群に変化は認め られなかった。心臓自律神経活動の変化でも,交感神経 活動の低下が認められたが,電気刺激群で副交感神経活 動がより活性化されていた。これらの成果は,第 20 回心臓 リハビリテーション学会および,第 8 回国際リハビリテーショ ン医学会議(ISPRM 2014)で発表予定であり,データの 1 部分は英語原著論文 Proceedings of the 7th World Congress of the International Society of Physical and Rehabilitation Medicine にすでに掲載されている。

また非透析日に,慢性腎不全の代表格である,糖尿病 性腎症(CKD ステージ 5)と慢性糸球体腎炎(ステージ 2)に週 1 日,30 分間の ATレベルでの有酸素運動を実 施した結果でも,介入前後に交感神経活動の抑制および,

持続性交感神経活動の抑制が認められた。しかし,週 1

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─ 128 ─ 日の運動では,CKD ステージ 5 の患者の運動耐容能は改

善できなかった。したがって,運動の頻度や運動への参加 部位が多ければ多いほど,筋力や運動耐容能は改善しうる 可能性が示唆されたが,週 1 日の有酸素運動でも,交感 神経活動に影響を与えうると考えられる。この成果は,第 4 回日本腎臓リハビリテーション学会にて発表予定である。

本研究の限界は,対象者数が少ないこと,比較的若年

層が対象であったため,増加している高齢透析者に対して 対応可能かどうか,安全面で検討されていないこと,介入 期間が短いこと,があげられる。

今後は,対象数を増やし,運動リスクがより高い高齢透 析者で,長期の介入を行い,効果を検討する必要があると 考えられる。

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