国際化学工業協会協議会
(ICCA)
進捗報告書
第3回国際化学物質管理会議
2012年9月17~21日
Table of Contents
目次
Introduction序文
………
3
Section 1第1節
エグゼクティブサマリー………
4
Section 2第2節
SAICM(国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ)の
主要な要素に対するICCAの貢献………
9
A.…リスクの低減… ………
9
B.…知識と情報… ………
13
C.…ガバナンス… ………
15
D.…キャパシティ・ビルディングと技術協力… ………
21
E.…違法な国際間交通輸送の根絶… ………
24
Section 3第3節
イノベーションと持続可能性の高い未来………
25
Section 4第4節
未来へ-ICCM-4とSAICM 2020………
30
Appendix A付属文書A
略号………
33
Appendix B付属文書B
ウェブサイトから入手できるリソース………
35
Introduction
国際化学工業協会協議会(ICCA) 進捗報告書 2012序文
国際化学工業協会協議会(ICCA、化学工業界の国際 的代弁者)の作成した、このICCM-3報告書は、2009 年のICCM-2の際に提示した報告書と同様、「進捗報 告書」であって最終宣言書ではない。本報告書の目的 は、ICCAが化学工業界の内部だけでなく、連携団体 とどのような取り組みを行うことによって2020年目 標を達成し、SAICMへの公約を実行していくかを共 有することにある。 2006年以降、SAICMのもとで大幅な進展がみられ たものの、世界における化学物質の健全な管理の徹底 にはまだ大きな課題が残っており、ICCAはこの取り組 みに二つの役割を負っている。一つは業界自身が運営 する活動、もう一つは他のステークホルダーと協調に 重点的に取り組むという役割である。ICCAを構成する 協会や企業は、自分たちの工程や製品、流通システム の効果的な管理に向けて、できる限りのことをやらな ければならないことを承知しており、本報告書が実証 するとおり、業界を中心とするこのような取り組みが 積極的に行われている。また、化学物質の生産者は、 自分たちが顧客や政府、地域社会、すなわち、すべて のステークホルダーに貢献しなければならないことを 認識している。これらの人々と情報を共有すること で、製品のライフサイクル全体に及ぶ化学物質の安全 な管理を徹底していかなければならないのである。 ICCAメンバーは、個々の化学物質の安全性に関する 課題に対処できるよう、国の所轄機関と提携し、リス クベースの科学的評価の作成に献身的に取り組んでい る。また、自分たちの顧客とも連携し、特定の用途に 対する代替物質を特定しようと努力しているのである。 明らかなことであるが、化学工業界や化学製品が必 要な人々にとって、2020年が取り組みにおける道の りの終着点ではない。ICCAメンバーは、「重大な悪 影響」を最小限に抑えるだけでは不十分であると考え ている。むしろ、化学工業界や社会全体における課題 は、持続可能な未来を推進するための新しい化学製品 や応用技術を開発し、商業化できるようなイノベー ションプロセスに持続的に取り組んでいくことなので ある。化学工業界では、現在および今後の社会的課題 に対処していく上で必要になる製品や技術の開発を支 援している。化学物質の管理慣習を強化しながら、な おかつ、クリーンな飲料水や再生可能なエネルギーシ ステム、農業の改良、海洋の健全化、入手しやすい新 薬や新しい医療機器の開発、国際規模での商品の生産 と輸送方法の改善などに向けて、探究の道のりを継続 していかなければならない。世
界の化学工業界は、持続可能性と化学物質の安全な管理に向けた道のりをともに歩む重要なパートナー である。この道のりは、2002年の「持続可能な開発に関する世界首脳会議(ヨハネスブルグ・サミッ ト、WSSD)」や、2006年の「国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ(SAICM)」の創設よりもはるか 以前から始まっていたものである。第3回国際化学物質管理会議(ICCM-3)でも、それ以降も、化学工業界は他 のステークホルダーと連携することにより、WSSDで設定された2020年目標、すなわち「人の健康や環境への 重大な悪影響を最小限に抑制できる方法での化学物質の使用と生産」の達成に向け、持続的に取り組んでいく予 定である。Executive Summary
エグゼクティブサマリー
進捗:prog-ress
…(prõ'gres'…)…
名詞……1.…目標に向けた移動、前進。2.……発展または成長。3.…社会また
は文明という意味における着実な向上。…動詞……1.……前進する、進む。2.…より高い、もしくはより優
れた段階に向かって進む、着実に向上する。
レスポンシブル・ケアの倫理
1985年に最初の「レスポンシブル・ケア」プログ ラムを立ち上げたカナダ化学工業協会(旧カナダ化学 品生産者協会)の主導により、世界の化学工業界は持 続的な実績改善の推進に向けた、世界規模の環境・健 康・安全(EHS)イニシアチブを採り入れてきた。世界 の化学物質生産の90%に相当する「レスポンシブル・ ケア」参加企業は、法規制およびこれを上回る規制を 遵守するとともに、政府やその他のステークホルダー との協力による自発的な構想を採用していくことで、 この目標を達成しようと努力している。 現在、世界中で55の化学工業協会が実践し、150 を超える最大規模の化学物質生産企業がその世界憲 章に加盟している「レスポンシブル・ケア」プログラ ムは、今日の最も重要な業界主導型EHS構想の一つで あり、国連の指導者や各国政府、世界中の非政府組織 (NGO)から称賛されている。 「レスポンシブル・ケア」は、化学工業界による次の 公約を具現化したものである。 ■ 業界の技術や工程、製品について、そのライフサイ クルに及ぶEHSの知識と実績を持続的に改善するこ とにより、人や環境への危害を防止する ■ 資源を効率的に使用し、廃棄物を最小限に抑制する ■ 実績や到達度、不備を率直に報告する ■ ステークホルダーの話に耳を傾け、これらの人々に 積極的に関与し連携することで、その懸念や期待を 理解し対処する ■ 政府や各機関に協力して効果的な規則や基準の構築 と実施に取り組み、これらの遵守とさらに高い到達 度を目指す ■ 製品チェーン全体において、管理や使用に従事する すべての人が化学物質を責任ある形態で管理するよ う促すための支援と助言を提供する業
界による化学物質管理への取り組みは、1980年代後半のICCAの設立よりもはるか前に始まった。19世 紀および20世紀に工程や製品の安全性に関わるベストプラクティスが構築されたことで、化学物質の製 造や輸送、保管、使用の方法が改善された。時間の経過とともに、化学工業界では製造に関わるリスクの軽減 以上の取り組み、すなわち、より広い範囲にわたって責任を負う必要性が認識されるようになっていった。国際化学工業協会協議会(ICCA) 進捗報告書 2012
ICCAとSAICM
2006年、ドバイで開催されたICCM-1において、 ICCAとその協会、加盟企業は「国際的な化学物質管理 のための戦略的アプローチ(SAICM)」の創設と採択に 参画した。SAICMは、世界全体における化学物質の安 全性を推進することにより、2002年の「持続可能な開 発に関する世界首脳会議(WSSD)」で設定された健全な 化学物質管理に関する2020年目標を達成していくため の政策的枠組である。また、ICCAはドバイにおいて、 SAICMのための主たる貢献策として、2つの重要な自発 的イニシアチブを立ち上げた。それがレスポンシブル・ ケアの世界憲章と化学製品管理戦略(GPS、グローバル プロダクト戦略)である。これらのイニシアチブは、他 の業界全体での自発的プログラムとともに、次のような 形でICCAのSAICM支援を実現していくことになる。 ■ 業界内部だけでなく、政府や政府間機関との間で EHSに関するベストプラクティスを共有する ■ 製品の詳細な情報を収載し、一般のアクセスが可 能な化学物質安全性のためのオンラインポータル を作成し更新する(URL: http://www.icca-chem. org/en/Home/ICCA-initiative/global-product-strategy/chemcial-information-search/) ■ 中小企業(SME)や新興の化学企業が徐々にステーク ホルダーの高い期待に応えていけるよう支援するた めのキャパシティ・ビルディング活動を行う ■ 健康や環境上のリスクに関する研究をサポートし、 詳しい研究が必要な領域を特定する ■ 国連環境計画(UNEP)や多様な組織と提携し、有意義な 対話を促進するとともに、密接な協力によって、WSSD の思い描く、より持続可能な未来を模索していくレスポンシブル・ケア世界憲章
レスポンシブル・ケアの世界憲章とは、化学工業界 や国際社会が直面する新たな重要課題に重点的に取 り組むことにより、レスポンシブル・ケアのもとの構 成要素をさらに発展させていくためのものである。こ れらの課題とは、持続可能な開発に関する社会との対 話の向上や化学製品の使用に関連する公衆衛生上の問 題、業界の一層の透明性を求める声、各国のレスポン シブル・ケアプログラムにおいて統一性と整合性を強 化するための方法などである。 Section 1第1節
エグゼクティブサマリー化学製品管理戦略(GPS)
ライフサイクル全体にわたって業界が化学製品の EHS実績を管理していくこと、すなわち「プロダク ト・スチュワードシップ」はレスポンシブル・ケア の重要な柱である。ICCAのGPSは、プロダクト・ス チュワードシップを踏まえた上で、化学工業界の顧客 やサプライヤーとの連携の仕方を改善し、業界の実績 を追跡するとともに、ステークホルダーとの提携関係 を構築し、意思疎通のための活動や公的な報告を強化 していくことによって拡大していくというものであ る。 GPSの重要な構成要素は、商取引されている化学物 質に対する安全評価の実施と、これらの評価結果の一 般社会への報告である。ICCAのウェブベースの「化 学物質ポータル」(URL:www.icca-chem.org/en/ Home/ICCA-initiatives/global-product-strategy/) では、規制機関を含む社会一般と、より広範囲の化学 工業界に対し、この重要なプロダクト・スチュワード シップ情報を提供している。現在、ポータルを通じて 約2,500の化学物質の安全性に関する情報を入手する ことができ、その数は日増しに増えている。レスポンシブル・ケアの世界憲章および化学製品管
理戦略(GPS、グローバルプロダクト戦略)は、「他の
業界に追随しようという気を起こさせる自発的自己規
制の模範」である。
コフィー・アナン 元国連事務総長 ICCA化学物質ポータルまた、GPSのアウトリーチ活動の一環として、 ICCAでは業界内だけでなく、川下の顧客や途上国の 政府にもキャパシティ・ビルディングの取り組みを提 供している。GPSは、途上国、新興国、先進国の間に 存在する化学物質安全評価の相違を低減するよう意図 したものである。2008年から2012年の間に世界中 で40を超えるGPSのワークショップが開催されてお り、2012年の第1四半期だけでも、ICCAはインド、 コロンビア、ドバイで4つのワークショップを実施 し、現地の企業や連合会、地方の政府機関から300人 を超える人が参加している。参加者は、施設やコミュ ニティ、輸送、工程、材料の取扱いなどにおける安全 性向上を目的に、レスポンシブル・ケアプログラムの 構築におけるベストプラクティスを互いに共有した。 また、顧客や地方の政府機関との効果的な連携方法に ついても学ぶことができたのである。
持続的成長
レスポンシブル・ケアの参加団体は持続的に増加し ている。2009年にはサウジアラビア、クウェート、 アラブ首長国連邦、カタール、オマーン、バーレーン を代表する中東湾岸石油化学・化学協会(GPCA)がこ のプログラムに加わり、2011年にはウクライナ化学 者連合(UCU)も参加を認められている。現在、ICCA は中国、エジプト、スリランカと密接に連携するとと もに、ベトナムにおける効果的な化学物質管理慣習を 継続支援している。 2012年以降、重点的な取り組みを行う重要領域に は、次のようなものがある。 ■ レスポンシブル・ケアの加盟協会や多国籍企業によ る指導を通じて、中国、インドのほか、アジアやアフ リカの他の地域にレスポンシブル・ケアを拡大する ■ GPSおよびレスポンシブル・ケア世界憲章を支持し ている対象地域に、プロダクト・スチュワードシップ に関するワークショップを提供する ■ ICCAのSAICMへの貢献を持続的に支援する中で、 レスポンシブル・ケアおよびGPSの実績指標に対す る世界規模でのデータ収集を強化していく。また、 これらの指標を通じ、世界における業界の実績や社 会貢献、影響度などに対し、よりしっかりした全体 像を構築する ■ 加盟協会が成長し、それぞれのレスポンシブル・ケ アプログラムの強化や構築を図れるよう支援を提供 する ■ 透明性を高め、ステークホルダーや外部団体との対 話を増進していくことにより、世界規模での業界の 実績や信頼性を改善していくICCAとUNEPによる覚書
2010年、ICCAはUNEPとの覚書(MOU)に署名 した。ICCAとUNEPのパートナーシップは、SAICM の実施に重点的に取り組むとともに、「企業と公的機 関による化学物質管理制度の有効性の構築と強化に向 けたUNEPとICCAの協力」を統合していくためのも のである1。UNEPとICCAは、密接に連携することに より次の項目に特に力を入れている。 ■ SMEにおいて健全に化学物質を管理していくための キャパシティ・ビルディングを行う ■ 化学物質の管理に関する法的システムの統一化を図る ■ 塗料に含まれる鉛などの新たな問題や健康、科学、 安全性について、ステークホルダーとのより強力な 対話を推進する ■ パイロットプロジェクトに着手する MOUの1年目に、ICCAとUNEPは、ナイロビ(化 学物質の安全管理)、北京およびマニラ(地域におけ る緊急事態への備えと対応)、上海および北京(化学 製品管理戦略)においてキャパシティ・ビルディング のためのワークショップを開催した。また、UNEPと ICCAは、例えば中国、スリランカ、フィリピン、タ イ、インドネシアなど、相互に利益のある地域に対 し、一層のキャパシティ・ビルディングを推進するた めの取り組みを企画調整した。ICCAは、『国際的な化学物質管理のための戦略
的アプローチ(SAICM)』が創設されてから、ずっと
主要なステークホルダーとして関与してきた。健全
な化学物質管理やSAICMプロセスに対するICCAの
リーダーシップと取り組みのおかげで、化学工業界
は、世界における化学物質の管理方法を著しく改善
させたのである。
Leonor Alvarado SAICMコーディネータ UNEP国際化学工業協会協議会(ICCA) 進捗報告書 2012
APELLプログラムと緊急対応
ICCAの構成メンバーは、UNEPによる「地域レベル における緊急時の認識と準備態勢」(APELL)プログラ ムを長期間にわたって支援してきた。このプログラム は、緊急時への意識を高め、地域社会や緊急対応に従 事する人々がこのような事態に備えるとともに、安全 に対処できるよう支援することを目的とする。UNEP、 ICCA、中国環境保護部(MEP)、中国人民大学、ダウ・ ケミカル社、ペトロブラス社の共催により、2011年 11月にAPELLの25周年を祝う特別会合が北京で開催さ れた。このイベントは、産業事故や自然災害のリスク と影響を最小限に抑制するために考案された、このイ ニシアチブの成功と長寿を記念するものであった。 また、個々のレスポンシブル・ケアプログラムを通 じて、ICCAの構成メンバーは、流通まで含めた化学 物質を安全に管理していくためのプロセス構築に着手 している。2010年には、危険有害物質とみなされる 物質を含め、3兆ユーロ弱の評価額の化学物質が世界 中に安全に出荷されている。ICCAの長期自主研究(LRI)
LRIは、欧州化学工業連盟(Cefic)、米国化学工業協 会(ACC)、日本化学工業協会(JCIA)の3つのICCA 加盟団体を通じて実施されている国際プログラムで ある。ICCA-LRI(URL: http://www.icca-chem. org/Home/ICCA-initiatives/Long-range-research-initiative-LRI/)は、化学物質が人の健康や環境に及ぼ す影響を理解する上で不可欠な科学的研究への投資を 行っている。より大きな国際社会の一員としての化学 工業界が、その製品の生産と販売、使用に関し、プロ ダクト・スチュワードシップや規制について責任ある 判断を行っていけるような科学的根拠を提供している のである。 ICCAを通じて、これらの地域管理型LRI研 究プログラムは、外部の科学的機関による補足的な研 究領域を支援している。その内容については、2010年 に作成された「LRI国際研究戦略」に詳述する(この文書 は、上述のLRIのウェブサイトで閲覧が可能である)。 2005年以降、LRIは業界と学術研究者、政府機関、 NGO、規制に関わる意思決定機関の対話推進を目的 とする年1回のワークショップも主催している。これ らのワークショップの主たる目標は、これらの多様な グループ間の協議を活発化することによって政策決定 のための科学的根拠が向上するよう図るとともに、リ スクアセスメントプロセスの進展を可能にするような コンセンサスの構築を支援していくことにある。 LRIの研究プログラムとその科学的な解明活動から得 られる成果は、化学工業界が化学製品を責任ある形態 で管理するという責務の充足を助け、これらの製品の 安全性に対する一般社会の信頼を高めるものである。 ICCAはLRIへの取り組みを通じて、化学物質の安全性 に関わる科学的知識を持続可能な未来という形に転換 させていく活動に積極的に関与しているのである。世界塩素協議会の
グローバルセーフティチーム
世界塩素協議会(WCC)のグローバルセーフティ チーム(GST)は、インシデントの発生防止や対応に おけるベストプラクティスを広く共有するため、塩素 や関連化学物質の関与するインシデントについて報 告し、WCCの加盟協会に技術上の勧告を提供してい る。GSTは現在、製造者や顧客、輸送者を支援するた めの「小型容器に関するガイダンス」を作成していると ころである。 GSTは、2012年10月にロシアのモスクワで開催が予 定されている「持続可能性に関するWCCワークショッ プ」に参加する予定であり、このワークショップでは チームのメンバーが安全に関わるいくつかの主題につ いてプレゼンテーションを行うことになっている。 また、GSTの特使プログラムでは、特にWCC加盟協 会が活発に活動していない国に向けて、安全性やプロダ クトスチュワードシップに関する情報を提供している。高生産量化学物質(HPV)
化学工業企業と経済協力開発機構(OECD)の化学物 質プログラムとの以前の協調的取り組みを基に、ICCA は1998年にOECDと協力して高生産量(HPV)化学物 質を評価するための国際的プログラムを立ち上げた。 このICCAのHPVプログラムを通じて化学物質の共同 製造企業が連携することにより、EHSデータの共有や 化学物質の評価、OECD加盟国やNGOの専門家との 評価結果の「相互審査」が積極的に行われている。 Section 1第1節
エグゼクティブサマリーこのICCAとOECDの協調的プログラムにおいて作 成された評価報告書はOECDのウェブサイトに掲載さ れており(URL:http://webnet.oecd.org/hpv/ui/ Default.aspx)、一般の人々がその内容を精査するこ とができる。 ただし、HPVプログラムの大部分は近年の規制要件 によってすでに廃止されてしまっている。ICCAの構 成メンバーは、自分たちが国や地域の規則および法令 を継続的に遵守していくことで、HPVの目指した成果 を達成しているのである。
リオ+20-持続可能性とイノベーション
リオ地球サミットの20周年を記念してリオデジャ ネイロで開催された2012年6月の「国連持続可能な 開発会議」(リオ+20)は、ICCAにとって、持続可能 な開発に向けた画期的かつ効率的な解決策の提供者と して化学工業界が果たすことのできる本質的な役割を 強調する重要な機会になった。現在および未来の国際 的な課題に対処していくための活動では、化学による 画期的な製品と技術が極めて重要になる。ICCAは政 府間組織や政府、非政府機関、民間セクターの団体と 連携し、持続可能な開発に向けた世界規模での持続的 な進展に献身的に取り組んでいる。 リオ+20で発表された、持続可能な開発に対する化 学工業界の貢献についてのICCA報告書(URL:http:// www.icca-chem.org/en/Home/ICCA-events/ Events/Rio20---United-Nations-Conference-on-Sustainable-Development/)は、化学による製品や 技術がどのように持続可能な開発を向上させていくか を強調的に述べたものである。リオ+20において、 ICCAはWSSDの2020年目標を達成するための中核 的な国際フォーラムの場としてSAICMを強化するよ う求めるとともに、持続可能な開発における3つの局 面、すなわち社会的公正、経済成長、環境保護のすべ てに配慮し、柔軟かつ実用的な世界全体の持続可能 性のための統合的なアプローチに支持を表明した。 ICCAはリオ+20で概略が示されたSAICM強化のた めの取り組みを歓迎しており、SAICMのあらゆるス テークホルダーと連携することにより、これらの取り 組みを実現する態勢をすでに整えている。国際化学工業協会協議会(ICCA) 進捗報告書 2012
ICCA’s Contribution to Key SAICM Elements
SAICM
の主要な要素に対する
ICCAの貢献
Section 2
第2節
(国際的な化学物質管理の ための戦略的アプローチ)I
CCAは「国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ(SAICM)」の制定を支援し、 現在もこのイニシ アチブへの力強い取り組みを実証し続けている。本報告書の第2節ではエグゼクティブサマリーに示した情 報についてさらに詳しく述べ、ICCAがSAICMの中心的要素にどのように貢献しているかを例示する。 化学工業界の貢献は、SAICMを構成する5つの要素 のすべてに及ぶものである。互いに関連し、相互に補 強し合う、次のような自発的な取り組みを通じて提供 している。 ■ レスポンシブル・ケア(レスポンシブル・ケアの世 界憲章を含む) ■ 化学製品管理戦略(GPS) ■ 長期自主研究(LRI) ■ 高生産量化学物質(HPV)プログラム ■ 国連環境計画(UNEP)との覚書とクイックスタート プログラムの支援 ■ 化学兵器禁止条約への加盟 ■ UNEPの「地域レベルにおける緊急時の認識と準備 態勢」(APELL)プログラムへの参加と、緊急対応に 関わるベストプラクティスの共有コミットメント:com-mit-ment
(ke-mit-ment)…名詞………1.…献身的に対応するという行為または
その例。2.a.… 何らかの行為の誓約。… b.… 誓約によって約束されたもの。特に、契約による約束。
3.…感情的または知識的に、何らかの行動方針や他者に拘束された状態。
A. リスクの低減
レスポンシブル・ケア世界憲章と
化学製品管理戦略
ICCAは、持続可能性とライフサイクルの全体に及 ぶ化学物質の安全な管理に対し、持続的な改善を図る ための活動を行っている。 この献身的な取り組みの一環として、ICCAでは 2002年の「持続可能な開発に関する世界首脳会議 (WSSD)」で採択された目標を取り入れている。この 目標とは、2020年までに、人の健康や環境への重大 な有害影響を最小限に抑制できる方法で化学物質を生SAICMの鍵を握る構成要素
■ リスクの低減 ■ 知識と情報 ■ ガバナンス ■ キャパシティ・ビルディングと技術協力 ■ 違法な国際間交通輸送の根絶産し、使用するというものである。SAICMはこの目 標を実現するための望ましい公開討論の場であり、レ スポンシブル・ケア世界憲章および化学製品管理戦略 は、世界の化学工業界によるSAICMへの重要な貢献 である。
レスポンシブル・ケア
化学工業界は、本来の使用目的に合った、ライフサ イクル全体に及ぶ安全かつ持続可能な、責任ある形 態での化学物質の管理と使用を確立できるよう積極 的に取り組んでいる。レスポンシブル・ケア(URL: www.icca-chem.org/en/Home/Responsible-care/)は、しっかりした説明責任とオープンで透明な ステークホルダーとの意思疎通により、EHSの実績に おける持続的な改善を駆動していくことを目的とした 化学工業界独自の国際的なイニシアチブである。レス ポンシブル・ケアは、業界による持続可能な開発への 貢献を後押しし、これらの貢献をさらに力強いものに しているのである。レスポンシブル・ケア世界憲章
現在、レスポンシブル・ケアの世界憲章には、国際 的な指導的立場にあるほぼすべての化学物質メーカー を含め、世界中から60地域の企業のCEOが加盟して いる。レスポンシブル・ケアの加盟協会や個々の参加 企業は、次のような活動に献身的に取り組んでいる。 ■ EHS実績の持続的な改善を図る ■ バリューチェーンの全体にわたって化学物質を効果 的に管理する ■ 基準や慣習の国際的整合化の向上に努める ■ ステークホルダーとのオープンで透明な意思疎通を 維持する ■ 優れた管理慣習を特定し、普及させる ■ 実績の報告指標と検証手順システムに対し、一層厳 格化したシステムを取り入れるレスポンシブル・ケア世界憲章
1. グローバルレスポンシブル・ケアの基本原則を採用する 2. 各国のレスポンシブル・ケアプログラムにおける基本項 目を実践する 3. 持続可能な開発の前進に献身的に取り組む 4. 実績の持続的な改善を図り、公表する 5. 世界全体での化学製品の管理、すなわちプロダクト・ス チュワードシップを強化する 6. 化学工業界のバリューチェーンに沿ったレスポンシブ ル・ケアの支持と促進に努める 7. 各国および全体においてレスポンシブル・ケアを統括し ていくためのプロセスを積極的に支援する 8. ステークホルダーが化学工業界の活動や製品に寄せる期 待に対処する 9. レスポンシブル・ケアを効果的に実践するための適切な 資源を提供する レスポンシブル・ケアを通じて、化学工業界はEHS の実績に関連する重要な要素について報告し、これら の進捗状況を把握するとともに、製造工程の持続的な 改善に献身的に取り組んでいる。化学製品管理戦略
レスポンシブル・ケアは、サプライチェーンの全体 に及ぶ化学物質の危険性や安全な取扱い条件の伝達 など、業界による化学物質管理の向上を目的とした 「化学製品管理戦略(GPS)」(URL:www.icca-chem. org/en/Home/ICCA-initiatives/global-product-strategy/)の構築を促進してきた。GPSは商取引され ている化学物質に対し、明確でわかりやすい安全評価 を提供するものであり、このような強力な科学的基盤 を確保することによって、途上国や新興国、先進工業 国の間に存在する化学物質の安全な取扱いや管理、使 用上の相違の低減に努めているのである。 GPSは、プロダクト・スチュワードシップの領域に おけるレスポンシブル・ケアのベストアプローチを強 化するものである。プロダクト・スチュワードシップ とは、単に化学物質の製造を管理するというだけのも のではない。輸送や保管、使用、最終的な再利用また は廃棄まで含めたバリューチェーンの全体において、 製品のライフサイクルに関わる誰もが密接に協力し 合わなければならない。GPSの構想のもとで、ICCA の構成員は、「プロダクト・スチュワードシップのた国際化学工業協会協議会(ICCA) 進捗報告書 2012 Section 2
第2節
SAICMの主要な要素に対するICCAの貢献リスク削減
ガバナンス
キャパシティ・
ビルディング
および
技術協力
違法な
国際輸送の
防止
化学製品管理戦略の目標
1. プロダクト・スチュワードシップに関するグローバルな ガイドラインを作成する 2. 管理システムのためのアプローチを構築する 3. 商取引されている化学物質に対し、リスク判定やリスク 管理勧告を行うための段階的なプロセスを定義する 4. プロダクト・スチュワードシップについて、業界のグ ループや企業との協力体制を改善し、化学物質のバ リューチェーン全体における製品上の課題に対処する 5. 政府間組織や他のステークホルダーとの間に提携関係を 構築する 6. プロダクト・スチュワードシップの関連情報を一般社会 が入手できるよう図る 7. 科学的調査に参加することで、健康や環境に関わる新た な懸念や出現しつつある問題に対応する めのガイドライン」を活用し、例えば顧客や川下ユー ザーなどの他のステークホルダーが化学製品を効果的 に管理できるよう補助しているのである。 ICCAは、現在もプロダクト・スチュワードシッ プのための取り組みを拡大し、強化し続けている。 ICCAの加盟企業は、業界の自発的なイニシアチブや 政府によって定められたプログラムを通じ、2020年 までに次の事項の達成を目指している。 ■ 商取引されている化学物質の安全評価を実施するた めの基礎的なハザード情報集合を確立する ■ 世界全体でのキャパシティを強化し、特に途上国に おいて安全評価慣習や管理手順を実践する ■ 共同製造者や政府、一般社会との間で、関連製品に 関する情報を共有する ■ バリューチェーン全体で連携することにより、サプ ライヤーや顧客がそれぞれの製品の安全性を有効に 評価し、業績を向上させられるよう図る ■ 優先度の高いすべての化学物質の安全性に関する概 要情報が一般に公表されるよう徹底する ■ 世界規模での化学物質の健全な管理における進捗状 況を量的に把握し、持続的な改善を支援できるよう な新たな判断規準を組み入れることで、監視と報告 のための体系を拡大する GPSイニシアチブは、ICCAを構成する各国の化学 工業協会に対し、GPSを実践するための計画を作成す るよう求めている。55のICCA加盟協会のうち、47は すでに実践計画の作成が完了しているか、もしくは現 在作成しているところである。現時点で実施の遅れて いる8つの協会に対しては、より突っ込んだ支援を行 うための作業が進められている。ICCAとOECD-HPV
化学工業企業と経済協力開発機構(OECD)の化 学物質プログラムとの以前の協調的取り組みを土台 に、ICCAは1998年に、OECDと協力して高生産量 (HPV)化学物質を評価するための国際的プログラムを 立ち上げた。このICCAのHPVプログラムでは、化学 物質の共同製造企業が連携することにより、EHSデー タの共有や化学物質の評価、OECD加盟国やNGOの 専門家との評価結果の「相互審査」が積極的に行われて いる。このICCAとOECDの協調的プログラムにおい て作成された評価報告書はOECDのウェブサイトに掲 載されており、一般の人々がその内容を精査すること ができる。また、ICCAのHPVプログラムを補完し、 化学物質の健康や安全に関するデータの収集を行う国 単位、地域単位の関連取り組みも実施されている。米国
米国化学工業協会(ACC)とその加盟化学企業が連 動して米国のHPVチャレンジプログラムに参加してい る。この画期的なプログラムは、化学物質に関し、で きるだけ多くのEHS情報を一般社会に提供することを 目的に、米国環境保護庁(EPA)および「環境保護基金 (Environmental Defense)」との協力によって1998 年に立ち上げられたものである。個々の企業や製造企 業コンソーシアムが参加し、特定のHPV化学物質の 健康や環境への影響に関するデータや情報を自発的に 収集し、作成するとともに、これらの公表に取り組ん でいる。300を超える企業やコンソーシアムがすでに このプログラムの完成段階に近付いており、2,222の 化学物質について、これらの情報を公表している。こ の数は、米国内における化学物質生産量のほぼ95% に相当する。これらの情報にはEPAのウェブサイト (URL:http://iaspub.epa.gov/oppthpv/public_ search.html.page)からアクセスすることができる。欧州
欧州全体での地域的取り組みでは、欧州化学工業連 盟が「欧州既存化学物質規則」に基づき、2,747のHPV 化学物質に関するデータを集約した。これらのデータ は、欧州化学品庁のウェブサイト(URL:http://esis. jrc.ec.europa.eu/index.php?PGM=hpv)で検索で きる。日本
2005年4月、日本の化学工業界は政府機関との連 携のもと、まだ国際的、国内的な既存のプログラムに よる評価の対象になっていない日本のHPV化学物質 (645の総物質のうち、中核的な対象物質は125)の安 全性に関する情報を収集し、公表するための「Japan HPVチャレンジプログラム」を始動させた。現在まで に112の企業や協議会がスポンサーとしてプログラム に参加し、その協賛のもとで97の化学物質の情報収 集が行われている。本文書の執筆時点で、合計22の 主要研究概要と72の試験計画がスポンサーから提出されており、「J-CHECK」(URL:http://www.safe.
nite.go.jp/jcheck/english/top.action)を通じて主 要研究概要が開示されている。同プログラムは2013 年3月まで継続して行われる予定である。
世界塩素協議会
世界塩素協議会(WCC)は、ICCAの中の塩素およ び塩化物製品製造業界を代表するグループである。同 協議会と加盟企業は、レスポンシブル・ケアを通じて 責任ある管理原則の確立に献身的に取り組んでいる。 塩化物は広い範囲で日常的に使用されており、WCC では製品が社会に提供する全体的なメリットを最大限 に活用しながら、なおかつ公衆の健康と環境の保護を 目指し、次の活動を行っている。 ■ 業界内のEHS実績を改善できる技術を特定し、推
進する
■ 世界中の施設ですでに進行中の業績基準
や「ベスト プラクティス」モデル、プログラム成功例などをサ
ポートする
■ 社会や経済に不要な悪影響を負わせることなく、難 分解性、生体蓄積性、毒性の化合物のもたらすリス クを軽減できるよう、企業、政府、団体間の協力を
推進する
■ 啓蒙的提携や災害復旧などの取り組みに協賛するこ とで、世界中のコミュニティ
による公衆衛生や生 活の質の改善を支援する
WCCの実践しているスチュワードシップのための 取り組みには次のようなものがある。 ■グローバルスチュワードシップワークショップ
-EHSに関わる問題点や地球のどこにでも応用が可 能なベストプラクティスを内容として行われている ■グローバルセーフティプログラム
-安全な作業 慣習を推進するとともに、塩素の製造企業や流通企 業、使用者が安全実績を持続的に改善していけるよ う支援する水銀使用量の低減
WCCは、水銀の使用に関する世界条約の考案に従 事する一連の国際交渉会議に参加してきた。WCCの 加盟団体は水銀が世界的な懸念物質であるという事実 を認識しており、業界は水銀フリーの技術に向けて 推移している。しかしながら、このような移行は時間 を要するものである。膜技術への転換にはかなりの資 本投資が必要であり、このようなプロジェクトでは収 益性に影響を及ぼす要素に大きな変動性があることか ら、方向転換を支援していくには資金調達メカニズム が必要になる。 2012年の6月26日から7月3日まで、ウルグアイの プンタ・デル・エステにおいて、全5回のうち4回目 の政府間交渉委員会の政府間会合が開催された。クロ ル・アルカリ事業分野は世界全体における天然由来 および人工の水銀排出量の1%未満でしかないが、こ の水銀使用から離脱するためのWCCの建設的なアプ ローチは、UNEPや新条約考案の当事者から大いに歓 迎されている。国際化学工業協会協議会(ICCA) 進捗報告書 2012 Section 2
第2節
SAICMの主要な要素に対するICCAの貢献B. 知識と情報
透明性、効果的なコミュニケーション、情報共有の 意思は、今日の化学工業界にとって重要な判断基準で ある。GPSは、製品のライフサイクル全体に及ぶ化学 物質の安全な管理に対する公衆の意識と信頼性を高め ることを目的に、透明性の向上と化学物質情報への一 般社会からのアクセス拡大を推進している。 特に注目すべきこととして、GPSの「化学物質 ポータル」(URL:www.icca-chem.org/en/Home/ ICCA-initiatives/global-product-strategy/)では現 在、平易でわかりやすい言葉で記載された約2,500の 化学製品の安全情報を提供しており、ICCAは2018年 末までに、商取引されているすべての化学物質の安全 情報を提供できるよう目指している。統一形態による これらの安全情報は、ポータルを通じて全面的に一般 公開されている。製品の安全性とスチュワードシップ
化学製品の安全な管理と使用の推進は、製造者と政 府、そして化学製品の販売や使用に従事する人々の 共通の責任である。ICCAとそのメンバーは、GPSを 通じて自分たちのリスクマネジメントプロセスの構築 と、これらの国際基準との整合化に積極的に取り組ん でいる国々に対し、政策上の支援とベストプラクティ スの原則を提供している。 ICCAはUNEPとの連携により、「化学物質事故の防 止と備えに対応するためのフレキシブルな枠組構想」 を推進し、国内レベルでのGPS原則の実践を希望する 政府に支援を提供するための規制上のツールを開発し ている。研修とベストプラクティス
GPSの主要な構成要素の一つは、経済新興国の中小 企業(SME)におけるプロダクト・スチュワードシッ プのためのキャパシティの向上である。ICCAは欧州 委員会や世界中の他の機関と提携し、研修のための ワークショップを実施している。このワークショップ では、主導的な立場にある化学企業で製品の安全性を 担当するスペシャリストが、化学物質の管理を改善す るための助言やツール、実例などをSMEのオーナーや 政府の代表者らに提供しているのである。 2008年以降、ICCAはラテンアメリカ、中東、アフ リカ、東欧、アジアで40以上のGPSワークショップ を主催しており、2012年にはインドやメキシコ、コ ロンビア、シンガポールなどの国で新たに10のワー クショップを計画している。また、ICCAは、経済発 展途上国のリスクアセスメントやリスクマネジメント プログラムの確立を支援するため、複数の言語による 集合的なガイダンス資料を作成した。現在、より広範 囲の対象者に普及するよう、これらに応じたウェブ ベースのツールやセミナーの開発に従事している。クイックスタートプログラム
クイックスタートプログラム(QSP)は、特に途上国 に重点を置いて、初期のキャパシティ・ビルディング を実現しSAICMの実践を促すための活動を推進して いる。2006年のQSPの立ち上げ以降、ICCAは、す でに退任した業界のエキスパートやNGO、政府間組 織(IGO)、国家および地域プログラム主管庁の職員を 集めたSAICMの「シニアエキスパート資源グループ」 を通じ、財政的支援と力強い物資支援を提供してき た。また、ICCAの代表はQSP管理理事会の理事を務 めている。 ICCM-2のQSP授賞式典でも称賛されたICCAの QSPへの貢献は、化学物質と廃棄物の健全な管理に関 する最先端の慣習や資源を途上国でも共有するという 方法で、キャパシティ・ビルディングの支援に重点を 置いた取り組みであった。すでに、中国、インド、ブ ラジルにおいてワークショップが開催されている。長期自主研究
ICCAの長期自主研究(LRI)は、科学と政策の境界面 を対象とし、化学物質管理の現代化と改善を目指す ものである。欧州、米国、日本の3つの地域における LRIプログラムにより、LRIの全体プログラムの中核を 構成する重要な相互の科学的関心領域の特定に取り組 んでいる。「LRI グローバル研究戦略(URL:http:// www.icca-chem.org/Home/ICCA-initiatives/ Long-range-research-initiative-LRI/)」には、次のよ うな現時点での優先研究領域が詳しく記載されてい る。 ■新興技術
: 健全かつタイムリーで、資源を有効に 活用した化学物質評価を実現するための画期的な ツールやアプローチ、データ、ならびにナノ技術の ような新技術に対する評価の実施 ● 主要な重点項目-化学物質が生物学的システムに 及ぼす影響、新たなバイオインフォマティクス ツールの開発、予測的モデルの構築 ■曝露に関する科学研究
:化学物質への日常的曝露 と偶発的曝露を定量化し、高度な試験やリスクアセ スメントの手引きを提供するためのツールの改善 ● 主要な重点項目-化学物質の安全性やリスクに対 する評価の進展、曝露の生態学的影響、リスクア セスメントのための曝露-用量関係、複数の曝露 源からの曝露量の評価 ■健康や影響に関する解釈
:化学物質への曝露と、 これらが人の健康や環境に及ぼしうる潜在的な影響 の関連についての知識を向上させるためのアプロー チやツールの開発 ● 主要な重点項目-子どもの健康の評価、動物の福 祉や内分泌攪乱化学物質などの新たな問題点、人 の健康に対するリスクアセスメントの向上、シッ クハウス症候群と免疫応答との関係 LRIによる研究への投資の大部分は、プロジェクト の価値を最大限に高める公的資金プロジェクトを通じ てさらに強化が図られている。結果は公表されてお り、一般社会や規制機関、業界、学術界、政界などが 自由に共有できるようになっている。 普及とコミュニケーションはプログラムを構成する 要素であり、研究所見を科学ベースの意思決定に活用 できる情報へと解釈する上で欠かすことのできない部 分である。2005年以降、LRIは、リスク科学や化学物 質の管理に関わる現在の問題点について、業界と学術 研究者、政府機関、非政府組織、規制上の意思決定機 関の対話を促進するための動的な討論の場となる年次 ワークショップを主催している。2011年ICCA-LRIワークショップ
カナダ保健省との共催による2011年のICCA LRI ワークショップは、化学物質の安全評価を向上させる のに必要な曝露科学について、学問分野を超えた協議 を行う貴重な機会となった。2日間で、各国から政府 や学術界、業界、一般の政策提言グループを代表する ほぼ100人の参加者が公開プレゼンテーションに出席 し、パネルディスカッションに積極的に関与した。こ れらの多様な参加者は、毒物学や曝露科学、環境疫 学、統計学、規制政策などにおけるそれぞれの専門的 知識を持ち寄ることにより、曝露科学における現在 の問題点や今後の方向性について検討を行ったのであ る。中でも、特に重点的に扱われたのは次の内容で あった。 ■ 日常生活の中で起こる化学物質への曝露から有害な 健康影響が起こる可能性の有無 ■ 若年期の化学的ストレス要因への曝露が後年の健康 測定結果に及ぼす影響 ■ 複数の物質への同時曝露量を評価するという難しい プロセスの進捗状況 ■ ステークホルダーや公衆が健康への潜在的な懸念と の関連性を理解できるよう、技術的知識のない人に 対し、より効果的に科学的情報を伝達していく必要 性国際化学工業協会協議会(ICCA) 進捗報告書 2012 Section 2
第2節
SAICMの主要な要素に対するICCAの貢献2012年ICCA-LRIワークショップ
英国健康保護局との共催により、ブダペストで開催 した2012年6月のワークショップでは、化学物質の 安全性に関わる科学的知識における最新技術の潜在的 な用途と影響に重点が置かれた。協議の主題は次のよ うなものであった。 ■ 最新技術の全体像 ■ 化学物質への曝露と健康上の結果との相互作用に影 響を及ぼす要素 ■ 技術からデータ、知識への移行 このワークショップの概要は上記に挙げたICCA-LRI のウェブサイトで閲覧できる。 ICCA-LRIは、研究から得られた情報を化学物質の 安全性に関する決定や政策に役立つ知識に転換してい くため、研究成果の統合と解釈に特に重点を置いてい る。ICCAは、LRIへの献身的な取り組みを通じて、化 学物質の安全性に関わる科学的知識の進展を形作って いく活動に積極的に関与している。このような科学的 知識は、環境や公衆衛生上の課題に対処し、持続可能 な未来に貢献できるものでなければならない。化学品の分類と表示に関する
世界調和システム
化学物質を健全に管理していくためには、化学的危 険性を特定し、すべてのステークホルダーに明確かつ 等しく伝達できるシステムが必要である。ICCAは、 分類とラベル表示上の要件の統一化を推進する目的で 1992年に立ち上げられた「化学品の分類と表示に関す る世界調和システム(GHS)」を強力に支持している。 GHSは、次の項目に対し、論理的で包括的なアプロー チを提供している。 ■ 化学物質の健康上、物理学上、環境上の危険性を定 義する ■ 化学物質について得られているデータを規定のハ ザード規準と比較できる分類プロセスを創出する ■ ラベルや安全データシート(SDS)上でハザード情報 や保護手段を伝達する ICCAのGHSへの献身的な取り組みは、安全性や汚 染防止、プロダクト・スチュワードシップなどのため の重要な活動を行う場合、バリューチェーンの異なる 関係者が求める様々な情報ニーズに合った方法で化学 物質を説明し、分類できるような一貫した方法が必要 であるという認識に基づいて行われている。業界によ るGHSの支援は、例えば国際フォーラムへの参加や、 国家レベル、地域レベルでの政策提言、事業体間での 意識付けなどである。また、その成果として、レスポ ンシブル・ケアプログラムや国家規制と共存するGPS 実践計画の構築を挙げることができる。 また、ICCAは、国連訓練調査研究所(UNITAR) のプログラムとも協調し、SMEや途上国向けに、 GHSの実践に関する幅広いガイダンス文書を作成して いる。 さらに、GHSにより、個々の国の企業がICCAの 「GPS化学物質ポータル」を通じて化学物質の安全情 報を報告していることから、これらの情報を活用して 他国の市場で別の商標として販売されている可能性の ある化学物質を特定することができる。C. ガバナンス
ガバナンスとは、化学物質が健全に管理されている かどうかを持続的に調査し、改善していくためのプロ セスである。SAICMの提携団体にはそれぞれ果たすべ き役割があり、化学工業界は、報告における透明性の確 保とIGOや国家機関、NGO、顧客、一般社会とのオー プンな関わり合いを通じてステークホルダーの期待に応 えていけるよう、継続的な取り組みを行っている。 SAICMでは、ICCAは、独立してはいるが互いに密 接な関係にある次の2つの領域でガバナンスに貢献し ている。 ■ UNEPなどのIGOや国の規制制度、川下の顧客、そ の他のステークホルダーを含め、すべての関係者に よる共同の取り組み ■ レスポンシブル・ケアやGPS、ICCAの他のイニシ アチブなど、化学物質の安全な管理を向上させてい くための業界独自の取り組みこの二重のアプローチを通じて、ICCAは、提携団 体が化学工業界の果たすべき役割を理解し、業界や他 のステークホルダーと協調的に取り組むことで化学物 質の安全な管理をともに大きく進展させられることを 認識するよう後押ししているのである。また、ICCA は、EHSやプロダクト・スチュワードシップ活動のあ らゆる範囲にわたって、構成員に対する実績水準を持 続的に引き上げている。
共同的取り組み
ICCAは、いくつかの戦略的パートナーシップの共 同的取り組みに貢献している。ICCAとUNEP
SAICMへの献身的取り組みの一環として、ICCAは 2010年9月にUNEPとの覚書(MOU)を締結した。 ICCAはUNEPとの密接な連携によってSAICMの実践 に従事しており、この新たな提携協定によって、世界 中に効果的な化学物質管理体制を構築するための相互 協力が一つに集約され、一層強化されている。 MOUは次のいくつかの具体的領域を対象とするも のである。 ■ キャパシティ・ビルディング活動 ● アフリカ向けワークショップ:「化学物質の安全 な管理に関する合同アフリカ地域ワークショッ プ」のナイロビ(ケニア)での開催(2011年10月) ● APELLワークショップ:「25周年記念フォーラ ム」(2011年11月)の北京(中国)での開催、およ び「責任ある生産とAPELLのためのワークショッ プ」のマニラ(フィリピン)での開催(2011年5月) ● GPSワークショップ:上海(中国)(2011年6月) および北京(2011年10月)での開催 ● レスポンシブル・ケアAPELLパイロットプロジェ クト:中国で実施するパイロットプロジェクトに ついての協議の開始 ● キャパシティ・ビルディングのための調整: UNEPとICCAは、中国やスリランカ、フィリピ ン、タイ、インドネシアなど、相互に利益のある 地域について協議するため、ワシントンDCとブ リュッセル(ベルギー)でのイベント開催(いずれ も2011年4月)に共同で参画 ■ 法律に関わる問題 ● ICCAは、国レベルでの「化学製品管理戦略」の実 践を希望する政府を支援するため、UNEPの「化 学物質の健全な管理のための法律および制度基盤 (LIRA)」指針を補完できるツール集合を開発 ■ ステークホルダーとの対話 ● 健全な化学物質管理に関するUNEP-ICCAの合 同サイドイベント:ニューヨークでのCSD-19 (2011年5月)、ナイロビでのSAICM地域ミー ティング(2011年4月)、ベオグラード(セルビ ア)での第1回SAICM公開作業部会(2011年11 月)の開催 ● 製品中の化学物質:「製品中の化学物質プロジェ クトに関するワークショップ」のジュネーブ(スイ ス)での開催(2011年3月) ● 資金の確保:ICCAは、UNEPによる「化学物質お よび廃棄物のための資金調達オプションに関する 協議プロセス」に正式に参加 ICCAはUNEPと連携し、WSSDによる2020年目 標の達成に献身的に取り組んでいる。しかしながら、 定められている挑戦的な目標をこの10年で達成する ためには、まだかなりの作業を実施しなければならな い。官民両方のセクターから得られるアプローチを 融合させたSAICMは、現在および新たに出現しつつ ある課題に対処できる独自の条件を備えている。た だし、経済新興国での適用を含め、今後さらに強化を 図っていかなければならない。緊急対応とUNEPのAPELLプログラム
APELLプログラムは、1980年代に起こったいくつ かの事故に対する化学工業界の対応が発端となって生 まれたものである。この時、化学工業界は業界内の安 全を再調査し、工場近隣の地域社会との関係を修正す るとともに、安全に対する公約を一新したのである。 米国では、すべての加盟施設が現地の地域社会と調整 した緊急時対応計画を作成するよう徹底を図ること を目的に、業界が新たに「コミュニティへの周知と国際化学工業協会協議会(ICCA) 進捗報告書 2012 Section 2
第2節
SAICMの主要な要素に対するICCAの貢献 緊急事態への対応(CAER)」プログラムを創設した。 また、UNEPの要請により、緊急時への意識を高め、 地域社会や緊急対応に従事する人々がこのような事 態に備えるとともに、これらの事態に安全に対処でき るよう、もともとのCAERプログラムをグローバルな APELLイニシアチブに転換させている。 UNEPや地域および国の政府、ならびにその他の組 織と連携することにより、ICCAメンバーは緊急対応 に関わるベストプラクティスの構築と共有に取り組む ようになり、APELLハンドブックの作成や業界の資金 拠出によるAPELL事務局への代表派遣などを実施して きた。業界の代表はUNEPと密接に連携し、途上国や 新興国の製造企業などからの業界への参加の確保に貢 献した。また、加盟企業はAPELLのワークショップや 計画立案活動に積極的に参加している。 2011年11月にAPELLの25周年を祝う特別会合が 北京で開催された。UNEP、ICCA、中国環境保護部 (MEP)、中国人民大学、ダウ・ケミカル社、ペトロ ブラス社の共催によって開かれたこのイベントは、産 業事故や自然災害が環境や人に及ぼすリスクと影響を 最小限に抑制するために考案された、このイニシアチ ブの成功と長寿を記念するものであった。 また、個々のレスポンシブル・ケアプログラムを通 じて、ICCAメンバーは、化学物質の輸送を安全に管 理することを目的とした多くのプロセスを導入してき た。2011年には、評価額が3兆ユーロ弱の化学物質 が世界中に安全に出荷されており、この中には危険 有害物質に相当する化学品の出荷も含まれている。 化学企業が導入している安全慣習が、これらの出荷 品の事故のない目的地への輸送に貢献しているので ある。 化学工業界が操業しているこの世界は、常に完璧で はない。だからこそ、ICCAメンバーは、個々の企業 と業界団体との共同で講じる措置の両方を通じて、緊 急対応に重点的に取り組んできた。これらの共同的な 取り組みには、例えば次のようなものがある。 ■ 米国化学工業協会(ACC)は、独自のCHEMTREC® プログラムにより、世界中の緊急対応要員などの 人々をサポートしている。製品や緊急対応に関する 情報を提供することで、これらの対応人員による化 学物質インシデントの緩和を支援しているのである ■ 欧州化学工業連盟(Cefic)の設立した「化学品輸送時 の緊急事態への介入(ICE)」イニシアチブは、欧州全 体に及ぶ化学物質製造企業の相互支援ネットワーク である。化学品に関わる緊急事態の緩和を補助する ため、緊急対応所轄機関に対し、情報や資源を提供 している ■ カナダと米国のTRANSCAER®(輸送に関する地域 社会の意識付けと緊急対応)プログラムは、化学物 質の輸送時に通過する地域社会に支援を提供してお り、特に、地域社会内での緊急時管理計画の作成と 訓練の補助に重点的に取り組んでいる ■ アルゼンチン、ブラジル、中国、コロンビア、メキ シコ、ニュージーランド、米国における国家レベル の緊急対応センター間の相互支援協定 ■ 緊急対応に従事する国際的なコミュニティが化学物 質の輸送時に通過する国々の環境や規則、利用でき る連絡窓口などを把握できるよう支援するための資 源として、現在、CHEMTRECが協賛し、維持管理 するグローバルな公共事業ウェブサイトが計画立案 されている ■ 業界や政府職員が国際的な緊急時対応に関わる課題 をより正確に把握し、可能な解決策を構築できるよ う補助するための国際的なネットワーキングの場の 創出や参加(例えばアジア太平洋レスポンシブル・ ケア会議、中東湾岸石油化学・化学協会サプライ チェーン会議、APEC化学対話会議、CHEMTREC の国際緊急対応サミットなど)ICCAとOECD-ナノテクノロジー
ナノテクノロジーは大きな社会的メリットを獲得で きる有望な技術であり、ICCAメンバーの中の多くの 企業はOECDの経済産業諮問委員会と連携し、ナノ物 質やナノテクノロジーの知識向上に努めてきた。例え ば、ICCAはケニアのナイロビで開催された2011年4 月のSAICMナノテクノロジーワークショップに参加 し、ライフサイクルの全体において責任ある形態でナ ノ物質を生産し、取り扱い、使用するための業界の献 身的な取り組みを強調的に示している。GPCA-レスポンシブル・ケアのケーススタディ
中東湾岸石油化学・化学協会(GPCA)は、湾岸地域、すなわち、サウジアラビア、クウェート、アラブ首長国連 邦、カタール、オマーン、バーレーンにおける石油化学企業および化学物質生産企業で構成される。2006年に8つの 発起団体によって設立されたGPCAは短期間の間に著しく拡大し、23か国から新たに36の正規会員と124の准会員 が加わった。GPCAは2009年にレスポンシブル・ケアを採択し、米国と欧州の協議会であるACCとCeficからサポー トと協力を受け、現在イニシアチブを実践しているところである。現在までに正規会員の85%(34会員中の29)が レスポンシブル・ケアに加盟し、2つの准会員も同様に加盟している。 GPCA加盟団体の公約 レスポンシブル・ケアの加盟団体は、12の集合的指導 原則に署名している。この指導原則集合は世界憲章の内 容に整合するものである。アラビア語と英語のキャッチ フレーズがついた同協会のレスポンシブル・ケアのロゴ は、これら6つの湾岸協力会議(GCC)加盟国に配置され ており、次の項目に該当する会員以外は使用できないこ とになっている。 ■ 支援宣言書に署名すること ■ 自己評価を義務として行うこと ■ レスポンシブル・ケア実践のための行動計画を作成すること ■ GPCAの審査に同意すること また、ほかにも次のような公約が定められている。 ■ 検証と実績:2012年に実施されると予想される外部団 体の認証への準備とともに、自己による評価が、現在の レスポンシブル・ケア検証に対する基本的なアプローチ である ■ 相互支援:これまでに数多くのワークショップや研修、 意識高揚セッションなどが実施され、多くの団体の参加 が得られており、米国、カナダ、欧州の協議会が構築 したベストプラクティスのGPCA加盟団体との共有が 図られている。ベストプラクティスや報告における測 定規準、自己評価に関するデータベースが構築されて おり、協議会のウェブサイトに掲載されている ■ 化学製品管理戦略:同協議会は提携企業から得たリスク アセスメントに関する専門的知識を活用し、加盟団体の 意識の構築に取り組んでいる。また、ICCAの専門家が GPCAの加盟団体向けにワークショップやセミナーを実 施している。2011年と2012年には、合計で255人の 加盟団体代表がレスポンシブル・ケアのワークショップ に参加し、追加のワークショップも計画されている 今後の展望 ■ 規約の完成版がすでに発行されており、現在実施されて いるところである ■ 測定規準や持続可能性に関するデータの報告を実施する 予定である ■ サプライチェーンの全体にわたって化学物質の安全な管理 を徹底するためのプログラムを導入することにしている ICCAはナノテクノロジー製品の安全な使用と製造 を推進しており、そのメンバーは、人や環境に起こり うるリスクを特定し、最小限に抑制するとともに、正 当な理由のない有害影響の主張から技術の潜在的な市 場を守るのに役立つような方法でこの興味をかき立て る技術を開発していかなければならないという強い信 念を持っている。ICCAは、ナノテクノロジーによっ て起こりうるリスクをさらに詳しく把握し、評価する ための活動を力強く支援している。業界中心のガバナンス活動
ICCAによるガバナンス活動の2つ目の側面は、レス ポンシブル・ケアやGPSイニシアチブの強化と、これ らの新たな地域や国家、企業への拡大に明確に表われ ている。拡大するレスポンシブル・ケア参加団体
レスポンシブル・ケアの参加団体は持続的に増加し ている。2009年にはサウジアラビア、クウェート、 アラブ首長国連邦、カタール、オマーン、バーレーン を代表する中東湾岸石油化学・化学協会(GPCA)が このプログラムに加わり、2011年にはウクライナ化 学者連合(UCU)も参加を認められた。現在、同プロ グラムは中国、エジプト、スリランカと密接に連携す るとともに、ベトナムとミャンマーの両国における効 果的な化学品管理慣習を継続的に支援している。 さらに、2012年3月までには、ICCAの協議会に属 する最大規模の化学企業のうち150社以上が世界憲 章(URL:http://www.icca-chem.org/en/Home/ Responsible-care/)に正式に署名した。国際化学工業協会協議会(ICCA) 進捗報告書 2012
Section 2
第2節
SAICMの主要な要素に対するICCAの貢献TABLE 1.Emissions—Nitrogen Oxide, Sulphur Dioxide & Chemical Oxygen Demand
M illi ons of M et ric To ns Em itt ed M illi ons of M et ric To ns Em itt ed Calendar Year Reporting Associations 900,000 800,000 700,000 600,000 500,000 400,000 300,000 200,000 100,000 0 2000 30 2001 32 2002 34 2003 39 2004 38 2005 38 2006 39 2007 43 2008 43 2009 44 2010 45 900 800 700 600 500 400 300 200 100 0 446,02 2 Nit ro gh en Oxi de 567,434 S ul ph ur Dio xid e 595,607 C he mic al Oxyg en Dem an d 453,51 2 607,49 5 610,80 4 285,19 4 762,21 6 538,42 9 605,12 9 761,72 3 655,04 4 621,00 6 654,36 5 681,10 9 652,05 2 638,84 9 536,41 3 553,16 5 457,91 8 453,22 5 515,21 7 401,39 5 456,77 0 518,97 0 367,20 7 428,34 9 463,89 3 322,19 2 408,19 2 427,27 1 334,17 3 370,20 3 Production
TABLE 1.Emissions—Nitrogen Oxide, Sulphur Dioxide & Chemical Oxygen Demand
M illio ns o f M et ric To ns Em itt ed M illio ns o f M et ric To ns Em itt ed Calendar Year Reporting Associations 900,000 800,000 700,000 600,000 500,000 400,000 300,000 200,000 100,000 0 2000 30 2001 32 2002 34 2003 39 2004 38 2005 38 2006 39 2007 43 2008 43 2009 44 2010 45 900 800 700 600 500 400 300 200 100 0 446,02 2 Nitro ghen Oxid e 567,434 Sulphur Dioxid e 595,607 Chemical Oxy gen Dema nd 453,51 2 607,49 5 610,80 4 285,19 4 762,21 6 538,42 9 605,12 9 761,72 3 655,04 4 621,00 6 654,36 5 681,10 9 652,05 2 638,84 9 536,41 3 553,16 5 457,91 8 453,22 5 515,21 7 401,39 5 456,77 0 518,97 0 367,20 7 428,34 9 463,89 3 322,19 2 408,19 2 427,27 1 334,17 3 370,20 3 Production
TABLE 2.Carbon Dioxide Intensity
M illio ns o f Me tric Ton s/ M illi on s of Met ric To ns P ro duc tio n Calendar Year Reporting Associations 1.40 1.20 1.00 0.80 0.60 0.40 0.20 0.00 2000 26 2001 27 2002 31 2003 32 2004 36 2005 36 2006 37 2007 38 2008 41 2009 41 2010 41 CO2 production
TABLE 3.Distribution Incidents
Tot al Numb er o f D ist rib ut io n I nci de nt s Calendar Year Reporting Associations 4000 3500 3000 2500 2000 1500 500 0 2000 221 2001 25 2002 27 2003 28 2004 27 2005 25 2006 24 2007 22 2008 19 2009 31 2010 31 3,32 7 3,82 7 3,11 5 3,09 6 2,80 9 2,81 8 2,42 1 1,80 4 1,96 7 1,92 7 2,33 6
TABLE 4.Emissions—Nitrogen Oxide, Sulphur Dioxide & Chemical Oxygen Demand
Ton s of Fu el O il E qu ival en t M illio ns of M et ric To ns Emi tte d Calendar Year 300 250 200 150 100 50 0 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 900 800 700 600 500 400 300 200 100 0 148.5 7 149.3 8 213.0 2 203.4 3 234.3 9 225.3 1 237.1 5 232.8 9 234.8 2 246.4 9 202.5 1 Production