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テレビジョン影響調査結果 と

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(1)

長崎市に於ける

テレビジョン影響調査結果

と そ の 考 察

吉 村 喜 好

 調 査 目 的

 テレビの影響調査に関しては,最近非常に大がかりな,しかも精巧な方法を通じて幾多のも のが発表されている。例えば一昨年から昨年にかけて行われた文部省の「テレビジ・ン影響調 査や,毎日,朝日,読売の調査室を中心として行われた「新聞綜合調査」の一環としての「テ レビの影響」などがそれである。又地方に於いても各地に林立した民放テレビ局に於てはそれ ぞれ独自の立場から,視聴の実態を科学的調査を行っている。

 長崎県に於いては,昭和33年12月末,NHK, NBCのテレビ局が設置されるや,正に瞭原 の火の如く各家庭に受像機の設竃が進み34年7,月末現在で既に,テレビ設置に於いては半年以 上先輩県である熊本,鹿児島を抜き,九州に於いては福岡に次いで第2位の設置台数をしめ,

現在に至っている。

 しかして既存の諸調査の結果からみても,初期に於ける,テレビの与える影響は,それ以後 の場合と若干異る様想を示している部分があることが示されている。そこで我々は長崎市に於 ける初期のテレビ設置が,家庭の成入,児童に如何なる影響を及ぼしているかを調査せると共 に,それに対し設置時間の経過がどの様な適応の過程を通過しているかをしらべてみたいと考 え,以下の様な調査を行ったわけである。

 調 査 方 法

 1.調査の型式 質問紙法  2.調査の対象

長崎市内小中学校中,中心地区代表校,周辺地区代表校として小中校夫々10校,6校を選んだ    小学校 西浦上,城山,坂本,戸町,南大浦,伊良林,飽の浦,小榊,磨屋,佐古         (IO校)

   中学校 西浦上,長崎,淵,丸尾,梅崎,桜馬場(6校)

 小学校は各学年のテレビ所有家庭の児童を各学年第1組の左端より17名,中学校を同様にし て各学年20名を選んだ。

一35一

(2)

 上記生徒,児童の父母(小学校1,020名,中学校360名)1,380名, とその児童生徒(但し 小学校の3年以下の児童は調査対象から除外す)LO40名,総計2,420名を調査対象とした。

      父母用    児童生徒用    回収率  調査率  質問紙  83%    89%

      番組表  78%

 調査世帯  (1)戸主の職業別        (2)学 歴 別

職 業

商 業

工 業

農 林 水 産 業

自 由 業

会 社 員

公 務 員

教 員

そ の 他

回収数 249 92 43 56 456 99 52 51 1,098

% 23

8 4 5

41 9 5 5 100

学 歴

高 小 卒

中 学 卒

旧 中 卒

高 専 卒

大 学 卒

回収劃%

304 85 398 184 127 1.098

28 8 36 17 11 ユ00

 3,調査期聞

  昭和34年6月24日から 1週間  4.調査人員

  長崎大学学芸学部視聴覚研究室学生ユ2名

 5.調査表

 調査表は,父母対象の第1表,児童生徒対象 の第π表,

 調査表の内容の概況の次の様なものである。

 第1表(父母用)

(3)受像機設置期間別

設  置  後

!, 2  ケ  月 3, 4  ケ  月 5, 6  ケ  月 7 ケ 月 以 上

回収数 207 272 215 404 1,098

% 19 25 19 37 100

と父母,児童生徒共用の番組表の第皿表,の3つを用いた。

 児童名,父母名,:職業,学歴,家族構成,購入動機

(1)父母自身について

§ 1.

§2.

§3.

§4.

§5.

§6.

§7.

§8.

計画視聴について

子供の家庭学習時の視聴について 面白い番組とその利用

ラジオ聴取の変化(聴取時間,時刻,内容等変化)

新聞購読の変化(時間,時刻,内容の変化)

映画観覧の変化(回数内容の変化)

単行本購読の変化(時間,内容の変化)

食事の変化(時間,時刻,団簗等の変化)

(3)

 §9.就寝帰宅,外出の変化  §10. テレビの来客について

(2)父母が見た子供の変化

§ 1.

§2.

§3.

家庭学習の変化(時間,時刻,内客等変化)

子供の日常生活(子供の帰宅,言葉の影響,登場人物の真似,家族との話し合 い,両親に対する質問,手伝い,態度行動,友人が出来たか子供の最近初めた遊

びの有無)

他のマス,メディアに対する変化(ラジオ,本,新聞,映画等に対する行動の変化)

(3)父母が子供に見せたいと思う番組,みせたくないと思う番組とその理由,

 第班表(児童生徒用)

§ 1.

§2.

§3.

§4.

家庭学習の変化(時間,時刻,やり方の変化等)

他のマスミディアに対する変化(新聞,雑誌,ラジオ,映画に対する態度の変化)

その他の日常生活の変化(戸内外でのあそびの時間,就寝時間,新しい友人が出 来たか,家庭での団簗,運動の好悪,運動をよくするようになったか,体に対す

る影響等)

好きな番組,嫌いな番組とその理由,

 第皿表(番組表)

一週間にわたる,NHK, NBCのテレビ番組が印刷してあり,これに  § 1.家族全員,また近所の人と見た番組

 §2.子供達だけでみた番組  §3.子供一人でみた番組

 §4.以上から子供,父母の全視聴覚,平均視聴時間 を問うた

      調査結果の概要と考察

 調査内容が多岐に渡っているので,全般に渡っての考察は紙数の都合上不可能であるので家 庭学習へ及ぼした影響と家庭視聴の仕方,視聴時間に限って考察してみる事とする。

       1.家庭学習に及ぼした影響

 § 1.家庭学習に於ける父母の態度

      第1表  第1表で示す通り,その約半数がみないよう

にしているのであり,誓い賭砂さくしてみ獺聾贈章寛鍛し麓ll讐に

ており,全然無関心な視聴は1割にすぎない。

       %      10%         35%       45%

初期に於いては,大半の家庭が子供の勉強に気

を使っている事が知られる。普通のまX見ている理由について更に研べてみると,子供は大し

       一37一

(4)

て気にしていない(38%)近所の人が来るので仕方ないからG5タ6)良い番組があるので是非 みたいから(ユ5%)がその主な理由になっている。此の子供が大して気にしないという項目

(38%)は全体からみると3,8%に当るので大した数ではないが此等の家庭は,部屋数が広か ったり,特別な勉強部屋を持っている子供達で,直接影響を受けることの少い子供達とみてよ いと思われる。

 以上の結果を更に学年別(小学1,2年,3,4年,5,6年,中学生の4段階)及び設置期問別 にみると「音を小さくして」は高学年程比率が高く・中学生と小学1・2年の間に於いては設置 7ケ月以上で約12%,設置1,2ケ,月で約20%7の差がある,つまり高学年の子供の家庭程父母 は,テレビに細かい神経を使っていることがわかる。ところが全然「みないようにしている」

のは「小さくしている」と全く逆に低学年程しかも設置期聞の短いもの程多くなっている。こ れには次の様なことが考えられるであろう。即ち,その1つは低学年や設置期間の短いもので は子供自体が,完全にこれに食われてしまい,家庭学習など殆んどやらないといった状態にな ったのではないかと思われる,それで父母は,特にスヰッチを切るという大英断を敢えてしな ければならなくなった事と思われる。一方高学年になると当然家庭学習は必須の仕事となって くるので,どうしてもやらざるを得なくなり,テレビをつけていてもやれる,という習慣がつ いてくるのではないだろうか更に此れに設置期間が長くなるにつれて,慣れの現象が生じ,更 にその習慣に肥車が加えられたものと思われる。

 その外,この初期のテレビ購入者は,中流家庭以上が多いと見なけれぽならない(被聴者家 庭戸主の学歴調査参照),従って,子供の教育は比較的関心が強いのが当然である。テレビは 買ったが,それが子供の学習に悪影響を及ぼすのをどうしたらよいかは,新しいテレビ所有家 庭の問題として浮び上ってきているのではないだろうか,その結果が此の様に全体の8割まで が子供の学習的テレビは「音を少さくする」か「みないようにしている」という態度をとった

ものに相異ない。

 § 2.学習時間及時刻の変化

 第2表で示す通り全体の6.2貸下の人々に は変化はないが,32%が勉強時間に変化を来

していることは注目すべきである。常識でも 考えられる通り,「短くなった」が24%で」長

くなった」の8%を遙:かに凌駕している。

 NBCの34年度調査に於いても「低下した」

28.7%でほゴ同じ様な結果を出している。し かし「長くなった」が若干でもいることは今 まで殆んど家庭学習をやっていなかった子供 達ですら,テレビを後でみる為,前もって勉 強をといった事で勉強の習慣がついたのでは

勉強の時間 第2表 :父母調査 蹟百\警

長くなった

変りない

短くなった

無 答

L2年

 2 69

ユ9

10 3.4年

 5 60 27 8

5碑中学

12  10 60 60

23i25

     

515

面倒

81

62 24 6

第3表

蕪F警

長な  つ くた

し2ケ月 7ケ月

1,2年3,4年5.6年

2 5 8

2 6116

中学 4%

13%

(5)

ないかと考えられる。予予3表で示すように「長くなった」は1,2ケ,月よりも7ケ月以上長く テレビをもっている家庭でしかも上半年程多くなってきている事は,テレビを使い方一つでは 必ずしも家庭学習にマイナスの影響ばかり与へるものではないと思われる。

 ところが此処で問題になるのは,子供自身の此の質問に対する解答が,父母のそれと喰い違 っている点である。

 第4表で示す様に・3・4年では長くなった24     第4表勉強時間(児童調査)

%に対し短くなった27%で大差がない,これが 父母調査の方では(第2表) 「長くなった」は 僅か5%で「短くなった」は同じく27%であ り,全体的にも相当な異りになってきている。

此のことは,34年3月に行った長崎大学附属小 学校の「テレビ調査」①でも「長くなった」

長くなった かわらない

みじかくなった

無 答

3,4年

24 42 27 7

5.6年

22 64 10 4

中学生 13%

64 22

ユ.

24.5%「かわらない」56.5%「みじかくなった」19%で,この場合はむしろ勉強時間は長くな ったといっている。設置期間別にみると(第5表)小学3,4年は変化がみられないが,小学5,

6年と中学生には変化がみられ,それは設置期間は短いと勉強時間も短いけれど,月がたつう ちに徐々に勉強時間が長くなっていく傾向にある。

        第5表 勉強時間児童生徒調査   一  学年

\一_       へ

項噛\騨

長くなった かわらない

みじかくなった

無 答

小学3,4年

7ケ月 以上

25 44 29

5.6 ケ月 22 33 31

2114

3.4 ケ月 21 46 23 10

1.2 ケ月 28 44 26 2

小 学5,6年

7ケ月 以上

25 63 10

5.6 ケ月 24 69 4

3,4 ケ月 18 66 13

1.2 ケ月 22 60 16

中  学  生

2 3 3

7ケ月 以上

20 60 20    210

5,6 ケ月 13

66 20 1

3,4 ケ月 12 68 19

1.2 ケ月

6%

59 28 7

 大人は子供の勉強時間は「短くなった」という者が多いのに不拘,子供は,余り勉強時間が

「短くなった」と考えていないのは,一つは子供が現実はテレビに勉強時間を食われていると

・・

、反省から,価値的に誇張した解答したとも考へられる。しかし,第5表で示す通りに設置 期間別にみる真,特に小学校高学年及び中学生の場合は一般に高学年になる程,しかも,設置 期間が長くなる程次第に,勉強時間が長くなり,「勉強時間が短くなった」が減少している結 果からみても必ずしも,児童生徒のこれらの「てらい」だけで解決される問題ではないようで

ある。

 それで今一つの考え:方は,父母自身も,何時も勉強していた筈の夜の7時8時の時問テレビ を見ているので勉強する時間が短くなったに相違ないといった,一般的な予想の上に解答を行 ったかもしれない。つまり子供は,テレビをみるために,その他の時間即ち,父母の目につき にくい時間に勉強するようになったのではないかという考え:方が起って来ると思う。此の結果

一39一

(6)

について文部省の33年度の調査②をみてみると第6表の通りである。

 此の結果は・本調査の父母調査の様に極端に   第6表 勉強の時間(本人)文部省調査 悲観的結果でもないし,又調査の児童生徒調査

程楽観的でもなく,その中間の価を示している とみられる。本調査との此の様な相違が出て来 たのは,本調査の場合は,長崎市に於いて,テ レビ受像開始直後の設置者が被調査者である関 係上,テレビ所有者のレベルが,全国調査のぞ

墳自\讐

ふ  え  た

かわらない

へ  っ  た

無 答

3 年 14 57 23 6

5 年 14 62 19 5

計 14%

59 22 5

れより幾分高いといった処から来ていると思われる,即ち,本調査の被調査者である児童生徒 は,全国平均よりも能力的にみて上位とみられるので,勉強時間が比較的に増えた,本調査の 父母の結果がそれと反対に悲観的であるのは,それだけ,テレビの悪影響に対して神経をとが

らしている結果だともいえよう。

 このことは次の第7表第8 表が示す勉強の時刻の変化で も一応考えられる。父母の場 合。児童生徒の何れの場合に おいても,変化量がその50%

に達している。特に早くなっ たが多いことは,帰校後すぐ

第7表勉強の時刻(父母調査)

 廊一洗

早くなった

変りない

おそくなった

無 答

L2年

35 54 6

3.4年

31 49 11

5 9

5.6年

35 36 18 11

中 学 27 48 2Q 5

全 体 32%

46 14 8

勉強にとりか\って,後でゆっくりテレビを見 ようとする計画らしいことが考えられる。これ は父母児童生徒調査何れも殆んど一致した結果

が出てはいるが,帰ってすぐ勉強にか\るのは 実際勉強時間は長くても,短かく父母には感じ るのではあるまいか。

第8表 勉強の時刻(児童生徒調査)

漏一輻3・4年

早くなった 43

変 り な い  43 おそくなった

無 答

l1

3

5.6年

38 52 10 0

中学生 26%

50 23

1

 1951年忌シカゴでの調査③でも,テレビをみる前に学習したもの69%,テレビを先にみてそ れから学習したもの7%という結果を発表しており,テレビは,家庭学習の時刻を変化させた ことはアメリカでも日本でも同一であるらしい。

 § 3. 家庭学習の状態

 結果は第9表第10表に示す通りであるが,父母調査の方は,無答が多いので,第10表の児童 調査の方が信頼が置けると思う,それによると,仕方に変化があったのは3296でその殆んどが

「決めてするようになった」これは,テレビが時間的に定っているので必然的に,決めてせざ

るを得なくなったわけで,従って時間に対する観念が強くなって来たことは当然予想されると

思われる。

(7)

第9表  学習の仕方(父母調査)

  

項 上 学年

今までのように決めてしている 〜

今までのようにきめてしていない

決めてするようになった 決めてしないようになった

無 答

1,2年13、4年 25

14 12 3

25 14 11

2

46 48

5.6年

30 11

12 6 41

中学生 全体

30 22 15

28 16 13

3 4

30 41

 以上で時間的に規則正し くするようになったのは喜 ばしい事であるが,学習中 の精神状態に動揺を来して いるのであればその学習に はかなり問題がある。

 第11表第12表に示すよう に,確かにテレビがあると

第10表 学習の仕方(児童調査)

項 目 学年

今までのように決めてしている 〜一

今までのように決めてしていない

決めてするようになった 決めてしないようになった

無 答

3.4年

30 22 30 13 5

5.6年

42 19 30 5 4

中学生 35 27 27 5

6

学習に落着がなくなることは事 実であろう。 この事に対する 対策は,家庭において特に考へ

てゆかなければならないと思う が,第12表で示す通り僅かでは あるが,設置期問の経過に伴 い,気にしなくなってきている

第11表 学習のようす(:父母)

「面一警二 落着ない 変らない

熱心になった

無 答

L2年

21 59 4 16

3.4年

25 45 8

22

5.6年

25 51 11

13

中 学 23 56 7 14

全体

23%

53 8

16

のではないだろうか,此処でも,此の的な現実の環境に対する適応といった事に期待しなけれ ばならないかも知れない。子供の学習時に於ける環境に静寂なことを求める事が理想であって も今日の社会に於いては,一時代前の様に簡単に,その様な場を持つということが不可能にな ってきてるのではないだろうか,とすれば,此の密な喧騒の中に於いても学習に没頭出来る子 供達が出来上っても不思議ではないわけである。将来の人間性の異りは,此の様なところがら 生じて来るのかも知れない。

      第12表 学習中テレビが(児童生徒)

 学年 \\ 小学3.4年

設置期間17ケ月

〜一〜1以上

気になる

気にならない

無 答

56 38 6

5.6 ケ月 53 39 8

3,4 ケ月 44 48 8

1.2 ケ月 67 28 5

小学5、6年

7ケ月5.6 以上 ケ月.

42  13 49

9 63 24

3翔協

39  5Q 54

7 50

0

中 学. 生

7ケ月 以上

34 66 0

5歪月13淘協

32 54 14

37 62

1

45%

55 0

一41一

(8)

2.家庭視聴の仕方

第13表 (父母調査)

40%

45%

。0

R0

Q0

158Q/。

平均

y0%

12ゐ ゐ

3.SQん

残置期固 密言霜美轟= 漁百妻覇=

・人恥五轄ゾよ月q六目凶昌二

痴矯毎 全学年 S昌平灼

・潮医

低学等 中学年 高学年 中学生

S昌平均 全学年 全学生

S月平土勺

全学年全R平均

時圃番組共に事前てきめる

みる時画 セけきめ

みる番組巳だけきめ 臣畠磯応変

ノみる

  い ネんマる

ンる

iひまが晶

@F艮り)

§4・計画視聴

 現在長崎では,NHKとNBCの二局がテレビ放送を行っているが,両局とも平日で約8時 間電波を流している延時間にして1日16時間の放送があっているわけである④。しかし此の中 で1人の人間が視聴し得る平均は約3時間から4時間といわれているので,その3時間乃至4 時間の間に16時間の内容の中どれをみるべきかをきめなくてはならなくなる。勿論第13表に示 すよう「何でもみる」「臨機応変にみる」といったたぐいが約半数はいるけれども,やはり効 果的にテレビを見る為に,あらかじめ新聞その他で,番組を選定して見るものを決める者が半 数いる事は当然であろう。「事前にきめる」は高学年の家庭,或いは,設置期間の短い家庭程 高くならている。

 高学年程高いというのは,中学生や小学5,6年においては学習量が多いので,勉強時聞とテ レビの時間をうまく都合つけるためにも計画性が必要になってくるのであろう。

設置期間の短いものにおいて「事前に決める」ことが多くなっているのは,やはりテレビに対

する最初の期待と器械が計画視聴をさせるのではないだろうか。

 計画性といっても,「事前に番組,時間共に決める」のが最も計画性があるわけでこれが16

%。「時間だけをきめる」が13%「番組だけをきめる」が16%である。

(9)

 ところで「時間」と「番組」のいずれを事前に決めるのがより計画的であるかを考えると

「時間をきめる」方がより計画性に富んでいると考えたい。何故ならば「番組をきめる」とい うものの中には,勿論充分な計画視聴の態度をとっているものもあろうが,実は好みの番組 を,前以ってあげて,それだけをみるというものが可成多いのではないだろうか,そこで生活 時間の配分ということから考へてゆく「時間を決める」方がより計画的であると考えたわけで

ある。

 さて「時間」や「番組」を決めるにしてもそれをいつ決めるかによって,そのもつ意味は大 分異ってくる。そこで「事前に番組時間共にきめる」と(第13表)「番組だけきめる」について 研べてみると,「夕食の時」が一番多く約43%,次が「夜テレビの前で」が34%,少いのが「朝 食の時」で16%である。「夜テレビの前で」は大して計画性があるとはみられない。即ち,こ れは「臨機応変にみる」と大した違いはないように思われる。「朝食の時」と「夕食の時」とい うのは,事前にきめるということでは,より計画性があるといってよい。特に「朝食の時」に 決めるのは,見るまでの問にかなりの時問のへだたりがある点からも高度のものとみてよいと

思う。

 前に調査対象の45%が計画視聴の態度をとり,その中に「時間をきめる」が13劣であったの で「番組をきめる」は全体の32%ということになるが,この32%の更に50タ6(「朝食の時」!6

%「夕食の時」34%)すなわち全体からみれば(32%の中の50%)16%が前以って番組をきめ ていることになる。「時間をきめる」13%と「番組をきめる」16弩の合計,29%というものが 計画視聴の態度をとっているものとみてよいであろう。

 §5.視聴計画時間

 一方見る時間はどれだけに決めているかという点で「事前に決める」と「時間をきめる」人 について「1時間以下」「1〜2時間」「2〜3時間」「3〜4時間」「4時間以上」の5つに答えても

らった。

 この全体酌な結果は第14表に示す通りであるが設置時間による差はほとんどみられない。唯

「4時間以上」において,設置1,2ケ月のものが25%もあるのが目立っている,(他の設置期

      第14表 視聴計画時間(父母調査)

時  間   %

1時間以下  1〜2時間

 4g l 27.8

2〜3時間 3一塒間14時間以上

46,9 15.0 5,4

間はいつれも1〜6%である)4時間以上の視聴計画を立てるのは, テレビへの新奇性に起因 しているものと考えられるが,「4時間以上」の視聴計画するのは,家庭生活の時間の大半を テレビに費すことになるので教育的に大きな問題があるといえる。但実際の視聴時間は後述す

る。

 §6.ダイアル権

 それでは,みる番組は誰の意見によって決められているのであろうか, この点については

一43一

(10)

「祖父母」「子供」「父魯」「家族全員の話し合いで「の4つの項目からあげてももらった結果 次の様になった。

  家族全員の話し合いで   52 %

   子 供       30鬼

   父  母        16.9%

    祖父母      0.94%

 丈部省の調査によると⑤

  家族全員の話し合いで   31%

   子  供        44%

   父  母        12%

   無記入        13%

で,本調査の方が,「全員話し合い」という理想的な視聴方法では,率が高い,これも,長崎 が,初期の視聴者であるので,全国一般のものよりレベルが高い事を示しているものと思え る。本調査に於いても,文部省調査においても,子供が番組をきめる率は父母に比べて大きい ように出ている。これは,父母は他のいろいろな用事で見れない事が多かったり,番組の一つ 一つについてよく知らなかったりすると,つい子供にまかせきりにしてしまうということがあ ると思われる。一方子供の意見を尊:重してやっているとも考えられるが,それならば「家庭の 話し合い」という形があるはずであるからこれは結局,テレビを子供に放任しているといって

もよいかと思われる,「全員の話し合いで」は理想的な視聴方法あると思われるけれども,幼 児,低学年の子供の家庭であれば,父母が選択してやるのが正しい視聴方法ではないかと思わ れる。そして子供の生長と共に徐々に話しいで決めるといった形に移行してゆくのが理想的で

ある.と思う。

 § 7.子供に対する,視聴前,中,後の父母の態度  この件については

 (A)良いと思われる番組をみる前に両親はそれについて子供に話してやりますか。

 (B)みている間,子供にわからないと思われる場面,事柄を説明してやりますか。

 (C)視聴後,その番組内容について家族で話し合いをしますか。

 (D)視聴後その番組の内容等について両親は説明してやりますか。

の問題に夫々解答をして貰った。

 この結果は何れも設置期間別による差はみられない。

 (A) 「みる前に話してやる」という点についてみると「良くある」は僅か乍ら低学年が多

く,「時々ある」は小学生全般に多く中学生に小い,「やった事がある」は学年差は認められな

い。「ない」は小学5,6年及び中学生の家庭で多くなっている。「事前の説明」を全対象につい

て一括してみると第15表のようになる。

(11)

 「やった事がある」というのはせいぜい1〜     第15表視聴前の説明

隠霧獣類瀦二極需鷲よくある時々ある簾創鰭

説明」を心がけているものは「よくある」と   ヌ2  38  15  16  19%

「時々ある」の両者即ち50%である。

 (B)みている間に場面や事柄を説明してやったことがあり.ますか」をみると,「よくある」

において小学3,4年が一番多くそれより高学年程少く, 又小学1,2年も小学3,4年より少 くなっている。特に中学生は「よくある「は非常に少い。

 「やったことがある」と時々ある」は各学年共,同じような割合をしめている,「時々ある」

は約40%各学年共にあり「やったことがある」は約14%をしめている。

 「ない」は小学生においては各学年共非常に少くなっている。ところが中学生はそれよりず っと多くなっている。

「視聴中の説明」を舗醜躰ついて一括,第賑視聴中の説明 @}

すると第16表で示す渤である。   獺低価童部奮こない鰭

 これは「みている問子供にわからないと思わ

      %    32    32     15     9    12

れる場面事柄を説明してやりますか」と問いか

けた結果である。「よくある」と「時々ある」を合せて64%あることは,視聴中説明がよく行 われていることを示している。

 (C) 「視聴後,番組内容等について,家族で話し合ったことがありますか」の問いかけに 対しては「よくある」は低学年に僅かに多く,

中学生より多くなっている。「やったことがあ る」は学年による差は殆んどみられない。「な い」は高学年程多くなっている。

 「視聴後の話し含い」を一括すると第17表で 示すようになった。

 (D) 「視聴後,その番組の内容について両 親が説明してやったことがありますか」におい ては「よくある」は中学生が少い。「時々ある」

も中学生が少い。「やったことがある」は学年 による差は殆んどみられない。これを一括する

と第18表で示すようになった。

「時々ある」は小学校各学年での差はないが,

第17表視聴後の話し合い

項目

1%

携竃

18 36

やったこ とがある

ユ8

ない

14 無答

14

第18表視聴後の説明

項目

% よく ある

16 時々 ある

37

やったこ とがある

23 ない

13 無答

ll

 以上,(A),(B),(C)の4項目についての調査結果を綜合的にみると,話し合いや説明が 高学年になる程少くなっている。これはテレビ番組の内容で中学生に難解なものが余りないこ とや,かえって説明をうるさがったりする傾向のあらわれであるとみられる。逆に小学3,4 年生の家庭において話し合いや説明が多くなっているのは,この年令の頃が何でも知りたい,

一45一

(12)

時期である事によるであろう。然し何れにせよ,テレビのコミニヶーシ・ソのII生格が「送り手 から受け手への垂直関連ばかりでなく受け手の内部での水平関連によって大きく左右されるこ と」がカッツ,ラザスフエルド等の社会心理学者より指摘されており⑥,視聴前,中後の大人 の話しが,テレビのミディアにフィルター的役目を果しているといわれているのであるから,

此の機能を大いに発揮するように努めることが,テレビの悪影響をさける,大きな力となる事 を知らなければならない。

      3.視  聴  時  間

§8.視聴時間調査は,一週間のテレビ番組表を作製して,児童生徒がその日その日に視聴 した番組に印をつけさせ,その印された番組の時間と合計して視聴時間を割り出したのである が,その設置期間前の集計が第19表1,2,3である。この表によると,児童生徒の過半数の

 第19表の1設置期間別(視聴時間)平 日

\  時間 設置廟\\

7 ケ 月

5,6 ケ 月 3.4 ケ 月

1,2 ケ 月 計

文部省調査

  1 (0,01〜0,59)

 268 (15.60)

 131 (14.39)

 192 (16.25)

 149 (16,98)

 140 (15.77)

(17)

 2 (1〜1.59)

 520 (30.28)

 284 (3L20)

 393 (33.27)

 233 (26.56)

 1430

(30.52)

(21)

 3 (2〜2.59)

 505 (29、41)

 280 (30.76)

 382 (32.34)

 279 (31.81)

 1446

(30.81)

(24)

 4 (3〜3.59)

 796 (17.23)

 152 (16.70)

 166 G4.05)

 152 (17,33)

 766 (16、35)

(20)

 5 (4〜4,56)

 97 (5.64)

 51 (5.60)

 33 (2.79)

 55 (6.27)

236

(503)

(10)

(5〜 ) 5以上

 31 (1.80)

 12 (1.31)

 16 (1.35)

 8 (O.91)

 67 (1.43)

(6)

計 1717

(100)

910

(100)

1181

(100)

977

(IOO)

4685

(100)

無記入計  (2)  (100)

第19表の2

\   時間

設置細くく

7 ケ 月

5,6 ケ 月

3,4 ケ 月 1,2 ケ 月

文部省調査

  1 (0,01〜0,59)

 43 (12.53)

 20 (10.98)

 36 (14.75)

 14 (5,48)

 l13 (12.09)

(ll)

 2 (1〜1,59)

 93 (27、69)

 56 (30.76)

 80 (32.78)

 57 (34,54)

 286 (30.62)

(19)

 3 (2〜2,59)

 95 (27.6ゴ)

 48 (26.37)

 55 (22.59)

 44 (26166)

 242 (25、91)

(19)

 4 (3〜3,59)

 60 (17、49)

 43 (23.62)

 43 (17.62)

 30 (18.18)

 16 (18.84)

(16)

 5 (4〜4,59)

 27 (7.87)

 8 (4.39)

 17 (6.96)

 14 (8.48)

 66 (7,06)

(11)

(5〜 ) 5以上

 25 (7.26)

 7 (3.84)

 13 (5.32)

 6 (3、63)

 51 (5.46)

(9)

計 343

(100)

182

(100)

244

(100)

165

(100)

934

(100)

無記入計 (15)  (100)

(13)

第19表の3

7 ケ 月

5,6 ケ 月 3,4 ケ 月

1,2 ケ 月 計

文部省調査

  ユ (O,Ol〜0,59)

 33 (9,42)

 14 (7.73)

 15 (6.46)

 ユ3

(7.60)

 75 (8.02)

、(ll)

 2 (1〜1,59)

 64 (1828)

  32

(17,67)

 55 (26.70)

  34 (19.88)

 185 (19,81)

(18)

 3 (2〜259)

 68 (19.42)

 38 (20、99)

 52 (22.4王)

  35

(20.46)

 4 (3〜3,59)

 64 (18,28)

  30 (16、57)

 34 (14,65)

 26 (15.20)

 193    154

(20,66)   (ll,48)

(20) (27)

 5 (4〜4,59)

 31 (8.85)

 2ユ (ll.60)

 20 (8,60)

 21 (12.28)

 93 (9,95)

(13)

(5〜 ) 5以上

 90 (25.71)

 46 (25.41)

 56 (24.13)

  4穿

(24.56)

 234 (25,05)

(18)

計 3rO

(100)

181

(100)

232

(100)

171

(100)

934

(100)

無記入計  (3)  (].00)

ものが平日,土曜日に於いて,2,3時間テレビを視聴しているわけで,2,3時間のテレビ視聴 者は,平日62%,土曜日で57%。これに対して日曜日に於ける視聴時間は,5時間以上の視聴 者が全体の25%を占め,平均の視聴時間が多くなっている。設置期間別の差は顕著なものが見

出されない。これを文部省調査と比較してみると(第19表1,2,3の最:下欄)⑦,平日,土曜,

日曜すべてにわたって,長時間視聴者が丈部省調査の方が多く,本調査では2,3時間の視聴者 の方が多い。この直な相違が出てきたのは,全国視聴者の平均に比べて,長崎の視聴者は家庭 的にレベルが上にあるのではないかと思われる。視聴時間の少い程,家庭の母親の学歴が高い というりマーズ等の53年調査がそれを裏付けている⑧。もっともこれは,長崎のテレビを初め て間もない初期の被調査者であるからで,数年経てば全国平均に近づいて来るであろうことが 予想される。

 学年による視聴時間の差をみてみると,小学児童の平日における平均視聴時間は,1,2年で 222時間,3,4年で2.12時間,5.6,月一で2.12時間で学年による差は余り認められない。アメ

リカに於けるウィティの50調査によると⑨3年(3.42時間)6年(3。71時間)あたりが最:高に なっているが殆んど3時間台で大きい学年差はないようである。

 中学生は小学生に比べて平日に於いては差は認められない(平日に於ける平均視聴時間は小 学児童で2.18時間,中学生で2,ll時間である)が土曜日,日曜日ではかなり顕著な差が認めら れ,中学生にテレビを長く視聴しているものが多い。(第20,21表参照)

第20表 小学児童の視聴時間(%) 第21表中学生の視聴時間(%)

「ポ噸 1〜3   4

土 曜  日 目 曜 日

77 69 50

17 19 18

5以上

5

12 32

土 曜  日 日 曜  日

1〜3

79 65 44

4

14 20

5以上

7

ユ5

14 45

一47一

(14)

 即ち,4時間以上のテレビ視聴者は中学生に多く,土曜日に於て中学生35%,小学児童29

%.日曜日に於て中学生56%,小学児童50%になっており,叉日曜日に於ける5時間以上のテ レビ視聴者は,中学32%,小学22%である。このように土曜日,日曜日に於いて小学児童より 中学生が長時間にわたってテレビを視聴しているのは,これらの曜日に「スポーツ中継」「舞 台中継」「日曜観劇会」「お好み日曜座」といった長時間の大人向き番組があり,これらの番組 を中学生の方がより多く視聴しているためであろう,中学生になると番組の選択,生活時間の 効果的利用についての自覚が高まり視聴時間が短くなると一般に言われているが,平日に於い ても小学児童との間に視聴時間に差がないことからいっても,この考えは少し楽観的すぎるよ

うに思われる。

 全般的に視聴時間調査では,本調査が初期の調査という特異性のためか,視聴時間が他の何 れの調査よりも少いことある。しかしこれは何回もいうように長崎の特性というのではなく過 度的現象であるので,今後,大いに警戒する必要があろう。しかし本調査の場合ですら,4時 間以上テレビを視聴している22%の児童生徒がいる。彼等は,平日の夜のテレビ視聴可能時間

(約5時間)の殆んどすべての時聞にわたって視聴しているということで,これでは色々な意 味で, 彼等の日常生活に障害を来すであろうことは予想されるわけで, テレビ設置家庭によ

る,テレビの視聴計画はその点からも,重要な問題とならざるを得ない。

本調査では,以上の外,視聴内容,他のマスメディアに及ぼした影響,及び,児童生徒の生 活習慣に及ぼした影響に興味ある結果が出たのであるが,紙数に制限があるので割愛すること

にする。

 全般的に,初期のテレビ影響調査の結論は,

 1.初期のテレビ受像機設置家庭は,全国的設置家庭に比較して,経済的レベルが高い関係 からか,子供に対する視聴時間その他に,計画性が強い,従って平均視聴時間は少いし叉,視 聴計画も慎重であるようである。

 2.従来他のマスメディアに与へていた時間が極度に減少している,特にラジオ視聴時間が 非常に少くなっている。これもテレビに対する薪奇性の然らしめる所で,年月の経過と共に幾 分旧に復すものと考へられる。

 3,両親に対する質問や,家族の話し合いが多くなった。テレビは一家団藁の風習を積極的 に進めている。それに加えて子供の常識が富に高まってきたことがわかった。

 4.家庭学習には,予想されるような悪い影響ばかり生じているのではなく,むしろ勉強の 計画性等はそのため進んできている。多少の過視児に於いては,学業成績が落ちるのも出来て 来ているようであるが,常識の高まりはそれを補うに充分なものがあるようである。

 5.要するに,テレビを設置した家庭の父母が,単にこれを,家庭の娯楽物と考え之を放置 しておくと,児童生徒に悪影響を与える恐れは充分にあるが,これを家庭ぐるみで計画的視聴 をつづけていってる家庭には,むしろ,効果的な面が出て来ている。但し,初期にあっても,

大半の家庭が此の様な立場から活用しているとみられなかったので,今後における家庭に於け

(15)

るテレビの視聴のあり方を大いに考えなければならない問題であろう。

 参 考 資 料

① 長崎大学附属小学校「テレビ影響調査」(昭和34年3月)

②文部省「テレビジョン影響調査」(昭和33年度)

③「テレビジョン」金沢覚太郎(P.23工)

④ 長崎市に於けるテレビ視聴状況調査N.B,C長崎大学心理学教室

⑤前掲②P、39第9表の2

⑥思想1958、11「マスメディアとそのテレビジョン」P.62

⑦前掲③P.27第2表の1

⑧「放送と児童の問題」N.H.K放送丈化研究所(P.7表7)

⑨前掲⑧P.6表2

      (昭35,2.29受付)

一49一

参照

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