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音楽と造形の総合的な表現の可能性 : 「保育内容指導法(表現)」の授業における試み

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(1)

一 「

保育 内容指 導法(表 現)」 の授業 にお け る試 み一

山  野   て る ひ

(初等教育学科教授)

ガハ プカ  奈美

(初等教育学科准教授)

岡 林  典  子

(初等 教育学 科准教 授) 1.は じめ に   平 成 元 年 の 幼 稚 園 教 育 要 領 の 改 訂,お よ び平 成2年 の保 育 所 保 育 指 針 の 改 定 に よ り,従 来 の 保 育 内容 で 示 さ れ て い た領 域 「音 楽 リズ ム」 や 「絵 画 製 作 」 は,発 達 の 視 点 か ら捉 え な お され, 感 性 と表 現 に 関 す る領 域 「表 現 」 と して 大 き く あ らた め ら れ る こ と と な っ た 。 そ れ は保 育 に お け る 「音 楽 」 と 「造 形 」 の あ り方 が 問 い 直 され る きっ か け と も な り,今 般 平 成20年 の 改 訂 に お い て も引 き継 が れ,さ ら に教 育 要 領,保 育 指 針 両 者 に お け る 領 域 「表 現 」 の ね らい と内 容 の 整 合 が 強 め られ て い る。   本 来,子 ど も は さ ま ざ ま な 身体 感 覚 を伴 っ た 経 験 か ら蓄 積 さ れ た イ メ ー ジ を,身 振 りや 音 声 や 色 や 形 な ど を総 合 的 に用 い な が ら 自分 な りの 方 法 で 表 し,伝 え よ う とす る。 そ う し た 子 ど も と関 わ る保 育 者 に求 め られ る の は,子 ど も に豊 か な 感 性 が 育 つ よ うに 環 境 を整 え,子 ど も 自身 が独 自 の 方 法 を用 い て 表 現 す る 楽 し さ を 味 わ え る よ う に働 きか け,総 合 的 な子 ど も の表 現 を受 け とめ て ゆ く力 で あ る。   しか しな が ら,今 日 にお い て も なお 多 くの 保 育 の 現 場 で は子 ど もの 総 合 的 な 表 現 を 育 む 指 導 が 十 分 に な され て い る とは言 い 難 く,音 楽 表 現 活 動,造 形 表 現 活 動 身体 表 現 活 動 が 分 断 さ れ る形 態 で保 育 さ れ て い る の が 実 情 で あ ろ う。 椋 田(2008)は 京 都 市 内 に あ る3園 の幼 稚 園 の教 諭 に 対 して ア ン ケ ー トを と り,「 絵 画 制 作 ・音 楽 リズ ム を一 体 的 に扱 っ た保 育 が で きな い理 由」 と して 次 の3点 を挙 げ て い るユ)。 ① 園 の 方 針 で 毎 週 や る こ とが 決 め られ て い て 一   体 的 に 取 り扱 え な い。 ② 一体 的 な保 育 を見 た り,体 験 した こ とが な い   の で や り方 が わ か らな い 。 ③ 別 々 の ほ うが 子 ど もに は わ か りや す い 。   これ ら3つ の 理 由 は,領 域 「表 現 」 の ね らい が 未 だ 園 や 保 育 者 に浸 透 して い な い こ と を示 し て い るが,わ れ わ れ 執 筆 者 は そ の 中 で も特 に② に 注 目 した。 そ こ に は,保 育 者 が 総 合 的 な表 現 を育 む指 導 を した い と望 ん で も,自 身 が 実 際 に 体 験 し た こ とが な く,指 導 の 方 法 が 分 か らな い とい う,保 育 者 養 成 課 程 にお け る 「表 現 」 の 指 導 法 や 指 導 内 容 に 関 わ る問 題 が 浮 か び 上 が っ て くる。   そ う した 問 題 の 背 景 に は,幼 稚 園 教 諭 や 保 育 士 の養 成 機 関 にお け る保 育 内容 「表 現 」 に 関 わ る科 目の あ り方 が 本 質 的 に検 討 され な い ま ま に, 音 楽,美 術,体 育 な ど を専 門領 域 とす る教 員 の リ レー 式 の 授 業 が 展 開 さ れ,そ れ らの 関連 を統 合 す る こ とが 主 に学 生 自 身 に委 ね られ て い る と い う実 態 が うか が え る。   近 年 で は,「 保 育 者 養 成 に お い て 学 生 に 『表 現 』 を どの よ うに 指 導 す る か 」 とい うテ ー マ で 4年 に渡 っ て 保 育 学 会 の 自主 シ ンポ ジ ウ ム2)が 組 まれ,保 育 者 養 成 機 関 に お け る 「表 現 」 の 指 導 に つ い て の検 討 が な さ れ て い るが,具 体 的 に は音 楽 的 側 面 を中 心 に した 内 容 で あ る 。   一 方,子 ど もの 本 質 的 な 表 現 の 育 ち を見 据 え て,「 音 楽 」 と 「造 形 」 を 融 合 し た授 業 展 開 を 試 み よ う とす る 動 き も生 ま れ て い る 。 今 川 ら (2005)は,音 楽 と造 形 を総 合 した 視 点 か ら保 育 者 養 成 課 程 にお け る領 域 「表 現 」 にか か わ る 授 業 の あ り方 を模 索 し,2つ の 視 点 が 融 合 さ れ た 授 業 展 開 を 試 み て い る3)。 ま た,宇 佐 美 ら   121一

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音楽 と造形の総合的な表現の可能性 (2007)は,保 育 者 が 「表 現 」 に 関 す る 多 様 な 価 値 を見 出 す こ とが で きる よ う な授 業 を構 成 す る こ と を 目指 し,音 楽 教 育 と美 術 教 育 の 教 員2 名 で 「保 育 内 容 表 現 」 の授 業 改 善 に取 り組 ん で い る4)。   この よ う な 動 き を背 景 に,子 ど もの 総 合 的 な 表 現 を受 け とめ,育 む こ との で きる 保 育 者 の 養 成 に 向 け て,わ れ わ れ執 筆 者3名 は 音 楽 教 育 と 美 術 教 育 の 立 場 か ら 「保 育 内 容 指 導 法(表 現)」 の授 業 内容 を 検 討 し,2008年 度 前 期 よ り新 た に 音 楽 と造 形 が 相 互 に交 流 す る授 業 展 開 を共 同 で 行 う こ と を試 み 始 め た 。   そ こで 本 稿 で は,2008年 度 前 期 に 行 っ た1回 生2ク ラ ス(全4ク ラ ス)の 「保 育 内 容 指 導 法 (表 現)」 の 授 業 に つ い て,実 践 内 容 と学 生 の 意 識 調 査 の分 析 を も とに,表 現 科 目 にお け る音 楽 と造 形 の相 互 交 流 の可 能 性 を探 る こ と を 目的 とす る。 2.音 楽 ・造 形 の カ リキ ュラ ム と 「保 育 内 容 指     導 法(表 現)」 の 位 置 づ け   音 楽 や 造 形 とい っ た芸 術 分 野 の科 目の 学 び と 科 学 分 野 の科 目の そ れ に は,い くつ か の 大 き く 異 な る特 性 が み られ る。 た と え ば,科 学 的 分 野 は 先 人 が 積 み 上 げ て きた 知 識 や 成 果 を概 念 化 し, 効 率 よ く圧 縮 して 習 得 す る こ とが あ る 程 度 可 能 で あ る。 そ れ に対 して,芸 術 は先 人 が 既 に到 達 した 成 果 で あ っ て も,そ の 過 程 を個 人 が 一 か ら 実 際 に 追 体 験 的 に 学 習 しな け れ ば,習 得 や 理 解 が 難 しい 面 が あ る 。 従 っ て,芸 術 は 概 念 操 作 に よ る短 期 的 な集 中 学 習 に は 向 か ず,時 間 をか け て体 験 的 学 習 を継 続 しな くて は効 果 が 現 れ な い 。   以 上 の 観 点 か ら本 学 科 で は 音 楽 と造 形 に 関す る授 業 は,免 許 ・資 格 に 関 わ る必 修 科 目 に加 え て,選 択 科 目(音 楽 で は 「ピ ア ノ 入 門 」,「音 楽 あ そ び 」,「音 楽 表 現 演 習 」 を,ま た 造 形 で は 「造 形 あ そ び 」,「造 形 表 現 演 習 」)を 設 け,関 心 を もつ 学 生 が 短 大 で の2年 間 に継 続 して 学 習 で きる 機 会 を提 供 して い る(表1)。 ま た,こ れ らの科 目 を通 して,音 楽,造 形 の基 礎 的 な感 覚 練 習 や技 法 ・技 術 練 習,お よ び音 楽 的 要 素 や 造 形 的要 素 を核 に して あ そ び を展 開す る 方 法 を学 べ る よ う に編 成 して い る。   しか し,「 保 育 内容 指 導 法(表 現)」 は,こ れ ま で半 期 に90分1コ マ で15週 に渡 っ て 開 講 さ れ, 授 業 内 容 は音 楽 的 表 現 と造 形 的 表 現 で 二 部 構 成 さ れ て い た 。 そ の た め,学 生 は音 楽 や 造 形,言 語,身 体 な どを もち い て総 合 的 に表 され る 人 間 の 表 現 につ い て,体 験 的 に 理 解 を深 め られ る状 況 に は なか っ た 。 そ こ で,わ れ わ れ は まず 時 間 数 を半 期 に180分15週 と倍 増 し,音 楽 的 表 現 と 造 形 的 表 現 が 緊 密 に連 関す る実 習 内 容 を担 う科 目 と して 位 置 づ け られ る よ う に カ リキ ュ ラ ム を 検 討 した 。 表1  初 等 教 育 学科 に お ける音 楽 ・造形 に関 す る カ リキ ュラ ム 音楽関係の   科 目 造 形 関 係 の   科 目 音楽と造形の 相互交流科目 1年 次 前期 ・音 楽科 教 育 内容 論 (必修)B・Cク ラ ス ・図 工 科 教 育 内 容 論 (必 修)A・B・C・ Dク ラ ス 保 育 内容 指 導 法 〔表現 〕 (必修)A・Bク ラ ス 1年 次 後 期 ・音 楽 科 教 育 内 容 論 (必 修)A・Dク ラ ス ・ピ ア ノ 入 門(選 択) ・造 形 表 現演 習(選 択) 保育 内容 指導 法 〔表現 〕 C・Dク ラス(必 修) 2年 次 前 期 ・学 校教 育 方 法 論 〔音 楽 〕 (選択) ・音 楽 あ そ び(選 択) ・学 校教 育 方 法 論 〔図工 〕 (選択) 2年 次 後期 ・音楽 表 現 演 習(選 択) ・造 形 あそ び(選 択) 一  122 一

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3.音 楽 と造 形 の 相 互 交 流 を 図 る授 業 の 試 み (1)授 業 の 概 要   現 在,「 保 育 内 容 指 導 法(表 現)」 は1週 に1度, 2コ マ 続 き(90分 ×2コ マ)で 開 講 さ れ て い る。 本 稿 で 取 り上 げ る の は,2008年 度 前 期 に 行 わ れ たA,Bク ラス につ い て で あ る 。担 当教 員 は, Aク ラ ス の音 楽 が ガ ハ プ カ,造 形 が 山野 で あ る。 またBク ラ ス は音 楽 が 岡 林,造 形 が 山野 で あ る。 全15回 の授 業 内 容 の概 要 は表2に 示 した。 (2)授 業 内 容 の 詳 細   子 ど もの 表 現 の 芽 生 え に気 づ き,受 け とめ て, 育 て る た め に は,保 育 者 自身 に も柔 軟 で 幅 広 い 総 合 的 な感 覚 や 感 受 性 が 求 め られ る。 例 え ば, リズ ミカ ル な 音 の ま と ま りに五 感 を集 中 させ て 聴 い て み る と,躍 動 感 を 感 じた り,形 や 色 が 浮 か ん だ り,暖 か さや 冷 た さ を感 じ と る こ と もで きる 。 ひ とつ の 音 の 刺 激 に 対 して 感 じ方 を広 げ る こ と は,表 現 方 法 を広 げ る こ とに もつ な が る 。   そ こで,わ れ わ れ は子 ど もの 表 現 を援 助 で き る 資 質,能 力 の 向 上 を 目的 と して,本 科 目の ね らい を以 下 の5点 に定 め た 。 ① 固 定 化 され た 感 性 を 開 放 す る 。 表2  全15回 の 保育 内容 指 導 法(表 現)の 授 業 内 容 授業 回 第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回 第11回 第12回 第13回 第14回 第15回 90分 〈オ リエ ンテ ー シ ョ ン>  2時 間 連 続 授 業 形 態 の 説 明,領 域 「表 現 」 に つ い て 説 明 〈乳 幼 児 の発 達 と音 楽 的 表 現 〉 ① 新 生 児 期 ・乳 児 期(誕 生 か ら12か 月 ごろ ま で) 〈乳 幼 児 の発 達 と音 楽 的 表 現 〉 ② 幼 児 期(12か 月か ら2歳 ご ろ まで) 〈乳 幼 児 の発 達 と音楽 的 表 現 〉 ③ 幼 児 期(3歳 ご ろか ら就 学 ま で) 計画案の提出 と製作 教材製作 発表1 相 互評価 と合評 発表1 相 互評価 と合評 〈リ ズ ム を描 く〉 音 と点,線,形,色 〈旋 律 を描 く〉  音 と点,線,形,色 〈楽 曲 を描 画 す る>  P.D. Qバ ッハ の 曲の 下 書 きを 基 に 作 品 にす る 〈音 楽 づ く りの た め の参 考 曲 の鑑 賞〉 情 景描 写 や リズ ム の 反 復,音 色 の 違 いや 音 の 重 な りな どが 感 じ られ る 曲の 鑑 賞 〈音 具 づ く りと音 楽 づ く り〉 図形楽 譜作 成 と発表 にむけた練習 発 表ゥ1と 合 評 90分 幼稚園教育要領 ・保育所保 育指針 の確認 〈乳幼児 の発達 と造形的表現〉 ① 造形表現の意味 ② な ぐり描 き期 〈乳幼児の発達 と造形 的表現〉 ③ 象徴期∼図式期 ④造形 的表現 活動 の実際 保育実習 に向 けた視聴覚教材活用 の練 習 と製 作(教 材紹介 と計画案 の説 明) 教材 製作 教材 製作 発 表1 相互 評価 と合評 発表1 相互 評価 と合評 〈色 の 性 質 を学 ぶ 〉 三属 性 と トー ン 〈楽 曲 を 描 画 す る> P.D.  Q. Bachの 曲 か ら メ モ と 下 書 き 〈音 具 を知 る〉 音 具 の 意 味 と発 音 原 理 ・音 具 の 紹 介 <音具 づ く り> 6名 編 成 の グ ル ー プ で,多 様 な発 音 原 理 を も つ 音 具 を 制 作 す る 〈図 形 楽 譜 作 成 の ため の練 習 と下書 き〉 図形楽譜作 成 と発表 にむけた練習 ま と め と ア ン ケ ー ト   123

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音 楽 と造 形 の 総 合的 な表 現 の可 能 性 ② 音 ・色 ・形 ・手 触 り ・動 き ・空 間 な ど を 関   連 づ け な が ら表 す 体 験 をす る 。 ③ グ ル ー プ に よ る創 作 活 動 を とお して,相 互   に や り と りし なが ら表 現 す る 楽 し さ を 味 わ う。 ④ さ ま ざ ま な素 材 か ら音 を 見 つ け,音 色 ・リ   ズ ム ・音 の 重 な りな どの 面 白 さ を楽 しむ 。 ⑤ 保 育 に 用 い られ る描 画 材 料 や 用 具 に 親 しみ,   そ の 特 性 を 活 か した 表 し方 を工 夫 す る。   こ こで は,全15回 の授 業 の 流 れ の 中 で,音 楽 的 表 現 と造 形 的 表 現 の総 合 化 を試 み た 第9回 以 降 の授 業 内容 と経 過 に つ い て 詳 細 を 述 べ る。 (2)残 響 の あ る音 の リ ズ ム を 描 く   音 源 と して,シ ンバ ル を ソ フ ト擾 や 木 の擾 を 用 い て 叩 く,擦 る な ど して 残 響 を 作 り出 した も の を提 示 した 。 そ れ らの 音 を聴 い て 色 や 形 を イ メー ジ し,ふ さわ しい色 の パ ス テ ル で 描 い た 。 (3)高 低 の あ る音 の リ ズ ム を描 く   音 高 の 違 う木 魚,ウ ッ ドブ ロ ッ ク を木 の擾 で 叩 い て 音 源 を提 示 した"。 音 高 判 断 の 練 習 を 数 回 行 い,提 示 され た音 の リ ズ ム を 自由 に描 い た 。 写 真2は,音 高 の 違 う楽 器 で 表 す リズ ム(譜 例 2∼4)課 題 を学 生 が 描 い た もの で あ る。 【第9回 】   本 時 で は 感 じた 音 の イ メー ジ を 図 形 楽 譜 の作 成 へ と導 くた め に,音 楽 的 側 面 か らは リ ズ ム課 題 を 設 定 し,五 感 を集 中 させ て音 を 描 くこ とを 試 み た 。 ま た造 形 的 側 面 か ら は,色 の 三 属 性 や 三 原 色 な ど,色 の 性 質 や 秩 序 を把 握 す る こ とを 目指 した 。 描 画材 は保 育 の 現 場 で も用 い られ る コ ンテパ ス テ ル12色(以 下 パ ス テ ル と略 す)51を 使 用 し,用 紙 は 八 つ 切 り画 用 紙 を横 長 に半 裁 し た もの を用 い たG) 0 ★譜例2 〔低)  (中)  〔高  ★譜例3 (高) (低)  (低) ★譜例4 (低) (高) (低) 1低)  仲[  〔高} (高) 高 中 低 音高の高い楽器で奏する 中くらいの音高の楽器で奏する 音高の低い楽器で奏する (a畠s>    (rl1)    (仁乱) (低) (「h)(riコ)(riり 〈リズ ム を描 く 〉一 音 と点 ・線 ・形 ・色 一 (1)8拍 の ま と ま りが あ る 音 の リズ ム を描 く   黄 土,こ げ茶,グ レ ー,黒 の4色 か ら1色 を 選 び,8拍 の音 の ま と ま り(譜 例1)を 描 い た 。 こ こ で の 課 題 は,8拍 の 音 を① 稜 線 を 利 用 して 描 く,② 丸 を描 く よ う に手 を運 ぶ,③ 強 弱 や 休 符 を含 ん だ 課 題 を 描 く,な どで あ る。 写 真1は これ らの 課 題 を学 生 が 描 い た もの で あ る 。 〈写真2>高 低 の あ る音 の リズ ム を描 く ★ 譜 例1 〈写 真1>8拍 の 音 の まと ま りを 描 く 〈色 の性 質 を学 ぶ 〉   リ ズ ム や 旋 律 を聴 い て 想 起 した 感 覚 や 感 情 を 色 や 形 に 置 き換 え る 練 習 をす る に あ た り,色 名 か ら色 を特 定 す る こ とが で きた り,混 色 を得 意 とす る学 生 とそ う で な い 学 生 との 間 で は 結 果 に か な りの差 が 生 じる こ とが 予 想 され る 。 そ こで 中 学 校 美 術 科 で 学 ぶ 範 囲 の 基 礎 的 な色 彩 の 知 識 を復 習 す る こ と で,色 の 秩 序 を把 握 し,色 の イ メ ー ジ の 幅 を 広 げ られ る よ う に,次 の よ う な    124

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ワー ク シー ト学 習 を 行 っ た。 ① 色 の 三 属 性(色 相 ・明 度 ・彩 度)や 色 料 の 三   原 色 に つ い て 色 掛 図 や 色 立 体 を提 示 しな が ら   解 説 す る 。 ② 配 色 カ ー ドを用 い て,12色 相 環 と ト0ン 表 を   各 自 で作 成 す る。 【第10回 】   本 時 で は 図 形 楽 譜 の 作 成 へ と導 くた め に,旋 律 に関 す る 以 下 の3項 目 に基 づ く課 題 を設 定 し, 五 感 を集 中 させ て音 を 描 くこ と を試 み た。 さ ら に 既 習 した 内 容 を生 か して,楽 曲 を描 画 す る こ と を試 み た 。 (3)余 韻 の 残 る旋 律 の 動 きを描 く   ダ ンパ ー ペ ダ ル を 使 用 した ピア ノ に よ り提 示 され る① ペ ン タ トニ ッ ク(5音 音 階)② 全 音 音 階 ③ ク ラス ター(こ ぶ しで鍵 盤 を押 す 弾 き方) の 音 の イ メ ー ジ を,好 み の 色 の パ ス テ ル と濃 淡 な ど を用 い て 自 由 に描 い た 。 写 真5は ペ ン タ ト ニ ッ ク の音 を描 い た もの で あ り,写 真6は ク ラ ス ター の音 を描 い た もの で あ る。 〈旋 律 を 描 く 〉一 音 と点 ・線 ・形 ・色 一 (1)旋 律 の 高 低 を描 く   ピ ア ノ に よ り提 示 さ れ る上 行 形 の 旋 律,下 行 形 の 旋 律,上 下 す る旋 律 な ど を好 み の 単 色 の パ ス テ ル と幅 の あ る線 を 用 い て 描 い た 。 写 真3は こ れ らの 課 題 を学 生 が 表 し た もの で あ る。 〈写 真5>余 韻 の 残 る旋 律 を描 く一 ペ ン タ トニ ッ クー 〈写 真3>旋 律 の 高低 を描 く (2)強 弱 の あ る旋 律 の 高 低 を描 く   上 記(1)の課 題 に強 弱 を 加 え て音 源 を提 示 した 。 写 真4は 学 生 が 表 した もの で あ る。 〈写 真4>強 弱 の ある旋 律 の 高低 を描 く 〈写 真6>余 韻 の残 る旋 律 を描 く一 クラ ス タ ー一 〈楽 曲 を 描 画 す る>

  P.D.  Q. Bachの 楽 曲 《Chanson:Toute  lannee, hey, hey, hey》8}を 繰 り返 し聴 き取 り な が らパ ス テ ル を 用 い て 版 画 用 紙 に 描 く 。 単 に 曲 の 印 象 で は な く,後 で 自 分 自 身 が 描 画 を 見 た と き に 楽 曲 を 思 い 出 せ る よ う に,ま た 演 奏 す る 手 掛 か り に な る よ う な も の と し て 表 す こ と を 条 件 と し た 。   既 習 の 内 容 を 振 り返 り な が ら,① リ ズ ム や 旋 律 と点 や 線 の 関 係,② 音 の 高 さ と 色 や 空 問 性 と    125

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音 楽 と造 形 の総 合 的 な 表現 の可 能性 の 関 係,③ 音 の 質 と色 や 筆 触 の 関係,④ 音 の 強 さ と点 や 線 の 大 き さ,太 さ,筆 圧 の 関 係 な ど を 意 識 し な が ら描 くよ うに 注 意 を促 した 。 加 え て 手 首 の 動 きだ け で 描 くの で は な く,楽 曲 を聴 い た と き の 自然 な 身 体 の動 きや,肩 か ら肘 全 体 の 動 き に よ っ て 描 くよ うに 強 調 した。   次 の 第ll回 に お い て,描 画 材 に水 性 絵 の具 を 加 え9},同 様 の 手 順 に て 作 品 と して 仕 上 げ た (写真7)。 楽 を つ く る 』(監 修 ・解 説 坪 能 由 紀 子)よ り 《雨 》 《木 片 》 《ハ ウ ス ・ ミ ュ ー ジ ッ ク 》 の3曲 を 選 び,聴 取 し た'2J。 曲 の 聴 取 に 際 し て,リ ズ ム や 音 の 重 な りの 面 白 さ,音 色 の 違 い,全 体 的 な 曲 の イ メ ー ジ な ど に 注 意 を 向 け て 聴 く よ う に 促 し た 。 〈音 具 を つ く る>   6名 編 成 の グル ー プ に 分 け,身 近 な 廃 材 や 日 用 品 を材 料 と して 各 自が 音 具 を1作 制 作 す る。 6名 で で き る か ぎ り多 様 な 発 音 原 理 を もつ 音 具 を考 え る。 ま た 制 作 す る に あ た り,① 頑 丈 に つ くる,② 美 し くつ くる,③ 音 と無 関 係 な も し く は無 意 味 な装 飾 を施 さ な い,の3点 に 留 意 す る よ うに 指 示 した 。 〈写 真7>楽 曲 を聴 取 して作 品 を描 く 【第11回 】   本 時 で は 図 形 楽 譜 の 作 成 お よ び 音 具 づ く り10} へ と導 くた め に,楽 曲 を作 品 と して描 くと と も に,音 具 づ く りに 生 か せ る 発 音 原 理 を 学 ん だ。 〈音 具 につ い て 学 ぶ 〉一 音 と色 ・素 材 ・形   グ ル ー プ で既 成 の 民 族 楽 器 や 教 員 の 制 作 した 音 具 の 現 物 を調 べ,① 吹 く ・吸 う,② 叩 く ・打 つ,③ 擦 る ・引 っ か く,④ 振 る,⑤ 振 り回 す, ⑥ は じ くな どの 発 音 原 理 を知 り",,音 具 づ く り に生 か す こ との で き る知 識 を得 た 。 また,音 具 を制 作 し,曲 を作 り,図 形 楽 譜 に表 し,発 表 す る とい う各 授 業 内 容 の 関係 性 を術 鰍 的 に捉 え ら れ る よ う に説 明 を行 っ た。 【第12副  本 時 で は,音 楽 づ く りの 参 考 と な る 曲 の 鑑 賞 を行 い,音 具 の 制 作 に取 りか か っ た。 〈音 楽 づ く りの た め の 参 考 曲 の 鑑 賞 〉   音 楽 づ く りに向 け た参 考 資 料 と して,CD『 音 〈写 真8>音 具 を つ くる学 生 た ち 【第13回 】   本 時 で は 前 回 に 続 い て 音 具 の 制 作 を 行 う と と も に,音 楽 づ く りの 基 礎 とな る基 本 的 な 音 楽 形 式 を学 ん だ 。 ま た,グ ル ー プ で 音 楽 を作 る と き の 留 意 点 を説 明 し,完 成 した音 具 を用 い て 音 楽 づ く りを 行 っ た。 さ ら に創 作 した 曲 を 色 や 形 に 変 換 して 表 す た め に,参 考 とな る既 成 の 図 形 楽 譜 の 鑑 賞 を行 っ た 。 〈基 本 的 な 音 楽 形 式 を 学 ぶ 〉   音 楽 形 式 と し て は,フ レ ー ズ に 繰 り 返 し の あ る も の(A-A-B)や,ロ ン ド形 式(A-B-A-C-A,A-B-A-C-A-B-A)や カ ノ ン な ど を 説 明 し た 。 音 楽 に 変 化 を つ け る 工 夫 と し て,    126

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リズ ム の重 な り,テ ンポ の変 化,音 の 強 弱 な ど を用 い る こ と につ い て 説 明 を行 っ た 。   上 記 の 内 容 を理 解 す る た め に,譜 例5の リズ ム パ タ ー ン を手 拍 子 に よ る リズ ム ァ ンサ ンブ ル で 体 験 し,音 の重 な りや 強 弱,テ ン ポ の 変 化 を 学 ん だ。 ら音 響 を 想 像 す る。 ★譜例5   〈写 真9>鑑 賞 し た 図 形 楽 譜 の1例 R.H.ラ マ テ ィ"konstellationen".  1971   音 具 を用 い た グ ル0プ で の 音 楽 づ く りに際 し て,以 下 の よ うな 留 意 点 を 示 唆 し た13)。 ① どん な 形 式 を 用 い た音 楽 に す る か を 話 し合 う。 ② 音 楽 の 始 め方,終 わ り方 に つ い て話 し合 う。 ③ 楽 しい,悲 しい,明 る い,暗 い な ど,ど ん な   感 じの す る音 楽 にす る か を考 え,話 し合 う。 ④ 盛 り上 が る 部 分 や 静 か な 部 分 を工 夫 す る。 ⑤ 音 楽 に変 化 を つ け る方 法 を考 え る 。 〈図 形 楽 譜 の 紹 介 と鑑 賞 〉   創 作 した 自分 た ち の音 楽 を,色 や 形 に変 換 し て 表 現 す る参 考 と して,現 代 の 図形 楽 譜 を大 き く3つ に分 類 ユ4>して紹 介 し,パ ワ0ポ イ ン トを 用 い た 鑑 賞 を 行 っ た。 紹 介 した 作 晶 の 作 者 は 次 の通 りで あ る 。 ① 五 線 譜 を 図 案 化 した もの:G.ク ラ ム,S.ブ   ソ ッテ イ,J.ケ0ジ ② 図 形 と五 線 譜 記 譜 法 を 併 用 し た もの:J.ス   テ ッ ド,L.ク プ コヴ ィ ッチ,1_M,シ ェー フ ァー ③ 全 面 的 に図 形 に よ る もの:小 杉 武 久,T.ジ ョ   ン ソ ン,R.H.ラ マ テ イ   これ らの作 品 に対 して,以 下 の3点 に注 目 し な が ら鑑 賞 す る よ うに促 し た。   ① 描 か れ て い る もの の 空 間性(紙 の 上 下 左 右 の 位 置 空 問 と方 向性)か ら音 の 高 さ と時 間 の 流 れ の 方 向 や速 さ を想 像 す る,② 表 され て い る形 態 の もつ 形 状(形,大 き さ)や 色 や7リ淡 か ら音 の 質,大 き さ,強 さ を想 像 す る,③ 背 景 の 色 か 【第m回 】〈図形 楽 譜 作 成 と発 表 に む け た 練 習 〉   本 時 は音 楽 づ く りを行 い な が ら描 画 に よ っ て 記 録 し て ゆ き,最 終 的 に はB列 本 判 の 画 用 紙 (765mm×1085mm)に 楽 譜 を 完 成 させ た15>(写 真 王0・ll・12)。 さ ら に,そ れ ら の 楽 譜 を も と に発 表 に む け た演 奏 の練 習 を繰 り返 し行 っ た。 音 楽 づ く りに 際 して,学 生 か ら教 員 に 意 見 や 助 言 を 求 め られ た場 合 は,状 況 に応 じて対 応 した 。 〈写 真m>図 形 楽譜 を描 く学生 た ち   127

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音 楽 と造 形 の総 合 的 な表 現 の 可 能性 〈写 真11>完 成 した 図形 楽 譜① 〈写 真14>発 表 を行 う学 生 た ち 〈写 真12>完 成 した 図形 楽 譜② 〈無 記 名 に よ る ア ンケ ー ト調 査 の 実 施 〉   各 グ ル ー プ ご との 発 表 後,学 生 同士 で 感 想 を 述 べ 合 い,教 員 が, :t評を行 っ た 。 そ の 後,学 生 の 意 識 変 化 や 授 業 の 感 想 を知 る た め に,無 記 名 に よ る ア ンケ ー ト調 査(資 料1)を 実 施 し た。 ア ン ケ ー トの 内容 は,① 本 授 業 の5つ の ね らい が ど の程 度 達 成 で きた か を照 応 す る12の 質 問 項 目 に5段 階 評 価 で 答 え る もの,② 授 業 の 一 連 の 活 動 内容 か ら,楽 しい と 感 じた こ と,難 し い と 感 じた こ と を選 択 させ る もの,③ 自由記 述,で 構 成 した 。 〈写 真13>完 成 した 図形 楽 譜③ 【第15回 】 〈発 表 と合 評 〉   グ ル ー プ ご と に作 品 の 発 表 を行 っ た。 各 ク ラ ス の グ ル0プ の テ ー マ を以 下 に 挙 げ る。 【Aク ラ ス 】 ① 海 辺 の 祭 り② 海 の 物 語(お 魚 の 物 語)③ レ ッ ツ ・ク ッキ ング④ 汽 車 の旅 ⑤ 音 の 行 進 ⑥ 夏 の1日 【Bク ラ ス 】 ①Japanese侍(写 真13)② サ バ ン ナ の 生 と死 ③Unity④ 夏 祭 り(写 真 ユ1)⑤ 無 題 ⑥ 夜 の 海 辺 の 祭 り(写 真12) 4.考 察  一 授 業 実 践 と意 識 調 査 に基 づ い て 一   前 章 で は 学 生 の 資 質,能 力 の 向 上 を 目的 と し た 本 科 目の ね らい と第9回 ∼15回 の 授 業 内 容 に つ い て述 べ た 。 本 章 で は,授 業 実 践 に 際 して 設 定 し た5つ の ね らい が ど の よ う に達 成 され た か を,実 践 結 果 と作 品 及 び最 終 回 に行 っ た 学 生 へ の 意 識 調 査 を基 に して 考 察 す る 。 (1)授 業 を 通 して,固 定 化 さ れ た 感 性 の 開 放 は   み ら れ た か   こ れ ま で 受 け て きた 音 楽 教 育 や 造 形(美 術) 教 育 を 通 して,「 教 科 」 の 枠 組 み の 意 識 は色 濃 く根 づ い て お り,音 楽 と造 形 を 全 く別 の性 格 や 内 容 の 表 現 活 動 と して捉 え て い る 学 生 は 少 な く な い 。 勿 論 両 者 に は そ れ ぞ れ 固 有 の 美 学 と構 造 が あ る に は 違 い な い が,一 方 で 多 くの 共 通 性 も あ わ せ もっ て い る。 そ の 共 通 項 を体 験 を通 して 感 じ取 り,分 断 さ れ て い る感 覚 や 感 性 を結 び つ け て 開 か せ て い くこ とが 本 科 目の 大 き な ね らい 一128  一

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で あ っ た。 特 に音 楽 で は,学 生 は 西 洋 の 楽 音 を 中心 とす る 規 範 に縛 られ て い る傾 向 が あ り,表 現 活 動 も既 成 作 品 を演 奏 して 再 現 す る こ とが 中 心 と な る。 造 形 で は音 楽 に見 られ る ほ どの 強 い 規 範 意 識 は な い が,見 え て い る もの,見 た もの を表 そ う とす る 「再 現 表 現 」 が 中 心 で あ るの は 同様 で あ る 。 したが っ て 色 や 形 も,見 え て い る 実 物 の 色 や 形 に近 い か ど う か が 問 題 と な る。 学 生 は 授 業 を 通 して この よ う な 感 じ方,考 え方, 表 し方 を 開 放 し,今 まで とは 異 な る感 じ方,表 し方 が で き る よ う に な っ た で あ ろ うか 。 ア ン ケ ー トや 作 品 か ら見 て ゆ く。   表3の3項 「音 や 音 楽 を色 や 形 で 感 じ,表 す こ とが で きる よ うに な っ た」 や11項 「表 現 につ い て の 感 じ方,考 え 方 が 少 し変 わ っ た」 が と も に4.0と 比 較 的 高 い ポ イ ン トで あ る こ と や,自 由 記 述 の表6及 び表7か らは,不 十 分 な が ら も 学 生 が 固定 化 され た 感性 を 開放 し よ う と試 み て い る様 子 が み て とれ る。 しか し,前 掲 の 図 形 楽 譜(写 真11)に 見 られ る よ うに,描 画 と して 融 合 させ なが ら も,ト 音 記 号 や へ 音 記 号 を 描 い て し ま う行 為 は,西 洋 音 楽 に 固 定 化 さ れ た 枠 組 み か ら 開放 す る こ との 難 し さ を 示 して い る とい え よ う。 ま た,表3の4項 「色 や 形 な どか ら音 や 音 楽 を感 じ,表 す こ と の 楽 し さ を 味 わ っ た 」 (3.8ポ イ ン ト)が3項(4.0ポ イ ン ト)に 比 べ る と低 か っ た の は,授 業 内 容 に この よ うな 課 題 が 含 まれ て い な か っ た こ と も一 要 因 で あ る と考 え られ る。 こ の 点 は今 後 の 課 題 と し た い 。 (2)音 ・色 ・形 ・手 触 り ・動 き ・空 間 な ど を 関   連 づ け る 表 現 が な され た か   音 を描 画 す る導 入 の段 階 で,他 者 に伝 え る こ と を意 識 して 自分 な りの 一 定 の ル ー ル をつ くる よ う に促 した 。 各 々 の 要 素 が 決 して 一 対 で 対 応 す る もの で は な い が,や や もす る と 「何 と な く」 や 「フ ィ ー リ ン グ」 な ど とい った 全 体 の 印 象 画, 感 想 画 に な り,曖 昧 に陥 る こ と を避 け る た め で あ る。 音 や メ ロ デ ィー の 一 音 一 音 や 構 成 を聴 き わ け る こ とに 集 中 し,そ れ ぞ れ の 色 や 形 や 動 き を 突 き詰 め よ う とす る対 峙 の 内 的 体 験 が 感 性 を 磨 ぐ と考 え る 。   第10回 の授 業 で行 っ た楽 曲 描 画 に用 い た 曲 の 特 徴 は,ク ラ リネ ッ トの 緩 や か な 主 旋 律 と管 楽 器 の装 飾 的 な旋 律 が絡 み あ う中 に マ ウ ス ピー ス だ け を つ か っ た12音 階 以 外 の 音 が 入 っ て くる と こ ろ に あ る。 多 くの 学 生 が そ の 特 徴 や 変化 を よ く捉 え て お り(写 真7),表8に も 「音 色 な ど を紙 に 表 現 す る こ と に よ っ て,音 の 高低,音 色, 性 質 な ど につ い て分 か る よ うに な っ た」 の 記 述 が 見 受 け られ た。 また 表3の2項 「リズ ム や 音 高,旋 律 を点 ・線 や 形,色 で 感 じ,表 す こ と が で きる よ う に な っ た 」 や,3項 「音 や音 楽 を色 や 形 で 感 じ,表 す こ とが で きる よ うに な っ た」 が と もに4.0ポ イ ン トで あ る こ とや,7項 「音, 色,形 を 統 合 し な が ら現 す こ と の 楽 し さ を 味 わ っ た」 は4.3ポ イ ン トと 高 い こ とか ら,概 ね, 学 生 は音 ・色 … を 関 連 付 け な が ら表 す こ と を体 験 し,そ れ を楽 しい と感 じ られ る よ う に な っ て い る こ とが わ か る 。 しか し,一 方 で表5,表7 よ り 「リズ ム を描 く」 「音 高 を描 く」 「図 形 楽 譜 を描 く」 な どが 難 しい と感 じ る こ との3,4, 5位 に挙 げ られ て い る こ とか ら は,短 絡 的 な判 断 は差 し控 え た い 。 (3)グ ル ー プ に よ る創 作 活 動 を通 して,学 生 は   表 現 す る楽 しさ を味 わ え て い た か   表 現 に お け る豊 か な創 造 性 や 感 性 は,自 己表 現 を 通 して だ け で な く,他 者 の 表 現 に気 づ くこ とや,や り と りの 中 で 共 に 表 現 す る楽 し さや 感 動 を 共 有 す る こ と に よ り,養 わ れ 深 め られ て ゆ く。授 業 で は,グ ル ー プ活 動 に よ る他 者 の 表 現 へ の 気 づ きや,共 に表 現 す る 楽 しさ の体 験 を通 して,学 生 が 将 来保 育 者 と して 子 ど もの 表 現 の 育 ち を見 据 え,他 の 子 ど もの 表 現 に触 れ られ る よ うな 配 慮 や 工 夫 をす る力 を身 につ け る こ とを ね らい の 一 つ と して い る。   ア ンケ ー ト結 果 よ り,授 業 に お い て 学 生 た ち が 楽 しい と感 じた こ と の多 くは,グ ル ー プ活 動 に 関 す る もの で あ る こ とが 明 らか で あ る。 表3 で は,9項 「発 表 に向 け た音 楽 づ く り を通 して グ ル ー プ の メ ンバ ー と の コ ミュニ ケ ー シ ョ ンが 活 発 に な っ た」 や8項 「グ ル ー プ活 動 に よ っ て, 音 具 や 楽 譜 を も と に し た音 楽 づ く りの ア イ デ ア や イ メ ー ジが,よ り豊 か に広 が っ た」 の ポ イ ン トが 高 く,上 位 を 占め て い る。 ま た,表4で は 一129一

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音 楽と造形の総合的な表現 の可能性 授 業 にお い て楽 し い と感 じた こ とに 「グ ル ー プ 活 動 」 を挙 げ た 学 生 が67名 中55名 と高 い 割 合 を 占 め て い る。 自 由記 述 に お い て も 「グ ル ー プ 活 動 を し て い て,音 を絵 に 表 す の は 楽 しい と感 じ ま し た 」(表8)や 「自 分 な りに 感 じた よ う に 表 して,人 と く らべ て み た と き に,『 な る ほ ど そ ん な表 し方 も あ る の か 』 と い う発 見 が た くさ ん あ っ て 楽 しか っ た で す 」(表6),「 自分 で は 思 い つ か な か っ た表 現 を知 る こ とが で きま した」 (表7),「 い ろ い ろ な 人 の 作 品 を 見 るの は,す ご く楽 しか った し,そ の 人 の 個 性 が 出 て い て 面 白 か っ た で す 」(表9)な ど,グ ル ー プ 活 動 を 通 して 他 者 の 表 現 に気 づ い た り,共 に表 現 す る 楽 し さ の体 験 を味 わ っ て い る こ とが うか が え る。   ま た,「 こ の 授 業 を 通 し て 子 ど も の気 持 ち に 少 しで も近 づ け た と思 い ます 」 「リ ズ ム を絵 に 表 現 す る とい う の は 初 め て の経 験 で 難 しか っ た け ど,表 現 の 仕 方 が 豊 か に な れ た よ うな気 が し ます 。 将 来,こ の授 業 で 学 ん だ こ とを生 か して い きた い と思 い ます 」(表6)と い う記 述 か ら は,保 育 者 と して 身 に つ け るべ き力 を意 識 しな が ら学 ぶ 学 生 の 姿 勢 が み て とれ る 。 さ らに,「 グ ル ー プ活 動 が とて も楽 しか っ た 。 一 人 で作 成 し た もの よ り,み ん な で 作 成 した も の の 方 が 好 き だ っ た 。 そ して そ の 過 程 も面 白 く感 じた 」(表 8)と い う記 述 か ら は,表 現 され た 結 果 だ け で な く,そ の 過 程 が 大 切 で あ る こ とを 学 生 自 身が 体 験 的 に捉 え て い る こ とが うか が え る。 今 後 の 学 生 の 成 長 に,本 授 業 が 生 か さ れ る こ とが 望 ま れ る。 (4)素 材 か ら見 つ け た 音 の 音 色 や リズ ム,音 の   重 な りな ど の 面 白 さ を感 じて 表 現 して い た か   音 具 づ く りの 過 程 に お い て,学 生 た ち は缶 や ガ ラ ス ビ ンや 段 ボ ー ル箱 を叩 い た り,輪 ゴ ム を 弦 に見 立 て て は じい た り,小 石 や小 豆,大 豆 を 入 れ た ペ ッ トボ トル や 缶 を 振 っ た りな ど し て, さ ま ざ ま な素 材 か ら積 極 的 に音 を 見 つ け よ う と 試 み て い た 。 ま た,そ う して 見 つ け た 音 を グ ル ー プの メ ンバ ー と重 ね合 っ た り,リ ズ ム の 変 化 を模 索 した り しなが ら,音 楽 づ く りを進 め て い っ た 。 そ の よ う な過 程 を経 て 出 来 上 が っ た 作 品 に は,軽 や か な リズ ム の 重 な りが 効 果 的 に表 現 され た もの や,音 色 の重 な りが 美 し く,耳 に 心 地 よ く感 じ られ る もの が み られ た。   授 業 後 の ア ンケ ー ト結 果 か らは,表3の5項 「音 具 につ い て 考 え,親 しむ機 会 と な った 」(4.5 ポ イ ン ト)や7項 「音,色,形 を統 合 しな が ら 表 す こ との 楽 し さ を味 わ っ た」(4.3ポ イ ン ト) な どが 高 い ポ イ ン トで あ る こ とや,表4で は授 業 にお い て 楽 しか っ た こ と の2位 に 「音 具 づ く り」 が 挙 げ られ る な ど,学 生 た ち は 楽 しみ なが ら音 具 づ く りや 音 楽 づ く りを体 験 して い た こ と が うか が え る。 ま た,自 由記 述 に お い て は 「今 まで は楽 器 に な る な ん て 思 わ な か っ た もの が, キ レ イ な音 や 面 白 い音 が 出 る こ とが 知 れ て よ い 体 験 に な り ま した 」(表6),「 自分 が 音 を ど の よ う に 表 せ ば い い か を考 え る の は 難 しか っ た け れ ど楽 しか った し,こ の よ うな 表 し方 もあ る と 発 見 す る 部 分 もあ り ま した 」(表7),「 グ ル ー プ で リズ ム を 考 え た り音 具 を つ く る の が 楽 し か っ た で す 」 「一 人 で す る よ り も,仲 間 と共 に や っ た 方 が い ろ ん な 形 の 音 楽 が 表現 で き る と思 い ま す 」(表8)な ど,仲 問 と の や り と り を通 し て音 楽 づ く りの 楽 し さや 発 見 が もた ら さ れ た こ とが み て とれ る。 一 方,表5で 「楽 曲づ く り」 が 授 業 に お い て難 しい と感 じた こ との2位 に挙 げ られ て い る こ とか ら は,音 を 見 つ け なが ら音 具 を つ くる こ とは 興 味 深 く楽 しい が,そ れ を楽 曲 に ま とめ る こ と は難 しい と学 生 が 感 じて い る こ とが 理 解 で きた 。 曲づ く りの ヒ ン トや 助 言 な ど,教 員 か らの サ ポ ー トも今 後 の 課 題 と した い 。 (5)保 育 に用 い る 描 画 材 料 や 用 具 に 親 しみ,そ   の 特 性 を生 か した 表 し方 を 工 夫 して い た か   子 ど も た ち が 感 じた こ とや 思 い を 目 に見 え る 色 や 形 と して 表 す に は,何 か し らの 「もの」 と して の 表 現 媒 体(メ デ ィア)が 必 要 で あ る 。 学 生 に と っ て は,保 育 現 場 で 備 え られ て い る描 画 材 料 や 用 具 に触 れ,そ の 特 性 を熟 知 して お くこ とが,保 育 者 と し て子 ど もの 表 現 の可 能性 を予 測 し,活 動 を支 え る力 と な る。   この 授 業 で は保 育 で使 用 さ れ る材 料,用 具 で あ るが,① 他 の 造 形 科 目の 授 業 で体 験 す る 機 会 が な い。 ② 音 刺 激 に よっ て 喚 起 さ れ る 感 覚 の 特 徴 を表 しや す い 。 の2つ 理 由 か らコ ンテ パ ス テ 一130一

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ル とス ポ ン ジ筆 ・ス ポ ン ジ ロ ー ラ ー を用 い る 描 画体 験 もね らい と した 。   まず,学 生 か らの 反 応 と して 目立 っ た の は, 大 方 の 学 生 が パ ス テ ル の 使 用 が 始 め て で あ っ た た め,最 初 は使 用 す る こ と 自体 が 珍 し く楽 しい とい う様 子 で あ っ た 。 パ ス や ク レ ヨ ン とは異 な る サ ラサ ラ し た感 触 が 気 持 ち よ く,そ の感 触 を 楽 し む こ とで 描 画 意欲 も湧 い た よ うで あ る 。 前 掲 の 写 真1∼7の 作 品 で 見 られ る よ う に,多 く の 学 生 が パ ス テ ル の 形 状 で あ る 四 角 の 形 を利 用 して,① 小 口や 腹 を使 う,角 を 使 う な ど して 線 の 太 さ を描 き分 け る,② 筆 圧 を使 い 分 け て 明 瞭 な 線 や か す れ た線 な ど を表 す,③ 鋭 角 的 な ジ グ ザ グ線 と滑 らか な 曲 線 の 違 い を 表 す,④ 描 い た 線 や 面 を こす っ て ぼ か す,⑤ 二 色 以 上 を重 ね て 描 く,混 ぜ 合 わせ て 混 色 す る な どの 多 様 な 表 し 方 の 工 夫 をす る こ とが で きた 。   ス ポ ン ジ筆 や ス ポ ン ジ ロ ー ラー の 使 用 も,パ ス テ ル と同 様 に初 め て の 体 験 で あ る学 生 が ほ と ん どで あ っ た た め,そ の柔 らか な感 触 が 大 変 魅 力 に な っ て い た 。 ス ポ ン ジ筆 や ロー ラ ー の 表 現 効 果 は特 に絵 の 具 の 濃 度 や 圧 力 で 左 右 され るが, 下 書 き用 の 紙 に何 度 も試 し描 き を して い る姿 が 全 て の グル ー プ で 見 受 け られ た 。 ス ポ ン ジ筆 の ス タ ン ピ ン グ か ら連 想 して 手 の ス タ ン ピ ン グ に 興 じる グ ル ー プ もあ っ た。(写 真10)   以 上 の よ う な様 々 な技 法 の 試 行 が 単 に 視 覚 的 な効 果 の 実 験 と して 完 結 す る の で は な く,聴 き 分 け た音 の 感 じの 違 い を何 とか して表 そ う と し て 探 られ た こ とに 意 味 が あ る と考 え る 。 5.ま とめ と今 後 の 課 題   今 回 わ れ わ れ が 行 っ た授 業 の 題 材 自体 は,と りわ け て 新 しい もの で は な い 。 美 術 教 育 にお い て は既 に20年 近 く前 に 『美 育 文 化 』 が 「音 ・子 ど も ・造 形 」 の 特 集 を組 ん で い る15)。そ の 誌 上 で 水 島,岡 田,谷 中,佐 々 木 らが 当 時 の音 と造 形 を め ぐる状 況 と小 学 校 「図 画 工 作 」 科 や 中 学 校 「美 術 」 科 で の 実 践 で あ る音 具 の 制作 と合 奏, 図 形 楽 譜 の制 作,音 楽 鑑 賞 画 の制 作 な ど の取 り 組 み を紹 介 して お り,方 法 につ い て そ こ か ら大 い に示 唆 を受 け た 。 しか しそ の後,「 は じめ に」 で も触 れ た よ う に教 育 現 場 にお い て音 楽 と造 形 表 現 の 相 互 交 流 の 課 題 が深 め られ,進 展 した と は 必 ず し も言 い が た い状 況 が あ る。   特 に幼 稚 園教 諭 や 保 育 士 を養 成 す る 教 育 課 程 に お い て,再 現 可 能 な 総 合 的 「表 現 」 の指 導 法 の確 立 は 強 く望 ま れ る と こ ろで あ る 。 そ の糸 口 と して 本 学 科 で の授 業 実 践 を可 能 な 限 り詳 細 に 記 述 し,詳 しい 授 業 計 画 が 把 握 され 吟 味 の対 象 と な り得 る よ う に努 め た 。   7回 の授 業 で 表 現 され た 一 連 の学 生 の作 品 を 見 る と き,音 の 様 々 な 性 質 の違 い を聴 き分 け る 事 の で きた 学 生 の描 画 ほ ど,線 や色 や 構 成 が 変 化 に富 ん だ もの とな り,結 果 と して 造 形 的 に も 面 白 く美 しい 作 品 が 生 まれ る傾 向 が 顕 著 で あ っ た 。 豊 か な 表 現 は,や は り身 の周 りの 様 々 な 事 象 の小 さ な違 い に気 付 くこ とか ら始 ま る の で あ ろ う。   そ して,音 や 色,形 の 世 界 を知 覚 して 認 識 す る と きに,刺 激 に対 応 す る特 定 の 感 覚 器 官 だ け を働 かせ るの で は な く,異 な る他 の 感 覚 器 官 を 共 に意 識 的 に働 かせ な が ら,異 な る形 式 に 変 換 して表 現 す る こ とに よ っ て,特 定 の 感 覚 に も揺 さぶ り をか け感 性 を広 げ る こ とが で き る の で あ る。   今 回 の 反 省 と して 最 も重 要 と考 え る の は,身 の 回 りの 音 を描 画 す る活 動 に,自 然 音 を取 り込 む こ とが で きな か っ た こ とで あ る。 子 ど もの 音 環 境 と して 欠 か か す こ と の で き ない,ま た 取 り 戻 さな けれ ば な らな い 自然 音 を ど の よ うに 教 材 化 す る か で あ る 。 さ ら に は,色 や 形 を音 と して 表 現 す る逆 方 向 の 変 換 の 内容,身 体 の 動 き との 連 関 に つ い て 明 瞭 に 自覚 で き る方 法 を検 討 した いo 〈註>   1)椋 田敏 史 「幼児 教 育 にお ける総合 的 な表現 に     つ いて」 兵庫教 育大 学  体育 ・芸術 教 育学系     美術 分野 「感 覚 をつ なげて ひ ら く芸術 教 育 を     考 え る会」 編 『第1回 研 究 会 報告 集 』2008     p.15   2)① 日本 保育学 会第58回 大会 論集 「保 育者養 成     におい て 『表 現』 を どの よ うに指 導 す るか(1)     主 に音 楽的 側面 に関 して」2005pp.48-49     ② 日本 保育学 会 第59回大会 論集 「保 育者 養成 一131一

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音 楽と造形の総合的な表現 の可能性    に お い て 『表 現 』 を どの よ う に 指 導 す る か(2)   学 生 の歌 唱 指 導 に つ い て の 共 通 理 解 を 求 め て」   2006pp.52-53③ 日本 保 育 学 会 第60回 大 会   論 集 「保 育 者 養 成 に お い て 『表 現 』 を どの よ     う に 指 導 す るか(3)学 生 の 歌 唱 に お け る 『声 』    の 指 導 に つ い て 」2007pp.150-151④ 日本 保    育 学 会 第61回 大 会 自主 シ ンポ ジ ウ ム 「保 育 者   養 成 に お い て 『表 現 』 を どの よ う に 指 導 す る    か(4)な ぜ,な ん の た め に,ど う 歌 う の か 」   2008p.11& 3)今 川 恭 子 ・宇 佐 美 明 子 ・志 民 一 成 編 著 『こ ど     も の 表 現 を見 る,育 て る一 音 楽 と 造 形 の 視 点    か ら』 文 化 書 房 博 文 社2005 4)宇 佐 美 明 子 ・神 原 雅 之 「保 育 者 要 請 に お け る     『保 育 内 容 表 現 』 の 授 業 改 善 」 「国 立 音 楽 大 学   研 究 紀 要 』 第42集2007pp.101-ll2 5)コ ン テパ ス テ ル は パ ス や ク レ ヨ ン に比 べ て サ     ラ サ ラ し た 感 触 で 伸 び が よ く,混 色 や こす る,     ぼ か す な どの 操 作 が しや す い 。 6)画 用 紙 は 横 位 置 に 使 用 して,縦 方 向 を 音 高 軸,    横 方 向 を 時 問 軸 とす る こ と を 共 通 の ル ー ル と     した 。 7)楽 器 を 見 る こ とに よ り イ メ ー ジ が 固 定 化 さ れ    ぬ よ う に,音 源 の 提 示 は,学 生 か ら見 え な い     よ う に 行 っ たQ 8)こ の 曲 の 日本 語 訳 は,『 シ ャ ン ソ ン:全 て の    年 にヘ イ,ヘ イ,ヘ イ 』 で あ る 。 尚,こ の 曲     の 選 曲 理 由 は,① 長 さが 適 当 で あ る(1分11    秒),② 音 の 高 低 が 聞 き分 け や す い,③ 曲 中     に 既 成 楽 器 ら し くな い 音 色 が 含 ま れ て い る,     な ど で あ る 。 9)水 性 絵 の 具 の 性 質 を 活 か し た ド リ ッ ピ ング 技    法 や ス パ ッ タ リ ン グ 技 法 を体 験 し,音 の 性 質     を 効 果 的 に 表 現 す る 方 法 を 考 え させ た 。 表 現     す る 内 容 が,用 い る メ デ ィ ア の 特 性 か ら影 響     を 受 け る こ と に 気 付 か せ る ね ら い もあ る 。 10)本 稿 で は,音 具 を 西 洋 音 階 と は異 な る 音 源 を     得 る た め に つ く られ た 道 具 と考 え,民 族 楽 器     もふ くめ る こ と と し た 。 松 平 頼 暁 「音 具 の 発     明 」 『20.5世紀 の 音 楽 』 青 土 社1982pp.169-  社1982pp.169-  174 11)発 音 の 方 法 に よ る 楽 器 の 分 類 と して はEホ ル     ン ボ ス テ ル とC.ザ ッ ク ス に よ る 「五 分 類 法     (気 鳴 ・体 鳴 ・膜 鳴 ・弦 鳴)」 な どが あ る。 ダ     イ ヤ グ ラ ム グ ル ー プ編,皆 川 達 夫 監 修 『楽 器 』     マ ー ル 社1992 12)《 雨 》 《木 片 》 《ハ ウ ス ミ ュ ー ジ ッ ク 》 の3曲     を選 曲 した 理 由 は,情 景 を 描 写 して い る,リ     ズ ム の 繰 り返 し の 面 白 さが あ る,音 色 の 違 い     や 音 の 重 な りの 面 白 さが あ る,身 近 の も の を     楽 器 と して 取 り入 れ て い る,な どで あ る。 13)音 楽 づ く りに 際 す る留 意 点 につ い て は,坪 能     由紀 子 『音 楽 づ く りの ア イ デ ア 』 音 楽 の 友 社     1995を 参 考 に した 。 14)こ の3分 類 方 つ い て は,佐 野光 司 「図形 楽 譜 」     『音 楽 大 事 典 』 平 凡 社1982pp.1289-1290を     参 考 に し た 。 15)共 同 制 作 で あ る こ と と発 表 の 形 で ク ラス 全 員     が 鑑 賞 で き る大 き さ と して,画 用 紙 はB列 本     判 を使 用 した 。 ま た 描 画 材 料 も,既 習 の コ ン     テ パ ス テ ル,水 性 絵 の 具 に,ク レ ヨ ン を加 え     た 。 用 具 は 水 彩 筆,ス パ ッ タ リ ン グ 網 の他 に,     ス ポ ン ジ筆 と ス ポ ン ジ ロ ー ラ ー を加 え,表 現     す る紙 の 大 き さ に無 理 の ない 描 画 用 具 や,繰     り返 しが 表 現 しや す い 用 具 を体 験 で き る よ う     に し た 。 16)水 島 尚 喜 「造 形 教 育 に お け る 『音 』 を め ぐ っ     て 」,岡 田 匡 史 「音 楽 と絵 画 の 相 互 交 流 に よ る     試 論 一 音 楽 感 想 画 を 中心 に一 」,谷 中優 「創 作     音 具 つ い て の 再 考 」,佐 々 木 薫 「『音 楽鑑 賞 画 』     の 中 で 語 る 子 ど も た ち 」 『美 育 文 化 』Vol.39     No.111989  pp.12‐40 一132一

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表3  授業 の ね らい に対 す る学 生 の5段 階 評 価 表 項 目 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 リズ ム や 音 高,旋 律 を 聞 き取 る こ とが で きる よ う に な っ た 。 リズ ム や 音 高,旋 律 を点 や 線 や 形,色 で 感 じ,表 す こ とが で きる よ う に な っ た 。 音 や 音 楽 を色 や 形 で 感 じ,表 す こ とが で きる よ う に な っ た 。 色 や 形 な ど か ら音 や 音 楽 を感 じ,表 す こ とが で き る よ う に な っ た 。 音 具 につ い て 考 え,親 しむ 機 会 とな っ た 。 音 具 づ く りの基 本 的 な知 識 を得 る こ とが で きた 。 音,色,形 を統 合 しなが ら表 す こ との 楽 し さ を味 わ っ た 。 グ ル ー プ活 動 に よ っ て,音 具 や 楽 譜 を も とに した 音 楽 づ く りの ア イ デ アや イ メ ー ジが,よ り豊 か に 広 が っ た 。 発 表 に 向 け た 音 楽 づ く り を と お し て,グ ル ー プ の メ ンバ ー と の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ンが 活 発 に な っ た 。 子 ど も(人 間)に と って,表 現 と は何 か を考 え る機 会 に な っ た 。 表 現 に つ い て の感 じ方,考 え 方 が 少 し変 わ っ た 。 子 ど もの 表 現 活 動 の 環 境 づ く りや 指 導 の 方 法 に 反 映 させ た い と思 う。 5段 階評価の人 数 と平均 平均 3.9 !  ' !  ' 3.8 4.5 3.9 4.3 .  . 4.7 3.9 1  , 4.2 5 13 17 13 11 39 m 32 39 49 11 12 23 4 39 m 39 36 20 30 26 20 16 43 .. 36 3 13 10 14 16 5 16 6 0 2 9 9 6 2 2 2 1 4 2 3 3 1 0 4 2 2 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 表4  授 業 にお い て楽 しい と感 じた こ と 表5  授 業 に お い て難 しい と感 じた こ と 一133一

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音 楽 と造 形 の 総 合 的 な表 現 の可 能 性 表6一 音 を描 い た り音 具 を作 るの は初 め て の経 験 で,発 見 が あ っ た一 〔表6-9は 自 由記 述 に よ る〕 ● リズム を絵 に表 現 す る とい うの は初 め て の経 験 で 難 しか っ た け ど,表 現 の仕 方 が 豊 か に なれ た よう な気 が しま す。 将 来,こ の授 業 で学 んだ こ とを生 か して い きたい と思 い ます ● 楽 曲 を聴 い ての 描 写 が私 に とっ て納 得 の で き る一 枚 にな っ た と思 い ます ● 今 ま でや った こ との ない こ とが た くさん経 験 で きま した 。 こ の授 業 を通 して 子 ど も の気 持 ち に 少 しで も近づ けた と思 い ます ● 音 や リズ ム を色 や形 に表 す とい う こと をあ ま りや った こ とが なか っ た の で,少 し難 しか った です が,と て も楽 しん で で き ま した ●音 具 を作 り,楽 曲 を作 り,発 表 を した の は とて も楽 しか っ た です 。 他 の 人 が どん な ふ うに 音 や リズ ム を と らえ,表 現 して い るの か が よ く分 か っ て 面 白 か っ た です ●高 校 まで の美 術(図 工)と 音 楽 が合 わ さっ た よ う な新 しい感 じの授 業 で した● 音 を色 や形 で 表 現す るの は初 め て で,最 初 はす ご くとま どい ま した。で も 自分 な りに感 じた よう に表 して,人 と くらべ て み た と きに,「 な るほ ど, そ ん な表 し方 も あ る のか 」 とい う発 見 が た くさん あ っ て 楽 しか っ た です ● 今 ま で は,楽 器 に な るな ん て 思 わ な か っ た もの が,キ レ イな音 や お も しろい 音 が 出 る こ と を知 れ て よい 体験 にな りま した 。 グ ルー プ の 人 と楽 し く作 業 が で き,と て も良 い体 験 と な りま した● 音 を描 くこ とで 表す のが す ご く楽 しか った で す● 絵 で 音 を 表す こ とは 初 め てや っ た の で,全 然要 領 をつ か め ない ま まお わ って し まっ たけ れ ど,い ろ い ろ学 べ て楽 しか っ た です ● 音 楽 を 図 な どで 表す 体 験 は初 めて だ っ た ので 毎 回 わ くわ くし ま した。 とて も楽 しか っ た し,音 具 の し くみ が よ くわ か りま した ●音 色 な ど を紙 に描 く こ とに よ って,音 の高 低,音 色,性 質 な ど につ い て分 か る よ う に なっ た。 表7一 視 野 が広 が っ た,表 現 の 意 味 が わ か った よ うな気 が した一 ●思 い切 った大 胆 な表現 をす る こ とが なか なか で きなか った の で,こ の授 業 で 大胆 な表 現 をす る こ とを学 べ ま し た● 自分 で は思 いつ か な か っ た表 現 を知 る こ とが で き ま した● 今 まで 知 らなか っ た よ うな音 具 や 音 楽 につ いて 理 解す る こ とが で き,視 野 が広 が りま した。 友 達 と協 力 して 何 か を作 りあ げ る とい っ た達 成 感 も得 るこ とが で き ま した● 本 当 に表 現 を学 ぶ こ とが で きる授 業 だ と思 い ま した 。 自分 が 音 を どの よ うに表 せ ば い いか 考 え る の は難 し か っ た け ど楽 しか った し,こ の よ うな表 し方 もあ る と発 見 す る部 分 もあ りま した● とて も楽 しい 授 業 で した。 音 の 高低 や リズ ム を 聞い て イ メー ジを ふ く らませ る のが 楽 しか っ た。 表 現 とい う意味 が 前 よ り少 し分 か っ た よ うな 気 が します 。 表8一 グル ー プ で 活動 す る こ と によ って表 現 が 広 が り,楽 しか った一 ● み ん なで い ろ い ろ な イメ ー ジ を共 有 して一 つ の音 楽 を作 った のが 楽 しか った です ● グル ー プで リズ ム を考 えた り音 具 を作 る の が楽 しか っ たで す ●発 表 を鑑 賞 す る のが 楽 しか っ た。 自分 た ちの グ ルー プ の 時 も楽 し くで きた 。 グル ー プ活 動 は とて も勉 強 に な った● グ ルー プで 何 か を完 成 させ る とい うの が 楽 しか った ● グ ルー プ 活動 が とて も楽 しか った 。 一 人で 作 成 した もの よ り,み ん な で作 成 した ものの 方 が好 きだ っ た。 そ して その 過 程 も面 白 く感 じた● 音 を色 や形 で表 す な ん て無 理 だ と初 め は思 っ て い たけ れ ど,グ ル ー プ活 動 を してい て,音 を絵 に表 す の は 楽 しい な と感 じ ま した ● と くに図 形楽 譜 に言 え るこ とです が,み ん なで それ ぞ れ を表 現 しつ つ思 い切 りの よい 作 品 を作 った 後,楽 しか った とグ ルー プ の み ん なそ れ ぞ れが 言 っ てい ま した。 もち ろ ん私 も とて も楽 しか っ たで す ●特 に グル ー プ活 動 が楽 しか った です 。 一 人 です る よ りも,み ん なで仲 間 と共 にや っ た方 が い ろん な形 の 「音 楽 」 が 表現 で きる と思 い ます ● グ ルー プ で の音 具 づ く りは,初 め は す ご くと ま どった け ど,回 を重 ね てい く うち に, み ん な と も仲 良 くなれ た し,楽 し くな り ました ● この授 業 は,楽 し くで きた と思 い ます 。 そ れぞ れ の 発 表 まで の 準 備 は大 変 だ っ た けれ ど,み ん なの発 表 を見 れ た の は面 白か っ た し,と て も勉 強 に な りま した。 表m創 作 活 動 の 楽 しさや 難 しさ,完 成 時 の達 成 感 を感 じた一 ● 自分 で何 か をつ くる難 し さと楽 し さが わか りま した。 ま た,い ろい ろな 人 の作 品 を見 るの は,す ご く楽 しか っ た し,そ の 人 の 個性 が 出 て い て,お も しろ か った で す● 自 由で あ る こ との楽 しさ と難 しさ を感 じた よ うに 思 い ま した ● 自分 ら しい作 品 を作 る こ とに 自信 がつ き,こ れ か らも物 作 りに 自 ら取 り組 み た い と思 え る よ う に なっ た ● 音程 や リズ ム な ど最 初 は よ く分 か らな くて,描 くこ と も難 しか っ た けれ ど,少 しずつ 慣 れ て い って 最 後 に使 っ た 大 きい楽 譜 は み ん なの イ メー ジ を合 わ せ て作 り上 げ る こ とが で きて良 か っ たで す ●音 楽 を作 る のが 大 変 だ っ た。 一 人 ひ と り音 の イメ ー ジや色 が違 うの で,ま とめ るの が大 変 だ っ た。 で も完 成 した と きの 達 成 感 はあ った 。● 最 初 は あ ま り面 白 くな いか な と思 っ たけ ど,自 分 の 手 で音 具 を作 っ た り,班 の みん な と協 力 す る 中 で だ んだ ん感 じ られ る よ う に な りま した。 出 来上 が った 時 の達 成 感 が よか った です ● 一 人 で の楽 譜作 りの と き,色 や 形 を どの よ う に描 くか とい うこ とも考 え ま した。 ど う表 現 した ら一 番合 うか とい う こ とが想 像 で きませ ん で した● この授 業 は,楽 譜 とい って も図形 な の で,な か な か上 手 に思 っ て い た通 りに表 現 す る のが 難 しか っ たで す 。   134

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       〈 音 楽 と 造 形 の 共 感 覚 と 総 合 表 現 に つ い て の 授 業 ア ン ケ ー ト 〉 ◆ 後 半 の 発 表IIの 授 業 を 受 講 して 、総 合 表 現 に つ い て の 下 記 の 項 目 に対 し該 当 す る数 字 に ○   を つ け て 下 さい 。 (5:非 常 に そ う思 う、4:そ う思 う、3:普 通 、2:あ ま り思 わ な い 、1:全 く思 わ な い) 項 目 1.リ ズ ム や 音 高 、 旋 律 を 聞 き 取 る こ と が で き る よ う に な っ た 。 2.リ ズムや 音 高、旋律 を点や線 や形 、色 で感 じ、表す こ とがで き    る よ うに なっ た。 3.音 や 音楽 を色や 形 で感 じ、表 す こ とがで き るよ うにな った。 4.色 や 形な どか ら音 や音 楽 を感 じ、表す ことが でき る よ うに なっ    た。 5.音 具 に つ い て 考 え 、 親 しむ 機 会 に な っ た 。 6.音 楽 づ く りの基 本 的な知 識 を得 る ことが で きた。 7.音 、 色 、 形 を 統 合 しな が ら表 す こ と の 楽 し さ を 味 わ っ た 。 8.グ ルー プ活 動 に よって 、音 具や 楽譜 を も とに した 音楽 づ く り   のア イデ ィアや イ メー ジが 、 よ り豊 か に広 が った。 9.発 表 に 向 け た 音 楽 づ く りを とお して 、 グル ー プ の メ ン バ ー と   の コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン が 活 発 に な っ た 。 10.子 ども(人 間)に とっ て、 表現 とは何 か を考 え る機 会 にな っ    た。 11.表 現 に つ い て の 感 じ方 、 考 え 方 が 少 し変 わ っ た 。 12.子 どもの 表現活 動 への環 境 づ く りや 指導 の方 法に反 映 させ た    い と思 う。 評 価 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 ◆ 次 の 設 問 に 対 し該 当す る 番 号 に○ をつ け て くだ さい 。(複 数 回 答 可) 【A】 授業 の 中で 楽 しい と感 じた こ とは、 どの よ うな こ とで すか?   1.リ ズ ムを聴 い て描 画 した こ と。   2.音 高 を聴 いて描 画 した こ と。   3.楽 曲 を聴 いて描 画 した こ と。   4.音 具づ く り   5.楽 曲づ く り   6.図 形楽 譜づ く り   7.グ ルー プ活 動   8.発 表 と鑑 賞   9.そ の他(      ) 【B】 授業 の 中で難 しい と感 じた こ とは、 どの よ うな こ とで すか?   1.リ ズ ムを聴 い て描 画 した こ と。   2.音 高 を聴 いて描 画 した こ と。   3.楽 曲 を聴 いて描 画 した こ と。   4.音 具づ く り   5.楽 曲づ く り   6.図 形 楽譜づ く り   7.グ ルー プ活 動   8.発 表 と鑑 賞   9.そ の他(      ) ◆ 全 体 の 活 動 の 中 で 、 特 に 工 夫 し た こ と を 書 い て くだ さい 。 ◆ こ の授 業 全 体 に対 す る感 想 や 意 見 が あ りま した ら 自 由 に書 い て くだ さい 。

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