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団地再生計画におけるセーフティネット型事業方式に関する研究 [ PDF

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(1)団地再生計画におけるセーフティネット型事業方式に関する研究. 近藤 伸也. 1. はじめに. 団地を退去せざるを得ない実情がある。.  高度成長期に公的住宅供給事業者によって大量供給.  欧米諸国の団地再生事業では、リニューアルによる. された団地型公共住宅は時代の変化から引き起こされ. 団地再生が主流であり、住民とのワークショップ等を. る陳腐化や躯体の老朽化により、今や全国各地で団地. 行いながら事業が進んでいる。特に、継続居住保障は. 再生という問題に直面している。. 団地再生の中心的テーマであり、加えて、近年では環.  現在進められている我が国の団地再生の多くは建替. 境共生の課題も重大項目の中にくみ入れられている。. えを基本としている。その際、問題となるのが同団地. 3-2. 団地再生事業計画の計画課題. 内に継続居住を希望する既存居住者への配慮である。.  我が国の団地再生事業の最大の問題点は、「今のま. 基本的には、憲法や住生活基本法あるいは借地借家法. ま住み続ける」という選択肢を充分に配慮できない点. に定められた「居住の権利」あるいは「居住の安定」. であり、団地再生の柔軟性に欠ける事業手法が、転居. の実現の立場から、事業主体は継続居住を希望する既. による負担、家賃の大幅な高額化、さらに退去という. 存居住者に対してその意向を保障する責任と義務があ. 住環境のドラスティックな変化をもたらし、個々人の. るが、現実的には、既存居住者が建替え後に同団地内. 生活レベルから地域社会のレベルまで様々な問題を引. に戻り入居する場合、他団地への仮移転の補償、戻り. き起こしている。. 入居後の家賃に対する減額措置が行われている場合が. 4. セーフティネット型事業方式. 多い。. 4-1. 公的団地再生におけるセーフティネット.  他方、建替え事業後の家賃の高額化は、既存居住者.  我が国の公的住宅供給主体は、これまで住宅供給の. にとって減額措置が行われたとしても依然として経済. 実施支援機関として重要な役割を担い、主に中堅勤労. 負担となり、継続居住の意向がありながらそれを困難. 者を対象として住宅供給を行ってきた。しかし、近年、. にしているのが実情である。. 古い団地に居住している世帯の多くは公営住宅対象階.  そこで、本研究では既存居住者の団地再生に対する. 層の世帯と類似しており、結果的に、こうした低所得. 意向を明らかにした上で、既存居住者の居住の安定を. 者にとって、工事費の高い建替え事業では、戻り入居. 確保した団地再生のモデルの提案及びその検証を目的. 後の家賃で減額措置が採用されたとしても支払いの負. とする。. 担は大きく、継続居住の意向を保障できなくなってい. 2. 研究の方法. る。そこで、本研究は公的事業主体による団地再生の.  A 県の公的団地を仮説的に抽出し研究対象とした。. 新しい事業方式として、「継続居住を可能としたセー. 団地居住者意向調査をもとに、居住の安定の確保とい. フティネット型事業方式」を構想するものである。. う観点から居住者意向調査の分析を行い、既存居住者. 4-2. 団地再生事業方式. の意向から団地再生事業計画の要件を導きだし、新し.  これまで公的事業主体で行われたほとんどの団地再. い事業方式のモデルを提案するとともに、その事業方. 生は全面建替え方式である。A 県においても公的事業. 式について検証を行う。. 主体による再生は約 8 割が全面建替えで行われている。. 3. 団地再生事業計画の実態と計画課題. この方式は、事業者の設定する更新時期を超えると全. 3-1. 団地再生事業計画の実態. 面的に建替えることが基本である。この全面建替え方.  我が国の公共的賃貸住宅を見ると、比較的新しい団. 式は事業費負担が集中するため、事業費の不足を補う. 地ではリニューアルも行われているが、ほとんどの団. 理由で住棟の集約化・高層化で余剰地を捻出する場合. 地では、居住者の意向とは関係なく建替えによる団地. が多い(図 1)。居住者に対しては、建替え住宅への優. 再生が実施されてきた。その結果、多くの高齢者など. 先入居と入居後の一定期間の家賃減額及び移転先の斡. 経済的弱者が戻り入居後の家賃を払えずに住み慣れた. 旋、移転費補償などが実施されている。. 36-1.

(2) 【事業実施前】. 【事業の実施】. 【建替えエリア】【売却エリア】. は住み続けたい」と答えた世帯が 24.6% となっており、. 【事業完了】 新規賃貸住宅. 他団地等への移転. 道路等公共施設整備. ほとんどの世帯が継続居住を希望している(図 5)。  年齢別に見てみると、50 代以上の世帯は 9 割以上 が継続居住を望んでいる。少ないまでも、住み替えを 考えている割合が高いのは 40 代である(表 1)。  家賃別に見てみると、家賃階層に関係なく継続居住. 団地内通路の整備 高齢者施設等 民間事業者等による の誘致 多様な住宅等の供給. 建物の解体工事. 希望が多いことがわかる(表 2)。. 図 1. 全面建替え方式. 4-3. 既存居住者の意向と団地再生の要件. 4-3-5. 団地再生の方向性. 4-3-1. 調査対象団地の概要.  住戸内改修・共用部分を含めた改修を希望している.  仮説的に抽出した B 団地は、このような公的事業主. 世帯が 50.4%、建替え希望が 13.6%、現状維持を希望. 体によって建設された団地である。敷地面積は約 9ha. が 19.2% となっており、居住者は建替えではなく、改. で、1956 年に 13 棟、1957 年に 12 棟、1958 年に 12 棟、. 修を望んでいる。(図 6)。. 1959 年 に 11 棟、1967 年 に 1 棟、1973 年 に 4 棟、.  年齢別に見てみると、建替え希望に関しては、30 代・. 1996 年に 1 棟建設され、現在は 54 棟 978 戸である。. 40 代が他の世代よりも割合が高くなっている。現状. 4-3-2. 居住者意向調査の概要. 維持希望に関しては、70 代が他の世代よりも割合が.  本意向調査は、B 団地における居住者の居住実態、. 高くなっている。改修希望は年齢に関係なく最も割合. 今後の居住意向、団地再生に関する意向を把握するた. が高くなっている(表 3)。. め、B 団地全世帯 873 世帯を対象に、全住戸のポスト. 4-3-6. 再生後の戻り入居希望. 投函による配布、集会所の専用ポスト、郵送による回.  入居希望の世帯が 93% となっているが、68.9% が. 収による居住者意向調査である。回収票数は 655 票. 表 1. 年齢別の継続居住意向. 、. ※1. 回収率は 75.0% であった。. 住み続けたい. 4-3-3. 居住実態. 20代.  B 団地の契約主の年齢は、60 代以上が 58.5% となっ. 30代. ている(図 2)。世帯構成は、単身世帯が 39.1%、2. 40代. 人世帯が 37.3% となっている(図 3)。世帯の家賃は. 年 齢. 25,000 円未満が 77% となっている(図 4)。このこと.  「住み続けたい」と答えた世帯が 65.3%、「当分の間. 0%. 20%. 20 代. 30 代. 40 代. 178 (27.2%). 40%. 50 代. 1人. 20%. 40%. 2人. 3人. 4人. 60%. 20%. 15000-19900 円 35000-39900 円. 40% 20000-24900 円 40000-44900 円. 25000-29900 円 45000-49900 円. 図 4. 家賃階層. 20% 住み続けたい いずれは住み替えたい. 家 賃 階 層. 100%. 無回答. (単位:世帯) n=655. 80%. 60%. 当分の間は住み続けたい わからない. 図 5. 継続居住意向. -. 2 1.1%. 85 65.9%. 33 25.6%. -. 103 74.6%. 29 21.0%. 47 75.8%. 36 20.3%. 9 14.5%. 161 24.9%. -. 4 0.6%. 70 100%. 4 3.1%. 7 5.4%. 129 100%. 1 0.7%. 5 3.6%. 138 100%. 2 3.2%. 177 100%. 4 6.5%. 22 3.4%. 62 100%. 32 5.0%. 646 100% NA=9 (単位:世帯). 0%. 合計. 7 3.1%. 228 100%. 2000024900円. 184 67.9%. 60 22.1%. 3 1.1%. 9 3.3%. 15 5.5%. 271 100%. 35 71.4%. 10 20.4%. -. 1 2.0%. 3 6.1%. 49 100%. 22 59.5%. 10 27.0%. -. 2 5.4%. 3 8.1%. 37 100%. 22 71.0%. 6 19.4%. -. 1 3.2%. 2 6.5%. 31 100%. 1 25.0%. 2 50.0%. -. -. 1 25.0%. 4 100%. 10 66.7%. 4 26.7%. -. -. 1 6.7%. 15 100%. 7 50.0%. 5 35.7%. -. -. 2 14.3%. 14 100%. 428 65.9%. 161 24.8%. 4 0.6%. 22 3.4%. 34 5.2%. 649 100%. 3000034900円 3500039900円 4000044900円. 77 (11.8%). 20%. 40%. 住戸内改修を希望 現状維持を希望. 89 (13.6%). 126 (19.2%). 60%. 共用部分を含めた改修を希望 わからない その他. 図 6. 団地再生の方向性. 100%. わからない. 9 3.9%. 253 (38.6%). (単位:世帯) n=655. (単位:世帯) n=655. 7 4.0%. 1 0.4%. 合計. 100%. 住み替える予定がある 無回答. 49 100%. 64 28.1%. 5000054900円. 30000-34900 円 50000-54900 円. 80%. 3 6.1%. 5 7.1%. 147 64.5%. 4500049900円. 161 (24.6%). 40%. 6 12.2%. 5 7.1%. 21 100%. 1500019900円. 2500029900円. 50 37 (5.6%) (7.6%). 60%. 428 (65.3%). 0%. 80%. 図 3. 契約主を含む同居者数 273 (41.7%). 無回答. 94 42 (14.4%) (6.4%). 6人. 1 2.0%. 3 4.3%. 当分の間は住 住替える予定 いずれは住み 住み続けたい み続けたい がある 替えたい. (単位:世帯) n=655. 5人. 1 4.8%. 27 38.6%. 合計. わからない. 2 9.5%. 継続居住意向. 100%. 80 代以上. 17 34.7%. -. 表 2. 家賃階層別の継続居住意向. 65 (9.9%). 80%. 70 代. 244 (37.3%). 231 (35.3%). 0%. 60%. 60 代. 図 2. 契約主の年齢. 256 (39.1%). 0%. 140 (21.4%). 22 44.9%. 427 66.1%. 合計. 4-3-4. 継続居住希望. 129 (19.7%). 60代. 80代以上. に低所得者が多く入居していることが示されている。. 10 47.6%. 132 74.6%. 70代. から、高齢単身・夫婦世帯が多く入居しており、さら. 70 49 (10.7%) (7.5%) 21(3.2%). 50代. 当分の間は住 住替える予定 いずれは住み み続けたい がある 替えたい. 8 38.1%. 30 42.9%. (単位:世帯) 継続居住意向. NA=6. 72 (11.0%). 80%. 100%. 建替えを希望 無回答 (単位:世帯) n=655. ※ 1:有効回答は各集計ごとに判断しており、単純集計(図 2,3,4,5,6,7)は「無回 答」も項目に含んでいるため有効回答数(n)は 655 票となっている。クロス集計(表 1,2,3,4,5)は「無回答」を含んでいないため、それぞれによって有効回答数は変化し ている。クロス集計においての無回答数(NA)は、表の右下に表示している。. 36-2.

(3) 家賃次第での入居希望のため、現実的には既存居住者. 表 3. 年齢別の団地再生の方向性. の約 9 割が建替え後の住棟に戻り入居するとは考えら れない(図 7)。戻り入居を実際に行える世帯は、建替. 20代. えを希望し、再生後の入居も希望している 13.9% の世. 30代. 帯だと考えられる(表 4)。. 40代.  年齢別に見てみると、どの年代でも家賃次第での入. 年 齢. 居希望が多いが、60 代以上と 50 代以下で入居希望と. 合計.  B 団地は、高齢者が多く居住し、家賃階層から公営 住宅階層の世帯も多いと考えられ、さらに現状維持・. 共用部分を 住戸内の 含めた改修 建替えを 現状維持を わからない 改修を希望 を希望 希望 希望 8 4 4 3 2 38.1% 19.0% 19.0% 14.3% 9.5% 23 13 22 5 7 32.9% 18.6% 31.4% 7.1% 10.0% 18 8 11 7 5 36.7% 16.3% 22.4% 14.3% 10.2% 48 16 24 23 7 39.7% 13.2% 19.8% 19.0% 5.8% 77 20 17 37 14 44.5% 11.6% 9.8% 21.4% 8.1% 49 11 8 40 24 36.8% 8.3% 6.0% 30.1% 18.0% 28 5 3 11 12 47.5% 8.5% 5.1% 18.6% 20.3% 251 77 89 126 71 40.1% 12.3% 14.2% 20.1% 11.3%. 0%. 20%. 3 2.5% 8 4.6% 1 0.8% 12 1.9%. 80%. 9(1.4%). 21 100% 70 100% 49 100% 121 100% 173 100% 133 100% 59 100% 626 100% NA=29. 100%. 家賃次第では入居したい 無回答 その他 (単位:世帯) n=655 (単位:世帯). 再生後の戻り入居希望. 入居したい 住戸内改修を希望. がら継続居住意向を保障することが考えられる。. 共用部分を含めた 改修を希望. 4-4. セーフティネット型事業方式モデル. 団 地 再 生 の 方 向 性.  居住者意向から導いた団地再生の要件をみたす団地 再生事業方式のモデルとして「セーフティネット型事 業方式」(以下 S 方式)を提案する(図 8)。これは、 ア」と「現状維持エリア」から成る「継続居住エリア」. 60%. 図 7. 再生後の戻り入居希望 表 4. 再生の方向性別の再生後の入居希望. 保し、長期に渡って団地内で一定の住み替えを行いな. 事業を長期的に行い、「一定期間継続居住可能なエリ. 40%. 入居したい 入居したくない(転居したい). 合計. その他. 451 (68.9%). 158 (24.1%). 改修希望者が約 7 割と多いことから、多くの居住者. 継続居住を実現するために、団地内に一定の住宅を確. 60代. 80代以上. 4-3-7. 居住者意向調査から見る団地再生の要件. る。したがって、セーフティネット型団地再生では、. 50代. 70代. 家賃次第の入居希望での割合に変化が見られる(表 5)。. はできるだけ長く団地に住み続けることを要望してい. (単位:世帯). 団地再生の方向性. 建替えを希望 現状維持を希望 わからない その他 合計. 67 10.8% 19 3.1% 21 3.4% 30 4.8% 14 2.3% 4 0.6% 155 25.0%. 家賃次第では 入居したくない 入居したい 176 28.4% 54 8.7% 65 10.5% 87 14.0% 44 7.1% 7 1.1% 433 69.8%. 3 0.5% 2 0.3% 4 0.6% 9 1.5%. その他 4 0.6% 3 0.5% 7 1.1% 8 1.3% 1 0.2% 23 3.7%. 表 5. 年齢別の再生後の入居希望 入居したい. 契約での移転とし、それを新しい移転方式として「地. 20代. 区内定期移転」とする。これにより、継続居住のため. 30代. の団地内での住み替えを実現し、居住の安定を確保し. 40代. る。加えて、世帯数の変化予測から事業完了後も居住. 年 齢. 50代 60代 70代. の安定の確保が必要な世帯数を予測し、その世帯の受. 80代以上. け入れを「現状維持エリア」で行うことも可能となる。. 合計. 6 28.6% 14 20.0% 9 18.4% 21 16.3% 50 28.9% 40 29.6% 18 29.5% 158 24.8%. 図 8. セーフティーネット型事業方式モデル 36-3. 250 40.3% 76 12.3% 88 14.1% 124 20.0% 70 11.3% 12 1.9% 620 100% NA=35 (単位:世帯). 再生後の戻り入居希望. を設ける。そして、そのエリアへの移転は、定期借家. ながら建替えを進め、団地再生を行うことが可能とな. 合計. 家賃次第では 入居したくない 入居したい 15 71.4% 51 72.9% 38 77.6% 104 80.6% 119 68.8% 85 63.0% 38 62.3% 450 70.5%. 1 1.4% 1 2.0% 1 0.8% 1 0.6% 3 2.2% 1 1.6% 8 1.3%. その他 4 5.7% 1 2.0% 3 2.3% 3 1.7% 7 5.2% 4 6.6% 22 3.4%. 合計 21 100% 70 100% 49 100% 129 100% 173 100% 135 100% 61 100% 638 100% NA=17.

(4) 5. セーフティネット型事業方式の検証. を受け入れる「継続居住エリア」の空き住戸が存在す.  B 団地において S 方式で事業シミュレーションを立. るかを確認する。. てることによって本事業方式の検証を行った。.  S 方式では、一般的な移転方式である「仮移転」 ・ 「民. 5-1. 事業期間. 間本移転」と、新たに提案した「地区内定期移転」の.  B 団地は、20 年後に建物の耐用年数を迎える設定と. 3 種類の移転を想定しているので、B 団地のケース・. 想定し、事業期間を 20 年と設定する。ただし、社会. スタディでは、「民間本移転世帯」を過去の実績から. 経済状況の変化に対応するために事業期間を前期 10. 判断し、居住世帯の 4 割。また、居住者意向調査で「建. 年、後期 10 年と段階的に行い、後期 10 年については. 替え・入居希望」世帯が約 1 割存在することから「仮. 前期が終了する時点で再度計画を行う設定とする。. 移転世帯」を 1 割とし、残りの 5 割を「地区内定期移. 5-2. 世帯数の変化予測. 転世帯」とする。この設定条件で前期の移転のシミュ.  居住者意向調査によって得られたデータを全世帯数. レーションを行うと、Ⅰの段階で移転対象世帯 92 世. に割り戻し、団地再生後のセーフティネット確保のた. 帯の内、仮移転 9 世帯、地区内定期移転 46 世帯の計. めの住戸数の指標となる世帯数の変化予測を行う。. 55 世帯が団地内の空き住戸に住み替えを行い、事業.  現時点では、現状維持・改修希望の世帯数が 657 世. 前の 120 戸の空き住戸が 65 戸になる。Ⅱ※ 3・Ⅲ・Ⅳ. 帯であり、20 年後、657 世帯のうち、65 歳以上単身・. の段階も同様に行うと、前期完了後の空き住戸は 36. 夫婦世帯、定期借家契約世帯、そして 20 ∼ 50 代の世. 戸となり、移転世帯を受け入れる空き住戸が不足する. 帯が退去するものと想定し. ことはなく、団地内で住み替えが可能であることがわ. 、現状維持・改修希望の. ※2. 世帯数は 156 世帯となる(図 9)。 H20年 20 代・30 代世帯 40 代世帯. かる(表 6)。. 657 世帯 現状維持 186 世帯. 2 世帯 9 世帯. 改修 471 世帯. 表 6. ローリングによる空き住戸の変化.  管理戸数 978 戸 入居世帯数 873 世帯. 42 世帯 35 世帯. 50 代世帯. 36 世帯. 88 世帯. 65 歳以上高齢者 単身夫婦世帯. 72 世帯. 148 世帯. 定期借家契約世帯. 20 世帯. 49 世帯. 建替え 104 世帯. 居住世帯. わからない 空室 その他 105 世帯 112 世帯. H40年 現 状 維 持 . 改   . 47 世 帯. 109 世 帯. (単位:世帯). 地区内 定期移転. 仮移転. 民間 本移転. 空き住戸. (単位:戸). 前. 後. Ⅰ 第1期建替えのための移転促進. 92. 9. 46. 37. 120. 65. 第1期建替え完了と第1期売却 Ⅱ のための移転促進 前 期 Ⅲ 第2期建替えのための移転促進. 69. 7. 34. 28. 65. 124. 79. 8. 40. 31. 124. 76. 第1期売却完了と第2期売却の Ⅳ ための移転促進. 66. 7. 33. 26. 76. 36. 6. まとめ  本論文では、居住者意向調査から既存居住者の意向. 修 . を明らかにし、これまでの全面建替え方式に変わる新 しい事業方式として「セーフティネット型事業方式」 を提案した。さらに、ケース・スタディ団地において、. 156 世帯. 図 9. 世帯数の変化予測. 本方式により団地内で住み替え、継続居住を実現する. 5-3. 継続居住エリア. 団地再生が可能であることを検証した。.  「一定期間継続居住可能なエリア」は、そのエリア.  「セーフティネット型事業方式」は、居住の安定の. の建替え時期になるまでの期間に、既存住棟を「継続. 確保、つまり、公的事業主体の再生において求められ. 居住エリア」として使用するため、居住可能期間は事. ているセーフティネットを実現できる事業方式とし. 業期間の設定に大きく左右される。. て、団地再生において有用性を持っていることが明ら.  本ケース・スタディでは、後期 10 年の再生事業エ. かとなった。今後の課題としては、本方式の事業採算. リアを「一定期間継続居住可能なエリア」として使用. 性の検証、さらに、今回は大規模団地においてケース・. する。さらに、世帯数の変化予測で明らかとなった約. スタディを行い検証したが、団地規模における本方式. 150 世帯の受け皿のために 20 年以上継続居住できる. による団地再生の制約条件に関する検証が必要であ. エリアとして「現状維持エリア」を設ける。. る。. 5-4. ローリング計画  事業期間の設定、世帯数の変化予測、そして「継続 居住エリア」の設定を行い、実際に団地内での住み替 えが可能であるか否かの検証のためにローリング計画 を立案し、「仮移転世帯」と「地区内定期移転世帯」. ※ 2:65 歳以上単身・夫婦世帯は、家族との同居・高齢者施設への入居・死去等によ る不在住化、20 ∼ 50 代の世帯は、生産年齢であるため働きかけにより退去と想定し ている。 ※ 3:Ⅱの段階において新規住棟が完成し、その住戸への入居を想定しているため、 空き住戸は増加している。その入居世帯数は、居住者意向調査で 13.9% の世帯が戻り 入居を実際に考えていることから、100 世帯が新規住棟へ入居すると想定している。 〈参考文献〉 1) 松村秀一:団地再生 甦る欧米の集合住宅,彰国社,2001 2)NPO 団地再生研究会,合人社計画研究所:団地再生まちづくり,水曜社,2006 3) 増永理彦:団地再生 公団住宅に住み続ける,クリエイツかもがわ,2008. 36-4.

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