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吉野 良子

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Academic year: 2021

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BookReview

MichaelMANN,

TheDaykSideofDemocracy:ExplainingEthnicCleansing

(CambridgeUP,2005,pp.580,£45/£17.99[pbk])

吉野 良子

YochinoRyoko

『民 主 主 義 の 邪 悪 な 側 面 』 刺 激 的 な タ イ ト ル を 冠 し た 同 著 は 英 国 人 社 会 学 者 マ イ ケ ル ・マ ン(1942‑)の 手 に な る 業 績 で あ る 。

歴 史 社 会 学 を 専 門 と す る マ ン は,1988年 度 ア メ リ カ 社 会 学 会 最 優i秀 学 術 出 版 賞 を 受 賞 し た 大 作 『社 会 的 力 の 諸 源 泉 』(TheSourcesofSocialPower,

CambridgeUP,VoLI1986,VotII1993=邦 訳 『ソ ー シ ヤ ル パ ワ ー:社 会 的

〈力 〉の 世 界 歴 史 』N'TT出 版,1巻2002年,II巻 上 ・下2005年)の 著 者 と し て 名 高 い 。 最 近 の 著 作 と し て は 合 衆 国 批 判 の 書 『論 理 な き 帝 国 』(lncoherent .Empire,Verso,2003=邦 訳2004年)や 『フ ァ シ ス ト 』(Fascists,Cambridge

UP,2004)が あ る 。 本 書 は1999年 に 執 筆 さ れ た 同 名 の 論 文 「民 主 主 義 の 邪 悪 な 側 面 」(̀TheDarkSideofDemocracy:TheModernTraditionofEthnic

andPoliticalCleansing',N伽L⑳1〜 爾 θω,No.235,1999,pp.18‑45)を 発 展 さ せ た も の で あ り,2006年 度 ア メ リ カ 社 会 学 会 比 較 歴 史 社 会 学 部 会 の バ リ ン ト ン ・ ム ー ア 賞 を 受 賞 し た 話 題 の 書 で あ る 。 『フ ァ シ ス ト 』 と 並 ん で 『ソ ー シ ャ ル パ ワ ー 』 の 続 編 と も 位 置 づ け ら れ る 。

民 族 浄化=民 主化 の過 程 と共 謀 して 拡 散=民 主 主 義 の邪 悪 な側 面

通 常,民 族 浄 化 は前 近 代 的 で 遅 れ た社 会 の現 象 と理解 され て きた。 翻 っ て 民 主 主 義 は近 代 性 と結 びつ け られ社 会 の 成 熟 度 の指 標 と見 な され て きた。 浄 化 と民 主 主 義 は相 反す る2つ の現 象 と考 え られ て きた の で あ る。

本 書 は,こ の単 純 だ が力 強 い 通 念 に挑 戦 を投 げ か け,大 量 殺 鐵 を伴 う民 族

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浄 化 が 「近 代 的」 で 「民 主 主 義 の 邪 悪 な側 面」 を持 つ だ け で な く,「 民 主化 の過 程 と共 謀 して広 が る」 もの で あ る こ と を 明 らか に した(PP.2,505)。 マ ンの 非 凡 さは 『ソー シ ャル パ ワー 』 で余 す と こ ろな く示 され た ス ケ ー ル の大 きさ と緻 密 さ と を兼 ね そ な えた 分 析 力 で あ るが,そ れ は本 書 にお い て も遺 憾 な く発 揮 され て い る。事 例 だ け で もア ル メ ニ ア(5〜6章),ナ チ ズ ム(7〜

10章),共 産 主 義一 ス タ ー リ ン ・毛 沢 東 ・ポ ル ポ ト(11章),ユ ー ゴス ラ ビ ア(12〜13章),ル ワ ンダ(14〜15章),イ ン ドとイ ン ドネ シア(16章)を 視 野 に収 め て い る。 大 作 で あ る。

本 書 で は これ らの 事 例 を通 して 以下 の8つ の 命 題 が 再 考 され て い る。

命 題1)民 族 浄化 は近代 的 な も の で ある 。 近代 以 前 に も浄化 は存 在 したが, マ ン に よれ ば,そ れ は征 服 者 が 労 働 力 と して の現 住 民 を欲 しな か っ た場 合 に の み生 起 す る偶 発 的 事 象 で あ っ た。 これ に対 し近 代 以 降 は,2つ の エ ス ニ シ テ ィが 混 在 す る環 境 にお いて 「エ ス ノ ・ナ シ ョナ リズ ム運 動 が 彼 ら 自身 の エ トノ ス の た め に国 家 を要 求 す る」 場 合,demosとethnosと い う本 来 な らば異 な る次 元 に位 置 づ け られ る概 念 が 主 権 者 た る 人民Thepeopleと い う範 疇 と 同0視 され る 。 こ の時,「 民 族 浄 化 は民 主 主 義 の 邪 悪 な側 面 」 と して 立 ち現 れ るの で あ る。

命 題2)民 族 浄 化 は 階級 分 裂 を捏 造 し搾 取 とい う階 級 感 情 を エ ス ニ ック集 団 に置 換 す る。

命 題3)2つ の エ ス ニ ッ ク集 団 が正 統 性 と領 土 の所 有 権 を主 張 す る場 合, 事 態 は さ ら に危 険 な も の とな る。

命 題4)大 量 殺 人 の2つ の シ ナ リオ:A)あ ま り強 力 で な い エ ス ニ ッ ク集 団 が 同 盟 者 か らの援 助 を信 じ,服 従 よ りは 闘争 を選 択 す る場 合,内 戦 の 開始 とエ ス カ レ.̲̲̲ショ ン に よ る大 量 殺 人 が 発 生 す る。B)よ り強 力 なエ ス ニ ッ ク 集 団 が物 質 的 ・倫 理 的危 険 をそ れ ほ ど犯 す こ とな く浄 化 され た 国 家 を創 造 で

きる場 合,大 量 虐 殺 を もた らす 先 制 攻 撃 が 起 こ りうる。

命 題5)2つ の シナ リオ は戦 争 な どの 地 政 学 的 圧 力 に よ っ て党 派 的 で急 進 的 な もの と な り,和 解 と弾 圧 とが混 在 す る カ ー ドを切 る こ とは放 棄 され て し ま う。

命 題6)し か しなが ら,残 忍 な浄 化 が 加 害 者 の 意 図 に よ って行 な わ れ る こ

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とは まれ で あ る。 多 くの 場合 残 忍 な浄 化 は予 測 で きない不 慮 の 出 来事 で あ り, 政 治 が エ ス カ レー シ ョ ンを抑 制 す る。 ヒ トラー や ミロ シ ェ ビ ッチ の場 合 で さ え,そ れ は最 初 か ら意 図 され た 計 画 的犯 行 で は な く,論 理 的 副 産 物 で あ っ た 。

命 題7)つ ま り,加 害 者 は団 結 した 国家 エ リー トで も人 民 全 体 で も ない 。 エ ス カ レー シ ョ ンは 指 導 者,軍 人 そ して大 衆 の 問 の複 雑 な相 互 作 用 の 中 で起 こ る の で あ る。 「demosとethnos(あ るい は プ ロ レ タ リア ー ト)が 混 同 され て い る場 合,民 主 主 義 はエ ス カ レー シ ョ ン に対 す る 防壁 とは な らな い」(p.

504)。 この 命 題 は最 も証 明 が 困 難 だ が,「 全 て の社 会 運 動 に は 中核 と な る選 挙 民 の支 持 が あ り,こ の こ とは極 端 なエ ス ノ ・ナ シ ョナ リズ ム につ い て も真 実 で あ る」 だ け で な く,「 ひ とた び 暴 力 が 民 族 紛 争 に対 す る可 能 な解 決 策 と み な され る と,警 察,元 兵 士,ア ス リー ト,犯 罪 者,少 年 ギ ャ ング とい っ た 暴 力 の 専 門 家 た ち」 は 「 民 族 浄 化 に参 加 さ せ ら れ る」 の で あ る(pp.504‑

506)。 そ して一 般 に 考 え られ る よ りも

命 題8)加 害 者 集 団 全体 は 多 くの 動 機 に よ って 駆 り立 て られ て い る の で あ る。

二 分 さ れ た 世 界=平 和 圏 と混 乱 圏

マ ン は こ れ ら諸 命 題 の 検 証 を 通 し て,「 行 き過 ぎ た ナ シ ョナ リ ズ ム 」,「行 き過 ぎ た 国 家 主 義 」,「暴 力 の 是 認 」 と い う3つ の イ デ オ ロ ギ ー 的 構 成 物 を 区 別 す る 困 難 さ を 認 め て お り,民 族 浄 化 と ジ ェ ン ダ ー と年 齢 との 関 係 に 一 定 の 留 保 を付 け な が ら,「 北 」(先 進 国)で は 民 族 浄 化 が 減 少 して い る の に 対 し,

南 」(後 進 国)に お い て 「エ ス ニ シ テ ィ と宗 教 の 復 活 」 が 観 察 さ れ る こ と を 詳 細 な デ ー タ の 裏 付 け に よ っ て 明 らか に して い る 。

実 際,8つ の 命 題 に 最 も一 致 す る よ り危 険 な 事 例 は,イ ン ドや イ ン ドネ シ ア(英 国),チ ェ チ ェ ン,グ ル ジ ア 共 和 国,ナ ゴ ル ノ ・カ ラ バ フ,フ ェ ル ガ ナ 渓 谷(旧 ソ 連),チ ベ ッ ト,シ ン キ ョ ウ ・ウ イ グ ル(中 国),ト ル コ ・イ ラ ン ・

イ ラ ク(ト ル コ),ビ ル マ,フ ィ リ ピ ン,エ チ オ ピ ア,ソ マ リ ア,エ リ ト リ ア な ど,か つ て の 帝 国 の 周 辺 に存 在 し て い る 。 マ ン は 言 う。 「か く し て 世 界 は 二 分 さ れ た 」 と。 す な わ ち 「平 和 圏zoneofpeace」 と し て の 先 進 国 と

「混 乱 圏zoneofturmoil」 と し て の 途 上 国 とい う構 造 の 出 現 で あ る(P.513)1。

(4)

こ う した見 取 り図 自体 は何 ら 目新 しい もの で な い 。 「ほ とん ど全 て の残 忍 な浄 化 は世 界 の南 にあ る発展 途 上 国 で発 生 して い る」(P.509)と い う現 実 は, 多 くの論 者 に よ って す で に指 摘 され て きた こ とで あ る。 しか しマ ンの議 論 の 卓越 さ は,こ う した今 日的事 態 を豊 富 な デ ー タ に基づ い て民 主 主 義 の拡 散 過 程 と関連 づ け て証 明 して 見せ た こ とで あ ろ う。 マ ン に よれ ば民 族 浄 化 の南 で の 多 発 は,「 国民 国 家 と い う観 念 の 南 へ の 拡 散 」 が 原 因 で あ り,「demosと ethnosす な わ ち 有 権 者 と民 族 集 団 との 混 同 」 の 結 果 と して 説 明 さ れ る。 つ

ま り,民 主 主 義 の 根 幹 と され 近 代 の 基 盤 で あ る と位 置 づ け られ るdemosと peopleと,前 近 代 的 と さ れ るethnosと がrリ ヴ ァイ ア サ ンた る 国家 建 設 の

過 程 にお い て 三位 一 体 的 に結 びつ け られ,機 瀧 して い る の で あ る。 マ ンは こ う した事 態 を,発 展途 上 諸 国 が 脱 植 民 地 化 の 過程 で 経 験 した社 会 主 義 の 衰 退, 自由主 義 の空 洞 化 そ して新 自由主 義 の台 頭 とい っ た急 激 な イ デ オ ロギ ー の 変 化 に よっ て,階 級 概 念 の弱 体 化 とそ の代 替 単 位 と して の 民 族 概 念 の普 及 お よ び不 平 等 と社 会 的紛 争 の拡 大 と民 族 的憎 悪 との結 合 が もた ら され た こ と に帰 因 す る と見 な して い る(pp.509‑518)。

マ ンの 議 論 の 問 題 点

580ペ ー ジ に及 ぶ 大作 の 全 容 を 限 られ た紙 幅 の 中 で紹 介 す る こ と は不 可 能 だ が,マ ンの 議 論 の エ ッセ ンス はお お よそ この よ うに 集約 で きるだ ろ う。 し か しな が ら,「 並 はず れ た もの で あ る と 同時 に並 はず れ て イ ラ イ ラ させ られ る本 で あ る」2と評 され る よ う に,『 ソ ー シ ャ ル パ ワ ー』 同 様,「 複 雑 で 多 面 的 な近 代 社 会 の 特 質 を解 明 し よ う」3と試 み る あ ま り,結 論 が 明確 化 され な い 「じれ った さ」4もあ る。

また,そ う した 「じれ っ た さ」 以 上 に問 題 と思 わ れ る の は,マ ンの 議論 が

「エ ス ニ シ テ ィ」 を 固定 化 させ,実 体 化 させ て しま う可 能 性 で あ ろ う。 こ う した 固定 化 は エ ス ニ シテ ィを め ぐる境 界 線 の 固定 化 を も結 果 と して もた ら し て しま うの で は な い だ ろ うか。

例 え ば,本 書 で も多 くの ペ ー ジ を割 い て論 じ られ るユ ー ゴ紛 争 は そ う した

矛 盾 を 明示 して くれ る。 『エ ス ニ シ テ ィ とナ シ ョナ リズ ム 人 類 学 的 視 点

か ら』 の著 者 で あ るエ リクセ ンの 指 摘 は興 味深 い 。

(5)

「セ ル ビア 人 とク ロ ァチ ァ人 は1945年 以 来 平 穏 に暮 ら し,両 者 間で の通 婚 率 も高 く,両 者 は 同 じ言 語 を話 して い た。 た ぶ ん 両 集 団 間 に あ る主 要 な文 化 的 差異 とい え ば,そ れ ぞ れ が異 な る キ リス ト教 諸 派 を信 仰 して い た こ とだ ろ

う。 …類 似 した こ とが2年 後 ボス ニ ア の あ る地域 で も起 こっ た 。 ブ リ ンガ に よれ ば,あ る村 の住 民 は宗教 の違 い で 三 区分 す る こ とが で き,彼 らは は るか 昔 か ら隣 あ わせ で 生 活 して きた …。 何 十 年 もの 問表 面 化 して い な か った エ ス ニ ックの境 界線 が 活 発 化 し…,集 団 間 に二 世 代 もの 問何 ら意 味 を持 た なか っ た 文 化 的 差 異 が 突 然 『思 い お こ され 』,そ れ が 隣 ど う しで 暮 らす こ とが で き ない 証 明 だ とい う主張 が な され た。 …バ ル トは,文 化 的 変 異 は境 界 線 の 原 因 で は な く,実 際 に は結 果 で あ る と も論 じて い る。」5

サ ラエ ボ で は新 市 街 の ほ とん どが 集 合 住 宅街 で あ り民 族 混 住 地 域 で あ っ た。

こ の た め,エ リ クセ ンが 指 摘 す る よ う に,通 婚 が 容 認 され て い た 。 通 婚 率 は 都 市 部 で は3〜4割 に も上 る。あ る小 学 校 で は,22人 の う ち18人 が 異 民 族 間 結 婚 に よ って 生 まれ た 子 供 た ち とい う ク ラ ス もあ った6。 そ して興 味 深 い こ とに,戦 火 は通 婚 率 の 高 い都 市 部,な か ん ず く民 族 混 住 地域 の 象 徴 的空 間 で あ っ た新 市 街 に集 中 したの で あ る。 つ ま り,現 実 生 活 にお け る住 民 意 識 の 上 で は,エ ス ニ シテ ィ をめ ぐる境 界 線 は 「 存 在 しない 」もの,あ る い は可 視化 さ れ な い もので あ っ た に もか か わ らず,否,そ うで あ った か らこそ,民 族 浄 化 を実 行 し境 界 線 を明確 化 した い 行 為 者 た ち に とっ て,都 市 部 や新 市街 は ター

ゲ ッ トとな り,暴 力 に よっ て境 界 線 が 強 制 的 に構築 され る必 要 が あ っ た と も 考 え られ よ う。

人..学 の研 究 成 果 はエ ス ニ ック な組 織 や ア イ デ ンテ ィ テ ィが 「近 代 や近 代 の 国 民 国家 に厳 然 と対 抗 す る 「原 初 的 』 現 象 とい う よ りは近 代 化 過 程 へ の 反 応 」 で あ る こ とを 明 らか に した こ と と され る7。 例 え ば,Moermanは タイ の エ ス ニ ッ ク集 団 ル ー を調 査 し,「 か れ らは 自分 が ル ー で あ る と信 じ,そ う 自 称 し,自 らル ー で あ る こ とを確 証 させ る よ う に行 動 して い るが ゆ え にル ー で

あ る」 と結 論 づ け ざ る を得 なか っ た8。 とい うの も,彼 ら に ル ー で あ る こ と

の典 型 的特 徴 を尋 ね る と,他 者 で あ る はず の 近 隣集 団 と共 通 す る文化 的 特徴

しか挙 げ られ ず,事 実,言 語 も習慣 も宗教 す ら もル ー特 有 の もの は見 出 され

な か った か らで あ る。 ル ー の事 例 は,現 実 に は エ ス ニ ック集 団 は ネー シ ョン

(6)

同様,客 観 的 分 類 が 不 可 能 で あ る よ うな 「想 像 の 共 同体 」 と して存 在 す る も の で あ る こ とを雄 弁 に物 語 っ て い る。

日常 生 活 の 中 で 可 視 化 され な い場 合 だ け で な く,こ う した 「 想 像 の 共 同

       

体 」 と して の エ ス ニ シテ ィが浄 化 に よ って 生 死 を分 か つ 緊迫 した リ ア リテ ィ もっ た実 体 と して 強 固 に再構 築 され る点 を見 逃 して は な らな い。 エ ス ニ ック 集 団が 浄 化 を実 行 す る とい う よ りもむ しろ,peopleを 創 造 しよ う とす る権 力 関係 の 再構 築 過 程 に お い て,エ ス ニ ックが ラベ ル と して利 用 さ れ,エ ス ニ ッ

ク集 団 が 前 景化 す る とい う,あ る種 マ ンの主 張 とは逆 の現 実 が あ るの で は な い だ ろ うか 。 つ ま り,浄 化 が エ ス ニ ック集 団 を実 体 化 す る側 面 で あ る。

こ う した 固定 化 の 危 険 性 を念 頭 に 置 きつ つ,マ ンが 描 い て見 せ た民 主 主 義 に潜 む危 険性 を認知 す る こ とは,中 東 の混 乱 状 態 が 未 だ 解 決 の方 途 を見 出せ ず,ア フ リカが 台 頭 しつ つ あ る21世 紀 世 界 の 平 和 と国 際 秩 序 の安 定 を考 察 す る上 で,極 め て重 要 で あ る こ とに疑 い は な い。 特 に,マ ンが 明 らか に した 残 忍 な民族 浄化 は意 図せ ざ る結 果 と して 発 生 す る,と い うテ ー ゼ は強 調 され て よい 。 しば しば民 族 紛 争 は 「 犯 人/悪 」 と 「犠 牲 者 」 とい う構 図 で 語 られ て きた が,そ う した二 項 対 立 的 な ラベ リ ング は,混 沌 と した現 実 に分 か りや す い見 取 り図 を提 示 して くれ るが ゆ え に,受 け入 れ られや す い。 実 際,旧 ユ ー ゴ紛 争 に お け る メ デ ィア を通 じた この見 取 り図 の流布 は ,多 くの西 側 市 民

に 同情 や憐 欄 の情 を喚 起 させ,NATOに よる空 爆 支持 を導 い た。

しか しなが ら,立 ち位 置 を変 え て み れ ば,こ う した現 象 そ の もの が 民 主 主

義 に よ る 「悲惨 な浄 化 」 の 正 当化 で あ る よ うに も思 わ れ る。 安易 な二 元 論 的

線 引 きに よ る過 度 の単 純 化 は,複 雑 な現 実 の 多 くの,そ して 重 要 な側 面 を捨

象 し,次 の 新 た な紛 争 の要 因 と な りか ね な い。 そ う言 え ば,「 地獄 の 軍 隊 」

との異 名 を取 っ たチ ュ ロ将 軍 率 い る軍 隊 が 「フ ラ ンス 人 に よる フ ラ ンス 人 に

対 す る ジェ ノサ イ ド」 を長 期 に わ た って働 い たの は,他 で もな い近 代 民 主 主

義 の 出発 点 と され る フ ラ ンス 革 命 期 で あ っ た9。 マ ンの 議 論 は,民 族 浄 化 が

西 欧 近 代 の産 物 で あ る と同 時 に,つ ね にす で に近代 に内 在 化 され た もの で あ

り,「 民 主 主 義 の 邪 悪 な側 面 」 と して再 生 産 され て い る現 実 を私 た ち に突 き

つ けて い る。

(7)

1民 族 浄 化 と は 異 な る 観 点 か ら 統 計 デ ー タ と 詳 細 な 実 証 研 究 に 基 づ い て,マ ン ト 同 様 の 結 論 民 主 主 義 の 好 戦 性,「 先 進 国 の 平 和 」 と 後 進 国 の 紛 争 状 況 と い う 構 図,そ し て2 つ の 大 戦 が 意 図 的 に 起 こ さ れ た も の で な い 点 を 明 ら か に し,こ れ ら が 国 民 国 家 の 成 熟 と 密 接 に 関 連 す る こ と を 指 摘 し た も の に,栗 原 優 『現 代 世 界 の 戦 争 と 平 和 』 ミ ネ ル ヴ

ァ 書 房,2007年 が あ る 。

20merBartov ,̀Reviewforum:Thebrightside',ノournalofGenocideResearch,8=4,2006,p.479.

3NJ .Rengger,Millennium:JournaloflnternationalStudies,Vol.24‑1,1995,p.168(君 直 隆 訳 者 あ と が き 」 『ソ ー シ ャ ル パ ワ ー 』 第II巻 下,NTr出 版,2005年,452ペ ー ジ

よ り 引 用)

4君 ,同 上,453ペ ー ジ 。

5エ リ ク セ ン 『エ ス ニ シ テ ィ と ナ シ ョ ナ リ ズ ム 』 明 石 書 店,2006年,84ペ ー ジ 。下 線 は 評 者 。 6千 田 善 ユ0ゴ 紛 争 』 講 談 社,1993年,152ペ ー ジ 。

7エ リ ク セ ン,前 掲 書,34ペ ー ジ 。

8MichaelMoerman ,̀WhoaretheLue:Ethnicidentificationinacomplexcivilization,"

AmericanAnthropologist,Vo1.67,1965,p.1219.

9J .ゴ デ イ シ ョ 『フ ラ ン ス 革 命 年 代 記 』 日 本 評 論 社,1989年,125ペ ー ジ 。

参照

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和田 智恵 松岡 淳子 塙 友美子 山口 良子 菊地めぐみ 斉藤 敦子.

○○でございます。私どもはもともと工場協会という形で活動していたのですけれども、要

(1992)A Method of determining focal mechanisms for an earthquake and quantifying the determined focal mechanisms for microearthquakes. Ellsworth(2000)A double- difference

吉野 奈良 100~120 皆伐 山武 千葉 80以上 択伐 今須 岐阜 80~120 択伐 田根 滋賀 70~100 択伐 波瀬 三重 80~100 皆伐 智頭 鳥取 70~100 皆伐 国有林 全国

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