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企業価値の決定要因について ―財務データによる クロスセクション分析―

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(1)

企業価値の決定要因について ―財務データによる クロスセクション分析―

著者 中尾 武雄, 青田 忍

雑誌名 經濟學論叢

巻 56

号 4

ページ 133‑152

発行年 2005‑02‑28

権利 同志社大学経済学会

URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000004805

(2)

【研究ノート】

企業価値の決定要因について

―財務データによるクロスセクション分析―

中 尾 武 雄 青 田   忍

1

は じ め に

本稿では,財務データを用いて企業価値を決定する要因をクロスセクション 分析する.具体的には,1999 年と1989 年の製造業と非製造業の企業約500 社

から1000 社を対象に,年間最高株価と最低株価の平均値に発行済み株式数を

掛けた値を被説明変数とし,さまざまな財務データ約70 個を説明変数として回 帰分析を行う.

企業ガバナンスに関連した論文では,企業価値そのままではなく,トービン

のQ を分析対象とするのが普通である.トービンのQ は,投下資本に対する収

益率のようなものであるが,日本の場合には,統計的に,トービンのQ が1 を 下回っている場合でも相応の設備投資が行われており,その利用には問題があ ると思われる.利潤を株主に配当として配る傾向が強いアメリカ企業と比較す れば,日本企業は利潤を再投資して売上高やシェアの増加を目指す傾向がある.

ところが,配当と投資の差が,企業価値とトービンのQ に与える影響は大きい と予想される.企業が積極的に投資すれば,企業規模が拡大して長期的に利潤 は増加するであろうから,将来利潤の割引現在価値合計としての企業価値も増 大する可能性が高い.しかし,投資機会が非常に豊富な産業でもないかぎり積 極的な投資は,投下資本に対する収益率を次第に低下させ,トービンのQ も低 下させる.したがって,日本企業の場合には,企業価値とトービンのQ の動き

(3)

には乖離があった可能性があり,利潤を積極的に再投資して企業価値を高めて きた日本企業の行動の影響を分析するためには,トービンのQ よりも企業価値 そのものを使うほうが興味深い結果が得られると思われる1)

企業価値という表現は,企業の将来の営業活動と営業外活動のキャッシュフ ローの割引現在価値合計として使われることもあるが,この値から負債を差し 引いた値として使われることもある.将来のキャッシュフローが予見可能であ れば,企業の将来の営業活動と営業外活動のキャッシュフローの割引現在価値 合計が企業の市場価値,すなわち株価に発行済み株式数を掛けた値に等しくな るはずである.ところが,例えばこの論文で分析の対象とする1999 年につい て,企業の市場価値から負債を差し引いた値を計算すると,68%強の企業がマ イナスとなる2).これは企業の市場価値から負債を差し引いた値を用いることの 合理性に問題がある可能性を示唆していると思われる.企業価値の研究では後 者を利用するのが普通であるが,この論文では企業価値として企業の市場価値 そのものを被説明変数とする.ただし,説明変数の1 つとして負債そのものも 用いる.もし,被説明変数として市場価値から負債を差し引いた値を用いるの が正しいとすれば,説明変数としての負債の推定係数は負債が企業の市場価値 に与える影響を表す値より1 だけ大きくなるはずである.

上記のように説明変数の数が非常に多くなるのは企業価値に影響を与える要 因としていろいろな要因が考えられるためである.まず考えられるのは,経営 戦略であるが,これはその企業のさまざまな財務データによって把握できる.

例えば,企業の財務状況である.具体的には,当該企業の企業規模や利潤率,

1)平成の長期不況時代には投資機会が乏しくなったため日本企業は,利潤を有利子負債の返済に使 う傾向が出てきた.これは投下資本に対する収益率には大きい影響を与えないが,企業の将来の純 利益を増加するから,企業価値を増加する効果がある.したがって,この場合にも,企業価値とト

ービンのQ の間には乖離が生じる.また, 日本的な経営の下で,より過剰な投資が行われているこ

とは,米倉・佐々木(2001)で実証されている.

2)1999 年にデータが収集可能であった1972 社について計算した結果,企業の市場価値から負債を

差し引いた値がプラスであった企業は620社であった.この値が自己資本より大きい企業は195 社で しかない.また,負債ではなく固定負債を差し引いた場合でも,492 社がマイナスとなるし,自己 資本より大きくなるのは392 社でしかない.

(4)

あるいは負債比率などが考えられる.次に,その企業が所属する産業の特性も 重要である.例えば,4 社あるいは10 社集中度,ハーフィンダール指数,企業 数などである.また,その産業における企業の位置を示す変数としては,マー ケットシェアや企業規模の順位などが考えられる.更に重要と考えられるのは,

さまざまな変数の長期的・短期的なトレンドである.例えば,売上高増加率の趨 勢や賃金上昇率の趨勢などいろいろな変数の趨勢が重要である.この論文では,

重要な説明変数の欠如による影響を避けるため,多くの説明変数を採用してい る.

先行研究としては,1990年代以降,株主構成と企業ガバナンスの関係が注目 されるようになった結果,このアプローチから多くの論文が存在する3).しか し,そのどの論文も,企業の市場価値を決定する要因を総合的に解明している とは言えないため,計量経済学的には,重要な説明変数の欠如による推定結果 の偏りの可能性がある.この論文では,分析対象企業数を多くすることによっ て,説明変数の数の上限を引き上げることで,この問題を出来るだけ回避する ことを目論んでいる.

以下では,2 節で理論モデルの紹介,説明とデータの説明を行い,3 節で推 定結果の提示と分析を行い,4 節で分析の要約を行う.

2

モデルとデータ

2. 1 企業価値に関する理論モデルについて

経済理論によれば,企業は利潤の割引現在価値合計を最大化する.そのとき の制約条件は,資本の増加は投下資本から資本減耗を差し引いた値となるとい う動学的な関係と資本量の初期条件である.したがって,企業は企業価値を最 大化していることになる.財市場,資本市場,労働市場の全市場が完全競争の

3)例えば,Hiraki et. al.(2003)では財務データに加えニッセイ基礎研究所のデータセットを用い,

トービンのQ に対する回帰分析を行っている.その他の先行研究については,西崎・倉澤(2002)

を参照.

(5)

条件を満たし,現在および未来の情報も完全で,すべての企業に長期均衡が存 在し,しかも,その長期均衡にあり,外生的な変化がいっさい発生しないと仮 定すれば,企業価値は簡単に表現できる.企業は無限の期間にわたって,長期 利子率に資本量を乗じた値と危険報酬の合計を正常利潤として得る.したがっ て,企業価値は,この正常利潤を時間割引率で割った値となる.この場合には,

企業価値に差が生じるのは,危険報酬と時間割引率と企業規模に差がある場合 だけである.もし完全予見で危険報酬が存在せず,時間割引率さえもが同一で あれば,企業価値は企業規模に比例することになる.この場合,通常のU-字型 の費用曲線を持つような技術条件であれば,企業価値は各産業の基本的技術条 件によって決定される.

現実には,企業が将来得る利潤の大きさは企業によって異なる.企業の得る 利潤はさまざまな要因の影響を受けるから,企業価値も,当然,これらの要因 の影響を受ける.したがって,企業価値に影響を与える要因を明らかにするた めには,企業の将来利潤に影響を与える要因について考える必要がある.

まずは企業が利潤を最大化しているという前提である.いわゆる所有と経営 の分離が進んでいるため,企業統治という問題が生じる.この結果,経営者が どの程度利潤最大化に努力するかは,どのような経済主体が株主であるかによ って変化すると思われる.いろいろ可能性が考えられるが,例えば,個人株主 が多い場合には,経営者の自由裁量の余地が広くなるというような考え方,あ るいは,企業グループの間での株式持合比率が高い場合には,経営者がお互い に自由な行動を認め合うため,株主からの圧迫が弱くなって利潤最大化行動か ら乖離した行動が生じるかもしれない.したがって,企業の株主構成が企業価 値に影響を与える可能性がある.

財市場も資本市場も労働市場も完全ではない.製造業では,ほとんどの財市 場は程度の差こそあれ不完全で,企業に独占力がある可能性が高い.特に,産 業集中度が高い産業や製品差別化している産業では,企業に価格支配力が発生 し,利潤が大きくなる可能性がある.同じ市場に存在しても,企業の位置が異

(6)

なれば,企業が得る利潤の大きさも異なる.したがって,企業の市場における 順位やマーケットシェアの大きさも利潤に影響を与える可能性がある.資本市 場の不完全性も,企業に資金面での制約となって利潤に影響を与える.例えば,

投資機会があっても,情報の非対称性の存在で資本市場から十分な資金が得ら れないような状況であれば,企業の自己資金の豊富さ,具体的には,自己資本 や収益力などが,企業の将来利潤に影響を与える.さらに,労働市場の不完全 性も重要になる可能性がある.企業の利潤獲得力は,長期的には企業の人的資 源に依存している.したがって,情報が非対称性な労働市場から,有能な労働 者や経営者を集められた企業こそが長期的に高い利潤を得て,企業価値も大き くなると考えることもできる.

企業価値は将来利潤の割引現在価値合計であるから,将来に関する情報の不 完全性が,企業価値に大きい影響を与える.証券市場で株の売買に参加する経 済主体は,将来の利潤に影響を与える要因を現在と過去の情報に基づいて予想 するしかない.したがって,上で説明された利潤に影響を与える要因の現在と 過去の値の変化の大きさや趨勢が企業の市場価値に重要な影響を与えると予想 される.

2. 2 推定モデル:説明変数

被説明変数は,分析対象年の最高株価と最低株価の平均値に発行済み株式数 を掛けた値とする.説明変数については,前節の理論モデルの考え方に基づい て,全部で68個を採用する.一般的な説明変数としては,配当(DIVIDA),固 定資産(KOTEA),償却対象資産(SYOKYAA),資産合計(SSNA),負債合計

(FSIA),売上高(UA),販売費・一般管理費(KANRIA),営業利益(EGA),当 期利益(TRA),輸出売上高(EXA),発行済み株式数(KBA),従業員数(NINA), 広告・宣伝費(ADA),賃金率(WGA),研究開発費(RDA)の15個,また,比 率形式などの説明変数としては,営業利益・総資産利潤率(RJRA),人的資源 比率(HUMSGNA), 負債比率(FSIHA), 広告比率(ADHA), 研究開発比率

(7)

(RDHA), 輸出比率(EXHA), 管理費比率(KANRIHA), グループ持株比率

(GRPKBHA),10大株主持株比率(TENHA),特定株主持株比率(FEWHA),個 人株主持株比率(KOJINHA),マーケットシェア(MSH),4社集中度(CR),ハ ーフィンダール指数(HD),産業内順位(RANK)の15個である.これらの説 明変数が利潤に与える影響については,ほとんどのケースで中尾(1997),(2001)

で説明されたり,確認されたりしているので,ここでは説明を省略する.ただ し,配当は,利潤率に影響を与える要因として考えられることはない.しかし,

企業価値は将来分配される配当の割引現在価値合計になるとする考え方もある くらいであるから,企業価値の説明変数として配当を欠かすことはできない.

利潤に影響を与える要因の現在と過去の値の変化の大きさや趨勢を表す動学 的な変数としては,上記の30個の変数のすべてが,重要である可能性はある が, 採用したのは, 変化分形式での説明変数( 短期, 長期)が, 配当変化

(DTDIVIDB, DTDIVIDC),利潤率変化(DTRJRB, DTRJRC),負債比率変化(DTF- SIHB, DTFSIHC),資産変化(DTSSNB, DTSSNC),負債変化(DTFSIB, DTFSIC), 売上高変化(DTUB, DTUC),営業利益変化(DTEGB, DTEGC),研究開発支出変 化(DTRDB, DTRDC),広告支出変化(DTADB, DTADC),研究開発比率変化

(DTRDHB, DTRDHC),広告支出比率変化(DTADHB, DTADHC),賃金率変化

(DTWGB, DTWGC), 売 上 総 利 益 変 化(DTURB, DTURC), 当 期 利 益 変 化

(DTTRB, DTTRC)の 28個,変化率形式での説明変数が,負債比率変化率

(GRFSIHB, GRFSIHC),負債変化率(GRFSIB, GRFSIC),売上高変化率(GRUB, GRUC),売上総利益変化率(GRURB, GRURC),資産変化率(GRSSNB, GRSSNC)

の10個である.なお,括弧内の説明変数の省略記号で,先頭のDTは変化分,

GRは成長率,最後のBは短期の値,Cは長期の値であることを示す.詳細な 説明は行わないが,これらの動学的な説明変数は,理論的な分析と試験的な実 証分析の結果に基づいて採用した.ここで短期の変動とは過去1年の間の変化 あるいは変化率を意味し,長期とは過去5年の間の変化あるいは変化率を意味 する.

(8)

2. 3 データの説明

企業の市場価値も景気の影響を受けるであろうから,好況期と不況期を分析 して比較することが望ましい.そこで,分析対象として1989年と1999年を選 択する.ほとんどの企業の決算月は3月のため,実質的には1988年度と1998 年度を分析することになる.日本経済の1988年度は名目成長率は6.7%,景気 動向指数・一致系列の最高値は100 で好況期,1998 年度の名目成長率は2.0%,

景気動向指数・一致系列は最高で45.5で不況期であった.

分析対象とした企業は,日経 NEEDSのCD-ROMによる財務データより必 要なデータがすべて入手できた企業とする.具体的には,1989 年は1291 社,

1999年は1891社である.また,企業の市場価値を決定するメカニズムは,製 造業と非製造業では,顕著な差がある可能性があることを考慮して,これらの 分析対象企業を製造業と非製造業に2分し,それぞれのグループについて分析 する.この結果,1989年は製造業808社と非製造業483 社,1999年は1061 社と830社となった.推定方法は通常の最小自乗法である.

3

推定結果と分析

3. 1 1989年の推定結果

1989 年の推定結果が第 1  表から第 5  表に示されている.これらはすべての 説明変数を同時に使って推定されたものであるが,推定結果が多いため分散し て表にしている.自由度修正済み決定係数は製造業が0.98,非製造業が0.95で ある.推定係数の右の括弧内の値はt-値である.また,製造業の場合には,

LM検討でもWhite検定でも不均一分散の存在が否定できなかったため,それ

に対応した方法(Eicker-White asymptotic formula)で標準誤差を推定してい る.

推定結果で,驚くべきは,その説明力(決定係数)の高さである.ほとんど 100%に近い値である.言い換えれば,この推定モデルで使われた財務データの みの説明変数で,市場の企業価値はほぼ完全に説明できることになる.ただし,

(9)

注意すべきは,この推定モデルが説明しているのは,個々の企業の相対的な企 業価値の高さであって,企業価値の絶対的な水準とは関係がない点である.例 えば,好況期にはほとんどすべての企業の株価が上昇して企業価値も増加する

製 造 業  非 製 造 業 

切片  DIVIDA KOTEA SYOKYAA SSNA FSIA UA KANRIA EGA TRA EXA KBA NINA ADA WGA RDA

-0.05  8.42  -0.19  -1.23  2.06  -1.88  0.38  -1.34  1.58  1.87  -1.24  0.65  -6.91  18.34  -0.24  9.68

(-0.01) 

(0.42) 

(-0.37) 

(-1.65) 

(3.25) 

(-3.08) 

(3.14) 

(-1.80) 

(0.51) 

(0.32) 

(-4.20) 

(6.51) 

(-1.31) 

(3.00) 

(-0.83) 

(2.68) 

-9.00  -58.84  0.82  -0.79  2.76  -2.88  -0.22  1.50  10.76  -19.82  0.70  1.02  5.94  0.09  0.53  -2.75

(-0.47) 

(-3.23) 

(3.00) 

(-2.62) 

(2.97) 

(-3.02) 

(-3.90) 

(2.03) 

(4.19) 

(-2.40) 

(3.06) 

(17.40) 

(2.00) 

(0.01) 

(1.06) 

(-0.14) 

  第 1 表 企業価値の推定結果:一般的な説明変数:1989

製 造 業  非 製 造 業 

RJRA HUMSGNA FSIHA ADHA RDHA EXHA KANRIHA GRPKBHA TENHA FEWHA KOJINHA MSH CR HD RANK

0.29  9.68  0.02  -0.61  -0.64  0.06  0.12  -0.03  0.06  -1.68  -8.51  -0.01  -0.01  4.67  -0.02

(2.64) 

(0.82) 

(0.73) 

(-2.89) 

(-2.29) 

(2.53) 

(1.61) 

(-0.50) 

(1.63) 

(-0.55) 

(-1.35) 

(-0.29) 

(-0.35) 

(0.49) 

(-0.46) 

0.21  -54.11  -0.01  -0.48  -3.19  -0.02  0.30  0.01  0.05  2.64  6.29  0.00  -0.03  0.28  -0.10

(0.72) 

(-3.10) 

(-0.20) 

(-0.91) 

(-1.65) 

(-0.19) 

(3.26) 

(0.08) 

(0.73) 

(0.47) 

(0.32) 

(-0.05) 

(-0.35) 

(0.02) 

(-1.17) 

第 2 表 企業価値の推定結果:比率の説明変数など:1989

(10)

であろうが,この推定モデルは,そのような変動とはまったく関係がない.あ くまで,他の企業と比較して,個々の企業の市場価値がどのように決定される かを分析しているのである.

ところが,統計的に有意になった説明変数はそれほど多くない.これは説明 変数の間の相関係数が高く多重共線性が存在するためかもしれない.実際,例

製 造 業  非 製 造 業 

DTDIVIDB DTRJRB DTFSIHB DTSSNB DTFSIB DTUB DTEGB DTRDB DTADB DTRDHB DTADHB DTWGB DTURB DTTRB

23.98  -0.04  0.09  2.23  -1.37  -0.47  1.89  -8.47  -2.23  0.98  0.45  -0.47  0.82  -3.19

(0.92) 

(-0.33) 

(1.05) 

(1.10) 

(-0.60) 

(-0.75) 

(0.39) 

(-1.43) 

(-0.13) 

(2.49) 

(0.61) 

(-0.85) 

(0.21) 

(-0.81) 

-41.27  0.14  0.00  -2.51  2.67  0.43  6.40  43.26  32.74  -10.24  -1.17  -0.33  -2.01  -5.63 

(-0.59) 

(0.25) 

(0.01) 

(-1.72) 

(1.89) 

(1.78) 

(0.97) 

(0.71) 

(0.92) 

(-1.20) 

(-0.46) 

(-0.27) 

(-0.45) 

(-1.05) 

第 3 表 企業価値の推定結果:短期変化分の説明変数:1989

製 造 業  非 製 造 業 

DTDIVIDC DTRJRC DTFSIHC DTSSNC DTFSIC DTUC DTEGC DTRDC DTADC DTRDHC DTADHC DTWGC DTURC DTTRC

-6.78  -0.24  0.04  -1.29  1.16  0.06  -1.90  -4.47  -21.78  -0.03  0.64  0.16  -0.26  8.55

(-0.39) 

(-3.17) 

(0.87) 

(-1.08) 

(0.93) 

(0.40) 

(-0.89) 

(-1.22) 

(-1.84) 

(-0.12) 

(1.98) 

(0.60) 

(-0.19) 

(2.58) 

118.66  -0.47  0.02  -3.17  3.35  0.18  8.24  49.18  10.23  -0.49  0.21  0.04  -3.37  21.15

(3.98) 

(-1.70) 

(0.18) 

(-2.21) 

(2.31) 

(2.27) 

(2.91) 

(1.33) 

(0.47) 

(-0.26) 

(0.44) 

(0.05) 

(-1.30) 

(3.18) 

第 4 表 企業価値の推定結果:長期変化分の説明変数:1989

(11)

えば,資産と負債の間の相関係数は0.96と非常に高い.それでも製造業で24 個,非製造業で25個の説明変数が10%水準で統計的に有意になっている.説 明変数の数が多く,そのすべてについて言及はできないので,以下では興味深 いと思われるものをまとめて分析する.

資産構成の影響

企業の資産は資本と負債に分解されるため,自己資本比率は1から負債比率 を差し引いた値となる.自己資本比率が高いことは豊富な自己資金を意味し,

不完全な資本市場のもとでは,企業価値を高める可能性があるが,推定結果で は負債比率は統計的に有意でなく否定的である.ただし,負債額は製造業でも 非製造業でも統計的に有意であり,符号がマイナスであることから負債額が大 きいほど企業価値が低下するらしいことが分かる.

株主構成の影響

株主構成に関連する説明変数は,1個の例外を除き統計的に有意でなく,予 想外の結果である.しかし,株主構成の差は企業統治を変化させて企業行動に 影響を与えるという仮説を分析するためには,説明変数に,利潤や利潤率ある いは企業規模を表すものを多数含めるのは適切ではない.企業統治はこれらの 変化を通じて企業価値に影響を与えるからである4).そこで,利潤,利潤率,企 業規模に関連する説明変数をすべて5)除去して推定し直してみると違った結果

製 造 業  非 製 造 業 

GRFSIHB GRFSIB GRUB GRURB GRSSNB GRFSIHC GRFSIC GRUC GRURC GRSSNC

14.30  -14.72  1.03  -0.03  13.50  -2.01  0.49  1.09  0.07  -0.40

(1.70) 

(-2.24) 

(0.36) 

(-0.76) 

(2.23) 

(-0.84) 

(0.56) 

(1.61) 

(1.45) 

(-0.74) 

-7.16  0.07  1.74  -0.32  0.64  2.52  -0.84  -1.09  0.48  0.61

(-0.21) 

(0.00) 

(0.18) 

(-0.29) 

(0.04) 

(0.51) 

(-0.67) 

(-0.59) 

(0.40) 

(0.43) 

第 5 表 企業価値の推定結果:短期・長期の変化率の説明変数:1989

(12)

になる.スペースの関係で,すべての推定結果を示すことはできないが製造業 の場合に,以下の3説明変数が統計的に有意になった.

推定係数 t-値 グループ持株比率 -0.15 -1.85 特定株主持株比率 -6.29 -1.90 個人株主持株比率 -25.87 -3.05

したがって,企業グループの株持ち合い比率が高い場合,特定株主(上位10 大株主と役員など)や個人の持ち株比率が高い場合には,企業価値が低下する という結果が得られる.これらはいずれも予想と一致している.特に,個人株 主持株比率は推定係数も大きく,p-値も0.002で非常に低いことから,企業価 値低下に与える影響は重要と思われる.

産業構造の影響

産業構造を示す説明変数はどれも統計的に有意になっていない.ところが,

この説明変数も株主構成と同じ問題を抱えている.すなわち,市場構造が競争 的でない産業では,企業が価格支配力を使って利潤や売上高を増加することで 企業価値を高めると考えられる.したがって,利潤や企業規模に関連する説明 変数が含められると,産業構造が企業価値に与える影響を捕らえることはでき ない.そこで,この場合にも,利潤や企業規模に関連する説明変数を除去して 推定してみた.その結果,4社集中度CRとハ−フィンダ−ル指数HDが10%

水準で統計的に有意になった.ただし,推定係数は製造業では4社集中度がマ

4)例えば,A がB に与える影響を通じてC に影響を与える場合に,C を被説明変数とし,A とB

を説明変数とすると,A がC に与える影響を把握することはできない.B のほうがより直接的にC に影響を与えているからである.このような場合にはB を説明変数から除去すれば,A がC に与え る影響を見ることができる.

5)除去した説明変数は,固定資産(KOTEA),償却対象資産(SYOKYAA),資産合計(SSNA),

負債合計(FSIA),売上高(UA),営業利益(EGA),当期利益(TRA),発行済み株式数(KBA) 従業員数(NINA),営業利益・総資産利潤率(RJRA)である.

(13)

イナスでハ−フィンダ−ル指数がプラス,非製造業では,その反対になった.4 社集中度は産業の大企業の重要性を示すのに対して,ハ−フィンダ−ル指数は,

競争的周辺部の重要性も考慮した変数である.したがって,製造業では,競争 的周辺部が少なく,上位企業のマーケットシェアが低いほど企業価値は高くな るのに対して,非製造業では,上位企業のマーケットシェアが高く,競争的周 辺部が少ないほど企業価値は高くなるというような対照的な結果となった.

短期・長期趨勢の影響

特に目を引くのは,長期趨勢と短期趨勢を比較すると,短期趨勢で統計的に 有意になっている説明変数はほとんど存在しないのに対して,長期趨勢の説明 変数にはある程度統計的に有意なものがある点である.このことから企業の市 場価値の決定には短期の変動よりは長期の趨勢が重要な役割を果たすらしいこ とが推測できる.

変化分や成長率に関する説明変数は,利潤に影響を与える要因の過去の変化 や趨勢を表す動学的な変数であるが,これらの変数についても株主構成や産業 構造で述べたのと同じ問題がある.さまざまな変数の過去の変化や趨勢は,現 在の利潤や企業規模に反映されるからである.したがって,説明変数から利潤 や企業規模に関するものを除去すれば,多くの変化分や成長率の説明変数が統 計的に有意となると思われる.実際,利潤や企業規模に関連する説明変数を除 去して推定すると,製造業では短期趨勢で7個(うち変化分が5 個),長期趨 勢で9個(内変化分が7個)が統計的に有意となった.非製造業でも,短期趨 勢が6個(すべてが変化分),長期趨勢が10 個(すべてが変化分)が統計的に 有意となった.したがって,短期趨勢も長期趨勢も企業価値に影響を与えてい ると思われるが,それらの影響のほとんどは現在の変数に体現されてしまって いると結論できる.

製造業と非製造業の差異

製造業と非製造業の差で最も際だつのは,広告支出,研究開発支出,人的資 源が企業価値に与える影響である.非製造業では,研究開発比率が10%水準で

(14)

有意になっただけであるが,製造業の場合には,広告支出,研究開発支出は1

%水準で,広告比率,研究開発比率は5%水準で統計的に有意である6).対照 的に人的資源の場合は,製造業では有意にならなかったが,非製造業では1%水 準で有意である.製造業では,財を生産しているため品質改善や新製品開発の ための研究開発が重要な役割を占めていること,また,改善された品質の製品 や新製品を導入する際には広告キャンペーンが重要であること,一方,非製造 業では,サービスを提供する企業が多いため人的資源が重要であることなどを 考えれば,これらの結果も納得できるかもしれない.

3. 2 1999年の推定結果

1999年の推定結果が第 6 表から第 10 表に示されている.これらも,すべて の説明変数を同時に使って推定されたものであるが,推定結果が多いため分散 して表にしている.自由度修正済み決定係数は製造業が0.91,非製造業が0.94 である.今回も,製造業では,LM検定でもWhite検定でも不均一分散の存在 が否定できなかったため,それに対応した方法(Eicker-White asymptotic for- mula)で標準誤差を推定している.

1989 年に比較すると,1999年ではモデルの説明力が小さくなっている.自 由度修正済み決定係数も低下しているし,統計的に有意な説明変数も少なくな っている.ただし,非製造業では,長期・短期の趨勢を表す説明変数の多くが統 計的に有意になっている.以下では,1989年と比較しながら推定結果の分析を 行う.

資産構成の影響

好況期の1989年では負債額は製造業でも非製造業でも統計的に有意で符号

6)製造業では,広告支出と研究開発支出の推定係数の符号はプラスであるが,広告比率も研究開発 比率も推定係数の符号はマイナスである.広告支出や研究開発支出の大きい企業は企業価値を高め るが,広告比率や研究開発比率が高い企業は低めるという結果である.広告比率や研究開発比率が 高いということは売上高に占める広告費用や研究開発費用が大きいことを表すから,合理的な結果 と思われる.

(15)

がマイナスであったが,不況期の1999年でも,製造業,非製造業ともに負債 額は1%水準でマイナスで統計的に有意であった7)

製 造 業  非 製 造 業 

切片  DIVIDA KOTEA SYOKYAA SSNA FSIA UA KANRIA EGA TRA EXA GRPKBA NINA ADA WGA RDA

19.03  32.86  0.76  -1.35  1.36  -1.99  0.11  -2.76  1.45  5.13  0.45  -0.11  -5.84  10.60  -0.05  14.15

(2.07) 

(0.96) 

(1.77) 

(-2.91) 

(2.56) 

(-3.53) 

(0.54) 

(-2.10) 

(0.32) 

(0.98) 

(1.25) 

(-0.76) 

(-0.53) 

(1.31) 

(-0.10) 

(6.59) 

-18.33  56.69  1.13  -1.35  1.24  -1.36  0.04  0.83  -5.63  -1.40  -0.63  -0.22  0.18  -3.14  0.05  55.02

(-1.94) 

(4.19) 

(7.19) 

(-7.01) 

(3.75) 

(-4.05) 

(0.62) 

(4.04) 

(-4.18) 

(-0.39) 

(-2.08) 

(-3.57) 

(0.07) 

(-0.65) 

(0.14) 

(6.29) 

  第 6 表 企業価値の推定結果:一般的な説明変数:1999

製 造 業  非 製 造 業 

RJRA HUMSGNA FSIHA ADHA RDHA EXHA KANRIHA GRPKBHA TENHA FEWHA KOJINHA MSH CR HD RANK

-0.15  0.25  0.09  0.04  -0.76  -0.02  -0.03  -0.30  0.01  2.49  -26.07  0.02  0.08  -9.69  0.07

(-0.80) 

(0.01) 

(2.97) 

(0.07) 

(-2.08) 

(-0.41) 

(-0.25) 

(-3.11) 

(0.36) 

(0.67) 

(-2.65) 

(0.38) 

(1.48) 

(-1.39) 

(1.57) 

-0.12  -9.62  0.00  0.02  -4.46  0.09  0.04  0.10  0.08  0.33  6.48  -0.06  0.05  -4.91  -0.04

(-0.34) 

(-0.49) 

(-0.09) 

(0.03) 

(-2.11) 

(0.93) 

(0.46) 

(1.01) 

(0.91) 

(0.05) 

(0.73) 

(-0.67) 

(0.64) 

(-0.38) 

(-0.51) 

第 7 表 企業価値の推定結果:比率の説明変数など:1999

7)製造業では,負債比率もプラスで統計的に有意であるが,これらの結果を合理的に解釈するのは難しい.

(16)

株主構成の影響

株主構成に関連する説明変数は,製造業でグループ持株比率と個人株主持株 比率が1%水準で統計的に有意となった.符号がマイナスであるから,これら の結果も1989年と一致している.ただし,1989年の場合には,利潤や企業規模 に関する説明変数を除去して初めて有意になったのであるが,1999年の場合に

製 造 業  非 製 造 業 

DTDIVIDB DTRJRB DTFSIHB DTSSNB DTFSIB DTUB DTEGB DTRDB DTADB DTRDHB DTADHB DTWGB DTURB DTTRB

-22.45  0.24  0.00  4.41  -5.90  -0.28  -8.67  7.44  27.26  0.55  -1.16  0.30  -3.71  0.99

(-0.72) 

(1.31) 

(0.01) 

(1.56) 

(-1.59) 

(-0.20) 

(-1.10) 

(0.40) 

(1.04) 

(0.72) 

(-0.96) 

(0.51) 

(-0.49) 

(0.51) 

-70.42  0.01  0.17  1.41  -1.31  0.37  -7.15  -169.25  42.99  12.44  -1.27  -1.64  12.81  1.46

(-2.61) 

(0.03) 

(0.39) 

(1.70) 

(-1.61) 

(1.81) 

(-2.35) 

(-5.36) 

(2.03) 

(3.41) 

(-0.53) 

(-1.74) 

(4.97) 

(1.52) 

第 8 表 企業価値の推定結果:短期変化分の説明変数:1999

製 造 業  非 製 造 業 

DTDIVIDC DTRJRC DTFSIHC DTSSNC DTFSIC DTUC DTEGC DTRDC DTADC DTRDHC DTADHC DTWGC DTURC DTTRC

18.27  -0.26  0.30  0.11  0.38  1.56  13.70  -14.73  -27.33  -0.83  1.90  1.66  -6.18  -2.85

(0.51) 

(-1.95) 

(2.48) 

(0.08) 

(0.22) 

(2.47) 

(4.10) 

(-1.55) 

(-1.42) 

(-1.54) 

(1.92) 

(2.68) 

(-2.39) 

(-0.70) 

77.85  0.96  0.21  2.29  -2.52  -0.13  6.40  115.00  4.33  -10.79  0.85  0.09  -2.81  -1.57

(3.57) 

(3.25) 

(0.96) 

(3.89) 

(-4.13) 

(-1.67) 

(2.96) 

(5.47) 

(0.41) 

(-4.21) 

(0.68) 

(0.16) 

(-2.79) 

(-0.49) 

第 9 表 企業価値の推定結果:長期変化分の説明変数:1999

(17)

は,すべての説明変数を含めた状態で有意になった.不況期には,株主構成の 企業価値への影響は好況期よりも直接的に表れたことになる.不況期には,利 潤や企業規模とは関係なく,企業統治のゆるみが企業価値を低下させるらしい ことがわかる.

産業構造の影響

産業構造を示す説明変数はどれも統計的に有意になっていない.利潤や企業 規模に関連する説明変数を除去して推定しても結果は同じである.この結果よ り,不況期には,産業構造は企業価値に影響を与えない可能性があることがわ かる.産業構造が独占的で企業に価格支配力があっても,深刻な不況期でデフ レ基調の時代には市場も競争的になって価格を吊り上げることができなかった ためかもしれない.

短期・長期趨勢の影響

興味深いのは,製造業では短期趨勢がほとんど統計的に有意になっていない のに対して,非製造業では,短期趨勢関連でも長期趨勢関連でもほとんどの説 明変数が統計的に有意になっている点である.製造業は景気循環に伴って相対 的に大きく変動するのに対して,非製造業ではそれほど変動しない.このため 景気循環の底にあるような状況では8),製造業では短期趨勢は,長期的な利潤の

製 造 業  非 製 造 業 

GRFSIHB GRFSIB GRUB GRURB GRSSNB GRFSIHC GRFSIC GRUC GRURC GRSSNC

35.52  -27.02  4.04  0.11  21.10  -14.47  -1.22  0.33  0.00  0.61

(1.36) 

(-1.23) 

(0.70) 

(0.64) 

(1.17) 

(-2.21) 

(-0.41) 

(0.17) 

(-3.77) 

(0.24) 

-4.76  17.13  -25.82  -1.96  -63.22  -44.97  27.55  -6.18  0.67  -1.30

(-0.11) 

(0.52) 

(-2.26) 

(-0.95) 

(-1.88) 

(-3.43) 

(6.81) 

(-3.09) 

(1.46) 

(-0.58) 

第 10 表 企業価値の推定結果:短期・長期の変化率の説明変数:1999

8)1998 年には12 ヶ月のうち8 ヶ月で景気動向指数が20 以下になっている.

(18)

割引現在価値合計である企業価値には影響を与えないと思われる.

製造業と非製造業の差異

1989 年で顕著であった広告支出と研究開発支出の製造業・非製造業間の差異 は不況期には消滅している.1999年の場合には,広告関連の説明変数はすべて 統計的に有意でないのに対して,研究開発関連の説明変数は製造業でも非製造 業でも統計的に有意となっている.不況期には企業は広告支出を削減するのが 普通であるから,広告関連の説明変数が企業価値に与える影響も低下する可能 性が高い.これに対して,研究開発支出は不況期でもその重要性を失わないと 言える.研究開発支出が非製造業でも統計的に有意になったのは,この10年 間で非製造部門でも研究開発が重要になってきた結果であろう.

4

お わ り に

この論文では,財務データを用いて企業価値を決定する要因をクロスセクシ ョン的に分析した.具体的には,1989 年と1999 年の製造業と非製造業を対象 に年間最高株価と最低株価の平均値を被説明変数とし,さまざまな財務データ 約70個を説明変数として回帰分析を行った.その結果以下のような結論を得て いる.

(1)負債額は製造業でも非製造業でも好況期でも不況期でも統計的に有意で符 号はマイナスであった.したがって,負債額の多いほど企業価値が低下するよ うである.

(2)株主構成では,グループ持株比率,少数特定株主持株比率,個人株主持株 比率が好況期でも不況期でも企業価値に影響を与える可能性があることが分か った.いずれも推定係数の符号はマイナスであるから, 関連企業や特定株主あ るいは個人株主が多くの株を保有している場合には,企業統治に問題が生じて 企業価値を低下させるようである.

(3)産業構造を示す説明変数は好況期には統計的に有意になったが不況期には 有意にならなかった.不況期には企業の価格支配力も効果が発揮できなかった

(19)

ためと思われる.

(4)1989 年には,製造業と非製造業の間で,広告支出,研究開発支出,人的 資源が企業価値に与える影響に顕著な差異があった.製造業では広告支出も研 究開発支出も企業価値に重要な影響を与えた.一方,人的資源は,製造業では 重要でないが非製造業では企業価値決定に重要な役割を果たした.ところが、

1999年の不況期には,広告支出,研究開発支出,人的資源の製造業・非製造業 間の差異は消滅した.

この論文では1989 年と1999 年の2 年しか分析の対象としていないため,こ れらの年の特殊要因の影響を受けている可能性が高い.次のステップではパネ ルデータ分析で広範囲の年代をカバーしてより普遍的な結果を得たいと考えて いる.

(20)

【参考文献】

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(21)

The Doshisha University Economic Review Vol.56 No.4

Abstract

Takeo NAKAO, and Shinobu AOTA, The Determinants of Firm Values: Cross- Section Analyses of Using Financial Data of Japanese Firms

We examine the cross-section analyses of the determinants of firm values in 1989 and 1999, using the data of manufacturing and non-manufacturing firms in Japan. Firm values are defined as a total amount of share, which is explained by the various financial data. We show that industrial structures have statistically significant effects on firm values in the boom period. Between the boom and recession periods, a marked difference is seen in the effects on firm values given by advertising expenditures, R&D expenditures and human resources.

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