市場構造と企業行動
堀 江 義
鱒.しがき
近代経済学にいわゆるMic‡0の理論ほ,経済の主体者たる生産者および消 費者の各々が彼自身の個人的な利益を追求するならば,あたかも神の「見えざ る手」に導かれる如く,おのずから社会全体に.とっても最適(−「パレート 最適」)が達成されることを論証した。
しかるに,ここ.に考えちれている生産者,すなわち企業ほ,与え.られた価 格の下で産出豊水準を決定するという受動的な役割しかほたしえず(A汀OW
〔1〕),このことほ,とりわけ現代の資本主義経済を考える際に,上の理論が 極めて不満足なものであることを示唆サーるものであり,そうした観点から従来 の統一・的な価格理論は,あるいはフル・コスト原則,あるいは売上高極大仮説,
等々にdive工Sify しだした。
このような状況紅あって,とのノj\論の主たる意図は,基本的には従来の利潤 極大化の原則に添いながら,−・方における市場構造の差異を端的に.企業の需要 曲線の形状で把握し,他方における技術的な制約を企業の生産関数に代表さ せ,両者の関係が企業行動にどのような影響をもたらすかを検討することに.あ る。
第1節は,現実に・得られるデータを理論的な枠組と照合しうる形に整理しな がら,第二節以下に用いられる記号の説明を行う。
このデーマは,私が京都大学経済研究所匠非常勤講師としての期間中紅一・つの課題とし
て取り上げたものである。この間に・多大のお世話になった京都大学・建元正弘教授紅心か ら感謝申し上げる。これを仕上げるために.,宮田助教授との共同研究が基礎となっている
ことは云うまでもない。また全く不案内な企琴会計の分野については田中助教授・笠井講
師の両氏紅御教授いただいた。最後に.(but notleast),金森教授からは.細かい点にまで
わたって随時に適切なるコメントをいただいた。上の方々に,記してお礼を申し上げた
い。市場構造と企業行動 ■− 3J・−
31
第2節に於いては,企業にとっての需要条件と生産の技術的条件とをspe・
Cifyする。
次いで,企業価値の極大化をめざす企業が,初期資本ストックと企業の成長 率とをどの水準に選ぶか紅ついて第3節に.展開する。
最後の節に.於てほ,提示された我々のモデルが与える若干のimplication と 補足的説明とが加えられる。
Ⅰ 企業会封上の基永的関係
企業がどのような目的を持つかそしてその目的に則してどのような行動をと るか,というこ.とが我々の当面の関心であるが,その問題に立ち入るまえに・,
我々は企業の経営状態や財政状態を事後的に.明らかに・するものとしての企業の 財務諸表(financialstatements)をまず見ておきたい。そして,そこから き出される各勘定科目の問の満たされるべき基本的な諸関係を明らかにし,同 時に,後の節でもちいられる記号の説明をも行う。
欝1−1表は期間tにおける期首貸借対照表(B/S)を表わす。資産の項目 は,流動資産Aと有形固定資産Ⅹと紅分けられる。無形固定資産や繰延勘定な
どは,単純化のため紅,無視されている。次に,負債および資本の部を見る ならば,短期および長期の頂債を含めた総負債はBで示されている○ 純資産
(NetWorth)ほ資本金Eと剰余金Zとの和である。従って,(1−1)の恒 等式が成立する。
(1−1) A+麒≒β+且+Z
上の式に.おいてA=仇狐β=れ打とおくならば,次のように表わしてもよい。
(1−2) αg壷β+Zここにα=1+・α−み
こ.のB/Sは損益計算書(P/L)と結びつけられるが,それを明確にするた
めには剰余金の内容をより詳しく表示する必要がある。第1−1図ほ.剰余金の
構成要素を明らかにする。
第45巻 第1号 第1−l表 期首貸借対照表
一 ∂2−・
32
資 産 l 負債および資本 流 動 資 産 A 負 債
B純資産
資本金 E
剰余金 Z
有形固定資産 K
A + K
B + E + Z
第1−・1図
ー資本剰余金 繰越利益剰余金
−
 ̄期末残高 一当期純利益
剰余金− ・一当期末処分利益
一利益剰余金−
配当平均積立金 取崩高
ここでまた我々は当面の分析に.とって対象の外に.ある項目を無視することによ り単純化を行う。(イ)我々の関心は企業の経営活動のうちの特に.損益取引に 属する部分であるから,資本取引に関連する資本剰余金ほ腰祝する。(あるい は,資本金のある一・定比率であるという仮定をおいてもよいであろう。)(ロ)
配当平均積立金取崩高の項を無視する。(ハ)練越利益剰余金期末残高を無視 する。このとき,(イ)(ロ)の仮定を用いて,この額は同時に当期の期首に おける剰余金Zに.等しくなる。これらの仮定は実証分析に.当ってほ必ずしもそ のまま当ては.まるものではないが,これによって第1−1図に.おける関係は簡 単に次の式でおき換えられる。
(1−3) 易+1…易+易=易十点
ここに‥易=dる/df
上式のRは,税金および配当が差し引かれた後の当期の利益,すなわち内部留
保を表わす。
■市場構造と企業行動
ー33−33
当期の利益がどのような経路で決定されるのかを明らかに.するのは第1−2 表のような損益計算書である。
第1・−2表 損益計算書
Ⅰ 純 売 上 高
(1)総 売 上 高
(2)値引および返品高
ⅠⅠ売 上 原 価
(1)原 材 料 貿
(2)労 務 費
(3)−−−
売上総利益
ⅠⅠⅠ販売費および−・般管理費
S=pQ
タ=S−C
◎
ⅠⅤ 営業外収益
Ⅴ 営業外費用
(税引前)当期純利益 法人税等引当額
(税引後)当期純利益 配
当留 保 利 益
上表において,点線の部分は考察の対象から除かれたことを意味する。Wお よぴPmはそれぞれ賃金率と原材料価格とを表わし,LおよびMはそれぞれ 雇用量と原材料の盈とを示す。そしてpは価格,Qほ産出量である。我々ほ役 員償与を無視しているから,t期の利益(H)はT十D十Rの形で処分されて
(1) おり,Rは.,より具体的に.は,法定準備金と任意積立金とである。
(1)以上の関係は「財務諸表の作り方・見方」(阪本安一・,中央経済社)に依ってい る。なお,(1−3)式を日本の現実に合せるためにはZヱ=虎 +かェ とすべきである
と考えられるが,単純化のためこれを用いなかった。
第45巻 第1号
34 ー ∂4 −これらの他に,次のような変数と記号とを定義しておこう○
方=・方/・方=−㌃/・方(相任意の変数) 人●
g=&:企業の成長率
上の記号を用いて,(1■−2)および(1−3)より次の関係を導くことがで きる。
(卜4)g=十一−;
■..】E一・■・■一■
上の式ほ端的に企業が拡大成長するための資金源を表現する。すなわち,企
業は(i)新しい株を発行す・るか(E>0),あるいは(ii)内部留保に財源を
求めるか(R>0),あるいは(iii)外部からの借入金によって(αく0),あ
るいは上の三つの適当ないくつかによって拡張のための費用をまかなうであろ う。
ⅠⅠ企業の環境あるいほ制約条件
企業が企業として出発するにあたうて,何をめざして生産活動を行うにせ よ,企業にとっては外生的に与えられた条件というものがあるだろう。これを 我々は便宜的に企業の環境と呼ぶ。このこ・とほ,企業が生産物を提供する供給 側の面と企業の生産物を購貝する需要側との両側面に・ついて考えることができ る。
いま,われわれの企業は技術的な制約条件として,次のような生産関数を持
つ。
1 1 1
(2−−・1) Q=紘一 ̄=ほす=刑肺 ̄,
ゑ,J,椚,βほ正の定数
上の(2ニ1)式はいわゆる固定係数的な生産関数であるが,β=1,すなわ ち規摸紅関して収獲一息を必ずしも前提としていない0
■ 一
市場構造と企兼行動
・− ∂∂−35
収獲逓減(♂.>1)と収獲逓増(βくl)との両方の可能性を認めるものとして 定式化されている。固定資本については減耗して一行くものと考えるのがより現 実的であるが,ここ.では永久に存続するものとし,各種資本は等質的であると
してKによって−・指し,その価格を1とする。
生産物一㌧学位あたりの製造原価(manIlfacturing cost)は
c=C/Q=(紺いP加〟)/Q=(町側+P∽/用のQ距1=βQO−1
となる。企業はこの単位.当り直接費用をもとにしてある一億のマージンγを確 保すべく価格設定を行うとすれば,
(2−2) P=(1十γ)c
企業が年々同一・の規摸で生産を行うか,それとも規換の拡大が行なわれる か,という問題ほ企業の目標設定に.関わるものであり,このことについてのよ
り詳しい考察は後に行うとして,ここでは拡張に必然的に伴う費用について次 のような仮定をおく。前節に定義したように,我々は企業の成長の指標をⅩ
の変化率においているので,成長支出の欝−は物的投資Kである。第二に,
Penroseがいちはやく指摘した如く,成長拡大のためには経営者能力の増大が 不可欠であるとすれば,我々ほそのための費用を一・般管理費◎の中に含ましめ ねばならない。従って,X≡k十ゐがいわゆる拡張費用(expansioncost)で
(2)
あり,これほ.(2−−3)紅示されるような性格をもつ。
(2−3) ズ/g=¢(g),¢(〃)=0,〆(〃)=1,〆>0,〆′>0
次に環境条件として−の需要側の状態を見なければならない。価格設定者とし ての企業は,欝2−1図のような右下がりの需要曲線Qdをもち,この曲線の 価格弾力性ほ∂(ある正定数)である。この曲線は,社会における人口の増加 などの外部条件によって,あるいほ企業の売上政策(salespromotion)によつ てシフトする。ここでほ外部条件の変化を捨象すれば,需要の増加ほ全ら企業
(2)Uzawa(〔9■〕)をみよふ
弗45巻 第1号
36 ーβ6 −の側の努力に関わるものと なる。企業サイドに.おける 需要創出の有力な政策の」一 つとして,生産物の多様化
(diversification)の方向 があるが,ここでほそ・の面
(Sl には立ち入らない。ここで
は,企業ほ広告宣伝等によ り需要曲線を右へシフトさ せると考え,そのための費
第2−1図
′ ノ ノ
p。
Q
(4) 用ほ販売費用として◎の中に含ましめる。その結果,t時点に・おける需要曲線は
£ (2−4)Qd=Qd(♪,才)=〆e・β・痺〔Jゐ(≠)df〕
t)
上の式は次のように解釈される。企業ほ自己の生産物の需要を拡大するため に種々の広告宣伝活動を行い,それに・よる支出ほ一腰管理費とともに◎として 計上される。その結果は,(2−3)を通じて需要に対してhの成長率をもた
らす。
ⅠⅠⅠ企業行動の一側面
通常言われているところの「企業の理論」において,中心的な課題を担って きたものは価格形成と資源配分とであるdそこにおける企業ほ,主として,利 潤な極大化し資源を配分する機関と考えられてきた。これを,より一腰的に は,次式で定義されるような企業の価値(thevalueofthefirm)の極大化と
見撤すことができる。
(3)E..Penrose〔6〕cb.・ⅤⅠⅠおよびR・Mvvis〔3〕を見よ0
(4)4)の中にはさらにmanagementforoperationも含まれるが,従って・その分は拡
張費用から除いておかねばならないが,我々はいまこれを無視レている0
市場構造と企業行動
(5)
J ・∞ か£β ̄名亡d才,g=利子率 ¢
− βアーム 37
.
(3−1) y=
Ⅴほ.将来の配当収益の流れの現在価値を意味するから,このⅤの極大化をめざ す企業は owner−Or iented firm (Solow〔7〕,p.326)といえよう。
E.の節において我々の考え.る企業もまた上のような意味でOWner−Orientep である。しかしこのことは企業の成長拡大を否定するものでは.なく,より大き な価値が得られるならばむしろ企業は拡大する方を選ぶであろう。その場合,
単純化として,企業は将来紅対して−・定の成長率を選ぶものと仮定し,また要 素価格については定常的な期待($tationaryexpectation)を持つものとする。
また企業の拡大のための資金としては内部留保のみを考えるならば,忍=点で ある。企業に.対する各種の税金を無視することに.よって,か墓♪Q・−C一−◎一意 が成立する。
初期時点における変数に.は添字0をつけて\表わし,β0をg0およびj弘の関 数として示そう。
溜要曲線(2−・4)よりQ。=加1であるから,売上げ額はぁ吼=Q。1−÷
である。またG=βQ。〃 これらの式と(2劇1)と紅よって,
髄=旦〔(橘÷)(卜‡)一郎♂脆〕灯1=入相−∂
」狐
ここに.入=ゐ卜(>0),∂=烏♂(>。)
〝は次式に・よって示される0
(3−2)〝=与(1−‡)−1
従ってか。はぎoと為とに・よって次のように表現される。
か0=(入垢〝−∂−¢(go)為
(5)より一駅はⅤ=y(℡,∠)〒.†ひか β ̄ 乙 ̄祝
れ祉
籍45巻 貨1号 38
・− ∂β −−
企業の成長率と同じ比率で配当も拡大して行くならば,
y去J∞か。β(g ̄よ)才
d才=0
か0
(ただし去>g=g0)才一g
であるから,結局ほⅤはgと脆の関数となり,
(入属γ・−∂一甲(g))∬
(3−3) y=咋g,∬)=
よ■一g
上の式において添字ほ省略されているが,Kは初期時点の値を示し,以下この 節においては同様の意味で用いられる。
かくして−,企業のとるべき行動ほその価値Ⅴを極大にするようなgおよぴK を選ぶこ.とであり,以下においてはこのような解(g*,K*)が存在するかど
うかについて検討する。
● これより以後,便宜的紅変数を添字に.つけたもので偏微分を表現するならば,
(3−3)より
入属γ−∂−¢−(よ■−g)〆 九(〝+1)属γ−∂−−¢
,lな=g・
振=一一一エコ
多−g
が得られるので,
ざ去g狸鞍=ざ戎g乃.γ(g,∬),扇g〝l官=扇g搾g(g,∬)
ここに
グ(g,耳)=入(〝+1)爵−∂−9 g(g,幻=入Åγ−∂一中一(よ−g)〆
(3−・4)
従って,
(3−5) プ∬=入(〝+1)属γ−1,勾=−(よ−−g)〆′.
はじめにKをあたかもパラメータ−の如く見倣して,gの関数としてⅤを見
ると,(3−5)によって勾<0が常に成立しているから,2=0を満たすg
ほⅤを極大にする。従って,問題ほ0<gくiの範囲においてg*が存在す
るかどうかであるが,g(g,耳)=0を満足する点に.おいてほ.次式が成り立つ。
− 39 −
満場構造と企業行動
39
九属γ−・∂
〆=−
才一g
こ.のことから,求めるg*ほ第3一・1図におけるB点の横座標として−示され
(6)
る。従って,0<g*<iであるために・W・A点が図のGHの間にあればよく,
その条件は次のように・書ける。
g(0,め>0かつg(去■,耳)<0
すなわち
(3−6)普<属γ<連票
(6)この求め方につい■て:はUzawa〔9〕をみよ。
籍45巻 第1弓
・−・・4♂− 40
かくして我々ほ.gの最適値が存在するかどうかほKの初期値と無関係でほ.な いことを知る。
次に,Ⅹを変数として取り扱うならば,我々ほ.yおよび.γ好の符号に.よって
Ⅴの変動を知ることができる。一γ∬の符号は匹の値に依存するので,.以下紅お いては五つの場合紅分けて考えるのが便利である。
(i)〆>0
このとき(3−2)より÷(卜÷)>1であるから,βが正の数であるこ とを考慮して−0<β<ト÷<1<どのような関係が成立している。宮の任意
の値(ただし,琴<i)に対して(3−3)よりy(g,〃)=0,また(3−4)
より,∬=0において.γ(g,0)=−∂■く0,さらに.γg>0(jr>・0)従って,第3
−2図の如く,資本設備の小 さな領域で比企業の価値は負 となり,ある点を越えると価 値は正となって,以後Ⅹの値 が大きくなるほどⅤは増大す
る。このような状況に‥おいて は,企業にとらて正の収益を 上げるための最小規模は存在 しても,いわゆる最適規撲は 存しない。ちなタに・∂=∞と おくならば,と.のことは完全 競争のもとで収穫逓増が働く ときは.最適規模は存在しな い,という周知の命題に一・致 する。
(ii) 〝=0
満場構造と企尭行動
ー一 丸ト叫41
すなわちβ=ト,どく1のときであり,この場合の企業の価値は
l・ト∴…・・いgミ.Å
トg
となるので,初期時点における企業の規模を決定することはできない。企業 が,もし何等かの別の規準によってK*を決定したとすれば,g或はいわゆ
(7)
るPenIOSe一曲線を使って求められる。特に,β=1,ど=… とおくならば,こ れはUzawa(〔9〕)のケ−スに.−・致し,我々の(九−8)はUzawaにおける資 本の限界生産力に.等しい。
(iii) 〃>〝>去/(∂+よ)
我々にとって最も興味のあるのはこのケースである。まずタg<0に.よって yはKの減少関数であるから,gが与えられれば一γ=0を満足するKはⅤを極 大にする。その点は第3−3図において
.γ=0:入(〝+1)属γ−∂−甲=0
なる曲線上にある0この曲線は=
ィ.・㌦ ̄/′
<0の傾きを由ら,点β
入(〝十1)〝
入(匹十1)
入(〝+1) 〉■ ̄〝)および点C(オ,(
(0,(− 〉 ̄〃)を通る。
∂ヰ甲(方)
一・方,Ⅹが与えられればg=0を満たすgはⅤを極大紅し,その点ほ同じ図
において
g=0:入勒−∂一甲−(よ−g)〆=0
d∬ 〆′(オーg)斤1−〝
なる曲線上にある。こ.の曲線は <0の傾きを持ち,点
dg
\〃坤,(」去㌻) ̄〝)および点鞘,(㌫) ̄〝)を通る0
そして,〝の範囲から見て,点Bは点Dよりも上に.あり,従ってこれら二つ
(7)この場合のKほもちろん(3−6)によって制約されている。
第45巻 箆1号 42
− 42・−
の曲線は0<■g<iの範囲において少くとも一度交わり,その点に∴おいて−V
r8)
ほ極大となるから,これが我々の求める点紅他ならない。明らかにこのK*は
(3−6)をも満足している。
我々ほ0>〝>−£/(8十g)の領域ならば最適値(g*,K*)が存在すること を上に示したが,このことはβの許容範囲が(1+才/8)(1−・1/ど)>β>1−1/∂
(e>1)であることを意味する。云いかえれば,企業にとって最適な資本ストッ クと最適な成長率とが得られるためには,収穫逓増の上限とともに収穫逓増(
あるいは逓減)の下限も存在する。次に検討するように,βがこの範囲にない ときは(収穫一億としても)必ずしも最適値(g*,Ⅹ*)特待られない0
(8)S叫W〔7〕は侮=0ではなく仇=‖jは企業にとって外生的なある正の実数)が
最適点を与えるとレているが;我々のモデルにも同様な修正を加えることができる0市場構造と企業行動
・−dβ−・43
(iv)一之ノ(∂十よ−)≧〝> 1
♂>(1+よノ∂)(1−1/e)およびe>1であるから,特殊ケ、−スとして収穫丁定 の場合も考えられうる。このとき第3−3図と同じように,g=0も.γ=0も共
に右下がりの曲線となるが,K軸上に.おいてB点とD点との位置関係ほ逆転 し,g=去■軸上のCとEと.の関係はそ・のままである。従って−,曲線g=0ほ曲線 グ=0よりも常に.上にあって両者は交わる(あるいは接する)ことがないかも
(9) 知れず,求める(g*,K*)は存在↓ないかも知れない。
(Ⅴ)〝≦−1
需要の価格弾力性どが1より大きくない場合は∴生産関数が収穫逓増であろ うとなかろうと,初期資本量を増大させるはど企業の価値が低下する。なぜな ら,この場合に.sign V∬は常に負となるからである。
ⅠV SomeImplications
我々のモデルには少なからぬ前提条件があった。そのうちでも重要と思われ るものをいくつか挙げるならば,第一・に,固定係数をもつ生産関数を仮定した ことである。これを代りにWell−behavedな生産関数に・して同じような分析が できるであろうが,しかしSteadygrowthの枠の中で考える限り結論に・重要 な変化はないであろう(たゞし産出高の成長率h ほβゐ=g)。
第二に,企業の目的関数として企業価値の極大化を仮定したが,より−・般的 にほ.U(Ⅴ,g)のような効用関数を考えることもできる。あるいはUの中味と してⅤの代りに.Ⅴ/Kを入れることもできる(MaI■工■is〔4〕)。試みに先の、我々 のモデル蔽おいてⅤの極大化をⅤ/Kの極大化に・おきかえて前節のグー・ス(ii)
(10)
を考えるならば,Kを決定する問題は回避できる。
第三に,新しい株の発行ほ考慮されなかった。資金調達の方法が企業価値に 影響を及ぼさないとしても,このことほ企業のB/Sの内容に変化をもたらす。
(9)存在を確定するためには甲′′′に仮定をおかなければならない○
(10)ただし,MaIT・is′と同様に・∂=1を仮定するならば,£=…となりこれは完全競争
市場にしか妥当しない。
籍45巻 第1号
−− イ一− 44
我々の仮定ほ虎=∬,β=0であったから,(1−4)より(α・−1)g=−αとな る。従ってg>0かつαキ1であるかぎりαは変化する。このことはMa汀is
(【3〕)の意味でtake・OVerの危険を生み出さないであろうか。
その他,企業に対する課税を無視したこと,および要素価格を与えられたも のとしたこ.と,などほ考察の範囲を明らかに.狭くしている。
このような制約を持ちながらも得られた結論について多少の補足をするなら ば,企業の最適資本藍を決定するの紅重要な要因は,生産技術を示すパラメー ターーのβと需要状態を示すパラメ一夕ー・gとの関係であり,成長率の決定を左 右するのはぺンローーズ曲線である。
さらに,我々は企業の価値を資本ストックと成長率とで表現したが,もしマ
,・クアップ率をexplicitに.表示すればどうなるだろうか。この点については 後の機会に触れたい。(1972ApI■.)
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