平安時代写の絵巻物詞書の表記 : 資料編
その他のタイトル Kana Orthography in Emakimonos : Reference Edition
著者 遠藤 邦基
雑誌名 關西大學文學論集
巻 57
号 1
ページ A1‑A25
発行年 2007‑07‑20
URL http://hdl.handle.net/10112/12501
平 安 時 代 写 の 絵 巻 物 詞 書 の 表 記
︵ 遠 藤 ︶
平安時代写の絵巻物詞書の表記ー資料編ー
国語音韻史や表記史を語る際︑とくに平安時代に関しては︑第一等資料としてもっぱら訓点資料などの片仮名文献 が利用されてきた︒幾度も転写を経た後世の写本︑しかも書写年代の確定できないことの多い平仮名文献は︑補助資 料の地位に甘んじてきたのである︒しかし︑字体や書法︑使用されている料紙などから明かに平安・院政期写と推定 できる一連の平仮名資料の影印本が陸続と出版されるようになったことにより︑これまで現物での確認が出来ないと いうことで殆ど不可能に近かった仮名字体の様相が明白となり︑平仮名資料の国語史的価値は決して片仮名資料に劣 らない一面を持っていることが明かにされるようになってきたのである︒
筆者はこれまでも︑近年出版された良質の影印本を利用することによって︑平安・院政期の代表的平仮名資料であ る龍谷大学本類緊古集︑西本願寺本三十六人集︑元永本・伝公任本古今集などの﹁古典かなづかい﹂に反する諸用例 を網羅し報告してきたが︑今回もそれらと同様の基準でもって︑平安時代︵院政期も含む︶写と推定される絵巻物の 詞書の分析を行うこととした︒
本稿で対象とした絵巻物は︑源氏物語絵巻︑東大寺切三宝絵︑伴大納言絵詞︑信貴山縁起︑粉河寺縁起︑吉備大臣 入唐絵詞︑餓鬼草紙︑病草紙︑地獄草紙の九種である︒
、 土
追
藤
邦
基
三宝絵︵三宝絵詞︶には︑平仮名表記の東大寺切︵現在は名古屋市博物館蔵︶と漢字交じりの片仮名本である観智 院本(︱二七三写︶︑変体漢文体の前田家本(︱二三〇写の醍醐寺本の写本︶の三種があることが知られているが︑
この東大寺切には︑保安元︵一︱二
0 )
年の識語があり︑先掲の元永本古今集と同時期の写本である︒
伴大納言絵詞は︑三段からなるが上段には詞書がない︒伴大納言が応天門を焼いたという宇治拾遺物語などに載る 説話を絵巻にしたもので︑平安末期頃の成立と考えられる︒
信貴山縁起は︑僧侶の奇跡的な法力を絵巻に描いたもので︑古本説話集や宇治拾遺物語にも同じ内容の説話がとら れている︒平安末期頃の成立の全三巻︵巻一は詞書を欠く︶からなり︑縁起絵巻の最も古いものである︒
粉河寺縁起は︑紀州の粉河寺の本尊千手観音の霊験談を述べたもので︑信貴山縁起とともに社寺縁起の傑作といわ れている︒室町末期の火災で巻頭詞を欠いている︒
吉備大臣入唐絵詞は︑遣唐使の吉備真備が唐の役人から出された難問を次々と解いていく様子を絵巻にしたもので︑
現在はボストン美術館蔵となっている︒
餓鬼草紙は︑曹源寺本︵京都国立博物館蔵︶ 一
致 し な い
︒
源氏物語絵巻に関する初出の記録は︑源師時の日記である長秋記の﹁参中宮︵鳥羽帝中宮埠子︶御方
瀾因組問紙可調集︵元永二︿一︱︱九﹀年十一月廿七日︶﹂である︒この内容は︑中宮の所に伺うと︑
有仁︶君被仰云
源氏絵巻の料紙を中将に用意するようにとの下命があったことの記録と考えられる︒現在は五種の書風による柏木・
宿木・東屋などの十九図が︑徳川美術館・五島美術館に残されている︒この源氏物語絵巻は︑鎌倉期以降に幣しく作 成された絵巻と区別して﹁隆能源氏﹂と称されているものである︒なお︑詞書は現存の青表紙本や河内本と必ずしも
は︑七段からなる六道思想を題材にした絵巻物で︑平安末期頃の成立
開西大學﹃文學論集﹄第五十七巻第一号
以中将︵源
三宝絵
I I
注 (
1 )
( 2 )
( 3
)
( 4
)
個に分類した︒ 分かりやすく述べている︒ と考えられる︒
病草紙は︑成立は餓鬼草紙と同様に平安末期頃である︒内容は奇病や難病を描いたもので︑短い詞書でその病状を 地獄草紙は︑餓鬼草紙・病草紙と同様に平安末期頃の成立である︒主要写本として原家本︵奈良国立博物館蔵・ボ
ストン美術館蔵︶︑安住院本︵東京国立博物館蔵︶︑益田家本︵五島美術館蔵︶の三種あり︑本稿でも︑この三本を別
拙稿﹁平仮名資料としてみた類緊古集﹂︵﹃萬葉﹄一八九号二
0 0四 ︶
拙稿﹁西本願寺本三十六人集の表記ー資料網ー﹂︵﹃開西大學文學論集五五ーニ号二
0 0五 ﹄
︶
拙稿﹁元永本古今集・伝公任本古今集の表記ー資料編ー﹂︵﹃闘西大學文學論集五六ー一号二
0 0六 ﹄
︶ 拙稿﹁西本願寺本三十六人集の仮名表記の異例ー﹁四つ仮名﹂﹁開合﹂などを中心にー﹂︵﹃国語文字史の研究﹄九号二
0 0六 ︶ 同﹁西本願寺本三十六人集の転呼音表記﹂︵﹃殿文學︿関西大学﹀﹂九
0号
二 0 0六 ︶
[ 影
印
]I本稿で参照したものー
源氏物語絵巻
﹁源氏物語絵巻﹂︵﹃新版徳川美術館蔵品抄②﹄徳川美術館/二
1 10
五 0
︶ ﹃ 日 本 糖 巻 物 全 集 ﹄
︵ 角 川 書 店 ︶
﹃日本絵巻大成﹄︵中央公論社︶秋山光和編﹁源氏絵﹂︵﹃日本の美術︱︱九﹄至文堂︶﹁国宝/源氏物語絵巻﹂︵双
書﹃美術の泉﹄岩崎美術社︶
﹃名古屋市博物館蔵
三賓綸解説﹄︵名古屋市博物館/一九八九︶
安 平 時 代 写 の 絵 巻 物 詞 書 の 表 記
︵ 遠
藤 ︶
春日和男「古筆と国語学ー「東大寺切」と「元永本古今集」の仮名遣いー」(『帝京大学文学部紀要•国語国文学』ニ 十号一九八八︶
春日和男「源氏物語絵巻詞における国語史的事象ー仮名遣•音便・字音表記ー」(「今井源衛教授退官記念文学論叢』
要 第 十 巻
[参
考文
献]
若杉準治﹁絵巻伴大納言絵と吉備入唐絵﹂︵﹃日本の美術二九七﹂至文堂 村重寧﹁絵巻信貴山縁起と粉河寺縁起﹂︵﹃日本の美術二九八﹄至文堂一九九一︶
小泉弘山本祐子﹁﹃三賓翰﹄︵保安元年書写本︶の書誌と用字・書体について﹂︵﹃名古屋市博物館研究紀
一 九
八 七
︶ 神谷浩
闊西大學﹃文學論集﹄第五十七巻第一号
伴大納言絵詞
I I
﹃日本絵巻大成﹄︵中央公論社︶﹃日本綸巻物全集﹄︵角川書店︶﹁国宝/伴大納言絵巻﹂︵双書
一 九
九 一
︶
﹃ 美 術 の 泉 ﹄ 岩 崎 美 術 社 ︶
術の泉﹄岩崎美術社︶
信貴山縁起
I I
﹃国宝信貴山縁起絵巻﹄︵講談社/一九七
0 )
﹁信貴山縁起絵巻﹂︵双書
粉河寺縁起
I I
﹃日本絵巻大成﹄︵中央公論社︶﹃日本鎗巻物全集﹄︵角川書店︶
吉備大臣入唐絵詞
I I
﹃吉備大臣入唐絵詞﹄︵美術懇話会/一九三四︶﹃日本稽巻物全集﹄︵角川書店︶
餓鬼草紙
I I
﹃日本絵巻大成﹄︵中央公論社︶﹃日本翰巻物全集﹄︵角川書店︶﹁絵巻/地獄草紙・餓鬼草紙﹂︵双書
術の泉﹄岩崎美術社︶
病草紙
I I
﹃日本絵巻大成﹄︵中央公論社︶﹃日本翰巻物全集﹄︵角川書店︶
地獄草紙
1 1
﹁日本絵巻大成﹄︵中央公論社︶﹃日本翰巻物全集﹂︵角川書店︶
四
﹃ 美 ﹃ 美
平 安 時 代 写 の 絵 巻 物 詞 書 の 表 記
︵ 遠 藤 ︶
た く 刻 な し ︵ 類 ︶
0
ひのかたにそむきてゐたまへるさま
うへをた<ゐなくみたてまつる
五
︵ 東
一 屋
︶
か刻なし
0けにえみたてまつらねは
0
うしみところおほく
かゐ/\しけなり︵宿木二︶
かゐなしとて
こなたに御しつらひことにせさせたまふ
とのたまひて︵竹河二︶
ひ サ
︵ 琵
︶ 琶
九 一
八 二
︶ 佐野みどり﹁病草紙研究︵上・下︶﹂︵﹃國華﹄
特別展覧会目録﹃大絵巻展﹄︵京都国立博物館二
0 0
六 ︶
● 転 呼 音 う る
サ し
︵ 麗
︶
0
れいのうるわしきこともめなれて
闘をわりなくせめたまへは
[ヒ←巴十二例︵異なり語彙数
1 1
十
語 ︶
か
h i︵ 甲
斐 ︶
0
た︑いまはがびあるさまにもてなしたまひてましな
か
hi /
\し
︵ 御
法 ︶
0
れいのおほしいてられて
すこしかきあはせたり︵薄雲断簡︱二︶
只←ワロ一例︵異なり語彙数
1 1
ニ
語 ︶
おほされぬへかめれは
. . .
︵ 宿
木 二
︶
益田勝賓﹁伴大納言絵詞の詞書﹂︵﹃日本翰巻物全集﹄
4 角川書店
小松茂美﹁﹁吉備大臣入唐絵巻﹂詞書釈文と﹁吉備大臣物語﹂対照一覧﹂︵﹃日本絵巻大成③﹄中央公論社︶
古谷稔「餓鬼・地獄•病草紙の詞書の書風」(『日本絵巻大成⑦』中央公論社)
10
三 九
琥 ︶
源氏物語絵巻(十二世紀頃成立の「隆能源氏」とも称される五島•徳川両美術館蔵の十九段絵巻及び詞書のみの絵 合巻︑及び個人蔵の断簡を対象にする︒筆は四人の手になるが本稿ではその区別をしていない︶
一 九
六 一
︶
いとをし う れ 糾
︵ 憂
︶
た ま 引 ︵ 給 ︶
0
またも
かへりまいらなりぬるいとをしさ︵夕霧︶
なとおほして
0
もしほをたる︑みまかなと
うれゑきこゆれは
︵ 早
蕨 ︶
けしきをすきたまふ
︵ 蓬
生 ︶
0
くらうなれは
た
J Iとし︵尊︶〇あみたの大すのいとたうとく
[フ←ウ]二例︵異なり語彙数
1 1
ニ
語 ︶
︵ 遂 ︶
つ い
に
〇いとこ:ろくるしく
ついにいかにおほしさからむとおもふもあはれなれは
※
[
ヒ ← イ ]
や ま び ︵ 病 ︶
〇なをまとゐさめかたきものは
〇やまゐつきぬとおもひはへりしを
一例︵異なり語彙数
11
一 語 ︶
[へ←三二例︵異なり語彙数
1 1
ニ
語 ︶
い 糾
︵ 家
︶
0
叶糾のこたち 扇←ヲ]十七例︵異なり語彙数
11
五 語
︶
0
女房のためこそいとをしけれ
︵ 柏 木 断 簡 一
︶
めしありて
︵ 柏
木 二
︶ ほの/\きこゆるなかに︵鈴虫一︶
︑しちかうてうちたまうみすまきあけて
︵ 柏
木 三
︶
まと
h i
︵ 惑 ︶
〇いと︑なく
は 瓜 よ り
︵ 這
︶
0
いと︑くみつけて
0
ひたゐかみなとの
0
ひたゐつき
まみのおほとかにかをりたるこ︑ちする さめかたうくれまとゐてゐたり︵早蕨︶
ひ た び ︵ 額 ︶
いたうぬれたるをもてかくして
ちりか
J J I
︵ 交 ︶
0
ゃよひになりてさくら
闊西大學﹃文學論集﹂第五十七巻第一号あるはちりかゐくもり︵竹河二︶
はゐよりてうしろよりとりたまひつ
︵ 夕
霧 ︶
︵ 東
屋 一
︶
︵ 東
屋 一
︶
︵ 竹
河 二
︶
︵ 御
法 ︶
六
平 安 時 代 写 の 絵 巻 詞 物 書 の 表 記
︵ 遠 藤 ︶
[ワ←ハ]+︱例︵異なり語彙数
三
1 1語 ︶
七
● 誤 っ た 回 婦
な針/\し としつきにそへていたくあなつりたまふ
︵ 夕
霧 ︶
なをる
︵ 直 ︶
0
ひとりこちて
0
こ:ろもてくさのいほりをいとへともなをす︑むしのこゑそたえせぬ
なをこのよのはなのにほひにそよそへられたまひしを︵御法︶
〇いとわかうきよけに
訃ものこはえなきこ︑ちすへけれ︵竹河二︶ な剖ことはりなといふもの
A眉さかりのおほんかたちとみえたまへり︵竹河二︶
0
このきみたちそ
﹁猶﹂の仮名表記は︑すべて﹁なを﹂で﹁なほ﹂はない︒
なをしに︵鈴虫二︶
〇おとなしきさまして ついゐたまへは とかくゐなをる
参 [
考 ]
な 針
し ︵
直 衣
︶
0
みなまいりたまふ
〇わかうとたち
︵ 竹
一 河
︶
O
さかりは
0なをまとゐさめかたきものは
︵ 柏
木 三
︶
︵ 柏
木 断
簡 二
︶
O
さてもさてもなを/\しの御さまや おまへなるひと/\
〇 な を
いとよくたよひたりとみえたまふ
0なをゆるされなきやうに御ましりみえはへりしに︵柏木二︶
0なをしのひかたきことはたれにかはうれへはへらむ︵柏木二︶
0えたいめんしたましとおほしてなをこなたにいらせたまへ
0なをは︑かりぬへきとのたまふて
︵ 柏
木 一
︶ 刻 な
︵ 猶
︶
が剣:りたまへは
蓬 ︵
生 ︶
︵ 柏
木 二
︶
︵ 鈴
虫 一
︶
︵ 竹
河 二
︶
ま い
り ︵
参 ︶
[ヲ
←ホ
︺
か ぼ り ︵ 香 ︶
[ ヰ
← ヒ
]
と の
間 ︵
宿 直
︶
● 関 連 現
象
一例︵異なり語彙数
1 1
一 語 ︶
0
とのひ︑との し
よ は
〇つきひをへてよはりはへりにけれは 〇いとよはけにいきもつきたま□す︵柏木二︶
0た:よはり給る御みにあやしくわか/\しくものなと
︵ 弱 ︶
0
ついにいかにおはしさはかむ
0
みやもいとやよはけにないたまひて
いくへうもおもふたまへ
とおもふもあはれなれは
0
み修行のつかひ
関西大學﹃文學論集﹄第五十七巻第一号
O
さはかしきゆめのあはれもさめぬ︵横笛︶
さはきたり︵柏木二︶
0
めのとも うへもおきゐてさはきたまふ︵横笛︶
かすもなくたちさはきけり︵御法︶
いまはうつしにこ
Aろもうせたるやうに︵柏木二︶
あやしきこゑなる夜行うちして︵東屋二︶
一例︵異なり語彙数
1 1
一 語 ︶
0
とほくよりかほれるにほひよりはしめ
ひとよりことなるさましたまへり︵宿木一︶
[ヰ←イ]十八例︵異なり語彙数
1 1
一 語 ︶
0
しのひたる御まいりのさまなり︵鈴虫二︶
︵ 柏
木 一
︶
〇むまくるまたちこみて
0
こ:らさはきそめはへりて
かくしつまらす︵柏木二︶
こ ば
︵ 声
︶ さ ば く ︵ 騒 ︶
〇よりてご山つくれは
いとものふりたるこゑにて︵蓬生︶
︵ 御
法 ︶
︵ 柏
木 一
︶
八
[ 参
︺ 考
﹁参﹂の仮名表記は︑すべて﹁まいる﹂で﹁まゐる﹂はない︒
いましはしも御覧せよ
︵ 御
法 ︶ ︵
法 御
︶
いれたてまつりたまふ
蓬 ︵
生 ︶
0
にはかなるやなれと 〇あまたの人をひきゐて 〇いまはかく
のとやかにおはしますに
まいりな□︵鈴虫二︶
さるへきかりゐてまいりたりけれは
まいりたまはむとす︵鈴虫二︶
0
藤宰相おはしけるかきりみなまいりたまふなをしに︵鈴虫二︶
0
かろ/\しきさまにふとまいりたまひけれは︵鈴虫二︶
0
またもかへりまいらなりぬるいとをしさ︵夕霧︶
0この御かへりもてまいれるかれいにもあらすと︵夕霧︶
0
まつかうなむときこえむとてまいりぬなと
0み帳のまへに御しとねまいりて
〇わか/\しく
ものなとまいることのさらになきは
〇院の御賀のころほひまいりて
Oさもえきこえたまはぬに
0みやそまいりたまふ︵御法︶
0中宮はまいりなむとあるを
0しゐのし
Aうも
0へむはまいりて
〇ゐんへまいりたまはむことは
平 安 時 代 写 の 絵 巻 詞 物 書 の 表 記
︵ 遠 藤 ︶
︵ 柏
木 一
︶
︵ 柏
木 一
︶ 御けしきをたまはりはへりしに︵柏木二︶
あなたもまいりたまはねは
まいりたまへり︵竹河一︶
わたくしのみやつかへおこたりぬへきま︑に︵竹河二︶
このきみたちそ︵竹河二︶
︵ 鈴
虫 二
︶
九
お る
︵ 折 ︶
料 さ
な し
︵ 幼
︶ 料 し け ︵ 惜 ︶ 料 り
︵ 折
︶
木 三
︶
〇おさなくおはしまし︑とき
〇おしけなき身を
このはなをわかそ/\とあらそひたまひしを︵竹河二︶
お
lお
lこ か
へ し 痴
ヽ
〇あまた人のをやになりたまふま︑に
なを叶川たまへは
とやすらかすはおほせと
︵ 降 ︶
をり
開西大學﹃文學論集﹄第五十七巻第一号
[オ←ヲ]九例︵異なり語彙数
1 1
六
語 ︶
〇すいかいをすこしをしあけてみたまへは
0
かさなりたるすそまて あい行の
0うちふるまひたまへるをひかせ
0
ひとりこちて
0
そのよのゆめを
︵ 蓬
生 ︶
針 や
︵ 親
︶ を
︵ 追 ︶ ︵ 落 ︶
をち
0たしかなることは
︵ 柏
木 一
︶
えをしはかりやらす︵柏木二︶
こほれ剣~たるやうにみゆる(竹河二)
0
その人としらぬこそ よのつねならす︵竹河一︶
おもひやりふかくものはのたまひたりとそ︵横笛︶
御さきの露をむまのふちして
[ヲ←オ□ハ例︵異なり語彙数
1 1
六
語 ︶
〇おほむかたちこ:らはへとり/\にそおかしき︵竹河二︶
f l
なれとみるひと/\はあらむかし さま/\ひきと︑めらる:
J
:
ち
し て
︵ 柏 木 二
︶ おはしまさす料~なき御心ともには(絵合)
〇おもしろきえたおりてまいりたまへり︵宿木一︶
針 し は か る ︵ 推 ︶
0
いとかくしもくしたらむと えをしはかりたまはし︵蛍断簡︶
0みき帳
〇おほむめ
し ︵
押 ︶
を
をしのこひたまふ
すこしをしやらせたまひて こかちのそうなとこ︑ちすれは︵柏木一︶ つきのをかしきほとに︵橋姫︶
1 0
︵ 柏
平 安 時 代 写 の 絵 巻 物 詞 書 の 表 記
︵ 遠 藤 ︶
[ホ←ヲ]九例︵異なり語彙数
1 1
三
語 ︶
0
こ︑ろをあはせてそうのたうときこ
︵﹁か﹂をミセケチ︶とをあらはす︵八一ウ︶
[ヒ←生二例︵異なり語彙数
1 1
ニ
語 ︶
0
こしのさかゐをめくりて
〇つゐに無明のゑひをさますへき︵三オ︶
︹フ←ウ]四例︵異なり語彙数
一 語
1 1︶
た 引
と し
︵ 尊
︶
三日ありて返たまひぬ
〇むかしのさかしきひとはみな
0
年のうちのたうときわさをおこなひ
[へ←己用例なし
ゆくすゑのよき道をしふる
〇 す な ハ ち おほきにたうとひかなしみて
︵ 十
八 オ
︶ くにのうちにちしきをとなへて
ほとけの御弟子をたうとひき︵八
0
オ ︶
つ ゐ に
︵ 遂 ︶
か さ 別 ︵ 境 ︶
0
かなしみのこ:ろむねにあまりて
にわかにふしまろひなく︵七三ウ︶
〇つ:かなくして にわかにをはりたまへり
︵ 七
0
オ ︶
0
ふねにつみてかへるほとに
A
わかにやまひをうけて 〇わらふものあらはまさに:わかにくちひるみ
︵ 三
九 オ
︶
[ ハ
← ワ
]
-_•
にわかに
五 例
︵ 俄 ︶
︵ 異 な り 語 彙 数
1 1
一 語 ︶
0
にわかに
︵ 五
ニ ウ
︶
名古屋市博物館蔵
● 転 呼 音
三宝絵
︵ 八
0
ウ ︶
︵ 六
七 オ
︶
いへのうちのくはのきのなかにふし︵﹁はひ﹂をミセケチ︶まろひて
︵ 三
四 オ
︶
ぅ7
︵ 飢 ︶
︵ 故 ︶
ゆヘ
〇 ゆ め に
その叫 7
をかたる
0
なにの叫 T
に か
しはりうたれて
〇仏は平等大悲にいます叫
7
にいさいす上の ︵﹁を﹂をミセケチ︶ために正教を流布したまふ
〇 我 ひ こ ろ な む ち を も と め つ る に
引
7つかれにたり︵五四オ︶
[ヱ←こ四例︵異なり語彙数
1 1
ニ
語 ︶
衆生をみちひく︵二六ウ︶
゜ 爛西大學﹃文學論集﹄第五十七巻第一号0
二七日ありて
一人のそく
おとろきあやしますといふことなし︵三三ウ︶
山/\をとをりあるくに︵三五オ︶
こ︑ろみに経をいれみるに 我にゆるせといふに加別のむ︵四九オ︶
● 誤 っ た 回 帰
[ヰ←ビ︺一例︵異なり語彙数
1 1
一 語 ︶
く ら
州 ︵
位 ︶
0
ほうわうのくらひをえて
︵ 三
0 ウ ︶
しめせることありとて
なをあやしとおもひておくれてわらはにそひて︑らにいたりぬ
︵ 六
三 オ
︶
〇 わ ら は な 針
﹁ こ れ は 経 な り いほにはあらす﹂とあらかふ
︵ 六
ニ ウ
︶
〇 心 み に 糾 剣
いを︑まゐれといふ
︵ 六
一 ウ
︶
〇糾針ゆるせといふにくちなはたかくかしらをもたけてをんなのかほをまはりて
0このかへる
な 針
︵ 猶
︶
0
なんち
かたち加剣そくなり
と 糾
り ︵
通 ︶
と 針
き ︵
遠 ︶
0
かのこほりにめくりいたりて
0
とをきもちかきも
うかれてこのくに︑きたれり︵三六オ︶
経糾剣いらねとも
大そう経をたもてる我身のつみもなく
︵ 四
四 ウ
︶
︵ 三
七 オ
︶
︵ 四
九 オ
︶
はこすこしのひたり︵四
0
オ ︶
平 安 時 代 写 の 絵 巻 物 詞 書 の 表 記
︵ 遠 藤 ︶
︵ 女 ︶
おんな
おもはくよき事にあらすと思て・・・︵二八オ︶
︵ 降 ︶
おり
0三人おいたるそうの
を
︵ 恩 ︶
0
そのをんをむくゆへし︵五五オ︶
゜
くも
r iのきてさりにきといふ
[ ヰ
← イ
]
ま 叶
る ︵
参 ︶
● 関 連 現 象
[ イ
← ヰ
]
む く
刻 ︵
報 ︶
一例︵異なり語彙数
1 1
一 語 ︶
0
四恩をむくゐむかために
一例︵異なり語彙数
1 1
一 語
︶
t;,
ぼ ︵ 魚 ︶
〇わらはなほ﹁これは経なりげぼにはあらす﹂とあらかふ
0
まいりつるよしをきこてのちにみつからくふ
[ エ
← ヱ
︺
つ く
剥 ︵
机 ︶
[オ←ヲ]二例︵異なり語彙数
ニ
1 1語 ︶
針 し
︵ 押
︶
一例︵異なり語彙数
1 1
︶ 一 語
0
たまのつくゑのうへに
一巻の経をとりて
[ヲ←主三例︵異なり語彙数
1 1
三
語 ︶
糾 さ
め ︵
収 ︶
0
をとこもおんなも
一巻の経あり︵二
0
ウ ︶
我おさめしところをしらすして
0かとのまへにて馬より料叫に
︵ ニ
ニ オ
︶
︵ ニ
︱ オ
︶ つよくつきてをりられす︵三七ウ︶
︵ 六
九 オ
︶
法花経をかきたてまつりて
︵ 三
九 ウ
︶
0
そくはみな﹁これはいほなり経にはあらす﹂とせめて・・・︵六ニウ︶ [ヲ←邑二例︵異なり語彙数
1 1
一 語 ︶
︵ 六
ニ ウ
︶
● 誤 っ た 回 帰
● 関 連 現 象
冨
← ヲ ]
一
いとをし
0
めこにかたり つき/\にかたりちらして [ワ←ハ︺二例︵異なり語彙数
1 1
一 語
︶ さ ば く ︵ 騒 ︶
0
そのほと ひと/\みな
Aけきさはきてあるほとにゆるしてたまふよし︵二段︶
いひさはきけれは よにひろこりて
〇いひいたすへきことならねはいとをしとおもひありくに︵三段︶
一例︵異なり語彙数
1 1
一 語 ︶
[へ←三二例︵異なり語彙数
1 1
一 語
︶
〇よふけて叶剥にかへるとて
はらたちて叶糾へはいりにけり︵三段︶
0
出納は
V
ヽ
ゑ
I
︵ 家 ︶
應天門のまへをわたりけれは
か た
叶 ︵
乞 食
︶
〇あやまちをしたりとも
なにことのいてくへきそ
い さ
か 叶
︵ 詳
︶
〇ことこのとねりのわらはといさかいをして
※
[ヒ←イ]二例︵異なり語彙数
1 1
ニ
語 ︶
[ ヒ
← ヰ
]
只←ワ][フ←之用例なし ● 伴大納言絵詞
転 呼 音
爛西大學﹃文學論集﹄第五十七巻第一号
一例︵異なり語彙数
1 1
一 語 ︶
あ ら
か び
︵ 抗
︶
0
はしめはあらかゐけれとも
なきの
Aしれは
らうのわきにかくれたちて
いて︑さへむとするに
しれことするかたいかな︵三段︶
われもつみかうふりぬへくといはれけれは
︵ 四
段 ︶
︱四︵ 四
段 ︶ ︵
三 段
︵ ︶
三 段
︶
● 誤 っ た 回 帰
● 関 連 現
平 象
安 時 代 写 の 絵 巻 物 詞 書 の 表 記 ︵ 遠 藤
︶
[ へ ヱ ← ]
い 剥
︵ 家
︶
せたまひたり︵二巻一段︶
〇いのりまいらせたまふへきよしをいへは それはた 用例なし
0たしかにぬしの叶剥にみなをちゐにけり︵二巻一段︶
一 五
こ︑なからいのりまいら
一例︵異なり語彙数
一 語
1 1︶
〇おほん心ちにも
ヰ [
← イ ] ま 叶 り ︵
参 ︶ 一例︵異なり語彙数
1 1
一 語 ︶
0
ひしりのさま
[フ←ウ]三例︵異なり語彙数
1 1
一 語 ︶
た 引
と し
︵ 尊
︶
〇 よ ろ こ ひ
いとたうとくてあり︵二巻一段︶
またひしりをもたうとかり︵二巻二段︶
めてたくたうとくおほえさせたまへは
[ヰ←乙八例︵異なり語彙数
1 1
一 語 ︶
叶 ま る ︵ 参 ︶
0
まいるへきよしいへは
︵ 二
二 巻
段 ︶
ひしりなにことにめすそとて︵二巻一段︶
まいらすとも
只←ワ][ヒ←ヰ][ホ←ヲ]用例なし ● 信貴山縁起
転 呼 音
0
ひむかしの七條にすみけるかつかさにまいりてよふけていゑにかへるとて
︵ 三
段 ︶
お る
︵ 折 ︶
0
人はそのえむをたつねて
そのくらのきの
料料たるはしなとはこひけり︵三巻二段︶
[ ヲ
← オ
]
一例︵異なり語彙数
1 1
一 語 ︶
︵ 落 ︶
をち 0
たしかにぬしのいゑに
し へ
を
︵ 教 ︶
〇命れんかありところ
ゆめにもをしへさせたまへ み な
i i
ゐにけり︵二巻一段︶ 0 このひさもむは 命れんひしりの
0そこにそをこなひてありける
︵ 三
巻 二
段 ︶
をこなひいてたてまつりたるところなり︵三巻二段︶
︵ 三
巻 一
段 ︶
0
これをしたにきたれは
おほくのとしころ
〇そのよとう大しの大佛のおまへに候て 針 こ な ひ
︵ 行
︶
すくるほとに︵二巻一段︶
いかてかこのひしりのしるししるへき︵二巻一段︶
[オ←ヲ︺十例︵異なり語彙数
1 1
四
語 ︶
針 こ た る
︵ 怠
︶
0 みと経なと
0それをめしていのらせさせたまは︑
O
さてはもしをこたらせたまひたりとも
0
かやうにをこなひて
さらにえをこたらせたまはす︵二巻一段︶
をこたらせたまひなむものを︵二巻一段︶
さむくもなくて よひとよをこなふ よろつにせらるれと
[ 参
考 ]
︵ 三
巻 一
段 ︶
をこなひけり
︵ 三
巻 二
段 ︶
﹁参﹂の仮名表記はすべて﹁まいる﹂で﹁まゐる﹂はない︒
いのりまいらせたらは 0
こほうというこほうをまいらせむ︵二巻一段︶
0
かへりまいりてかう/\とまうす︵二巻一段︶
〇いまに人/\あけくれまいる︵三巻二段︶ 0 もし
開西大學﹃文學論集﹄第五十七巻第一号
けむのこほうといふ
︵ 二
巻 一
段 ︶
一 六
平 安 代 時 写 の 絵 巻 物 詞 の 書 表 記
︵ 遠 藤 ︶
剣
V '
奥 ︶
(針 の 針 の
︵ 各 々 ︶
0
このよしをいひちらして
O
さは/\となりて
0
そ の
t i
に は あ と た □
︵ 五 段 ︶ をの/\まいり帰依したてまつりけり︵二段︶
0
まなくいのれともかなはねは
うち剣糾てゐたり︵四段︶
ま い る ︵ 参 ︶
● 誤 っ た 回 帰
● 関 連 現 象
すてて
1 1
た 口
︵ 三 段 ︶
〇いひちらしてをの/\まいり
0
七日はかりいのりまいらせ□︵三段︶
0
この我まいらせし袴さけ [オ←ヲ]四例︵異なり語彙数
1 1
三
語 ︶
針
V '
( 置 ︶
さや
へ[
←ヱ
]
い 糾
︵ 家
︶
︵ 五
段 ︶
︹ヰ←乙三例︵異なり語彙数
1 1
一 語
︶
用例なし
0なはてあるほとに
帰依したてまつりけり︵二段︶
この長者の叶糾にわらは口りて
一例︵異なり語彙数
一 語
1 1︶
[ハ←ワ][ヒ←ヰ][フ←ウ][ホ←ヲ]用例なし ● 粉河寺縁起︵全巻が焼痕による損傷が激しい︒
転 呼 音
︵ 三
段 ︶
一 段 は 詞 書 を し う な っ て い る ︒
︶
一 七
む ︵ 恩 ︶
を
※をに
︵ 鬼 ︶
〇よろこひていはく 〇よもすからよむをきこ
J
かへりぬ
こ の
t i
に は
このくにのことをみなかたりまうさむ︵三段︶ 到口のいはく
き︑えたりや︵三段︶
0き ひ
いかなるふみそ
とAふ に
0
このよしを
Aににきてつく
︵ 三
段 ︶
のいはく をに
︵ 三
段 ︶
段 ︶
0
くひものをあたへさりしかは
このろうにすみはへるなり(
[オ←ヲ□ハ例︵異なり語彙数
1 1
ニ
語 ︶
. .
0
をに
まついはく
● 誤 っ た 回 帰
● 関 連 現 象
われはこれ日本のけむたうしなり︵二段︶
うゑしにてか︑る杞はとなりて
用例なし
つ い
に
︵ 遂 ︶
0
きひ又ふむしと︑めていたさす
ついにかちぬ
︵ 六
段 ︶
し ︵
幸 ︶
さ い は ︑
0
け ふ
[ ヒ
← ヰ
︺
闊西大學﹃文學論集﹄第五十七巻第一号
[ ヒ
← イ ]
︳ ー
P二伊
︵ 異 な り 語 彙 数
1 1
ニ
語 ︶
さいはいに貴下にあひたてまつりたり
︵ 二
段 ︶
い ぬ 割 ︵ 乾 ︶
〇身のけたちておほゆるにいぬゐのかたよりおにうか︑ひきたる 一例︵異なり語彙数
1 1
一 語 ︶
只
← ワ
□ フ
← ウ ニ へ
← ヱ ] [ ホ
← 口 用 例 な し
吉備大臣入唐絵詞︵ボストン美術館蔵︶
● 転 呼 音
︵ 二
段 ︶
八
平安時代写の絵巻物詞書の表記︵遠藤︶
只
← ロ ニ 例
︵ 異 な り 語 彙 数
1 1
ニ
語 ︶
か た
杖 ら
︵ 傍
︶ こ 枡 し ︵ 強 ︶
0
もとよりくちのはみなゆるきて
一 九
かみわるにおよはす︵八段︶
0
た︑うちゐたるにも
0五百の餓鬼
かたわらによる人はくさきにたえかたかりけり︵十三段︶
すこしもこわきものなとは
病草紙︵関戸本の十五図のうち九図が京博に所蔵︶
● 転 呼 音
ま 叶 る ︵ 参 ︶
ほとけのみもとにまいりてわかくるしみたへかたしたすけたまへといふ︵五段︶
[ヰ
←イ
]
一例︵異なり語彙数
1 1
一 語 ︶
詞 助
﹁ 料
﹂
〇比丘ありて
はちにもろ/\の食料もりて
・・・よつのほとけのみなをとなへ
︵ 七
段 ︶
[ヲ
←オ
]
一例︵異なり語彙数
1 1
一 語 ︶
ゆ
7︵ 故 ︶
〇佛法のちからによる叫
7に百千萬那由他恒河沙敷の鬼こと/\く食をえて飽満する
● 誤 っ た 同 帰
[イ
←ヒ
]
[ ヱ
← へ
]
一例︵異なり語彙数
1 1
一 語
︶ む く 叫 ︵ 報 ︶
0
亡母の息をむくひ口とおもひて 一例︵異なり語彙数
一 語
1 1︶
● 関 連 現 象
用例なし
その生虞をみるに餓鬼の中にむ口れたり︵三段︶
餓鬼草紙︵京博蔵本︵旧曹源寺本︶による/東博蔵本︵河本本︶には詞書なし︶
● 転 呼 音
︵ 七
段 ︶
● 誤 っ た 回 帰
[ ヱ
← へ ]
※ ※
︵ 故 ︶
ゆヘ
〇 い ゑ と み 食 ゆ た か な る ゆ へ に 身こえし:あまりて
︵ 松
永 家
蔵 本
︶
一例︵異なり語彙数
1 1
一 語 ︶
0
た︑うちゐたるにも
かたわらによる人はくさきにたえかたかりけり︵十三段︶
〇悶絶顛倒して
0なましゐに
ぉちぬることはなくて
まことに
かたし(+一段︶
1 1ものくふ時はさはりて氾忍かたかりけり︵八段︶
︵ 堪 ︶
たえ
0くさきことたえかたくてすちなかりけり︵五段︶
[へ←巴二例︵異なり語彙数
1 1
一 語 ︶
い 糾
︵ 家
︶
〇 い ゑ あ る し
〇 い ゑ と み 食ゆたかなるゆへに 叉←工]四例︵異なり語彙数
1 1
一 語 ︶
身こえし>あまりて
︵ 松
永 家
蔵 本
︶ しかるへき神佛のたすけかとおもひて
よひいれつ
︵ 七
段 ︶
[フ←ウ][ホ←ヲ]用例なし
︵ 生 ︶
お い
〇したのねにちゐさきしたのやうなるものかさなりて料叶︑つることあり︵四段︶
[ ビ
← ヰ ]
一例︵異なり語彙数
1 1
一 語
︶
ましら
J J I
︵ 交 ︶
まことにみくるしかりけり︵十四段︶
[ビ←巴三例︵異なり語彙数
1 1
三
語 ︶
0
したのねにちゐさきしたのねなるやうなるものかさなりて
0
なましゐにおちぬることはなくて
0
ましらゐのとき
ち
d J Iさ き
︵ 小
︶
な ま
し び
︵ 強
︶
ものくふ時はさはりてたえかたかりけり︵八段︶
闊西大學﹃文學論集﹄第五十七巻第一号
おい︑つることあり︵四段︶
ニO
[参考︺﹁男﹂の仮名表記はすべて﹁おとこ﹂で﹁をとこ﹂はない 且 さ し な
︵ 幼
︶
0
しろこといふものありおさなくよりかみもまゆもみなしろく(+六段︶
いよ/\料コづきわらふ 平 安
代 時 写 の 絵 巻 物 詞 の 書 表 記
︵ 遠 藤 ︶
︵ 烏
滸 ︶
お こ
0
はらたちいへとも
0
なま良家子なるおとこありけり︵十四段︶
︵関
戸家
断簡
︶
〇よそに見るおとこ
こ︑ろをつくしけれは
︵ 十
三 段
︶
0
おとこありけり
〇あるおとこ
〇 お と こ これにちかつきぬれは
かならすうつる(+段︶
むまれつきにて
しりのあなあまたありけり︵九段︶
︵ 八
︶ 段
0
このおとこ
めをひきあけて
針してよかるへしとて
︵ 七
段 ︶
ひとりいりきたり︵七段︶
0
平群のこほり
〇 あ る お と こ シ リ の あ な
︑ く て
おとこなれとも
0かたち
0ちかころ
女のすかたにしたることもありけり やまとのくになるおとこ
0
かとよりおとこ
よくノ\みて
針をたてつ
めのすこしみえぬことのありけるをなけきいたる︵七段︶
屎くちよりいつ
︵ 五
段 ︶
︵ 男 ︶
おとこ
幸山といふところにおとこあり︵一段︶
[ヲ←己十三例︵異なり語彙数
1 1
三
語 ︶
● 関 連 現 象
︵ 六
段 ︶
[才←ヲ]三例︵異なり語彙数
11
ニ 語
︶
助 詞
﹁ 料
﹂
原家本地獄草紙 ー奈良博蔵の屎糞所・函量所・鐵罷所・鶏地獄•黒雲沙・膿血所及び同筆のボストン美術館蔵の銅釜所ー'
● 転 呼 音
[へ
←ヱ
]
闊西大學﹃文學論集﹄第五十七巻第一号
[へ
←工
]
[ ヲ
← オ ]
〇口とをそこなひ
〇 罪 人 の 身 分
一例︵異なり語彙数
1 1
一 語 ︶
〇罪人身分こかれとをりて
● 誤 っ た 回 帰
※[イ←ど二例︵異なり語彙数
1 1
一 語
︶
む <
0 1
︵ 報 ︶
● 関 連 現 象
0
ひとのものをすかしとりて
0
人をくるしめしむくひに
そのむくひもなく
一例︵異なり語彙数
1 1
一 語 ︶
0
くろかねのたけくおこりたるおき料
[ ホ
← ヲ ] と 剣 り ︵ 通 ︶
︵ 堪 ︶
た え
※
一例︵異なり語彙数
1 1
一 語 ︶
し
剥︵ 家 ︶
一例︵異なり語彙数
1 1
一 語 ︶ バ←ワ][ヒ←ヰ][フ←ウ︺用例なし
つみ人にはからすことやますしてひさし︵函量︶
この地獄におつ
︵ 銅 釜 / ボ ス ト ン 美 術 館 ︶
あるいはこ︑ろにく︑うとましかりし人︵織硯︶
苦患しのひかたし︵銅釜/ボストン美術館︶
った/\になりて その苦慮
i i
しのふへきかたなし︵鶏地獄︶
ひとの叶糾をやかんとこのみしもの
このちこくにおつ
︵ 黒
雲 ︶
を
1っ
安住院本(東博蔵)地獄草紙(髪火流・火末晶•雲火霧•雨炎火石)
● 転 呼 音
[ ヒ
← イ
]
● 誤 っ た 回 帰
● 関 連 現 象
[ ヲ
← オ
]
この地獄にをつ︵屎糞︶
0
くそのあなのふかきところに針叫いるつみ人︵屎糞︶
0
こころをろかにて
O
さけをまうけてとをくひろき野をゆかんとする人にあたへてのまする
〇あるいはまたほのをのくちはしあるくろかねのわし 一例︵異なり語彙数
1 1
一 語
︶
0
のみおはりぬれは
ゑひふしてゆくことをえす︵雨炎︶
平安時代写の絵巻物詞書の表記︵遠藤︶
︵ 落 ︶
〇あるときは
いのちをもたちたりし人 [才←ヲ]二例︵異なり語彙数
1 1
一 語 ︶
料はる
︵ 終 ︶
用例なし
う は
︵ い 奪 ︶
〇あらゆるたからものをみなうはいとる
※
この地獄に
i i
雨 ︵
炎 ︶
︵ 雨
炎 ︶
一例︵異なり語彙数
1 1
一 語 ︶
針 と し ︵ 遠 ︶ ほ の 針 ︵ 炎 ︶
[ホ←ヲ]二例︵異なり語彙数
1 1
︱ 一 語 ︶
只←ワ][ヒ←ヰ][フ←ウ][へ←ヱ︺用例なし 剣
ろ か
︵ 愚
︶
きよからぬ物をきよしとおもひ
を
1っ
︶ ︵ 落
〇心なきもの
三
罪人のかうへをつきわり︵髪火︶ ︵
屎 糞
︶
︵ 雨
炎 ︶
助 詞
﹁ 料
﹂
〇心に慈念なくして 声 ︶
● 誤 っ た 回 帰
● 関 連 現 象
畜生料うちなやます因縁によりて沙門おほくこの地獄の西門にきたる [ヲ←オ]五例︵異なり語彙数
1 1
一 語 ︶
用例なし あえて
︵ 敢 ︶
〇罪人さけひよはえとも
〇あえて浄持せすして
﹁ ツ
← ズ ]
闊西大學﹃文學論集﹄第五十七巻第一号
益田家甲本(五島美術館蔵)地獄草紙(火象地獄・洋声•飛火・剥肉・沸屎·解身・鐵山)
● 四 つ 仮
一例︵異なり語彙数
名1 1
一 語
︶ け 引 り ︵ 削 ︶
0
仏像をこそ川引川
● 転 呼 音 尺←ワ]︱例︵異なり語彙数
1 1
一 語 ︶
に 枡 と り
︵ 鶏
︶
0
にわとりのはねをぬき
[へ←エロ一例︵異なり語彙数
11
一 語 ︶
このみて酒をのみ ※
[ヒ←ヰ][フ←ウ][へ←己扇←ヲ]用例なし 針
よ ひ
︵ 及 び ︶
このみて五辛おくらひ あえてたすくるこ︑ろなし
つきなふりたロロロによりて
︵ 測
肉 ︶
︵ 沸
屎 ︶
けをむしりあるいはけた物のけをぬきたる比丘
〇殺生倫盗邪姪をよひさけに水をいれておほくなしてうりたりしもの
︵ 洋
こ の 地 獄 に を つ ︵ 飛 火
︶
この地獄にきたれり︵火象︶
こ の 地 獄 に お つ ︵ 火 末
︶
ニ 四
を
1っ
平安時代写の絵巻物詞書の表記︵遠藤︶
︵ 落 ︶
針 こ る ︵ 起 ︶
〇慈心あることをなくして
し 沙 門 ︵ 沸 屎
かねてその苦詞︑もふに心身たえすして ︶
沙門等料とりて
猛火熾盛にして姻炎ともにをこる︵洋声︶
0
そのなかに姻火ましはりをこれり︵沸屎︶
あるいはけた物のけをぬきたる比丘
畜生をころして
0にわとりのはねをぬきけをむしり
かはをはきしもの
二 五
こ の 地 獄 に を つ ︵ 飛 火
︶
こ れ
に を
つ '
剥 ︵
肉 ︶
0
そのうちに
[オ←ヲ]四例︵異なり語彙数
1 1
ニ
語 ︶
いたす
すなはち獄卒ありて みなくそのかはにつきはめつ
︵ 沸
屎 ︶
0
このみて酒をのみ
0