有限グラフ上のトーリックイデアル
早稲田大学大学院基幹理工学研究科数学応用数理専攻修士 2 年 楫研究室 前田 悠輔
2019 年 2 月 8 日
主定理
有限グラフGから生起する配置AGのトーリックイデアルIGに属する任意の二項式fΓと対応する閉路 Γについて以下が成り立つ。
fΓは原始的だがサーキットではない二項式であるとき、Γは (C1, C3′, C2, C3′′)
の形で表される閉路になる。
ただし、C1の始点とC3′ の始点とC3′′の終点、C3′ の終点とC3′′の始点とC2の始点はそれぞれ一致し、
C1 = (ei1, . . . , ei2p−1), C2 = (ej1, . . . , ej2q−1)はそれぞれ長さが奇数の閉路、C3 = (ek1, . . . , ek2r)は長 さが偶数の閉路、C3′ = (ek1. . . . , eks), C3′′= (eks+1, . . . , ek2r)はそれぞれC3に含まれる路とする。
定義1 (閉路と二項式の対応付け)
Γ = (ep1, . . . , ep2q)をG上の長さが偶数の閉路とする。このとき、
fΓ(+)=∏q
k=1xp2k−1 ,fΓ(−)=∏q k=1xp2k
と定め、Γに対応する二項式を
fΓ=fΓ(+)−fΓ(−)
と定める。
命題2 ( [2])
配置Aに対しCA,UA, GrAをそれぞれサーキット全体の集合、universal Gr¨obner basis、Graver basisと する。
CA⊂ UA⊂GrA
が成り立つ。
次に、主定理の例を示しておく。
図1
1
Γ = (ei1, ei2, ei3, ek1, ek2, ej1, ej2, ej3, ej4, ej5, ej6, ej1, ek3, ek4)
命題3
有限グラフGをとる。Gに含まれる極小偶サイクルC = (e1, . . . e2p)に対して以下のような路を定める。
Γi = (ei1, . . . ei2si−1)ただし、eiとei+1とei1、ei+1とei+2とei2si−1 が頂点を共有しているとする。この とき、
Γ = (e1,Γ1, . . . , e2p,Γ2p)
に対応する二項式fΓは原始的だがuniversal Gr¨obner basisの元ではない。
以下に例を示す。
図2
C= (e1, e2, e3, e4)
Γ = (e1, e11, e12, e13, e2, e21, e22, e23, e3, e31, e32, e33, e4, e41, e42, e43)
参考文献
[1] 日比孝之. グレブナー基底. 朝倉書店. 2003.
[2] JST CREST日比チーム. グレブナー道場. 共立出版. 2011.
[3] D.Cox, J.Little, and D.O Shea. Using Algebraic Geometry. Springer Publications Inc., 2007.
[4] G.Greuel, G.Pfister. A Singular Introduction to Commutative Algebra. Springer Publications Inc., 2008.
[5] 大杉英史.トーリックイデアルの20年.2010.
[6] C.Tatakis, A.Thoma. On the universal Gr¨obner bases of toric ideals of graphs. 2010.
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