目標計画法による生産計画
目標計画法による生産計画
〜A.G.Lockett and A.P.Muhlemann モデルを中心に −
岩田憲明
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1.序
2.モ デ ル 3.数 倍 例
4ご 結
1.序
ここで扱う生産計画とは,全般的生産計両問題(aggregate planning problem,OVerallschedulingproblem)すなわち需要量が変動すると予測
されるもとで,各期の生産量をいかに決定するかという問題である。
この間題については,すでにさまざまなアプローチがされている。例えば Holt,Modigliani,Muth and Simon によるリニア・デシジョン・ルpル
(LinearDecisionRule,LDRl))やHansmannandHessの線型計画法 ァブローチ(1inearprogrammingapproach2)),さらにBowmanによる 輸送解法アプローチ3),その他Jonesによるパラメトリック・プロダクシ ョン・プランニング(parametricproductionplaming,PPP4)),Taubert によるサーチ・デシジョン・ル,ル5)(SearchDecisionRule,SDR)など がある。
このように多くの手法が発表されているが,これらは実際にはあまり用い られていないようである。
しかし,A.G‥Lockett and A.P.Muhlemann は比較的実用的と恩 ゎれる目標計画法(goalprogramming)モデルを近年発表した6)。そこで 本稿においては,A.G Lockett andA.P.Muhlemarmのモデルを紹介
し,次いで数値例を示す。なお数値例における解は, A. G. Lockett and A. P. Muhlemannの例題について筆者が再計算した修正解であるo
2. モ ア ノレ
モデルはT期聞にわたるとする。乙れを計画期間というo 品 目 数 を し 工 程数をKとするo 品目の t1切における需要量を SI とするo また i品目
l単位の生産によるk工程に対する負荷を Llkとするo さらに i品目の t 期における生産量を XH とする。
さて Lockettand Muhlemannモデルの制約条件はつぎのようであるo (1) マーケティング部門の予測による総需要量は計画期間のいづれかにおい て必ず生産されなければならない。かくして各品目について全期間における 総生産量は総需要量と等しくなければならない。
T T
:E XIt = :E SH i = 1 ,…, 1 (1)
(2) またt期における i品目について,その生産量が需要量を下回る量を
Vu,上回る量を Oltとするo これらの加重合計は最小化されなければなら ない。乙れが第1の目標である。さて
XH+VIt‑OIt=Su, i = 1 ,…, 1 ; t = 1…T 乙れより,
VIt=SIt ・・・‑XI+O lt, ここで Vtlは非負であるから
XItーOltζS,tI i = 1 ,…, 1 t 1,・・・,T (2) となる。
(3) 次に各期における工程負荷が平均工程負荷を下回る量および上回る量 を定義しなければならない。乙れら偏差の加重合計も最小化されなければな
目標計画法による生産計画
らない。 乙れが第2の目標であるo
さてk工程の 1期当り平均負荷は次式で与えられる。
Ak= }k ‑‑‑‑;T
T T
z .21XuL
「す「
221SiJdikt期のk工程について, 負荷が平均負荷を下回る量を P):' Qk色とする。かくして
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上 回 る 量 を
: E
XIt Llk + Pkt ‑Qkt = Ak' k= 1,…,K; t 1,…,T乙れより,
PU=Ak‑2: XIt L1k+Qlct, Pktを非負とすると
~ X1色 Llk‑Qkt三二Ak' k= 1 ,…,K; t 1,…,T (3) となる。
つぎに Lockettand Muhlemannモデルの目的関数を示す。
t 1自のi品目について, その需要に対する生産の過少分に付与される重み を αuまた過大分に付与される重みを βuとする。
t 1切のk工程について,平均負荷に対する負荷の過少分に付与される重み を γμ また過大分に付与される重みを Ok とするo
すると望ましい目標からの偏差の加重合計を最小化するという目的関数は 次のように示される口
T T K
Minimize I:: I:: α(It Vけ βItO ρ +I:: ~ ('Yk,Pkt +ok,Q心.
t=lk=l
K T
+:E : E
QKt (γkt +Okt) k=1 t=1乙れは
: E :
TE
01t (α1t+β1t)VI・~: Pk を置き換えると,
(4)
γ
TU
KZ
ド+ α
X T
Z
一 一
I Z
一 一
となる。ただし定数項
γ A
T Z
= KZ
ド+
c u
α
T Z
=
I Z
一 一
は目的関数より除かれているo
かくして問題は制約条件(1)‑(3)の下で式(4)を最小化するということにな る。
ou
イ 直 3. 数
3工程の例題を示してい 4品目,
Lockett and Muhlemannは3期間,
るo需要最は表lで示される。
また工程負荷は表2に示されるD
簡単化のために需要に対する生産の過少分,過大分に付与される重みは品 目,期間に依存しないとするoすなわち αft=α,βIt=β とする。同様に平
nu
期
ロ 目
口口
3 1 2
44 27 27
1
379 223 180
2
23 23 50
3
205
表1
300 173
要 畳
よ字多HiJ
4
目標計画法による生産計画 59
工 程
ロロロ
A B C
1 12.80 1.25 22.15 2 24.95 2.20 30.02 3 15.91 2.28 50.16 4 25.78 2.72 58.91 表2 工 程 負 荷
重 ケ ー ス 1 ケ ー ス 2
α 0.2 0.9
β 0.1 0.8
γ 0.9 0.2
8 0.8 0.1
表3 2つのケースで用いられる重み
均負荷l乙対する負荷の過少分,過大分に付与される重みも工程および期間に 依存しないとする。すなわち γ{t=γ,okt=oo 2組の重みが与えられ,その 効果が調べられる口これらは表 31乙示される口
ケース lにおいては,重みは負荷平準化iこ対してより多くの重要性を与 えているo 他方ケース2においては重みは需要変動に即応する乙とに対して より多くの重要性を与えているo 実際,乙れらは経営者によって選択される べきものである。目標計画法の定式化は表4に示される。最初の21個の式は 除かれた変数が非負であるという制約条件であり,残りの4個の式は各品目 について総生産量が総需要量と等しいという制約条件である。
これら2つのケースについて Lockettand Muhlemann により解が求め られたが,筆者は再計算を行ない表5のような修正解を得た。
計算結果を見ると,品目 1と品目 3においてケース1とケース 2は大きな 差異を示している。例えば品目 lにおいてケース2の解は毎期の需要量と毎
10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 制約X11 X11 X¥3 X21 X2{ X23 X]) X32 Xn X41 X.2 XH 011 011 013 021 02] 023 031 032 03) 0.1 0.2 043 !J11 !J12 !J1) fJn JJn !I2) !JJI !J)2 013 1 V..I 1 ‑1 27 111 2 V..1ー44111・ 3 V..1 ‑1 27 IJl・ 4 V"I ‑1耳180'11 5 V,.1ー<;379 221 6 V,.1 ‑1 <; 223 231・ 7 v,,1 ‑1 23 311 8 V"I ‑1豆50J2l 9 V"Iー23331 10 V..Iー1ζ173411 11 V"I ‑13∞ '" 12 V..1 ‑1ミ205431 13 p..1 12.8 24.95 15.91 25.78 ‑1 <; 13257.2 111 14 p.J 12.8 24.95 15.91 25.78 ‑1 <; 13257.2 121 15 P.J 12.8 24.95 15.91 25.78ー<;13257.2131 16 p" 1 1.25 2.2 2.28 2.72 ‑1 <; 1301.98 '" 17 P"I 1.25 2.2 2.28 2.72 ‑1・ζ1301.98 18 p,,1 1.25 2.2 2.28 2.72 ‑1耳1301.98 '" 19 P,,122.15 30.02 50.16 58.91 ‑1耳23467.6311 20 P321 22.15 30.02日1658.91 ‑1 <;23467.6 21 P331 22.15 30.02 50.16 58.91 ‑1 <;23467.6 22 X..I 1 98 lTl 23 X,.I 782 m 24 X"I 96 25 X4T1 678 目的関数│ ケース1I 31 78 32 78 32 78 ~IめJ~I 6,) 51 65) 61 715創m61715 78869 78869 788闘03 ‑03 ‑03 ‑0] ‑03 ‑03 ‑03 ‑03 ‑03 ‑17 ‑17 ‑17 ‑17 ‑]7 ‑17 ‑]7 ‑17 ‑17 ケス218i・81481・123J.4121304 123304 1457 1457 145718認21838218軍一17‑1.7 ‑17 ‑17 ‑17 ‑17 ‑)7 ‑]7 ‑17 ‑17 ‑17 ‑17 ‑03 ‑03 ‑03 ‑03 ‑03 法画計標目表4
目標計画法による生産計画
ロロロ
生 産 量
期 問 需 要 量
ケース l ケース2 l l 27.0 98.0 27.0
2 44.0 0.0 44.0 3 27.0 0.0 27.0 2 l 180.0 180.0 180.0 2 379.0 325.6 344.5 3 223.0 276.4 257.6 3 1 23.0 0.0 23.0 2 50.0 50.0 50.0 3 23.0 46.0 23.0 4 1 173.0 269.8 277.0 2 300.0 189.8 163.7 3 205.0 218.3 237.4 表5 2つのケースの解
(注)名古屋大学大型計算機センター FACOM M‑200を利用した。線 型計画法のコンピュータプログラムは名古屋大学経済学部電子計算 機研究室ライプラリー・プログラムNo.5を使用した。
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期の生産量が一致している。すなわち需要量の変動に生産量の変動を一致さ せることになる。他方ケース 1では3期間分の総需要量を1期において生産 することになる。このように計算結果はケース lが負荷平準化に重点を置い た生産計画であり,ケース 2が需要変動対応に重点を置いた生産計画である ことを明確に示している。
さてこのように種々異なる重みづけを行ないながらコンビュータの計算結 果を得て,経営者は需要変動に即応するおよび工場負荷を平準化するという 目標に照らして生産計画を決定することができるのである。図 1は特定の工 程における平均負荷と毎期の負荷を比較した図であるD また図 2は特定の品
目について毎期の需要量と生産量とを比較した図であるo
…・・平均負荷 一 計 画 負 荷
数100
2 3 4 6 7 8 9 10 11 12 期
図1 ある工程における負荷
¥
,
日
直一 旦国 一
要 産 需 生 300
f固
数 100
2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 期
図2 ある品目の生産量と需要量
4. 結
本稿においては A.G. Lockett and A. P. Muhlemannの目標計画法 による生産計画モデ、Jレを紹介し,彼らの数値例について筆者が再計算した修 正解を示した。
目標計画法による生産計画モデJレとしてはその他 Leeのモデルのがある。
Leeのモデ、ノレは多くの要素が考慮されているという点で包括的なものであ
目標計画法による生産計画 63 るが,現実的モデノレとは言い難い。また Leeのモデルでは特殊な線型計画 法 の コ ン ピ ュ ー タ ・ プ ロ グ ラ ム の 使 用 が 必 要 で あ る 。 他 方 Lockett and Muhlemannのモデルは通常の線型計画法のコンピュータ・プログラムを 利用して解を求める乙とができるo 乙のように Lockett and Muhlemann モデルは実用的なモデルであると言うことができょう。
注1)Holt, Charles C., Franco Modigliani, John F. Muth, and Herbert Simon, Planning Production, 1 rruentories , and W ork Force, Englewooel C1iff s. N. J., Prentice‑Hall, !;IC., 1960.
2) Hansemann, F. and Hess, S. W.,A Lineari Programming Approach to Production and Employment Schedu1ing," Management Technology, No. 1 (January 1960), as reprinted in E. S. Buffa (Ed.) Readings in Production and Operations Management, John Wi1ey and Sons, New York, N. Y., 1966.
3) Bowman, E. H., Prcduction Scheduling by the Transportation Method of Linear Programming," Operations Res., Vo1. 4, No. 1 (February 1956), pp. 100‑103.
4) Jones, Curtis H., Parametric Production Planning, " Management Science., Vo1. 13, No. 11 (July 1967), pp. 843‑867.
5) Tau bert, William H.,A Search Decision Rule for the Aggregate Scheduling Problem", Management Science, Vol. 14 No. 6 (February 1968), pp. B343‑B359.
6) Lockett A. G. and A. P. Muhlemann,A problem of aggregate schedu1ing, An application of goal programming," International Journal of Production Research, Vo1. 16, No. 2 (1978), pp. 127‑135.
7) Lee, S. M.. Goal rogramming for Decision Analysis, Auerbach PU b1ishers, Phi1adelphia. 1972.