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小項目 3-4-8. 触媒化学プロセス

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Academic year: 2021

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ディビジョン番号 ディビジョン名

理論化学・情報化学・計算化学

大項目 3. 計算化学 中項目 3-4. 材料設計

小項目 3-4-8. 触媒化学プロセス

概要(200字以内)

現状と最前線

21 世紀、化学企業がその存在意義を人々に認めてもらうためには GSC の推進、および人々の 生活の QOL 向上に貢献しなければならない。また、日本の化学産業は、産業構造のグローバル 化に伴い、より高度な差別化技術をより速やかに実現し続けることが求められている。求めら れる材料物性が向上するにともない、材料を製造するプロセスの一層の高選択化、高効率化に 精力的に取り組まなければならない。現在高効率プロセスの開発、運転には、各種シミュレー ション手法はかかせないものになっている。

化学プロセスシミュレーションに利用可能な計算手法は文献1にまとめられている。これら は個々には非常に高精度であり、従来知られていた現象の理解には多大な貢献をしている。例 えば、Ficher-Tropsh 反応、オレフィン重合反応、Beckmann 転位反応をはじめとする、すでに 工業化され、人々の生活向上に貢献している各種触媒反応の詳細は、各種分光法による観測と 計算化学の手法を用いて検討され、その詳細がかなり明らかになっている。また、分光法では 追跡が難しい、反応途中での触媒成分金属の局所的な酸化数の変化など、これまで研究者間で 議論が続けられていたいくつかの問題にも、解答が提案されている。しかしながら、現状では、

これらの手法を用いて直接触媒設計ができるという状況にはなっていない。

GSC推進、QOL向上 産業競争力の強化

高速高精度複合化シミュレーション

高精度計算技術

高速計算技術 計算手法複合化

高効率触媒化学プロセス実現

フィードバック

日本の化学産業競争力の強化、

GSC

の推進、

および人々の生活の

QOL

の向上のためには高 効率触媒化学プロセスの実現が不可欠である。

近年さまざまなシミュレーション技術が提案

されているが、触媒化学プロセスに関する手法

は未だ開発途上である。触媒化学プロセスシュ

ミレーションの向かうべき方向は、各種高精度

計算技術の複合化、高速化、および実プロセス

からのフィードバックを生かす仕組み作りで

あろう。

(2)

うまくいかない理由は、触媒反応が触媒表面の反応のみで完結していないからである。実際 の触媒反応プロセスは、反応原料のマクロな流れ、境膜抵抗、細孔内での反応物および生成物 の脱離、拡散、反応熱の伝導等が同時に起こっており、このような環境下で触媒表面での反応 が進行している。そのため、触媒表面での反応がどれほど高精度で理解され、また理想的な触 媒活性点が設計されても、その他の拡散や熱伝導等がうまく制御されていなければ、まったく 触媒として機能しない、ということになってしまう。そこで、これら複数の現象それぞれをバ ランスよく取り込むことのできるシミュレーション手法の開発が求められる。

例えばマクロな物質や熱の流れには流体や伝熱シミュレーション手法を、細孔内の拡散や吸 着、脱離過程には分子動力学的手法を、そして表面での化学反応過程には高精度な第 1 原理計 算手法をそれぞれ用い、これらを自動で組み合わせて触媒反応全体を追跡できるような高速高 精度複合化シミュレーション手法が開発されるべきである。

その実現に有効だと思われる提案が、いくつかなされるようになっている。例えば文献2に は、分子の結合の組み換えが可能な分子動力学計算が報告されている。これが多くの化学反応 に精度よく適用されるようになれば、計算時間の大幅な短縮が可能となるだろう。また、実プ ロセスの反応速度、選択率、その他のデータを触媒プロセスシミュレーションに効果的にフィ ードバックするシステムを構築できれば、製造プロセスの高効率化に大いに貢献するだろう。

高速高精度複合化シミュレーション手法に対する化学産業界からの期待は大きい。今後のさ らなる発展を望む。

文献1 21 世紀の産業革命 コンピュータシミュレーション、戦略的基盤ソフトウエア産業応 用推進協議会編、アドバンスソフト、2005 年。

文献2 A. W. Jasper, S. Nangia, C. Zhu, and D. G. Truhlar, Acc. Chem. Res, 39, 101, 2006.

将来予測と方向性

・5年後までに解決・実現が望まれる課題

・化学反応が高精度で再現可能な分子動力学計算の実現 ・あるいは第 1 原理分子動力学計算の高速化

・10年後までに解決・実現が望まれる課題

・各種プロセスシミュレーション手法との複合化(シームレス化だけでなく) ・プロセスデータを反映させたシミュレーションの高精度化手法の確立 キーワード

化学反応再現分子動力学計算手法、シュミレーション手法複合化、シミュレーション手法高精 度化

(執筆者:後口 隆 )

参照

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