岡 監 第 3 4 7 号 平成2 0年10月30日
請 求 人 氏 名 省 略
岡 山 市 監 査 委 員 広 瀬 慶 隆
同 藤 本 徹
同 柴 田 健 二
同 三 宅 員 義
岡山市職員措置請求に係る監査の結果について(通知)
平成20 年9月8日付けで地方自治 法(昭和22年法律第67号。 以下「法」と いう 。)第242条 第1項の規定に 基づき提出された岡山市職員措置請求書につい て,監査し た結果を同条第4項の規定 により下記のとおり通知する。
記
第1 請求 の受付
1 請求 人の住所氏名 省略 2 請求 書の提出日
本件 請求書は,平成20年9月 8日に提出された。 3 請求 の要件審査
本件 請求は,法第242条所要 の法定要件を満たしているもの と認め,監査 を行う ものとした。( 要件審査当時の監査委員は ,藤本徹ではなく,石川敬之)
第2 請求 の要旨
請求人 が提出した「岡山市職員措 置請求書」による請求の要旨は ,次のとおり である。
1 請求 要旨
況につ いては,2分の1は農道( 現在市道)として造成し,残地 は平成16年 12月 に地元湯須集会所を新築) について,平成19年2月21 日付岡御支産 第72 5号文書によると,御津支 所は,湯須集会所用地部分につ いては地元自 治会に 所有権があると認識してお り,速やかに地元自治会の名義 になるよう手 続きを 進めている。
なお ,地元自治会に所有権があ ると認識する根拠について,文 書等は一切な く口頭 の申し入れのみである。
御津 支所総務課長に対して,何 の証拠書類もなく口頭の申し入 れのみで,大 切な岡 山市の財産を議会の議決も なく,地元自治会に名義変更し て,本件土地 を処分 する行為の中止を求めるも のである。
第3 監査 対象部局 市民局 御津支所
第4 請求 人への証拠の提出及び陳述 の機会の付与並びに追加補正
1 法第 242条第6項の規定に基 づき,平成20年10月6日請 求人に対して 新たな 証拠の提出及び陳述の機会 を与えたところ,請求人から当 日欠席する旨 の申し 出があり,追加補正と記し た文書が平成20年9月29日 に郵送された もので ある。なお,この文書には ,宛先,日付,作成者の住所及 び氏名が記載 されて おらず,押印もなされてい なかった。
2 追加 補正の要旨は,次のとおり であった。
( 1) 旧 御津町は,本件土地の寄付 を受納するにあたり,旧御津町 財務規則(以 下「旧規 則」という。)第 181条に定められた公有財産 寄付受納決議書(様 式第 106号)を作成せず,本 書による町長の決裁をうけるこ となく受納し てい る。
( 2) 旧 規則第182条には,公有 財産を取得したとき,法令の定 めるところに より 速やかにその手続きをしな ければならないと定められてい るにも拘わら ず, 事実は,受納日が平成9年 7月22日で所有権登記までに 17か月も要 して いる。
( 3) 寄 付受納するにあたり,一筆 全部であったので分筆する必要 がないため実 測し ていない。実測すれば境界 が確定できたはずである。
( 4) 旧 規則第187条では,公有 財産について,適正な管理に努 めなければな らな いと定められているが,そ の管理が適正に実施されていな い。
( 6) 旧 規則第190条に「町有地で境界が明らかでないものがあるときは・・・ 境界 を確定するとともに,・・・境 界確定書を作成するととも に,境界標柱を 設 置しなければな らない。・・・ 新たに土地を取得した場合・・・に準用す る。」と定められているが,一切境 界確定していない。
( 7) 平 成18年12月12日付岡 御支総第246号回答文書によ ると,御津支 所は ,不動産登記法に関係なく ,新たに土地を取得しても分筆 費用が高いの で, 地元と協議して分筆が必要 な箇所についてのみ分筆を行っ てきている。 誠に 信じられないほど,ずさん な手続きをしてきている。
( 8) 平 成19年2月21日付岡御 支産第725号起案票によると ,支所長以下 15 名もの押印があり,何の証 拠もなく地元自治会の口頭の申 し入れで,岡 山市 の財産を自治会名義にして 良いものか。
適 正な手続きをしてほしい。
第5 監査 の実施
請求書 及び関係書類等を調査し, 平成20年10月6日に関係職 員の陳述の聴 取を行い ,合議により慎重に監査し た。
なお, 法第242条第3項の規定 による「当該行為が違法である と思料するに 足りる相 当な理由があり,当該行為 により当該地方公共団体に生ず る回復の困難 な損害を 避けるため緊急の必要があ り,かつ,当該行為を停止する ことによって 人の生命 又は身体に対する重大な危 害の発生の防止その他公共の福 祉を著しく阻 害するお それがないと認める」とき の暫定的停止勧告については, 本請求に回復 困難な損 害を避けるための緊急の必 要があるとは言えず,当該勧告 の必要はない ものと判 断した。
第6 関係 職員の陳述
陳述の 概略は,次のとおりであっ た。
1 本件 土地は,農道湯須環状線道 路改良工事に必要な用地として ,平成9年7 月22 日に全筆が旧御津町に寄付 され,平成11年1月8日に所 有権移転登記 を完了 し,現在に至っている。し かし,登記に誤りがあり,本件 土地の実測面 積は3 52.86㎡であるが,こ のうち農道湯須環状線の道路用 地として必要 な面積 は当初から218.82㎡ であった。
3 旧御 津町においては,地元から 道路改良の要望を受けると,実 施設計及び測 量を行 い,続いて工事についての 地元説明を行い,必要な用地を 寄付していた だくよ うにお願いしていた。用地 の寄付を工事実施の条件として いた。
工事 設計を行い,寄付関係書類 が整った後に入札して工事にか かるが,平成 9年当 時,旧御津町の工事関係事 務は地域整備課で行い,登記関 係事務は管財 課で行 っていた。担当課が違って いたことで,事務引継ぎに誤り が生じたもの と考え ているが,その直接的な証 拠は残っていない。
4 この 誤りを国土調査の中で訂正 するのが事務的にも最適である と判断し,地 元関係 者と協議を重ねていった。 しかし,本件土地の隣接地に請 求人の所有地 があり ,隣接地権者としての同意 が得られない等の理由から,国 土調査の中で 修正す ることはできなかった。
どう にか解決しなければならな いとの考えから,今後,国土調 査とは別に, 錯誤に よる不動産登記法に基づく 手続の中で,公衆用道路部分と その他の部分 に分筆 し,その他の部分を前所有 者に戻したいと考えている。
この 事務は,岡山市及び関係者 に損害を与えるものではなく, 間違っている ものを 正しいものに訂正しようと するものである。
5 請求 人は,御津支所が自治会の 名義になるよう手続を進めてい ると主張して いるが ,御津支所としては,道路 以外の部分を前所有者の名義に 戻そうとして おり, 平成20年3月31日付岡 御支総第313号文書による通 知をはじめと して請 求人へも知らせている。そ の点で,請求人の主張には誤り があると考え ている 。
6 本件 については,今後,不動産 登記法等の関係法令,岡山市事 務決裁規程, 岡山市 公有財産取扱規則,岡山市 公有財産管理委員会要綱などに 従い,適正に 事務を 進めていきたいと考えてい る。
第7 監査 の結果及び判断
監査の 結果,御津支所総務課長に 対して,何の証拠書類もなく口 頭の申し入れ のみで, 大切な岡山市の財産を議会 の議決もなく,地元自治会に名 義変更して, 本件土地 を処分する行為の中止を求 めた本件請求には理由がないと 判断した。
以下, その理由について述べる。
1 請求 人の主張の内容
( 2) な お,「第4 請 求人への証拠の 提出及び陳述の機会の付与並びに追加補 正」の 2の( 1),( 3) から( 8) までは,請求人の考えを述べてい るに過ぎず,講 ずべ き必要な措置を何ら特定し て求めているものでもなく,ま た,違法若し くは 不当な財務行為が相当な確 実さをもって予測されることを 書面をもって 証し たものでもないことから, 本件請求の趣旨を補正したもの ではないと判 断し た。
2 本件 土地の概要について
( 1) 不 動産登記全部事項証明書及 び公有財産台帳を確認したとこ ろ,現在,本 件土 地の全筆が岡山市に所有権 登記されるとともに,公有財産 台帳に普通財 産と して記載され,面積は不動 産登記,公有財産台帳とも24 7.93㎡で あっ た。
( 2) 本 件土地が「公衆用道路敷地 」として旧御津町に寄付受納さ れたことは, 請求 人の主張及び御津支所の陳 述において異なる点はなく,関 係書類とも一 致し た。
( 3) 本 件土地を含め,平成9年に 測量設計された道路改良工事農 道湯須環状線 計画 平面図,関係測量図等によ ると,本件土地の一部( 面積218.82㎡) のみ が道路用地として供用され るよう,道路の位置及び形状が 測量・計画さ れて いた。
( 4) 本 件土地周辺でも,旧御津町 は同様に公衆用道路敷地として 土地の寄付を 受け ているが,他の土地につい ては分筆登記が行われ,道路用 地に係る部分 のみ が寄付受納されていた。
( 5) 本 件土地の一部( 湯須集会所部分) が公衆用道路としての形状 を有せず,道 路と しての機能を発揮していな いことは,請求人の主張及び御 津支所の陳述 にお いて異なる点はなく,関係 書類及び現地調査の結果とも一 致した。
3 違法 若しくは不当な行為が行わ れる蓋然性について
( 1) 請 求人は,御津支所が「何の 証拠書類もなく口頭の申し入れ のみで,大切 な 岡山市の財産を 議会の議決もな く,地元自治会に名義変更して,土地を処 分」 しようとしていると主張し ているので,当該行為の違法性 若しくは不当 性, 及び当該行為が相当の確実 さをもって予測されるかどうか について検討 する 。
得す るにあたって登記に誤りが 生じていたので,その誤りを正 そうとするも ので あると陳述している。
ア 本件土地については,第7 の2「本件土地の概要について 」で先述した よ うに,寄付受納及びその登 記事務の経過について事実関係 を確定する直 接 的な証拠はないが,請求人 の主張及び御津支所の陳述と, 関係書類及び 現 地調査の結果が一致した事 項等から考えると,御津支所の 主張に矛盾す る 点は見受けられない。
イ 本件中止を求められている 行為をして,道路の区域に関す る公物管理上 の 不備を管理者が是正しよう とするものと考えるなら,第三 者の指摘等を 待 つまでもなく,管理者にお いて不備の発見と是正の措置が 行われること は ,一般的に考えられるもの である。
したがって,こうした見地 から,御津支所が当該道路につ いて適用され る 法令,関係書類,現地調査 の結果その他を確認し,関係法 令に則り適切 に 処理する限りにおいて,御 津支所が行おうとする行為が, 違法若しくは 不 当であるとは言えない。
なお,請求人においては, 御津支所の行為の何が違法若し くは不当に当 た るのかを具体的に示してい ないが,財産の処分については ,議会の議決 を 要するという主張とも解さ れる。しかし,法第96条の規 定によると, 全 ての普通財産の処分につい て議会の議決を要すると定めら れているもの で はない。
( 3) 請 求人は「地元自治会へ名義 変更して,土地を処分する行為 」が相当な確 実さ をもって行われるとし,そ の中止を求めている。
こ の点について,御津支所の 公文書開示請求書,一部開示等 決定通知書, 地籍 調査作業日誌など関係書類 を監査した結果では,御津支所 の行為は,本 件土 地の一部について地元自治 会の名義となるよう手続を進め ているのでは なく,錯 誤を理由に,本件土地を分筆して道路 用地以外の部分( 湯須集会所部 分) に係る市の所有 権を抹消登記し,当該部分を「前所有 者」の名義に戻そう とし ているものと判断される。
し たがって,請求人の主張す る「地元自治会へ名義変更して ,土地を処分 する 行為」が相当な確実さをも って行われるとは言えない。
第8 結論
以上 のとおり,御津支所の当該 行為が違法若しくは不当である とは言えず, 請求人 の主張する行為が相当な確 実さをもって予測されるとは認 められないの で,本 件請求には理由がない。