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建築設計における環境負荷低減手法と空間形態の相互作用効果 [ PDF

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(1)建築設計における環境負荷低減手法と空間形態の相互作用効果. 緒方 裕久 1. 研究の背景と目的. 2.2. 調査内容.  近年、建築分野において地球環境問題の取り組みが. 調査①:環境負荷低減手法に対する全社的取り組み. 本格的な実行段階へと進みつつあり、日本で行われて.  組織設計事務所における環境負荷低減手法導入に対. いるプロポーザルや設計コンペにおいても環境負荷低. する組織的体制と個別の建築設計の評価について分析. 減手法の提案が求められ、建築設計段階での環境負荷. する。. 低減の検討は不可欠なプロセスとなっている。. 調査②:環境負荷低減手法の事例分析.  建築設計段階における環境負荷低減の検討では、ラ.  建築設計事例における環境負荷低減手法の検討プロ. イフサイクル全体に渡って環境負荷を総合的に低減す. セスと空間形態との関係性を分析する。. ること、建築場所の周辺環境、さらに、生活の快適性. 3. 環境負荷低減手法に対する全社的取り組み. との整合性といった包括的な検討が要求される。この. 3.1. 環境負荷低減手法導入のガイドライン. 考え方を設計実務に適用するためには、基本構想・基 (1)環境負荷低減手法の分類構成 本設計・実施設計という設計プロセスの各段階に応じ.  4 社のうち、A 社及び B 社の 2 社おいてグリーン庁舎. た具体的な技術情報のブレイクダウンと体系的な評価. の設計指針を基にした独自の環境負荷低減手法のガ. システムの構築が重要である。. イドラインを作成している。以下に環境負荷低減手.  また、環境負荷低減手法そのものの知識に加えて、 法の分類方法を示す。 建築設計から施工、運用までのライフサイクルを通じ.  [A 社]: 「環境デザインガイドブック」として環境負. て得られた個人の経験や知恵を蓄積し、その後の建築. 荷低減手法を例示しており、建築、構造、環境の 3 つ. 設計に活かすことが重要である。これによって、建築. に分類されている。( 表 2 ) 表 2.A 社の環境負荷低減手法の分類構成. 設計の初期の段階から効果的な手法の導入が可能とな. !œ !"#$%#&' ()*&+ ,-./012 89:;<+ FG#HIJ MA=NOP&+ QRSTUAVW !"hJ klm`n rstuvw .xyz ~•€&+. り、従来型の意匠設計、設備設計を統合した設計プロ セスが実行されると考えられる。  以上の問題意識から、本研究は、①組織設計事務所 において環境負荷低減手法の導入検討と評価をどのよ うな体制で実施しているのか、また、②個別の環境負 荷低減手法の検討プロセス、環境負荷低減手法と空間 形態の相互作用効果について明らかにすることを目的 とする。. <• !•Ž•H•&+ ’“T”. 2. 研究の方法  大手組織設計事務所 4 社を対象として、環境負荷低 減手法を積極的に導入した建築事例の設計担当者への ヒアリング調査を実施した。 2.1. 研究対象  研究対象は表 1 に示す 4 つの事例である。. vw RS°5 RS„c…†` 34567 =>?@A?BC#*DE KL67 „c…†`#QžŸDE XYZ[\]^_`abcd`efg Yi7j\]^_`abcd`efg o*pq?oC*pq ¡¢£J {*e2|} •‚„c…†`#±²J VC?A•‚#ƒ„c…†` ‰Š„c…†`#±²J 8‡ˆ‰Š‹Œ ‰Š#_gm‘`… •2–—˜gk„gm‰Š ³´V.?³´oC A¤¥#µ‡¶E MADE oA™DEš>A›e2|} ¤¥#QžŸDEšFG ¦•§¨e2|}#©ª «g¬‘gJ?¬‘gpq oA?oC#-®¯¨. 表 1. 研究対象 A·. B·. C·. D·. E¸. ¹º. »¼¦•?½¾´. ¿À?½¾´. B». ÁÂ. =Ã3Ÿ. =Ã4Ÿ. =ÃÄ3Ÿ. =Ã4Ÿ. !œÅÆ. 4,Ä73Ç. 4,858Ç. 8,766Ç. Ä2,064Ç. È€ÅÆ. 8,Ä20Ç. Ä0,Ä96Ç. 37,Ä8ÄÇ. 34,6Ä8Ç.  [ B 社]:「アイデアマニュアル」として、自社で過 去に実施した設計事例の環境負荷低減手法で得られ た知識をマニュアル化しており、用途種別で分類さ れている。. 22-1.

(2) 表 3 . A 社の評価シートの構成. (2)考察. ÉÊ.  2社ともにグリーン庁舎設計指針を参考として作成され. ÉËÄ. =Òvw RSvw vw.Ó ÔÕÖ#×Ø ÔÕhJ •=DEÙÚ ÛÜÀÙÚ ÛÝÀÙÚ ƒ„c…†` ¤¥Þßàá „_â|㘅 äXvw åJÖ#æç èéꧨ ëd`ì•í î<$ï•í ðñò&+•í !•óZ#ôí ÷ÙÚ <•øù•í &+#•í zi#•í úEû#„c…†`üE „c…†`ý`–þÿ !"#úE\!"^ÃA#Þß hJê#$\üE%^ úEû#BCÖ#o& Yi#'( MA# ¡ )¶oA(*A)# ¡ )¶oA(+oA)# ¡ >,A(-¯¨A)# ¡ .$/0"# ¡ 123#•4 BA#d5… V.e2|}A•‚6 V.e2|}VC•‚6 õ7e2|}#8ÉúE ‰Š#á9 xu#á9 *:";#É<êá9 =C *Í>-;#èé xu#èé RS5DE ?&‰ŠDE @(Ö#Aʘ–B2 !"(Ô8CDEFG•HH !œ•IG•êJK#LM VWX8N)O^G•HH !œ•I#-QRèé <•ê(S#-ç#IT; V.e2|}#-ç#IT; ‰Še2|}#-ç#IT; 7CêUVe2|}#-ç#IT; „c…†`WX#YZÍåJÖ#æç. ^='í. ているため、例示される手法はこれに沿った内容となっ ているが、その分類方法は設計分野別、 用途種別となって. _4ÙÚ. おり差異がみられる。これは、A社がガイドラインを設計. ! œ. 後のチェックリストの参照資料として利用しているのに !œÙÚ. 対し、B社は設計段階での手法導入の検討材料として利用 するという設計プロセスにおける活用方法の差異に起因. `abí. している。設計段階で活用するためにはB社の分類の方が. < •. 有効であると考えられる。. c•ÙÚ õöÙÚ <•ÙÚ. 3.2.評価シート „c…†`DE. (1)評価シートの構成と評価方法. ADE.  B社を除く3社において独自の評価シートを作成して. BCÖ#o&. いる。この評価シートはプロジェクト別に採用を検討し. =Ò·\# ]g¬1 ¡. た環境負荷低減手法をチェックし、設計全体の評価を行 うものでISO14001に基づく評価シートとして作成され. !œ•I# á9;. ている。3社ともに各設計段階でチェックをしており、A v w. 社及びC社では評価結果が点数化されている。以下、A社. äXVC#;. 及びC社の評価シートの構成と評価方法を示す。. äX*Í>-;.  [A 社]:建築、構造、設備に大分類され、評価項目は 2. ‰ŠE„c…†`P Avw. 段階に細分化されている。DR0(基本構想)、DR1(基本計. ŒÌÍ Î+Ï. ÉË2. 画)、DR2(基本設計)、DR3(実施設計)の各段階で評価点(-. G•êJKP •Ø‡[. 1,0,+1)を各設計分野の担当者が自己評価する形式であ. 9E;Pè駨;. る。それぞれのチェック項目に対して、DR0∼3のどの段. -ç;. 階でチェックすべき項目であるかが示されている点が特. DR0. DRÄ. DR2. DR3. Ðb Ñ–Ï Ðb Ñ–Ï Ðb Ñ–Ï Ðb Ñ–Ï. 5 3 Ä4 6 4 Ä 4 2 Ä4 Ä3 3 ÄÄ 6 4 6 4 4 2 8 2 Ä0 22 5 5 7 5 ÄÄ 4 3 3 2 Ä 5 2 4 6 7 3 6 5 Ä4 8 9 4 5 8 2 Ä 6 Ä 5 3 5 3 4 2. 5 3 Ä 2 7 4 3 Ä Ä Ä Ä 2 Ä Ä 2 2 -. Ä4 6 6 4 5 2 3 ÄÄ 4 3 Ä Ä Ä 4 2 Ä 3 3 Ä 6 2 2 Ä Ä 3 2 Ä 2 2 2 Ä 2 2. Ä4 6 4 Ä 4 2 Ä4 Ä3 3 ÄÄ 6 4 4 2 8 2 Ä0 22 5 7 4 ÄÄ 4 3 3 2 Ä 5 2 4 3 3 3 3 3 Ä2 8 7 3 4 5 2 Ä 6 Ä 5 3 3 3 4 2. 6 4 Ä 4 2 Ä4 Ä3 3 ÄÄ 6 4 4 2 8 2 Ä0 22 5 5 7 5 ÄÄ 3 3 3 2 Ä 5 2 4 6 7 3 6 5 Ä4 8 9 4 5 8 2 Ä 6 Ä 5 3 5 3 4 2. 表 4 . C 社の評価シートの構成. 徴である。またチェック項目は 「環境デザインガイドブッ. ŒÌÍ Î+Ï. ÙÚ. <•. 7C. V.Xo Ad). DR2 Ðb Ñ–Ï. =Ò)e6fg. 3. 3. -. -. -. 3. 3. hiCjk,ê=NA#lm. 6. 6. -. -. Ä. 6. 6. ÄÄ. 5. 3. Ä. 5. ÄÄ. ÄÄ. 8. 8. -. -. 3. 8. 8. q#)*ê,-rs. 6. 6. -. -. 3. 6. 6. ³´V.ê³´oC. 6. -. -. -. 6. 6. 6. tu#pv. 5. -. -. 3. 2. 5. 5. RS°5. 7. 7. -. 2. -. 7. 7. RSUK. 4. 4. -. -. 4. 4. 4. Ä0. 6. -. 3. 7. Ä0. Ä0. ÉË2. ÉËÄ. ク」の内容と整合している(表 3)。  [C社]:環境負荷低減手法の目的に応じて2段階に分類. ÔÕvwÖ#_ƒ. ÔÕvw#*:~n. されており、 それぞれの具体的手法に対して担当分野別に. (o ¡#àá. チェックが行われる。担当分野は、計画、構造、電気、空 調給排水衛生の4つに分けられている。 評価は基本設計、 実. ƒ „ RS„c…†` c DE ê ƒ ¤ ¥. 施設計の2段階となっており、 各段階で0∼3までの得点が 自己評価によって記入される(表4)。. „c…†`ꤥ #µ‡DE. (2)考察  A社及びC社の評価シートの内容を比較考察する。 ①分類方法. €•‚.  A社では、設計分野別に分類されているため、各担当 者の役割が明確であり、過不足のない対応が可能であ. „_â|㘅. る。一方、複合的な手法やトレードオフの関係にある手 法の調整が難しいといえる。また、設計の各段階で検討. -®üEê-®¯¨. ¡#pH. RS„c…†`DE „c…†`#QžŸDE. -. 2. 5. 5. 5. 8. 2. -. Ä. 6. 8. 8. •‚„c…†`#±²J. 8. Ä. -. -. 7. 8. 8. ‰Š„c…†`#±²J. 4. -. -. 4. -. 4. 4. A¤¥#µ‡¶E. 3. -. -. -. 3. 3. 3. ±-úE. 3. -. -. 2. 3. 3. 3. wPx#yf. 5. 4. Ä. Ä. Ä. 5. 5. !œzi#z¨Í9:;. 3. 2. 3. -. -. 3. 3. •Izi#z¨Í9:;. 3. -. -. 3. 3. 3. 3. pvw. 8. 6. 2. 6. 4. 8. 8. *{zT”#üEàá. 3. 3. 3. -. -. 3. 3. |}"ê™)¤¥#¶E. 4. Ä. 3. -. -. 4. 4. ~ÌITRziê&+. 2. 2. 2. 2. 2. 2. 2. /0"#•H. 3. 2. -. -. 2. 3. 3. !•|}"#6)àáꙤ¥J. 5. 4. 5. 4. 4. 5. 5. «g¬‘gJꬑgpq. 6. -. -. -. 6. 6. 6. ¡¢£J. ¡zi. 5. -. DR3 Ðb Ñ–Ï. 項目が設定されており、評価シートの内容が最大限の環. ②チェック段階. 境負荷低減となっている。つまり、横断的、革新的な環.  A 社では 4 段階のチェックと C 社よりも多く、. 境負荷低減手法の導入検討が難しいと考えられる。. また、設計段階が進むごとに各項目のチェック.  C 社では、具体的手法に対して複数の担当分野が. 内容の数が増えているため、より詳細な検討と. チェックするため、複数分野での連携が可能である。. 評価が行われ、導入手法の収れんが可能である。. 具体的手法はグリーン庁舎と全く同様であるため、硬直. C 社では 2 つの段階のチェック内容の数が同じであ. 的に運用される可能性があり、革新的な手法導入という. 点では A 社と同様に難しいと考えられる。. り、設計段階別評価の意図が明確に表れにくいもの となっている。. 22-2.

(3) ③評価方法.  敷地や周辺環境等から病院としては多少複雑な空間形態.  各項目の採点はA社が3段階、C社が4段階となってい. となっている。 その空間形態を受けての環境負荷低減手法. るが、2社ともに担当者が自己採点する方法は同様であ. の検討であり、 その複雑なプランから構造体のPC化は見送. る。評価の点数化によって、手法の分類別のバランスを. られ、外装であるバルコニーのPC化を実現している。. チェックする上では有効であると考えられ、設計の進行 に伴う修正が可能である。  一方、設計全体の総合得点も明示されるが両者ともに どの程度の割合の点数を得点すれば環境負荷を低減した 設計であるかという目標値が示されていないため、全体 としての低減度が客観化されていない。このような総合 評価はLCEやLCCO 2 によって実施されていると考えられ るが、周辺環境の保全や材料の適正使用といった評価が 反映されていないため、評価シートの結果とLCAの結果 が整合せず、省エネルギー分野の手法に偏重する可能性 が考えられる。 3.3.建築設計情報の管理と活用. 図1.A社による病院の平面図.  建築設計において環境負荷低減度を評価する意義は、.  このタイプは従来型の環境負荷低減手法の導入プロセ. 評価結果がその後の建築設計に活用される点にあるとい. スであるといえ、最適な環境負荷低減手法の導入を阻害. える。そこで、4社の建築設計情報の管理と活用について. することも考えられる。 付加的、従属的な関係で空間形態. ヒアリング調査を行った。. に付随し、環境負荷低減に対し高い意識を持っていると.  4社ともに情報管理の体制は類似しており、設計図書及. はいえない。. び写真を本社の情報センターで一元的に管理している。. ⅣႺ⽶⩄ૐᷫᚻᴺ. ⅣႺ⽶⩄ૐᷫᚻᴺ. Ꮏᦼ࡮ࠦࠬ࠻ߩ ໧㗴ߩᬌ⸛. また、評価シートも同様に一元的管理がなされているが、 ⓨ㑆ᒻᘒ Ꮏᦼ࡮ࠦࠬ࠻ ߩ໧㗴ߩᬌ⸛ ߩ᳿ቯ. 導入された具体的手法の内容や成功及び問題点といった 知識情報までは体系的に管理されていない。しかし、B社. ᒰೋ߆ࠄߩ໧㗴ߢ޽ࠅ ၮᧄ⸘↹ߩᲑ㓏߆ࠄ ᭴ㅧᜂᒰߣߩᬌ⸛߇ⴕࠊࠇߚ. ᄢ᏷ߥᩇ᪞ߩ 2%ൻࠍណ↪. ⓨ㑆ᒻᘒߩ᳿ቯࠍฃߌ ⅣႺ⽶⩄ૐᷫᚻᴺߩ ᬌ⸛Ბ㓏ߦ౉ߞߚ. の「アイデアマニュアル」 のように知識情報を活用しよう という意識はあり、今後の課題として認識されている。 ま. ⷐ᳞. ⓨ㑆ᒻᘒ߆ࠄ2%ൻࠍ ࿑ࠇࠆ▎ᚲߩᬌ⸛. た、集約された情報は、 デジタルデータとして蓄積されて. ⓨ㑆ᒻᘒ 2%ൻߦല₸ߩࠃ޿ ⓨ㑆ᒻᘒߩᬌ⸛. ࡊ࡜ࡦߩࡕࠫࡘ࡯࡞ൻ߇ ߥߐࠇߡ޿ߥ߆ߞߚߚ߼ ᭴ㅧ૕ߩ2%ൻߪᢿᔨߒߚ. いるが、社員が自由に取得できる運用体制までは至って おらず、情報センターへの申請と許可が必要であり、 情報. ࡃ࡞ࠦ࠾࡯ߩ 2%ൻࠍ᳿ቯ. 取得には一定の時間を要する。建築設計情報の拡充とと. ᭴ㅧ૕ߩࡕࠫࡘ࡯࡞ൻࠍ ࿑ࠆߎߣߣߥߞߚ. න⚐ߥ᭴ᚑ߇ㅪ⛯ߔ ࠆⓨ㑆ᒻᘒࠍណ↪. もに運用体制も重要な課題であると考えられる。 図 2.A 社のバルコニー PC 化のモデル図  図 3.D 社の柱梁の PC 化のモデル図. 4.建築設計事例における環境負荷低減手法と空間形態の相 互関係. 4.2.環境負荷低減手法先行型(Ⅱ).  表1に示す4つの建築設計事例で採用された検討プロ.  環境負荷低減手法が意匠設計の初期条件として決定さ. セスの明らかな環境負荷低減手法として21の手法が確認. れ、これに対応した空間形態が決定された事例である。. できた。これらの各手法の導入における検討内容を整理. 空間形態は環境負荷低減手法に従属しているといえる。. した結果、空間形態に与えた影響の度合いから4つの型. このタイプは1つの手法が該当する。. に分類することができた。以下、具体的な手法を基にこ.  事例)D社の柱梁PC化. れらの4つの型について相互作用効果を考察する。.  プロジェクト開始当初から工期の短さが問題とされ、 早. 4.1.空間形態先 行型(Ⅰ). い段階から構造担当者とともに柱梁の大幅なPC化が決定さ.  意匠設計における空間形態の検討が先行し、その結果. れていた。 それを受けPC化を高効率に行える空間形態の検. が前提条件となり環境負荷低減手法の選択と技術内容が. 討に入り、 単純なモジュールの連続というプランとなって. 検討される事例である。環境負荷低減手法は空間形態に. いる。. 従属しており、空間形態の決定に大きな影響を与えてい.  環境負荷低減手法の高効率化のために空間形態が決定. ない。このタイプは12 の手法が該当する。. されており、 従来にはみられなかった事例といえる。環境.  事例)A社のバルコニーのPC化. 負荷低減の必要性、重要性が強く意識された事例である. 22-3.

(4) が、空間形態が大きな制約を受けている。.  事例)B社のエコエッグ ⓨ㑆ᒻᘒ. ⅣႺ⽶⩄ૐᷫᚻᴺ. ࠕ࠻࡝࠙ࡓߦ⽎ᓽ⊛ ߥⓨ㑆ᒻᘒࠍᬌ⸛. ࠕ࠻࡝࠙ࡓߩ ⓨ᳇ᓴⅣࠍᬌ⸛. ༛⨥ߥߤ߇ᬌ⸛ߐࠇߡ޿ߚ. ࠕ࠻࡝࠙ࡓߢߪᒰὼߩࠃ߁ ߦⓨ᳇ᓴⅣࠍᬌ⸛ߔࠆ ߣ޿߁⹺⼂ߪᜬߞߡ޿ߚ. 㕙Ⓧߩ໧㗴߆ࠄ ዊࠬࡍ࡯ࠬߩ ቶᯏ⢻ߩᬌ⸛. ⚻㛎߆ࠄ็಴࡮ ឃ಴ญߪ৻ㇱߢ ޿޿ߣ޿߁⹺⼂. ᒰೋ‫߿ࡦ࡜࠻ࠬ࡟ޔ‬࿑ᦠቶ. ࠕࠗ࠺ࠕߩ⛔ว ࠛࠦࠛ࠶ࠣߩ⺀↢ 図4.D社による大学の平面図. ෆဳߩ⽎ᓽ⊛ߥᒻᘒ ቶᯏ⢻ߪભᙑࠬࡍ࡯ࠬߣ⸳஻ᯏ᪾. 4.3.空間形態優先型(Ⅲ). ࠕࠗ࠺ࠕߩ⛔วߦࠃࠅᗧඅ⸳⸘ߣ⸳஻⸳⸘ߣߩ.  基本設計の段階で検討されていた環境負荷低減手法. ਔ⠪߇ᗧ࿑ߒߚലᨐ߇ഥ㐳ߐࠇߡ޿ࠆ. が、空間形態が具現化されるに従い、環境負荷低減手法. ᑪ‛ో૕߳ߩⅣႺ⽶⩄ૐᷫᚻᴺߩ ᗧ๧ઃߌߣߥࠆ⽎ᓽ⊛ߥⓨ㑆ᒻᘒ. との間に不整合な問題が生じ、空間形態が優先された結. 図6.B社のエコエッグのモデル図.  空間形態として はアトリウムに象 徴的な形態を検討 し、環境負荷低減手 法としてはアトリ ウムの空気循環を それぞれ独立して 検討していた。両者 の検討を重ねるう ちにアイデアの統 合による解決法が 生まれ、かつ建物全 体の環境負荷低減. 果、環境負荷低減手法そのものが変更された事例であ. の象徴となっている。. る。このタイプには3つの事例が該当する。.  これによって意匠設計と設備設計との両者が意図した.  事例)C社の大ホールの電動ブラインド . 効果が助長されている点が重要であると考えられる。.  窓面の多さから当初から窓断熱が検討され、全面に熱 ⓨ㑆ᒻᘒ. ⅣႺ⽶⩄ૐᷫᚻᴺ. ᄢࡎ࡯࡞ߩⓨ㑆ᒻᘒ ࠗࡔ࡯ࠫߩᬌ⸛. ⓹ᢿᾲߢ⽶⩄ࠍૐᷫ ߔࠆߎߣࠍᬌ⸛. ᾲᚢ෻኿ࠟ࡜ࠬߣⓨ㑆ᒻᘒ ߣߩ⛔วߪ࿑ࠇߥ߆ߞߚ. ᄢࡎ࡯࡞ߪㅘ᣿ᕈ ߩ޽ࠆⓨ㑆ߣߔࠆ ㅘ᣿ᕈߩ޽ࠆⓨ㑆ࠍ ఝవߔࠆߎߣߣߥߞߚ. ㅘ᣿ᕈߩ㜞޿ ᥉ㅢࠟ࡜ࠬߩណ↪. ኻ ┙. ⷐ ᳞. ⓹㕙߇ᄙ޿ߚ߼ᒰೋ߆ࠄ ⓹ᢿᾲߩ⹺⼂߇޽ߞߚ. ᾲ✢෻኿ࠟ࡜ࠬ ߩណ↪ࠍ᳿ቯ ⓨ㑆ᒻᘒ߆ࠄߩⷐ᳞ߢ ᚻᴺߩᄌᦝࠍ૛௾ߥߊߐࠇࠆ. ᄢࡎ࡯࡞ߩᾲⅣႺ೙ ᓮߩઍᦧ᩺ߩᬌ⸛ ⷐ᳞ࠍฃߌߡ ᣂߚߥᚻᴺߩᬌ⸛ߦ౉ߞߚ. ᄢࡎ࡯࡞߳ߩ㔚േ ࡉ࡜ࠗࡦ࠼ߩណ↪. 図5.C社の電動ブラインド採用のモデル図. 線反射ガラスの採 用が決まっていた。 しかし大ホールの 空間を透明性の高 いものにしたいと いう要求から環境 負荷低減手法の代 替案の検討に入っ た。結果、電動ブラ インドを採用し、 空間の透明性を保. つこととなった。 環境負荷低減手法の導入意識が高い が、空間形態の統合が図られずに意匠設計が優先されて いる事例といえる。. 5.まとめ  全社的取り組みではISOの認証取得に伴い、 設計段階で環 境負荷低減手法の導入度をチェックする評価シートを作成 しており、 その特徴として、 ①自己採点による点数化で客観. 4.4.統合型(Ⅳ)  環境負荷低減手法、空間形態の双方の検討が設計初期 の段階で独立して行われ、両者の意向を統合することに よって、それぞれの効果の融合が図られた事例である。 このタイプには5つの事例が該当する。. 写真2.B社によるアトリウム内観. 的評価を試みている、 ②設計段階において複数回のチェッ クを行っており、 各段階で評価項目が初期設定されている ことを示した。 また評価項目はグリーン庁舎を基にしてい るが、 その分類構成は事務所によって差異がみられた。  建築設計事例における導入検討プロセスを分析した結果、 空間形態との関係から4つのタイプがあることを明らかに した。 検討プロセスが明らかにされた21の手法のうち15の 手法がⅠ・Ⅲ型に該当しており、環境負荷低減手法は付加 的、 従属的な性格を持つことを客観的に提示した。  今後はⅣ型の、 環境負荷低減手法の検討によってその空 間形態が意匠上のポイントとなると同時に環境性能も向上. 写真 1 . B 社のアトリウム内観. するといった導入プロセスが取られるべきであり、 これを 実現する設計体制と情報の整備が重要であると考えられる。 < 謝辞 >  本研究において組織設計事務所 4 社の設計担当者の方々. 写真1.C社の大ホール外観. にヒアリングの御協力を頂きました。深く感謝致します。. 22-4.

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