ENAA2008-情 1
平成 20 年度
エンジニアリング産業分野における 高度メンテナンス支援のあり方に関する
調査研究報告書
メンテナンスにおける設備信頼性確保のための技術 動向とメンテナンスビジネス展開について
平成21 年3月
財団法人 エンジニアリング振興協会
こ の 事 業 は 、競 輪 の 補 助 金 を 受 け て 実 施 し た も の で す 。
http://ringring-keirin.jp/
序
本 報 告 書 は 、 財 団 法 人 JKA よ り 機 械 工 業 振 興 資 金 の 補 助 を 受 け て 、 財 団 法 人 エ ン ジ ニ ア リ ン グ 振 興 協 会 が 平 成 19 年 度 お よ び 20 年 度 事 業 と し て 行 っ た 「 エ ン ジ ニ ア リ ン グ 産 業 分 野 に お け る 高 度 メ ン テ ナ ン ス 支 援 の あ り 方 に 関 す る 調 査 研 究 」 の 成 果 を 取 り ま と め た も の で す 。
金 融 危 機 に 端 を 発 し た 世 界 レ ベ ル の 経 済 悪 化 は 、 こ れ ま で 順 調 に 推 移 し て き た 我 が 国 の 企 業 収 益 の 先 行 き を 不 透 明 な も の と し 、 そ れ 故 、 日 本 経 済 の 景 況 感 を 急 速 に 悪 化 さ せ る 傾 向 に あ り 、 各 社 と も 生 き 残 り を か け た 変 革 に 取 り 組 み 始 め て い ま す 。
一 方 、 我 が 国 の 石 油 精 製 を 始 め 石 油 化 学 等 の 業 界 に お い て も こ の 変 革 の 一 環 と し て 、 既 設 の 設 備 等 に 対 し て 、 こ れ ま で 以 上 に 長 期 連 続 運 転 の 安 全 性 お よ び 定 修 時 の 保 全 等 に 関 連 す る 高 度 メ ン テ ナ ン ス の 必 要 性 が 求 め ら れ て い ま す 。
こ の よ う な 情 勢 の 中 で 、 当 協 会 で は こ の 数 年 間 新 し い メ ン テ ナ ン ス の あ り 方 に つ い て 、い く つ か の 視 点 か ら 調 査 研 究 を 重 ね て き ま し た 。20 年 度 は 設 備 信 頼 性 を 高 め る た め に 欧 米 の 大 手 プ ラ ン ト オ ー ナ ー や 関 連 業 界 が 具 体 的 に ど の よ う な 取 組 み を 行 っ て い る か 、 そ の な か で 特 に リ ス ク マ ネ ジ メ ン ト 技 術 が ど の よ う に 活 用 さ れ て い る か 、 な ど の 海 外 訪 問 調 査 を 実 施 し て 深 掘 り を 行 い 、 我 が 国 の メ ン テ ナ ン ス 高 度 化 に む け て の 方 向 性 を 示 唆 す る 試 み を 行 い ま し た 。
メ ン テ ナ ン ス 技 術 は 、 日 本 の 誇 れ る モ ノ づ く り を 支 え る 技 術 の ひ と つ で す が 、 従 来 に も 増 し て 技 術 力 並 び に 評 価 能 力 等 の 要 素 技 術 の 向 上 を 目 指 す と 共 に 、 最 新 の 欧 米 の 動 向 を 踏 ま え 、 戦 略 性 を も っ て 将 来 に 亘 り 日 本 の メ ン テ ナ ン ス 技 術 を 世 界 に 発 信 し て い く 必 要 が あ る と 考 え ま す 。 し か も メ ン テ ナ ン ス 単 独 の 最 適 化 か ら 、 環 境 問 題 、 総 合 エ ネ ル ギ ー 問 題 ま で 含 め た ラ イ フ サ イ ク ル の 視 点 で 最 適 化 を は か る べ き 時 代 の 要 請 を 受 け て お り 、 そ こ に エ ン ジ ニ ア リ ン グ 企 業 の 使 命 が あ る も の と 思 わ れ ま す 。
最 後 に 、 こ の 事 業 に ご 協 力 い た だ い た 関 係 各 位 に 対 し 心 か ら 謝 意 を 表 す る と と も に 、 本 報 告 書 の 成 果 が プ ラ ン ト オ ー ナ ー の 保 全 関 係 、 お よ び エ ン ジ ニ ア リ ン グ 企 業 の 事 業 拡 大 な ど に 多 少 な り と も 示 唆 、 指 針 を 与 え る こ と が で き る こ と を 切 望 す る 次 第 で す 。
平 成 2 1 年 3 月
財 団 法 人 エ ン ジ ニ ア リ ン グ 振 興 協 会 会 長 増 田 信 行
目 次
頁 第 1 章 概 要 と 経 緯
1 . 1 調 査 研 究 の 目 的 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 1 . 2 調 査 研 究 の 概 要 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2 1 . 3 経 緯 と 背 景 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 3
第 2 章 海 外 の メ ン テ ナ ン ス 動 向 調 査
2 . 1 設 備 信 頼 性 確 保 の た め の 技 術 動 向 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 7 2 . 2 欧 米 化 学 会 社 の 動 向 調 査 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 1 2 . 3 欧 米 エ ン ジ 会 社 の 動 向 調 査 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2 1 2 . 4 欧 米 リ ス ク 評 価 関 連 会 社 の 動 向 調 査 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2 8 2 . 5 保 険 関 連 会 社 で の 化 学 会 社 へ の リ ス ク 評 価 状 況 の 調 査 ・ ・ ・ 3 3
第 3 章 国 内 の メ ン テ ナ ン ス 動 向 調 査
3.1 日 本 の リ ス ク ベ ー ス ・ メ ン テ ナ ン ス に 向 け た 活 動 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 3 9 3.2 日 本 の 石 油 化 学 会 社 が 海 外 進 出 し た 場 合 の 事 例 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 46 3.3 政 府 の 経 済 協 力 に お け る メ ン テ ナ ン ス の 実 績 や 今 後 の 可 能 性 ・ ・ 48 3.4 そ の 他 の 日 本 に お け る メ ン テ ナ ン ス に 関 わ る 動 向 の 情 報 源 ・ ・ ・ 50
第 4 章 今 後 の 展 望 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 53
第 5 章 ま と め ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 57
資 料 編
資 料 1 欧 州・米 国 海 外 調 査 入 手 資 料 ・・・・・・・・・・・・・・ 63 資 料 2 欧 州 ・ 米 国 海 外 調 査 で の 日 本 側 か ら の プ レ ゼ ン 資 料 ・ ・ ・ ・ ・ 97 資 料 3 日 本 の メ ン テ ナ ン ス 動 向 の 参 考 情 報 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 127
平 成 20 年 度
高 度 メ ン テ ナ ン ス 支 援 検 討 委 員 会 名 簿
< 委 員 会 >
委 員 長 中 原 正 大 旭 化 成 エ ン ジ ニ ア リ ン グ ㈱ 委 員 川 野 浩 二 出 光 エ ン ジ ニ ア リ ン グ ㈱ 委 員 峯 昌 紀 新 日 本 石 油 ㈱
委 員 石 丸 裕 住 友 ケ ミ カ ル エ ン ジ ニ ア リ ン グ ㈱
委 員 柴 崎 敏 和 千 代 田 ア ド バ ン ス ト ・ ソ リ ュ ー シ ョ ン ズ ㈱ 委 員 井 上 明 彦 東 洋 エ ン ジ ニ ア リ ン グ ㈱
委 員 山 本 勝 美 日 揮 ㈱ 委 員 宮 澤 正 純 三 菱 化 学 ㈱
委 員 河 村 泉 ㈱ J I P M ソ リ ュ ー シ ョ ン 委 員 長 尾 健 東 京 海 上 日 動 火 災 保 険 ㈱ 協 力 者 河 村 幸 二 ㈱ 東 レ 経 営 研 究 所
オ ブ ザ ー バ ー 國 友 宏 俊 経 済 産 業 省 製 造 産 業 局 産 業 機 械 課 国 際 プ ラ ン ト 推 進 室 オ ブ ザ ー バ ー 和 泉 章 経 済 産 業 省 製 造 産 業 局 産 業 機 械 課 国 際 プ ラ ン ト 推 進 室 オ ブ ザ ー バ ー 末 森 洋 紀 経 済 産 業 省 製 造 産 業 局 産 業 機 械 課 国 際 プ ラ ン ト 推 進 室 オ ブ ザ ー バ ー 高 井 久 美 子 経 済 産 業 省 製 造 産 業 局 産 業 機 械 課 国 際 プ ラ ン ト 推 進 室
事 務 局 吉 野 惠 一 (財 )エ ン ジ ニ ア リ ン グ 振 興 協 会 業 務 部 事 務 局 加 藤 哲 郎 (財 )エ ン ジ ニ ア リ ン グ 振 興 協 会 業 務 部 事 務 局 百 崎 和 博 (財 )エ ン ジ ニ ア リ ン グ 振 興 協 会 技 術 部 事 務 局 佐 藤 誠 一 (財 )エ ン ジ ニ ア リ ン グ 振 興 協 会 技 術 部
第 1 章 概 要 と 経 緯
1.1 調 査 研 究 の 目 的
我 が 国 の 石 油 、 石 油 化 学 、 化 学 、 電 力 、 環 境 な ど の プ ラ ン ト は 高 度 成 長 時 代 に 建 設 さ れ て 三 十 年 以 上 を 経 過 し た も の が 多 く 、 設 備 劣 化 の 進 行 が 問 題 に な っ て き て い る 。 ま た 生 産 現 場 に お け る 2007 年 問 題 に よ る 熟 練 者 の 退 職 と 世 代 交 代 は 、 事 故 増 加 に つ な が り か ね な い と 早 く か ら 警 鐘 が 鳴 ら さ れ て い た が 、 こ こ 数 年 の 事 故 統 計 デ ー タ に よ る と 、 そ の 危 惧 は 現 実 の も の と な っ て き て い る 。 さ ら に プ ラ ン ト の 設 備 安 全 、 環 境 安 全 な ど の 安 全 を 求 め る 社 会 ニ ー ズ が 増 大 し て き て お り 、 プ ラ ン ト の 設 備 の 高 度 な メ ン テ ナ ン ス の 重 要 性 は さ ら に 高 ま っ て き て い る 。
こ れ ら の 状 況 を 踏 ま え 、こ れ ま で に エ ン ジ ニ ア リ ン グ 振 興 協 会 で は 、「 構 造 物 長 寿 命 化 高 度 メ ン テ ナ ン ス 技 術 開 発 」、「 産 業 基 盤 ・ 社 会 基 盤 の 維 持 管 理 高 度 化 に 関 す る 調 査 研 究 」、「 産 業 ・ 社 会 資 本 構 造 物 に お け る メ ン テ ナ ン ス 情 報 活 用 に 関 す る 調 査 研 究 」 な ど 、 メ ン テ ナ ン ス に 関 す る 様 々 な 調 査 研 究 を 実 施 し て き た 。
前 年 度 の 当 委 員 会 で は 、 欧 米 プ ラ ン ト オ ー ナ ー の O&M マ ネ ジ メ ン ト 、 欧 米 エ ン ジ 企 業 の メ ン テ ナ ン ス サ ー ビ ス の 取 組 状 況 、 日 本 の 石 油 化 学 会 社 が 海 外 進 出 し た 場 合 の 課 題 、 欧 米 の メ ン テ ナ ン ス 関 連 の 学 会 、 協 会 、 団 体 、 保 険 会 社 の 各 役 割 、 日 本 の リ ス ク ベ ー ス ・ メ ン テ ナ ン ス に 向 け た 活 動 お よ び プ ラ ン ト オ ー ナ ー の O&M 現 場 技 術 者 の 人 材 育 成 な ど に つ い て の 調 査 を 行 っ た 。
今 年 度 は 、 設 備 信 頼 性 を 高 め る た め に 欧 米 の 大 手 プ ラ ン ト オ ー ナ ー が 具 体 的 に ど の よ う な 取 組 み を 行 っ て い る か 、 リ ス ク 評 価 会 社 が 本 領 域 で ど の よ う な ビ ジ ネ ス を 実 施 し て い る か 、 お よ び 保 険 会 社 の 対 応 な ど の 海 外 訪 問 調 査 を 実 施 し て 深 掘 り を 行 っ た 。 こ れ に よ り 、 我 が 国 の メ ン テ ナ ン ス 高 度 化 に む け て の 方 向 性 を 示 唆 す る こ と を 試 み た 。
お り し も 米 国 の 金 融 危 機 に 端 を 発 し た 世 界 の 未 曽 有 の 経 済 危 機 は 、 我 が 国 に も 深 刻 な 影 響 が 出 始 め て お り 、 各 社 と も 生 き 残 り の た め の 改 革 に 着 手 し て い る 。 こ う し た 必 死 の 努 力 が 功 を 奏 し た と し て も 、 回 復 ま で に ま だ 複 数 年 は か か る と み ら れ て い る 。 ま た 、 中 東 等 で の 天 然 ガ ス を 原 料 と す る 大 型 化 学 プ ラ ン ト の 稼 動 も あ り 、 化 学 業 界 の 構 造 変 化 も 想 定 さ れ て い る 。 さ ら に 、 何 年 も 前 か ら 顕 在 化 し て き て い た 地 球 環 境 の 悪 化 や 、 資 源 ・ エ ネ ル ギ ー の 枯 渇 問 題 と 合 わ せ て 解 決 し て い か ね ば な ら な い こ と か ら 、 今 後 の 世 界 経 済 の 枠 組 み は 、 こ れ ま で の も の と 大 き く 変 わ る こ と が 予 想 さ れ る 。 化 学 産 業 お よ び エ ン ジ ニ ア リ ン グ 産 業 も そ の 例 外 で は な い 。
各 社 の 事 業 戦 略 に 関 わ る こ と は 、 本 調 査 研 究 の 対 象 外 で あ る が 、 共 通 し て 言 え る こ と は 「 新 規 プ ラ ン ト 建 設 よ り も 、 既 設 の 維 持 管 理 強 化 に よ る 安 全 ・ 安 心 の 確 保 と 延 命 」 の 課 題 の 重 要 性 だ け は 変 わ ら な い こ と で あ ろ う 。
本 報 告 書 は 、 海 外 調 査 に 重 点 を お い て い る が 、 こ れ は 欧 米 の 技 術 動 向 を 参 考 に 、 我 が 国 の プ ラ ン ト の 信 頼 性 を 更 に 確 か に す る こ と と 、 そ れ を 支 援 す る エ ン ジ ニ ア リ ン グ 産 業 の 業 務 拡 大 を 目 的 と す る も の で あ る 。
1.2 調 査 研 究 の 概 要
平 成 20 年 度 は 、 下 記 に つ い て 調 査 研 究 を お こ な っ た 。
1 ) 設 備 信 頼 性 確 保 の た め の 技 術 動 向 ( 2.1 章 )
欧 米 の プ ラ ン ト オ ー ナ ー お よ び エ ン ジ ニ ア リ ン グ 会 社 な ど の プ ラ ン ト 関 連 業 界 が 、 設 備 信 頼 性 確 保 を め ざ し て 、 と く に リ ス ク マ ネ ジ メ ン ト 技 術 を 中 心 と し て ど の よ う な 取 組 み を お こ な っ て い る か を 調 査 し た 。
2 ) 欧 米 化 学 会 社 の 動 向 調 査 ( 2.2 章 )
大 手 化 学 お よ び 石 油 会 社 BASF(ド イ ツ )、 Shell Global Solutions( 以 下 SGS、
オ ラ ン ダ )、 DuPont( 米 国 )、 ExxonMobil Chemical( 米 国 )、 Chevron( 米 国 ) を 訪 問 し 、RBI、RBM な ど の リ ス ク マ ネ ジ メ ン ト の 手 法 を メ ン テ ナ ン ス に ど の よ う に 活 か し て い る か を 調 査 し た 。
3 ) 欧 米 エ ン ジ 会 社 の 動 向 調 査 ( 2.3 章 )
エ ン ジ ニ ア リ ン グ 会 社 と し て O&M ビ ジ ネ ス に 最 も 力 を 入 れ て い る と い わ れ て い る Fluor(米 国 )を 訪 問 し 、 取 り 組 み 状 況 を 調 査 し た 。 ま た 昨 年 度 実 施 し た 数 社 の 公 開 資 料 か ら の 調 査 の サ マ リ ー と 、 若 干 の 考 察 を 付 加 し た 。
4 ) 欧 米 リ ス ク 評 価 関 連 会 社 の 動 向 調 査 ( 2.4 章 )
リ ス ク 評 価 シ ス テ ム に よ る サ ー ビ ス と コ ン サ ル タ ン ト の Lloyd’ s Resister(英 国 )、 Lloyd’ s Resister Capstone( 以 下 LRC、 米 国 ) 、 DNV( ノ ー ル ウ ェ ー ) を 訪 問 し 、 ど の よ う な サ ー ビ ス を 展 開 し て い る か を 調 査 し た 。
5 ) 保 険 関 連 会 社 で の 化 学 会 社 へ の リ ス ク 評 価 状 況 の 調 査 ( 2.5 章 )
化 学 プ ラ ン ト の 事 故 に 対 す る リ ス ク を ど の よ う に 評 価 し 、保 険 に 反 映 し て い る か を 調 査 す る た め に 、世 界 中 の リ ス ク が 集 ま り 国 際 的 な 保 険 取 引 が 行 わ れ て い る ロ ン ド ン の 保 険 マ ー ケ ッ ト に お け る 保 険 会 社 、保 険 ブ ロ ー カ ー の リ ス ク 評 価 方 法 等 に つ き 調 査 し た 。
6 ) 日 本 の リ ス ク ベ ー ス ・ メ ン テ ナ ン ス に 向 け た 活 動 ( 3.1 章 )
( 社 )日 本 高 圧 力 技 術 協 会 (HPI)が 実 施 し て い る リ ス ク ベ ー ス・メ ン テ ナ ン ス に か か わ る 調 査 研 究 活 動 を 中 心 に 紹 介 し た 。
7 ) 日 本 の 石 油 化 学 会 社 が 海 外 進 出 し た 場 合 の 事 例 ( 3.2 章 )
シ ン ガ ポ ー ル に て 多 く の 企 業 へ の 検 査 ・ 補 修 サ ー ビ ス を 実 施 し て い る テ ク ノ ス タ ッ フ 社 か ら の 報 告 を 受 け 、 日 本 か ら 東 南 ア ジ ア に 工 場 進 出 し て い る 企 業 の メ ン テ ナ ン ス の 状 況 に つ い て 調 査 し た 。
8 ) 政 府 の 経 済 協 力 に お け る メ ン テ ナ ン ス の 実 績 や 今 後 の 可 能 性 ( 3.3 章 ) PPP を 中 心 と す る 海 外 経 済 協 力 を 例 に 調 査 し た 。
9 )そ の 他 の 日 本 の メ ン テ ナ ン ス に 関 わ る 諸 団 体 の 動 向 に つ い て 、公 表 さ れ て い る 情 報 源 を リ ス ト ア ッ プ し た ( 3.4 章 )。
1 0 ) 今 後 の 展 望 ( 4 章 )
こ れ ま で の 調 査 検 討 を ふ ま え て 、 今 後 の エ ン ジ ニ ア リ ン グ 振 興 協 会 と し て 取 り 組 む 課 題 と 方 向 性 に つ い て の 展 望 を こ こ ろ み た 。
1.3 経 緯 と 背 景
当 協 会 で は 我 が 国 の 新 規 設 備 投 資 が 縮 小 傾 向 に あ る 中 で 、 既 存 設 備 の 効 果 的 な 維 持 管 理 、 す な わ ち メ ン テ ナ ン ス の 重 要 性 が 増 す 可 能 性 が あ る と し 、 エ ン ジ ニ ア リ ン グ 産 業 に と っ て の ビ ジ ネ ス チ ャ ン ス も 拡 大 す る 、 と の 認 識 に 立 ち 、 平 成 16 年 よ り メ ン テ ナ ン ス 関 連 テ ー マ の 研 究 を 重 ね て き た 。
1 ) 石 油 ・ 石 油 化 学 プ ラ ン ト の 設 備 管 理 に お け る 動 向
顧 客 で あ る 化 学 プ ラ ン ト オ ー ナ ー は 、 エ ン ジ ニ ア リ ン グ お よ び メ ン テ ナ ン ス 会 社 に 対 し て 、 ① 安 全 ( 産 業 事 故 防 止 ) に 、 ② 設 備 管 理 の 低 価 格 で 、 ③ 長 寿 命 化 を 求 め て お り 、 そ の 要 請 に 応 え る た め に は 、 ① 診 断 技 術 ( 長 寿 命 化 ) 、 ② リ ス ク 評 価 技 術 、 ③ 一 括 契 約 ・ 請 負 方 式 、 ④ ア セ ッ ト マ ネ ー ジ メ ン ト 、 ⑤ 情 報 共 有 化 、 ⑥ I T 利 用 技 術 な ど の 技 術 の 修 得 が 必 要 と な る 。
ま た 、 製 造 現 場 で の プ ラ ン ト オ ー ナ ー は 、 ① 技 術 者 の 少 数 精 鋭 化 ・ 効 率 化 ( 世 代 交 代 抜 か り な く ) 、 ② メ ン テ 技 術 の 高 度 化 ( 経 済 性 と リ ス ク の バ ラ ン ス 、 リ ス ク の 低 減 化 ) 、 ③ 情 報 氾 濫 の 適 正 化 を 図 り た い 、 な ど の ニ ー ズ が あ る と 認 識 さ れ る 。
2 ) こ れ ま で の ENAAに お け る 活 動
上 記 認 識 に 基 づ き 、「 ENAA 高 度 メ ン テ ナ ン ス 戦 略 構 築 分 科 会 」 を 設 置 し 、化 学 プ ラ ン ト 関 連 業 界 と し て 5 - 1 0 年 後 を 目 指 し た 高 度 メ ン テ ナ ン ス 実 現 に む け て 、 次 の よ う な 課 題 に つ い て 検 討 を お こ な っ て き た 。
(1) メ ン テ コ ア の 設 置
・ コ ン ビ ナ ー ト 特 区 で の 実 績 構 築 ( → 他 国 内 外 の 現 場 へ の 適 用 )
・ プ ラ ン ト オ ー ナ ー と 共 に エ ン ジ 、 重 工 、 メ ン テ 専 業 な ど の 人 材 の 有 効 活 用 (2) 一 括 メ ン テ 市 場 の 開 拓
(3) 発 注 者 側 ・ 受 注 者 側 の win‐ win 的 プ ロ ジ ェ ク ト Incentiveの 明 確 化 (4) メ ン テ ナ ン ス 高 度 化 支 援 セ ン タ ー の 設 置
・ 国 内 外 を 対 象 に し た 技 術 者 、 技 能 者 ( 現 場 向 け ) の 育 成
・ 大 学 教 育 へ の 企 業 プ ロ の 参 画
・ 情 報 共 有 セ ン タ ー 機 能 (産 業 事 故 防 止 の Key‐ Technology)
(5) ヒ ヤ リ ハ ッ ト デ ー タ の 収 集 ( win‐ win的 取 扱 い ) (6) 海 外 メ ン テ ナ ン ス の 実 態 調 査
(7) 法 規 制 ( 保 安 検 査 法 ほ か ) 、 プ ラ ン ト オ ー ナ ー ( 自 己 ) の 責 任 お よ び 保 険 制 度 の 関 係
(8) プ ラ ン ト 安 全 ・ 安 心 へ の ガ イ ド ラ イ ン 策 定
こ れ ま で の 調 査 で 、ENAA の 立 場 で こ う し た テ ー マ の 具 体 的 な 実 現 は 容 易 で は な い が 、そ の 中 で も そ の 効 果 と 実 現 可 能 性 に つ い て 、委 員 会 に て 議 論 を 重 ね て き た 。
3 )当 委 員 会 の 活 動
当 委 員 会 で の 平 成 19 年 と 今 年 度 の 活 動 項 目 の 一 覧 を 示 す 。
大 分 類 項 目 H19 年 度 H20 年 度
海 外 動 向 調 査
オーナー企 業 の O&M マネジメント ○ ◎ 海 外 訪 問 調 査 含 む エ ン ジ 企 業 O&M 取 組 み ○ ○ 海 外 訪 問 調 査 含 む
関 連 諸 団 体 の 動 向 ○ ―
保 険 問 題 △ ◎ 海 外 訪 問 調 査 含 む
国 内 動 向 調 査
メンテナンス業 務 の アウトソーシング ○ ―
自 主 保 安 の 実 施 状 況 ○ ―
リスクベース・ メンテナンスに 向 け た 活 動 △ ○ 人 材 育 成 O&M 現 場 技 術 者 の 人 材 育 成 ○ ―
△ 予 備 調 査 、 ○ 調 査 実 施 、 ◎ 重 点 調 査 、 ― 調 査 せ ず
H19 年 度 は 公 開 情 報 を も と に 広 範 囲 に 調 査 実 施 し 、H20 年 度 は 海 外 訪 問 調 査 を 含 め て 焦 点 を し ぼ り 調 査 を 実 施 し た 。
4 ) 情 勢 の 変 化 ( 逆 風 と 追 い 風 ) こ の 数 年 、 と く に 昨 年 度
の 世 界 を 襲 っ た 経 済 危 機 は 我 が 国 に も 深 刻 な 影 響 を 及 ぼ し 始 め て い る 。 こ の 予 想 外 の 急 激 な 変 化 の 一 方 で 、 我 が 国 で 何 年 も 前 か ら 警 告 を 発 せ ら れ て い た 2007 年 問 題 に 代 表 さ れ る 世 代 交 代 が 原 因 の 一 部 で は な い か と み ら れ て い る 事 故 が 、 残 念 な が ら 予 想 通 り 増 加 し て き て い る 。
と く に 近 年 、 軽 微 な 漏 え い 事 故 だ け で は な く て 、 爆 発 に つ な が る 重 大 事 故 が 増 え て き て い る 。
経 営 環 境 を 取 り 巻 く 変 化 に よ り 、 画 一 的 な 経 費 節 減 の 一 環 と し て 保 全 費 用 が 削 減 さ れ 、 安 全 問 題 に 大 き な 影 響 が で な い よ う に 配 慮 す る こ と が 必 要 と な る 。 メ ン テ ナ ン ス の 高 度 化 と
出 典 :消 防 特 第 115号 平 成 19年 8月 28日
石 油 コ ン ビ ナ ー ト 等 特 別 防 災 区 域 内 の 特 定 事 業 所 に お け る 事 故 防 止 体 制 の充 実 強 化 について
は 、 そ の コ ス ト を 増 大 さ せ る こ と で は な い 。 む し ろ 科 学 的 な 手 法 を 用 い て コ ス ト を 下 げ な が ら 、 安 全 性 を キ ー プ も し く は 高 め て い こ う と す る も の で あ る 。 次 に 述 べ る RBI(Risk Based Inspection)と は 、 ま さ に そ う し た コ ン セ プ ト に 基 づ く 手 法 で あ る 。
5 ) プ ラ ン ト ・ ラ イ フ サ イ ク ル
EPC+O&Mを 核 と し て プ ラ ン ト・ラ イ フ サ イ ク ル を と ら え る の が 一 般 的 で あ る が 、 最 近 で は さ ら に 上 流 側 の Plannning や FEED の 段 階 、 お よ び 下 流 の 既 存 設 備 の 改 良 改 造 段 階 へ の 提 案 に 力 を 入 れ て い る エ ン ジ ニ ア リ ン グ 企 業 も 多 く 、 こ の 点 が メ ン テ ナ ン ス を 事 業 の 一 環 に 取 り 組 む 意 義 に な っ て い る 。
プ ラ ン ト の 安 全 性 確 保 の た め に も 、「 で き 上 が っ た 設 備 を い か に 安 全 に 運 転・保 全 す る か 」 と い う よ り 、 設 計 段 階 で 十 分 考 慮 さ れ て お れ ば 、 運 転 ・ 保 全 の 負 担 が ず い ぶ ん と 軽 減 さ れ る こ と は 周 知 の 事 実 で あ る 。OSHA/PSM の 基 本 思 想 も こ の
“Safety through design” を 掲 げ て い る 。
6 ) メ ン テ ナ ン ス ・ マ ネ ジ メ ン ト の 科 学 的 手 法
近 年 、 欧 米 を 中 心 に リ ス ク 評 価 を 基 に し た 論 理 的 、 科 学 的 な 手 法 が 開 発 さ れ 、 利 用 さ れ て き て お り 着 実 な 成 果 を あ げ て い る よ う で あ る 。 我 が 国 で も 先 進 的 な 企 業 で は リ ス ク 評 価 が 浸 透 し つ つ あ る が 、 そ の 適 用 範 囲 や 利 用 の 深 さ お よ び 産 業 界 で の 認 知 度 と い う 点 で は 、 ま だ 不 十 分 で あ る 。
そ の 手 法 と し て リ ス ク マ ネ ジ メ ン ト に 基 づ く RBI や RBM(Risk Based Inspection お よ び Maintenance)が 代 表 例 で あ り 、こ れ に つ い て は 今 回 の 欧 米 海 外 調 査 の 主 要 テ ー マ と し て と り あ げ 、 そ の 要 点 を 次 節 で 紹 介 す る 。
ま た そ の 他 の 科 学 的 手 法 と し て 、 稼 動 中 の 設 備 の 材 料 劣 化 や 損 傷 の 度 合 い を 評 価 し 継 続 使 用 の 可 否 を 判 断 す る FFS(Fitness For Service) も 、 よ う や く 我 が 国 で も 導 入 さ れ る よ う に な っ て き た 。
こ う し た 手 法 は 、 こ れ ま で 欧 米 発 の も の が 多 か っ た が 、 近 年 我 が 国 に お い て も オ リ ジ ナ ル の 提 言 や 開 発 も 登 場 し て き て い る 。
第 2 章 海 外 の メ ン テ ナ ン ス 動 向 調 査
2.1 設 備 信 頼 性 確 保 の た め の 技 術 動 向
欧 米 の プ ラ ン ト 関 連 企 業 の 設 備 信 頼 性 向 上 に む け て の 取 組 み の 我 が 国 と の 違 い の ひ と つ は 、 ボ ト ム ア ッ プ 的 な 現 場 の 改 善 か ら で は な く て 、 ト ッ プ ダ ウ ン 的 ・ 論 理 的 な コ ン セ プ ト を う ち た て て 現 場 に 下 ろ し て い く や り か た の よ う で あ る 。 そ の 論 理 的 な 手 法 の 代 表 が リ ス ク マ ネ ジ メ ン ト の 適 用 で あ る 。 も う ひ と つ の 特 徴 は 、こ う し た コ ン セ プ ト を 一 社 一 社 の 努 力 に 任 せ て お く だ け で は な く て 、 業 界 基 準 を 作 り 上 げ 、 世 界 の 標 準 を リ ー ド し よ う と い う 戦 略 で あ る 。
2.1.1 リ ス ク マ ネ ジ メ ン ト
1 ) リ ス ク マ ネ ジ メ ン ト が 適 用 さ れ て き た 背 景
プ ラ ン ト メ ン テ ナ ン ス の 大 き な 目 標 は 、 設 備 信 頼 性 の 確 保 に よ る 生 産 活 動 の 維 持 と 安 全 性 の 向 上 で あ る 。 そ の 論 理 的 な 手 法 と し て 、 欧 米 を 中 心 と し て RBM(Risk Based Maintenance)、RBI(Risk Based Inspection)、RCM(Reliability Centered Maintenance:信 頼 性 中 心 保 全) な ど の 手 法 が 開 発 さ れ て き た 。 こ れ ら は 、過 去 の デ ー タ に 基 づ く 統 計 学 、 確 率 論 を 発 展 さ せ た も の で あ る 。
次 の よ う な 背 景 か ら RBI が 使 わ れ る よ う に な っ た 。
2 ) 人 と デ ー タ が 要
プ ラ ン ト メ ン テ ナ ン ス に リ ス ク マ ネ ジ メ ン ト が 適 用 さ れ 始 め て 、 即 効 果 が 出 始 め た わ け で は な い 。 Chris Ablitt( 文 献 右 図 参 照 )に よ る と 、こ の 研 究 は80年 代 か ら 開 始 さ れ 、90年 代 か ら バ ー レ ー ン の 石 油 会 社BAPCOな ど の 一 部 の 先 進 ユ ー ザ に よ り 実 際 の プ ラ ン ト に 適 用 さ れ 始 め た が 、 最 初 の こ ろ は 評 価 が 得 ら れ な か っ た 。 し か し そ の
・ プ ラ ン ト 設 備 の 経 年 劣 化
・ 熟 練 運 転 員 の 退 職
・ 設 備 使 用 限 界 ぎ り ぎ り の 運 転
・ 設 備 安 全 の 要 請 の 高 ま り
・ 近 年 の 事 故 発 生 の 増 加
・ 保 全 業 務 の 増 大
・ リ ス ク の か な り の 比 率 は 、一 部 の 設 備 に 限 定 で き 、高 リ ス ク 設 備 に 検 査 を 重 点 化 し 、低 リ ス ク の も の は 省 略 で き る
・RBI で 体 系 的 に コ ス ト 低 減 可 能
出 典 :w w w. n d t . n e t - 3 r d M E N D T - M i d d l e E as t N o n d e s t r uc t i v e T e s ti n g C o n f e r e n c e & E x h i bi t i o n - 2 7 - 3 0 N o v 2 0 0 5 B a h r a i n , M a n a m a
時 の 試 行 錯 誤 の 努 力 が 、2000年 代 に は い り 、 実 を 結 び 花 が 開 く 時 期 を 迎 え る 。RBIは 確 率 統 計 学 の 理 論 に 基 づ い て い る の で 、 信 憑 性 の あ る デ ー タ が 必 須 で あ り 、 ま た そ れ を 推 進 す る チ ー ム と チ ー ム リ ー ダ お よ び 適 切 な 解 析 ツ ー ル の 存 在 が 重 要 で あ る 、 と 指 摘 し て い る 。
3 ) 支 援 ツ ー ル
次 の よ う な シ ス テ ム や ツ ー ル を 使 っ て 、 も し く は そ れ ら を 統 合 化 し て 、 信 頼 性 向 上 や メ ン テ ナ ン ス 改 善 を 支 援 し て い る 。
- Reliability Centered Maintenance (RCM) - Failure Mode and Effect Analysis (FMEA) - Root Cause Failure Analysis (RCFA) - Preventive/Predictive Maintenance (PPM) - Life Cycle Cost Analysis
- “The Manufacturing Game©”
- UPtime metrics and Upbase© software - UPtime Excellence self-assessment
- Shutdown Readiness Assessments トヨタの方 式 を参 考 にしている - Shutdown Extension and Effectiveness
- Reliability and Maintenance for Leadership (RML) training
4 ) 経 営 ト ッ プ の 理 解
リ ス ク と メ ン テ ナ ン ス の 概 念 を 経 営 ト ッ プ に 理 解 さ せ る に は 工 夫 が 必 要 で あ る 。 あ る 化 学 会 社 で は“ unknown risk kills people” と い う 言 葉 を 強 調 し て い た 。 ま た 会 社 全 体 の ポ リ シ ー と し て は 、 RC( レ ス ポ ン シ ブ ル ケ ア ) 活 動 の 一 環 で あ る こ と で 理 解 が 得 や す い 、 と の サ ジ ェ ッ シ ョ ン も あ っ た 。 化 学 会 社 の 経 営 ト ッ プ の 間 で は RC は 、 経 営 キ ー ワ ー ド の ひ と つ と し て 広 く 認 識 さ れ て い る 。 こ れ は 日 本 含 め て 世 界 共 通 の 認 識 に な っ て い る 。
2.1.2 標 準 化 の 推 進
プ ラ ン ト メ ン テ ナ ン ス に 関 わ る 標 準 は 、そ の タ ー ゲ ッ ト で あ る 安 全 問 題 と 深 く 結 び 付 い て い る 。今 回 の 海 外 調 査 で も 、こ う し た 規 格 ・ 基 準 が プ ラ ン ト 業 界 の 設 備 管 理 や 安 全 の 規 範 と し て 深 く 根 付 い て い る こ と が 随 所 で 確 認 さ れ た 。 そ れ と 、そ の 規 範 作 り に 大 手 化 学 会 社 自 ら が リ ー ド し て い る 姿 に 接 す る こ と が で き た 。
我 が 国 の プ ラ ン ト 関 連 産 業 界 は 、こ う し た 世 界 標 準 を リ ー ド す る 点 に お い て 、諸 外 国 に 取 り 残 さ れ た 感 が あ る が 、と く に 今 後 の グ ロ ー バ ル 競 争 の 中 で 発 展 し て い く た め に は 、彼 ら の 戦 略 と 手 法 を 理 解 し た う え で 、独 自 の 戦 略 を う ち た て て い く 必 要 が あ る 。
標 準 化 の 動 向 に つ い て は 、当 協 会 昨 年 度 の 報 告 に 詳 し く 紹 介 し て あ る の で 、こ こ で は 若 干 の 補 足 と サ マ リ ー の み を 紹 介 す る 。
1 ) プ ロ セ ス 安 全
機 械 安 全 と プ ラ ン ト 安 全 と の 特 徴 的 な 差 は 、 多 数 の 機 器 や 部 品 が 複 雑 な 配 管 ネ ッ
ト ワ ー ク で つ な が っ た 、 い わ ゆ る プ ロ セ ス と し て と ら え る こ と に あ る 。 プ ロ セ ス 安 全 に 関 わ る 世 界 標 準 と し て は 、 米 国 の OSHA/PSM と ヨ ー ロ ッ パ の HSE/COMAR が 代 表 で あ ろ う 。
2 ) OSHA/PSM
米 国 労 働 省 管 轄 の 労 働 安 全 衛 生 局 ( OSHA : Occupational Safety & Health Administration) の 出 し て い る Process Safety Managenment の 法 規 制 で 、 以 下 の よ う な 化 学 ・ 石 油 関 連 の 各 種 機 関 と 連 携 の も と に 運 営 さ れ て い る 。
American Chemical Society (ACS)
American Chemistry Council (ACC)
American Petroleum Institute (API) 米 国 石 油 協 会
Center for Chemical Process Safety (CCPS, a Technical Alliance of the American
Institute of Chemical Engineers) 米 国 化 学 工 学 会 の サ ブ 組 織
The Chlorine Institute (CI)
National Petrochemical and Refiners Association (NPRA)
Synthetic Organic Chemical Manufacturers Association (SOCMA)
United States Environmental Protection Agency (EPA) 米 国 環 境 省 の 環 境 保 護 局
EPA の 発 行 す る リ ス ク マ ネ ジ メ ン ト・プ ロ グ ラ ム( RMP)は 、OSHA/PSM が プ ラ ン ト 内 部 の 安 全 を 対 象 と し て い る の に 対 し て 、 プ ラ ン ト 外 部 へ の 地 域 社 会 へ お よ ぼ す 災 害 を 対 象 と す る も の で あ る 。 こ の OSHA/PSM の 規 則 作 成 に DuPont な ど の 大 手 化 学 会 社 が 、 指 導 的 役 割 を 果 た し て い る 。
3 ) COMAR
英 国 の 安 全 衛 生 庁 ( HSE: Health & Safety Executive) が 発 行 す る 法 令 で 、 そ れ ま で に あ っ た Control of Industrial Major Accident Hazards Regulations 1984 (CIMAH) を 置 き 換 え て COMAH(Control of Major Accident Hazards Regulations ) と し て 1999 年 に 発 行 し た 。 本 規 制 は 主 と し て 化 学 産 業 を 対 象 と し て い る が 、 貯 蔵 タ ン ク 、 爆 発 性 危 険 物 、 核 物 質 そ の 他 の 危 険 物 に 対 し て も 適 用 さ れ る 。
4 ) API の RBI
リ ス ク ベ ー ス ド・イ ン ス ペ ク シ ョ ン は API が ベ ー ス に な っ て い る 。API は 石 油 業 界 だ け で は な く プ ラ ン ト に 携 わ る エ ン ジ ニ ア に と っ て 、広 く 知 ら れ て い る 協 会 で あ り 、メ ン テ ナ ン ス の 領 域 で も 多 く の 規 格 や ガ イ ド ラ イ ン の 世 界 の 規 範 を 作 り 上 げ て い る 。
次 の 図 は 、 検 査 を 含 め て メ ン テ ナ ン ス に 関 わ る 代 表 的 な API ド キ ュ メ ン ト に つ い て 、 そ れ ら の 関 係 も 含 め て 表 し た も の で あ る 。
メ ン テ ナ ン ス に 関 わ る 代 表 的 な API
ISO 14224 は 、 も と も と ヨ ー ロ ッ パ の 石 油 会 社 で つ く る 団 体 OREDA ( Offshore Reliability Data) プ ロ ジ ェ ク ト が 、 プ ラ ン ト 設 備 の 信 頼 性 デ ー タ と 保 全 デ ー タ の 収 集 お よ び そ の デ ー タ 交 換 の た め の 標 準 を 国 際 規 格 と し て 提 案 し て い た も の で 、2006 年 に 正 式 規 格 と し て 発 行 さ れ た 。 API 689 は 、 こ れ を API と し て 発 行 し た も の で あ る 。
5 ) RIMAP
APIのRBIは 石 油 業 界 が 中 心 で あ る の に 対 し て 、ヨ ー ロ ッ パ で は 一 般 化 学 や 発 電 、 鉄 鋼 プ ラ ン ト に ま で 広 げ てRIMAP (Risk Based Inspection and Maintenance Procedure for European Industries) と し て 規 格 化 を 目 指 し た 動 き が あ る 。
2001 年 か ら 2004 年 ま で EU か ら の 資 金 も 投 入 さ れ 約 5 億 円 の 資 金 を 集 め て 、ヨ ー ロ ッ パ の 16 の 企 業 、 団 体 が 参 加 し て 開 発 さ れ た 。
2.2 欧 米 化 学 会 社 の 訪 問 動 向 調 査
欧 州 の BASF お よ び SGS、 米 国 の DuPont、 ExxonMobil Chemical、 Chevron 各 社 を 訪 問 調 査 し た 。
2.2.1 BASF(ド イ ツ )
ド イ ツ を 代 表 す る 化 学 会 社 で 、全 世 界 170カ 国 に 事 業 拠 点 を 展 開 し て お り 、年 間 売 上 は 約 8兆 円 で あ る 。 全 BASFの 従 業 員 は 9万 人 で 、 訪 問 し た マ ン ハ イ ム の 工 場 は 、 BASF で 最 大 で 35,000人 が 働 い て お り 、 8,000を 超 す 化 学 製 品 を 200を 超 す プ ラ ン ト で 製 造 し て い る 。 地 理 的 に は ド イ ツ 、フ ラ ン ク フ ル ト か ら 南 へ 1 時 間 く ら い の 列 車 時 間 で 、 ラ イ ン 川 を 挟 ん で Mannheim対 岸 、 Ludwigshafenの 大 部 分 を B A S F 工 場 敷 地 と し て い る ド イ ツ 最 大 の 化 学 工 場 で あ る 。 設 備 的 に は 外 観 上 古 い 感 じ が し た が 、工 場 内 、研 究 所 内 、 共 に 非 常 に き れ い な 状 況 で あ っ た 。
1 ) BASF の Process Safety 基 本 方 針
HSE( Health, Safety, Environment ) の う ち 、と く に Safetyは 他 の い か な る 要 求 、 特 に 経 済 的 要 求 よ り 優 先 す る も の で 、 BASFは そ の よ う に 行 動 し て い る 事 が 強 調 さ れ た 。 安 全 重 視 の 姿 勢 か ら 社 内 で は HSEで は な く て SHEと い う 言 葉 を 使 っ て い る 。 ま た ” Process safety” が ” Inspection” と は 独 立 し た 組 織 に な っ て い る 。
2 ) SHE レ ビ ュ ー の 5段 階
SHEの 基 本 的 考 え は プ ロ ジ ェ ク ト の 計 画 段 階 で 確 立 し 、 プ ラ ン ト の ス タ ー ト ア ッ プ 直 前 に SHEの 全 て の レ ビ ュ ー を 終 了 し て い な く て は な ら な い 、 と し て い る 。
3 ) KPI ( Key Performance Indicator ) の 明 確 化
BASFで は 独 自 の Process Safety KPIを 作 り 、 検 討 す べ き 事 象 を 明 確 に し て 対 応 し て い る 。 KPIと し て は ① 火 災 、爆 発 、危 険 ガ ス の 放 出 な ど の 重 大 事 故 と 、② 安 全 弁 や イ ン タ ー ロ ッ ク の 作 動 の よ う な 安 全 保 護 装 置 の 作 動 の 二 つ の グ ル ー プ の 指 標 で 管 理 し て い る 。 ま た 、 死 傷 者 数 、 損 害 額 、 漏 洩 事 故 の 規 模 、 オ フ サ イ ト へ の 影 響 の 4
Step 1 計 画 の 具 体 化 の 前 に 基 本 的 な リ ス ク を 評 価
Step 2 潜 在 危 険 の 特 定 、 安 全 基 本 方 針 、 環 境 対 策 の 策 定 Step 3 安 全 基 本 方 針 、 環 境 対 策 の 評 価
Step 4 P&IDを 用 い て 、 詳 細 設 計 で 上 記 方 針 の 適 用 チ ェ ッ ク Step 5 スタートアップ前 に 再 度 上 記 方 針 の 適 用 チ ェ ッ ク
つ の 例 を 挙 げ て い た 。 KPIを 決 め て 、爆 発 火 災 な ど 、重 要 な 事 象 に 至 ら な い 対 応 を 優 先 す る 必 要 が あ る 。 KPIで 重 要 ニ ヤ ミ ス を 検 討 し て 、 そ れ 以 上 の 現 象 を 発 生 さ せ な い よ う に し て い る 。
4 ) RBM ( Risk Based Maintenance )
BASFは 、 RBMは RBIと RCMの 合 わ せ た も の で あ る 、 と し て お り 、 こ れ に SHEの 目 標 を 重 ね て 活 動 の 概 念 を 表 し て い る 。
RBMは 広 く リ ス ク マ ネ ジ メ ン ト の 一 環 で あ り 、そ れ が 求 め る も の は コ ス ト の 最 適 化 で あ る こ と を 明 確 に 示 し た 。 工 業 的 意 味 に お け る リ ス ク は 、 対 処 し な け れ ば な ら な い 項 目 を 明 確 に し 、 限 ら れ た 資 源 を 有 効 に 、 無 駄 な く 適 用 す る た め の 非 常 に 有 効 な 手 段 で あ る こ と を 主 張 し て い る 。
5 ) RBI ( Risk Based Inspection )
API 580 で 規 定 す る RBI が 主 流 で あ る が 、 全 世 界 で 共 通 的 に こ の 手 法 が 法 律 で 認 め ら れ て い る わ け で は な い 。 ド イ ツ は 日 本 と 同 じ よ う に 在 来 の 厳 し い 法 律 で 規 制 が か け ら れ て い る 。 BASF は 世 界 各 地 に プ ラ ン ト を も っ て お り 、各 国 の 法 規 制 や 状 況 に 合 わ せ て RBI の 適 用 方 法 を 工 夫 し て い る 。
ド イ ツ は 、法 規 制 が 厳 し く RBM= RBI+RCM の 考 え 方 で 行 い 、法 規 制 と 整 合 性 を 取 っ て い る よ う で あ る ( こ の 考 え 方 は 、 RIMAP で も 同 様 )。
設 備 管 理 で は 、 種 々 の 方 法 論 の 1 つ と し て RBI を 適 用 し て い る 。 チ ー ム を 作 っ て 、 機 器 を 個 別 に リ ス ク 評 価 し て い る 。幾 つ か の 実 績 例 の 紹 介 も あ っ た が 、RBI に よ り 、 リ ス ク の 低 減 と コ ス ト ダ ウ ン を 実 現 し て い る よ う で あ る 。
2.2.2 Shell Global Solutions ( SGS )( オ ラ ン ダ )
設 備 管 理 に お い て 、 RBI を 1 つ の 要 素 技 術 と し て 、 信 頼 性 向 上 の た め の シ ス テ ム を 構 築 し て い る 。 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 、 技 術 標 準 、 信 頼 性 技 術 の 体 制 な ど 、 基 礎 的 な 部 分 か ら 構 築 し て お り 、 数 年 以 上 の 実 績 が あ る 。 と く に 組 織 を あ げ て 認 知 度 を 高 め 、 一 体 と な っ て 運 用 し て い く こ と が 重 要 で あ る こ と を 繰 り 返 し て い た 。 SGS よ り 行 わ れ た 「 Sustainable Performance in Maintenance and Reliability – at optimum cost」
と 題 し た プ レ ゼ ン の 中 か ら 要 点 を 紹 介 す る 。
1 ) 信 頼 性 と メ ン テ ナ ン ス を 支 え る 4 つ の 柱 信 頼 性 の 高 い 保 全 は 、 1 . 信 頼
性 と 健 全 性 の 評 価 、 2 . 欠 陥 ・ 不 具 合 の 発 見 と 除 去 、 3 . 作 業 量 の 最 適 化 、 4 . 限 ら れ た 資 源 に よ る 最 大 効 果 の 発 揮 、を す る こ と に よ り 実 現 さ れ る 。
そ れ ら 4 つ の 作 業 は そ れ ぞ れ 関 連 し あ っ て い る 。そ れ ら で 必 要 と な る デ ー タ・情 報 の 管 理 に 従 来 の CMMS で は な く 、ICMMS(Integrated
限
ら れ た 資
源
に よ る 最
大効
果 の発 揮
信頼性
と 健
全性評 欠陥
・不
具合の発見と除去 作業量の最適
CMMS)の 必 要 性 が 提 案 さ れ た 。
統 合( Integrated)と は 単 な る 保 全 情 報 の デ ー タ ベ ー ス で は な く 、そ れ ぞ れ の 作 業 間 で コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン が 可 能 に な る シ ス テ ム を 指 し て い る 。
こ れ ら の 4 つ の 作 業 そ れ ぞ れ を 支 援 す る ツ ー ル が SGS に よ り 準 備 さ れ て い る 。
2 ) 改 革 へ の 道 の り
日 常 の メ ン テ ナ ン ス に つ い て 、 こ れ ま で は 場 当 た り 的 ( Fire Fighting と い う 言 葉 を 当 て て い る ) な 対 応 と な り が ち で あ っ た が 、そ の 背 後 に あ る 原 因 を 根 本 か ら 検 討 し 、真 に そ の 再 発 生 防 止 も 含 め 対
処 す る 事 が 必 要・重 要 で あ る 事 が 示 さ れ た 。場 当 た り 的 な 対 応 が 強 い ら れ る と 、 そ の 結 果 は 、「 時 間 が 無 く 、 ま す ま す 根 本 的 解 決 が な お ざ り と な り 、同 様 な こ と が 繰 り 返 し 起 こ る 。」と 言 う 、 負 の サ イ ク ル に 陥 り 易 く 、注 意 し な け れ ば な ら な い 。
そ し て こ の 場 当 た り 的 な ( Fire Fighting 的 )方 法 か ら 、真 の 改 革 に 向 か う た め に は 、 組 織 全 体 の 認 知 度 を 高 め て い く こ と が 極 め て 重 要 で あ り 、 そ れ を 怠 る と 、 い く ら 高 度 な シ ス テ ム が で き た と
し て も 推 進 担 当 者 の 自 己 満 足 で ひ と り よ が り な も の で し か な い 。
3 ) ORMS(Operational Reliability Management System )
S G S は 、 ORMS と い う 言 葉 を 使 っ て 持 続 的 に 組 織 内 へ の 浸 透 と 改 革 を 続 け て い く 管 理 手 法 を 確 立 し て き て い る 。 こ れ を 実 現 す る た め に は 複 数 の 領 域 に ま た が る 情 報 の 共 有 が 必 要 で あ り 、そ れ を 扱 う 人 材 、特 に 腐 食 技 術 者 の 育 成 に は 注 力 し て い る 。S G S に お い て は 、専 門 家 の 地 位 を 高 く す る こ と で 、そ れ へ の 若 い 人 の 意 欲 を 喚 起 し 、優 秀 な 、役 に 立 つ 人 材
が 輩 出 さ れ る よ う 配 慮 し て い る 、 と の 事 で あ っ た 。
組 織 の 階 層 ご と の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 達 成 の 方 法 、会 議 の 頻 度 な ど も ガ イ ド ラ イ ン と し て 定 め て い る 。
保 全 を 実 施 す る 上 で 重 要 な 点 は 、 情 報 と 経 験 の 蓄 積 で あ り 、 そ の た め に も RBI に し て も RCM
ひ と り よ が り う ま く 管 理 真 の 改 革 へ
に つ い て も 繰 り 返 さ れ る こ と が 重 要 で あ る 。 そ れ に よ り 、 プ ラ ン ト の 安 全 性 、 信 頼 性 が 経 済 性 も 考 慮 し て 達 成 さ れ る 。
4 ) RBI 活 動 の 成 果
S G S の RBI ( S-RBI)活 動 の 成 果 と し て 、 プ ラ ン ト の 機 器 種 類 ご と の 検 査 周 期 が 着 実 に 延 長 で き る よ う に な っ て き た こ と を 示 し た 。
機 種 に よ っ て 、 効 果 の 現 れ 方 が 大 き く 変 わ る が 、 平 均 的 に 検 査 周 期 を 2 倍 に 延 ば す こ と が で き て い る の は 、 経 営 的 に も 極 め て 大 き な イ ン パ ク ト を も た ら し て い る 、と い え る 。
右 図 で 、 静 止 機 器 に つ い て は
ほ ぼ 同 じ よ う な 延 長 効 果 が 実 現 さ れ て い る が 、 加 熱 炉 と ボ イ ラ ー に つ い て 、 同 じ 燃 料 バ ー ナ を 有 す る 機 器 で 極 端 な 差 が 出 て い る の は 興 味 の あ る と こ ろ で あ る 。
5 ) こ の 知 見 を ビ ジ ネ ス に
SGS の シ ス テ ム は 、主 に 石 油 精 製 を 中 心 に し て い た が 、石 化 に も 適 用 可 能 と し て い た 。 ま た 、 SGS と し て は 、 こ の 考 え 方 を ベ ー ス に 外 販 ( コ ン サ ル ) を 行 っ て い る 。
2.2.3 DuPont
DuPont社 は 、リ ス ク 評 価 の コ ン サ ル タ ン ト を 数 多 く 実 施 し て い る L.R.Capston社 の 話 に よ っ て も RBIを 有 効 に 活 用 し て い る 大 手 化 学 会 社 の 代 表 格 で あ る 。 Wilmington, Delaware の DuPont Engineering社 の 事 務 所 を 訪 問 し 、 利 用 状 況 を 調 査 し た 。
1 ) R B I 取 り 組 み 経 緯
1995 RBIの 調 査 ・ 研 究 を 開 始 し た
1998 RBIの 手 法 を 導 入 し て 、 企 業 レ ベ ル で の 保 全 と 信 頼 性 の 総 括 を お こ な っ た 2000 Capstoneの 支 援 や RBIソ フ ト を 使 っ て 、 パ イ ロ ッ ト ス タ デ ィ ー を 実 施 。
対 象 機 器 と し て 圧 力 容 器 、 熱 交 換 器 、 貯 槽 、 配 管 を 選 ん だ 2001 DuPontと し て の RBIス タ ン ダ ー ド を 制 定 し 、 教 育 を 実 施 検 査 項 目 を 最 小 限 に す る た め の 戦 略 を 策 定
2002 エ チ レ ン プ ラ ン ト Sabine Ethylene Projectに RBIを 適 用 ( 6 ヶ 月 で 実 施 )、
Capstone採 用
2002 以 降 多 く の 小 規 模 RBIを 、 大 半 は DuPont社 自 身 で 実 施
そ の 後 順 次 、 次 に 示 す よ う な 適 用 機 種 の 拡 大 や 、 項 目 の 詳 細 度 の 深 さ な ど の 拡
大 を は か っ て き た 。
a. プ ロ セ ス 流 体 の 種 類 ( 毒 性 、 引 火 性 、 腐 食 性 、 ス チ ー ム 、 廃 液 な ど ) b. 運 転 温 度 圧 力 範 囲
c. 機 器 の 種 類 安 全 弁 、 タ ン ク ロ ー リ ま で
d. 複 雑 な 機 器 ジ ャ ケ ッ ト 付 き 、 耐 火 レ ン ガ 、 内 部 の 複 雑 な 構 造 物 、 複 合 材 料 ・ ・ ・
e. 故 障 ・ 損 傷 メ カ ニ ズ ム
適 用 対 象 Unitは 大 小 あ り 、 1 つ の 機 器 だ け の も の か ら 1,500基 に の ぼ る エ チ レ ン コ ン プ レ ッ ク ス も あ る
2 ) R B I に 取 り 組 む 目 的
R B I に 取 り 組 む 目 的 は 、 ① リ ス ク マ ネ ジ メ ン ト の 改 善 ② 検 査 コ ス ト の 削 減 の ふ た つ で あ る 。 プ ラ ン ト の 安 全 性 を 高 め る た め の リ ス ク を 下 げ る た め に 、 検 査 の レ ベ ル と 頻 度 を 上 げ る こ と で は な い か と 、 と 想 定 し て い た が 、 む し ろ “ 高 度 な R B I を 適 用 す る こ と で 検 査 に 起 因 す る コ ス ト を 下 げ る こ と が 目 的 で あ る “ 、 と 明 言 し て い た 。 “ 検 査 に 起 因 す る コ ス ト ”と は 、検 査 の た め に 機 器 を 停 止 す る こ と に よ る 機 会 損 失 お よ び 検 査 す る こ と で 、か え っ て 機 器 の 損 傷 や 寿 命 低 下 を 招 く 、 と い う 現 象 も 含 ま れ る 。
3 ) Sabineエ チ レ ン プ ラ ン ト で の R B I 適 用 評 価
35年 の 運 転 履 歴 を も つ プ ラ ン ト で 、 ト ラ ブ ル ( incident) が 増 加 し て き て お り 、ロ ス の 85% は 機 械 的 健 全 性( 以 下 MI:Mechanical I ntegrity)の 低 下 に よ る も の で あ る こ と が 分 か っ て い た ( 2002年 時 点 ) 。 717配 管 ル ー プ 、 742 静 機 器 、 467安 全 装 置 を 対 象 。 6 % の 特 定 の 静 機 器 と 配 管 が 、9 0 % の リ ス ク を 占 め て い る こ と が わ か っ た 。
こ の 6 % に 注 力 す る こ と で 、大 幅 に リ ス ク を 低 減 で き る こ と が わ か っ た 。 こ れ は 大 き な 驚 き で あ っ た 。
2002年 に R B I に か け た 費 用 は 、 そ の 後 の 12~ 18ヶ 月 で 回 収 す る こ と が で き た 。 こ れ は DuPont 社 の RBI効 果 の 平 均 値 で あ り 、そ の 後 の 年 の 経 過 と と も に 費 用 の 効 果 は 加 算 さ れ て く る 。
4 ) RBI適 用 の 効 果
a. 損 傷 を あ る 程 度 予 測 で き る よ う に な っ た の で 、定 期 検 査 で の「 開 け て び っ く り 」
( 想 定 外 ) の 損 傷 が 少 な く な っ た 。
b. メ ン テ ナ ン ス・運 転・エ ン ジ ニ ア リ ン グ が 、一 体 と な っ て 議 論 す る よ う に な っ た 。 ( 多 視 点 で 検 討 す る の で 、 抜 け が 少 な く な っ た )
c. 何 故 、 そ の 保 全 を や っ て い る の か を 考 え る よ う に な っ た 。
d. 高 経 年 化 し た 機 器 が 多 く な っ て き て 、今 ま で の 保 全 の や り 方 で は ト ラ ブ ル を 防 止 で き な く な っ て い る た め 、定 期 的 な RBI検 討 時 に 、機 器 の 状 況 に 応 じ て 、保
全 方 法 の 見 直 し を 行 う よ う に な っ た 。
e. 検 査 以 外 の 因 子 、た と え ば ク リ ー ニ ン グ の よ う な 運 転・保 全 手 順 が リ ス ク に 影 響 し て い る こ と が わ か っ た 。
f. 今 で は 大 小 様 々 な 装 置 に 適 用 し て お り 、製 品 運 搬 用 の タ ン ク ロ ー リ ー も そ の 対 象 と し て い る 。
5 ) RBIを 効 果 的 に 推 進 す る 条 件 a. ト ッ プ ダ ウ ン で 行 う こ と 。
さ ま ざ ま な 関 連 部 署 の 知 恵 を 結 集 し て 行 わ ね ば な ら な い の で 、 保 全 担 当 だ け で 行 え る も の で は な い 。
b . デ ー タ の 品 質 を 高 め る こ と 。
RBIの ロ ジ ッ ク を 組 み 込 ん だ ソ フ ト を 使 う の は 簡 単 だ が 、そ れ に 正 し い デ ー タ を 入 れ る こ と が ポ イ ン ト で あ る 。 ( そ れ に は 、 リ ス ク ア ナ リ ス ト の 高 い 専 門 性 が 必 要 で あ り 、 道 具 よ り 人 が 大 事 と 言 う こ と )
デ ー タ の 質 ( Quality of Data) >> デ ー タ の 量 ( Quantity of Data ) デ ー タ の 量 よ り も 、 そ の 品 質 の ほ う が よ ほ ど 重 要 で あ る
c. 評 価 ・ 改 善 を 継 続 す る こ と
そ の た め に は 、日 常 の 業 務 規 範 と し て の 安 全 戦 略 、保 全 業 務 シ ス テ ム に し っ か り と 組 み 込 ま れ て い な け れ ば な ら な い 。 DuPontは 、 品 質 保 証 ( Quality assurance、 QA) 中 に 得 ら れ た 検 査 デ ー タ を 基 に 、 RBIの 再 評 価 を リ ア ル タ イ ム で 行 っ て 、 迅 速 に 対 応 し て い る 。
、
6 ) PSM (Process Safety Management)
以 上 DuPontに お け る RBIの 取 組 状 況 を 中 心 に 紹 介 し て き た が 、プ ラ ン ト の 安 全 性 確 保 の た め に は 、 上 位 概 念 の PSMで と ら え る 必 要 が あ り 、 RBIは 単 に そ の 要 素 技 術 の ひ と つ で あ る 、 と し て い る 。 DuPontで は 、 Zero (incident) Safetyを 実 現 す る た め に 、 PSMを 確 立 し 、 定 期 的 に 監 査 を 行 っ て い る 。
(1) PSMの 定 義
PSMと は 、 プ ロ セ ス プ ラ ン ト の 製 造 に お い て プ ロ セ ス に 起 因 す る 傷 害 や ト ラ ブ ル を 防 止 す る た め に 、可 能 性 の あ る 危 険 を 特 定 し 、理 解 し 、そ の 発 生 を 抑 止 す る こ と を 目 的 と し て 、各 種 基 準 、運 転 マ ニ ュ ア ル 、プ ロ グ ラ ム 、審 査 要 領 、評 価 方 法 な ど の シ ス テ ム を 構 築 し 管 理 す る こ と で あ る 。 こ の た め に は 、組 織 の 全 て の 階 層 に お い て 強 い リ ー ダ シ ッ プ の も と に 、 継 続 的 な 努 力 と 活 動 が 求 め ら れ る 。 (2) PSMの 考 え 方
PSMは 、設 備( Facility), 技 術( Technology), 人 間( Personnel) に 分 類 さ れ る 1 5 の エ レ メ ン ト か ら 構 成 さ れ る シ ス テ ム で あ り 、 各 エ レ メ ン ト が 相 互 に 関 連 し て い る 。
a. こ の シ ス テ ム は 、 以 下 の ス テ ッ プ で 導 入 す る 。 Assess → Envision → Plan → Implementation
( 現 状 分 析 ) ( 構 想 を ね る ) ( 実 施 計 画 ) ( 実 行 )
評 価 項 目 は 、 organization, process, people, technology か ら 成 る 。
b. RBIは 、MI の 一 つ の 項 目 に 過 ぎ ず 、こ れ だ け で 安 全 は 確 保 で き な い 。 DuPont Eng.社 と し て 外 部 の コ ン サ ル を し て い る と 、 R B I の 細 か な 手 法 や デ ー タ ば か り の 狭 い 範 囲 の 話 が 及 ぶ 場 合 が あ る が 、 次 の 図 を も ち だ し て 注 意 を 喚 起 し て い る 。
c. よ く こ れ だ け の 項 目 の 中 で 、何 が 一 番 重 要 か ? と 聞 か れ る こ と が あ る が 、統 一 し た 答 え は な い 。 要 は 、 こ れ ら の 評 価 項 目 の う ち 、 何 が 欠 け て い る か ? ま ず は 、 自 ら の 弱 点 を 認 識 す る こ と が 大 切 で あ り 、 assessmentを 行 っ て 、 弱 点 を あ ぶ り 出 す こ と か ら 始 め る 。 Dupont Eng.が PSMの 外 販 サ ー ビ ス を 通 じ て 、 顧 客 企 業 の 過 半 数 は そ も そ も “ Management Leadership & Commitment” が 不 十 分 で あ る こ と が 多 い と 指 摘 し て い る 。
(3) 作 業 安 全 と プ ロ セ ス 安 全
作 業 現 場 の 安 全 管 理 は 従 業 員 個 々 の 安 全 を 目 的 と す る の に 対 し 、PSMは 重 大 災 害 の 予 防 を 企 業 レ ベ ル で 取 り 組 む た め の 仕 組 み で あ る 。
作 業 安 全 Workplace Safety プ ロ セ ス 安 全 PSM 作 業 員 に よ っ て 繰 り 返 し 行 わ れ る 作 業 で 、
人 的 被 害 を も た ら す ト ラ ブ ル
プ ロ セ ス 安 全 事 故 は め っ た に 起 こ ら な い が 、 い っ た ん 発 生 す る と 、 作 業 員 や 近 隣 社 会 や 環 境 に 重 大 な 影 響 を 与 え る こ と が あ る 個 人 の 行 動 に 焦 点 が あ て ら れ る プ ロ セ ス や シ ス テ ム に 焦 点 が あ て ら れ る い ず れ の 場 合 も 、 管 理 者 に よ る 目 標 達 成 に 向 け て の 明 確 な コ ミ ッ ト メ ン ト と 継 続 性 が 重 要 で あ る
7 ) PSMの 効 果
DuPontで は 、 PSMの 推 進 状 況 を 定 期 的 に 審 査 ( audit) し て お り 、 そ の 評 点 と 実 際 に 発 生 し た ト ラ ブ ル ( incident) と の 関 係 の 年 次 変 化 の 紹 介 が あ り 、 PSMの 達 成 度
が 高 ま る に つ れ て 、 ト ラ ブ ル の 発 生 が 劇 的 に 低 下 し て き て い る こ と が 示 さ れ た 。
2.2.4 ExxonMobil Chemical
こ の 訪 問 は 、 ENAA の 保 温 材 下 外 面 腐 食 ( 以 下 CUI: Corrosion Under Insulation ) の 調 査 チ ー ム に 合 流 す る 形 で 実 現 し た も の で あ り 、CUI 固 有 の 詳 細 な 技 術 問 題 に つ い て は 、 本 報 告 か ら は 除 外 す る が 、 メ ン テ ナ ン ス の 重 要 課 題 の ひ と つ で も あ る CUI へ の 対 策 を 、 長 期 的 な ス パ ン の マ ネ ジ メ ン ト レ ベ ル で 評 価 す る 具 体 例 と し て 紹 介 が あ っ た の で 、 そ の 一 部 を 記 載 す る 。
1 ) CUI 対 策 の ア ル ミ 溶 射 技 術
CUI 対 策 と し て の ア ル ミ 溶 射 技 術 ( 以 下 TSA : Thermal Spray Aluminium )が 極 め て 優 れ て い る こ と を 実 証 し て い る 。 1998 年 よ り 検 討 を 開 始 し 、2003 年 よ り 本 格 導 入 し て お り 、経 過 時 間 は 最 大 5 年 で あ る が 、 今 の と こ ろ 非 常 に 良 い 結 果 が で て い る 。 80 年 代 に 、温 度 サ イ ク ル の あ る 外 面 腐 食 の 厳 し い 反 応 器 に 採 用 し た こ と が あ り 、 こ の と き に も 性 能 は 満 足 の い く も の で あ っ た 。
こ の 技 術 そ の も の は さ ほ ど 新 し い も の で は な い が 、 以 前 は
“ 性 能 は 良 い が コ ス ト が 高 い ”、と い う こ と で さ ほ ど 浸 透 し て い な か っ た が 、海 軍 で の 適 用 に 関 連 し て 高 性 能 ス プ レ ー ガ
ン の 開 発 の 成 功 に よ り 、 作 業 時 間 が 従 来 の 3 分 の 一 に ま で 短 縮 す る こ と が で き る よ う に な り 、 ラ イ フ サ イ ク ル の コ ス ト で 評 価 す る と 、 極 め て 大 き な メ リ ッ ト が だ せ る よ う に な っ た 。
CUI に 関 し て は 、 施 工 に 必 要 な 総 費 用 ( TEC: Total Elected Cost) を 算 出 し 評 価 す る こ と に よ り 、 TSA 採 用 の 可 否 を 判 断 し て い る 。 こ れ は 、 そ の 施 工 に 要 す る 費 用 の 積 算 値 で あ る 。例 え ば 、塗 装 配 管 の 更 新 で あ れ ば 、材 料 費 、作 業 場 と 現 場 で の 作 業 、ブ ラ ス ト 、 溶 接 、 塗 装 回 数 、 ダ ウ ン タ イ ム 等 の 総 て を 含 む 。 TSA の 単 位 面 積 当 た り の コ ス ト は 、 塗 装 よ り 高 い が 、 設 置 や 補 修 全 体 と し て 掛 か る 費 用 は 、 大 き な 差 が な い 。 こ の 実 際 の 施 工 に 掛 か る 費 用 全 体 で 、 塗 装 と TSA な ど を 比 較 す る 必 要 が あ る 。 こ の 考 え 方 で 、 長 期 間 、 検 査 を 行 わ ず 信 頼 性 を 確 保 し て い る 。 将 来 に わ た り 、 検 査 コ ス ト や 塗 装 の や り 直 し コ ス ト の 削 減 、 お よ び そ の 時 間 節 約 か ら 得 ら れ る 経 営 的 な 利 益 は 極 め て 大 き い 。
2 ) RBI へ の 取 り 組 み
RBI に 関 し て は 、 20 年 来 の 検 討 を 行 っ て き て お り 、 全 て の 設 備 管 理 で 適 用 し て い る と こ の と 。 こ の た め の 、 社 内 の 教 育 も 行 っ て い る 。 CUI の 検 査 計 画 に も こ の RBI を 適 用 し て い る 。
出 典 :ExxonMobil社 公 開 URL
リ ス ク マ ト リ ッ ク ス の 縦 軸 の 発 生 頻 度 に は 、平 均 故 障 間 隔( MTBF:Mean Time Between Failure) な ど の 複 数 の パ ラ メ ー タ を 適 用 可 能 と し て い る 。
横 軸 の 被 害 の 大 き さ に は 、 短 期 の 致 死 傷 害 な ど の 安 全 問 題 、 長 期 の 健 康 問 題 、 環 境 問 題 、 経 済 的 損 失 、 マ ス コ ミ 報 道 、 な ど の 評 価 項 目 を あ て は め て い る 。
2.2.5 Chevron
こ の 訪 問 も 、 ENAA の CUI の 調 査 チ ー ム に 合 流 す る 形 で 実 現 し た も の で あ り 、 CUI 固 有 の 詳 細 な 技 術 問 題 に つ い て は 、 本 報 告 か ら は 除 外 す る が 、 メ ン テ ナ ン ス 一 般 問 題 に つ い て も 若 干 の 意 見 交 換 を 行 っ た の で 、 主 要 な 項 目 を 紹 介 す る 。
1 ) メ ン テ ナ ン ス や 検 査 の ア ウ ト ソ ー シ ン グ
原 則 と し て 実 際 の 検 査 そ の も の は 外 部 に 委 託 し て お り 、 社 員 は そ れ を 管 理 ・ 評 価 し て い る だ け で あ る が 、 業 務 の 品 質 や 検 査 デ ー タ の 信 頼 性 は 非 常 に 神 経 を 使 っ て い る 。 精 度 の 悪 い デ ー タ が 集 ま る と 、 将 来 に 大 き な 問 題 を 引 き 起 こ す 。 そ の た め に 、委 託 先 に ト レ ー ニ ン グ を き め 細 か く 実 施 し て お り 、認 定 を お こ な っ て い る 。 試 験 に 合 格 す る の は 30% で あ り 、 70% は 不 合 格 に な る く ら い 厳 し く 選 定 を し て い る 。
2 ) リ ス ク の 概 念 に つ い て
日 本 で は 法 規 制 を 行 う 所 轄 機 関 が リ ス ク の 概 念 を 認 め よ う と し な い 、 こ と に 対 し て 、 米 国 で も 一 般 の 人 は リ ス ク と い う 言 葉 を 嫌 っ て い る 、 と い う 意 外 な 答 え が 返 っ て き た 。 行 政 を 変 え る に は 論 理 的 シ ス テ ム 的 な ア プ ロ ー チ が 必 要 で あ る 、 と の コ メ ン ト が あ っ た 。
3 ) 大 学 の 動 き
ENAAに よ る 昨 年 度 の 調 査 で 「 グ リ ー ン ビ ル 大 学 な ど で 、 プ ラ ン ト メ ン テ ナ ン ス を 学 科 と し て 取 り 上 げ て い る と こ ろ が い く つ か あ る よ う だ 、 日 本 で は な い 動 き で あ る が ・ ・ 」 、 と の 質 問 に た い し て 、 「 米 国 で も ほ と ん ど 聞 か な い 」 と 返 っ て き た 。 産 業 界 全 般 と し て は 、 ま だ 特 別 な 存 在 の よ う だ 。
4 ) 技 術 伝 承
20、 30年 前 に 設 備 の 劣 化 が 問 題 に な っ た 時 と 、 現 在 と 状 況 は 違 う 。 プ ラ ン ト の 加 齢 ( age) で は な く て 、 人 の 加 齢 ( aged people) と 現 場 作 業 者 の 人 数 減 少 が 問 題 で あ る 、 と 言 っ て い る 。 こ の 点 は 、 Chevron だ け で は な く 、 他 の 訪 問 先 で も 一 様 に 問 題 視 し て お り 、 程 度 の 差 こ そ あ れ 、 日 本 と 同 じ 問 題 意 識 が あ る よ う だ 。 こ う し た 経 験 不 足 を 補 う た め に 、徹 底 し た 教 育 と ツ ー ル を 用 意 し て 対 処 し て い る 。
ま た 保 全 業 務 だ け で は な く 、 機 器 の 発 注 の 際 に も 、 後 か ら 問 題 を 発 生 さ せ な い た め に 、か な り き め 細 か な 仕 様 や 条 件 を つ け て 購 入 し て い る 。APIの 管 理 手 法 、腐 食 メ カ ニ ズ ム 、 過 去 の 事 故 事 例 な ど も ド キ ュ メ ン ト 化 し て ツ ー ル を 用 意 し て 、 新 人 が 入 っ て き た と き に 徹 底 的 に 教 育 し て い る 。 ま た ヒ ュ ー マ ン エ ラ ー を 起 こ し て も 、 危 険 に な ら な い よ う な 安 全 シ ス テ ム( た と え ば 加 熱 炉 の 自 動 停 止 な ど )を 強 化 し て い る 。
Chevronも 90年 代 に 人 を 減 ら し た た め に 、現 場 の 力 が 弱 く な っ て 問 題 に な っ て き た 。 2 , 3 年 前 か ら こ う し た 反 省 に た っ て 、 エ ン ジ ニ ア の 採 用 を 強 化 し て い る 。
5 ) 問 題 の 質 の 変 化
昔 起 こ っ た 問 題 と は 異 質 の 問 題 が 増 え て き て い る 。 さ ま ざ ま な 計 測 技 術 の 進 歩 に よ り 、過 去 あ っ た 一 般 的 な 問 題 は 早 め に 検 知 し て 手 を う て る よ う に な っ て き た が 、 最 近 は 、 そ う 簡 単 に は 予 測 で き な い よ う な 現 象 が 増 え て い る 。 例 え ば 原 料 中 の 不 純 物 に し て も さ ら に シ ビ ア が 条 件 で 入 っ て く る こ と も あ る し 、 そ う し た 変 化 は 従 来 の 計 測 シ ス テ ム で は 検 出 さ れ な い こ と も あ る 。
6 ) ROI( Reliability Opportunity Identification )判 定 ツ ー ル
設 備 信 頼 性 を 評 価 す る デ ー タ ベ ー ス と ツ ー ル を 開 発 し た 。 発 生 し た シ ャ ッ ト ダ ウ ン ご と に 、 ど の よ う な 事 象 で 、 何 日 か け て 修 復 し た か 、 な ど
7 ) RBIに つ い て
対 応 し て く れ た Kevin 氏 は RBI 万 能 主 義 に た い し て 、若 干 批 判 的 な 見 方 を 示 し た 。 RBIで は 一 番 肝 心 の 検 査 の 品 質 に つ い て 何 も 答 え て く れ な い 。 5 ,6 年 前 に あ る プ ラ ン ト で 従 来 法 と RBI手 法 を 適 用 し た 方 法 で 比 較 し た こ と が あ る 。 結 果 は 何 十 機 あ る 機 器 で 、 違 い は た っ た 5 基 で あ っ た 。 た し か に 少 し は 費 用 節 約 に つ な が る で あ ろ う が 、そ れ ほ ど 大 き く は な い 。 RBI手 法 に よ り 答 え を 早 く 出 す こ と に は つ な が る が 、 出 て く る 答 え は 従 来 法 と ほ ぼ 同 じ で あ る 。
こ れ に 対 し 、 日 本 側 よ り コ ス ト ダ ウ ン と い う よ り 、 手 法 を 標 準 化 し 、 安 全 レ ベ ル を 定 量 的 に 保 て る こ と に 意 義 が あ る の で は 、 と 反 論 し た が 、 そ の 意 見 に は 同 調 し た が 、 リ ス ク を 減 ら す た め に は 、 そ れ ほ ど 期 待 で き な い 、 と 返 っ て き た 。 RBIを 全 面 的 に 導 入 し て 、検 査 計 画 を 決 め た り は し て い な い が 、検 査 部 位 の 優 先 順
位 を き め る た め に は 、 CUIの 例 の 様 に 、 活 用 し て い る 、 と の 回 答 で あ っ た 。
8 ) CUI に つ い て
CUI に 関 し て は 、基 本 的 に NDI( 非 破 壊 検 査 )は 行 わ ず 、リ ス ク 評 価 に よ り 優 先 順 位 を 決 め て 、 保 温 材 の 剥 離 検 査 を 行 っ て い る 。 Chevron の CUI 基 本 対 応 の 資 料 を 入 手 し た 。