アダム・ ス ミスの支配労働論
論 説
アダム・ ス ミスの支配労働論
田
島
慶 五日
問題の所在一投下労働価値説 と支配労働価値説―
『諸国民の富』 における投下労働価値説 と支配労働価値説の二つの価値論 に関 して,ス ミスは投 下労働量 による交換価値の決定を「初期未開の社会」 に限 り,「資材の蓄積 と土地の占有」以後の 社会では,賃金,利潤,地代の各 自然率が商品価格を「構成」す るとす る「支配労働価値説」「構 成価値説」を採用 したことにより,前者を否定 したとされる。 このような理解 はむろん,一応,分
献上の支持がある①。
ス ミスは『諸国民の富』第一編第六章「諸商品価格の構成部分について」で,「資財の蓄積 と土 地の占有 との双方 に先行す る社会の初期未開の状態」(I.宙.1.p.65。 131頁)と「 資財が蓄積 さ れた」(I.宙。5。p.65.132頁)社会 を区別 し,前者で は投下労働量が商品の交換比率を決定す る 基準であるとし (Cfo I.宙 。1.p.65。 131頁),「このような事態の もとでは,労働 の全生産物 は労 働者 に属 し,またある商品の獲得 または生産に普通雇用 される労働量 は,その商品が普通購買 し,
支配 し,またこれと交換 されるべ き労働量を規制する唯一の事情である」(I.宙。4.p.65。 132頁)。
これに対 して,「資材が個々人の手 に蓄積 されるや否や」「 このような事態の もとでは,労働の全生 産物 は必ず しも労働者 に属 さない」(I.宙.7.p.67.134頁)と し,利潤,及び,地代が商品価格 の構成 に入 る ことを認 めた。「 この場合, あ る商品 の獲得 または生産 に費 や され る労働 の量 (quantity of labour coFnlnonly emp10yed in acquiring or prOducing any coFlllinodity) は,
その商品が普通購買 し,支配 し,またはこれ と交換 されるべ き労働の量 (quantity which it ought
commonly to purchase,command or exchange for)を規制 し得 る唯一 の事情 で はない」(ibid.
同上)。 これが,ス ミス は投下労働量 によ る価値規定 を初期未開 の社会 に限 り,資財 の蓄積 と土地 の 占有 とが行 われている社会,つま り,資本主義経済 を取 り扱 う時 には,投下労働量 による価値規 定 を捨 て,或いは, これ と併存 させ る形 で,支配労働価値説 を採用 した と言 われ る場合 の根拠 とな
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る箇所である。 しか しなが ら,私見では,ス ミスの投下労働価値説 と支配労働価値説 とは矛盾 しな い。ス ミスにとって投下労働量 と支配労働量 とは等 しいというのは自明のことだ ったのである。 こ れは,原材料部分の価値量がどれほどであって も,労働生産性の上昇がどれほどの ものであって も, 或 いは更に,商品の価格の変動がどれほどのものであって も,利潤部分,地代部分の大 きさがどの ようなものであって も,両者は等 しいのである。
第一節 投下労働 と支配労働
第―項 通常の支配労働の考え
我 々は先 ほど「 自明」であると言 ったが,投下労働量 と支配労働量 とは異なるとするのが,後代 の経済学者 にとっては「 自明」であった。投下労働量 と支配労働量 とが等 しくなるのは,利潤およ び地代がゼロの時のみであり,一般 に投下労働量 は支配労働量 よりも小 さくなる。
今,総投下労働量をL,純生産物量をQ(これは同質の財か らなるものとしよう),B,S,M,
をそれぞれ,純生産物か らの労働者,資本家,地主への分配分 とす る。Qは同質な財か らなると仮 定 されているので,Q=B+SttMと 書 くことで き,実質賃金率 はb=B/Lと なる。 この時,あ
る財 の支配労働量 とは,賃金財一単位 あた りの支配労働量 を意味 し,実質賃金率(b)の逆数 (1/b)で与え られる。つまり,賃金財一単位が「雇用する」労働量を「支配労働量」 としているの である。 この意味での支配労働量 と投下労働量 とが同 じであれば,利潤,地代部分はゼロとな り, 従 って,利潤,地代部分が存在すれば,投下労働量 と支配労働量 とは一致 しない。
ス ミスはこの論理を理解できなか ったのであろうか?そうではない。 ス ミスが投下労働量 と支配 労働量 とは等 しい と述べ る時,ス ミスは「支配労働量」 を賃金財一単位 の「雇用す る」労働量 (L/B)ではな くて,「純生産物一単位の支配 または購買す る労働量」(L/Q)と して定義 している のである。つまり,ス ミスは労働生産性(Q/L)の逆数(L/Q)を,純生産物一単位の「支配する」
労働量 として定義 したのである。
「 あ らゆる人 は,その人が人間生活の必需品,便益品,及び,娯楽品をどの程度,享受で きるか に応 じて,富んでいたり,貧しか った りする。……ところで,いったん分業が徹底 して導入 される と,一人の人間が自分 自身の労働で充足 し得 るのは, これ らの内のごく小 さな部分 に過 ぎない。彼 はその圧倒的部分を他の人々の労働か ら引き出さなければな らないのであって,彼は自分が支配 し 得 る労働の量 (quantity Of that labour he can command),つ まり, 自分が購買できる労働の 量 に応 じて,富んでいたり,貧しか った りせざるを得ない。従 って,或る商品の価値は,それを所 有 していて も,自分 自身で使用または消費 しようとは思わず,それを他の諸商品と交換 しようと思 っ
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て い る人 に と って は,その商品が購買 また は支配 させ得 る労働 の量 に等 しい。」(1.v。 1.p.47.
105頁)
ここで,「 その商品が購買 または支配 させ得 る労働 の量」 とは,純生産物 が賃金,利潤,地代 と して労働者,資本家,地主 に配分 され る時,労働者 は総投下労働量 の うち,B*L/Qだ けの労働量 を「 支配」 し,資本家,地主 はそれぞれ,S*L/Q,M*L/Q,の労働量 を「 支配」 す ることを意味 す る。「 自分 の購買 で きる労働 の量 に応 じて富んでいた り,貧しか った り」 す るとは, この分配分 の増減 は,当然, この分配分 の「 支配」す る労働量 の増減を意味 しているか らである。支配労働を
「 純生産物一単位 の支配 または購買す る労働量」 と定義すれば,純生産物 の総計(B+S+M)で は,
(Btt S+M)*L/Q=Q*L/Q=Lと なる。従 って,総投下労働量 と純生産物 の支配す る労働量 と は等 しいのである。我々と同 じ結論に達 したのは,Vo W.Bladenである。Bladenは「商品に体化 された労働量 と,その商品の支配労働量 とは,入手可能な労働量を別々に表現 に したものに他なら ない……問題であるのは,誰が, どの程度,労働を支配するかである」②と述べ ることによって核 心を突いた。
第二項 スミスの投下労働価値説 と搾取理論
「純生産物一単位の支配 または購買する労働量」(L/Q)を支配労働量 として定義することは,純
生産物 は「価値的」 には投下労働量 と等 しい, と述べることと同 じである。つまり,ス ミスの支配 労働 とは,純生産物 と価値的には等価な労働量を意味 している。従 って,純生産物がどのような割
合で,賃金,利潤,地代 として分配 されて も,その総計,つま り,純生産物の総量の支配する労働 量 は,投下労働量 に等 しいのである。 これがス ミスの投下労働価値説である。
そ して この投下労働価値説 はス ミスの搾取理論につながる。純生産物の価値量が投下労働量に等 しいとするこの把握 は,収入の源泉,つまり,「交換価値」の源泉を労働 に求めることとな り,更
に, この一定の労働量が,賃金,利潤,地代の各「収入」 として分配される時,利潤,地代 は当然,
純生産物か らの「控除」,つまり,搾取部分 となる。「労働の生産物 は労働の自然的報酬,つまり,
自然的賃金を構成する。土地の占有 と資財の蓄積の双方に先行する事物の本源的な状態のもとでは,
労働の全生産物 は労働者に属する。彼 はともに分 け合 う(share)べき地主 も親方 も持 っていない」
(I.価。1‑2.p.82.157頁)のであるか ら,「本源的状態」では,労働者の労働 による産出物 は,全
て労働者の収入である。 これに対 し,「資材が個々人の手に蓄積 されるや否や」「労働の全生産物は 必ず しも労働者 に属 さない」(I。 宙。7.p.67.134頁)。 つまり,労働者の労働を体化 した産出物の 全て(Q)を労働者 は得 ることはで きず,それは賃金部分(B),利潤部分(S),地代部分(M)に
分割 されるのであるか ら,労働者 は,その総投下労働量(L)のうち,その純生産物の分配分によっ
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てはB*L/Qの時間 しか労働を支配す ることはで きない (資本家 は,S*L/Q,地主 はM*L/Qの労 働をそれぞれの分配分 によって支配す る)。
支配労働のス ミスの定義 によれば,投下労働量 と支配労働量 とは等 しく,また,純生産物の価値 量 は投下労働量 と等 しく,純生産物が賃金,利潤,地代 として配分 されるのであるか ら,利潤,地
代 は労働生産物か らの「控除」,つまり搾取部分 となる。 これがス ミスの搾取理論である。通常, 搾取 は,労働生産性が実質賃金率よ りも大の場合に存在する。 しか し,ス ミスは,実質賃金を「必 要生活消費財」 のみによつては規定 しなか った③。 ス ミスの「実質賃金」 とは,純生産物の中か ら 労働者 に与え られる部分であり,生活消費財 と「便益品」を含んでいる。 しか し,同時に,純生産 物の「価値量」 は投下労働量に等 しいのであるか ら,労働者 は「搾取」 されているのである。
第二項 純生産物の分配 と「富裕化」の尺度
この「支配労働」の定義によリス ミスは,投下労働量 は純生産物の支配労働量 に等 しいと述べ る ことができたが,更にこの論理 により,ス ミスは富裕化の尺度を手にす ることができた。分配 され た純生産物の増減 は,その支配労働量の増減 と等 しくなり,支配労働量 は富裕化の尺度 となる。 ス ミスは周知のように,商品の「 自然価格」を賃金,利潤,地代の「 自然率」の総和 と定義 した。従 っ て,自然価格=「自然率の総和」 とは純生産物 の分配状態を表現す る (「純生産物一単位の支配 ま たは購買する労働量」を尺度単位 とす る)。 従 って,「あらゆる特定の商品の価格,つま り,交換価 値 は, これを個々別々に取 ってみれば, これ らの二部門のどれか一っに,またはその全てに分解 さ れるように,あ らゆる国の労働の年々の全生産物を構成する一切の商品の価格 もまた, これを複合 的に見れば,同じ二部分に分解 され,その国の様々な住民の労働の賃金,彼等の資財の利潤,また 彼等の土地の地代のいずれかと して,彼等の間に分配 されるのである」(I。 宙。17.p.69。 139頁)
とス ミスが述べた時,ス ミスは純生産物の三大階級間の分配を論 じているのである
第四項 賃金,利潤,地代の「 自然率」 と「 購買力」
純生産物が労働者,資本家,地主 に分配 されるとすれば, この分配状態は商品交換においていか に表現されるか ?ス ミスはこれを商品の「 自然価格」 と呼ぶのである。そ して「 自然価格」は賃金, 利潤,地代の「 自然率」の総和,つまり「実質」賃金率,「実質」利潤率,「実質」地代率 の総和 と
された。ス ミスは何故,「実質」 というのか?「実質」賃金,「実質」利潤,「実質」地代 とは何か ? ス ミスは単に,名目 (価格表示)と実質 (物財表示)を区別 したのではない。 ス ミスの言 う「実質」
とは,「物財」の もた らす「購買力」,つまり,支配労働量なのである。「 その特定の対象 {或る財}
の所有が もた らす他の財貨に対す る購買力を表現す る」(I.市。13.p.44.102頁)場合には,それ をス ミスはその財の「交換価値 (value in exchange)」 と呼んだ。そ して更 に, ス ミスは,「交換
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価値の実質的尺度」を「実質価格 (real value)」 とする。「価格のあらゆる構成部分の実質価値 は,
そのおのおのが購買 または支配 し得 る労働の量 によって計 られる」(1.宙.9.pp.67‑8。 135頁)と いうス ミスの文章の真意は明白であろう。ス ミスによれば,「労働の実質価格」,つまり,実質賃金 とは「労働が労働者 に もた らす生活必需品や便益品に対す る実質的な支配力」(I.価。22,p.87.
166頁),実質地代 とは「他め人々の労働または労働生産物 に対する地主の購買力」(1.対.p.264.
431頁)となる。利潤 は,当然,他の人々の労働または労働生産物に対する資本家の購買力 となる。
従 って,実質価格,実質価値,購買力,支配労働量 は同義である。賃金,利潤,地代の「実質価格」
は全て,「労働の生産物 に対する購買力」 と等値 されている。従 って,「実質価格」 とは商品交換に よって もた らされる「収入」を意味 しているのである。ス ミスの価値論 とは「労働の生産物」=純 生産物の分配状態 (これは,商品交換社会では,賃金,利潤,地代 として現れ る)を尺度する基準 である。
か くして,ス ミスの「支配労働」の意味はより明白になる。それは,社会全体の利益=富の増大 と個別利害 (労働者,資本家,地主 の収入)との一致,不一致を「実質」 によって評価するための ものなのである。つまり,商業社会では純生産物の分配状態 は,商品の「 自然価格」 として現れる が,ス ミスはこの「 自然価格」に現れた純生産物の分配状態を,その「支配労働」の概念によって 尺度するのである。
第五項 難 点
だが,純生産物の分配を扱 う際の重大な難点をス ミスは意識 していた。つまり,純生産物 は,異
質な物財か ら構成 されているという点である。純生産物が異質な物財か ら構成される時,純生産物 の分配 は共通な単位に換算 されねばならない。通常 これは財の価格を用いて行われよう。だが,異
質な財か らなる純生産物 は価格 によって相互 に通約可能 となるが, この価格 という尺度が変化する のである。 ス ミスが『諸国民の富』第一編第十一章第二節「銀の価値の変動に関する与論」で銀の 価値変動の時代的趨勢を論 じた理由は何か?労働者,資本家,地主への純生産物の分配を「実質」
で評価す るためである。例えば,貨幣賃金率(w)=消費財価格 (P)× 賃金財(b)であるとして,
貨幣賃金率が三倍になったとして も, これが,銀産出量σ変化 による消費財の銀価格の高騰による ものか,労働者分配分における賃金財そのものの増大(b→ 2b)によるものかは分か らない。また,
貨幣賃金率が低下 したとして も, これが賃金財生産における生産性を反映 したものであれば,実質 賃金率 は変化 しない。何よりもまず,分配 における変化 は価格の変化をもた らすであろう。ス ミス のこの第二節での議論は,価格変動を分配における賃金財の量的変化か ら切 り離そうとす る努力な のである。 ス ミスは,『諸国民の富』第一編で個別利害 (賃金,利潤,地代の各「 自然率」の増減)
と社会全体の利害 (「富」の増大)との関係を考察の中心 としたのであるが,その第十一章で,賃
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金,利潤,地代 の「 自然率」,つま り,賃金,利潤,地代 の「 実質率」 の変動 で もって,個別利 害 と社会全体 の利害 の一致,不一 致 を計 るため に,価格 変動 の影響 を受 けない,不変 の価 値尺度 を
「 支配労働」 に求 めたのであ る。
純生産物 を構成す る財が どれ ほど異質であ って も,労働 の生産性 にどれ ほどの変化 が あ って も,
総投下労働量 と総支配労働量 は同一 で あ る。 つ ま り,「等量 の労働 はいつ どの よ うな と ころで も労 働者 にとって は等 しい価値 であ る……それ 自体 の価値が決 して変動 しない労働 だ けがいつ どのよ う な ところで も,それ によ って一切 の商品の価値 が評価 され,また比較 されえ る究極 の標準 であ る」
(Io v。 17.p.54.115頁)。
第二節 支配 労働論 の論理
第一項 純生産物 の通約不可能性
ス ミスの言 う「 投下労働量=支配労働量」 は,純生産物一単位 の支配労働量 とい う,上述 の「 支 配労働」論 によ って成立 した。 しか し, この論理 は,異質 な財 か らな る純生産物 を共通 な単位 に換 算 で き, この換算 され た純生産物 を用 い ることによ り,「実質」 で純生産物 の分配関係 を表現す る ことがで きる。 ス ミスは「富」 の「 実質」 を,純生産物(Q)と し,そ して これが,労働者分配分
(B),資本家分配分(S),地主分配分 (M)と して分配 され ると した。 ここまで はいわば,当然 で あ る。
だが, こ こで,純生 産物量 (Q)=SttB+Mと す る ことはで きな い。何故 な らば,純生産物 を 構成 す る「 財」 は「 同質」 で はないか らで あ る。 純生産物 は種 々の財 か ら,例えば,農業生 産物 (主と して,穀物),農業生産物以外 の消費財,奢移 品,余剰 の生産財,等か らな る。従 って, これ を「 実質」 レベルで,つま り,「 物財」 レベルで単純 に加算 す ることはで きない。 このために, こ
れ らを通約 して,B+S+Mを 可能 とす るため に,通常,価格(P)が用 い られ る。 ここで例 えば, 価格 を尺度単位 と し,生産要素 を資本(K),労働(L),土地(N),貨幣利潤率,貨幣賃金率,貨
幣地代率 をそれぞれ,r,w,n, とすれば,w=B/L,r=S/K,n=M/Nで あ り,Y=P*Q=
rK+wLttnNとな る。
しか し,純生産物 の分配状態 は生産 された商品の価格 を も決定 しよ う。従 って価格 による尺度 は, 分 配 が異 なれ ば,異な る値 を もつ ことにな る。 そ こで,分配 か ら独立 した尺 度 の問題 が生 じる
(「リカー ド問題」)。 一 つ の解決法 は,純生産物 を全 て「穀物」 とす ることであ る (いわゆ る「 穀物 モデル」或 いは,「穀物利潤論」)。 ス ミスの経済成長論 において,好んで穀物 モデルが用 い られ る の は このためである。 だが この方法 は,異質 な財 をあえて単一財 と して扱 うとい う大 きな犠牲 を強 い るものである。 しか しなが ら,ス ミス はこのよ うな方法 を取 らなか った。 ス ミスは異質 な財 を,
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価格 によ らず して共通 な単位 に換算す るために,財量 を「 支配労働量」 で計 り,分配 か ら独立 した 尺度 を見 いだ したのであ る。
第二項 支配労働 による単位換算
今,社会全体 を三つの生産部門 に分 け,生産要素 は労働(L),資財(K),土地(N)の三種類 で あ る と し,純生産物 は これ らの生産要素 の投入 に応 じて,労働者分配分(B),資本家分配分 (S), 地主分配分 (M)に三 分割 され るとす る。純生産物 を構成す る財 の種類 は三種 の異質 な生産財,財 1(Ql)(例え ば,米),財2(Q2)(例えば,鉄),財3(Q3)(例えば,服)であ り,それぞれ の生産 は次 のよ うな固定比率 の投入 一産 出関係 を持つ とす る。
(Ll,Kl)―Ql米kg (L2,K2) →Q2鉄kg (L3,K3)→Q3着
L=(Ll,L2,L3)'L=Ll+L2+L3'K=(Kl,K2,K3)'Q=(Ql,Q2,Q3)' である。 また,
投入 される生産財 は,産出され る純生産物 と同 じ財 (Klは米,K2は鉄,K3は服)であるとし,
生産要素 としての土地 は生産部門の少な くとも一つにおいて投入されるとしよう (土地の単位 は,
例 えば,平方 メー トル とす る)。
Ql'Q2'Q3は純生産物Qを構成 している(Q=(Ql,Q2,Q3))が'これらを加算 してQl+Q2+Q3
とす ることはで きない。何故 な らば,「単位」 が異 な るか らであ る。 だが,それぞれの純生産物 は 直接投下労働Ll,L2'L3に よ って産 出 されて い るので,ス ミスの「 支配労働」 の定義 によ り,
Ql'Q2'Q3は Ll,L2'L3の各労働量 を「 支配」 して いる。 これを次 のよ うに表 そ う。
Ql→Ll Q2→ L2 Q3→L3
ここで,「純生産物一単位 あた りの支配労働量」 は,L1/Ql,L2/Q2'L3/Q3となる (単位 は時 間)。 ス ミスによれば,労働投入量 Liで,Qiが産出されれば,Qi一単位 の支配労働量 は Li/Qiで ある。 ここか ら,「支配労働量一単位あたりの純生産物量」が分かる。それはそれぞれ,Q1/Ll米kg' Q2/L2鉄kg'Q3/L3着 である。 これ らは直接的には,各生産部門における労働生産性 を意味 してい る(Q/L)が ,ス ミスはこれを「支配労働量一単位あたりの純生産物量」 と見な した。一般に「支 配労働量一単位 (一時間)あたりの純生産物量」は,Q/Liで ある。 ここで,Q1/Ll,Q2/L2' Q3/L3は「支配労働量一単位 (一時間)」 を共通な尺度 しているので,「等価」である。つまり,
「等価なものとして交換できる」。つまり,
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Q1/Ll米kg
支配労働量一単位 (一時間)は Q2/L2鉄kg と「等価」である。
Q3/L3着
ここで,価値尺度財,つまり,「支配労働量一単位 と等価な純生産物量」 として,Q/Ll米kgを 選ぶ (価値尺度財は,Q2/L2でもQ3/L3で もよい)。
Q1/Llは,「支配労働量一単位 と等価な純生産物」(この場合は米)を表 し,その単位は米kgで ある。更に, これは「支配労働量一単位と等価のものとして交換される米の量」を表 している (交 換比率はQ1/Llの 逆数,つまり,「純生産物一単位あたりの支配労働量」であるL1/Qlで ある)。
最初に, この価値尺度財で,Q2と Q3とを計る。Q2/L2服着とQ/Ll米kgは互いに「等価」物とし
て交換できる比率=1を表 しているので,Q2に対 しては,Q2′ =Q1/Ll*L2となる(単位 は米kg)。
同様 に,Q3/L3鉄kgと (Q1/Ll)も 「等価」であるか ら,Q3に対 しては,Q3′ =Q1/Ll*L3'更に,
同様 にQlを計れば,Ql′ =Q1/Ll*Ll=Qlと なる。 これによって,異質な純生産物であった,Q2
とQ3とは'共通な単位 (米 kg)を持 ち,換算 された。つまり,「支配労働量一単位 と等価な純生 産物量」 を価値尺度財 とす ることによ り,異質な純生産物であ った,Ql,Q2'Q3は'共通 な単
位を もつ純生産物 に換算 される。つまり,以下のようになる。
Ql―→Q(=Q1/Ll*Ll=Ql
よって,Q=(Ql,Q2,Q3)は
'
により,共通な単位を持つ ものと
Q2→ Q'=Q1/Ll*L2 Q3→Q:=Q1/Ll*L3
「支配労働量一単位 と等価な純生産物量」を尺度単位 とす ること して,加算できる。つまり,
Q(+Q,+Q:=Ql(=Q1/Ll*Ll)+Q,(=Q1/Ll*L2)
十Q:(=Q1/Ll*L3)=Q1/Ll(Ll+L2+L3)
が成立 す る。
第二項 純生産物総量 の換算
換算された純生産物の総量をQ′=Ql+Q̀+Q:と表す(単位は,当然,米 kgで ある)。 ところで,
尺度財として選ばれたQ1/Llは,「支配労働量一単位と等価な純生産物」(この場合は米)を表してい るが,同時にこれは「支配労働量一単位 と等価のものとして交換される米の量」を表 していた。換算 比率はQ1/Llである。今,換算された純生産物総量 はQ′の米であるので,Q1/Ll(純生産物一単位
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の支配 す る労働量)によ って, これを労働 時間 に換算 すれば,Q′全体 で は,Q′*Q1/Ll時間とな る。
と こ ろ が , 他 方 , Q′ =Ql十Q̀十Q:=Ql(=Q1/Ll*Ll)+Q,(=Q1/Ll*L2)十 Q̀(=Q1/Ll*L3)
=Q1/Ll*(L二十L2+L3)で あ る か ら, Q′*Q1/Ll時
間 は 結 局, Q′*Q1/Ll=(Ll+L2+L3)=Lと な る。従 って,換算 された純生産物 において も,投下労働量 は支配労働量 と等 しい。
これは,「純生産物一単位の支配労働量」 をス ミスの「支配労働」の意味に解 したことによるい わば,当然の結論である (純生産物Qを Q1/Llで尺度すれば,純生産物を構成する財の異質性 に も関わ らず,換算 された純生産物Q′ はQ′=Q1/Ll*Lと なる)。
ス ミスは,支配労働を「純生産物一単位の支配す る労働量」 として定義 した (投下労働量=支配 労働量)。 そ して ここか ら,「支配労働量一単位 と等価な純生産物量」を尺度単位 として,異質な財 か らなる純生産物を,共通な単位を もつ財に換算 した (価格 によ らない尺度)。
我々は,(Ll,Kl)→Ql米kg (L2,K2)→Q2鉄kg (L3,K3)→Q3着 の関係か ら,Ql→Ll,
Q2→L2'Q3→ L3と した0しか し,Kl→Ql,K2→ Q2'K3→ Q3の関係 も成立する。従 って,
支配労働量の代わ りに「支配資本量」,及び,「支配資本量一単位 と等価な純生産物量」を尺度単位 とすることも可能であるかのように見える。 この場合,Q1/Klを価値尺度財 として選べば,(1)は,
Q′(=Q1/Kl*K)=Ql′ (=Q1/Kl*Kl)+Q2′ (=Q1/Kl*K2)+Q3′(=Q1/Kl*K3)°・¨¨(1)'
となる。 しか し, この式の両辺 をQ1/Klで除す ると,K=Kl+K2+K3となる。 これは,最初の
仮定 (つまり,資本財 は異質であり,加算できない)に反する。従 って, この式 は成立 しない。つ まり,支配資本量,及び,「支配資本量一単位 と等価な純生産物量」を使 って,異質な純生産物を 通約できないことを示 している。更に,土地 に関 して言えば,土地 は,少な くとも一つの生産部門 で投入 されるが,全ての部門で投入 されるとは限 らない。従 って,「支配土地量一単位 と等価 な純 生産物量」を使 うことはできない(全ての生産部門で土地が生産要素 として投入されれば別である)。
従 って,異質 な純生産物を通約可能 とすることができる生産要素は,加算可能で,全ての生産部門 において投入 される労働のみであり,支配労働量一単位 と等価な純生産物量のみが価値尺度財 とな り得 る。
投入 された生産財 もまた「支配労働量一単位 と等価な資本財量」で換算できる。
(Ll,Kl)→Ql米kg
とすれば,
(L2,K2)→Q2鉄kg
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(L)K3)→ Q3着
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(1,K1/Ll)→ Q1/Ll (1,K2/L2)→ Q2/L2 (1,K3/L3)→Q3/L3
である。各式の右辺 は,「支配労働量一単位 あた りの純生産物量」であるが, ここでは,K1/Ll, K2/L2'K3/L3に注 目す る。 これ らは直接的には,各生産部門における資本 一労働比率(K/L)で
あるが, これをス ミスの支配労働論か ら見 ると,「支配労働量一単位あた りの資本財量」を意味 し ている。 よって,三者 は,等価 なものとして交換可能 (交換比率 は1)である。 ここで,生産財を 尺度す る価値尺度財 (価値尺度 としての資本財)と して,K1/Llを選 び (尺度財の選択 は任意であ る),つまり,「支配労働量一単位 と等価な資本財量」を価値尺度財 として選び, これで投入生産財 を尺度すれば,
Kl→Kl=K1/Ll*Ll(=Kl) K2→Kち =K1/Ll*L2 K3→K:=K1/Ll*L3
とな り,共通 な単位 (生産財 と しての米)で尺度 され,加算可能 とな る。生産二部門 において投入 され た資本財 は,K=(Kl,K2,K3)であ るが,「 支配労働量一 単位 と等 価 な資本財量 」 で尺度 す る ことによ つて,生産財 の異質性 に も関 わ らず,通約可能 とな り,生産財総量 をK′ とすれば,
K′(=K1/Ll*L)=Kl+Kち(=K1/Ll*L2)+Kt(=K1/Ll*L3)… ……°(2)
とな る。
第四項 「利潤,賃金,地代の自然率」と「 自然価格」
(1)とけ)から,賃金,利潤,地代の「 自然率」が計 られる。
産物Q=(Qレ Q2,Q3)は 'Q1/Ll米kgによつて尺度されて,
異質な三種類の財か らなっていた純生
Q′(=Q1/Ll*L)=Ql(=Q1/Ll*Ll)十Q,(=Q1/Ll*L2)十 Q:(=Q1/Ll*L3)
とな っている。 これはさ し当た り任意 の割合で,労働者,資本家,地主 にそれぞれ,賃金部分
(B),利潤部分(S),地代部分(M)と して配分 されるか ら,Q′ =B+SttMと なる。B,S,M
は米kg/支配労働量一単位を共通 な単位 としているので加算で きる。 ここで, ス ミスは純生事物 の分配 は,賃金,利潤,地代の各「 自然率」 に応 じてなされるとした。B,K′,Nは所与 とされ
ているので,実質賃金率,利潤率,地代率をそれぞれ,b=B/L,r=S/K′,n=M/Nと 書 くこ
とができ,Q′ =b*L+r*K′十n*Nである。
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アダム・ スミスの支配労働論
賃金部分,利潤部分,地代部分を構成する財 は共通な単位に換算 されている。そ して,ス ミスは,
この「価値尺度財」である(Q1/Ll),及び,(K1/Ll)を尺度単位 とした利潤率,賃金率,地代率 を「実質」利潤率,「実質」賃金率,「実質」地代率 と呼ぶのであり,更には,「利潤の自然率」「賃 金の自然率」「地代の自然率」 としたのである。つまり,ス ミスは,「支配労働量一単位 と等価な純 生産物量 (及び,資本財量)」 を尺度単位 として,「自然率」を計 っているのであって,商品の「交 換価値」が賃金,利潤,地代の各「 自然率」 の総和であるな らば,Q′ =b*Lttr*K′十n*Nである が, これ は, Q′(=Q1/Ll*L)=Ql(=Q1/Ll*Ll)+Q,(=Q1/Ll*L2)+Q̀(=Q1/Ll*L3)に 等 し
い 。
しか しなが ら,上記 で はB,S,Mの 具体 的 な値 はいまだ不明であ る。B,S,Mは 任意 の割合 で配分 された純生産物 の量 を意味 しているに過 ぎない。 この「 任意 の割合」を決定す るものは何か,
これが次 の課題であ る。 だが この論理 を考察す る前 に,ス ミスの「 自然価格」 につ いて説 明を与 え るのが適切 であろ う。任意 の割合 で配分 された純生産物 の量(B,S,M)があ る時点 で所与 とされ れば,L,K′,Nは生産条件 によ り確定 されているので,賃金,利潤,地代 の各「 自然率」 は確定 す る。 つ ま り, これが,ス ミスの述べ る「 商品の交換価値 は,利潤,賃金,地代 の各 自然率か ら構 成 され, この率 に応 じて分配 され,また, この率 に応 じて労働 を支配す る」 の意味である。従 って,
これ は逆 に,「 自然価格」 は純生産物 の分配関係 によ って相違す るであろうとい うことである。「 自 然 価 格 が賃金,利潤,地代 の各 自然率 の総和 か ら構 成 され る」 とス ミスが言 うとき, これ は,
RIMeekが適切 に も主張 したよ うに,各自然率が「 所与」 であれば,競争 の諸力 が商品の「 市場価 格」 とこの「 自然価格」 との一致 を もた らす傾 向を持つであろ う, との意味であ るの。何 が,実際 に この「 自然率」 を規定す るかに関 して,ス ミス は次 のよ うに述 べた。各 自然率 は「 一部 には社会 の一般 的諸条件,つま りその社会 の貧富,その進歩 的,停滞 的,また は衰退 的状態 によ って,また 一部 にはそれぞれの特定 の性質 によ って…… 自然 に規定 され る (naturally regulated)」 (I.前.1.
p。 72.57頁)。 ス ミスにお いて は価格 と分配 との関係 は,分配 が 自然価格 を決定 す るのであ って,
その逆 で はない。「特定 の商品を市場へ もた らすために支払 わねばな らない賃金や利潤 に高低があ るか らこそ,商品 の価格 には高低が あ るので あ る」(I。 対.a。 8.p.162.281頁)。 ス ミスは,生産 の 諸条件,及び,当該社会 の社会的諸状態が所与 とされれば,純生産物 の分配が,賃金,利潤,地代 の各「 自然率」 と,従って,「 自然価格」 とを規定す る (regulate)と 考えていたのである。 リカー ドはこの論理が理解で きず,またマル クス も同様であ った。 この論理を理解 したのは恐 らく,スラッ フ ァのみであろ う③。
ス ミスは,「社会 の一般的諸条件,つま りその社会 の貧富,その進歩的,停滞 的,または衰退 的 状態」 が「 自然率」 を決定 す ると述 べ た。「 社会 の一般的諸条件」 とは何 であろ うか?ス ミスによ れば,「 社会 の貧富,その進歩 的,停滞 的,また は衰退 的状態」 とは資本蓄積 につれて進行す る一
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経済研究7巻3・ 4号
国の進歩→停滞→衰退の状態である。従 って,ス ミスは,純生産物の分配を決定するものは資本蓄 積であると述べているわけである。
第五項 利潤率と「分配」問題
純生産物の分配状態が確定すれば,商品の「 自然価格」を構成する「 自然率」 も確定する。上記 で換算 された純生産物(Q′)の賃金部分,利潤部分,地代部分への配分 はさ し当た り任意の割合で 与え られるが,(1)と唸)から利潤率 と純生産物の分配の関係を得 ることができる。 ス ミスはこの純生 産物の分配 は,「社会の一般的諸条件,つま りその社会の貧富,その進歩的,停滞的,または衰退 的状態」が自然 に決定すると述べた。つまり,純生産物の労働者,資本家,地主への分配率 は,資
本蓄積,従って,利潤率が決定す る。
(1)式, つ ま り, Q′(=Q1/Ll*L)=Ql(=Q1/Ll*Ll)+Q,(=Q1/Ll*L2)十 Q:(=Q1/Ll*L3)を 用いて,利潤率を求めると,
r=Q′/K′ ={Q′一(BttM)}/K′ =Q′/K′{1‑(B+M)/Q′}¨ ……・。(3)
となる。ここで,Q′ =Q1/Ll*L,K′ =K1/Ll*Lで あるか ら,Q′/K′ =Q1/Klである。Q′/K′ は
「支配労働量一単位 と等価 な純生産物量」 を尺度単位 とした時の最大利潤率 (従って,労働者分配 分,地主分配分 はゼロ),(B+M)/Q′ は利潤率=0の時,純生産物が全て労働者 と地主 に配分 さ れていることを示 している。従 って, このG)式は,利潤率 (及び,利潤分配率)と労働者,地主の 分配分が対抗関係 にあることを示 し, これは更に,利潤率が決定 されれば,純生産物の分配 (資本 家分配分 と「労働者 +地主」分配分)が決 まることを示 している。前述 したよ うに,労働者分配 分 は生存賃金に固定 されていない。 ス ミスは,賃金財を「 消費財+便益品」であるとした。従 っ て,労働者分配分(B)と地主分配分(M)と の配分の割合 はまた別の論理を必要 とする。
第二節 スミスの支配労働の論理
第一項 純生産物の換算
一般 に,今,純生産物Qが種 々の商品 (n種類)からなるとす る。つまり,Q=(Ql,Q2,・・・,
Qi,"・Qn)とす る。従 って,B,S,Mを 構成す る財の種類 も最大n種類 とす る (つまり,B,S, Mを構成す る財の組み合わせ,比率を問わない)。 ここで,各財の生産 に要する投下労働量をLl,
L2'…'Li,…,Lnとす る。L=Ll+L2+… +Li+… +Lnである。 また,投入生産財 を異質 な 生産財の組み合わせであるK=(Kl,K2,¨°,Ki,¨ 。,Kn)とす る。投入 一産 出関係 は,(Li,Kl)
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アダム・ ス ミスの支配労働論
'→Qiと し,土地(N)は,少な くとも一 つの生産部 門 において投入 され る もの とす る。第i財の商 品 を生 産 す るの に必 要 な投 下労 働量 はLiであ るか ら,第i財の純生 産 物Qiの支 配 労 働 量 は,
L/Qiで ある。従って,支配労働量一単位では,Q/Liの純生産物量を支配する。また同時に, Li/Qiは純生産物一単位と等価なものとしての労働量を表現している。
次に,第i種の「支配労働量一単位と等価な純生産物量」(Q/Li)を 「価値尺度財」として,尺
度財 を含 む,n種類 の商 品 を尺度 す る。これ は任意 の財 を選 べばよいか ら,第一財,つま り,Q1/Ll
を「 価値尺度財」 と して選 び, これで,純生産物 を尺度すれば,
Ql=(Q1/Ll)*Ll,Q,=(Q1/Ll)*L2,Q̀=(Q1/Ll)*L3,・・・,
Qf=(Q1/Ll)*L"・ ¨,Ql=(Q1/Ll)*Ln
とな り, これ らはいずれ も共通 な物財単位 =Q1/Llを持 ち,従って,加算 で きる。 よ って,純生 産物 の総計 は,
Ql(=Q1/Ll*Ll)+Q̀(=Q1/Ll*L2)+Q̀(=Q1/Ll*L3)+・ ・・
+Qf(=Q1/Ll*Li)十 ¨。+Ql(=Q1/Lェ*Ln)
とな る。 ここで,
Q′ =Ql(=Q1/Ll*Ll)+Q,(=Q1/Ll*L2)+Q:(=Q1/Ll*L3)+¨・
+Qf(=Q1/Ll*Li)+"・ +Ql(=Q1/Ll*Ln)
とする。尺度財として選択 したQi/Liの逆数L/Qiは純生産物一単位と等価なものとしての労働 量,つまり,純生産物一単位 と等価なものとして交換できる労働量を表現 している。従って,Q′
では,Q′*L1/Qlと なり,
Q′*L1/Ql={Ql(=Q1/Ll*Ll)十 Q̀(=Q1/Ll*L2)十 Q:(=Q1/Ll*L3)十
・"十Qf(=Q1/Ll*Li)十"・+Ql(=Q1/Ll*Ln)}*L1/Ql=Ll+L2+¨・+Ln=L
となる。従 って,換算 された純生産物 においても投下労働量 と支配労働量 は等 しい。 これは,Q自体 も 同様 に,Q1/Llで尺度する場合 と同 じ結果 となる。Q全体 をQ1/Llで尺度すれば,Q′ =(Q1/Ll)*L
となり,よって,
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