16-CICC-A01
平成16年度
中国経済情報基礎概要調査報告書
平成17年3月
財団法人 国際情報化協力センター
序
財団法人 国際情報化協力センター(略称CICC)では、情報化を推進しようとする 海外諸国に対して、その促進を支援、協力することを目的として、各種の情報化協力事業 を実施してまいりました。
特に当財団が重点としている国の一つである中国に関しては、平成10年7月に設置し た(財)日中経済協会内CICC北京事務所において、急速に発展する中国電子情報通信 産業の動向等について積極的に調査活動を行っていますが、2002年(平成14年)の 中国のWTO(世界貿易機構)加盟による中国IT産業への外資企業の参入競争が激しく なる中で、欧米外資企業に対抗すべく我が国の対中国IT戦略を策定するためには、北京 事務所の調査活動が益々重要になってきております。
このような状況の中で、中国のITに関する政策動向や市場動向を的確に判断するため の指標として、中国の政治体制をはじめ経済情勢動向や中長期的な国家経済計画といった 中国国内の経済全般についての概況、また対外的な貿易、投資、国際収支といった対外経 済概況、その他地域経済発展状況や日中経済関係等の動向をも併せて把握しておくことが 重要となってきております。
この報告書は、日本自転車振興会からの補助金を受け、毎年大きな成長を続けている中 国経済の動向等について調査を実施し、その結果を取り纏めたものであります。
本調査の実施にあたってご支援、ご協力を頂いた皆様に深く感謝申し上げますとともに、
この報告書が関係の方々に活用され、情報化協力事業の円滑な推進に資することとなれば 幸いです。
平成17年3月
財団法人 国際情報化協力センター 理 事 長 佐 々 木 元
目 次
第1章 中国経済の動向
Ⅰ.中国一般情勢··· 1
(1)行政方針··· 1
(2)社会の安定性··· 2
(3)行政手腕··· 3
(4)情報公開··· 3
(5)反汚職運動··· 3
(6)投資政策··· 4
(7)財政政策··· 5
(8)通貨政策··· 5
(9)外交政策··· 6
Ⅱ.2004 年マクロ経済 ··· 6
(1)2004 年中国マクロ経済発展状況 ··· 6
(2)2004 年中国産業界の動向 ··· 10
Ⅲ.地域経済発展状況··· 14
(1)中国 6 都市の総合経済力比較 ··· 14
(2)中国 6 都市の産業構造比較 ··· 15
(3)中国 6 都市の就業可能人口比較 ··· 15
(4)中国 6 都市の労働コスト比較 ··· 16
(5)中国 6 都市の科学研究能力比較 ··· 16
(6)中国 6 都市の消費市場比較 ··· 17
(7)中国 6 都市の物価コスト上昇率比較 ··· 17
(8)中国 6 都市の FDI(対外直接投資)比較 ··· 18
第2章 IT 関連産業の動向 Ⅰ.日本と中国における ICT の定義··· 19
(1)中国 ICT と日本 ICT 分野の区分 ··· 19
(2)中国と日本の ICT 分野分類対照表 ··· 20
Ⅱ.中国 ICT 分野の対外開放状況··· 21
Ⅲ.中国 ICT 製造分野における成功例 ··· 22
第3章 中国 ICT 産業政策 Ⅰ.中国 ICT 関連 5 大産業重大ニュース ··· 45
Ⅱ.中国 ICT 関連 5 大産業の政策変化 ··· 48
Ⅲ.中国 ICT 関連 5 大産業が国際競争において直面した主な問題 ··· 53
第4章 中国 ICT 分野における日本
Ⅰ.中国及び欧米 ICT 企業との比較··· 57
(1)日本 ICT 企業と中国及び欧米 ICT 企業との課題比較 ··· 57
(2)中国人から見た日本 ICT ブランドに対する問題点 ··· 59
Ⅱ.課題解決のための提案··· 61
<参考資料> 中国 ICT 関連主要ベンダー概要 民族系企業: ・中興(通信)··· 64
・金蝶(ソフト)··· 69
・TCL(通信・家電)··· 75
・北大方正(ソフト)··· 82
外資系企業: ・シスコシステムズ(通信)··· 89
・エリクソン(通信)··· 94
・東軟(ソフト)··· 99
・マイクロソフト(ソフト)··· 107
第 1 章 中国経済の動向
第 1 章 中国経済の動向
Ⅰ.中国一般情勢 2004 年の胡-温体制動向
2003年3月第10期全国人民代表大会第1回会議(全人代)において胡錦涛国家主席-
温家宝首相の新しい指導体制に移行して2年目の2004年は中国政府の政策に大きな変化が 起きた一年といえる。即ち、これまで経済にのみ大きな比重を置くスタンスから、経済発 展に加え国民の生活保障、社会の安定をも重視する「親民」の姿勢が強調され、あきらか な変化が見られたことである。
1.内政
憲法改正も、2004年3月の新指導体制発足後初の全人代(第2回会議)にて行われ、「三 つの代表」の思想、私有財産制、人権の尊重と保障等が盛り込まれた。
内政面において新指導体制は、基本的には江沢民政権の方針を踏襲しつつ、
i) 党、政府活動内容の公表など政治の透明性向上
ii) 農村問題、失業対策、地域格差解消など社会的弱者対策の重視 iii) 頻繁な地方視察、饗応などを廃止(反腐敗)し実務を重視 といった独自色も打ち出しており着実な政策運営との評価を得ている。
2.外交
全方位外交を踏襲して、更に積極的な展開を進めている。G8との関係構築、上海協力機 構、ASEAN+3, APECなど近隣諸国にとどまらず国際的な枠組みへの取り組みがみられる。
2004年の胡国家主席の外遊も欧州拡大EU、中南米、アフリカと多岐に亘っている。
米国との関係も 4 月のチェイニー副大統領訪中のほか閣僚クラス訪中が続き「建設的協 力関係」を確認した良好な関係に推移している。
日中関係については小泉総理靖国神社参拝への不満等により所謂「政冷」で、課題が累 積しているが、本件は本稿の趣旨ではないのでここでは詳述しない。
3.関係事例研究(9事例)
上述した2004年の変化を事例をあげて考察する。
(1)行政方針:経済強調路線から市民生活の安定を重視する姿勢へ 代表事例:阜陽粉ミルク事件
2004 年安徽省阜陽で、悪質な粉ミルクが市場に出回った結果、多くの乳幼児が栄養不良、
成長不良、免疫力低下に陥り、10 の省、区、市にわたって 229 人の乳幼児が栄養失調、12 人の乳幼児が死亡した。マスコミの報道後、事件を重く見た政府は、国務院の下の国家食 品薬品監督管理局と公安、監察、衛生、品質検査、工商等の部門から成る調査チームを組 織し、事実究明と原因分析にあたらせた。併せて阜陽市に 1 歳以下の嬰児 4 万 9,000 人に
対して無料で身体検査を行うように指示した。また、嬰児を亡くした家庭には慰問金と手 紙を送り、入院した嬰児に対しては医療費を免除した。この事件の処理の終了後、国務院 は全国の地方政府に、悪質ミルク製造販売企業を厳しく取り締まるよう要求した。結果、
差押えられた粉ミルクは 10 万袋以上、不合格粉ミルク販売事件として 39 件が立件され、
47 人が拘留、59 人が留置、31 人が逮捕、203 人が審問を受けた。また国家質検総局は 54 件の悪質粉ミルク製造業者の「ブラックリスト」を公表した。
阜陽市粉ミルク事件収束後、中国政府は現在の食品安全状況は市民生活に大きな不安を 与えていると認識し、この粉ミルク事件をきっかけに、全国の食品安全システム作りに乗 り出した。先ごろ以下の 3 項目の措置を実施した。
①大慶等の 5 都市と穀類等 3 つの業種において食品安全信用システムを設立。試験的運 用を通じて法律による食品メーカーの管理方法を探る。
②食品安全の法システムを整備し、食品衛生法の概念を修正。併せて、農産物品質安全 法の審査とブタ屠殺管理条例を修正。
③食品衛生安全管理システムを設立。『食品安全監管信息発布暫行辧法(食品安全管理情 報公表暫定施行法)』を制定し、食品安全情報員制度、情報通報制度、責任制度、調整 機構を設け、乳製品と野菜類において情報公開を試行。
国家の強力な推進と重要視の結果、2004 年前 3 期において取り締まった食品の違法犯罪 行為は約 28 万件、金額にして 10 億元と、中国の食品安全状況は大きな改善を見せた。中 国消費者協会が先ごろ公表した全国の苦情統計によると、2004 年における食品に関する苦 情は前年に比べて 4.3%減少した。
(2)社会の安定性:下層市民の社会保障政策 代表事例:重慶農民工未払い賃金請求事件
中国は人口 70%以上が農民によって占められるが、一人当たりの耕地面積は小さく、また 農産物の価格が低いため、農民は生活レベルを上げるには都市での出稼ぎ労働に頼らざる を得ない。中国の集約型労働はこのようなコストの安い出稼ぎ農民(農民工)を雇うのだ が、農民工は法律的に保護されていないため、労働後賃金を受け取れないというケースが 少なくない。温家宝首相は 2003 年 10 月重慶を視察した際、農民・熊徳明氏の訴えを聞き 自ら未払い賃金の請求を行った。これにより中国政府は農民工の待遇問題を重く見はじめ、
また全国でも一斉に農民工の賃金のピンはね・未払い・遅延を許さない気風が高まった。
2004 年 3 月、温家宝総理は第 423 号国務院令に署名し『労働保障監察条例(労働保障監 察条例)』を発表、農民への未払い賃金は 2006 年までにすべて清算するよう要求した。『労 働保障監察条例』第 26 条の規定によって、賃金のピンはねや理由もなしの賃金未払い、ま たは支払いの遅延、現地の最低賃金標準を下回る、法に従った経済保障なしに労働契約を 破棄する等の行為が雇用側にあった場合、労働保障行政部門により支払いを命じられ、期 限を過ぎても支払わない雇用主に対しては、支払い金額の 0.5 倍から同額以下を賠償金と して労働者に支払わなければならないとされた。
新『労働保障監察条例』の執行により、農民の利益は強力な保護を得る事になった。2004 年の未払い賃金に関する調査によると、未払い・遅延賃金の一人当たりの額は 3 分の 2 ま でに減少した。大部分の悪意的または長期の農民工賃金未払い行為に歯止めがかかったと 言える。
政府は以前から強調していた「一部の人を先に豊かに」という改革路線を修正し、生活 に障害や困難のある下層市民の生活、就職、医療、教育問題への注目を強調し、社会保障 を提供して社会の安定を図る政策を採るようになったのである。
(3)行政手腕:安全性及び事故等の事後処理を重視
代表事例:中国石油川東北天然ガス田有毒ガス噴出大事故の処理
2003 年 12 月 23 日、中国石油川東北天然ガス田にて不適当な操作からガス爆発事故を引 き起こし、硫化水素中毒で 243 人が死亡、2,142 人が入院、6 万 5,000 人が緊急避難、直接 経済損失は 6,432.31 万元に上った。事故発生後、温家宝首相は国務院常務会議を開き、安 全生産と交通の安全は市民の生命に関わるものとして政府の各機関の注意を喚起した。こ れを受けて、中央政府では 2004 年初め、重慶市開県川東北天然ガス田の「12·23」ガス爆発 大事故の調査終了後、中国石油総公司呉耀文総経理を解任、中国石油と保険会社による補 償以外に国家財政から現地の村民に 5,000 万元の特別補償を提供した。事故発生後、中国 政府は安全生産に関して責任制度を確立、ある幹部の責任範囲内で一旦重大な人身事故が 発生した場合、その幹部は辞職して責任をとらなければならないという規定を制定した。
同時に国務院は安全監査チームを組織し、各地の安全責任制と安全対策の実施状況を監督、
検査を実施した。また、国家安全生産監督管理局は炭鉱に対して『国有煤砿瓦斯管理規定
(国営炭鉱ガス管理規定)』『国有煤砿瓦斯治理安全監察規定(国営炭鉱ガス管理安全監察 規定)』を制定した。
このような措置の実施後、2004 年全国の炭鉱死亡事故は 2003 年に比べて 504 件、死亡者 も 407 人減少、その他同種の鉱業関係事故も 2003 年より 38 件、死亡者は 195 人減少した。
(4)情報公開:情報公開の法制化
例えば、北京市は『北京市道路交通法実施条例』を制定し、2004 年 9 月北京市人大常委 会にて北京交通法実施条例の公聴会を開催した。こうした公聴会制度の完全法制化ととも に、案件審理公開等も制度化されている。
(5)反汚職運動:国営企業民営化に付随する腐敗問題を重視
2004 年、香港中文大学咸郎平教授は、中国富豪が生まれる過程と国営企業の私有化に状 況の研究を通じて、中国の「スター」私有企業は汚職によって不法に国有資産を乗っ取り私 腹を肥やしていると指摘、国営企業の MBO(マネジメント・バイ・アウト=経営陣による企 業買収)をやめるように呼びかけ、中央政府からの大きな注目を集め論争を引き起こした。
中国経済界全体の討論の末、中国国有資産委員会は最終的に咸郎平教授の主張を認め、
2004 年下半期に大型国営企業と国営株式会社における MBO 方式の停止を決定した。
(6)投資政策:マクロ経済調整政策の強化と新たな経済成長方式の模索 具体的に以下の 2 方面にこれらの投資政策が認められる。
①投資の急速増加抑制と有効的なデフレ阻止
投資に依存した経済の高度成長モデルが中国経済に資金不足とデフレ率上昇をもたらす のを恐れ、政府は 2004 年上半期から行政、経済、法律等の手段を総合的に用い、投資に対 してマクロ調整を実施した。農業、金融、投資、土地、炭鉱、電気、郵便等に一連の調整 措置を取り、また原材料や不動産等の方面への投資を強制的に抑制する政策をとった。主 な政策は以下の通りである。
●2004 年 4 月 30 日に公布された『国務院関于深化改革、厳格土地管理的決定(改革の強 化と土地管理厳格化に関する国務院決定)』による土地管理措置の徹底実行。農業地の 建設用地への転用を一時的に禁止。
●一部の中央政府の指示に従わない官吏の罷免。
●中央銀行および国営銀行に、投資案件への貸し付けに対する厳格な審査と融資額の減少 を要求。
代表事例:鉄本プロジェクト中止事件
鉄本公司は中国江蘇省の民営鉄鋼会社で、経済成長がもたらした大量の鉄鋼需要に対応 するため、2003 年数百億元を投資して新鉄鋼工場の建設を決めた。投資規模の大きさから 中央政府のマクロ調整政策に阻まれる事を恐れ、鉄本公司は江蘇省政府との関係を利用し て、中央政府の許可を得ないまま 200 ヘクタールの農地を徴用し地方銀行から融資を受け た。中央政府がこの情報を得た後、国務院による厳格な調査が行われ、その結果鉄本公司 はプロジェクト停止を命じられ破産に追い込まれた。この事件は全国に大きな衝撃を与え るものとなった。
鉄本事件発生後、国務院温家宝総理は国務院常務会議を開き、中央政府の経済調整政策 に従わない地方政府の懲罰を行った。江蘇省に厳格な処罰を指示した結果、江蘇省委員会、
省政府、銀行業監督管理委員会は事件に関係した 8 人の政府と銀行の関係責任者をそれぞ れ職務処罰、鉄本プロジェクトが所在する江蘇省常州市人民大会常務委員会顧黒郎副主任 と楊中市委宦祥保書記を罷免、投資プロジェクトの審査批准を担当した江蘇省発展改革委 員会秦雁副主任の職務を解任、鉄本プロジェクトに資金を提供した中国銀行常州支店王健 国支店長の職務を解任した。この事件を警告と受け止めた各地方政府は、二度と中央政府 のマクロ経済調整政策に逆らわなくなったため、国務院の投資政策は容易に実行できるよ うになった。
②以前より提唱されていた「西部大開発」「東北旧工業基地の振興」にめぼしい成果が得られ ず、2004 年政府は「中部振興」を新しい経済成長の目玉として打ち出した。
国務院温家宝総理は 2004 年 3 月に作成した『政府工作報告(政府活動報告)』の中で、
地域の協調的発展の促進が、中国近代化を進める上で重要な戦略課題であると述べた。さ
らに中部地区の発展促進は、地域の協調的発展の重要な一面であるとも主張した。中部地 区が持つ地理的経済的長所を活かし、農業の近代化、農産物生産基地の建設、基礎設備の 建設に力を入れ、競争力のある製造業とハイテク産業を興し、改革解放と発展の歩みを加 速化し工業化と都市化を目指す。温家宝総理は、東部地区の発展促進は国家の財力、物資 力、科学技術力強化に繋がり、中西部地区発展を援助するものとなるだろうと述べた。そ の特色を活かし産業構造を改善して、より一層開かれた経済を目指すには、まず一定の条 件を持つ地域から基本的近代化の実現を試みる。東・中・西部地区がさまざまな提携関係 を強化し、協調し合いともに豊かな社会を目指すべきだとも述べた。
同報告書の提出後、中国の河南、湖北等中部の省は次々と地方会議を開き、それぞれ中 央政府がこれらの地域を上記の中部振興政策実施の中心地域にするよう希望を表明した。
これをめぐる確執ががまだ引き続いているため、国務院は未だに中部振興政策を具体的に 打ち出せていない。
(7)財政政策:工業・サービス業重視から農業重視路線への移行
2004 年、中国政府は再び農業問題を経済改革の重要な問題に位置付けた。農村への食糧 援助や農業税の免除・軽減、及び優良品種、農業機器購入の補助等の措置をとり、農民の 積極性を促し、彼らの改革における不公平な待遇への不満を打ち消そうとした。2004 年末 までに、農民の収入増加率は 51%の新記録を達成し、10 年来初めて都市住民の収入増加率 を上回った。
(8)通貨政策:利率変動等の市場の原則による金融調整と人民元切り上げ要請の拒否 2004 年、中央銀行は、政府の投資増加抑制のマクロ経済調整政策に対応し、市場が決定 した利率によって通貨の流通量を調整するとした。各金融機関への融資比率を長期にわた る固定制から変動制へ移行させ、各金融機関の資本状況に応じて預金準備率を決める制度
(差別預金準備率制)を打ち出した。これにより全体の預金準備率が上昇した。2004 年 10 月 29 日、9 年ぶりに金利が上げられ、期間一年の貸し出し金利は 0.27%上昇した。金融機 関への融資基準金利を上げた後、人民元融資利率の変動幅の緩和と預金利率を下げる事を 許可し、通貨の信用融資が増加するのを抑えた。このような通貨政策を通じて、中国上層 部の政策に、過去の行政手段を通じて市場をコントロールする方法から、市場の原理に経 済調整をゆだねる方法への転換が認められる。
人民元為替相場:2004 年アメリカと日本が、人民元のレートの低さがもたらす中国輸出 品の低コスト化を解消するために、中国に人民元の変動相場制実施を再三要求したが、中 国側は、FDI(海外直接投資)の中の国際的な投機目的資金が急速に増加するのを懸念し、人 民元変動相場制を実施すれば金融危機を招く恐れがあるとして、切り上げに断固として反 対、ドルに対する固定相場制を維持した。
2004 年ドルの歯止めのかからない値下がりの下、人民元も国際的に更に値を下げた。そ のため輸出が増加して貿易黒字は更に拡大を見せ、2004 年末国家外貨準備高は 6,099 億ド
ル、前年に比べて 2,067 億ドル増加した。
(9)外交政策:国際的影響力の拡大
政府は自国の経済発展に伴う強国化が他国の脅威とはならないことを強調しているが、
アメリカと共同で展開した反テロ運動を機に、中国はアジア地区への影響力拡大を続けた。
とりわけ ASEAN 加盟国との外交関係を重視し、2004 年 11 月広西省で中国-ASEAN 博覧会を 開き、カンボジア、ラオス、ミャンマー等各国首脳も参加し盛況に終わった。
Ⅱ. 2004 年のマクロ経済 マクロ経済の発展と産業界の動向
(1)2004年中国マクロ経済発展状況
2003 年以来、中国は 5 年続いたデフレ期を終え、新たな経済成長期に入った。2004 年度 の中国統計データは 2005 年 3 月に正式発表されるため、本調査で使用する 2004 年の統計 データは中国国家統計局の内部統計データである。2004 年、中国政府は 2003 年からの投資 による経済発展のモデルを変えるため、投資総額を規制する政策を実施し、消費を抑え、
応用技術を活用する事で環境保護に役立つ新しい産業構成を試みた。中国国務院は 2004 年 度経済成長速度が 10%以内に収まる事を望んでいる。2004 年の中国マクロ経済実質成長率 は 10%をはるかに上回っているが、国務院からの指令により、中国国家統計局は統計デー タに対して政治的な修正を加えざるを得ず、このため 2004 年の GDP 成長率は 9.5%となっ た。2004 年中国経済の基本状況は以下の通りである。
①2004 年中国マクロ経済発展状況
経済の全体情勢から見て、2004 年の中国経済は急速な成長を保っており、GDP は 13 兆 6,515 億元で前年比成長率は 9.5%となった。そのうち、第 1 期から 4 期の GDP 成長率はそ れぞれ 9.8%、9.6%、9.1%、9.5%と比較的安定しており、大きな変動はない。財政収入 は急速に成長し、1 月から 11 月の前年度同月より 4,656 億元の増収であった。2004 年の都
指標 単位 2003年 2004年 政府による
調整 GDP 億元 117251.9 136515 ——
GDP成長率 % 14.6 16.4 9.5
インフレーション率 % 4 3.9 ——
財政収入 億元 21715.25 24000 ——
財政収入成長率 % 14.9 10.5 ——
都市部住民の年間平均収入 元 9061.22 9422 ——
農村部住民の年間平均収入 元 1936.01 2936 ——
※ -は調整がないことを表す
2004年中国マクロ経済発展状況
市部住民の可処分所得は 9,422 元と、前年比成長率は 7.7%に達した。一方、農村住民一人 当りの純収入は 2,936 元、その成長率は 6.8%で、1997 年以来成長率の最も高い年となっ た。経済が急速に成長する中で、インフレーション率は 4%以下に保たれ、総合的な経済状 況は良好であると言える。
②2004 年中国経済成長の分析
2004 年の投資、消費、貯蓄の 3 方面より見ると、経済成長を促す最大の原動力は投資で ある事がわかる。しかし、政策による制限の下、投資の増加速度は減速しており、固定資 産投資の成長速度も下向きである。1期で 43%、上半期で 28.6%、1~3 期において 27.7%
成長している。年間固定資産投資額は7兆 73 億元、成長率 25.8%で、前年比から 1.9 ポイ ントの減少である。また、都市部の固定資産投資額は 5 兆 8,620 億元に上り、成長率は 27.6%
で、また農村部の成長率 17.4%であった。マクロ調整により、投資構成は改善されている。
例えば第 1 次産業投資額は前年度の 19.6%減少から 20.3%の成長率に転じ、一方、第 2、
3 次産業はそれぞれ 38.3%、21.6%の成長率に抑えられ、前年よりそれぞれ 8、0.5 ポイン ト減少している。また、2003 年、成長率の高かった非金属鉱物製品業は前年より 38.5%の 減少、黒色金属採掘及び精錬業及び圧延加工業の投資額は前年より 43.5%の減少となった。
一方、農業、エネルギー業の投資は増加している。
中国において急速に投資が増加している中、外資による投資も重要な原動力となってい る。2004 年の 1 年間で、外資企業による中国投資の成長率は 13%に達し、2003 年の成長速 度を大幅に上回った。
2003 年と比べ、2004 年の成長を促した主な要素は中国の消費である。年間消費小売総額 は 5 兆 3,950 億元と、前年比 13.3%の成長を見せた。価格の影響を除いた実際の成長率は 10.2%で、GDP の成長率を上回っている。政府による消費促進政策の効果の現れである。消 費が急速に成長を続ける中、住民消費価格は前年比 3.9%上昇し、上昇幅は前年比で 2.7 ポ イント上昇している。住民の消費価格の上昇は主に前年度の物価上昇の影響を受けている。
指標 単位 2003年 2004年 政府による
調整
製品小売総額 億元 45842 53950 -
製品小売総額成長率 % 9.1 18 -
平均物価指数 % 103 103.9 -
固定資産投資 億元 55566.61 70073 -
固定資産成長率 % 27.7 26.1 25.8
FDI総量 億ドル 535.05 606 -
FDI成長率 % 1.44 13.3 -
銀行貯蓄総額 億元 208056 240525 -
銀行貯蓄総量とGDPの割合 % 177.44 176.2 -
※ -は調整がないことを表す
2004年中国経済成長動力の分析
食品価格は 9.9%、商品小売価格は 2.8%上昇し、また国内需要及び国際原油価格の大幅 上昇の影響を受け、原材料、燃料等第 1 次製品の購買価格が上昇している。
消費及び投資が大幅に成長しているにも関わらず、貯蓄総量の成長が早く、また融資は 政策上の制限を受け、2004 年度の貨幣供給量は予想を下回る事から、インフレーションの 圧力はさほど大きくないと言える。
2004 年末、都市部及び農村部住民による人民元預金額は 11 兆 9,555 億元に上り、前年末 と比べ 1 兆 5,929 億元も増加した。また銀行預金総額は 24 兆 525 億元と、前年比 15.6%の 増加であった。12 月末、全ての金融機関の融資金額(人民元及び外貨含む)は 18 万 9,000 億元で、前年末と比べ 14.4%の成長率であった。うち、人民元は 17 万 7,000 元で、前年度 より 2 万 2,600 億元増加し、成長率は 14.5%で、貯蓄成長率を下回っている。
③2004 年中国経済成長率の産業構成の分析
2004 年度の第 1、第 3 次産業の成長は比較的速い。第 1 次産業は 2 兆 744 億元の増加、
成長率 6.3%で、第 2 次産業は 7 兆 2,387 億元の増加、成長率 11.1%、また第 3 次産業は 4 兆 3,384 億元の増加、成長率 8.3%であった。中でも食糧の高収穫率が経済の好調を主に支 えている。年間食糧生産量は前年比 9%の成長率で、1999 年以来 5 年連続下降という局面 を打破したのである。同時に、第 3 次産業は小売卸売取引業及び飲食業、交通運輸郵政業、
その他のサービス業は比較的成長が速く、これら業界の成長により成長率を 1%上昇させて いる。また、全 4 期における GDP 成長率は再び上昇を始めたのである。
第 2 次産業の生産高も大きく伸びている。年間工業増加額は 6 兆 2,815 億元、前年比 11.5%
の成長を遂げた。年間売上高 500 万元以上の企業による総生産高の成長は 16.7%と、前年 を若干下回る形となった。これら企業の総生産高において、重工業の成長が 18.2%、軽工 業が 14.7%で、マイクロコンピュータ、携帯電話、空調設備等の主要消費電子製品の年間 成長率はそれぞれ 30%を超えている。自動車の年間生産量は 520 万台、その成長率は 14%
に達した。
工業の成長は原材料やエネルギーの消費によるものである。工業が 11.5%の成長を遂げ たのと同時に、2004 年の原炭消費量及び発電量はそれぞれ 15%、14.9%増加した。維鉄、粗 鋼、綱材の消費増加率はそれぞれ 24.1%、23.2%、23.5%の増加で、中国製造業が未だに発展 途上の段階にある事を表していると言える。
2003年 2004年 2003年 2004年 2003年 2004年 産業GDP 億元 17092.1 20744 61274.1 72387 38885.7 43384 GDPに占める割合 % 15% 15% 52% 53% 33% 32%
GDP成長率 % 6% 21% 16% 18% 8% 12%
政府による調整成長率 % —— 6.3 —— 11.1 —— 8.3
※ -は調整がないことを表す
2004年中国産業構成の変化状況
指標 単位 第1産業 第2産業 第3産業
④2004 年中国経済成長における資源の有効利用状況の分析
2004 年及び 2003 年の経済成長データから比較して、2004 年における中国マクロ調整は 経済構造に一定の調整作用を及ぼしている事がわかる。エネルギー消費量は GDP 成長を下 回り、エネルギー利用率は向上した。GDP 成長の過程において最も明確なのはセメントの消 費量が減少した事である。中国政府の不動産及び建設業の縮小に対するコントロールが成 功したと言える。同時に、鉄鋼の需要量が GDP 成長速度を上回っており、中国の経済成長 が未だ製造業に大きく依存している事がわかる。
エネルギー需要問題を解決するため、中国政府は 2004 年、石油戦略備蓄システムの設立 を決定した。
⑤2004 年中国経済発展の主な問題点
2004 年、中国経済は急速な成長を保ったが、一方で矛盾や問題に直面している。
国内経済の主な問題として、農民の増収が困難である事、食糧の生産及び需要バランス の悪化、都市部の厳しい就業状況、市民の収入格差の広がり、投資規模の偏り、部分的業 界及び地域への盲目的な投資、低技術製品の生産拡大現象、資源供給の矛盾、石炭・電力・
石油の不足、物価の上昇、インフレの進行等がある。
国際経済問題として、中国の対外経済発展における国際競争が熾烈化しており、中国の 低価格輸出に対する反発が高まっている。
⑥2004 年の経済発展状況を基礎とした 2005 年度経済動向の予測
中国国家統計局は 2004 年中国経済状況から見て、2005 年の GDP はやはり急速な成長を続 けると思われるが、農業政策の効果により減少している。ガス・電力・石油の不足状態の 改善は難しく、人民元の切り上げ時期は物価不安定要素が多いために、中国経済全体の成 長速度は抑制されるであろう。2005 年 1 月、中国中央財経工作会議にてマクロ経済政策が 確定され、2005 年より貨幣政策及び財政政策が実施される。鉄鋼、セメント、電力等と関 わりの深い業界に対する投資を制限し、固定資産投資の増加を抑制しつつ、一定の柔軟性 を保ちながら投資を規制する。
経済成長の中で消費への要求が強まり、住宅、通信及び自動車等は 2004 年の動向が継続 指標 単位 2003年 2004年 増減率(%)
GDP 億元 117251.9 136515 16.4 固定資産投資 億元 55566.61 70073 26.1 鉄鋼消耗量 億トン 2.22 2.6 17.1 セメント消耗量 億トン 8.62 8.2 -4.9 石炭消耗量 億トン 16.78 19.35 15.3
GDP成長の資源需要に対する合理性の分析
する見込みである。
(2)2004年中国産業界の動向
中国経済が急速に発展した 2004 年、中国産業界の発展は以下のような動向を見せた。
①「世界の工場」としての役割を強める
ICT 産業から見ると、コンピュータ、ディスプレイ、携帯電話、交換機等の製品分野にお いて、中国の生産量は世界でもトップに位置している。世界中のパソコン 3 台のうち 1 台 が中国製の部品を採用している事になる。日本市場にて販売されているパソコンの半数が 中国製で、またアメリカ DELL や IBM 等が日本で販売しているパソコンのほとんどが中国製 である。2004 年、日本が中国より輸入したパソコンは既に 500 万台を突破し、3 年前の約 10 倍にまで増加した。日本市場のほとんどを占めている。中国のカラーテレビの年間生産 量は 6,000 万台を超えており、世界の生産量の 3 分の 1 を占める。これら産業は 2004 年、
世界 ICT 製品関連市場におけるシェアを着実に伸ばし、より多くのグローバル企業が中国 に海外製造拠点を建設する結果となったのである。
②中国企業海外進出の強化が国際的な注目を集める
中国市場で成功を勝ち取った中国企業は、中国におけるグローバル企業との競争だけで は飽き足らなくなり、国際市場に参入し世界規模での競争を展開しようとしている。最も 早い時期に国際市場に参入した中国企業のほとんどは国内の資源を独占している大型国営 企業で、世界各地へ石油、天然ガス、各種鉱産資源、鉄鋼製造、電力等の資源を供給する 事に主に重点を置いた。2004 年、自動車、カラーテレビ等の各種消費製造産業も国際市場 へ参入を開始したのである。
ケース1 CHERY 自動車による国際市場参入
CHERY とは中国の民営企業カーブランドで、社名を奇瑞汽車有限公司という。1997 年に 設立し、現在の自動車年間生産量は 15 万台、中国第 8 位の自動車メーカーである。自社ブ ランドを有する中国自動車メーカー3 社のうち、最も実力を有する企業である。自動車国際 ブランドがこぞって中国の大型国営自動車メーカーと合弁企業を設立し、中国市場シェア を大きく占める中、CHERY は自社開発した自動車と、その自社ブランドにより国際市場へと 参入したのである。2004 年、CHERY は世界 23 カ国から CKD 輸出契約を受注している。その 製品は「風雲」、「旗雲」、「QQ」、「東方之子」等、CHERY 自社にて開発したブランドである。
2001 年 10 月、CHERY は中東への輸出を実現した。2003 年 8 月には、イランと CKD 提携プロ ジェクトを締結、1,200 台以上の自動車を輸出した。これは中国の自動車輸出総量の 90%
を占めた。2004 年 10 月までに、CHERY はイラン等の国々と CKD 及び現地組立方式による提 携を結び、中東地区への 8,000 台以上の自動車輸出を実現した。これは中国の自動車輸出 総量の 80%以上を占めている。2004 年 11 月、CHERY はマレーシア企業の ALADO 社との技術 譲渡及び自動車輸出契約を結び、東南アジア市場への参入を果たしたのである。そして 2004
年末、CHERY は更にアメリカ Visionary Vehicles 社と輸出契約を交わし、アメリカ市場へ の参入を実現した。2007 年までに 5 タイプ、計 27 万台をアメリカへ輸出する予定である。
ケース2 LENOVO による IBM パソコン部門の吸収合併
中国聯想集団(以下、LENOVO)は 2003 年、国際ブランドへと発展するための計画を打ち 出したが、なかなか合理的な実施方法が定まらずにいた。2004 年 12 月 8 日、ついに LENOVO はアメリカ IBM と合併合意書を交わした。契約内容は、LENOVO が IBM のパーソナルコンピ ュータ部門(PCD)を買収するというもので、買収した資産には IBM のノートパソコン、デ スクトップパソコン、及びそれに関連する全業務、またユーザーや販売ルートまでも含ん でいた。“Think”ブランドに関する特許、IBM シンセン合弁企業(X シリーズの生産ライン は含まず)、日本の神奈川県大和市及びアメリカノースカロライナに所有する R&D センター も含め、取引総額は 12 億 5,000 万ドルといわれる。買収の完了後、統一して LENOVO ブラ ンド名が使用される。海外マーケットにおいては、特に欧米市場では、LENOVO は既存の IBM の販売ルート及び製造能力を利用し、LENOVO ブランドは世界第 3 位のパソコンメーカーと なるべく、DELL 及びhpとの競争体制に入ったのである。
ケース3 中国通信設備メーカーの海外市場への参入
中国通信製品製造業は自国市場で成功を収め、既に大きな発展、技術向上を実現した。
2004 年、海外輸出は中国携帯電話産業の中心となり、2004 年第 1 期には波導(BIRD)が 60 万台を、中興(ZTE)が 20 万台以上を輸出し、TCL の海外販売量は 28 万台に上った。通信 設備業において、ZTE の製品は既に 13 カ国に参入しており、国際市場での販売額は倍以上 へと成長を遂げ、契約金額は 6.1 億ドルに上る。将来の 5~6 年間で、ZTE は海外販売によ る収入が 100 億ドルを突破する事を目指しているという。
ケース4 中国通信キャリアの国外市場への参入
2004 年、中国網通(CNC)は、10 億ドルで香港電訊盈科の株式 20%を買収したと発表し た。この取引により、CNC は電訊盈科の第 2 の株主となり、中国の通信キャリアによる初め ての大規模な海外進出を実現したのである。
③アンチ・ダンピング措置から知的所有権へ
中国が WTO へ加盟した後、中国と外国との産業競争はアンチ・ダンピングが主体となっ た。例えば中国カラーテレビに対するアメリカのアンチ・ダンピング措置は、アメリカ市 場参入への大きな障害となった。しかし、中国企業が WTO 規則を理解するに連れ、輸出製 品がハイテク製品へと移行し、産業競争は技術及び特許侵害等による訴訟が主体となって きた。
ケース 1 中国 DVD メーカーと国際 6C 聯盟による特許紛争
中国電子音響工業協会及び動態図像専門家組織と、国際 6C 聯盟組織による MPEGLV に関
する特許訴訟は 2004 年に終了した。協議への最終的な署名はされていないが、特許使用料 に関する商談の余地はもはや少なく、今後中国の DVD メーカーは、最終的には既存の特許 使用料に加え、特許権を有する各企業に対して更に 1 台当たり 2.5 ドルから 22 ドルもの特 許使用料を支払う事となる。これは DVD 機能に関する特許における最後の項目となる。し かしこれはコア技術とまでは言えず、価格競争の激しい中国 DVD メーカーには受け入れ難 い判決である。中国の DVD 年産量は 6,000 万台、うち輸出は 4,500 万台から 5,000 万台に 上る。1 年間の特許使用料は 7 億 2,000 元の計算である。この特許使用料のために、もとは 100 社あった DVD メーカーが 2004 年には 20 社余りに減少した。これにより、特許使用料の 圧力を減らすべく、一部の DVD メーカーは香港の無錫多媒体有限公司に委託してアメリカ で訴訟を起こした。しかしながらどのような判決が下されるかは予想し難い。
ケース 2 SISVEL S.P.A が中国に対し MP3 特許使用料を要求
2004 年下半期より、欧州の特許使用料徴収企業である SISVEL S.P.A が、中国の MP3 技術 に関わる生産メーカーから 1 台当たり 2 ドルの特許使用料の支払いを要求するようになっ た。MP3 以外にも、MP3 機能を持つ DVD 等の AV 製品が徴収対象になっており、特許使用料 未払いの製品は既にイタリア、ドイツの税関にて差し止められている。同時に、2005 年 1 月 1 日よりその他関連製品も特許使用料の支払を義務付ける事を発表した。現在、世界 310 社ほどが SISVEL S.P.A 社に特許使用料を支払っており、その中には宏基、上海パイオニア 電子、上海 SHARP、シンセン科普時代数碼、シンセン易方科技等 26 社の中国企業が含まれ ているという。
ケース 3 INTEL の中国ソフト企業に対する訴訟
2004 年 12 月、INTEL はシンセン市中級人民法院(中級人民裁判所)にて、シンセンの民 営企業であるシンセン市東進通訊技術股フェン有限公司の INTEL 社 SR5.1.1 ソフト「Intel Header files」の無断複製及び発行に対し、著作権侵害で起訴した。INTEL はシンセン東進 に対し、コンピュータソフトの著作権侵害の賠償として 796 万ドルを要求した。この賠償 金額は中国ソフト業界における訴訟の最高額であり、注目を集めた。2005 年 1 月 20 日、シ ンセン法院は INTEL の提供した証拠を下に、シンセン東進の関連製品及び資料を没収し、
現在調査を進めている。
④銀行業に対する改革の強化
外資銀行に対する開放政策に伴い、2004 年、中国銀行業に対してこの 3 年以来最も急速 に改革が実施された。国営独資の中国銀行と中国建設銀行は既に財務システム及び構造の 再編を完了し、交通銀行及び浙商銀行は管理構造の再編を行った。2004 年、中国の銀行 21 行は銀行監督会の要求に基づき、8%資本充足率を達成した。このため、S&P 社は中国銀行 業の外貨評価を BBB から BBB+へと格上げしたのである。
⑤中国自動車業の市場成長速度の低下
中国自動車製造業は、2000 年より 3 年間にわたり 50%以上の成長率を保ってきた。既に 中国経済の重要な支柱産業の一つとなっている。2002 年、自動車製造業界が市場需要に追 いつかず、生産能力を大幅に拡大した。しかし 2004 年に入り、中国市場における需要はに ぶり、11%もの過剰生産を生み出す結果となった。これは自動車製造業に大きな影響を与 えた。
⑥株式市場における情報監督システム
各国の株式市場における中国の上場企業の虚偽情報問題に対し、厳しい監督審査が始ま った。これにより、一部の国外上場する大型中国企業が処罰を受ける事になった。
ケース 1 シンガポール政府による中国航油の取引損害の発覚
シンガポール上場企業の中国航油股フェン公司は、中国政府による大型国営企業-中国航空 油料公司に直属する。親会社の独占的な航空機燃料の輸入特権を利用した利益は多大であ った。2003 年、中国上場企業上位 100 社において第 47 位となると同時に、中国政府による 国営企業の海外市場開拓におけるランキングで、同企業 CEO である陳氏は『アジア経済の 新リーダー』と評された。2004 年、上場企業の情報公開規定が履行されていない状況にお いて、中国航油股フェン公司はシンガポールで石油デリバティブ(金融派生商品)の投機を行 い、5.5 億ドルの損失を出したのである。シンガポール証券管理部門の調査によってこの事 実が発覚し、中国航油股フェン公司は倒産の危機に陥った。CEO もシンガポールで逮捕され、
現在中国政府及びシンガポール政府は同企業の前途について協議を続けている。
ケース2 香港廉潔公署(ICAC)による創維集団董事長の逮捕
創維集団(スカイワース)は香港で上場した中国民営企業である。主にテレビ、DVD 等の 家庭用 AV 製品を製造販売する、家電業界の大手企業である。2004 年、虚偽の財務報告をし たために、香港の株主を騙したとして、香港廉潔公署が黄宏生企業董事長を逮捕するに至 った。現在も取り調べが続けられている。
⑦中国株式市場の 3 年連続下降による民営最大手金融機関の倒産 ケース1 徳隆集団の倒産
徳隆集団は中国最大の民営金融投資会社であった。中国国内上場企業 3 社、及び 200 社 に及ぶ各種メーカーを傘下に置く。多くの証券会社、信託会社、地方商業銀行等の株式を 有し、総資産は 300 億元を超える。2003 年度中国上場企業上位 100 社中第 61 位である。2004 年、株価が長期にわたり値下がり、徳隆集団の資産は縮小し、加えて中国政府による政策 により銀行融資が停止され、徳隆集団は倒産に至った。それに伴い中国の多くの民営投資 会社が倒産し、国内金融システムに大きなダメージを与えた。
⑧中国沿岸部における低コスト労働力不足による生産コストの上昇
近年来の国際的低価格競争は、大量の低コストの労働力によるものである。東部沿岸地 域における住民の収入は上昇を続ける一方で、工場労働者の収入は 10 年間変化していない。
2004 年、農業及び工業労働者の利益を確保する政策措置が中国政府により強調されるに連 れ、アメリカは中国輸出製品の製造工場で働く労働者の福利が規定を満たされている事を 要求するようになった。これにより、中国沿岸地域の工場による生産コストが上昇を始め たのである。一方、珠江デルタ地帯では低賃金の労働者達がより賃金の高い地域へと移動 するため、労働力不足の現象に陥っている。
Ⅲ.地域経済発展状況 主要地域の経済発展
2004 年、中国の各地域における経済発展は目覚しい成果を得ている。山東半島の各都市 は経済発展に湧いており、西部大開発と東北旧工業基地振興も計画どおりに実施されてい る。特に京津冀(北京・天津・河北)地域、長江デルタ地帯、珠江デルタ地帯の三大経済 地域の一体化政策は全面的に推し進められており、更にその競争力の向上と経済的地位を 強化している。日本の中国各地域に対する注目度に基づき、北京、上海、広州、大連、西 安、重慶をそれぞれの地域の代表的な都市として挙げ、各地域の経済発展情況について述 べる。
(なお、2004 年の統計データがまだ発表されていないため、本項では 2004 年末発表の各都 市の 2003 年統計データをもとにして、6 つの主要都市の経済状況を比較研究していく)
(1)中国6都市の総合経済力比較
3612
940
2250 6251
3467
1633
0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000
北京 上海 広州 大連 西安 重慶 都市
GDP(億元)
中国6都市の経済状況
6 都市の比較を通してみると、上海の経済力は明らかに他の都市を上回っている。北京と 広州が依然として 2 位と 3 位につけているが、上海とはかなりの水を開けられている。一
方、西部地域の都市の経済力は明らかに東部地域に大きく差をつけられており、6 都市の中 で西北に位置する西安の経済力が最も低くなっている。
(2)中国6都市の産業構成比較
中国6都市の産業構成
1445
3126
444 974 1494 782
447 704 929
1869 3025
2218
0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000
北京 上海 広州 大連 西安 重慶 都市
GDP(億元)
第3次産業 第2次産業
6都市の第2次、第3次産業構造の比較情況から見ると、北京、広州はサービス業が主と なっており、製造業が経済的に占める割合は比較的少ない。上海、西安、重慶及び大連で は製造業の比重がいくらか高くなっているが、サービス業との差は大きくなく、経済構造 が製造業を主とする形態からサービス業を主とする都市型経済形態へと転換していると見 られる。
(3)中国6都市の就業可能人口比較
中国6都市の就業可能人口
703 808
538
145
403
1726
0 500 1000 1500 2000
北京 上海 広州 大連 西安 重慶 都市
就業人口
(万人)
日本における高齢化に伴う労働力不足の情況と異なり、中国の大部分の地域では労働力 が豊富にある。その中でも重慶は 3,000 万の人口を有しており、人口の最も多い都市とい うだけではなく中国で最も労働力が豊富な都市とも言える。また、労働コストも 6 都市中 最も低い。大連は人口が比較的少ないため、6 都市中労働力は最も少なくなっている。
(4)中国6都市の労働コスト比較
中国6都市の労働力コスト
24045
13504 12425 22160
17561 28273
0 5000 10000 15000 20000 25000 30000
北京 上海 広州 大連 西安 重慶 都市
人民元/年
中国 6 都市の中での労働コスト分布情況と就業可能人口はいくらか相応していないとこ ろがあり、広州が最も高く、次いで北京となっている。東部の沿海都市に比べると、西部 にある西安と重慶の労働コストが比較的低い。
(5)中国6都市の科学研究能力比較
中国6都市の科学研究能力
257326
104712
61566 178875
81153
31584 0
50000 100000 150000 200000 250000 300000
北京 上海 広州 大連 西安 重慶 都市
科学研究 従事者数(人)
科学研究人材の総数から見ると、北京は中国で最も科学研究能力を備えた都市であり、
また 6 都市の中で最も科学研究発展の可能性を有している都市とも言える。先進的な科学
研究の利を持つ事から、北京は既に中国で最大の科学研究中心的都市となっており、135 社 もの大手グローバル企業が北京に研究開発センターを構えている。上海の研究開発センタ ーの数が 40 にも満たない事から見ても、北京の科学研究能力は明らかに優勢である。大連 は大学と研究機関の数が比較的少ないため、6 都市の中では科学研究能力が最も低い。
(6)中国6都市の消費市場比較
中国6都市の消費市場比較
1917
2221
1494
568 440
836
0 500 1000 1500 2000 2500
北京 上海 広州 大連 西安 重慶 都市
小売総額
(億元)
上海は中国で最も経済力を有する都市であるだけでなく、最大の消費市場を抱える都市 でもある。その他の都市の市場消費能力は、基本的にそれぞれの経済力に対応しており、
西安は 6 都市の中で経済力が最も低いだけでなく、やはり消費能力も最低となっている。
(7)中国6都市の物価コスト上昇率比較
中国6都市の物価コスト上昇率
99
97.4
100
99.5 98.2
97.7
96 96.5 97 97.5 98 98.5 99 99.5 100 100.5
北京 上海 広州 大連 西安 重慶 都市
物価指数(%)
西安と重慶の消費総量は高くないが、商品の需給関係の問題により、物価指数が 6 都市 の中で最も高くなっている。その中でも西安の物価コストの上昇率は最も高く、広州は最
も低い。
(8)中国6都市のFDI(対外直接投資)比較 中国6都市のFDI比較
39.6
16 30.6
2.6 21.5
5.7 0
5 10 15 20 25 30 35 40 45
北京 上海 広州 大連 西安 重慶 都市 FDI(億ドル)
6 都市の FDI 情況比較を通して見ると、上海と広州が最も多く対外直接投資(以下、FDI)
を受けており、大連の FDI は北京の水準に迫っているが、西部に位置する重慶と西安はと もに低い。FDI の情況に対応して、上海と広州の経済の FDI 依存度は他のどの都市よりも高 くなっており、上海の経済成長率において外資への依存度は 70%にも達する。
現在、中国に直接行われている国外企業の投資の 85%以上が東部の沿海地域に集中して いる。1983 年から 2002 年の間に、各地域で実際に国外企業を通してなされた直接投資及び その他の投資の中で東部地域はその 87.84%を占めている。中部地域は 9.09%、西部地域 は 3.07%で、つまり中西部地域はわずか 12.16%を占めるに過ぎない。中国では実質的に 投入されている国外からの投資の 70%以上が長江デルタ、珠江デルタ地帯及び環渤海湾地 域の 3 大コア地域に集中している。
第2章 IT 関連産業の動向
第2章 IT 関連産業の動向 IT 関連企業の動きのケーススタデイ
Ⅰ.日本と中国における ICT の定義
本章以下において中国IT関連産業について調査分析結果を報告していくが、まず「IT」
という名称については中国において一般的に使用されている「ICT」を使用している。さら に今回調査の中で中国における「ICT」の範疇定義、分類が、日本のそれと完全には一致し ていない事が明らかになってきた。
本稿ではまず日本と中国におけるそれぞれの ICT の定義を比較した上で、今回の研究対 象分野を確定した。
(1)中国ICTと日本ICT分野の区別
ネットワ ークデー タサービ ス業
半導体製造業
ITデジタル製品製造業
通信運営業
通信設備製造業
ソフトウェ ア業
半導体 デジタル家電(以下の家電は含ま
ず:
冷蔵庫、エアコン、洗濯機)
パソコン製造
デジタルネット サービス 非電信ISP、ICP
ソフトウェア 通信ソフト 通信幹線ネット
電信サービス
通信設備製造
電信サービス(電信運営、付加価値サ ービスISP、ICP)
通信分野(通信基礎幹線ネットワー ク、通信端末、
及び関連ソフトウェアとサービス)
情報処理(コンピュター/サーバーなど関 連するハードウェア、ソフトウェア及びサ
ービス)
中国
日本
(2)中国と日本のICT分野分類対照表
日本政府分類 中国政府分類
大分類 中分類 小分類 小分類 中分類 大分類
郵便業
電信電話業 移動体通信業 通信業
電気通信付帯 サービス業
通信運営業
郵電通信 サービス業
ソフトウェア 製造業
ソフトウェア 製造業 情報
サービス業 情報処理・提供 サービス業 相互ネットワーク付帯
サービス業
ネットワーク データ サービス業
情報 サービス業
ICT サービス業
公共放送業 民間放送業 放送業
有線放送業 情報通信業
(ICT)
映像・音声・文字情報製造業
放送業 メディア
サービス業
電子部品、デバイス製造業 電子部品と デバイス製造業
通信設備製造 電子設備製造業
電子と 通信設備
製造業
工業
(ICT 分野)
製造業
情報通信機器製造業
家電製造業 (デジタルテレビ、AV)
電気機械製 造業
工業 (非ICT分野)
Ⅱ.中国 ICT 分野の対外開放状況
中国 ICT 分野の対外開放状況
中国業界/項目 外資進出の可否 日本から進出した代表的ケース
通信運営 × ——
通信設備製造 ○ 天津 NEC の交換設備
ネットワークデータサービス ISP 領域 以外なら許可
4-LINK の中国での 3D 設計通信教育事業の展開 IT 製品とデジタル製品製造 ○ 広州における CANON の DC 生産
半導体 ○ 首鋼 NEC
ソフトウェア ○ 日立軟件上海公司
家電 ○ 広東での JVC
家庭映画館設備の生産
×は外資進出不可を意味する。○は対外開放を意味する。
中国 ICT 分野の業界分類は日本と異なり、政策策定部門や管理対象も異なる。外資の中 国 ICT 分野進出における現状を正確に反映するため、今回の調査は中国の業界分類に基づ いて進めた。外資は中国の情報通信分野に進出できないため、家電分野に含まれるICT に 関する内容は比較的少ない。よって今回の日本及びその他の外資企業の中国ICT分野進出 に関する研究は、中国における以下 5 つの産業を調査対象とした。即ち、ネットワークデ ータサービス(ICT とその他のネットワーク利用サービスを含む)、電子設備製造(パソコ ン、ネットワーク端末、デジタル製品)、ソフトウェア製造、通信設備製造、電子部品製造
(半導体IC)である。
Ⅲ.中国 ICT 製造分野における成功例
今回の研究では、ICT 製品製造、情報通信製品製造、IC 設備製造、IC 製造、ソフトウェ ア製造分野における成功例 8 ケースを挙げて分析する。内訳は欧米企業 3 ケース、中国企 業 3 ケース、日本企業 2 ケースとなる。それぞれのケースの実情と今後の課題は、以下の 表のように要約できる。
長 期 的 発 展 モ デ ル
市 場 ニ ー ズ に 適 し た 製 品
開 発 能 力
市 場 ユ ー ザ ー の 定 義
低 コ ス ト
宣 伝 方 法
ブ ラ ン ド イ メ ー ジ
パ ー ト ナ ー
販 売 ル ー ト
政 府 関 係
ア フ タ ー サ ー ビ ス
資 金
1
華 旗 に よ る MP3 と モ バ イ ル メ モ リ 市 場 シ ェ ア の 獲 得
IT製 品
製 造 分 野 ● ● ● ●
2
長 城 計 算 機 シ ン セ ン 股 フェン有 限 公 司 に よ る IP- TVの 発 展
IT製 品
製 造 分 野 ● ● ● ● ●
3 BOE、 中 国 TFT- LCD市 場 に 参 入
IT製 品
製 造 分 野 ● ● ● ●
4
東 電 電 子 、 中 国 半 導 体 装 置 分 野 で 市 場 拡 大 へ
IC設 備
製 造 ● ● ● ● ● ●
5
エ プ ソ ン 、 中 国 イ ン ク ジ ェ ッ ト プ リ ン タ 市 場 を 独 占
IT製 品
製 造 分 野 ● ● ● ● ● ●
6
マ イ ク ロ ソ フ ト 海 賊 版 対 策 を 変 更 、 中 国 で 独 占 的 地 位 を 固 め る
ソ フ ト
開 発 ● ● ● ● ●
7
ノ キ ア 、 製 品 改 革 と 販 売 戦 略 転 換 で 中 国 携 帯 市 場 シ ェ ア ア ッ プ
通 信 設 備
製 造 ● ● ● ● ●
8
INTEL中 国 WAPI 標 準 を 採 用 せ ず Centrinoチ ッ プ の 販 売 を 確 保
IC製 造 ● ● ●
中 国
日 本
欧 米
中 国 、 日 本 、 欧 米 ICT企 業 の ケ ー ス に お け る 課 題 総 括
NO 企 業 別 国
ケ ー ス 名 ICT分 野
直 面 す る 課 題
ケース1 〈華旗〉による MP3 とモバイルメモリ市場シェアの獲得
(1)企業紹介
北京華旗資訊数碼科技有限公司(以下、華旗と称す)は 1993 年に北京市中関村に設立し たハイテク企業である。〈華旗〉は連続 10 年安定した売上高 60%の成長率を保っており、
北アメリカ、ヨーロッパ、東南アジア等の地域にも販売している。従業員数は 1,200 人余 り、高品質のハード・ソフトウェア製品の研究開発に携わるエンジニア 200 人を含む。中 国国内のセールスシステムは全国範囲に及ぶ。
ISO9001 や UKAS を取得しており、また北京、シンセンに R&D センター、デザインセンタ ーを有する。同社の製品も中国国家経済貿易委員会から「国家重点新製品賞」を多数受賞 している。
〈華旗〉は中国では有名なコンピュータブランド「愛国者(aigo)」のメーカーで、コン ピュータの外部ケース、メモリ、デジタル、ネットワーク、新事業の 5 大分野を中心に業 務を行っている。企業ユーザー、個人ユーザー、DIY ユーザー向けの外部ケースには CRT、
LCD ディスプレイ端末、キーボード等の関連製品も含まれる。業界、企業ユーザー向けのメ モリにはフラッシュディスク等、オフィス向け、個人エンターテイメント等のデジタル業 務には MP3、ブルートゥース無線通信等、オンラインアクセスや企業ユーザー向けのネット ワーク業務には光ファイバー交換機、インテリジェント交換機、IP ルータ、無線ネットワ ーク等が含まれる。先端科学技術製品を新興する新事業にはフラット型パソコン、e-ビジ ネス、デジタルセキュリティ等が含まれる。
(2)ICT 市場進出の背景
1993 年、〈華旗〉は中関村に 1 軒の店舗を構え、店内には机 1 台があるのみで、代理販売 製品(パソコン本体とキーボード)も 1 タイプしかなかった。〈華旗〉の創始者馮軍氏は当 初中関村で製品販売を行っており、「馮 5 元」と呼ばれていた。これは、利益が 5 元出るな らその値段で売るという意味である。
初めの 3 年間は、〈華旗〉は中関村の電子市場で商売を行い、キーボードやディスプレイ の代理販売を行っていた。ローエンドユーザーを対象にした商売であったが、なかなか良 好で、代理販売する製品に「小太陽」というブランド名を付けた。こうして中関村では「小 太陽」ブランドのキーボード等のパソコン関連製品が有名になり、ついにはある程度の市 場シェアを持つようになった。更に製品を拡充し、安定した実力と強力なパートナーを得 た。こうして 4 年も経たないうちに代理店から自社ブランドを有するまでに成長したので ある。
1996 年、同社はディスプレイの国際ブランド「MAG」製品の代理を始め、同時に自社ブラ ンド「愛国者」製品も発売した。こうして、同社の業界における位置付けは全面的に向上 した。1996 年から 2000 年までの 4 年間、馮軍氏の「代理と自社ブランドの共同発展」の思 想の下、全国に 20 社余りの会社を設立し、その名は 200 都市以上に知れ渡った。また、DIY 分野で「愛国者」は良質、安価のブランドとして確立した。2000 年、〈華旗〉は当初関心度