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建築内外の空気・温熱環境改善に
資する数値解析モデリングに
関する研究
東京都市大学
近藤靖史
2014年度 日本建築学会賞(論文)受賞業績の紹介
概要
室内および屋外の空気環境・温熱環境を効率的に
改善する手法を下記の3種類の数値解析モデルにより検討。
(1)数値流体解析(CFD解析)を用いた
室内および屋外の空気環境・温熱環境モデル ☞2章
(2)都市表面での熱収支モデル ☞3章
(3)建材内の物質拡散モデル
☞4章
本研究の構成
1章 はじめに
2章
室内の換気性状・換気効率
に関する研究
2.1 CFD解析に基づく換気効率指標
2.2 吹出口のCFDモデリング
2.3 住宅厨房の換気性状・換気効率
2.4 業務用厨房の換気性状・換気効率
2.5 VOCsや水蒸気など物質の空間分布
2.6 乱流モデルおよび移動物体のCFD
3章
都市被覆の日射反射性能向上
によるヒートアイランド現象
緩和に関する研究
3.1 建物屋根表面の高反射率化
3.2 道路舗装面の高反射率化
4章
断熱材の長期性能
変化に関する研究
4.1 発泡系断熱材内のフロン残存量
4.2 断熱材の長期性能変化
2章 2.1 CFD解析に基づく換気効率指標
室内気流場・濃度場のCFD解析結果を用いて、
☞局所排気装置の直接捕集率
(DCE, Direct Capture Efficiency)
の算定法を提案。
☞室内換気性状の評価指標として有効換気容積を定義し、そ
の算定法を提案。
【論文リスト】 (a1)近藤靖史・荻田俊輔:CFD解析による局所換気装置の直接捕集率(DCE)の算定、日本建築学会環境系論 文報告集、第584号、pp.41-46、2004年10月 (a2)近藤靖史・阿部有希子・長澤康弘:室内換気性状の評価指標としての有効換気容積の定義と算定法(第1 報) 有効換気容積の定義と2次元CFD解析による算定例、日本建築学会環境系論文報告集、第601号、 pp.29-34、2006年3月 (a3)近藤靖史・阿部有希子・吉野一:室内換気性状の評価指標としての有効換気容積の定義と算定法(第2報) CFD解析に基づく各種室内空間の有効換気容積、日本建築学会環境系論文報告集、第73巻、第628号、 pp.743-750、2008年6月直接捕集率(DCE)
作業空間では、局所排気装置の捕集率を高め、汚染質や熱を
速やかに除去することが重要。
排気口が1つである場合は、汚染質は全てその排気口により
捕集され、捕集率は100%になる?
(1)汚染質の漏出が大 (2)汚染質の漏出が小
局所排気装置の捕集性状と居住域濃度
給気口(SA) 局所排気装置 汚染質・熱 の発生 排気口(EA) 居 住 域 低 濃 度 給気口(SA) 局所排気装置 汚染質・熱 の発生 排気口(EA) 居 住 域 高 濃 度・
高 温 汚 染 質・
熱 の 漏 出直接捕集率(DCE) つづき
局所排気装置から直接排出される汚染質の割合が重要。
『局所排気装置により直接排出される汚染質量と汚染質発生
総量との比』を
直接捕集率
と定義
☞CFD解析結果から算出する方法を考案。
排気フードの仮想境界で発生した汚染質が
捕集・逸流を繰り返す状況を無限級数和で表現
2章 2.2 吹出口のCFDモデリング
室内気流場・温度場を特徴づける
吹出口からの気流
を
CFD解析に組み込む。
☞BOX法
(BOX Method)
とP.V.法
(Prescribed Velocity Method)
を
多層コーン型吹出口に適用する方法や予測精度を検討。
☞換気・空調用の吹出口から効率よく居住域に新鮮外気を供
給し、居住域の温熱環境を快適範囲に維持する方法。
【論文リスト】 (a4)近藤靖史・長澤康弘・張本和芳・守屋賢志:数値流体解析における空調用吹出口のモデリング手法(そ の1) 等温実大実験と数値シミュレーション、日本建築学会計画系論文報告集、第557号、2002年7月、 pp.65-72 (a5)近藤靖史・趙凡・太田恭兵・長澤康弘:システム天井用吹出口のCFDモデリング手法としてのP.V.法とそ の応用、日本建築学会環境系論文集、第76巻、第667号、pp.785-792、2011年9月吹出し口のCFDモデリング (つづき)
BOX法(BOX Method)とP.V.法(Prescribed Velocity Method) を
多層コーン型吹出口に適用する方法や予測精度を検討。
吹出口のCFDモデリング手法例(2次元壁噴流の例)
X3 X1 仮想ボックス L H 吹出口 吸込口 室内(1) 室全体と仮想ボックス位置
(2) BOX法
吹出口 Xb Xa 境界面ⓑ [フリースリップ] 境界面ⓐ [U1,U3,k,ε ,T,C] 仮想ボックス (解析領域外) 室内 X3 X1(3) P.V.法
境界面ⓒ [U1,k,ε ,T,C] Xb Xa 面ⓑ[U3] 面ⓐ [U1] 仮想ボックス (解析領域) 室内 X3 X1吹出し口のCFDモデリング (つづき)
-800 -1600 -2400吹出口のCFDモデリングの検討結果 (X
1-X
3面:吹出口中心断面での風速)
(壁面)(1)
実験
結果
400 1200 2000 2800 X 3[m m ] X1[mm] 吹出口(X1=0[mm]) 2400 1600 800 0 800 1600 2400(2)
解析
結果(P.V.法)
X3 X1 400 1200 2000 2800 X 3[m m ] 2400 1600 800 0 X1[mm] 800 1600 2400 0.5m/s 0.5m/s -800 -1600 吹出口(X1=0[mm]) Not Measured2章 2.3 住宅厨房の換気性状・換気効率
住宅厨房では調理時に発生する熱・水蒸気や、換気のため
の外気により温熱環境が悪化する場合がある。
☞外気給気方法・キッチンレィアウトなどを系統的に検討し、住
宅厨房における適切な換気方法を提案。
住宅厨房とリビングの温熱・空気環境(調理時)
FGTLS0675hood
排
気
外気
コールドドラフト
熱上昇流の捕集性状
熱・水蒸気などの
リビングへの移流性状
調理機器上の熱上昇流のCFDモデル
【論文リスト】 (a6)近藤靖史・阿部有希子・大島敬典・相澤芳弘:住宅厨房と隣接するリビング空間の温熱・空気環境に関する 研究(第1報) 換気の給気位置と調理時の擾乱による室内環境への影響に関する実験、日本建築学会環境 系論文報告集、第73巻、第627号、pp.607-614、2008年5月 (a7)近藤靖史・阿部有希子・宮藤章・相澤芳弘・赤城克斎:住宅厨房と隣接するリビング空間の温熱・空気環境に 関する研究(第2報) 鍋上部の熱上昇流のCFDモデリングと暖房実験、日本建築学会環境系論文集、第73巻、 第634号、pp.1383-1390、2008年12月 (a8)近藤靖史、江戸有希子、藤野祥子、太田恭兵:住宅厨房と隣接するリビング空間の温熱・空気環境に関する 研究(第3報) キッチンレィアウト・排気フード形状・暖房方式に着目したCFD解析、日本建築学会環境系論文 集、第76巻、第669号、pp.963-972、2011年11月熱上昇流の実験結果と解析結果(温度)
(1)実験結果 (2)気流速規定 (3)規定なし
熱上昇流測定位置
熱上昇流を鍋中心からの距離の関数で表し、CFD解析で規定。
2章 2.4 業務用厨房の換気性状・換気効率
・業務用厨房内の空気・温熱環境は必ずしも良好でない。
・作業者の快適性・健康性維持や労働生産性向上が課題。
・消費されるエネルギーが非常に多い。
(1)パンカルーバ型吹出口 (2)置換換気用吹出口
☞国内の厨房での局所空調 ☞北欧の例
業務用厨房内の空調・換気吹出口の例
天井面の吹出口による置換換気方式
(
天井給気型置換換気
方式)
【論文リスト】 (a9)近藤靖史・荻田俊輔・吉野一・藤田美和子:業務用電化厨房における置換換気・空調システムに関する研究、 日本建築学会環境系論文集、第77巻、第676号、pp.481-489、2012年6月 (a10)近藤靖史・荻田俊輔・吉野一・藤田美和子・小笠原岳:ファミリーレストランの厨房換気に関する研究(第1報) CFD解析と実験による局所空調方式と天井給気型置換換気方式の比較、日本建築学会環境系論文集、第 77巻、第682号、pp.977-986、2012年12月 (a11)近藤靖史・鈴木盛永・吉野一・荻田俊輔・藤田美和子・永瀬修:天井給気型置換換気方式を適用した中規模 業務用電化厨房の温熱環境実測とCFD解析、日本建築学会環境系論文集、第78巻、第692号、2013年10月☞ファミリーレストランや中規模
社員食堂の厨房に適用。
☞天井給気型置換換気では、
局所空調より換気量が約30
%少なく、給気温度が約2℃
高い状態でほぼ適切な温熱
環境。
Y X 食 堂 カウンタ開口 カウンタ開口 カウンタ開口 天井吹出口 3 2 1 4天井給気型置換換気を適用した中規模社員食堂の厨房
2章 2.5 VOCsや水蒸気など物質の拡散
揮発性有機化合物(VOCs)の多孔質建材内部からの放散現
象をモデル化し、IAQ予測モデルを提案。
【論文リスト】 (a12)近藤靖史・村上周三・加藤信介・藤村淳一・伊藤一秀・山本明:揮発性有機化合物(VOCs)の吸脱着・放散現 象のモデル化と数値予測(その1)多孔質個体内部における物質拡散のモデル化とミクロ―マクロモデルによ る室内VOCs濃度予測、日本建築学会計画系論文報告集、第535号、pp.15-21、2000年9月 換気量:Q [m3/s] 給気濃度: Cin[g(VOCs)/m3] (本研究では0[g(VOCs)/m3]) 室容積:V [m3] 室内濃度:Cr(t)[kg(VOCs)/m3] 建材表面積:A [m2] 室内:マクロ
な扱い 完全混合を仮定IAQ予測ミクロ-マクロモデルの概念
多孔質材料厚さ:L [m] 建材内部:ミクロ
な扱い 拡散方程式 給気 排気 物質伝達率:aC [g(VOCs)/m2s(g (VOCs)/m3)]建材内部は拡散方程式を
ミクロ的に解析。
室内空気は完全混合を仮定して
マクロ的に解析。
VOCsや水蒸気など物質の拡散 (つづき)
・湿度差による浮力効果をCFD解析に組み込み、影響を考察。
・気象学などでは考慮される水蒸気による放射エネルギーの吸
収・放射について、室内スケールでの影響を明らかした。
・厨房内のオイルミストに着目し、粒子径分布の測定結果とエア
ロゾル学に関する理論に基づいて、その特性を明らかにした。
【論文リスト】 (a13)近藤靖史・長澤康弘・藤村淳一:室内空気中の水蒸気が空間温度分布に与える影響(その1) 湿度による浮 力の影響を考慮した室内温熱環境予測、日本建築学会計画系論文報告集、第534号、pp.57-62、2000年8月 (a14)近藤靖史・小笠原岳・藤村淳一:室内空気中の水蒸気が空間温度分布に与える影響(その2) 水蒸気による 放射エネルギーの吸収・放射を考慮した室内温熱環境解析、日本建築学会計画系論文報告集、第547号、 pp.67-74、2001年9月 (a15)近藤靖史・川口明伸・吉野一・荻田俊輔:業務用厨房内で発生する油煙の粒度分布とエアロゾルとしての特 性、日本建築学会環境系論文集、第76巻、第664号、pp.547-554、2011年6月2章 2.6 乱流モデルおよび移動物体のCFD
・標準k-
εモデルは等方的な渦粘性の概念に基づいており、衝
突噴流領域などで乱流エネルギーが過大評価される。
☞代数応力モデル(Algebraic Stress Model)は乱流エネル
ギーの過大評価が解消される。
・人体などの移動物体による気流の影響を検討。
☞人体を模擬した移動パネル周辺気流を測定。
☞移動パネルの進行方向近傍で衝突噴流と同様な流れ場。
☞乱流エネルギーが過大評価されない乱流モデルを用いた
場合、実験との対応が良好。
【論文リスト】 (a16)近藤靖史・村上周三・加藤信介:代数応力モデルによる室内気流解析(第三報) 代数応力モデルによる3次 元等温流れ場の解析、日本建築学会計画系論文報告集、第429号、pp.1-5、1991年11月 (a17)近藤靖史・中島裕史:移動物体による室内気流場への影響に関する実験とCFD解析、日本建築学会環境 系論文集、第77巻、第681号、pp.863-871、2012年11月3章 都市被覆の日射反射性能向上による
ヒートアイランド現象緩和
ヒートアイランド現象の緩和手法として、都市被覆の日射反射
性能の向上(高反射率化)を検討。
(b) 高反射率化した屋根
日射
日射吸収:大
冷房負荷:大
日射反射:小
冷房負荷:小
日射
日射吸収:小
日射反射:大
屋根・屋上面の日射反射性能向上の概念
(
クールルーフ
と呼ばれる)
(a) 一般的な屋根
顕熱放散:
大
顕熱放散:
小
3章 3.1 建物屋根面の高反射率化
大学講義棟の屋上面に高反射率塗料(日射反射率54%)および一般塗料
(日射反射率25%)を塗布し、最上階の教室の室内温熱環境などを測定。
【論文リスト】 (b1)近藤靖史・小笠原岳・大木泰祐・有働邦広:建物屋根面の日射反射性能向上によるヒートアイランド緩和効 果、日本建築学会環境系論文集、第73巻、第629号、pp.923-929、2008年7月 70.0 単位:[℃] 45.0 20.0高反射率塗料
一般塗料
一般塗料
高反射率塗料
(2) 放射熱画像(夏期、12:00)
(1) 屋上に塗布した塗料
実測状況と熱画像
建物屋根面の高反射率化 (つづき)
70 60 50 40 30 0:00 6:00 12:00 18:00 24:00 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 0.0日射量および屋上表面温度
日射量 時刻 温度 [℃ ] 日射量 [kW /m 2 ] 20 高反射率塗料 一般塗料 約4℃屋根裏表面温度
0:00 6:00 12:00 18:00 24:00 時刻 45 40 35 30 温度 [℃ ] 25 外気温 高反射率塗料 一般塗料 約10℃☞屋上面を高反射率化したことにより日中の日射熱吸収が抑
えられ、
躯体への蓄熱量が低減
し、その効果は
夜まで継続
。
☞屋上面での
熱収支モデル
に基づいて、屋上面から都市大気
へ放散される顕熱量を求めた。
☞都市大気への顕熱放散量は高反射率化した屋上面の方が
小さく、ヒートアイランド緩和効果が期待できる。
3章 3.2 道路舗装面の高反射率化
【論文リスト】 (b2)近藤靖史・小笠原岳・金森博:道路舗装面の高反射率化によるヒートアイランド緩和(その1)、実測と熱収支 解析による道路舗装面からの顕熱放散量の検討、日本建築学会環境系論文集、第73巻、第628号、pp.791-797、2008年6月 (b3)近藤靖史・小笠原岳・有働邦広:道路舗装面の高反射率化によるヒートアイランド緩和(その2)、高反射率化 した道路舗装面上における人体温熱感の検討、日本建築学会環境系論文集、第74巻、第637号、pp.323-330、 2009年3月日射反射:
小
日射吸収:
大
顕熱放散:
大
日射吸収:
小
日射
日射反射:
大
顕熱放散:
小
日射
高反射率塗料
道路表面
道路舗装面の日射反射性能向上の概念
(
クールペィブメント
と呼ばれる)
道路舗装面の高反射率化 (つづき)
高反射率化した道路と一般舗装道路の温度分布などを測定。
一般舗装道路
高反射率化した道路
測定場所:東京都某事業所内
測定期間:2006年7月7日~9月23日
測定項目:表面温度
内部温度(GL-50,100,150,200mm)
長短波放射量(上向・下向)
伝導熱量(GL-30mm) など
道路
日射反射率 [%]
一般舗装道路
7.4
高反射率化した道路
34.1
日射反射率
温度測定点
検討対象日 最高気温 [℃] 最低気温 [℃] 日積算日射量 [MJ/m2] 2006年8月18日 34.3 26.1 23.3
外界条件
20
30
40
50
60
温度
[℃
]
0:00
6:00
12:00
18:00
0:00
時刻
道路表面温度・日射量
0
200
400
600
800
1000
日射量
[W
/m
2]
高反射率化した道路
一般舗装道路
約10℃
道路舗装面の高反射率化 (つづき)
一次元熱収支式を用いた道路面の熱収支解析
)
(
)
1
(
r a e L S nR
R
J
L
L
R
A
LE
V
R
n
x
T
A
2 2x
T
C
t
T
p
顕熱放散量V (対流) 潜熱放散量LE (蒸発) 伝導熱流A (伝導) 日射量J 反射日射量ρrJ 大気放射量La 道路表面からの 長波長放射量Le RL (長波放射) RS (短波放射) 道路表面顕熱放散量Vは(1)式の残差として求める。
---(1)
---(2)
---(3)
---(4)
)
0
(
LE
正味放射受熱量Rn (放射)屋根面における熱収支
屋根面における放射収支
-200 0 200 400 600 800 0:00 6:00 12:00 18:00 0:00 -200 0 200 400 600 800 0:00 6:00 12:00 18:00 0:00