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甲第167号 平成17年 3月18日

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Academic year: 2021

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氏       名 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号

学位授与年月日 学位授与の要件 学位論文題 目

ま だ ひでふみ

馬 田 秀 文

博士(工学)

甲第167号

平成17年 3月18日 学位規則第4条第1項該当

高周波焼入れ歯車の残留応力・硬化層と曲げ疲労強度に 関する基礎的研究

学位論文審査委貞  (主査)

(副査)

逸道夫 幸元隆 近川出 官早小

西村正治

学位論 文 の 内 容 の 要 旨

自動車,航空機,船舶,建設機械および各種産業用機械などにおいては,原動機の性 能アップによる出力増加が強力に進められており,このた吟,伝達トルクの増大に対し て必要とされる変速装置の大きさに制限があるため,また小形・軽量化の要求のため,

動力伝達用歯車の強度増強が強く望まれている.動力伝連用歯車の強度増強をはかるた めに高周波焼入れや浸炭焼入れなどの表面硬化処理が施される.高周波焼入れは,浸炭 焼入れに比べて,焼入れ時間が短い,焼入れひずみが小さい,インライン化・省エネル ギー化・省力化が容易である,作業環境が比較的清潔であるなどの多くの特長を持って いる.しかし,最適な加熱コイル形状と焼入れ条件は試行錯誤によって決定されている のが現状である.このため,高周波焼入れによる残留応力と硬化層を予測できるシミュ レータを開発し,種々の加熱コイル,焼入れ条件に対して高周波焼入れシミュレーショ ンを行って,加熱コイル形状と焼入れ条件が残留応力と硬化層に及ぼす影響を明らかに

し,加熱コイルの最適設計法と焼入れ条件の選定法を確立することが強く望まれている.

本論文では,まず,軸対称および二次元高周波焼入れシミュレータを発展させた三次 元高周波焼入れシミュレータを開発し.このシミュレータを用いて,軸の高周波焼入れ 過程の温度・応力,焼入れによる残留応力・硬化層を求め,軸対称高周波焼入れシミュ レータによる計算結果との比較検討を行って,開発した三次元高周波焼入れシミュレー タの有効性を理論的に確かめるとともに,本シミュレータを用いた場合のFEMモデルの 要素分割法についても明らかにした.また,本シミュレータを用いて歯車の高周波焼入 れ過程の温度・応力を計算し,残留応力・硬化層を求め,残留応力・硬化層に及ぼす加 熱電力おまび周波数の影響などについて検討を加えた.

次に,三次元高周波焼入れシミュレータを用いて歯車の高周波焼入れ過程の温度を求

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めるとともに,高周波焼入れ過程の温度測定を行って,温度の計算結果と測定結果を比 較することにより,開発された三次元高周波焼入れシミュレータの有効性を実験的にも 確かめた.また,歯車のような表面形状が凸凹な形状の場合に,表面に沿った硬化層を 得るのに有効であると考えられている二重周波高周波焼入れについてもシミュレーショ

ンを行って,歯車の高周波焼入れによる残留応力と硬化層に対する二重周波高周波焼入 れの有効性について確かめた.

さらに,加熱時間の異なる高周波焼入れ条件における歯車の局周波焼入れシミュレーションを 行うとともに,高周波焼入れ歯車の硬さ測定と曲げ疲労試験を行って,歯車の曲げ疲労強度に対 する最適加熱時間について検討を行った.また,コイル形状,加熱電力,周波数の異なる条件で 高周波焼入れされた歯車の硬さ測定および曲げ疲労試験を行って,曲げ疲労強度を求め,高周波 焼入れ歯車の曲げ疲労強度に対する最適焼入れ条件を明らかにした.

以上,種々の高周波焼入れ歯車の残留応力・硬化層の計算結果,硬さ測定および曲げ疲労試験 結果より,高周波焼入れ歯車の曲げ強度設計,最適な高周波焼入条件の選定および加熱コイル設 計を行うための有用な基礎資料を提示することができた.

論文審 査 の 結 果 の 要 旨

本論文は,動力伝達用歯車の強度増強をはかるために施される高周波焼入れについて,加熱コ イルの最適設計法と焼入れ条件の選定法の確立を目的として行った基礎的研究め結果をまとめた ものである.

まず,軸対称および二次元高周波焼入れシミュレータを発展させた三次元高周波焼入 れシミュレータを開発し,このシミュレータを用いて,軸の高周波焼入れ過程の温度・

応力,焼入れによる残留応力・硬化層を求め,軸対称高周波焼入れシミュレータによる 計算結果との比較検討を行って,開発した三次元高周波焼入れシミュレータの有効性を 計算実験的に確かめている.また,本シミュレータを用いて歯車の高周波焼入れ過程の 温度・応力を計算し,残留応力・硬化層を求め,これらに及ぼす加熱電力および周波数 の影響などについて検討を加えている.次に,本シミュ.レ一夕を用いて歯車の高周波焼 入れ過程の温度を求めるとともに,高周波焼入れ過程の温度測定を行って,温度の計算 結果と測定結果を比較することにより,本シミュレータの有効性を実験的にも確かめて いる.また,歯車のような表面形状が凸凹な形状の場合に,表面に沿った硬化層を得る のに有効であると考えられている二重周波高周波焼入れについてもシミュレーションを 行って,残留応力と硬化層に対する二重周波高周波焼入れの有効性について確かめてい る.さらに,加熱時問の異なる高周波焼入れ条件における歯車の高周波焼入れシミュレ ーションを行うとともに,高周波焼入れ歯車の硬さ測定と曲げ疲労試験を行って,歯車 の曲げ疲労強度に対す、る最適加熱時問について検討を行った.また,コイル形状,加熱 電力,周波数の・異なる条件で高周波焼入れされた歯車の硬さ測定および曲げ疲労試験を

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行って,曲げ疲労強度を求め,高周波焼入れ歯車の曲げ疲労強度に対する加熱コイルの 最適設計と焼入れ条件を選定するための有益な指針を提示している.

以上 本論文は動力伝達用歯車の高周波焼入れ廟加熱コイルの最適設計法と焼入れ条件の選定 法の確立のために,新しい手法を導くとともに,多くの指針と有益な資料を提示したものとして 高く評価できる.よって本論文は,博士(工学)の学位論文に値するものとして認められる.

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