下水道受益者負担金法制における賦課基準問題 : 西ドイツの判例を素材として
著者 三木 義一
雑誌名 靜岡大学法経研究
巻 31
号 1‑2
ページ 221‑242
発行年 1982‑07‑15
出版者 静岡大学法経学会
URL http://doi.org/10.14945/00008644
下水 道 受益 者負 担 金法 制 に おけ る賦 課 基 準 問題
西 ド イ ツ の判 例 を 素 材 と し て
木
目 次 は じ めに 一 我 が国 下の 水 道受 益 者負 担 法金 制 に おけ る賦 課 基 準 一一 西 イド ツ受 益 者 負 担 金法 制 に お け る賦 課 基 準 の概 要 一 西 ド イ 下ツ 水 道受 益 者 負 担 金 の賦 課 基 準 を めぐ る諸 問 題 四 む す び に かえ て 受益
者 負担 金 を めぐ る法 的 題問 点 は数 多 いが
︑ 個 々の 負 担義 務 者 いに かな る基 準 に基 づ い て負 担 金を 賦課 す る か︑ す な わ ち賦 課基 準
︵負担 配分 基準 と いう こと も でき る が︑ 本稿 で は 一応 賦課 基準 とし おて く︶ の問 題も そ の 一つ であ ろう
︒ あ 下水 道受 益者 担負 金法 制に おけ る賦 基課 準問 題 一三 一一
は じ め に
い
経書 研究 三 一春
・一 二号
︵一 八九 年二
︶ 一言 一 る賦 課 基準 が当 該受 益者 負担 金徴 収 の前 提 と な てっ いる
﹁利 益
﹂ を適 切 に考 慮 たし も のと な てっ いる か 否 か︑ 法的 な視 角 から も検 討 され ねば な ら な い︒ そ こ で︑ 本 稿 では 賦課 基 準 のあ り方 を探 る手 がか り と し て︑ 我 が国 でも 比較 的 多 く の市 町 村 で徴 収 され てい る下 水道 受 益 者負 担 金を とり あ げ︑ 水下 道 受益 者 負担 金 賦の 課 基準 を めぐ てっ く多 の訴 訟 が提 起 さ れ てい る西 イド ツの 判 例 を素 材 に こ の問 題 を検 討す るこ と にし た い︒ な お︑ す で に受 益 者 負 担 金法 制 にお ける
﹁利 益
﹂概 念 の問 題 に いつ ては 別 稿 で検 討し いて るが
︑ 本 稿 でも 賦課 基準 問題 の検 討 を通 じ て︑ 負 担 金徴 収 の前 提 なと る
﹁利 益
﹂概 念 の具 体的 内 容 を 明確 にす る こと の必 要 性 に問 接 的 に 言及 す る こと なに ろう
︒
︑
︵1
︶賦 課基 準 の問 題に つい ては 従︑ 来 の我 が国 の研 究 にお てい は メア リヵ にお ける 受益 者負 担金 の賦 課基 準 の紹 介 があ る程 度 で
︵例 え ば︑ 東京 政市 調査 会
﹃都 市財 政 に於 け る特 別賦 課問 題
﹄市 政 調査 資 料第 一号 大︑ 正 一二 年︑ t五
六頁 二︑ 五頁 以下
︶
︑ 十分 な検 討が なさ れ てい ない 状況 にあ るよ うに 思わ れる
︒
︵2 拙︶ 稿
﹁西 イド 受ツ 者益 負担 法金 制に おけ る
﹃利 益
﹄概 念︱
︱道 路改 修負 担金 をめ るぐ 判例 を素 材と し て︱
︱﹂ 静岡 大学 法経 研究 三
〇 巻 一号 三二 頁 以下
︒ 一 我 が国 の下 水 道 受 益 者 負 担 金 法 制 に お け る 賦 課 基 準 本 章 で は ヽ 我 が 国 の 下 水 道 受 益 者 負 担 金 に お い て従 来 い か な る 賦 課 基 準 が 用 いら れ
︑ そ れ が い か な る 問 題 を 含 ん で い る かを 概 観 し てお こう
︒ 周知 よの う に︑ 我 が国 では 受 益者 負担 金 制度 は戦 前 方の が活 用 され てい た が︑ 戦前 の下 水道 受益 者 負担 金 は いか な 基る
︱ゝ
準で配分さ・れていたのであろうか︒ここでは代表的なものとして︑東京︑大阪︑京都の下水道受益者負担金 .規程の賦課基 準をみておこ鷲︒
︹東 京都 市計 画 東京 市 下水 道 事業 受 益者 負 担 二関 ︲ ス ル件
︺
︵大正 一四 年 三二 月五 日内 務省 令第 一一八 号︶ 第四 条 受益 者ノ 負担 額 ハ左 ノ各 号 二依 り之 定ラ
︵
. 一 各負 担区 二於 ルケ 負担 金フ 総額 ハ当 該区 二関 ルス 事業 ノ費 三分 ノ 一フ 該当 区内 二於 受ア 者益 キナ 土地 八河 運川 河及 濠ヲ 除ク
︶ ノ面 積卜 受益 者ノ 面積 ニト 按分 タン ル後 者ノ 額ト スル 一 二 二以 ノ上 担負 二区 共通 ス ルエ 事 ノ事 業費 ハ各 負担 区ノ 土地
︵河川 運河 及濠 ヲ
︲ 除ク ノ︶ 面積 二比 例ン テ各 負担 区二 配分 ス 一 各 受益 者ノ 負担 金・額 ハ各 負担 区二 於ケ ル負 担金 ラ総 額ヲ 当該 区内 二於 ケル 受益
・者 ノ土 地ノ 面積 二比 例ン テ之 ヲ定 ム
︵傍点 筆者 以︑ 下
︲ 同じ
︶ こ のよ う に土 地一面 積 が原 則的 基準 と され て いた が
︑ こ の規 程 で は︑ 同 時 つに ぎ の よう な要 素 も 考慮 され て いた
︒ 第五 条 左 ノ各 号ノ 一二 該当 スル 場合 二於 テハ 前条 ノ規 定二 依ル 負担 金額 ノ外 担負 金ラ 増課 スル コト ヲ得 工事 竣功 ノロ ヲリ 十年 以内 二第 号二 二該 当ス ル事 業フ 経営 y又 ハ第 二号 二該 ス当 ル建 物ヲ 建築 タン ルト 亦キ 同 ン 一一 下水 道事 業 二因 り土 地・力 著シ ク其 ノ利 用ヲ 増進 スル キト
・ニ 下水 道二 排除 スル 汚水 量著 ンク 多量 ナル 事業 フ経 営ス ルト キ 一 階 三数 フ超 ユル 建物 ヲ有 ルス
・ キト 前項 ノ規 定 依り 増課 メベ キ金 額 ハ前 項第 一号 及二 号ノ 場合 二在 リテ ハ前 条ノ 定規 二依 ル負 担金 額 ノ五 割ヲ 同三 号ノ 場合 二在 リテ ハ 前条 ノ規 定二 ル依 負担 額金 ノ二 十割 ヲ超 ルュ コト フ得 ス つま り︑ 割増 負担 金 と いう 形 で土 地 の利︲ 用形 態等 の要 素 も 考慮 され てい た︒ し かし
︑ こ のよ う な要 素 が考 慮 され た賦 課 基 準 は例 外的 で︑
.常通 は つぎ の よう な賦 課基 準 みの が規 定 され て いた よ う であ る︒
・ 下水 道受
.者益 負担 金法 制に おけ る賦 課基 準問 題 一 三
一 い
法経 研究 三 一巻 一・ 号二
︵一 九八 二年
︶ 一 一四
︹大 阪 都市 計画 事業 下 水道 受益 者負 担 二関 スル 件︺
︵大正 三 一年七 月三 一日 内務 省令 一第 一四号
︶ 四第 条 各受 益者 ノ負 担金 額 ハ前 条ノ 総負 担金 額 二付 土地 ノ面 積 二比 例ン 之テ フ定 ム
︹京 都 都 市計 画 事 業下 水道 受益 者 負担 二関 ス ル件
︺
︵昭和 五年 八月 一一 一日内 務省 全第 一一七 号︶ 第四 条 各受 益者 ノ負 担金 額 ハ各 排水 域区 ノ総 面積 二対 ルス 受益 者ノ 土地 ノ面 積 二比 例ン テ之 フ定 ム 以 上 のよ う に︑ 戦前 の下 水道 受益 者 負 担 金規 程 で は︑ 東 京 よの う に割 増 負担 金 を徴 収 し た場 合 別は と し て︑ 通 常 は簡 単 な土 地 面の 積 みの が考 慮 され 他︑ の要 素 はあ まり 考慮 され てい な か たっ よう 思に わ れ る︒ こ のよ う な傾 向 は現 行 下の 水道 受益 者 負担 金制 度 にお いて も 基本 的 変に てっ は いな いよ う に思 わ れ る︒ こ のこ と は以 下 の下 水 道 受益 者負 担 金 条 例 から 明 ら かで あ ろう
︒
︹静 岡市 都 市計 画 下 水道 事業 受益 者 負担 関に す る条 例︺
︵昭和 四五 年二 月一 一五日 条例 菱 一六号
︶
︵負担 金の 額︶ 第五 条 受益 者が 負担 るす 負担 金の 額は 当︑ 該受 益者 が第 八条 第 一項 の公 告 の日 現在 おに いて 所有 し︑ 又は 地上 権等 を有 する 土地 で同 項の 定規 によ り公 告さ れた 区域 内の のも の面 積に 一︑ 平方 メー ルト た当 り 一七 三円 を乗 てじ 得た 額と する
︒
︹西 遠 広 域都 市計 画 下 水道 事業 受益 者 負担 関に す る条 例︺
︵昭和 四七 年二 月三
〇日 浜松 市条 例第 一二 一号︶
︵負担 金の 額︶ 第六 条 受益 が者 負担 する 担負 金 の額 は︑ 負担 区の 負担 金 の総 額を 当該 負担 区の 積地 で除 てし 得た 額
︵以下
﹁単 位負 担金 額﹂ とい う︶
二 に虐 ﹈哺 濤 鮮襲 録 ¨熟鵡 詢湘制 呻燕 討 製 経
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イ
こ よの う に︑ 我 が国 の下 水道 負担 金法 制 にお け る 賦課 基準 戦は 前 から ほ ぼ 貫一 し て土 地 の面 積 のみ が用 いら れ てき いて 税︵ o し かし ヽ 地土 面積 基準 のみ が 下水 道 受益 者 担負 金 の賦 課基 準 とし て適 切な も のな での あ ろう か︒ ま た︑ 土・地 面積 のみ を 賦課 基準 と し てい る こと は︑ 下水 道 受益 者 負担 金徴 収 前の 提 とな る
﹁利 益
﹂ を いか な るも のと み てい るこ とを 意味 し て い る ので あ ろう か︒ 下水 道 完の 備 に伴 う 土地 価 格 の上 昇 も くし は土 地 の使 用価 値 の上 昇 の中 に︑
﹁利 益
﹂ を み いて る での あ ろう か︒ それ とも 下水 道施 設 の利 用可 能性 それ 自体 の中 に
﹁利
﹂益 を み て いる での あ ろう か︒ ちど ら にし ても 受︑ 益者 が受 け る当 該利 益 の程 度 は土 地 の大 きさ のみ に単 純 比に す例 るも の では な く︑ 当 土該 地 の利 用形 態︱
︱ 例 えば 住︑ 宅地 と し て利 用 し いて るか
︑ 工業 用 地 とし て利 用 し いて るか 等 々︱
︱ に よ てっ ヽ 大 なき 影響 を受 け る はず であ る︒ そ れ故
︑ 土地 面 積 のみ を 賦課 基準 とし いて る我 が国 下の 水道 負 担 金条 例 に は基 本 的 に疑 間 があ る いと わ ねば なら な い︒
︶ そ こ で︑ 以 下 で はこ の疑 間を く解 た め の 一つ の手 が かり とし て︑ こ の問 題 を めぐ る西 イド のツ 判 例等 を紹 介
︑ 検 す討 る こと にし た い︒
︵1︶ 以下 受の 益者 担負 規金 程は 東︑ 京市 政調 査会
﹃受益 者負 担制 総覧
﹄市 政調 査資 料第 二 一号
︵昭和 六年
︶に よ たっ
︒
︵2︶ 但し 下︑ 水道 に関 する 設備 で道 路と てし の効 用も 有す るも のが ある とき には つぎ よの うな 賦課 基準 が用 いら れた
︒
︹東京 都市 計画 東京 市下 水道 事業 益受 者負 担 二関 ルス
︺件 第六 条 下水 道 二関 スル 設備 ニン テ道 路ト ンテ ノ効 用フ 兼 ルヌ モノ ルア トキ ハ前 ノ条 規定 二依 ルノ 外其 ノ部 分ノ 両側 界境 ヨ線 リ奥 行二 十間 ノ地 域内 二於 ルケ 受益 フ者 ンテ 路道 シト テノ 効用 フ兼 シネ ルム 為 二要 スル 事業 費ノ 五分 ノ 二一 付其 ノ半 額 ハ当 該部 分 二面 ルス 土 地ノ 間ロ ノ長 二他 ノ半 額 ハ当 該区 域内 ノ土 地ノ 面積 二比 例 ン之 負フ 担セ ンム 但シ 既設 道路 二下 水道 フ敷 設ス ル場 合 比ハ ノ限 二在 ラス つま り︑ いわ るゆ 間口 基準 と面 積基 準と が併 用さ れて いた
︒
︵3︶ 現在 受益 者負 担金 を徴 収し てい る市 町村 の数 等に つい ては 自︑ 治省 編
﹃昭和 五四 年度 地方 公営 企業 年鑑
﹄
︵地方 財務 協会
︶四 五 一 頁参 照︒
︵4︶ 条例 以外 に現 在な お建 設省 令で 徴収 され てい るも のも ある が︑ これ らの 賦課 基準 もほ ぼ同 様 あで る︒ 例え ば︑ 柏都 市計 画下 道水 事 下水 道受 益者 負担 金法 制に おけ る賦 課基 準問 題 一 一五