「アジアシリーズ」の成果と課題‑‑和光大学と岡上 小学校の連携を通して (研究プロジェクト 地元小 学校における国際理解教育プログラムの実践と効果 )
著者 片岡 義順
雑誌名 東西南北
巻 2009
ページ 193‑204
発行年 2009‑03‑18
URL http://id.nii.ac.jp/1073/00001710/
1── 岡上小学校の学校経営重点課題と総合的な学習について
(1)2008年度の岡上小学校の学校経営重点課題
川崎市の飛び地に位置する川崎市立岡上小学校(以下、本校)は、今でも周囲 に田んぼや里山など多くの自然が残っている。本校では地域のこの恵まれた環境 を生かした教育活動を展開し、児童の心を育む教育を推進している。歴代PT A・町会長をはじめ地域に在住している方々はとても協力的で地域ぐるみで岡上 の子ども達の成長を願い、様々な形で尽力してくださっている。全校で取り組ん でいる野菜栽培を行う畑や5年生がお米作りを体験している田んぼ、そして、本 校の校歌の最初の歌詞にも登場し、学校のシンボルともなっている丸山は、すべ て地域の方のご厚意により貸与されている。また、お米作りや野菜作り・丸山の 整備などでは活動の準備や指導・助言もいただいている。
このような実態を踏まえ、本校では
地域を生かした学校
*地域の人材を活用した特色ある教育活動
*地域の素材を生かした豊かな体験活動
ということを学校経営の重点課題の最初の項目として掲げている。そこで本校で は、地域の人材活用を進めていくうえで必要になる情報を整理し、教員一人ひと りが地域の人材との信頼関係を築いていく中で児童の体験活動を構築していくと いうことを大切にしている。
現在、本校の教育活動に大きく尽力していただいている人材としては農業体験
(お米作りやジャガイモ・大豆・キュウリ作りなど)について指導してくださる農家 や地元企業の方々、昔の遊びやなわないなどの昔ながらの文化を教えてくださる 方々、山の整備・環境について助言をしたり実際に整備をしたりしていただいて 研究プロジェクト:地元小学校における国際理解教育プログラムの実践と効果
「アジアシリーズ」の成果と課題
和光大学と岡上小学校の連携を通して 片岡義順 川崎市立岡上小学校教諭
いる方々、そして地域の知的財産としての和光大学などがあげられる。1年生か ら6年生までの教育課程の中においてこうした地域の人材と恵まれた自然環境を 生かした豊かな体験活動を展開し、児童の学びを深めていることが本校の特色あ る教育活動である。
(2)本校の体験活動(主に総合的な学習の時間)のねらい
児童の学びを深める体験学習の中で重要な位置を占めるのが総合的な学習の時 間である。新学習指導要領では総合的な学習の時間の教育課程における位置付け が明確にされ、各学校における指導の充実が図られることが明記された。総合的 な学習の時間では体験学習を行うことを重視し、自然体験活動などを積極的に学 習活動に取り入れることとされている。そして、その体験活動がそれだけで終わ るのではなく、問題の解決や探究活動を学習の過程に適切に位置付けることで、
児童の学習を一層充実したものとすることが求められている(小学校学習指導要 領解説〈総合的な学習の時間編〉より)。
本校では総合的な学習の時間が創設された平成11年当時から岡上の自然と人と 文化との豊かなふれあいを通して児童がたくましく生きる力を育む教育課程の研 究を続けてきている。そして、今年度本校における総合的な学習の時間のねらい を
地域の自然と人と文化の関わりの中で、さまざまな体験を通して、課題を見 つけ、自ら追究し、生活に生かそうとする
として、取り組んでいるところである。
総合的な学習の時間ではさらに「問題の解決探究においては、他者と協同して 問題を解決しようとする学習活動や、言語により分析し、まとめたり表現したり するなどの学習活動が行われるようにすること」とされ、児童の学習の姿も提示 されている。体験活動と言語活動をともに充実させることが本校の実践において も欠かせないところである。
(3)本校6年生の総合的な学習の年間学習活動
・ねらいと「アジアシリーズ」の位置付け
6年間岡上の地域や人々との関わりを通して学んできた小学校生活の締めくく りとして、6年生では「イッツ岡上ワールド」という単元を立ち上げ、一年を通 して総合的な学習の時間に取り組んでいる。「イッツ岡上ワールド」の具体的な 学習活動としては、地域の方の厚意でお借りしている畑での野菜栽培活動と丸山 を題材にした探究活動である。
「イッツ岡上ワールド」の学習では本校の総合的な学習の時間のねらいを受けて、
一 豊かな体験活動の積み重ねを通して感性を磨き、豊かな心を育む。
二 互いに協力することによって得られる力の大きさや喜びを実感する。
三 体験することで野菜作りの楽しさを知る。また、食への興味や関心を広げ る。
四 計画的・継続的な活動を通して、実現に向けてやりぬく強い意志と実行力 を育む。
五 豊かな体験から生まれる児童の思いや考えを表現活動として、さまざまな 教育活動の中で実践していくことで、豊かな表現力を培うとともに、友だ ちの考え方や価値観にもふれ、相互理解を深めていく。
六 学習を創造的に発展させ工夫していこうとする態度を育てる。
七 岡上の歴史や環境問題に目を向け、自分なりに探究したことを発信してい く。
八 岡上という土地に愛着を持つとともにお世話になった方への感謝の気持ち を育む。
という八つのねらいを年度当初に打ち出して取り組んでいる。
畑での活動では児童は農家の方の指導のもとで野菜の栽培活動(今年度はジャ ガイモ・大根・ほうれんそう・小松菜・かぶ・さつまいもを栽培)を行っている。栽 培を進めていく過程で児童は野菜について調べたり調理方法について調べたりす るなどの探究活動や収穫した野菜を調理したり販売したりといった活動を取り入 れている。こうした一連の学びを通じ、野菜作りについて体験するだけにとどま らず、命を育み命を頂くことについての苦労や意味を考え、協同で活動すること の良さを実感し、お世話になった地域への感謝を持てるようになっていくことを 願っている。
今回の「アジアシリーズ」で「食」を一つのキーワードとして扱ったのは、児 童が育てたり調べたりしている野菜について、身近な所から収集した情報だけに とどまらず、世界の様々な「食」とのかかわりを通して多面的な見方で考えられ るようにすることをねらっていたということが理由としてあげられる。授業実践 の詳細は「次の「アジアシリーズ」の授業実践より」で述べることとする。
また、丸山での活動では、岡上の土地に目を向けた学習体験から環境と触れあ うことの良さと、そうした自然環境が残っている土地で学べる喜びを実感し、そ して、それらを支えてくれている地域の人々にも感謝の思いをいだくことを学習 のねらいとしている。
「アジアシリーズ」では「食」などの体験を伴う活動とその国の文化や伝統、
自然環境、教育といった内容についても学ぶ機会となっている。自分たちが住ん でいる岡上の良さや課題についての考えや意見を深めていくためには、食と同様 多様な視点から考えさせることが大切である。岡上と川崎市の他の地域とを比較
することはこれまでの経験から児童は考えることができる。今回はさらに外国の 現地の方々の生の声で話を聞くことで、日本以外にも岡上のような環境やあるい は全く異なる環境があるということを実感として捉えることができる機会になる ことを期待した。
そして、「アジアシリーズ」では「イッツ岡上ワールド」の学習の枠組み内だ けでなく、国際理解の視点から異文化に触れる体験を重ねることで、外国の人や文 化にかかわろうとする態度を育てることも視野に入れて授業に取り組んでいった。
「アジアシリーズ」三つのねらい
①多様な食文化とふれあうことで食に関する興味や関心を広げる
②様々な環境があることを知り、考えを深める
③異文化に触れる体験を重ねることで、外国の人や文化にかかわろうとする
これまでに行われた「アジアシリーズ」の授業実践が、この三つのねらいから みてどうだったのかを考えていく。
2──「アジアシリーズ」の授業実践より
(1)第一回 マレーシア(ボルネオ島)編 2008年4月24日実施
第一回目はビザの都合で予定していたボルネオ島出身の講師(ブライアンさん)
が来校できなかったが、実際にボルネオ島を訪ねてきた和光大学の学生が写真を 取り入れながら児童にボルネオ島の様子を説明してくれた。
「食」についてでは、ブブルチャチャというデザートを扱った。食材はキャサ バという芋からとれるタピオカであるということでジャガイモ栽培をし、詳しく 調べていた児童からは「タピオカが芋なの?」という驚きの発言も授業中に聞か れた。この回で児童がもっとも印象に残っていたのは、加藤巌先生が披露したマ レー社会に残る神話であった。小学生にとっては意外な展開だったらしく想像力 を働かせながら人間が誕生していくまでの話を真剣に聞き入っていた。体験やプ レゼンテーションを通じて、児童に伝え感じてもらうという手段は当然有効であ るが、語り聞かせという言語活動による展開(語り手がスキルを伴っていることが 大前提ではあるが)も小学生にとってはとても効果的であるということを改めて 感じさせられた。
── 授業後の児童の感想
・私はマレーシアのことはぜんぜん知らなかったけど、大学の人達にいろいろ なことをたくさん教えてもらい、マレーシアのことが少し分かるようになり ました。
・竹でストローのかわりにしているのが おもしろかったです。びっくりしまし た。鳥のまねをしていたこともとても おもしろかったです。バナナと人が関 係していたことも初めて知りびっくり しました。道に迷ったときに食べる物 があるんだなと思いました。
・「アジアシリーズ」が開幕しました。
今回一番驚いたのは神話でした。女の 人の遺体をバラバラに切って埋めて芋 がはえてきたというのには驚きました。
しかもバナナが人間にかわると聞いて バナナを食べるのが少し怖くなりまし た。
・マレーシアのデザートを作るのは良い 経験になりました。白いぶつぶつのタ ピオカはカエルのたまごみたいで食べ るのがいやでしたが、まずくはなかっ たです。ココナッツミルクはにおいが ちょっとくさかったけれどまずくなく て、あまりおいしくもなかった。ブブ ルチャッチャは最初おいしかったけれ ど、最後の方はあきてしまいました。
でも完食できてよかったです。マレー シアの人と会いたかったけれど、大学
生の人達と仲良くできて楽しかったです。次の「アジアシリーズ」が楽しみ です。
(2)第二回 スリランカ編 2008年5月29日実施
第一回目のマレーシアは児童が聞いたことがある国だったが、今回のスリラン カは児童にとっては全く知らない国だった。今回はスリランカ人のダニシャさん が講師として児童に話を聞かせてくれた。自分たちの知らない国の人から聞く話 はどれも新鮮で興味深い内容となっていた。教育・お寺・物価など日本と比較し て考えることができるテーマを聞いたことでスリランカに興味を持ち、「実際に 行ってみたい」と感想を述べる児童も見受けられた。
今回の「食」はカレーだった。日本でもなじみの深いカレーだったが、スリラ ンカカレーということで児童が普段味わっている物とは風味も見た目も異なるカ
和光大生によるマレーシアの紹介
マレーシアの神話を聞く児童
大学生とマレー料理を調理実習
レーだった。香辛料を口にしたときは辛さを訴えている児童も多かったが、完成 したカレーは大好評で「日本とは違うカレーだけどおいしい」という感想が大半 を占めていた。
── 授業後の児童の感想
・「アジアシリーズ」はすごく楽しかったです。スリランカの果物などの文化 がよくわかりました。カレーでは辛さの元をなめたらすごく辛くてこれが辛 さの元なのか思いました。カレーは中辛くらいの辛さでマレーシアのスープ に似ている感じがしました。とてもおいしかったです。
・辛いと思ってかまえていたカレー。「何でこんなに辛くないの」とびっくり しました。名前を知っていたのですが、サリーを着る国やカレー三十円の国 なんてことは全く聞いたことがなくて、
じゃあ行ってみようかな? という気 になりました。お寺で象を飼っている のは知っていましたがほとんどのお寺 がそうだったとは。謎の国スリランカ でした。
・最初に図書室で話を聞いて象を飼って いることやオオトカゲが普通に家に入 ってくることやマンゴーみたいな果実 の写真など、日本にないような物をた くさん見せてもらいました。カレーは ほんの少しだけだったけど、ココナッ ツ、ターメリック、チリパウダーがき いていて鶏肉も入っていて、日本は日 本でおいしいけれどまた別の味でおい しかったです。
・最初はものすごく辛そうだなーと思っ たけど、意外とおいしかったです。給 食(この日の給食献立はカレーだった)
のカレーと比べるとスリランカカレー のほうが好みでした。スリランカのこ とを聞いていて、スリランカに留学し てみたいなーと思いました。
・カレーおいしかったです。ごちそうさ までした。先生の話や学生さんのお話
も楽しかった。オオトカゲの話が特に スリランカのチキンカレーを調理実習 スリランカのスパイスを試食
スリランカ人留学生、ダニシャさんから話を 聞く
……。ありがとうございました。
(当日参観した保護者からの感想より)
(3)第三回 ベトナム編 2008年6月27日実施
ベトナムについては聞いたことがあるという児童が多い国だった。岡上小学校 の5年生は毎年岡上地区にある田んぼを使って大規模なお米作りを体験している。
お米について一年間色々な形で探究活動を行ってきた児童が、今回ベトナムのお 米事情や水の環境についての話を聞いたことで環境問題や米についての疑問や考 えがこれまで以上に深まっていく姿が見受けられた。これまでの二回とは異なり これまでに自分たちが経験したり学んだりしたこと(水問題やお米)と、ベトナ ムをはじめとする世界の環境問題とを比べるきっかけとなっていた。
「食」ではライスペーパーを使って生春巻きを調理した。児童は中華の揚げた 春巻きを連想していたようで生春巻きを間近に見たときは驚いた様子だった。講 師のグェンさんから作り方を教わり加藤巌先生からは食材が近くのスーパーでも 調達できることを聞いて、実際に家でも作ってみたという児童もいた。口にした ことがないベトナム料理だが、実はスーパーでも食材が揃うということで外国や 異文化が意外と近くにもあるということを感じることが出来た授業でもあった。
── 授業後の児童の感想
・私は水道の水は当たり前に飲めると思っていました。それに、どこの国もほ とんど飲めると思っていました。でも
きれいな水を水道から当たり前のよう に飲めるのは日本とアメリカくらいし かないのを初めて知って驚きました。
ベトナムの料理はライスペーパーがあ まりおいしくなかったけど、味噌のソ ースはおいしかったです。実際に家で 味噌のたれを作ってみたらおいしくで きました。
・ベトナムのお話で水道の水を飲める日 本は幸せなことを知りました。こうや って生活していると今まで恵まれてい たことや、水道で水が飲めることがど んなにすごいかよく分からなかったけ ど今日実感しました。これからは水を 大切にしたいと思います。調理実習の 生春巻きは、初めて食べたけどおいし
かったです。ライスペーパーが最初は ベトナムの生春巻きをベトナム人留学生のグ エンさんと作る児童
元ハノイ駐在の企業人からベトナムの環境に ついて話を聞く児童
硬かったけど、水にさらすとぬるぬるして面白かったです。材料が全部マル エツでも買えるから家でも作ってみたいです。今日一日楽しかったです。
(4)第四回 インドネシア編 2007年11月29日および2008年7月9日実施 インドネシアの文化とお米料理について
の学習は5年生のお米学習の発展として昨 年度バンバン・ルディアント先生を講師に 招いて行っている。その時はインドネシア の米料理と言うことでナシゴレンを調理し た。自分たちが口にする米料理とは異なる ものの、ナシゴレンもおいしいという児童 が多かった。世界中でお米が大切な食材と して食べられているということを体験を通 して学ぶ機会となった。また、インドネシ アの子ども達が読んでいる日本発祥のマン ガや文化などについてもクイズ形式で楽し く教えていただいた。
今回はその続編ということで、インドネ シアに生息する野生動物や植物・現地の言 葉などを幅広く紹介してもらう中で学んで いく時間となった。色々な角度から異文化 にふれるというこれまでとは違った取り組 みで児童にとっても新鮮なものとなった。
──授業後の児童の感想
・オランウタンとドリアンの絵を描くのが難しかったです。インドネシアの単 語で人は
orang
、魚はikan
、ご飯はnashi
、菓子はkue
がおもしろかったです、紙飛行機大会も面白かったです。これからの「アジアシリーズ」をがんばり たいです。
・オランウタンの話やはじめにやったクイズも楽しかったです。言葉について の話に一番興味を持ちました。発音がL・Rはとても難しかったです。紙飛 行機も面白かったです。
・「アジアシリーズ」でへぇと思ったことはオランウタンが最近絶滅しそうと いうことです。
(5)第五回 ネパール編 2008年9月10日実施
夏休み明けにはネパールについて学んだ。講師には岡本
Malla
有子さんとシェインドネシアのナシゴレン(炒飯)を調理実 習(指導は和光大学のバンバン・ルディアン ト教授) 2007年11月実施
インドネシアに関するクイズに答える児童
フのバイクンタさんが来校した。今回は事前に児童がネパールについてインター ネットや図書資料から情報を収集し、若干の予備知識を持って活動に臨んだ。自 分達で調べたことから新たな課題を見つけ、体験を通して理解や考えを深めてい く。そしてまた新たな課題を見い出していくという学習スタイルをこれまで以上 に強く意識して取り組んでいった。実際の授業ではネパールの気候や民族・文化 についてクイズ形式で紹介していただき、その後、東ネパール地方のライ族でお 年寄りから幼い子どもまでみんなが踊っているという舞踊を披露していただいた。
そして、その後には児童と参観に来た保護者も一緒になって踊った。身の回りの ものを踊りで表現するという文化を、楽しく体感しながら学ぶことができた。授 業を通して児童は事前に調べた情報について聞いた話からさらに理解を深めたり、
インターネットや図書資料からでは得られない情報も多くがあることを実感でき たりしていったように見受けられた。
「食」ではお米を使ったミルク粥『キー ル』とジャガイモ料理『ブテコ・アル』を 調理して試食した。ネパール料理店のシェ フが作るジャガイモ料理『ブテコ・アル』
は児童に大変好評であった。そして『キー ル』は、普段自分達が使っているお米とい う食材でありながら、経験したことのない 味覚に戸惑いも見られた。ただ、美味しい と感じるだけが異文化を理解することにつ ながるわけではなく、違いを実感するとい うことも必要なことであると思う。児童は 確実に多様な食文化について感じ取ること ができ、ネパールという国への関心を高め ることにつながっていた。
── 授業後の児童の感想
・ライ族の踊りが面白かったです。本当 に生きものを大事にしていることが伝 わりました。最後のツルの踊りが一番 楽しかったです。ノミまで表現するこ とに驚きました。そして、ネパールは 細長いことが分かりました。気候や住 んでいる動物がそれぞれちがうこと、
衣類までちがう事に興味を持ちました。
キールはバターと砂糖がたくさん入っ
ネパール民族舞踏家である岡本先生の踊り
ネワール族(東ネパール)の踊りを習う児童
ネパール人シェフのバイクンタさんが調理実 習の指導
ていたことにおどろきました。(参観に きていた)お母さんも牛乳がそんなに 好きではないので甘すぎたと言ってい ました。ブテコ・アルはヨーグルトを 入れたときビックリしたけどおいしか ったです。また、食べたいです。ネパー ルの料理はごうかいだなと思いました。
・一番面白かったことはライ族の踊りで す。ノミやトカゲの行動を踊りにする
のがびっくりしまいした。なぜ(すべての)あいさつが「ナマステー」なの か疑問だった。ネパールは北海道ぐらいの大きさで60民族も暮らしているこ とが分かった。キールはみんな「まずい」と言っていたけれどブテコ・アル と合っておいしかったです。(10月に和光大である)アジアフェスタに行きた くなりました。
3──「アジアシリーズ」取り組みの成果と課題
(1)今回の取り組みの成果
今回の「アジアシリーズ」は前述の通り総合的な学習の時間の活動の中に位置 付けて取り組んだ。四回の「アジアシリーズ」を実施した後で児童は「アジアシ リーズ」で体験したり学んだりしたことの中から課題を見いだして、自分たちの 力で解決し、そして表現するという探究活
動を行った。野菜作りの体験と今回の食と の触れ合いから食文化やお米について詳し く調べまとめていった児童、4年生・5年 生で学んだ水についての学習をもう一度思 い返し、今回学んだ世界の水事情から環境 問題について調べていった児童、一つの国 の中にも色々な民族や宗教が混在している ことを知り、さらに詳しく調べる児童など、
児童の課題は様々であったが、どれも「ア ジアシリーズ」を実施するに当たって設定 した三つのねらいに即したものであった。
体験活動をきっかけとして新たな探究活動 へとつながり児童の学びを深めていくこと ができる、まさに総合的な学習として理想 的な活動であったといえる。こうした課題
保護者の方も交えて調理実習
ベトナムの探究学習の成果
は学級内で交流し合って共有することもできた。
以下に児童がまとめた作品や発表スピーチ原稿 を紹介する。
スリランカと日本の文化にはいろいろな 違いがあることが分かりました。たとえば 日本では家には靴を脱いで入ります。でも スリランカでは靴を履いたまま家に入りま す。だからスリランカの人の家には土とか 砂が入るので朝、必ず床ふきをするのです。
また、食文化では、スリランカ人のシン ハラ人の間では焼くという料理はないそう です。食べ物を焼くと神々の関係で恐ろし いことが起きるのだそうです。
スリランカで民族や宗教のちがい以外に も都市部と農村部で生活習慣や風習が異な ります。日本にはこれほど大きな違いはあ りません。今回スリランカについて詳しく 調べてみて日本とスリランカには大きな違 いがあるんだなぁと思いました。
(スリランカの文化について調べて発表した児童 のスピーチ原稿より)
また、地域との連携という視点から見ると、
これまで岡上の西町に住む児童は、和光大学の
キャンパスに出かけたり、和光大学のサークル(蛍を呼び戻そうとする活動など)
に参加したりと個人レベルでの交流はあった。ただ、小学校と大学という異校種 間での連携はこれまで行って来てはいないのではないかと思う。本校の『地域を 生かした学校』という学校重点目標から、これまで以上に地域との関わりも深め ようという考えが広がっている。そうした中で和光大学には多種多様な学科があ りさまざまなジャンルの専門家と専門知識がある。こうした身近な地域にある知 的財産は本校の自然を生かした体験活動にも大いに生かせる可能性がある。その 可能性を探る意味で和光大学と岡上小学校の連携を昨年度から進めてきたが、そ の成果として今年度の「アジアシリーズ」の実践は挙げられるのではないかと考 える。
スリランカの探究学習の成果
インドネシアの探究学習の成果
(2)今後の課題
2011年度から完全実施される新指導要領では総 合的な学習の時間がこれまでより約3分の1が削 減されてこれまでの年間110時間から年間70時間と なる。来年度からは移行期間として、新しい時数 にむけての年間活動計画作成を小学校現場でも急 務として求められているところである。
今回の「アジアシリーズ」は5回の実施で、授 業時数にすると10時間である。授業時数が削減さ れることを考えるとこの授業時間を確保すること は難しい。しかし、「アジアシリーズ」はこれまで も述べてきたように1回だけどこかの国を紹介す るというのでは児童の価値観は広がらない。今回 の実践を考えても、様々な国の多様な文化や食に
触れることで児童の価値観も広がってくる。よって、単発で行うのではなく、し っかりと単元として位置付けて、ある程度の時数を確保し、継続して行うことが 望ましいといえる。
また、これまでは、和光大学の講師の方が準備してくださった資料から児童が 学び、体験をするという、どちらかといえば受身的な学習であった。この体験を 通して、児童は新たな課題を見つけ探究活動へとつながっていったわけだが、新 しい授業時数の中では同じように進めて行くことは難しい。例えば体験活動の中 で、児童が疑問や課題を見いだし、講師の先生とともに解決する活動や、一度に 複数の国の学習をワークショップ形式で行い、体験活動は児童の課題別で行うな どの新たな授業スタイルの検討も必要になってくるのではないか。
さらに、大学との連携という名目で、和光大学から膨大な情報と実践の提供を 受けているにも関わらず、小学校として何を大学に返せているのかという課題が ある。そして、連携が今後3年、4年と続いていくためには連携システムの強化 も必要である。単に担当者を置くというだけではなく、岡上小学校として総合的 な学習の時間を通して児童にどのような力をつけたいのか、その中で「アジアシ リーズ」(今後の連携)をどのように位置付けるのか、和光大学へも、学校の外に も内にも発信していく必要がある。元来、総合的な学習は教員一人ひとりで単元 や教材を創っていくという部分があり、必ずしも毎年同じねらいで同じ活動を行 うとは限らない。教師の思いで授業のスタイルも変わってくることだろう。そう した部分も含めて双方が柔軟に対応しながら児童へ還元していくことができれば と願っている。
[かたおか よしのぶ]
スリランカの米の探究学習の成果