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運動体としての共同作業所

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Academic year: 2021

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(1)運動 体 として の共 同作業所. 滝. 村. 雅. 人. は じめ に わ が 国 で 共 同 作 業 所(無 認 可 小 規 模 作 業 所)が 開設(1969年)が. 誕 生 す る の は 、 名 古 屋 で の 「ゆ た か 作 業 所 」 の. そ の 始 ま りで あ り、 そ の 後1972年 に 「 み の り作 業 所 」 が 開 設 し、 こ の 二 つ の 作 業. 所 の 実 践 を 契 機 に全 国 各 地 に 設 置 され て い く の で あ る。 この 共 同 作 業 所 づ く りの 発 端 は 、 当時 の 貧 困 な 障 害 者 福 祉 施 策 の も とで 、 障 害 者 とそ の家 族 の 正 当 な 要 求 を 受 け 止 め つ つ 、 そ れ を権 利 と して 実 現 して い く こ と を 目指 した 運 動 で あ っ た 。 こ の 運 動 は 「 働 く権 利 の 保 障 を め ざ して 、 『働 け な い 』 『働 く こ とは 無 理 だ 』 とい わ れ て き た 中 度 重 度 の 『ち え 遅 れ 』 の 障 害 者 に 、 『労 働 へ の 参 加 』 とそ の こ と を通 じて の 『発 達 の 事 実 』 を つ く りだ して き た 」 ωの で あ る。 そ して 「ゆ た か 作 業 所 」 の 実 践 か ら 、 社 会 福 祉 法 人 「ゆ た か 福 祉 会 」(1972年)が. 誕 生 し、 そ れ ま で の 運 動 と実 践 を. さ らに 高 め て い く こ と に な る の で あ る。 同 時 に この 実 践 は 、 「 全 国 障 害 者 問 題 研 究 会 」(1967年 結 成)の 運 動 と研 究 の な か で 権 利 保 障 ・発 達 保 障 の 実 践 と して 深 め られ 、1977年 の 「 共 同作業 所 全 国 連 絡 会 」 の 結 成 に よ っ て 一 層 の 発 展 を み るの で あ る。 元 来 、 知 的 障 害 者 を そ の 主 た る対 象 と して 発 展 して き た 小 規 模 作 業 所 で あ るが 、 今 日で は 、 精 神 障 害 者 もそ の 対 象 と して 各 地 で 設 置 され て き て い る。<表1>は. 、2000年8月. 現 在 の 全 国 の都. 道 府 県 ・指 定 都 市 ・中 核 市 に お い て 自治 体 か ら補 助 金 を交 付 され て い る 小 規 模 作 業 所 の 一 覧 で あ る。 全 国 総 数5587カ 所 で あ り、1999年 度 か ら2000年 度 で は385カ 所 の 増 加 が み られ る。 毎 年200カ 所 以 上 増 加 して い る とい わ れ て い る。 そ して 、 精 神 障 害 者 を 対 象 と した 作 業 所 の 伸 び が 著 し く、 この 動 向 は 、 い か に今 ま で 精 神 障 害 者 に 対 す る社 会 的 対 応 が 遅 れ て お り、 そ の 地 域 生 活 が 阻 害 さ れ て い た か の 証 左 で も あ る と い え る。 都 道 府 県 別 で み る と、 兵 庫 県 が 前 年 比 較 で42カ 所 の増 加 と な っ て お り、 他 の都 道 府 県 に 比 べ て極 め て 多 い 。 そ の ほ か福 島 県 、 埼 玉 県 、 東 京 都 、 神 奈 川 県 、 大 阪 府 、 岡 山 県 、 広 島 県 、 沖 縄 県 な ど で2桁 の 増 加 が み られ る。 政 令 指 定 都 市 全 体 で は43カ 所 、 中核 市 全 体 で は51カ 所 の 増 加 が み られ る。 全 体 的 に は 大 都 市 を抱 え て い る 都 道 府 県 を 中 心 に 作 業 所 の 設 置 が 進 ん で き て い る と い え る。 ち な み に 、 拙 論 で 取 り上 げ る 富 山 共 同作 業 所 ラ ッ コハ ウス が 位 置 す る 富 山 県 ・富 山 市 の 状 況 は 、 富 山 県 全 体 で は2000年 度 に 「 心 身 障 害 者 」 関 係 が22カ 所 (前年21カ 所)、 「 精 神 障 害 者 」 関 係 が18カ 所(前 年 同 数)で あ り、 結 果1カ. 所 の 増 加 とな っ て い る。. 富 山 市 で は 、1999年 度 か ら2000年 度 に か け て 作 業 所 の 増 加 は み られ な い 。 しか し、 昨 今 の 自治 体 財 政 の悪 化 は 、 これ らの 小 規 模 作 業 所 の 運 営 に も影 を 落 とす 結 果 を もた ら して い る。 そ して 「 社 会福 祉基 礎構 造 改革 」の 流れ の 中で、社 会福 祉 法人 取得 条件 の緩和 は、 後 述 す る よ うに さ ら に新 た な 問題 を発 生 させ る こ と に な る の で あ る。.

(2) 〈表1〉 2000年 度 都 道 府 県 ・政 令 指 定 都 市 ・中核 市 ・東 京 都 特 別 区 小 規 模 作 業 所 補 助 金 交 付 ヵ所 数. *(2000年8月1日 現 在 、 共 同 作 業 所 全 国 連 絡 会 調 べ/00・99年 度 の 数 字 と も 予 算 カ 所 数 で集 計) *政 令 指 定 都 市 及 び 中 核 市 か ら は都 道 府 県重 複 分 を 、東 京 都 特 別 区 は 東 京 都 重 複 分 を 、 そ れ ぞ れ 除 い た 数 字 *日 本 知 的 障 害 者 連 盟 編 『発 達 障 害 白 書2002』 日本 文 化 科 学 社  2001年10月  140頁 ∼141頁 よ り筆 者 作 成.

(3) さて 、 一 概 に 小 規 模 作 業 所 とい つ て も 、 そ の 設 置 目的 や 設 置 経 緯 、設 置 主 体 ・運 営 主 体 、 実 践 理 念 、 職 員 構 成 、 事 業 内 容 、 経 済 基 盤 、 利 用 者 の 障 害 種 別 お よび 障 害 程 度 等 々 に つ い て は 、 そ れ ぞ れ の 作 業 所 に よ っ て 異 な り、 地 域 性 も大 き く影 響 して い る。 そ して そ れ らの 作 業 所 は 性 格 的 に み る と大 き く2つ に 分 類 す る こ と が で き る 。 ひ とつ は 、 障 害 者 とそ の家 族 を は じ め と して 、 障 害 者 問題 に 関 わ る多 くの 関 係 者 に よ っ て 、 障 害 者 の 基 本 的 人 権 を 守 り、 労 働 と発 達 の 保 障 を 軸 に し た科 学 的 理 論 を 基 に 活 動 ・運 動 体 と して 発 展 して き た もの で あ る。 そ して も うひ とつ は 、 こ う し た運 動 体 と して の 性 格 よ り も 、 よ り具 体 的 に養 護 学 校 等 障 害 児 諸 学 校 卒 業 後 の わ が 子 の 進 路 に 不 安 を 抱 い た 多 くの 障 害 者 の保 護 者 とそ の 所 属 す る 団 体 の 不 断 の 努 力 と 自 己犠 牲 に よ っ て 設 置 され て き て い る も の で あ る。 この 性 格 の 作 業 所 は 、 設 置 す る こ と と 日々 そ こへ 通 所 す る こ とを 目的 と して い る場 合 が 多 く、 人 間 の 成 長 ・発 達 に 関 す る科 学 的 理 論 に 裏 付 け され た 実 践 が 展 開 され て い る とは 言 い 難 い の で あ る。 しか し、 い ず れ の 場 合 で あ っ て も共 通 して い え る こ とは 、 そ の 設 置 の 主 体 的 契 機 か ら考 え る と障 害 者 の 在 宅 ・地 域 生 活 支 援 機 能 を持 っ た も の で あ る とい うこ とで あ る。 拙 論 は 、 こ の よ うな 小 規 模 作 業 所 の 運 動 体 と して の 機 能 を 再 確 認 す る こ と を 目的 と して 、 そ の 運 動 的 側 面 に着 目 し、 実 際 の 作 業 所 で の 運 動 とそ の 実 践 を 取 り上 げ る もの で あ る。 な お 、本 来 「 共 同作 業 所 」 とい う用 語 は 、 後 述 す る 「 共 同 作 業 所 全 国 連 絡 会 」 に所 属 して い る 小 規 模 作 業 所 を指 す もの で あ る が 、 昨 今 で は そ れ に 限 らず 一 般 的 に 広 く使 用 され る よ うに な っ て き て い る。 そ の 意 味 で 、 拙 論 で は す べ て 「 共 同 作 業 所 」 と い う用 語 を使 用 す る こ と に す る。. 1.共 (1)共. 同 作 業 所 の 歴 史 的 背 景 と今 後 の 方 向 性 同作 業 所 誕 生 の 歴 史 的 背 景. 前 述 した よ うに 共 同 作 業 所 の 原 型 が 登 場 す る の は1960年 代 終 わ りで あ り、1970年 代 に か け て 多 くの 設 置 運 動 が 芽 生 え て くる の で あ る。 1960年 代 の 高 度 経 済 成 長 は 障 害 者 福 祉 分 野 に も大 き な変 革 を も た ら して い る。 高 度 経 済 成 長 政 策 は 、 労 働 力 流 動 化 政 策 に よ っ て 産 業 構 造 と地 域 構 造 を変 革 させ て き た 。 と くに 労 働 力 の 不 足 は 身 体 障 害 者 を 労 働 政 策 の 対 象 と して 組 み 込 む こ と で 、 障 害 者 の 雇 用 政 策 を 一 定 限 度 進 展 させ て き た の は事 実 で あ る。 「 身 体 障 害 者 雇 用 促 進 法 」(1960.7:法. 律123)(現. 行:「 障 害 者 雇 用 促 進 法 」). の 制 定 は 、 在 宅.地 域 生 活 の 方 途 が ほ と ん ど整 備 され て こ な か っ た 身 体 障 害 者 を 低 賃 金 労 働 力 と して 利 用 し よ う とす る もの で あ っ た 。 職 業 更 生 対 策 を 全 面 に 押 し出 す 形 で と くに 軽 度 障 害 者 を 対 象 に 積 極 的 に 労 働 行 政 の 対 象 と して 位 置 づ け て く る の で あ る。 こ う して 軽 度 障 害 者 と重 度 障 害 者 を 分 断 し、 重 度 障 害 者 に 対 して は 施 設 「 収 容 」 主 義 を 充 実 させ る 方 向 へ と向 か うの で あ る。 こ の こ とは 一 方 で 、 労 働 政 策 の 対 象 とな る 障 害 者 とそ うで な い 障 害 者 を 分 断 す る こ と に な り、 と く に 重 度 ・重 複 障 害 者 を 劣 悪 な 社 会 福 祉 政 策 の 対 象 に 押 し と ど め る こ と に な る。 ま た 、1960年 代 後 半 の 施 設 福 祉 か ら在 宅 福 祉 へ の 転 換 は 、施 設 「 収 容 」 主 義 か らの 脱 皮 を 図 っ た もの で あ っ た が 、 し か し こ の 在 宅 福 祉 へ の 方 向 は 、 社 会 参 加 が 可 能 な 障 害 者 を対 象 とす る も の で 、 重 度 の 在 宅 障 害 者 の 問題 は や は り放 置 され た ま ま で あ っ た 。 こ う した こ とが 、1970年 代 前 半 の 「 ま ち づ く り運 動 」.

(4) や. 「 生 活 圏 拡 張 運 動 」 へ と展 開 して い く の で あ る。 一方. 、 知 的 障 害 者 に つ い て は 、1960年 に よ うや く 「 精 神 薄 弱 者 福 祉 法 」(1960.3:法. 律37)(現. 行:「 知 的 障 害 者 福 祉 法 」)が 制 定 され 、 知 的 障 害 者 へ の社 会 福 祉 対 策 が 整 備 され て い くの で あ る。 これ よ り先 に 「 知 的 障 害 者 援 護 施 設 」 は 制 度 化 され て お り、 これ らは 、 当 時 の 知 的 障 害 者 関係 団 体 が 要 望 した結 果 で あ っ た 。 そ の よ うな 運 動 の 成 果 に よ っ て 、1960年 代 を通 じて 、 重 度 知 的 障 害 者 を 対 象 と した 施 設 の 整 備 が行 わ れ 、 重 度 知 的 障 害 者 の 保 護 政 策 が 展 開 す る の で あ る。 も ち ろ ん これ は 、 重 度 知 的 障 害 者 を入 所 型 施 設 に 押 し と ど め 、 隔 離 的 発 想 に よ っ て 社 会 防衛 的 意 味 合 い を も っ た もの と して 機 能 して い た も の に他 な らな い 。 さ らに 精 神 障 害 者 に い た っ て は 、 「 精 神 衛 生 法 」(1950.5:法. 律123)(現. 行:「 精 神 障 害 者 保 健. 福 祉 法 」)に よ っ て精 神 病 院 へ の 強 制 入 院 ・措 置 の 対 象 に こそ な れ 、 地 域 生 活 支 援 な ど とは 無 縁 の 状 況 に置 か れ て お り、 共 同 作 業 所 の 設 置 な どま っ た く範 疇 外 に置 か れ て い た の で あ る。 こ の よ うな 一 連 の 社 会 的 動 向 を背 景 に 、1970年 代 に は そ れ ま で 各 地 で 分 散 して活 動 して い た 各 種 の 障 害 者 団 体 の 全 国 組 織 が 結 成 さ れ る の で あ る が 、 そ れ ら は そ の性 格 か ら次 の よ うに 大 き く3 つ に分 類 す る こ とが で き る。 第 一 の 方 向 は 、 第 二 次 大 戦 後 再 結 成 され た 「日本 精 神 薄 弱 児 愛 護 協 会 」(1949年)(現:「 的 障 害 者 福 祉 協 会 」)や. 「 全 日本 精 神 薄 弱 者 育 成 会 」(1959年)(現:「. 日本 知. 全 日本 手 を つ な ぐ育 成 会 」). な ど に代 表 され る よ うな 、 障 害 種 別 に そ れ ぞ れ 個 別 の 要 求 を満 た す た め の 、 い わ ゆ る相 互 扶 助 的 な 当 事 者 組 織 の 結 成 で あ る。 これ らの 団 体 は も と も と各 地 で 個 別 に結 成 され て い た もの が や が て 障 害 別 の 全 国 組 織 へ と発 展 す る の で あ る(2)。と く に この 「 育成会 」 は、 その後 の 「 知 的障 害者通 所 援 助 事 業 」 に み られ る よ うな 施 策 の創 設 に 大 き な 力 を発 揮 して い くの で あ る 。 第 二 の 運 動 の 方 向 は 、 障 害 者 自身 とそ の 周 囲 の 人 び とを 巻 き 込 ん で 組 織 され て き た 運 動 で あ る。 この運動 は 、 「 障害 者」 「 健 常 者 」 と い う対 立構 造 を 基 本 に 置 い て 、 障 害 者 自身 を 中 心 とす る 団 体 に よ っ て 、 自 ら の 要 求 実 現 の た め に 、社 会 的 に 問 題 を告 発 す る 方 向 で 部 落 解 放 運 動 な ど と も結 び つ い て 、 他 の 運 動 を 排 除 しつ つ 要 求 運 動 を展 開 す る 方 向 で あ る。 そ して 最 後 に 、1967年 に結 成 され た 「 全 国障害者 問題研 究会 」や 「 障 害 者 の 生 活 と権 利 を守 る 全 国 連 絡 会 」 に 代 表 され る方 向 で あ る。 こ の 運 動 は 、 障 害 者 の み な らず 、 そ の 家 族 や 広 く地 域 の 人 々 や 教 職 員 等 の 個 人 や 労 働 組 合 な どの 団 体 が 、 共 通 の 要 求 ・目標 を 掲 げ 、 そ の 実 現 に 向 け て 民 主 的 な 要 求 運 動 を 展 開 して い く もの で あ る。 障 害 者 の 発 達 と生 活 ・労 働 の 保 障 を 明確 に権 利 の 問 題 と して と ら え 、 権 利 保 障 ・発 達 保 障 の 運 動 と して 行 わ れ た 権 利 擁 護 型 の 運 動 で あ る。 この 一 連 の 運 動 の な か で 、 共 同 作 業 所 の 設 置 に 大 き な 役 割 を 果 た して 来 た 「 共 同作 業 所 全 国 連 絡 会 」 (1977年)が 誕 生 す る の で あ る。 これ らの 各 種 障 害 者 団 体 が 、1970年 代 に入 っ て そ れ ぞ れ の 理 念 ・方 法 で も っ て様 々 な形 の 作 業 所 を 全 国 各 地 に 設 置 して い くの で あ る 。 と く に 、1979年 の 養 護 学 校 設 置 義 務 制 の 実 施 は 、 学 卒 後 の進 路 問 題 を ク ロー ズ ア ップ させ る こ と に な る。 しか し、 す で に 高 度 経 済 成 長 の 終 焉 を 迎 え て い た わ が 国 とっ て 、 養 護 学 校 を 卒 業 した 比 較 的 重 度 の 障 害 者 を 労 働 市 場 に 受 け 入 れ る余 地 は 残 され.

(5) て い な か っ た の で あ る。 さ ら に1981年 の 国 際 障 害 者 年 は 、 障 害 者 問 題 に 対 す る国 民 的 関 心 を 高 め 、 同 時 に 障 害 者 の 権 利 保 障 運 動 が 活 発 化 す る 契機 とな る の で あ る。 こ の よ うな1980年 代 の社 会 的 動 向 は 、・ 前 述 した よ うな2つ の 違 う性 格 の 作 業 所 の 増 加 に 拍 車 を か け るの で あ り、 そ れ は 障 害 者 を 対 象 と した 当時 の 政 策 の あ り方 に 対 す る要 求 運 動 の 結 果 で あ っ た 。 (2)「 共 同 作 業 所 全 国 連 絡 会 」 の 誕 生 と そ の 理 念 ・特 徴 さて 、 全 国 各 地 で 設 置 され て き た 共 同 作 業 所 の 全 国 組 織 と して誕 生 した の が 、 「 共 同作 業所 全 国 連 絡 会 」 で あ る。 こ の 会 は 、 そ れ ま で 個 々バ ラバ ラ に 運 動 し運 営 して きた 経 緯 の 中 で 、 「 共同 して 国 へ の 要 求 運 動 を した い 」 「そ れ ぞ れ の 作 業 所 の 交 流 が した い 」 と い う現 場 従 事 者 か ら の 声 に よ っ て 結 成 され た の で あ っ た 。 1977年8月. 、 名 古 屋 市 内 の旅 館 の 一 室 で この 「 共 同 作 業 所 全 国連 絡 会 」 は 産 声 を 上 げ る 。 こ の. 結 成 会 が もた れ た き っ か け に つ い て 、 当時 の 事 務 局 長 で あ る 藤 井 克 徳 は 、 ま ず 第 一 に 、 「 全 国障 害 者 問 題 研 究 会 全 国 大 会 」 の 労 働 分 科 会 に 共 同 作 業 所 の 関 係 者 や そ れ に 関 心 を持 つ 人 が 集 ま り、 継 続 的 に 交 流 を 持 つ 場 を 求 め て い た こ と。 第 二 に 、 全 国 の 共 同 作 業 所 の 関係 者 か ら 「 国 に 対 して 一 丸 と な っ て 運 動 を 展 開 した い 」 「 年 に 一 度 ぐ らい は 交 流 した い 」 と い う現 場 か らの 声 が 寄 せ ら れ て い た こ と な ど を 上 げ て い る(3)。各 地 で 作 られ て い た 共 同 作 業 所 同 士 の 小 規 模 な 交 流 や 運 動 は あ っ た と して も 、 国 に影 響 を及 ぼ す よ うな 運 動 に は な りえ ず 、 そ の 意 味 で 全 国 組 織 の 必 要 性 が 求 め られ て い た の で あ る 。 そ して 「 障 害 者 自身 の 『人 間 ら し く生 き た い 』 『働 き た い』 とい う切 実 な 要 求 に も とづ き 、 障 害 の 種 別 を 越 え 、 重 い 障 害 を もつ 人 々 に焦 点 を あ て た 『障 害 者 の 働 く場 』 『人 間 ら し く生 き る場 』 を め ざ し」(4)て運 動 が 進 め られ た の で あ っ た 。 こ こ で 注 目 して お か な け れ ば な らな い こ とは 、 「障 害 の 種 別 の枠 を越 え 」 た 実 践 で あ っ た こ と と、 重 度 の 障 害 者 に 焦 点 を 当 て て い た こ とで あ る。 作 業 所 が誕 生 した 当 初 は 知 的 障 害 者 を そ の 主 た る対 象 と して 展 開 した 。 や が て1970年 代 後 半 に な る と、 脳 性 マ ヒ者 を 中心 と した 身 体 障 害 者 を そ の 対 象 に加 え 、1980年 代 に な る と精 神 障 害 者 の 利 用 も 目立 って く る。 そ の 後 は 、 重 度 ・重 複 障 害 者 や 中 途 障 害 者 な ど も そ の 対 象 に加 え て 行 くの で あ る。 作 業 所 の そ れ ま で の 実 践 の 積 み 重 ね が 、 当時 政 策 的 に は 障 害者 福 祉 施 設 の対 象 と して は 排 斥 され て い た 障 害 者 を い ち 早 くそ の 対 象 に据 え て 展 開 して き た と い え る。 と こ ろ で 、 この 「共 同 作 業 所 全 国 連 絡 会 」 の 発 足 の 基 盤 と な っ た 「ゆ た か福 祉 会 」 の 実 践 理 念 は 次 の よ うに ま と め られ て い る 。 まず 第 一 に は 、 労 働 保 障 を権 利 と して捉 え る こ と。 これ は 「障 害 者 の 働 く場 を保 障 す る取 り組 み に 始 ま り、 そ れ を た ん な る働 く場 の 確 保 に と どめ る の で は な く、 労働 を 発 達 の 保 障 と生 活 の 保 障 を を め ざす 権 利 と して の 思 想 に 高 め 」 る実 践 と して 取 り組 む こ と で あ る 。 第 二 に 、 仲 間(利 用 者)の 限 りな い 発 達 を め ざす 。 作 業 所 の 利 用 者 同 士 の 仲 間 集 団 の 徹 底 した 話 し合 い を基 盤 と して 、 ひ と りひ と りの 要 求 を 引 き 出 し大 切 に す る こ と を 通 して 、 自治 を 確 立 し て い こ うとす る も の で あ り、 さ ら に仲 間 の 全 生 活 に 関 わ りつ つ 家 族 と と も に学 び 活 動 す る 姿勢 を も っ て き た こ と。 第 三 に は 、 職 員 集 団 の 発 展 と民 主 的 運 営 を 作 業 所 運 営 の 要 とす る こ と で あ る。 「 作 業所 はみ ん.

(6) な の もの 」 と い う理 念 の も と 、 「 職 員 集 団 は 、 討 論 ・学 習 ・行 動 の な か で 障 害 者 観 へ の 偏 見 を 克 服 しつ つ 、 仲 間 と対 等 平 等 な 人 間 関 係 を確 立 し、 共 に 学 び 育 ち あ う立 場 と 、 指 導 し、 援 助 す る と い う自 らの 専 門 的 立 場 とを統 一 し実 践 に取 り組 む 中で 集 団 と して の 発 展 に努 力 して き た」 の で あ る。 第 四 に 、 地 域 ・社 会 づ く り と して の施 設 づ く りを め ざす 。 障 害 者 の 隔 離 ・「 収 容 」保護 的施 設 に反 対 し、 障 害 者 が 地 域 住 民 と して 人 間 ら し く生 活 し発 達 して い け る 地 域 ・そ して そ の地 域 づ く りの 一 環 と して の 施 設 づ く りを め ざ して き た こ と。 第 五 は 、 障 害 者 問題 を 国 民 的 課、 題 と して 捉 え る。 障 害 者 の 問 題 をそ の 障 害 者 だ け の 問 題 に 押 し と ど め る の で は な く、 各 種 の 団 体 個 人 に 訴 え 、共 に 学 び あ うこ と を通 して 国 民 す べ て の 問 題 と し て 捉 え取 り組 ん で き た の で あ る(5)。 この 「 ゆ た か福 祉 会 」 の 実 践 理 念 が 基 に な り 「 共 同 作 業 所 全 国 連 絡 会 」 の 基 本 的性 格 ・運 動 理 念 が 構 築 され て い くの で あ る 。 そ れ は 、 第 一 に 、 重 度 障 害 者 に と っ て 、 「 働 く こ と は 人 間 と して 生 き 、 人 間 と して 発 達 して い く上 で 欠 く こ と の で き な い 大 切 な 権 利 で あ 」 る が ゆ え に 、共 同 作 業 所 は そ の 権 利 の 保 障 を め ざす も の で あ る こ と。 第 二 に 、 単 に 働 く場 の 保 障 とい うだ け で は な く、 「 働 く こ との 人 間 的 な 意 義 を明 ら か に しつ つ 、障 害 者 の 発 達 の 保 障 を め ざす 」 の で あ り、 そ れ ゆ え 「 共 同 作 業 所 で の 労 働 は 教 育 的 な 配 慮 を と も な っ た 集 団 で の 労 働 で あ 」 る こ と。 第 三 に は 、 「 働 く こ と を軸 に 」 した 、 障 害 者 が 「 人 間 ら し く生 き るた め の 総 合 的 な 権 利 の 保 障 を め ざす もの で あ る こ と」。 第 四 に は 、 「 障 害 者 、家 族 、職 員 お よび 関 係 者 が と も に 力 を合 わ せ 、 運 営 に 参 加 し、 民 主 的 な 討 議 を も と に 共 同 事 業 と して の 発 展 を め ざす こ と」。 第 五 に は 、 そ の 発 展 の 過 程 で 「 市 民 や 地 域 の さ ま ざ ま な 団 体 との 協 力 の 輪 を広 げ る こ と」 な ど で あ る(6)。こ の よ うな 理 念 基 づ い て 共 同 作 業 所 設 置 運 動 の み な らず 、 政 府 へ の 請願 署 名 運 動 や 自治 体 で の 補 助 金 要 求 運 動 な ど を行 っ て き た の で あ る。 そ の 経 過 の 中 で1981年9月. に は 、 これ らの 理 念 を総 合 して 「わ た した ち の め ざ. す も の 」 を採 択 す る の で あ る(7)。そ して こ の 運 動 の 中 で は 、 「 働 く こ とが 人 間 に と っ て 大 切 な 権 利 で あ る こ と と同 時 に 、 も っ と も人 間 的 な 営 み で あ る こ と」 と、 「 労 働 の 主 人 公 は 人 間 で あ り、 そ れ は 障 害 を も っ て い て も変 わ ら な い とい う考 え に も とづ き、 仕 事 に 障 害 者 を合 わ せ る の で は な く 、 障 害 の あ る 人 に 合 わ せ た 仕 事 の 展 開 」 を 常 に 考 え て き た の で あ る。 す な わ ち 、"作 業 所 が 障 害 者 を 選 別 す る の で は な く、 利 用 者 に 合 わ せ て 作 業 所 をつ く る"と い う点 こそ 、 共 同 作 業 所 運 動 が も っ と も大 切 に して き た こ とで あ っ た。 こ の 「共 同作 業 所 全 国 連 絡 会 」 の 作 業 所 設 置 運 動 は 、や が て他 の 障 害 者 団 体 の 作 業 所 設 置 運 動 に も 大 き な 影 響 を 与 え る こ とに な るの で あ る。 しか し 、 この よ うな各 種 の 障 害 者 団 体 に よ る設 置 運 動 の 中では 、 「 共 同 作 業 所 全 国 連 絡 会 」 が も っ と も大 切 に して き た"作 業 所 が 障 害 者 を選 別 す る の で は な く、 利 用 者 に 合 わ せ て 作 業 所 を つ く る"と. い う視 点 は い つ の 間 に か 捨 象 され 、 「作 曼. 業 」 を重 視 す る あ ま りそ の 「 作 業 」 が で き る 障 害 者 の み を 入 所 させ る 、 す な わ ち作 業 所 が 障 害 者 を選 別 す る事 態 が ま か り通 っ て い る こ とは 、 共 同作 業 所 の も つ 大 き な 問題 とい え る。 (3)共. 同 作 業 所 の 課 題 と今 後 の 方 向性. こ の よ うな 共 同 作 業 所 の持 つ 課 題 は 次 の よ うな 点 に あ る とい え る。.

(7) そ の 第 一 は 、 共 同 作 業 所 づ く りの 運 動 は 、 作 業 所 が で き た か ら とい っ て 終 了 す る も の で は な く、 作 業 所 を ど う運 営 し、利 用 者 の 権 利 と発 達 を 保 障 し、 そ れ を確 保 す る た め に何 を ど う行 え ば よ い の か 、 そ こ で の 取 り組 み の あ り方 が 次 に 問 わ れ て く る の で あ る 。 共 同 作 業 所 の な か に は 、 と に か く作 れ ば よ い とい う風 潮 が あ り、 設 置 した こ とで 満 足 し、既 存 の 施 策 や サ ー ビス を 利 用 しな が ら な ん とか 維 持 して い け る よ うに努 力 す る こ と に終 始 して い る作 業 所 が 多 い 。 そ れ は 、 作 業 所 の 多 くが 、 養 護 学 校 等 障 害 児 諸 学 校 卒 業 者 の 親 や 関係 者 が 、 わ が 子 の 進 路 保 障 の ひ とつ と して 、 あ る い は そ れ しか 行 き 場 が な い と い うこ とで 、 懸 命 に 自 己 犠 牲 の 中 で 作 り上 げ て き た もの が 多 い こ と に 理 由 が あ る。 そ して 、 「 共 同 作 業 所 全 国 連 絡 会 」 関係 の 作 業 所 は も と よ り、 多 く の 作 業 所 が 一 部 を除 い て 資 金 的 に も 日々 の 運 営 を 十 分 支 え る こ とが で き な い 現 状 に あ る の も事 実 で あ り、 地 域 の 中小 零 細 企 業 の 下 請 け作 業 を も っ て 、 日々 の運 営 費 や 利 用 者 の 賃 金 を 捻 出 して い る の で あ る。 こ う した 状 況 の 中 で は 、 昨 今 の よ うに 不 況 に なれ ば 作 業 が な い と い う事 態 に 陥 る の は 当然 で あ り、 ま た 作 業 効 率 を優 先 す る あ ま り作 業 所 が 障 害 者 を 選 別 す る 事 態 が 生 み 出 され る こ と に な る の で あ る。 本 来 も っ と も相 容 れ な い は ず の 資 本 主 義 社 会 の 経 済 構 造 を 共 同 作 業 所 内 に 取 り入 れ て は 、 共 同 作 業 所 の 意 味 は な くな る。 こ う した 構 造 は 、作 業 所 を つ くれ ば よい とす る 短 絡 的 思 考 に よ る も の で あ り、 そ の あ との 方 向性 が ま っ た く構 築 され て い な い 結 果 産 み 出 され る 弊 害 と い え る。 さ ら に 、 作 業 所 の 持 つ 意 味 、 そ の 存 在 意 義 が 理 論 的 に 構築 され て い な い 結 果 と もい え 、 設 立 の理 念 は りっ ぱ で も 、 そ の理 念 と現 実 と の ギ ャ ップ が あ ま りに も大 きい の で あ る。 した が っ て 、 今 一 度 共 同 作 業 所 の 理 念 と現 実 を 見 つ め 直 し、 そ の ギ ャ ップ を い か に 埋 め て い くか とい う取 り組 み が 必 要 に な っ て く る の で あ る。 第 二 に 、 既 存 の サ ー ビス を利 用 す る に して も 、 現 行 の も の で 良 し とす る姿 勢 で は 障 害 者 間 題 の 解 決 に は い き つ か な い とい え る。 現 行 制 度 を最 大 限 に活 か して い く こ とは もち ろ ん で あ る が 、 作 業 所 が す べ て の ニ ー ズ を 満 た す こ とは で き る は ず も な く 、現 実 的 に も不 可 能 で あ る。 そ こ で 、 利 用 者 とそ の 家 族 の 生 活 要 求 に 基 づ い た 新 た な施 策 を 構 築 して い く こ とが 求 め られ て く るの で あ る。 そ の場 合 、 個 人 の 成 長 ・発 達 は 、 集 団 の発 達 や 社 会 の発 展 とは け っ して 無 関 係 で は な く相 互 に規 定 関係 を もっ て い る こ との 認 識 が 重 要 とな る。 そ の た め に は 、 障 害 者 とそ の 家 族 の 生 活 実 態 を科 学 的 に 明 ら か にす る こ とが ま ず 必 要 と い え る。 「 共 同 作 業 所 全 国 連 絡 会 」 が 誕 生 した1977年 以 降 、 そ れ ま で に は 見 る こ とが で き な か っ た 障 害 者 とそ の 家 族 、 地 域 社 会 、 共 同 作 業 所 、 労 働 実 態 等 に 関 す る 実 態 調 査 が 散 見 され る よ うに な る こ とは 、 そ の 重 要 性 を物 語 っ て い る と い え る。 第 三 に 、 障 害 者 と そ の 家 族 を 中心 と した 福 祉 的 要 求 に 答 え る べ く制 度 の 創 設 と政 策 の 検 討 が 必 要 と な る。 これ は 先 の 実 態 調 査 に も 関係 す る もの で あ る が 、 現 行 の サ ー ビ ス が 本 当 に利 用 者 側 の 要 求 を満 た す も の と して 機 能 して い るか ど うか 、 い わ ば サ ー ビス の効 果 測 定 が 必 要 とな る の で あ る。 地 域 で 居 住 し、 共 同 作 業 所 を 利 用 して い る利 用 者 とそ の 家 族 は も ち ろん の こ と、 よ り重 度 ・ 重 症 障 害 者 を 対 象 と した 、 サ ー ビ ス の 検 討 が 重 要 とな る の で あ る 。 そ して 、 第 四 に は 、 そ れ ら の結 果 に 基 づ い た 社 会 福 祉 運 動(障 害 者 運 動)を 構 築 し、 そ の 運 動 を 住 民 運 動 に ま で 高 め つ つ 展 開 して い く こ とで あ る。 しか し、 こ の 施 策 を構 築 して い く た め の 運 動.

(8) に よ って 政 策 側 を動 か そ う とす れ ば 、 そ こに は 実 績 が 重 要 とな る。 施 策 の 有 効 性 が 予 測 で き る調 査 研 究 に よ るデ ー タ ー の 整 理 が 必 要 で 、 政 策 側 に 制 度 化 に 踏 み 切 らせ る 見 通 し と根 拠 が 必 要 とな る の で あ る。 した が っ て 、 単 に 要 求 す るだ け で は な く、 問 題 解 決 に 必 要 な 制 度 が な け れ ば 、 政 策 に そ れ を 創 設 させ る た め に も、 共 同 作 業 所 が 必 要 な 活 動 を 率 先 して展 開 し、 それ は 部 分 的 に は 政 策 の 肩 代 わ りで あ るか も しれ な い が 、 共 同 作 業 所 存 在 自体 が 、 あ る意 味 で は 貧 困 な 政 策 の 肩 代 わ り的 存 在 で あ る こ と を あ えて 認 識 しつ つ 、 そ こで 利 用 者 に と っ て 必 要 な サ ー ビス を 提 供 しつ つ 、 最 初 は 試 行 錯 誤 の 連 続 で あ る か も しれ な い が 、 そ の 実績 を も とに つ ね に 政 策 側 へ 押 し返 して い く 機 能 ・役 割 が 求 め られ て く る とい え る。 しか し、 多 くの 共 同 作 業 所 が こ う した 運 動 的 側 面 を捨 象 して 、 日々 の 運 営 に の み 努 力 を 重 ね て い る 実 態 を 放 置 す れ ば 、 そ れ は 共 同 作 業 所 が も っ と も嫌 う べ き 障 害 者 の 選 別 を助 け る こ とに な り、 ま た 、 い つ ま で も政 策 の 肩 代 わ り的 、 言 い換 えれ ば 、 安 上 が り政 策 の 片 棒 を担 ぐ こ と に な っ て しま う こ とに 注 意 しな け れ ば な らな い 。 そ して 最 後 に 、 近 年 の 「障 害 者 プ ラ ン 」 は 、 障 害 の 枠 を 越 え た 施 策 の実 施 が 基 本 とな っ て お り、 そ の 意 味 で は 、 わ が 国 の 障 害 者 福 祉 施 策 の 一 歩 前 進 で あ る と い え る。 しか しこれ を机 上 の 空 論 で 終 わ らせ る こ と な く、 真 に 障 害 者 の 生 活 と労 働 の 基 本 的 権 利 を保 障 す る政 策 と して 実 現 させ て い く こ とが 当 面 の課 題 で あ る と い え る。 す な わ ち 、 わ が 国 の 障 害 者 福 祉 関 係 法 令 ・制 度 の 整 備 と財 政 問題 の 解 決 に 向 け て 運 動 の 主 体 とな る こ と が 求 め られ て い る とい え る。 今 後 の 共 同 作 業 所 の 方 向 性 と し て 、 以 上 の よ つな 課 題 を 基 に 、 「権 利 保 障 の 視 点 に 立 つ た 地 域 で の 障 害 者 運 動 の セ ン ター 、 あ るい は 拠 点 と して 、 砦 と して の 役 割 が 期 待 され 」 る の で あ り、 そ の 「 力 量 を発 展 させ な が ら障 害 者 問 題 解 決 の 拠 り所 、情 報 の 発 信 地 と して も役 割 を 期 待 され る 」 も の で あ る とい え る(8)。. 2.富 (1)運. 山 共 同 作 業 所 ラ ッ コハ ウ ス の 実 践 動的側 面 の特徴. 富 山 共 同 作 業 所 ラ ッ コハ ウス の 実 践 の 特 徴 に つ い て は す で に報 告 して い る が(9)、前 述 した 共 同 作 業 所 の役 割 ・機 能 の 面 に即 して そ の 特 徴 を 上 げ て お く。 ま ず 第 一 に 、 そ の 設 立 当初 か ら、 障 害 の 種 類 や 程 度 を 問 わ ず 全 て の 障 害 者 を 受 け入 れ 、 文 字 通 り利 用 者(仲 間)主 体 の 実 践 を 展 開 して い る こ とで あ る。 車 い す を利 用 す る 肢 体 不 自由 や 聴 覚 ・言 語 障 害 を もつ 身 体 障 害 者 か ら重 度 知 的 障 害 者 に い た る ま で 、 さま ざま な 障 害 者 が 利 用 して い る。 第 二 に 、 仲 間 の み な らず 、職 員 集 団 、 家 族 も含 め て 、 常 に話 し合 い を行 い な が らの 実 践 で あ る。 仲 間 の 自治 会 活 動 の 尊 重 は も と よ り、 職 員 同 士 の 話 し合 い や 、 日々 の 出 来 事 の保 護 者 ・家 族 へ の 連 絡 、 情 報 提 供 な ど を繰 り返 し行 っ て い る。 そ の こ と で 、 職 員 は 常 に 一 致 した 認 識 で も っ て 仲 間 に対 応 す る こ とが で き 、 一 方 、 仲 間 は そ れ ぞ れ が 自分 の責 任 に お い て 行 動 す る こ とが で き る よ う に な っ て い く。 ま た 、 最 初 は 、 半 信 半 疑 だ つ た り、"で き な い 子 ど も に 無 理 な こ と を や らせ よ う と して い る"と い っ た 意 見 を い う保 護 者 の 姿 も あ っ た が 、 日が た つ に つ れ て 、 わ が 子 の 変 化 に 驚 き つ つ 、 と ま どい つ つ もそ の発 達 ・成 長 に 無 関 心 で は い られ な くな るの で あ る。 こ う して 仲 間 、.

(9) 職 員 、 保 護 者 の そ れ ぞ れ の 話 し合 い や 関 わ り合 い を 大 切 に す る こ とに よ っ て 、 民 主 的 な 開 か れ た 施 設 と して機 能 して い る の で あ る。 第 三 の 特 徴 は 、 こ う した 民 主 的 活 動 ・運 営 の 展 開 と して 、 地 域 との 関 係 が あ る。 仲 間 自身 が 地 域 に 出 て い く こ とで 、 地 域 住 民 の 意 識 と状 況 を 変 革 す る力 と な って き た こ と で あ る。 第 四 に は 、 ラ ッ コハ ウ ス は こ う して 地 域 生 活 を 選 択 した 重 度 ・重 複 障 害 者 とそ の 家 族 の 支 援 を 展 開 して き た わ け で あ るが 、 そ れ ゆ え 、 必 要 に 迫 られ て 各 種 の 事 業 を 拡 張 して き て い る 点 で あ る。 第 五 に 、 当 初 か ら障 害 者 運 動 の 牽 引役 と して の 、 い わ ゆ る 運 動 体 と して の 性 格 を維 持 して い る こ とで あ る。 少 な く と も、 設 立 以 後 絶 え る こ と の な い 運 動 の 展 開 に よ っ て 、 多 くの 補 助 金 を獲 得 し、 行 政 の 障 害 者 問 題 へ の 認 識 を 変 化 させ て き た の で あ る。 そ の 意 味 で は 、 純 粋 に共 同 作 業 所 と して の本 来 の性 格 を 有 して い る とい え る。 この よ うに 富 山共 同 作 業 所 ラ ッ コハ ウス は 、 障 害 者 問題 に 対 す る 地 方都 市 特 有 の 認 識 が 、 そ れ ま で の 障 害 者 の 生 活 を限 定 し、 き わ め て 非 人 間 的 な 環 境 に 押 しや っ て い た 現 状 を 黙 認 す る の で は な く、 様 々 な選 択 肢 の あ る こ とを 提 示 し、 障 害 者 の 在 宅 ・地 域 生 活 を支 援 す る も の と して 独 自の 理 念 と実 践 を展 開 して き た の で あ り、 共 同 作 業 所 の 本 来 持 っ て い る機 能 を最 大 現 に 具 現 化 して き た もの とい え る。 と こ ろ で 、 共 同 作 業 所 の もつ 運 動 体 と して の 機 能 に は 、 ひ とつ に は 脆 弱 な経 済 基 盤 を 補 強 す る も の と して 政 策 へ の 要 求 運 動 とい う側 面 、 も う一 面 は 、 地 域 生 活 を 指 向す る 障 害 者 とそ の 家 族 の 生 活 支 援 とい う意 味 で の 地 域 へ の 啓 発 活 動 、 と い うふ た つ の 機 能 を持 ち合 わ せ て い る とい え る。 これ ら の側 面 は 、 本 来 障 害者 とそ の 家 族 の 生 活 保 障 的 機 能 を もつ 福 祉 施 設 全 般 が も ち え て い た 機 能 で あ る は ず で あ る。 しか る に 、 戦 後 の 「 社 会 福 祉 事 業 法 」(1951.3:法. 律45)(現 行:「 社 会 福. 祉 法 」)が 成 立 し、 社 会 福 祉 事 業 が社 会 福 祉 法 人 を 中 心 と した 民 間 経 営 に 委 ね られ る こ と に よ っ て 、 そ の 運 営 は 、 主 に措 置 費 に 依 存 させ られ て き た 歴 史 的 経 過 の 中 で 、 運 動 的 側 面 を 捨 象 して き た の で あ っ た。 同 様 に 、 地 域 生 活 支 援 とい う概 念 も近 年 登 場 して き た もの で あ る が 、 そ れ 自体 極 め て 政 策 的 恣 意 性 の 産 物 で あ り、 従 来 の社 会 福 祉 施 設 に 新 た に 機 能 を 付 加 して 、 在 宅 ・地 域 生 活 支 援 事 業 を 展 開 す る よ うに して き た も の で あ る 。 この よ うな 社 会 福 祉 施 設 を 巡 る動 向 の な か で は 、 前 述 した 二 つ の運 動 的機 能 は 、既 存 の 法 内 施 設 で あ る社 会 福 祉 施 設 で は も は や 果 た し得 な い 機 能 とな っ て き た の で あ る。 そ の 意 味 で は 、 共 同 作 業 所 の 中 に これ らの 機 能 を 守 り通 して き て い る も の が あ る こ とは 、 極 め て 重 要 な 意 味 を も っ て い る とい え る。 (2)ラ. ッコハ ウスの 運動 的側面. (A)地. 域運 動. ラ ッ コハ ウス の地 域 に お け る運 動 と して 、 まず 第 一 に 上 げ られ る の が 、 地 域 変 革 の た め の 運 動 で あ る。 す で に報 告 して い るH君 の 事 例 な ど は(10)、仲 間 自 らが 行 動 を 起 こす こ と で 地 域 の 環 境 を 改 善 す る 原 動 力 とな っ て き た こ とを 表 して い る。 最 初 は 、 ラ ッ コハ ウ ス に よ る支 援 が あ っ た と して も 、.

(10) そ れ を き っ か っ け と して 経 験 を積 む こ とで 、 や が て 自 ら交 渉 して 公 共 交 通 機 関 を 利 用 可 能 と して い っ た こ とは 、 ま さに経 験 の 積 み 重 ね と 自 らの 存 在 を社 会 に ア ピー ル す る こ とで 、社 会 環 境 を変 革 して い っ た とい え る。 た だ し、 こ こで 注 意 しな け れ ば な らな い の は 、 単 に 強 引 に公 共 機 関 に 対 し圧 力 を か け る か の よ うな行 動 を お こ した の で は な い こ とで あ る。 と もす れ ば 、,こう した 行 為 は 、 障 害 者 とそ の 関係 者 に よ る独 善 的 行 為 に よ っ て 、 地 域 住 民 や 公 共 機 関 を敵 視 した か の よ うな 行 動 とす り替 え られ て しま う危 険性 を 持 っ て い る。 一 部 の 障 害 者 運 動 の 担 い 手 の な か に は 、 こ う した 強 引 な 行 為 を 正 当 化 し、 地 域 住 民 と の軋 轢 を 生 み な が ら もそ れ を 当 然 視 す る運 動 も存 在 す る。 し か し、 障 害 者 運 動 自体 が 地 域 住 民 の 広 範 な 住 民 運 動 と決 裂 して は 成 立 しな い の で あ り、 も しそ う した 運 動 を展 開す る とす れ ば 、 そ れ は決 して 地 域 住 民 の理 解 と協 力 は 得 られ な い の で あ り、 そ れ に よ っ て 、 そ の 障 害 者 の 存 在 は 地 域 住 民 と して の 存 在 で は な くな る の で あ る。 地 域 で 共 に 生 活 す る住 民 で あ る か ら こ そ 、 障 害 者 も健 常 者 も共 に 協 力 す る こ とが 可 能 とな る の で あ る。H君. とラ ッ. コハ ウス の 実 践 は 、 ま さ に この 地 域 住 民 と して 必 要 に 迫 られ て の 行 動 で あ り、 自 らが 地 域 生 活 を 営 ん で い く上 で 必 要 な 条 件 を 、 自 ら地 域 住 民 の 一 員 と して 公 共 機 関 に む か っ て 要 求 した も の で あ る。 地 域 に 開 か れ た 、 地 域 に 根 付 い た施 設 と して 、 そ して 仲 間 が 地 域 住 民 で あ る こ と を 中 心 に据 え な が ら 、 障 害 者 も健 常 者 も共 に 地 域 住 民 で あ る とい う観 点 で の 運 動 を展 開 す る こ とが 重 要 な の で あ る。 「 『作 業 所 づ く りは箱 づ く りで は な い。 民 主 的 な 地 域 づ く りで あ る』 とい う観 点 が 大 切 」 で あ り、 「 『作 業 所 は 事 業 体 で あ る と同 時 に 運 動 体 で あ る 』 こ と も忘 れ て 」(11)はな ら な い の で あ る。 地 域 運 動 と して の 実 践 の 第 二 の 特 徴 は 、 地 域 住 民 が ラ ッ コハ ウス の 活 動 や 内 容 を 実 際 に 目にす る こ とが で き る よ うな 実 践 を 続 け て き て い る こ とで あ る。 近 年 改 善 され た と は い え 、 社 会 福 祉 関 係 施 設 は 時 と して 地 域 か ら隔 離 ・遊 離 した 存 在 とな る こ とが 多 く、 地 域 住 民 に とっ て は施 設 内 部 で の 活 動 の様 子 ま で 理 解 す る こ とは き わ め て 困 難 な 状 態 に あ る。 と く に入 所 型 施 設 に お い て は こ う した 傾 向 が 強 い とい え る が 、 通 所 型 施 設 に お い て も 同様 の傾 向 が あ る こ とは 否 め な い。 ラ ッ コ ハ ウス で は 、 地 域 住 民 との 関 わ りを 大 切 に して 、 地 域 に 貢 献 す る意 味 か ら 、施 設 内 に は リサ イ ク ル セ ン タ ー を 設 置 し、 一 方 で 、 地 域 に 出 向 い て ダ ン ボ ー ル や 古 紙 等 の 回 収 作 業 を 行 っ て い る。 リ サ イ クル セ ン タ ー に 品 物 を 求 め て や っ て く る地 域 住 民 が 、 そ れ は個 人 で あ っ た り、 事 業 所 で あ っ た りす る の で あ る が 、 作 業 所 の 活 動 を見 な が ら、 時 に は 仲 間 との コ ミ ュニ ケ ー シ ョン を 図 りな が らセ ン タ ー を利 用 す る こ とが で き る よ うに な っ て い る。 そ して ダ ン ボ ー ル や 古 紙 等 の 回 収 作 業 は 、 現 在 約40カ 所 の 会 社 、 事 業 所 、 商 店 と契 約 して お り、 毎 日知 的 障 害 の あ る 仲 間 と職 員 が 出 か け る こ とで 、 大 き な 地 域 貢 献 と な って い る だ け で な く ラ ッ コハ ウ ス の 宣 伝 に も 役 立 っ て い る の で あ る 。 こ の 作 業 は3ヶ 月 に 一 度 富 山 市 よ り資 源 回 収 報 償 金(約250,000円)の. 交 付 対 象 と もな っ て い る。. 作 業 所 の 作 業 科 目の 目玉 で も あ り、 施 設 外 の 人 々 と接 す る こ とで 仲 間 も礼 儀正 し く挨 拶 を 交 わ し 、 一 所 懸 命 運 ん で い る姿 は 非 常 に評 判 が よ く 、口 コ ミで どん どん 広 が っ て き て い る。 これ は リサ イ ク ル セ ン ター とは 違 っ て 、 外 部 に 出 て行 く こ とで ラ ッ コハ ウス の仲 間 の 姿 ・様 子 を 理 解 して も ら う こ とで き る実 践 で あ る とい え る。.

(11) 第 三 に は 、 常 に マ ス コ ミ との 関係 を維 持 して い る こ とで あ る。 マ ス コ ミを媒 体 と して 地 域 へ の 情 報 発 信 を 可 能 と して い る の で あ る。 こ の よ うな マ ス コ ミへ の 情 報 提 供 は 、結 局 、 ラ ッ コハ ウ ス の 実 践 ・活 動 を地 域 に 広 め る こ とに 大 き な役 割 を 果 た す こ とに な り、 そ の こ と は 、 共 同 作 業 所 の 実 践 に 欠 かせ な い ボ ラ ンテ ィア な ど の 人 材 確 保 へ とつ な が り、 そ れ が ま た 、 地 域 住 民 の 理 解 と協 力 を作 り上 げ て い く とい う、 啓 発 ・広 報 運 動 の 一 端 を 担 うこ と に な る の で あ る。 (B)サ. ー ビ ス提 供 機 能 と 自治 体 へ の 運 動. ラ ッ コハ ウス が 行 っ て い る 仲 間 の た め の 各 種 の 地 域 福 祉 サ ー ビス 事 業 に つ い て もす で に紹 介 し て い る が(12)、そ れ ら の 事 業 を 行 い つ つ 、 常 に そ れ を政 策 側(自. 治 体 側)へ. 押 し返 す 力 を 持 っ て. き て い る こ とで あ る。 ま さ しく 、 前 述 した よ うに 、 作 業 所 の 持 つ 今 後 の 機 能 と して セ ン タ ー 的 役 割 を果 た して き た もの で あ り、 実 績 を 作 る こ とに よ っ て 、 政 策 側 へ 押 し返 す 事 例 を 作 り上 げ て き た の で あ る。1996年 度 に 本 格 的 に 取 り組 み 始 め 、 送 迎 サ ー ビ ス 、 宿 泊 訓 練 、機 能 訓 練 等 を行 い 、 1998年 度 に は レスパ イ ト事 業 、1999年 度 に は 入 浴 サ ー ビ ス 事 業 へ と拡 大 して い く の で あ る。 こ れ らの 事 業 は 、保 護 者 の ニ ー ズ調 査 や 懇 談 会 を 開 催 す る こ とで 地 域 生 活 上 の 困 り事 な どを 聞 き取 り、 仲 間 が 家 族 との 生 活 を選 択 した と き 、 保 護 者 や 家 族 が健 康 で 一 緒 に 生 活 を維 持 して い け る よ うに す る た め に 実 施 す る も の で あ る。 こ う して 必 要 に 迫 られ て 実 施 して き た もの で は あ る が 、 や や も す れ ば 、 政 策 的 不 備 の 代 替 的 役 割 と して 、 政 策 責 任 を肩 代 わ り させ られ る 危 険 性 を も っ て い る も の で あ る。 そ れ ゆ え 、 ラ ッ コハ ウ ス は 、 実 施 して い る全 て の 事 業 をつ ね に過 渡 的 な も の と して 位 置 づ け 、 そ の 実 践 の 一 方 で行 政 の 不 備 を指 摘 しつ つ 政 策 的 に 押 し返 して い く運 動 を 行 っ て い る。 政 策 的 対 応 を待 っ て い て は 、 仲 間 の 生 活 保 障 は お ぼ つ か な い 現 状 に直 面 す る な か で 、 や む に や ま れ ず 実 施 して き た の で あ る 。 自治 体 側 か ら は 、 「 一 作業 所 がや る ことでは な い」 とされ 、予 算措 置 が な され る こ とは な か っ た 。 しか し、 障 害 者 と そ の 家 族 の深 刻 な 生 活 問題 に 直 面 す る な か で 、 重 度 ・重 複 障 害 者 に も 地 域 社 会 で 生 活 す る 権 利 が あ る とい う基 本 的 認 識 の も とに 、 生 活 保 障 の 重 要 性 を 自治 体 に訴 え続 け て き て い る の で あ る。 そ れ は 、 い つ で も 必 要 な だ け 利 用 で き る とい う、 必 要 即 応 の原 則 に の っ と った サ ー ビ ス 体 制 の 存 在 が 、 在 宅 障 害 者 とそ の 家 族 に と っ て は 非 常 に 重 要 で あ る こ と を認 識 して の リス ク マ ネ ー ジ メ ン トの 実 践 で あ る とい え る。 (C)補. 助 金 要 求 運 動 の展 開. ラ ッ コ ハ ウス は 無 認 可 小 規 模 作 業 所 で あ る が ゆ え に 、 他 の 同 様 の 作 業 所 が そ うで あ る よ うに 、 日々 の 運 営 は 、 そ の 多 くを 自治 体 か ら の 補 助 金 に 依 拠 しな けれ ば な ら な い 。 しか し、 設 置 当初 か ら各 種 の 補 助 金 を 交 付 され て い る 「 育 成 会 」 を は じめ とす る障 害 者 団 体 に よ っ て設 置 され た 作 業 所 とは 違 い 、 ラ ッ コハ ウ ス の 場 合 は 、 ま っ た く補 助 金 の 対 象 外 に 置 か れ て い た の で あ る。 そ う し た 事 実 の 中 で 、 補 助 金 交 付 の 不 公 平 さや 不 透 明 さを 自治 体 に 対 して訴 え続 け た の で あ っ た 。<表 2〉 は 、 ラ ッ コハ ウ ス設 立 当 初 か らの 補 助 金 の 流 れ と、 年 間 運 営 費 の 変 化 で あ る。 さ て 、 ラ ッ コハ ウス の設 置 に 向 け た 経 緯 に つ い て は す で に 報 告 して い る が(13)、1987年 に ス タ ー ト した ラ ッ コハ ウス は 、 同年10月 に2名 の 通 所 者 で 始 ま っ た。 この 当 初 、 富 山 県 に は 「 心身 障 害 者 通 所 訓 練 事 業 補 助 金 制 度 」 が あ り、 金 額 は 年 間1,680,000円. で あ った。 しか しそ の 規 定 に は.

(12) 「 通 所 者15名 」 と い う基 準 が あ り、 ラ ッ コハ ウ ス は 当然 の こ とな が ら対 象 外 とな るの で あ る。 一 概 に 「15名」 とい っ て も設 置 当初 か ら これ だ け の 人 数 を 確 保 す る こ とは 現 実 的 に 困 難 で あ る とい え 、 そ の 意 味 で は 、 この 基 準 そ の も の が 大 き な 問題 で あ っ た とい え る。 富 山市 に 単 独 補 助 の 要 請 を す る が 受 け 入 れ られ ず 、 結 局 、 一 切 補 助 金 な しで 始 ま っ た の で あ る。 こ の よ うな こ とは 、今 で こそ 考 え られ な い こ とで あ る が 、 多 くの 無 認 可 作 業 所 が そ うで あ る よ うに 、 設 置者 とそ の 関係 者 の 多 くの 協 力 と努 力 に よ っ て 運 営 され て い く の で あ る 。 ラ ッ コハ ウス は 道 渕 吉 則 所 長 が 自 ら 「 共 同 作 業 所 全 国 連 絡 会 」 の物 品 販 売 な ど を手 が け つ つ 、 文 字 通 り手 探 りで 運 営 費 を 捻 出 して き た の で あ る。 この よ うな 状 況 の な か で 、 ラ ッ コハ ウス の 自治 体 へ の 文 字 通 りの 運 動 が 始 ま り、 自治 体 交 渉 が 毎 年 繰 り替 え され て い くの で あ る。 そ して1989年 に は ラ ッ コハ ウス だ け の 運 動 で は な く 、 「 富 山 県 障 害 者(児)団. 体連絡 協議 会 」. (富山 障 連 協)と 連 携 しつ つ 要 求 運 動 を展 開 す る。 そ の 結 果 、 皮 肉 に も 、 ラ ッ コハ ウス が 要 求 して い た 「対 象 者 数 の縮 小 」 は 認 め られ ず 、何 故 か 補 助 金 の 額 が2,706,000円. とお よそ1,000,000円. 増. 額 され る の で あ る。 しか しラ ッ コハ ウス は 利 用 者 の 数 を 満 た せ ず 補 助 金 の 対 象 外 とな り、 結 局 こ の増 額 の 恩 恵 を受 け た の は既 存 の 何 も運 動 して い な い 団 体 に 所 属 す る作 業 所 だ け で あ っ た の で あ る。 そ の 間 の ラ ッ コハ ウ ス の 年 間 運 営 費 は 、1988年 度 が 約2,000,000円. 、1989年 度 は5,000,000円. で 、 これ ら全 て保 護 者 や 関係 者 の 会 費 や 寄 付 で ま か な っ て い た の で あ る。.

(13) 翌 年1990年 度 に な る と状 況 は 大 き く変 化 す る。 ラ ッ コハ ウ ス は 、 そ の 所 属 す る 「 共 同作業 所全 国 連 絡 会 」 の 国 会 請 願 署 名 と と も に 、 「富 山 県 の 補 助 金 制 度 改 革 」 に つ い て街 頭 で の 呼 び か け を 行 い 、 そ れ が マ ス コ ミに も取 り上 げ られ る こ とに よ っ て 、 自治 体 の 基 準 を 大 き く変 え る き っ か け をつ く る の で あ る。 共 同 作 業 所 の 運 動 が マ ス コ ミ と連 動 す る こ とに よ っ て 、 大 き な 力 とな る こ と を証 明 す るで き ご とで あ る と い え る。 そ の 後 も ラ ッ コハ ウ ス は 、 こ と あ る ご と にマ ス コ ミを利 用 しつ つ 、 地 域 住 民 に 情 報 の 発 信 を して い くの で あ る。 こ の 時 、 富 山 県 の補 助 金 は 、 対 象 者 数 の 改 正 と金 額 の 規 定 が 変 更 され 、 「 通 所 者10人 以 上 」 のA型 B型 が1,477,000円. と な るの で あ る(A型,B型. ス は 当 時 通 所 者 が10人 だ っ た の でA型. が2,906,000円. と も 県 ・市 町 村2分. 、「 通 所 者5人. ∼9人. 」の. の1ず つ 負 担)。 ラ ッコ ハ ウ. の 対 象 と な り 、 規 定 通 り 富 山 県1,453,000円. 、富 山市. 1,453,000円 の 補 助 金 が 交 付 され 、 初 め て ラ ッ コハ ウス が 自 治 体 の 補 助 金 対 象 とな っ た の で あ る。 そ れ ま で 、 一 切 の 補 助 金 が な く運 営 して き た こ と か らす る と、 少 な く と も経 営 安 定 の 基 盤 が で き 上 が っ た とい え る。 しか し一 方 で 、 国 庫 補 助 で あ る 「 在 宅 障 害 者 通 所 援 護 事 業 補 助 金 」(国 か ら 800,000円)の. 申請 を し よ う とす る と、 県 側 か ら 、 「 国 庫 補 助 を受 け る と こ ろ は 、 県 ・市 の 補 助 金. よ り400,000円 ず つ 差 し引 く」 とい わ れ る の で あ る。 そ こで 、 「 国 と県 の補 助 金 は別 の もの 」 と し て 運 動 を 展 開 す る。 これ もマ ス コ ミが"問 題 で あ る"と 大 き く報 道 し、 県 議 会 の 一 般 質 問 に も 取 り上 げ られ る ほ ど に 大 き な 波 紋 を 呼 ん だ の で あ る 、 そ の 結 果 、 自治 体 側 か らは 「 来年度 か らは差 し引 く こ と は しな い 」 との 回 答 を 引 き 出 し、 大 き な 成 果 を 上 げ た の で あ る。 こ の と きす で に ラ ッ コハ ウ ス の 運 営 経 費 は8,000,000円. に 達 して い た 。. こ の よ うな 自治 体 へ の 取 り組 み に よ っ て 、 ラ ッ コハ ウス は補 助 金 の 対 象 とな り、 国 庫 補 助 金 の 差 し引 き も廃 止 され 、 絶 え 間 な い 運 動 が 一 定 限 度 結 実 して き た の で あ る 。1991年 度 に は 国 庫 補 助 金(900,000円)も. 受 け 、 県 ・市 の 補 助 金(合. 計3,276,0dO円)(県. と市2分. の1)の. 対 象 とな る の. で あ る。 も ち ろ ん 、 こ う した 公 的 援 助 を受 け た と して も財 政 的 に は 決 して 楽 な わ け で は な く、 今 後 は補 助 金 額 の 増 額 要 求 運 動 を 展 開 しよ う と して い た 。 当 時 富 山 市 に は8カ 所 ほ どの 作 業 所 が 存 在 して い た が 、 ラ ッ コハ ウス の よ うに 要 求 運 動 を し な くて も寄 付 を集 め た り して 安 定 した 経 営 が 成 り立 っ て い る と ば か り思 わ れ た が 、 実 は そ の 裏 に は大 変 な 問 題 が 隠 され て い た の で あ る。 前 年 度 の 補 助 金 は 富 山 市 の 基 準 で は1,453,000円 3,000,000円 、4,000,000円. で あ る。 と こ ろ が 、 あ る 作 業 所 に は 富 山 市 単 独 で. な ど、 多 い と こ ろ で は6,000,000円. 確 か に補 助 金 の 自治 体 負 担 は 「 市 町 村 で は2分 で は1,453,000円. の1以. とい う数 字 が 出 て い た の で あ る。. 上 」(下 線 筆 者)と. な っ て お り、 そ の 意 味. 以 上 の 交 付 が 行 わ れ て も規 定 違 反 で は な い 。 しか し、 あ ま り に も作 業 所 に よ っ. て 交 付 金 額 に 差 が あ る とい え る。 しか も 、 これ らの 高 額 の 補 助 金 を受 け て い た 作 業 所 は公 的 施 設 内 に設 置 され て い る も の も あ り、 運 営 上 困 難 な 状 況 に あ っ た とは 考 え られ な い も の が 含 ま れ て い た の で あ る。 何 故 、 一 部 の 作 業 所 だ け に こ の よ うな 高 額 の 補 助 金 が 出 て い る の か 、 作 業 所 に よ っ て 金 額 が 違 うの は 何 故 か 、 そ の 理 由 や 基 準 を 示 した 内規 等 が あ る の か ど うか な ど に つ い て 富 山 市 に 回 答 を 求 め た が 、 結 局 こ の 時 点 で は 明 確 な 返 答 は な か っ た も の の 、"今 後5年 位 か け て 是 正 し て い く"と の 回 答 を 引 き 出 す こ とが で き た の で あ っ た。 結 局 、 こ の 点 に つ い て の 交 渉 は1996年 度.

(14) ま で 引 き続 き 行 っ て い く こ と に な る の で あ る。 こ の よ うな 不 公 平 な 事 実 は 、 も と も と根 拠 も な く 何 年 に も わ た っ て慣 例 的 に行 わ れ て き た も の で あ る こ とが 推 測 され 、 あ る い は 、 そ れ らの 作 業 所 を 運 営 して い る特 定 の 障 害 者 団 体 の 力 関係 に よ っ て 、 既 得 権 の よ うに 交 付 され 続 け て き た結 果 で あ る と推 測 され る の で あ る。 こ の よ うな 状 況 は 富 山 市 だ け の 実 態 で あっ た とは 言 え な い の で は な い か と考 え る 。 各 地 方 自治 体 に お い て も同 様 の 問 題 が 隠 され て い た こ とは 十 分 に 考 え られ るの で あ る。 翌1992年 度 に な る と、補 助 金 不 公 平 問題 を 取 り上 げ て か ら市 の 補 助 金 が 県 よ りも増 額 され て き た。 こ の 年 は 、 国:900,000円. 、 県:1,716,000円. 、 市:2,205,000円. と な り、 お よそ5,000,000円. 弱 が 補 助 金 に よ っ て ま か な わ れ る こ と に な る の で あ るが 、 こ の 時 の ラ ッ コハ ウス の 年 間 運 営 費 は す で に15,000,000円. に 達 して お り、 差 額 の 不 足 分 約10,000,000円. は 寄付 や 物 品販 売 、 バ ザ ー 等 の. 収 益 金 、 あ る い は 、 金 融 機 関 か らの ラ ッ コハ ウス 関係 者 の個 人 的 な 借 り入 れ に頼 る しか な か っ た の で あ る。 そ の 後 今 日ま で お よそ10,000,000円. ほ どの 不 足 分 は 同様 に して 埋 め合 わ せ て い く こ と. に な る の で あ る 。 ラ ッ コハ ウ ス は こ の 年 、 新 た な 場 所 を 見 つ け移 転 し利 用 者 も増 加 して き た の で 、 第 一 作 業 所 と第 二 作 業 所 に 分 割 を して そ れ ぞ れ に 補 助 金 の 申請 を す る の で あ る。 そ の 結 果 、1993年 度 に は 第 一 作 業 所 と第 二 作 業 所 、 そ れ ぞ れ に 補 助 金 が 交 付 され 、 国 ・県 ・市 の 総 額 が7,587,000円. と な る。. そ の 後 も絶 え 間 な く補 助 金 増 額 の運 動 を続 け て お り、 そ の 結 果 、 富 山 県 は1995年 度 に 、 新 た な 制 度 と して 「 重 度 加 算 制 度 」 を創 設 す る。 これ は1人 1ず つ 負 担)で. あ た り年 額110,400円(県. と市 町 村2分. の. あ り、 通 常 の 補 助 金 に 合 算 して 交 付 され る よ うに な る の で あ る。 さ らに 、 富 山 市. は 単独 で 「 家 賃 補 助 」 と して 年 間 上 限600,000円 の 補 助 を決 定 す る の で あ る。 当然 ラ ッ コハ ウス もこの補助 金 の対象 となった。 1996年 度 に は 富 山 市 が 中核 市 とな り、 補 助 金 業 務 は 「 重 度 加 算 」 も含 め て 、全 て 県 か ら市 へ 委 譲 され 、 市 の 補 助 金 の み とな っ た 。 しか し ラ ッ コハ ウス で は 、 富 山市 外 か ら の通 所 者 も 多 く、 そ の 対 象 者 の 重 度 加 算 を 富 山 市 に 負 担 させ るの は 問 題 で は な い か と考 え 、 従 来 通 り、 重 度 加 算 の 半 額 は 対 象 者 が 居 住 す る 市 町 村 の 負 担 と し、 残 りの 半 分 を 富 山 県 に 求 め た が 、 県 は これ を却 下 した の で あ る 。 そ こ で 、 新 た に こ の 点 を 中心 に 交 渉 運 動 を展 開す る こ とに な る 。 一 方 、 ラ ッコ ハ ウス 自体 の 通 所 者 も多 くな り、 手 狭 に な っ た の で 移 転 を 考 え る こ とに な る。 この 時 、 施 設 移 転 に か か る補 助 金 制 度(臨. 時 的 経 費)が 新 に 富 山 市 に よ っ て 制 度 化 され た 。 これ を 受 け て ラ ッ コ ハ ウ ス は. そ の 臨 時 的 経 費(500,000円)を. 利 用 して 移 転 す る の で あ る。. さて 、 先 に 問 題 と した 補 助 金 交 付 額 の 不 公 平 問 題 に つ い て は 、 相 変 わ らず 正 式 の 回 答 も な い ま ま に な っ て い た が 、1997年 度 に な っ て 、 富 山 市 は よ うや く補 助 金 基 準 を 明 確 に して 公 表 した の で あ る。 そ して 全 作 業 所 が そ の基 準 に そ っ て 補 助 金 交 付 を 受 け る こ とに な るの で あ る 。 この 時 の 国 と市 の 総 額 は 、 ラ ッ コ ハ ウ ス 第 一 作 業 所 と第 二 作 業 所 合 わ せ て16,205,600円 の 時 点 で ラ ッ コハ ウ ス の 年 間 運 営 費 はす で に25,000,000に. と な る 。 もっ と も こ. 達 して い た の で 、 や は り10,000,000円. 程 度 の 不 足 が 生 じて い た こ と と 、 そ の埋 め合 わ せ の 方 法 に 変 わ りは な か つ た 。.

(15) そ して2000年 度 な る と 、 中 核 市 に な っ て か ら事 務 移 譲 に よ っ て 廃 止 され て い た 県 の 重 度 加 算 が 復 活 した の で あ るが 、 こ の 時 、 根 拠 は 不 明 で あ っ た が 「1000円未 満 切 り捨 て 」 とい う動 き が あ り、 これ に つ い て も是 正 を 求 め る こ とで 、 数 日後 に 「 来 年 度 か らは 切 り捨 て は しな い 」 とい う回 答 を 引 き 出 す こ と が で き た の で あ る。 こ の よ うに 、 ラ ッ コハ ウス は 、 そ の 運 営 基 盤 の 脆 弱 さ ゆ え に 必 要 に 迫 られ て 自治 体 交 渉 を 絶 え 間 な く繰 り替 え して き た の で あ る。 ラ ッ コ ハ ウス が 開 所 し、 初 め て 補 助 金 を め ぐ る 運 動 を 展 開 し て か ら15年 の 歳 月 が 流 れ 、 そ の 間 、 確 実 に補 助 金 制 度 の 改 善 が 行 わ れ 、 対 象 者 や 金 額 の 増 額 等 の 是 正 が 実 現 して き た の で あ る。 これ は 文 字 通 り 「 柱 一 本 か ら持 ち 寄 っ て 作 っ て き た 」 作 業 所 の あ り方 で あ る とい え 、 け っ して 、 官 制 作 業 所 で は考 え られ な い 運 動 で あ っ た と い え る。 時 と して そ の 運 動 の 結 果 、 恩 恵 を受 け た の は他 の 作 業 所 で あ り、 運 動 を 展 開 した 作 業 所 は 無 視 され て き た 経 過 が あ っ た と して も、 も しそ こで 、 運 動 を止 め て い た ら今 日の ラ ッ コハ ウス は存 在 して い な か っ た とい っ て も過 言 で は な い 。 作 業 所 設 置 の 経 緯 か ら して 、 単 に 障 害 者 の 保 護 者 が 自 ら の 子 ど も の た め に と設 置 す る 作 業 所 とは 異 な る経 緯 を持 っ て い る こ とが 、 今 日ま で 、 絶 え 間 な い 運 動 を 展 開 で き る大 き な要 因 で あ る こ とは 事 実 で あ る。 そ して 、 そ れ は 、 ラ ッ コハ ウス 設 立 時 点 か らバ ック ア ップ して い た 富 山 障 連 協 の 協 力 が あ っ た こ と も 事 実 で あ る が 、 一 方 で は 、 そ の 実 践 活 動 と運 動 を施 設 のみ の もの とせ ず 、 マ ス コ ミ も利 用 しつ つ 、 常 に 地 域 住 民 を 中心 に 一 般 住 民 に 理 解 され る よ う情 報 提 供 して き た 成 果 で あ る とい え る 。 そ れ が 住 民 を も巻 き 込 ん だ 運 動 と して 発 展 して き た の で あ る。. お わ りに 共 同 作 業 所 は 、 元 来 、 「労 働 」 を 軸 と した 発 達 保 障 と諸 権 利 の保 障 の 場 と して の 機 能 を 有 して き た 。 しか し、 こ の 「労働 」 が 、 い わ ば 「 賃 金 労 働 」 とい う意 味 で の 位 置 付 け で しか な い とす れ ば 、 そ こに は 人 間 の 成 長 ・発 達 を支 え る視 点 は抜 け 落 ち て しま うの で あ る。 残 念 な が ら、今 日存 在 して い る 共 同 作 業 所 ρ 多 く が 、 こ の よ うな 共 同 作 業 所 で の 「 労 働 」 とは 、 「 賃 金 労 働 」 を指 す か の よ うに 捉 え られ て い る こ とが 多 い の で あ る。 こ の こ とが 、 共 同作 業 所 が 障 害 者 を選 別 す る機 能 を 果 た す こ と に連 動 す る こ と に な る の で あ る。 共 同 作 業 所 で の 「労働 」 が 、 こ の よ うな観 点 で の み 捉 え られ る とす れ ば 、 そ れ は 単 な る 一 般 事 業 所 の代 替 ・補 完 的 存 在 で しか な くな る とい え る。 共 同作 業 所 で の 「 労働. は 、 よ り根 本 的 な 意 味 を 持 つ もの と して 捉 え な け れ ば な らな い 。 す な わ. ち 、 ここでい う 「 労 働 」 とは 、 人 間 的 発 達 の源 泉 、 土 台 と して の 「 労 働 」 とい う観 点 が も っ と も 大 切 で あ り、 そ れ が 、 障 害 者 の 、 ひ い て は そ こ に 関 わ るす べ て の 人 の 人 間 的 な 成 長 ・発 達 と生 活 保 障 を 実 現 して い く実 践 の 基 盤 を 形 成 す る の で あ る。 そ の よ うな観 点 は 、 無 認 可 小 規 模 作 業 所 が 認 可 施 設 に変 わ っ た と して も捨 象 す る こ と な く維 持 して い くべ き で あ る 。 昨今 の 「 社 会福祉 基礎 構造 改革 」 と 「 社 会福 祉事 業法 」 の改正 は、無 認 可施 設 に とって大 きな 変 革 の 機 会 を 提 供 して き て い る。 法 改 正 に よ る 「 小 規 模 通 所 授 産 制 度 」 の新 設 は 、 認 可 基 準 の 緩 和(と. く に 自己 資 産 の 基 準 の 引 き 下 げ)、 施 設 の 設 備 条 件 の 緩 和 、 運 営 費 ・施 設 整 備 費 の 制 度 化.

(16) な どが 大 き な 特 徴 とな っ て い る。 これ に よ っ て 、 無 認 可 作 業 所 の 認 可 施 設 へ の変 革 が 期 待 され た の で あ る 。 しか し 、 こ の 認 可 基 準 の 緩 和 に よ っ て 、 す べ て の 無 認 可 小 規 模 作 業 所 が 法 人 格 を 取 得 し 、 認 可 施 設 と して 機 能 し て い く と は 限 ら な い 。 こ の 点 に 関 し て 、 大 阪 府 は 、2002年4月. か ら3. 年 以 内 に 法 人 化 で き な け れ ば 補 助 金 を 削 減 す る 新 制 度 を 創 設 し議 論 を 呼 ん で い る 。 さ て 、 こ の 程 検 討 し て き た 富 山 共 同 作 業 所 ラ ッ コ ハ ウ ス も 設 立 以 来15年 の 歳 月 を 経 て 、2002年 7月 に 社 会 福 祉 法 人 と な り 、 認 可 施 設 の 建 設 に 取 り組 ん で い る 。 こ の 法 人 格 を 取 得 す る ま で の 運 動 の 経 過 とそ の 意 味 に つ い て は 別 の 機 会 に 譲 る が 、 これ ま で の様 々 な 運 動 と実 践 が 大 き く実 を結 ん だ とい え る。 と く に 自治 体 との 絶 え 間 な い 交 渉 運 動 が 、 単 に 対 立 関係 を 築 い て き た の で は な く、 反 対 に 自 治 体 側 と の 隔 た り を 縮 小 しつ つ 、 関 係 窓口 と の 間 に よ り よ い 関 係 を 築 い て き た こ と は 大 き な 意 味 を もっ て い た とい え る。 しか し 一 方 で 法 人 認 可 に よ る 認 可 施 設 の 運 営 に は 、 今 後 、 自治 体 側 か ら の 様 々 な 形 で の 介 入 が 予 想 され 、 ラ ッ コハ ウス と して 、 そ れ らの 介 入 を 排 除 しつ つ 、本 来 の 今 日 ま で 維 持 して き た 実 践.役. 割 を い か に 堅 持 して い く か が 大 き な 課 題 と な っ て く る 。 そ し て 、 新 た な 法 人 ・施 設 と し て 、. 新 た な 事 業 ・実 践 を ど う構 築 し て い く か と い う こ と も 課 題 で あ る 。 地 域 変 革 の 力 と し て 、 障 害 者 の 成 長 ・発 達 と 生 活 保 障 の 砦 と し て の 役 割 を 、 今 後 ど う の よ う に 具 現 化 し て い く の か 、 ラ ッ コ ハ ウ ス に 課 せ られ た 課 題 は 大 き い と い え る 。 い ず れ に して も 、 地 方 都 市 特 有 の 閉 鎖 性 、封 建 制 と い っ た 前 近 代 的 社 会 環 境 と、 と く に 障 害 者 に 対 す る 偏 見 と 差 別 が 根 強 く残 存 す る 地 方 都 市 に あ っ て 、 障 害 者 と そ の 家 族 の 成 長 ・発 達 と 生 活 支 援 、 そ し て 地 域 環 境 と住 民 意 識 の 変 革 に 大 き な 役 割 を 担 っ て き た ラ ッ コ ハ ウ ス は 、 大 き な 転 機 を迎 え て い る と い え る。 そ して 、 こ の よ うな 地 方 都 市 にお け る 先 進 的 と もい え る実 践 が 、 多 くの 地 方 都 市 で 芽 生 え て い る と考 え られ る。 そ の よ うな 埋 もれ た 実 践 を 白 日の も と に 出 す こ とで 、 わ が 国 の 障 害 者 福 祉 実 践 の 全 体 的 底 上 げ が 可 能 と な る と考 え る 。. (註) (1)秦. 安 雄 他 編 『障 害 者 の ゆ た か な未 来 を』 ミネ ル ヴァ書 房1989年3月229頁. 。. (2)こ. の 相 互 扶 助 的 な 団 体 と して は 、愛 護 協 会 や 育 成 会 以 外 に は つ ぎ の よ うな 団 体 が 全 国 組 織 と して 結 成. され て い る。 全 日本 聾 唖 連 盟(1947年)、. 日本 肢 体 不 自 由児 協 会(1948年)、. 日本 身 体 障 害 者 団 体 連 合 会(1949年)な. ど で あ り、1960年 代 に は 、 全 国 肢 体 不 自 由 児 父 母 の 会 連 合 会. (1960年)、 全 国 言 語 障 害 児 を もつ 親 の 会(1962年)、 兄 弟 姉 妹 の 会(1963年)、. 日本 盲 人 連 合 会(1948年)、. 心 臓 病 の 子 供 を 守 る 会(1963年)、. 先 天 性 異 常 児 父 母 の 会(1963年)、. 全. 心 身 障 害 児 を もつ. 日本 筋 ジ ス トロ フ ィ ー 協 会(1964年)な. どで. あ る。 (3)藤. 井 克 徳 「結 成 時 を 回 顧 す る 」 『人 は つ づ く道 は つ づ く』 共 同 作 業 所 全 国 連 絡 会1998年5月12頁. ∼13頁 。 (4)前. 掲 書(3)22頁 。. (5)前. 掲 書(1)234頁 ∼236頁 。. (6)前. 掲 書(3)22頁 。. (7)共. 同 作 業 所 全 国 連 絡 会 の 掲 げ た 「わ た した ちの め ざす も の 」 は 、 この 団 体 の 取 り組 み の 姿 勢 を 次 の よ. うに 表 して い る。.

参照

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