市場構造と財政政策に関するノート
著者 河合 宣孝
雑誌名 經濟學論叢
巻 56
号 1
ページ 33‑52
発行年 2004‑06‑20
権利 同志社大学経済学会
URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000004655
【研究ノート】
市場構造と財政政策に関するノート
*河 合 宣 孝
は じ め に
MZ モデル1)では独占的競争をベースとしたマクロモデルが展開され,財政乗
数が内生的に決定されることが示されている.また,政府支出の増加は経済全 体の厚生を高める可能性についても検討されている.しかし,MZ モデルには,
つぎのような難点が見受けられる.
(1)長期的な視野における企業行動にも関わらず,固定的な生産要素が存 在し,その要素が決定的な役割を果たしている.
(2)MZ モデルでは賃金率が所与であるから,家計および企業の最適行動よ り企業数が決定される.その結果,政府支出は内生的に決定され,財政 乗数という概念が得られなくなる.
第1 の問題点は,中間財生産者に対して内部的調整費用を考慮した長期の投
資行動を前提とすれば,回避される.第2 の問題点は賃金率を内生変数,政府 支出を外生変数とすれば,財政乗数は求められる.しかし,政府支出の変化に よる経済全体の厚生への効果は,修正されなければならない.すなわち,MZ モデルには,政府支出の変化が企業数へ影響を及ぼし賃金率を変化させるチャ
*本稿作成にあたり,同志社大学大学院経済研究科博士(後期)課程の小田勇一氏と米崎克彦氏から は多くの有益なコメントを頂いた.ここに記して感謝したい.もちろん,ありうべき誤りは,私自 身に帰せられる.
なお,本稿は平成14年度私立大学等経常費補助金特別補助高度化推進特別経費大学院重点特別 経費(研究科分)にもとづいた研究成果である.
1) 以 下 で は ,Molana & Zhamg (2001) の モ デ ル を MZ モ デ ル と 呼 ぶ . な お , 離 散 型 で は , Blanchard,O.and Kiyotaki,N. (1987) のモデルがあげられる.
ンネルが,加えられなければならない.
以上を踏まえて,次節では修正されたMZ モデルを提示し,第2 節では長期 均衡で決定される消費,資本,労働,生産,企業数,マーク・アップおよび賃 金率が示される.第3 節では追加的財政支出の経済全体の生産および厚生に対 する効果について,検討がなされる.
なお,補論では連続型のC.E.S. 生産関数を用いた長期利潤の最大化問題の1 階の必要条件は,ポントリヤーギンの「最大値原理」を用いて得られることが 示される.
1 モデルと諸仮定
1. 1 家計
代表的な家計の問題は,つぎのような生涯効用 U=
∫
0∞e−ρtu(Ce(t), L(t)) dt (1)
を最大にする消費と労働供給の経路を見出すことである.ただし,ρは主観的 時間選好率を,tは時間を,Ceは有効需要の消費,L は労働供給を表わす.瞬 時の効用関数u は
s<1;0<α<1 (2)
によって与えられる.ただし,時間tはこれ以後,省かれる.初期の労働供給 資源は1に基準化されている.
有効需要の消費Ceは,民間消費と公的消費のそれぞれをCとG で示せば,
つぎのような
Ce=C+θG,θ≦1 (3)
から成る合成財として定義されている.ただし,θは一定のパラメ−タである.
家計の予算制約は K・
=(r−δ) K+wL+V−T−C (4)
によって与えられる.ただし,w は賃金率を,V は利潤の分け前を,T は政府 u(C e, L)= [(C e)α (1−L)1−α]1−S
1−s
に支払われる一括税を表わす.K は物的資本を表わし,その資本は利子率r を 稼ぐが,一定率δで減価し,(4)式にしたがって変化する.
家計の最適化問題は(2)から(4)までにしたがって,(1)を最大にするよ
うなC,L,K を見出すことである.
Max U=
∫
0∞e ρtU(Ce(t),L (t)) d t (1)s. t.
K・
=(r−δ) K+wL+V−T−C (4)
K(0)=K0 そこで,H~
,ζ~
をそれぞれハミルトニアン,補助変数とすれば,
H~
=e−ρtU(Ce(t), L(t))+ζ~
[(r−δ)K+wL+V−T−C]
となる.ここで,
H~
=He−ρt,ζ~
=ζe−ρt とおけば,
現在価値に直したハミルトニアンは
H=U(Ce(t), L(t))+ζ[(r−δ)K+wL+V−T−C]
である.
1 階の必要条件はそれぞれ,つぎのようになる.
α(C+θG)α(1−s)−1(1−L)(1−α)(1−s)=ζ (5)
(1−α)(C+θG)α(1−s)(1−L)(1−α)(1−s)−1
=ζw (6)
ζ・
=(ρ+δ−r)ζ (7)
K・
=(r−δ) K+wL+V−T−C (4)
lim e−ρtζ(t)K(t)=0
t→∞
方程式(5)と(6)より,
= +ζ[(r−δ[(C e)α (1−L)1−α]1−S ) K+wL+V−T−C]
1−s
(8)
を得る.
また,K・
=0 とζ・
=0 が成り立つ定常均衡では,(7)より,
r=ρ+δ (9)
が成り立つ.
1. 2 最終財
1 つの最終財Y が存在し,それは民間消費と公的消費あるいは資本蓄積にも
使われることができる.この最終財は完全競争のもとで生産され,販売される.
単純化のために,ここでは多数の競争的生産者を1 人の代表的企業によって近 似される.生産技術は一連のインプットを用いて,つぎのようなC.E.S. 生産関 数
Y=(n−(1−1/μ(n))
∫
n0(yj)1/μ(n)dj)μ(n) (10)にしたがう.ただし,Y は最終財,yjは第j 番目の中間財(あるいはインプッ ト)で,j はj ∈[0,n]とする.
μは,つぎのような性質を有する連続かつ微分可能な関数と仮定される.
(11)
lim μ(n)=μ−>1; limμ(n)=1
n→0 n→∞
任意の時点で,企業は利用可能なインプットの範囲[0,n]と(10)で示さ れる技術を用いて,利潤
ΠY=Y−
∫
n0 pjyj dj (12)を最大にする.ただし,pjは第j 番目のインプットの価格であり,企業は価格 受容者(price taker)であるということを所与とすれば,最終財の価格水準は1 と置かれる.
=μ´(n) < 0 ; dμ(n)
dn
( )
1−α α( )
C+θ1−LG =wいま,
として,
E=
∫
n0pj yj dj, P=[(1/n)∫
n0(pj)1−ε(n)dj] 1/(1−ε(n))と定義すれば,直ちに上述の最大化問題によって,つぎのような中間財に対す る需要関数は
(13a)2)
が得られることが示される.
そこで,(13a)からyjを(10)に代入すれば3),
を得る.したがって,(12)は
として書かれる.
最終財は価格受容競争(完全競争)のもとで生産されるということを所与とす れば,P を所与として収穫一定の特性は利潤ゼロの条件が満足されることを保 証する.したがって,ΠY=0より,P=1を得るので,Y=Eとなる.結果とし て,(13)は
(13b)
と表わせる.
また,ε(n)はインプット間の代替の弾力性であり,その性質は(11)から
( )
yj = , pj ∀j∈[0, n]
P
( )
E/Pn−ε(n)
Y=E P
( )
ΠY= −E= −1 EE P
1 P
( )
yj =pj−ε(n) Y n
2)補論を参照.
3)補論を参照.
ε(n)= μ μ−1
得られる.すなわち,
(14)
limε(n)=ε−>1; limε(n)=∞
n→0 n→∞
を得る.言い換えれば,インプットの範囲が拡大するにつれて,インプット間 の区別がなくなっていき,完全代替に近づいていくことになる.
1. 3 中間財
中間財市場は一連の企業が構成する産業が独占的競争の構造によって特徴づ けられる.各企業は添え字のjで表わされ,上述の最終財生産へのインプット として使われる差別化された財を生産している.各企業はつぎのような生産関 数にしたがうとする.
yj =A(kj)β(Lj)1−β−φj (15)
ただし,yjは中間財生産,kjは可変的な資本,Ljは可変的な労働をφjは投資に よって発生する内部的調整費用を表わす.そのφについて,以下のような仮定 をする4).
φj=φj(k・
j)
φj(0)=φ0,φj′(0)=0,φj″>0
いま,pk を資本の価格,w を労働の価格,piを投資財の価格とすれば,各企 業のネット・キャッシュ・フローNCjは
NCj=pjyj −wLj−δpkkj−pi・k
j (16a)
で表わされる.(13b)を考慮すれば,(16a)は NCj=(Y / n)1/ε(n)yj
1-1/ε(n)
−wLj−δpkkj−pi・k
j (16b)
4)投資をしないときにも,投資に関する計画・調査費用がかかるので,φj(0)=φ0
ε(n)= =1+ >1μ μ−1
1 μ−1
−μ´
(μ−1)2 ε´(n)= = >0dε(n)
dn
となる.ただし,δは資本の減価償却率を表わす.
各企業はネット・キャッシュ・フローの割引現在価値を最大にするように投 資計画をするとすれば,つぎのような最大化問題を解くことになる.すなわち,
Max
∫
∞0[(Y/n)1/ε(n)yj 1−1/ε(n)−wLj−δpkkj−piij] e ρtdt s. t.
・k
j=ij (17)
yj=A(kj)β(Lj)1−β−φj (ij) (18)
kj(0)=kj 0
そこで,H~
j,λ~
jをそれぞれハミルトニアン,補助変数とすれば,
H~
j=[(Y/n)1/ε(n)yj 1−1/ε(n)
−wLj−δpkkj−piij]e ρt+λ~
jij
となる.ここで,
H~
j=Hje ρt, λ~
j=λje ρt
とすれば,
Hj=(Y/n)1/ε(n)yj 1−1/ε(n)
−wLj−δpkkj−piij+λjij
である.
1 階の必要条件はそれぞれ,つぎのようになる.
(19a)
(20)
・k
j=ij (17)
(21)
(22)
ここでは,定常均衡に焦点を合わすために,
( )
( )
1−βμ pj ( yLj+φj j) =wλj= pjφj ′ (ij)+pi
1 μ
β
μ
( )
pj ( ykj+φj j) λj=ρλj+δpk−・
lim e−ρt λj (t) kj (t)=0
t→∞
・k
j=0,λ・
j=0
と置けば,λ・
jに関する微分方程式は,
(23a)
となる.さらに,
pi=pk=1 とすれば,
(23b)
(19b)
となる.これらの条件は明らかに,μ>1がマーク・アップ要因であることを 示している.
対称の(同一)の企業のもとで,均衡では,すべてのj∈[0, n] に対して,
pj=P=1,yj=Y/n,Lj=L/n,kj=K/n,πj=Π/n である.ただし,
L=
∫
n0Ljd j, K=∫
n0kjd j, Π=∫
n0πjd j である.マクロの変数を用いて,上述の(19b)と(23b)を書き直せば,つぎのように なる.
(24)
(25)
(24)と(25)より
(26)
( )
βμ(
pj ( ykj+φj 0))
=ρ+δ( )
1−βμ(
pj ( yLj+φj 0))
=w( )
1−βμ( )
Y+nLφ0 =w( )
βμ( )
Y+nKφ0 =r wL+rK= Y+nφ0μ
( )
βμ(
pj ( ykj+φj 0))
=ρpi+δpkを得る.
ここで,マクロ全体の要素所得を決定するために,
Π=Y−wL−rK であり,(26)より
(27)
を得る.
2 定常均衡
2. 1 nとGを所与とした定常値
自由に参入の仮定によって意図された中間財産業の長期均衡条件は,Π=0 を保証するように調整される.それ故,これを(27)に課せば,
(28)
が得られる.方程式(26)と(27)より,
となるので,要素所得と生産とが等しいということが示される.
定常均衡において,K・=0,V=Π+ΠY=0,および政府の予算制約は均衡し ている.したがって,T=G である.これらと(26)を(4)に代入すれば,
Y=C+δK+G (29)5)
を得る.これは最終財市場の均衡条件である.
他の2 つの均衡条件はそれぞれ,(8)と(24)および(9)と(25)から得 られる.すなわち,
= (μ−1)Y−nφ0 Π μ
Y n
φ0
= μ−1
wL+rK= = =YY+nφ0 μ
Y+(μ−1)Y μ
5)長期均衡において,(r−δ)K+wL+V=T+C, r=ρ+δ,βY=(ρ+δ)K,w=(1−β)Y より,
Y+V=C+δK+T を得る.V=0, T=Gとすれば,Y=C+δK+Gを得る.
(30)6)
(31)
最後に,(15)を集計し(28)を用いてパラメ−タφ0 を消去して,長期のマ クロ全体の生産関数が得られる.すなわち,
∑
yj=∑
[A(kj)β(Lj)1−β−φ0] より,Y=(A/μ)KβL1−β (32)
を得る.
μとn の関係を所与とすれば,(29)〜(32)より,C,L,K,w の解はそ れぞれ,
(33)
(34)
(35)
(36)7)
となる.ただし,
(37)
(38)
( )
C= μ
( )
1+λ λγ −1/(1−β)+ −1 G λ(1−θ)1+λ
L= + 1 1+λ
(1−θ)G(μ)1/(1−β) (1+λ)γ
K= μ
( )
1+λ ηγ −1/(1−β)+ G (1−θ)η1+λ
w=(1−β
( )
) μ A 1/(1−β)( )
ρ+δ β β/(β−1) γ= α(1−β) (ρ+δ) 1/(1−β)1−α
( )
ρ+δ ββA λ=(1−α)[ρ+(1−β)δ]α(1−β)(ρ+δ)
6)これは,w に等しい.
7)MZ モデルでは,(36)式は示されていない.wが外生変数であれば,この式からnがユニ−クに
決定される.
Y
( )
1−αα( )
C+θ1−LG =(1−β( )
) L β =ρ+δ Y( )
K(39)
である.
2. 2 企業数n の決定
企業数n を決定するために,
(40)
は,(28)より
(41)8)
となる.
ただし,
(42)
ここで,
(43)
と置けば,YD,YSはそれぞれ第 1 図のように描かれる.YSとYDはn に関して
1 階の偏微分が正であるから,右上がりの傾きをもつ曲線である.YDについて,
n →∞としたとき,
YD→YUD=σ1μ−−1/(1−β)+σ2G となる.また,n →0としたとき,
YD→YLD=σ1+σ2G を得る.
( )
λ+δη 1+λY= [γμ−1/(1−β)+(1−θ)G]
= +σ2G φ0n
μ−1 σ1 μ1/(1−β)
γ(λ+δη) 1+λ
(λ+δη)(1−θ) 1+λ σ1= >0, σ2= >0
YD= +σ2G, Ys= φ0n μ−1 σ1
μ1/(1−β)
8)wが外生変数であれば,(36)式からnが決定されるので,Gを決める式となる.
η= (1−α)β
α(1−β) (ρ+δ)
他方,YSについて,n →∞としたとき,YS→∞となり,n →0としたとき,
YS→0となる.YSの傾きがつねにYDの傾きより大きいならば,ただ唯一の均衡 n* が存在する.そのための十分条件は,
(44)9)
で示される.したがって,(41)式で企業数nが決定されれば,マーク・アッ プμが決定され,同時にC,L,K,w も決定される.
μ≦ 1 β
YD, YS
n* n YDU
YDL
⊿G
YD YS
0
9)Molana & Zhamg (2001) p.158 参照.
第 1 図
3 政策の市場構造への効果
3. 1 政策のアウトプットへの効果
Gの上昇はYDを上方にシフトさせるが,YSは変化しないので,
(45)
を得る.
(41)より,政府支出のアウトプットへの効果は
(46)
として書かれる.ただし,
(47)
(48)
とする.
(46)より,財政乗数は財市場が完全競争的か,固定されたマーク・アップ かのいずれかであれば,M−となるが,そうでなければ,2 つの要素からなる.
3. 2 財政拡張の厚生効果 次式において
(2)
>0 dn dG
( ) ( )
= [γ − μλ+δη −1/(1−β)−1 μ′ +(1−θ)]
1+λ
1 1−β
dn dG dY
dG
= [1+ ](λ+δη)(1−θ) 1+λ
γ(−μ′)
(1−β)(1−θ)μ1+1/(1−β)
( )
dGdn=M [1+m・ ]
( )
dGdn−
m= >0γ(−μ′) (1−β)(1−θ)μ1+1/(1−β)
M= >0(λ+δη)(1−θ) 1+λ
−
u(Ce, L)=[(Ce)α(1−L)1−α]1−s 1−s
(8)を変形して,
より,
(49)
となるので,
(50)10)
を得る.(33)より
(51)
を得るので,(51)の右辺第1 項が十分大きくない限り,(50)では
(52)
が成り立つであろう.MZ モデルでは(50)の右辺の第1 項が無視されている ので,この点を考慮すれば,政府支出の厚生への影響はむしろマイナスの効果 をもたらす.
お わ り に
本稿では修正されたMZ モデルを提示し,長期均衡で決定される消費,資本,
労働,生産,企業数,マーク・アップおよび賃金率が示された.また,財政支 出の経済全体への生産および厚生について,検討がなされた.とくに,政府支
= w Ce
1−L α 1−α
( )
u=
(1−s)(1−α)
w−(1−s)(1−α)Ce 1−s 1−α
α 1 1−s
( )
=−(1−s)(1−α) +(1−s) +θ
∂u
∂G
∂C
∂G
∂n
∂G
∂w
∂n u w
u Ce
( ) ( )
( )
+θ= (C+G) − − G − 1 1−β
1 1−β dC
dG
( )
∂∂Gn( )
∂G∂nμ′
μ
( )
λ(11+λ−θ)( )
μ′μ− 1−θ 1+λ
< 0
∂u
∂G
10)wが外生変数であれば,(50)式の右辺第1 項は生じない.なお,この項目は負である.
出の変化による経済全体の厚生への効果は,修正されなければならない.すな わち,MZ モデルには,政府支出の変化が企業数へ影響を及ぼし賃金率を変化 させるチャンネルが,加えられなければならない.しかも,政府支出の増加が 経済全体の厚生を高める可能性を示唆したMZ モデルとは,逆の結果が得られ た.
今後の課題として,MZ モデルを中間財生産で仮定されたコブ=ダグラスの生 産関数をより一般的なC. E. S. 生産関数に拡張して展開する必要があろう.
補 論11)
最終財Yの価格を1として,yjを第j の中間財,pjをその第j の中間財の価格 として,最終財生産者の利潤ΠYを最大にする問題がつぎのような場合,ポント リヤーギンの「最大値原理」を用いて解く.
Max ΠY=Y−
∫
n0pjyjdj (12)s. t.
Y=(n−(1−1/μ)
∫
n0(yj)1/μdj)μ (10)である.ただし,
j∈[0, n]
とする.
まず,
X (j)=(
∫
j0(yj)1/μd j)μ (A. 1)と置き,
X (j)1/μ=
∫
0j(yj)1/μd j (A. 2)とする.(A. 2)の両辺をj で微分すれば,
より,
11)Benassy Jean-Pascal, (2002) を参照.
X1/μ−1 = 1
μ dXyj1/μ dj
(A. 3)
を得る.
同様に,
E ( j )=
∫
0jpj yj dj (A. 4)と置いて,(A. 4)の両辺をj で微分すれば,
(A. 5)
を得る.(A. 1),(A. 4)より,ΠYは
ΠY( j )=n(1−μ)X( j)−E( j) (A. 6)
と表わされる.
(A. 6)の両辺をj で微分すれば,
=n(1−μ)μX1−1/μyj
1/μ−pj yj (A. 7)
を得る.
そこで,H をハミルトニアン,λを補助変数とすれば,
H=n(1−μ)μX1−1/μyj
1/μ−pj yj+λμX1−1/μyj
1/μ (A. 8)
となる.したがって,1 階の必要条件は
(A. 9)
−λμ(1−1/μ)X−1/μyj
1/μ (A. 10)
(A. 11)
=pj yj
dE dj
dX dj
dE
=n(1−μ) − dj dΠY
dj Π
=(n(1−μ)+λ) X1−1/μ yj1/μ−1−pj=0
∂H
∂yj
=− =−n∂H (1−μ)(1−1/μ)μX−1/μ yj1/μ
∂X λ ・
X= =μ∂H X1−1/μ yj1/μ
∂λ
・
=μX1−1/μyj1/μ dX
dj
となる.
ここで,
ψ=n(1−μ)+λ (A. 12)
と置けば,(A. 9)は
pj=ψX1−1/μyj
1/μ−1
(A. 13)
と書き改められる.同様に,(A. 10)も ψ・=−(μ−1)X−1/μyj
1/μψ
となり,(A. 11)を考慮すれば,
(A. 14)
と変形できる.
両辺を積分すれば,
Logψ=Log CX −(μ−1)/μ
を得る.ただし,C は任意定数とする.対数を外せば,
ψ=CX−(μ−1)/μ (A. 15)
を得る.これを(A. 13)に代入すれば,
pj=(CX−(μ−1)/μ) X1−1/μyj 1/μ−1
=Cyj 1/μ−1
=Cyj (1−μ)/μ
(A. 16)
より,
(A. 17)
を得る.(A. 17)を(A. 1)に代入すれば,
X(n)=[
∫
n0(pj/C)1/(1−μ)d j]μ となり,X=(1/C)μ/(1−μ)(
∫
n0pj 1/(1−μ)d j)μ を得る.したがって,
ψ
ψ =−
( )
μ−1 μ( )
XX・ ・
pj μ/(1−μ)
Cμ/(1−μ)
yj=
(A. 18)
と変形すれば,(A. 17)は
(A. 19)
となる.(A. 19)を(A. 4)に代入すれば,
E(n)=
∫
n0pj yj dj=∫
n0Xpj μ/(1−μ)+1dj/ [
∫
n0pj 1/(1−μ)d j]μ
=n1−μPX (A. 20)
を得る.ただし,
P=[(1/n)
∫
n0pj 1/(1−μ)dj]1−μ とする.(A. 20)より,
(A. 21)
となるから,(A. 19)は
(A. 22)
となる.ただし,
P=[(1/n)
∫
n0(pj)1−εd j]1/(1−ε) である.(A. 22)を(10)に代入すれば,
Y=(n−(1−1/μ)
∫
n0(yj)1/μd j)μ={n(1−1/μ)
∫
n0[(pj/ P)−ε(E / Pn)]1/μd j}μ=(1/ P−ε)(E / P){[(1/n)
∫
n0pj1−εd j]1/(1−ε)}−ε
=(1/ P−ε)(E / P) P−ε
を得る.
Xpj μ/(1−μ)
(
∫
n0 pj1/(1−μ)d j)μ yj=E n1−μP
E n1/(1−ε)P X= =
Xpj −ε (
∫
n0 pj1/(1−μ)d j)μ yj=( )
pPj( )
PnE= −ε
E
=P
( )
C1 (∫
n X0 pj1/(1−μ)d j)μ
μ/(1−μ)
=
【参考文献】
Benassy Jean-Pascal, (2002) The macroeconomics of Imperfect Competition and Nonclearing Markets−A Dynamic General Equilibrium Approach, The MIT press.
Blanchard, O., and Kiyotaki, N., (1987) Monopolistic Competition and the Effects of Aggregate Demand, American Economic Review, Vol. 77, pp. 647-666.
Molana, H., and Zhang, J., (2001) Market Structure and Fiscal Poicy, Scand. J. of Economics, Vol. 103, pp. 147-164.
The Doshisha University Economic Review Vol.56 No.1 Abstract
Nobutaka KAWAI, A Note on Market Structure and Fiscal Policy
In a monopolistic competition macromodel with endogeneous market struc- ture, Molana and Zhang (2001) propose a more general framework which allows for a firm s market power to both affect and be affected by fiscal policy. But their analysis exhibits several drawbacks which should be clearly modified if one wants to have a satisfactory study of macromodels that introduce goods market imper- fections.
The aim of this paper is make clear what, in our view, the weak points in Molana and Zhang's analysis are, and to formulate a more satisfactory macromodel which basically follows in their analysis.