日本保険薬局協会会報誌
Interview
Regular General Meeting
法令遵守を重視する
企業風土の醸成が「一丁目一番地」
対談「薬局に求められる法令遵守体制」
日本保険薬局協会「薬局経営者オンラインセミナー」開催 日本保険薬局協会
令和3年度定時総会を5月19日オンラインで開催
Webinar
慶應義塾大学名誉教授・竹中平蔵氏が
「ポストコロナの日本経済と社会保障」テーマに講演
Three-way Conversation
参議院議員・医師
自見 英子
氏特 別 鼎 談
認定薬局制度の スタートで薬局の
ボトムアップが進展
日本保険薬局協会常務理事
秋山 昌之
氏森・濱田松本法律事務所
(弁護士・イリノイ州弁護士)
堀尾 貴将
氏日本保険薬局協会
コンプライアンス委員会 委員長
(弁護士)
山中 修
氏日本保険薬局協会 常務理事
藤井 江美
氏67
2021 SUMMER
Vol.
Hottest Topics
米国&英国からのレポート
「私の新型コロナ闘病記」
Beyond The Sea
季刊誌[エヌファ]
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4
Three-way Conversation
認定薬局制度のスタートで 薬局のボトムアップが進展
12
Interview
対 談
薬局に求められる法令遵守体制
法令遵守を重視する企業風土の醸成が「一丁目一番地」
9 Webinar
NPhA 「薬局経営者オンラインセミナー」を4月16日開催
竹中平蔵氏が「ポストコロナの日本経済と社会保障」テーマに講演
10 Regular General Meeting日本保険薬局協会 令和3年度定時総会を5月19日、オンラインで開催
首藤会長「2022年度診療報酬改定への要望が今期の重要課題」
[好評連載]
17 From Lawyer
“ 新 ”薬剤師が知っておきたい法律知識
弁護士 三輪 亮寿氏18 Report
レポート 多職種連携
北摂調剤株式会社 北摂調剤王寺駅前薬局(奈良県)20 Hottest Topics
Beyond The Sea
米国&英国からのレポート 「私の新型コロナ闘病記」アメリカ 罹患後に1回目のワクチン接種、39度近い高熱・関節痛の副反応 大野 真理子氏
イギリス タバコ臭を感じる異嗅症が感染後4カ月経った今も継続 國分 麻衣子氏
24 At The Top
地域のトップランナー
株式会社ぼうしや薬局(兵庫県)26 State of Affairs
薬大・薬学部の現
い在
ま国際医療福祉大学福岡薬学部(福岡県)
31 Local Specialty
隠れたわが郷土料理
有限会社 環(大分県) 代表取締役 後藤 徹氏28 日本保険薬局協会 新会員紹介
32 ファーマシーセミナー アドバンス オンライン研修の案内
33 2021年度 主要会議スケジュール
34 編集後記
Contents
日本保険薬局協会会報誌 The Sixty-Seventh Issue 2021
協会ロゴマークの由来
協会ロゴマークは、私たちの仕事で ある調剤業務に古くより使用されて いる重要な器具・薬匙(スパーテル)
を基本にあしらい、さらに日本保険 薬局協会の英名 Nippon Pharmacy Association の略である NPhA を薬 匙の上に広げて重ね、空を翔ける鳥 のようにイメージしました。今後、
日本保険薬局協会が大きく羽ばたき 成長するよう、希望を込めて作成さ れています。
NPhA 3
森・濱田松本法律事務所 日本保険薬局協会
コンプライアンス委員会 委員長
堀尾貴将
氏山中 修
氏 参議院議員・医師自見英子 氏
日本保険薬局協会 常務理事 日本保険薬局協会 常務理事藤井江美 氏 秋山昌之 氏
特 別 鼎 談
(弁護士) (弁護士)
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認定薬局制度 の ス タ ー ト で 薬局 の ボ ト ム ア ッ プ が進展
小児科医でもある参議院議員・自見英子氏は今、「こども庁」創 設に奔走しています。子育て支援に対する国の予算不足を指摘する 自見氏は、「こども庁」創設によって子どもだけでなく、その両親・
養育者の支援が必要だと訴えます。
一方で、薬局・薬剤師の世界にも温かい目を向けてくれています。
8月からスタートする認定薬局制度は薬局全体のボトムアップを促 すと指摘し、1軒でも多くの薬局が認定を受けてほしいと期待を示 しました。さらに、薬剤師の臨床能力を高めるために病院での初期 研修を義務化し、薬剤師の臨床能力の向上が薬局の新たな機能獲得 にも繋がると将来ビジョンを示しつつ、お話をいただきました。
(5月7日収録)
4 NPhA
T hree-way Conversation
病 院 で の 初 期 研 修 を 義 務 化 し 薬 剤 師 の 臨 床 能 力 を 高 め よ
参議院議員・医師
日本保険薬局協会 常務理事
日本保険薬局協会 常務理事
自見英子 氏 藤井江美 氏 秋山昌之 氏
自見英子氏を囲んで藤井江美氏、秋山昌之氏の三人で記念撮影
ファーマライズホールディングス株式会社 代表取締役社長
株式会社アイセイ薬局 代表取締役社長
特別鼎談
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NPhA 5
自見英子氏 藤井江美氏 秋山昌之氏 特別鼎談
藤井 全国の保険薬局はこれま で、医薬分業の進展と共に成長して きました。しかし最近、医薬分業の メリットを国民は実感していないと 指摘を受けるようになってきまし た。医薬分業の現状に対するご認 識、また薬局が果たしている役割に ついては、どのようにお考えでしょ うか。
自見 言うまでもありませんが、
薬局は国民にとって最も身近な医療 のアクセスポイントだと思います。
ふらりと気軽に立ち寄ることがで き、カウンターに座れば相談ができ ます。そして、必要な薬を適切に薬 剤師が選択してくれます。この役割 は今後も変わることはないと思いま すし、今後、むしろ新しい機能が付 加され強化されていくべきだと考え ています。
秋山 2019年11月に薬機法が改 正され、服薬期間中の患者フォロー が義務化されました。どのように受 け止めておられますか。
自見 今回の薬機法改正における 最大の意義は、その服薬期間中のフ ォローアップを義務化したところに あると考えています。これはコペル ニクス的な転換だと思っています。
主体性をもって、「患者さんが適切 に服薬できるよう責任をもって支援 します」と法律に明記されたこと は、大きな意義があると受け止めて います。
藤井 法律に明示していただき、
私たち薬剤師も、とても心強く感じ ているところです。例えば、患者さ
んのフォローアップをする ために電話を掛けた時、「ど うして、そんなことまで聞 くの?」と逆に言われるこ とがあります。そうした時、
法律に明記されていること を念頭に、「服薬を継続し ていただくために様子をお 伺いしているのです」と自 信をもって説明ができます
ので、自分たちの仕事にしっかりと した根拠ができたと感じています。
自見 薬機法に明示される前か ら、服薬フォローアップに取り組ん できた薬局はたくさんあります。で も、明記されたことで、よりやりや すくなったはずですよね。
秋山 薬機法改正によって、今年 8月から「地域連携薬局」と「専門 医療機関連携薬局」の認定薬局制度 がスタートします。
自見 これまでも多職種連携が叫 ばれてきましたので、多くの薬局が
「連携」を目指して努力してこられた と思います。今回の薬機法改正は、
そうでなかったところも含めて、そ うした薬局のボトムアップに繋がる と考えています。すでに取り組んで きた薬局が多数あって、今回の改定 によって、連携とは関わりのなかっ た薬局が連携に取り組むようになる でしょうから、薬局全体の質の向上 という面で大いに意義があったと捉 えています。ただ、大事なのは、1軒 でも多くの薬局が認定を受けていた だきたいことです。その意味では、
NPhAのような団体の役割も重要だ と思います。積極的に認定を促して いただきたい。多くの薬局がこの制 度に乗っていただければ、政治家と
しても法律を通して良かったと思え ますし、今後、仮に予算が付き、薬 局がしっかり公益事業に取り組み、
与えられた研修などの予算を消化す れば、財政当局も喜ぶと思います。
秋山 ご指摘の通りです。せっか く、法律で舞台が作られたのですか ら、薬局はしっかり活躍しなければ なりませんよね。
自見 団体としても、取り組みや すいと思います。法律があって、要 件も明確ですから、「さあ、みんな で頑張りましょう!」と掛け声を掛 けやすいはずです。
秋 山 す で に NPhA と し て も、
「地域連携薬剤師研修」をスタート させていまして、受講申込者数が 5,000人を超えているのです。
自見 素晴らしいですね。地域包 括ケアシステムを循環させていくた めに、地域連携薬局が医療機関と福 祉・介護施設を橋渡ししていく役割 は、ますます重要になっていくはず です。要件の一つになっている地域 包括ケアシステムに関する研修を受 けた薬剤師が半数以上いれば、その 役割は十分に果たしていけると思い ます。一方、専門医療機関連携薬局は 他の薬局では持ち得ない専門性を持 っているのですから、がんだけに限
自見英子氏
認定薬局制度は
薬局全体の質向上を促進する
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12 NPhA
――冒頭、まずお伺いしたいのは、現在、薬局で行 われている企業ガバナンスに対する現状認識です。山 中さん、実際に企業を経営している立場からお考えを お聞かせください。
山中 言うまでもなく薬局は規制業種で、薬機法が
根拠法になっています。規制業種であることは、例え ば銀行と同じなのですが、銀行と違って薬局は1店舗 の個人薬局がある一方で、千店舗を超える上場企業ま であります。そのためか、コンプライアンスとか企業 ガバナンスに対する考え方がバラバラで、業界として 全く統一されていないという問題があるように感じて います。
一方で、コンプライアンス違反あるいは不祥事は上
薬局の社会的信頼を高める
「攻めのコンプライアンス」も重要
I nterview
法令遵守を重視する
企業風土の醸成が「一丁目一番地」
日本保険薬局協会は今年度、会内にコンプライアンス 委員会を新設しました。これまではリスクマネジメン ト委員会がコンプライアンス対策も行ってきましたが、
法令遵守の取り組みが一層強く求められる環境を鑑み、
独立した委員会を立ち上げ体制強化を図りました。
本項では、弁護士の堀尾貴将氏をゲストに迎え、コ ンプライアンス委員会委員長の山中修氏と共に、薬局 に求められる法令遵守体制について話し合っていただ きました。堀尾氏は2017年から3年間、厚生労働省 医薬・生活衛生局に法務指導官として出向、2019年 に成立した改正薬機法にも深く関わられました。一 方、弁護士でもある山中氏はかつて、堀尾氏が所属す る森・濱田松本法律事務所に在籍していました。
本対談の中で堀尾氏は、現在の多くの薬局チェーン では薬局運営を適正に行う部門を管掌する役員を置い ていないと問題点を指摘。その上で、法令遵守を重視 する企業風土の醸成が極めて重要と強調し、企業風土 の構築に決定的な影響力を与える経営者に、法令遵守 に向けた取り組みを強く求めました。
(5月6日収録、司会進行=日本保険薬局協会広報委員会)
堀尾貴将氏(右)と山中修氏
堀尾貴将 氏 山中 修 氏
森・濱田松本法律事務所 日本保険薬局協会
コンプライアンス委員会 委員長
(弁護士・イリノイ州弁護士) (弁護士、株式会社ファーマシィ代表取締役社長)
出 席 者
法令遵守体制
薬局に求められる
対 談 法令遵守体制
企業ガバナンスの考え方が 業界として統一されていない
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対 談
薬局に求められる 法令遵守体制 法令遵守体制
――今回の薬機法改正において、特に注目している 点について、お二方のご意見をいただきたいと思いま す。
山中 法令遵守体制に関する法的整備は、主に大企 業を念頭に会社法や金融商品取引法で定められていま す。しかし、今回の改正薬機法では企業規模を問わず、
すべての薬局において法令遵守体制を整備しなさいと 踏み込んだところが、私が最も注目しているポイント です。薬局は、「人の命を預かっているのだから、も っとしっかりしなさい」という強いメッセージを読み 取ることができます。
当社の場合、責任役員は私なのですが、そもそも、
責任役員だからといって責任が加重されたわけではあ りません。責任役員になった者の責任を重くするわけ ではなく、「薬事に関する業務に責任を有する役員」
を「責任役員」とすることで、「責任を持つのはあな たですよ」というプレッシャーを、今回の改正法では 掛けています。意識付けにとても力を注いでいる。こ れが、改正薬機法に貫かれている考えだと思います。
例えば、管理薬剤師が開設者に意見申述をする場合、
あえて「書面で」という文言を、今回の改正で挿入し ました。改正前から意見申述義務はあったものの、き ちっと書面で残せということにしました。法律家とし て見ると、これは、とても珍しい規定です。
同時に、エリアマネージャー(薬局開設者を補佐す る者)について言及した点にも注目しています。これ まで、エリアマネージャーに対しては何も規定があり ませんでした。その位置づけを法律で明確にしたとい う点は大きな意味があると思います。もし、不祥事を 起こしたら、外部から責任を追及されるのは責任役員 ではありますが、社内的な意味におけるエリアマネー ジャーの責任が明らかにされたと受け止めています。
堀尾 どのように法令を遵守して業務を遂行する仕 組みとするかという体制の構築、また、企業風土の醸 成は、経営者のマインドと経営者の行動に依存しま す。薬機法の改正の中で、責任役員という位置付けを 明確化したのは、その重要性に注目したからです。
場・非上場を問わず、また規模の大小を問わず起きて います。例えば薬歴未記載問題とか、処方箋がないま ま調剤したとか、こうした問題は企業規模など関係な く発生しています。報道を見ていると、違反行為が悪 い意味で習慣化してしまっているのではないかと危惧 しています。それは薬局だけに限らず、最近ではジェ ネリックメーカーにおいても不祥事が相次いでいま す。薬機法改正を良いタイミングとして、今一度、ガ バナンスやコンプライアンスの在り方を考え直さなけ ればいけないと思っています。
堀尾 コンプライアンスについては、薬局の規模を 問わず課題を抱えていると思います。ただ、その中で も、企業ガバナンスをよくよく考えなければいけない のは、どちらかと言えば多店舗展開の薬局だと私は考 えています。薬機法で想定している薬局は、開設者が いて、管理薬剤師がいる。管理薬剤師が適切に薬局を 管理し、開設者と管理薬剤師の間でしっかりとコミュ ニケーションがとられている、という世界が、薬機法 の基本的な前提となっています。しかし、その前提に 当てはまらない、同一の開設者が多店舗展開するタイ プの薬局になると、開設者が個々の薬局の中身を直接 把握することは難しくなります。そのため、どのよう に内部統制していくのか、どのようにガバナンスを効 かせていくのかという問題が、問われるようになって います。
薬機法改正の契機となった過去の事案では、人員の 確保が不十分であったり、内部統制の整備が追い付か ないまま規模を拡大し、管理薬剤師の兼務といった法 令違反を生じさせたケースがありました。また、大規 模な薬局チェーンで、処方箋の付け替えなどの不適切 な行為が行われた事案もありました。
こうした不祥事の大きな背景には、調剤報酬を効率 的に算定することに、過剰に焦点を当てた経営がなさ れているという点もあるのではないかと、私は考えて います。処方箋の付け替え問題は、この問題が正面か ら顕在化したものです。そうした構造的な問題が薬局 業界の根底にはあるため、その中で、多店舗展開の薬 局が、ガバナンスを徹底しコンプライアンスを堅持し ていくことの難しさがあるということを、冒頭でまず 指摘しておきたいと思います。
法令遵守を重視する
企業風土の醸成が「一丁目一番地」
経営者のマインドと行動が 企業風土を決定する
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