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成 果 報 告 書

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Academic year: 2021

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(1)

社団法人  日本航空宇宙工業会  革新航空機技術開発センター 

2007 3 月  

環境調和型航空機技術に関する調査研究  成 果 報 告 書 

No.1805

ISSN 1880-3660

フォームコアサンドイッチパネル 

き裂(はく離)進展抑制手法の研究 

(2)

ま え が き 

  

 日本航空宇宙工業会は、平成 18 年度事業の一つとして、日本自転車振興会から補助金の交付 を得て、「航空機工業の競争力強化に関する調査研究」および「環境調和型航空機技術に関する 調査研究」を下表のように実施した。 

 研究の実施に対し、その実現と推進にご尽力賜った経済産業省ならびに日本自転車振興会の ご関係者に厚くお礼申し上げる。 

 平成 19 年 3 月 

社団法人 日本航空宇宙工業会  革新航空機技術開発センター 

平成 18 年度委託研究登録番号(報告書No.)一覧 

川崎重工業㈱ 

富士重工業㈱ 

石川島播磨重工業㈱ 

住友精密工業㈱ 

川崎重工業㈱ 

富士重工業㈱ 

三菱重工業㈱ 

新明和工業㈱ 

石川島播磨重工業㈱ 

㈱神戸製鋼所 

富士重工業㈱ 

㈱島津製作所 

10 

11 

1801  

1802  

1803  

1804  

1805  

1806  

1807  

1808  

1809  

1810  

1811  

機体/空力 

機体/空力 

推  進 

機体/空力 

機体/空力 

機体/空力 

機体/空力 

機体/空力 

推  進 

機体/空力 

機体/空力 

競争力強化 

競争力強化 

環境調和 

環境調和 

環境調和 

競争力強化 

競争力強化 

競争力強化 

競争力強化 

環境調和 

環境調和 

継続 

継続 

継続 

継続 

継続 

新規 

新規 

新規 

新規 

新規 

新規 

キャビテーション・ピーニングの  機体部材への適用技術の研究 

Vectranスティッチ複合材料の研究 

Blade Blended Endwallによる  タービン性能改善の研究 

メタル・マトリックス複合材(MMC)の  脚部品への適用研究 

フォームコアサンドイッチパネル  き裂(はく離)進展抑制手法の研究 

複合材配管の研究 

複合材構造の製造技術高度化に  関する研究 

固体酸化物形燃料電池を使用した  航空機用発電システムの研究  航空エンジン用T iディスク素材の  品質保証技術向上の研究 

先進高効率防除氷システムの研究 

脚や機体構造等に用いる高強度鋼の  カドミウムめっき代替プロセスの研究  競争力強化 

/環境調和  継続  /新規  報告書 

No. 分 野  研  究  名  委  託  会  社 

No.

(3)

調査研究委託会社  川崎重工業 (株)  

フォームコアサンドイッチパネル 

き裂(はく離)進展抑制手法の研究 

(4)

目 次

第1章 研究の概要

1.1 研究目的 ... 1

1.2 実施期間等 ... 1

1.3 実施内容 ... 2

1.4 成果概要 ... 2

1.5 所見 ... 9

第2章 研究の内容 2.1 緒言 ... 11

2.2 目的 ... 12

2.3 クラックアレスター応用案の評価 ... 12

2.3.1 使用材料及び物性値 ... 12

2.3.2 試験供試体 ... 12

2.3.3 試験供試体の解析 ... 18

(1) コアスプライス兼用型アレスター供試体 ... 18

(2) パッドアップ型アレスター供試体 ... 32

(3) まとめ ... 37

2.3.4 破壊じん性試験 ... 38

(1)試験種類... 38

(2)供試体... 38

(3)試験方法... 44

(4)試験結果... 48

(5)考察... 63

(6)まとめ ... 74

2.3.5 疲労き裂進展試験 ... 75

(1) 試験種類... 75

(2) 供試体... 75

(3) 試験方法... 75

(4)試験結果... 77

(5) 考察... 90

(5)

2.4 総合評価 ... 94

第3章 問題点と今後の課題

3.1 平成18年度の成果と問題点 ... 97 3.2 今後の課題 ... 99

第4章 関連事項調査

4.1 関連特許調査 ... 101 4.2 関連技術調査 ... 105

付 図 ... 109

(6)

第1章 研究の概要

1.1 研究目的

民間機の一次構造への複合材料の適用状況は、初期の段階から現在に至るまで、金属材料の 構造様式を踏襲して材料を CFRP で置き換え補強材と外板等を一体化した事例がほとんどある。

金属構造を踏襲した構造様式で材料を複合材料に置き換えても複合材料の特長を十分に引き出 しているとはいえないと考える。実績がある構造様式を採用するのは、高い安全性を要求され る航空機としては当然であるが、一方では、複合材に適した構造様式の研究も必要と考える。

フォームコアサンドイッチパネル構造は複合材の特長を活かした有望な一体化構造様式である が、一体構造のため、損傷等によるはく離の進展を抑制する手法が実用化へ向けての課題である。

本研究では、フォームコアサンドイッチパネルに発生したはく離(き裂)の進展を抑制する手法 について、その効果を実証試験で確認すると共に航空機の既存の構造様式にも適用可能な形態を 検討する。はく離(き裂)進展を抑制する手法により、一体化の範囲拡大が可能になると共に、

より実用的な構造様式への発展が期待される。具体的には胴体一般部・与圧隔壁等への適用範囲 拡大が考えられる。

1.2 実施期間等

1.2.1 実施期間:

平成18年4月~平成19年3月 1.2.2 実施場所:

事業所:川崎重工業株式会社 航空宇宙カンパニー 郵便番号: 504-8710

住 所:岐阜県各務原市川崎町1番地 電話番号:058-382-7699

FAX 番号:058-380-0022 1.2.3 研究主務者:

航空宇宙カンパニー 技術本部

小牧 博一 民間航空機設計部 部 長 廣瀬 康夫 同 部 民間機設計課 上級専門職 本社 技術研究所

松原 剛 強度研究部 研究2課 主 事 松田 博和 強度研究部 研究2課 主 事

(7)

1.3 実施内容

1.3.1 クラックアレスター応用案の解析

フォームコアサンドイッチパネルのクラックアレスター応用案のき裂進展抑制効果

(エネルギー解放率低減効果)を評価するためにFEM解析を実施した。

1.3.2 クラックアレスター応用案の実証試験

クラックアレスター応用案について、フォームコアサンドイッチパネルのき裂進展特 性試験(モードⅠ、モードⅡの各負荷形態)を実施して解析の妥当性を確認した。

1.3.3 総合評価

本 研 究 で 得 ら れ た 結 果 に 対 す る 総 合 評 価 と し て き 裂 進 展 特 性 の 観 点 か ら 発 泡 コ アサンドイッチパネルの損傷許容性向上効果について定量的に評価した。

1.3.4 関連事項の調査

学会出席、文献調査等を含む関連技術調査及び特許調査を行なった。

1.4 成果概要

1.4.1 クラックアレスター応用案の解析

航空機の実構造へ直接適用することを想定しクラックアレスター応用案のき裂進展抑制 効果について解析による評価を行なった。具体的には、クラックアレスター応用案としてス プライス兼用型アレスターとパッドアップ型アレスターの2種を対象としてモードⅠ型負 荷形態とモードⅡ型負荷形態について、荷重を一定とした場合の、き裂先端のエネルギー解 放率の変化を調べた。スプライス兼用型アレスターの供試体サイズは、モードⅠ型負荷形態 の供試体で300mm×100mm×38.4mmt(公称値)、モードⅡ型負荷形態の供試体で

610mm×50mm×38.4mmt(公称値)とし、アレスター部となるスプライス部はCFPR綾織材4pl yを挿入し、テーパーしたコア先端部5mmの範囲にCFRP1方向材を充填した形態でモデル化し た。また、パッドアップ型アレスターについては、モードⅠ型負荷形態の供試体で300mm×1 00mm×38.4mmt(公称値)、モードⅡ型負荷形態の供試体で610mm×50mm×38.4mmt(公称値)

とし、アレスター部は長手方向に40mmの間に4plyのCFRP綾織材を面板上に貼り付けた。これ らの解析結果を図1.4-1~図1.4-4に示す。この結果から、スプライス兼用型アレスターでは、

アレスターによりき裂先端のエネルギー解放率がアレスター近傍で、モードⅠ型負荷形態で 約10%、モードⅡ型負荷形態で約65%に低下することが判った。また、パッドアップ型アレ スターでは、モードⅠ型負荷形態では約30%低下するものの、モードⅡ型の負荷形態ではほ とんど効果がないことが判った。荷重形態によるアレスター効果の差異は、き裂先端の応力 場の差異による。

(8)

図1.4-2 スプライス兼用型アレスター モードⅡ型負荷に対する解析結果 図1.4-1 スプライス兼用型アレスター モードⅠ型負荷形態に対する解析結果

L=40mm L=20mm L=5mm L=0mm

L=-5mm

L=-30m

L=-55m き裂進展経路

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2

-60 -40

-20 0

20 40

60

アレスタエッジからの距離 a' [mm]

解放率低下Gアレあり/Gアレ

ター エッ

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2

-60 -40

-20 0

20 40

60

アレスタエッジからの距離 a' [mm]

解放率低下Gアレあり/Gアレ

ター エッ

アレスター端部からの距離 L [mm]

アレスター端部からの距離 L [mm]

(9)

0 100 200 300 400 500

-60 -40

-20 0

20 40

60

パッドアップ中央からの距離 a' [mm]

ネル解放率 G [N/mm]

パッドアップ型アレスター アレスター無し

パッドアップ範囲

0 100 200 300 400 500

-60 -40

-20 0

20 40

60

パッドアップ中央からの距離 a' [mm]

G [N/mm]

パッドアップ型アレスター アレスター無し

パッドアップ範囲

図1.4-3 パッドアップ型アレスター モードⅠ型負荷に対する解析結果

図1.4-4 パッドアップ型アレスター モードⅡ型負荷形態に対する解析結果

2.3.3.-12 パッドアップ型アレスター供試体

(+45,-45) 35% 0.38mm (0,90) 35% 0.38mm

(+45,-45) 45% 0.46mm (0,90) 45% 0.46mm

(+45,-45) 45% 0.46mm

コア材 34.32mm

(35mm-樹脂層厚さ×2)

樹脂層 0.34mm (+45,-45) 35% 0.38mm

(0,90) 35% 0.38mm (+45,-45) 45% 0.46mm

(0,90) 45% 0.46mm

パッドアップ部 (1.52mm)

き裂進展経路

パッドアップ型アレスターモデル

(10)

1.4.2 クラックアレスター応用案の実証試験

スプライス兼用型アレスターについて破壊じん性試験と疲労き裂進展試験により解析結果 の確認を行った。また、昨年度に評価したクラックアレスター基本案については、アレスター 端部の微小き裂を起点とするアレスターと面板のはく離を防止するためにCFRP綾織材2plyを クラックアレスターの周囲に巻きつけたクラックアレスタ-基本案改について、その効果を破 壊じん性試験により確認した。ここで、クラックアレスター基本案改では面板板厚を4plyから 8plyに下げている。スプライス兼用アレスター及びクラックアレスター基本案改の試験結果を 図1.4-5~図1.4-8に示す。スプライス兼用アレスターの結果から、破壊じん性試験では、き裂

先端の見かけの破壊じん性値がアレスターが無い場合と比較して、アレスター近傍でモードⅠ 型負荷形態で17倍、モードⅡ型負荷形態で2倍に増加することが判った。なお、この増加には 後述するアレスターの存在に関すると思われるアレスター近傍の破壊じん性値の増加を含ん でいる。また、疲労き裂進展試験では、モードⅠ型負荷形態及びモードⅡ型負荷形態ともアレ スター近傍でき裂進展速度が急激に低下することが判った。また、クラックアレスター基本案 改この結果から、き裂進展抑制効果については昨年度のクラックアレスター基本案と同程度の 効果が得られ、破壊モードについてもアレスターと面板間のはく離は見られなかった。次に、

破壊じん性試験結果から界面の破壊じん性値を求めたところ、スプライス兼用型アレスターの 場合にはアレスター無しの場合と比較して、界面の破壊じん性値が4倍(モードⅠ型負荷形態)

及び1.5倍(モードⅡ型負荷形態)に増加するという知見を得た。この原因としては、成形 時の圧縮残留応力等が原因と考えられえるが詳細は今後の課題である。

本研究により、スプライス兼用型アレスターについても十分なき裂進展抑制効果を有してい ることが確認できた。また、クラックアレスター基本案改の評価で、クラックアレスター基本 案のアレスター端部に生じた微小き裂の発生を抑えることが出来た。

(11)

図1.4-6 見かけの破壊じん性値とき裂長さの関係(モードⅡ型負荷形態)

図1.4-5 見かけの破壊じん性値とき裂長さの関係(モードⅠ型負荷形態)

0 2000 4000 6000 8000

30 40 50 60 70 80

Crack length a (mm)

F ractur e t ou gh ne ss G c (N / m )

Arrester R10 (skin 8ply) Arrester R10 (skin 8ply) No-Arrester (skin 8ply) No-Arrester (skin 8ply) No-Arrester (skin 4ply) Arrester R10 (skin 4ply) Arrester splice (skin 4ply) Arrester splice (skin 4ply)

DCB Test

Arrester

0 500 1000 1500 2000

50 70 90 110 130 150

Crack length a (mm)

Frac tu re to u gh n es s G c (N/ m )

No-Arrester (skin 4ply) Arrester R10 (skin 4ply) Arrester splice (skin 4ply)

ENF Test

Arrester R10

Arrester

(12)

1.0E-9 1.0E-8 1.0E-7 1.0E-6 1.0E-5 1.0E-4

35 40 45 50 55 60 65 70

Crack length a (mm)

Crack propagation rate da/dN (m/cycle)

No-Arrester (skin 8ply) Arrester R10 (skin 8ply) Arrester splice (skin 4ply)

DCB Test

R=0.1

Pmax

=356N 366N

388N 377N

Pmax

=333N

Pmax

=162N

167N

図1.4-7 き裂進展速度とき裂長さの関係(モードⅠ型負荷形態試験)

図1.4-8 き裂進展速度とき裂長さの関係(モードⅡ型負荷形態試験)

アレスター端部

1.0E-9 1.0E-8 1.0E-7 1.0E-6 1.0E-5 1.0E-4

-40 -30 -20 -10 0 10

Crack length a (mm)

Crack propagation rate da/dN (m/cycle)

Arrester R10 (skin 8ply) Arrester R10 (skin 8ply) Arrester R10 (skin 8ply) Arrester splice (skin 4ply)

ENF Test

R=0.1

Arrester R10 Arrester splice

アレスター端部

(13)

1.4.3 総合評価

クラックアレスターによるき裂進展抑制効果を評価するため、アレスターのある場合は真の 進展抵抗がアレスターのない場合の疲労き裂進データに従うように仮定して、アレスター中心 から125mmの位置に直径140mmの損傷が発生したと想定した場合のき裂進展抑制効果を評価し た。結果を図1.4.-9に示す。図1.4.-9から、同一の荷重条件で比較した場合、モードⅠ型負荷 形態、モードⅡ型負荷形態とも民間機の寿命範囲である10~10の範囲内で疲労き裂進展 抑制効果があることがわかった。この結果、実構造を想定した場合でもアレスターのき裂進展 抑制効果について目途を得ることが出来た。

0 20 40 60 80 100 120

1.0E+2 1.0E+3 1.0E+4 1.0E+5 1.0E+6 1.0E+7 1.0E+8 1.0E+9

Cycle N , cycles

Crack length a , mm

No-Arrester (skin 4ply) Arrester splice (skin 4ply) Arrester R10 (skin 4ply)

DCB

Typical life for commercial jet

図1.4.9(1/2) モードⅠ型負荷形態における疲労き裂進展特性

アレスター端部

0 20 40 60 80 100 120

1.0E+2 1.0E+3 1.0E+4 1.0E+5 1.0E+6 1.0E+7 1.0E+8 1.0E+9

Cycle N , cycles

Crack length a , mm

No-Arrester (skin 4ply) Arrester splice (skin 4ply) Arrester R10 (skin 4ply)

ENF

Typical life for commercial jet

図1.4.9(2/2) モードⅡ型負荷形態における疲労き裂進展特性

アレスター端部

(14)

1.5 所見

2年間の研究により、発泡コアサンドイッチパネルの面板-コア間の界面き裂の進展を抑制 する手法であるクラックアレスターについて基本案と応用案を対象に破壊じん性試験、疲労 き裂進展試験によりその効果を確認した。さらに疲労き裂進展速度の計測値を用いてアレス ターの有無による疲労き裂進展特性を評価し、民間機の代表的な寿命範囲では疲労き裂の進 展を抑制する効果があることを確認した。これにより、実機適用の目途を得た。これらの成 果により、本研究で所定の成果が得られたと考える。また、特許は2件を出願予定で、対外 発表は2件(日本複合材学会及び日本機械学会)を実施した。他に3件の対外発表(国際学 会2件、学会誌への論文投稿1件)を準備中である。

この研究では、モードⅠ型負荷形態とモードⅡ型負荷形態という単純な荷重条件で効果を 確認したが、実際の航空機は複雑な荷重条件で運用されるので、本アイデアの実用性を評価 するためには、荷重条件を変えて適用範囲を明確化する必要がある。具体的には、開口変位 を生じるモードⅠ型とせん断変位を生じるモードⅡ型の割合(モード比)を変更した場合の き裂進展抑制効果を評価する必要がある。また、本試験で取得したデータを分析した結果、

面 板 ― コ ア間 の 正 味 の 界 面 破 壊 じん 性 値 が ア レ ス タ ー 近傍 で 大 き く 増 加 す る 場合 の あ る こ とが判った。これは、パネル成形時の残留応力が影響していると考えられるが、き裂進展抑 制効果を助長する方向に働いているので、この現象を解明して成形時の残留応力を制御する ことができれば、アレスターによるき裂進展抑制効果をさらに向上させることが可能になる と考える。なお、発泡コアサンドイッチパネルを適用した航空機構造はエアバス社でも研究 が行なわれており、サンドイッチパネルの非破壊検査を用意にするためヘルスモニタリング 技術の適用が計画されている。将来的には、面板―コア間の界面き裂を抑制するアイデアで あ る ク ラ ック ア レ ス タ ー と 光 フ ァイ バ ー に よ る 損 傷 検 知技 術 を 組 合 わ せ て 構 造の 信 頼 性 を 向上させれば複合材料の特性を活かした新しい一体構造の実用化につながる可能性がある。

(15)
(16)

第2章 研究の内容

2.1 緒言

金属材料の構造様式を踏襲した従来の構造様式に対して発泡コアサンドイッチパネル構造は 大幅な重量軽減、部品点数低減が可能であるとの成果を得ており、航空機以外の分野ではスウ ェーデン海軍のコルベット艦や我が国の E4 系新幹線先頭車両への適用例がある。しかしながら、

大型一体構造のため幾つかの実用上の課題があり、損傷を起点とする面板―コア間のき裂が広 範囲に拡大するという問題もその 1 つである。従って、き裂の進展を抑制・停留させるアイデ アが必要である。航空機の場合には、雹等による衝撃損傷を受ける可能性があり、発泡コアサ ンドイッチパネルの面板が薄い場合には損傷を目視で発見することが非常に困難である。一方、

高い安全性を要求される航空機の場合は、目視不可能な損傷が存在してそこを起点にき裂が進 展しても、構造全体の破壊につながる前に検査で発見・修理する必要がある。そのためには、

現在のところ、面板を厚くして損傷がつきにくくする案やエアバス社の研究事例のように荷重 を分担する部材の外側に損傷を防ぐために薄い面板と発泡コアを配する案等が考えられている。

しかしながら、前者は重量増加につながり、後者でも外側面板とコア間のはく離を起点とする き裂の進展を抑制する手段が必要である。これに対して、平成 17 年度報告書では、き裂進展方 向の発泡コア内に発泡コアよりも剛性が高い物質を配することによりき裂の進展を抑制するア イデア(クラックアレスター)の有効性について試験により確認した。評価の対象としたクラ ックアレスターはパネルの一般部への適用を想定した、半円形断面を有する円筒型であったが、

一方では、実際の航空機の構造様式に適用可能な形状のアレスターも必要である。これらのア レスターをクラックアレスター応用案と称する。本年度作業では、クラックアレスター応用案 として、コアのスプライス部でき裂の進展を抑制することを想定したスプライス兼用型アレス ターと簡素な構造でき裂進展抑制効果を得ることを目的としたパッドアップ兼用型クラックア レスターを評価対象とした。まず、両形態について FEM 解析により、モードⅠ型負荷形態とモ ードⅡ型負荷形態についてき裂進展抑制効果を評価した。さらに、スプライス兼用型アレスタ ーについてはモードⅠ負荷形態及びモードⅡ型負荷形態の荷重負荷条件で破壊じん性試験及び 疲労き裂進展試験を行い、クラックアレスターによるき裂進展抑制効果を確認した。供試体形 状は、モードⅠ型負荷形態供試体が 300 mm × 100 mm × 38.4mmt(公称値)、モードⅡ型負荷 形態試験供試体が 610mm × 50 mm × 38.4mmt(公称値)で、面板は CFRP 製で板厚は 1.68mm、

コアはロハセル WF110 でコア厚さは 35 mm である。また、昨年度のクラックアレスター基本案 の破壊じん性試験ではアレスター端部に発生した微小クラックのために面板とアレスターが剥 離するという破壊モードが見られた。この破壊モードを回避するためにアレスターの周りに

(17)

2.2 目的

本研究では、クラックアレスター応用案として、実際の航空機の構造様式に適用可能な形状 のアレスターである、スプライス兼用型アレスターとパッドアップ型アレスターについて解析 及び試験によりその効果を評価する。また、昨年度の破壊じん性試験で発生したアレスター端 部の微小クラックによる面板とコアの剥離を防止するアイデアについても、その効果を破壊じ ん性試験により評価する。

2.3 クラックアレスター応用案の評価

2.3.1 使用材料及び物性値

外板の面板には 180℃硬化型のエポキシ樹脂をマトリックスとする CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic)積層板(Toho Tenax UT500/#135)を用いた。また、プリプレグの自己 接着性を活用する観点から、コアと接着するプリプレグとそれ以外の部分を使い分け、Vfが 46% と 56% の 2 種 の プ リ プ レ グ を 選 ん だ 。 ま た 、 発 泡 コ ア は 、 熱 可 塑 性 の PMI (PolyMethacrylimid)コアである Rohm 社の Rohacell WF110 を、アレスターには 1 方向材であ る CFRP 積層板(Toho Tenax UT500/#135)を用いた。材料の物性値を表 2.3.1-1 に示す。

2.3.2 試験供試体

発泡コアサンドイッチパネルは CFRP 綾織材面板と発泡コアから構成される。面板の層構成 は、(+45°,-45°)/(0°,90°) /(0°,90°)/ (+45°,-45°)の 4ply で板厚は 1.68mm(公称)

である。昨年度は面板板厚 8ply としたが、モードⅡ型負荷形態の試験において、き裂進展前 に供試体が破壊する事例が見られた。このため、今年度は破壊荷重を下げるため面板板厚を 4ply に薄くした。なお、発泡コアに接する 2ply のプリプレグ(0°,90°)及び(+45°,-45°) については自己接着性を持たせるため Vf=46%とし、その他のプリプレグは Vf=56%とした。こ こで、発泡コア厚さは 35 mm である。また、スプライス兼用型アレスターのスプライス部ア レスターは 4ply で、両側のコアに巻きつけて積層した各 1ply と中間に挿入した 2ply の CFRP 織物材プリプレグの合計 4ply から構成される。パッドアップ型アレスターについては、長さ 30mm、板厚 1.52mm の CFRP プリプレグを面板上に積層した形態とした。アレスターなしの発 泡コアサンドイッチパネル供試体形状を図 2.3.2-1、スプライス兼用型アレスターを有する 供試体形状を図 2.3.2-2に示す。なお、パッドアップ型アレスターについては解析による評 価のみを実施した。また、昨年度の破壊じん性試験で発生したアレスター端部の微小クラッ クによる面板とコアの剥離を防止するアイデアとして、クラックアレスター基本案に対して アレスターの周りに CFRP 綾織材プリプレグを2ply 巻きつけた基本案改を考案してその効果 を破壊じん性試験により評価した。クラックアレスター基本案改の供試体を図 2.3.2-3に示

(18)

す。図 2.3.2-1~図 2.3.2-3において、モードⅠ型負荷形態の供試体幅は 100mm、モードⅡ型 負荷形態の供試体幅は 50mm である。

(19)

表2.3.1-1物性値 E11 [GPa] E22 [GPa] E33 [GPa] ν12 ν23 ν13G12 [GPa] G23 [GPa] G13 [GPa] 備考 CFRP (0,90) Vf=46%54.9 8.61 54.9 0.33 0.052 0.33 3.23 3.23 3.53 CFRP (+45,-45) Vf=46%12.6 8.61 12.6 0.33 0.23 0.33 3.23 3.23 26.1 CFRP (0,90) Vf=56%66.3 8.61 66.3 0.33 0.043 0.33 3.23 3.23 4.24 CFRP (+45,-45) Vf=56%15.1 8.61 15.1 0.33 0.19 0.33 3.23 3.23 31.6 CFRP UD 90 Vf=56%8.61 8.61 127 0.55 0.022 0.022 2.78 4.23 4.23 Resin 4.1 0.33 1.54 Foam core WGF110 0.167 0.18 0.071 1:In-plane longitudinal direction

2: Thickness direction Prepreg layer Foam core

3-ax is is perpendicular to the 1-2 plane

(20)

図2.3.2-1アレスターなしの発泡コアサンドイッチパネル供試体

(21)

図2.3.2-2スプライス兼用型アレスターを有する供試体

(22)

図2.3.2-3クラックアレスター基本案改を有する供試体

(23)

2.3.3 試験供試体の解析

コアスプライス兼用型アレスター試験供試体およびパッドアップ型アレスター試験供試体 のアレスト効果を解析的に確認するために、き裂長さに対するエネルギ解放率(G値)の変化 を求めて、アレスターなしの場合とアレスター有りの場合について比較する。

(1) コアスプライス兼用型アレスター供試体 (a)解析対象

図2.3.3-1に解析対象となる発泡コアサンドイッチパネルを示す。サンドイッチパネルを 構成する各材料は以下の通りである。

・発泡コア材 ROHACELL WF110

・面板 CFRP 綾織りクロス材積層板(積層構成を図2.3.3-1~3中に示す)

・アレスター CFRP 綾織りクロス材積層板(積層構成を図2.3.3-1~3中に示す)

・樹脂 エポキシ樹脂

なお、コアスプライス兼用型アレスター供試体では、発泡コア材を取り囲むようにCFRP あや織りクロス材を1層配置した。

(b)解析モデル

以下にFEM解析の条件を示す。

・解析モデル 図2.3.3-4~5に示す。

発泡コア材とCFRP 積層板の間に樹脂層をモデル化した。

き裂は、発泡コア材と樹脂層の界面にモデル化した。

平面ひずみモデルとした。

・解析の種類 弾性微小変形解析による、き裂に対するG値の算定。

アレスト効果を確認するために弾性微小変形解析とした。

・荷重条件 図2.3.3-5に示す。

・境界条件 図2.3.3-5に示す。

・要素分割 図2.3.3-6~7に示す。

・物性値 表2.3.1-1に示す。

・使用プログラム ABAQUS Ver.6.4.1

・使用要素 CPE8R(8節点・2次・低減積分・平面ひずみ要素)

(24)

・G値算定方法 MCCI(Modified Crack Closure Integral)による。

・解析ケース 表2.3.3-2に示す。

(3)解析結果 モードⅠ型負荷

図2.3.3-8にモードⅠ型負荷に対するG値解析結果を示す。図中の横軸は、アレスター 端部からの距離を供試体長手方向の投影長さで表したものある。また、G値低下率(アレ スト効果)の図において、図の縦軸はアレスターがある場合のG値を同じき裂長さのアレ スターがない場合のG値で除したものである。

モードⅠ型負荷では、荷重一定とすると、いずれのTYPEにおいても、アレスターエッ ジから20mm付近からアレスター無しの場合に比べてG値が低くなり、アレスターエッジを 越えたあたりでG値が最小となり、き裂がスプライスに沿って進展してもG値は変わらず、

き裂が供試体右下(a’=-55mm)に達するとG値は増加する傾向がみられた。

各TYPEを比較すると、き裂が供試体右下に達するまでは、いずれのTYPEもほぼ同じ結 果であり、き裂が供試体右下に達した場合のみ、TYPE2(三角部コア材)が他の2つのT YPEに比べてG値が大きな値となった。

き裂が供試体右下に達した場合にG値が大きくなる原因は以下のように考えられる。き 裂が供試体右下に達するまでは、スプライスと面板に囲まれた領域全体の剛性により、

モードⅠ型の開口モードが抑制され、アレスト効果が得られている。これに対し、き裂 が供試体右下に達した場合は、き裂下側の剛性が無くなることによりモードⅠ型の開口 モードが抑制されなくなり、G値が大きくなる。このため、き裂が供試体右下に達した場 合にはアレスト効果はき裂前方となる供試体右下の三角部の剛性がアレスト効果に対し て支配的になるため、三角部を剛性の低いコア材としたTYPE2のみアレスト効果が小さ くなりG値が大きくなったものと考えられる。

モードⅡ型負荷

図2.3.3-9にモードⅡ型負荷に対するG値解析結果を示す。

モードⅡ型負荷では、荷重を一定とると、アレスターエッジから40mm付近からアレス ター無しの場合に比べてG値が低くなるものの、アレスターエッジ付近でのG値低下率は モードⅠ型負荷の場合に比べ小さく、き裂が供試体右下に達した場合に最も小さなG値と なった。モードⅡ型負荷の場合、モードⅠ型負荷の場合と異なり、き裂が供試体右下に 達した場合でG値が大きくならないのは、図2.3.3-10に示すように、モードⅠ型負荷の場

(25)

ドⅡ型負荷の場合では、き裂面が接触することにより、供試体全体の剛性が保たれるた めであると考えられる。

モードⅠ型負荷とモードⅡ型負荷の比較

モードⅠ型負荷とモードⅡ型負荷について、アレスターエッジでのアレスト効果を比較 すると、モードⅡ型負荷の場合がモードⅠ型負荷の場合に比べて低い結果となった。ただ し、き裂先端が供試体右下に達した場合には、モードⅠ型負荷の場合と同等のアレスト効 果が得られる。

図2.3.3-11にき裂先端がアレスターエッジにある場合のき裂先端近傍の応力分布を示す。

モードⅠ型負荷ではき裂面に垂直方向の応力分布を、モードⅡ型負荷ではき裂面に沿った せん断応力をそれぞれ示す。

モードⅠ型負荷では、き裂先端付近の高応力域は、き裂前方のき裂面垂直方向に広がる。

アレスターがない場合は、き裂長さの増加に伴い、き裂先端の高応力域も大きくなってい ることがわかる。これに対して、アレスターがある場合は、本来高応力域となるき裂前方 のき裂面垂直方向にスプライスが配置されていることにより、スプライス部が応力を受け 持ち、き裂先端の高応力域はアレスターがない場合に比べ小さくなる。これによって、G 値が低下するものと考えられる。

一方、モードⅡ型負荷では、き裂先端の高応力域は、き裂前方方向に広がる。モードⅠ 型負荷の場合と同様に、アレスターがない場合では、き裂長さの増加に伴い、き裂先端の 高応力域も大きくなる。アレスターがある場合は、本来高応力域となるき裂前方にアレス ターとなる部材がなく、高応力域はアレスターがない場合に比べあまり小さくならない。

このため、G値の低下率がモードⅠ型負荷の場合に比べ小さくなっているものと考えられる。

(26)

(+45,-45) 35% 0.38mm (0,90) 35% 0.38mm (0,90) 45% 0.46mm (+45,-45) 45% 0.46mm (+45,-45) 45% 0.46mm 34.32mm(35mm-脂層厚さ×20.34mm樹脂層UD(90)

基準位置 (0,90) 45% 0.46mm(+45,-45) 45% 0.46mm樹脂層 0.34mm (0,90) 45% 0.46mm (+45,-45) 45% 0.46mm 0.34mm 図2.3.3-1コアスプライス兼用型アレスター供試体(TYPE1標準TYPE)

(27)

(+45,-45) 35% 0.38mm (0,90) 35% 0.38mm (0,90) 45% 0.46mm (+45,-45) 45% 0.46mm (+45,-45) 45% 0.46mm 34.32mm(35mm-脂層厚さ×20.34mm樹脂層コア材

基準位置 (0,90) 45% 0.46mm(+45,-45) 45% 0.46mm樹脂層 0.34mm (0,90) 45% 0.46mm (+45,-45) 45% 0.46mm 0.34mm 図2.3.3-2コアスプライス兼用型アレスター供試体(TYPE2 三角部をコア材に変更)

(28)

(+45,-45) 35% 0.38mm (0,90) 35% 0.38mm (0,90) 45% 0.46mm (+45,-45) 45% 0.46mm (+45,-45) 45% 0.46mm 34.32mm(35mm-脂層厚さ×20.34mm樹脂層UD(90)

基準位置 (+45,-45) 45% 0.46mm樹脂層 0.34mm (0,90) 45% 0.46mm (+45,-45) 45% 0.46mm 0.34mm 図2.3.3-3コアスプライス兼用型アレスター供試体(TYPE3スプライス部積層を1層に変更)

(29)

図2.3.3-4 き裂のモデル化

210 210

30 a

供試体幅 :50mm

90 L

き裂長さ :a=50,70,85,90,95,120,145

アレスター端部からの距離 :L=40,20,5,0,-5,-30,-55 1000 N

300 a

供試体幅 :100mm

70 L

き裂長さ :a=30,50,65,70,75,100,125

アレスター端部からの距離 :L=40,20,5,0,-5,-30,-55 100 N

L=40mm L=20mm L=5mm L=0mm

L=-5mm

L=-30mm

L=-55mm き裂進展経路

図2.3.3-5 荷重・境界条件 (a) モードⅠ型負荷

(b) モードⅡ型負荷

(30)

a

図2.3.3-6 FEM要素分割図(TYPE1 標準TYPE)

樹脂層 UD (90)

a部拡大

b部拡大

c部拡大

コア材

コア材

コア材

コア材

コア材

コア材

(31)

UD (90)→コア材に変更

スプライス部 2層 樹脂層

コア材

コア材

樹脂層

樹脂層 UD (90)

スプライス部 2層→1層に変更 コア材

コア材

樹脂層

図2.3.3-7 FEM要素分割図

(TYPE2 三角部をコア材に変更,TYPE3 スプライス部積層を1層に変更)

(a) TYPE2 三角部をコア材に変更

(b) TYPE3 スプライス部積層を1層に変更

(32)

表2.3.3-2 解析ケース

解析モデル 負荷モード き裂長さ

モードⅠ型負荷 き裂長さ :a=30,70,125 アレスター無し

モードⅡ型負荷 き裂長さ :a=50,90,145 モードⅠ型負荷

コアスプライス兼用型アレスター

TYPE1 標準TYPE モードⅡ型負荷 モードⅠ型負荷 コアスプライス兼用型アレスター

TYPE2 三角部をコア材に変更 モードⅡ型負荷 モードⅠ型負荷 コアスプライス兼用型アレスター

TYPE3 スプライス部積層を1層に

変更 モードⅡ型負荷

モードⅠ型負荷

き裂長さ :a=30,50,65,70,75,100, 125

アレスター端部からの距離 : L=40,20,5,0,-5,-3 0,-55

モードⅡ型負荷

き裂長さ :a=50,70,85,90,95,120, 145

アレスター端部からの距離 : L=40,20,5,0,-5,-3 0,-55

(33)

0 100 200 300 400 500

-60 -40

-20 0

20 40

60

アレスターエッジからの距離 a' [mm]

解放率 G [N/mm]

TYPE1(標準)

TYPE2(三角部コア材)

TYPE3(スプライス1層)

アレスタ無し

ター エッ

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2

-60 -40

-20 0

20 40

60

アレスタエッジからの距離 a' [mm]

ネルギ解放率低下率 Gアレスあり/Gアレ

ター エッ L=40mm L=20mm L=5mm

L=0mm L=-5mm

L=-30m

L=-55m き裂進展経路

(a) き裂長さとG値の関係

(b) き裂長さとG値低下率(アレスト効果)の関係 図2.3.3-8 モードⅠ型負荷に対する解析結果

アレスターエッジ

アレスター端部からの距離 L [mm]

アレスター端部からの距離 L [mm]

(34)

0 100 200 300 400 500

-60 -40

-20 0

20 40

60

アレスターエッジからの距離 a' [mm]

解放率 G [N/mm]

TYPE1(標準)

TYPE2(三角部コア材)

TYPE3(スプライス1層)

アレスタ無し

ター エッ

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2

-60 -40

-20 0

20 40

60

アレスタエッジからの距離 a' [mm]

ネルギ解放率低下率 Gアレスあり/Gアレ

ター エッ L=40mm L=20mm L=5mm

L=0mm L=-5mm

L=-30m

L=-55m き裂進展経路

図2.3.3-9 モードⅡ型負荷に対する解析結果 (a) き裂長さとG値の関係

(b) き裂長さとG値低下率(アレスト効果)の関係

アレスターエッジ

アレスター端部からの距離 L [mm]

アレスター端部からの距離 L [mm]

(35)

図2.3.3-10 き裂が供試体右下に達した場合の変形図

コアスプライス兼用型アレスター アレスターなし

モードⅠ型負荷(変形量1倍)

コアスプライス兼用型アレスター アレスターなし

モードⅡ型負荷(変形量3倍)

(36)

図2.3.3-11 き裂先端近傍の応力分布 [MPa]

(a) モードⅠ型負荷

a=30mm a=70mm

アレスターなし

σy σy

σy

σy

a=30mm a=70mm

コアスプライス兼用型アレスター

(b) モードⅡ型負荷

τxy τxy

a=50mm a=90mm

アレスターなし

τxy

τxy

a=50mm a=90mm

コアスプライス兼用型アレスター

(37)

(2) パッドアップ型アレスター供試体 (a)解析対象

図2.3.3-12に解析対象となる発泡コアサンドイッチパネルを示す。サンドイッチパネル を構成する各材料は以下の通りである。

・発泡コア材 ROHACELL WF110

・面板 CFRP あや織りクロス材積層板(積層構成を図2.3.3-12中に示す)

・アレスター CFRP あや織りクロス材積層板(積層構成を図2.3.3-12中に示す)

・樹脂 エポキシ樹脂

(b)解析モデル

以下にFEM解析の条件を示す。

・解析モデル 図2.3.3-13示す。

発泡コア材とCFRP 積層板の間に樹脂層をモデル化した。

き裂は、発泡コア材と樹脂層の界面にモデル化した。

平面ひずみモデルとした。

・解析の種類 弾性微小変形解析による、き裂に対するG値の算定。

アレスト効果を確認するために弾性微小変形解析とした。

・荷重条件 図2.3.3-13に示す。

・境界条件 図2.3.3-13に示す。

・要素分割 図2.3.3.-134示す。

・物性値 表2.3.1-1に示す。

・使用プログラム ABAQUS Ver.6.4.1

・使用要素 CPE8R(8節点・2次・低減積分・平面ひずみ要素)

・G値算定方法 MCCI(Modified Crack Closure Integral)による。

・解析ケース 表2.3.3-2に示す。

(c)解析結果

図2.3.3.-15にG値解析結果を示す。図中の横軸は、パッドアップ中央部からの距離を供 試体長手方向の投影長さで表したものである。

荷重を一定にすると、モードⅠ型負荷では、アレスターがある場合のG値はアレスターがない場 合に比べ低下しており、アレスト効果が確認できた。一方、モードⅡ型負荷では、アレスターがある 場合のG値はアレスターがない場合と同等であり、アレスト効果が確認できなかった。

(38)

モードⅠ型負荷では、高応力となるき裂前方のき裂面垂直方向にパッドアップが配置されている ことにより、パッドアップ部が応力を受け持ち、G値が低下するものと考えられる。一方、モードⅡ型 負荷では、高応力となるき裂前方方向に応力を受け持つ部材が無く、アレスターがない場合と同じ 構造であるため、アレスト効果が得られないものと考えられる。

(39)

(a) モードⅠ型負荷

(b) モードⅡ型負荷

300 a

供試体幅 :100mm

70 L

き裂長さ :a=70

パッドアップ中央までの距離 :L=0 100 N

210 210

30 a

供試体幅 :50mm

90 L

き裂長さ :a=90

パッドアップ中央までの距離 :L=0 1000 N

図2.3.3-13 荷重・境界条件

図2.3.3.-12 パッドアップ型アレスター供試体

(+45,-45) 35% 0.38mm (0,90) 35% 0.38mm

(+45,-45) 45% 0.46mm (0,90) 45% 0.46mm

(+45,-45) 45% 0.46mm

コア材 34.32mm

(35mm-樹脂層厚さ×2)

樹脂層 0.34mm (+45,-45) 35% 0.38mm

(0,90) 35% 0.38mm (+45,-45) 45% 0.46mm

(0,90) 45% 0.46mm

パッドアップ部 (1.52mm)

き裂進展経路

(40)

表2.3.3-2 解析ケース

解析モデル 負荷モード き裂長さ

モ ー ド Ⅰ 型 負

荷 き裂長さ :a=30,70,125 アレスター無し

モ ー ド Ⅱ 型 負

荷 き裂長さ :a=50,90,145 モ ー ド Ⅰ 型 負

き裂長さ :a=70

パ ッ ド ア ッ プ 中 央 部 ま で の 距 離 :L=0

パッドアップ型アレスター

モ ー ド Ⅱ 型 負 荷

き裂長さ :a=90

パッドアップ中央部までの距離 :L=0

樹脂層

コア材 き裂先

図2.3.3-14 FEM要素分割図

(41)

0 100 200 300 400 500

-60 -40

-20 0

20 40

60

パッドアップ中央からの距離 a' [mm]

解放率 G [N/mm]

パッドアップ型アレスター アレスター無し

パッドアップ範囲

0 100 200 300 400 500

-60 -40

-20 0

20 40

60

パッドアップ中央からの距離 a' [mm]

解放率 G [N/mm]

パッドアップ型アレスター アレスター無し

パッドアップ範囲

(a) モードⅠ型負荷

(b) モードⅡ型負荷 図2.3.3-15 き裂長さとG値の関係

パッドアップ中央からの距離:L [mm]

パッドアップ中央からの距離:L [mm]

(42)

(3)まとめ

コアスプライス兼用型アレスターおよびパッドアップ型アレスターについて、き裂長さと エネルギ解放率の関係を求め、アレスターがない場合と比較することで、アレスト効果を確 認した。

コアスプライス兼用型アレスター

荷重を一定として、モードⅠ型負荷、モードⅡ型負荷ともに、アレスターがある場合で は、アレスターがない場合に比べG値が低下し、アレスト効果があることを確認できた。

また、TYPE2(三角部材料をUD90材からコア材に変更)、TYPE3(スプライス部積層を1 層に変更)についてもき裂が進展して供試体の右下に達するまではTYPE1(標準)と同等の アレスト効果があることを確認できた。

パッドアップ型アレスター

荷重を一定として、モードⅠ型負荷に対しては、アレスターがある場合では、アレスタ ーがない場合に比べG値が低下し、アレスト効果があることを確認できが、モードⅡ型負荷 に対しては、アレスターがある場合でも、アレスターがない場合に比べてG値が低下せず、

アレスト効果が確認できなかった。

(43)

2.3.4 破壊じん性試験 (1)試験種類

フォームコアサンドイッチパネルにおける面板とコアの界面の進展抵抗を計測するため の試験を以下に示す。

(a) 双片持ち梁(DCB:Double Cantilever Beam)試験→モードⅠ型負荷形態と称する。

(b) 端面切欠き曲げ(ENF:End Notched Flexure)試験→モードⅠ型負荷形態と称する。

フォームコア単体の進展抵抗を計測するための試験を以下に示す。

(c) コンパクト引張り(CT:Compact Tension Specimen)試験

(2)供試体

(a)供試体材料

供試体に用いた材料を、表2.3.4-1に示す。

表2.3.4-1 供試体材料

材料名 材料仕様 材料メーカー

平織りプリプレグ ①材料名称:QU135-197A 炭素繊維名:UT500 エポキシ樹脂名:#135 繊維目付:190g/m2、Rc=35%

②材料名称:QU135-197A 炭素繊維名:UT500 エポキシ樹脂名:#135 繊維目付:190g/m2、Rc=45%

東邦テナックス

発泡コア ロハセル110WF Rohm社 ポリイミドフィルム カプトンフィルム 東レ・デュポン

(44)

(b)供試体形状

図2.3.4-1~図2.3.4-7に供試体形状を示す。表2.3.4-2に面板に用いるプリプレグの 種類と配向角を示す。モードⅠ型負荷形態供試体の幅は100㎜、長手方向寸法は300mmで ある。一方、モードⅡ型負荷形態供試体の幅は50㎜で、長手方向寸法は610㎜である。初 期き裂として成形時に12.5μmのカプトンフィルム1枚を、供試体端部よりコアと面板の 間に80㎜挿入した。アレスターの端部は、そのフィルム先端より40mmの位置となるよう に成形した。スプライス兼用型アレスターにおけるスプライスと面板の角度は30°であ る。基本案のアレスターの半径は昨年度と同様にR=10mmである。アレスター基本案(R=1 0MM)では、昨年度と異なりアレスター樹脂と発泡コアの間に平織りプリプレグを2ply積 層した。

なお、アレスターなしモードⅡ型負荷形態供試体(面板8ply)は昨年度と同一形状で、

長手方向寸法が300㎜、初期き裂として挿入したカプトンフィルムの長さは100㎜、アレ スターの端部とフィルム先端との距離は20㎜である。

表2.3.4-2 面板に用いるプリプレグの種類と配向角

P1 QU135-197A Rc=35% ±45 P2 QU135-197A Rc=35% 0/90 P3 QU135-197A Rc=45% 0/90 P4 QU135-197A Rc=45% ±45 P5 QU135-197A Rc=45% ±45 P6 QU135-197A Rc=45% 0/90 P7 QU135-197A Rc=45% 0/90

KAPTON Film

Rohasell WFIIO P4 P3 P2 P1

P4 P3P2

300

P1 80

35

図2.3.4-1 アレスターなしモードⅠ型負荷形態供試体

(45)

80

P1 P3 P2

P5 P4 P5 P4 P3 P2 P1 P6 P7

P5

300 40

3530゚

図2.3.4-2 スプライス兼用型アレスター モードⅠ型負荷形態供試体

P4 P3 P2 P1

P4 P3P2

300

P1

80 40

35R10

図2.3.4-3 アレスター基本案(R=10mm) モードⅠ型負荷形態供試体

KAPTON Film

80

Rohasell WFIIO P4 P3P2 P1

P4 P3P2 P1

35

80

620

図2.3.4-4 アレスターなしモードⅡ型負荷形態供試体

(46)

80 P6 P7

P5

40

3530゚

P1 P3 P2

P5 P4

P5 P4 P3 P2 P1 80

40

620

図2.3.4-5 スプライス兼用型アレスター モードⅡ型負荷形態供試体

80 40

R10

P4 P3 P2 P1

P4 P3P2 P1

35

620

80 40

図2.3.4-6 アレスター基本案(R=10mm) モードⅡ型負荷形態供試体

・昨年度と同一形状

・疲労き裂進展試験用

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