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札幌市「複合窓口システム開発と人間中心設計評価」 開 発 報 告 書

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(1)

平成17年度先進的情報活用事業モデルシステム開発事業

札幌市「複合窓口システム開発と人間中心設計評価」

開 発 報 告 書

平成 18 年3月 

財団法人ニューメディア開発協会

開発事業者 札幌総合情報センター株式会社

(2)

この事業は、競輪の補助金を受けて実施したものです。

(3)

目次

1 プロジェクト概要

1.1 目的 4

1.2 背景 5

1.3 システムの特徴 6

2 プロジェクト推進体制 8

3 事業進捗実績 9

4 システム概要

4.1 システム開発プロセス 10

4.2 システム構成 10

4.3 システム機能 11

4.4 システム検証結果 12

5 プロジェクト実施結果 15

6 プロジェクトから導き出される課題と発展性

6.1 人間中心設計のシステム開発プロセスへの実務的適用の課題 16 6.2 複合窓口システムの共同利用ビジネスモデルの可能性評価 16

(4)

1.プロジェクト概要 1.1   目的

このシステムの目的は、札幌市における「市民の力がみなぎる,文化と誇りのあふれる街」

の実現のため,公共的なサービスについて役割分担を見直し,市民,企業,行政などの都 市の構成員が公共を担い合う協働型の市政を実現するための重要なツールとして位置付け ている電子申請の推進を図ることである。

具体的には,本事業において

(1)行政サービスの利用品質の向上

地域社会の代表的なサービスである申請手続について、地域マーケティング結 果に基づき、人(対面や電話)と IT(インターネット・イントラネットや情報機 器)を連携させた複合窓口システムの開発により、市民への行政サービスにおけ る利用品質の向上を目指す。

(2)行政システム導入のモデル化

複合窓口システムの開発にあたっては、ユーザビリティ工学に基づく人間中心 設計手法(以下、HCD(Human Centered Design)と記す)を用いて電子申請の サービスデザインを作成し、要求定義に反映する。さらに、検証を通じてユーザ ビリティ評価を実施することより、失敗のないシステム構築を遂行する。これは、

他の行政システムに対する導入モデルとして確立することを目的としている。

(3)共同利用型システムのビジネスモデル確立

新しい電子自治体時代のビジネスモデルとして、本事業を通じて官民の役割の 見直しを図り、民間への業務委託領域を明確にすることによって、アウトソーシ ング業務など地域社会に新たな事業領域を創造・提供し地域社会の活性化を図る。

これまで、設備・基盤等の構築が先行し利用が停滞気味の自治体共同利用型事業 に対して、アプリケーションレベルで有効なビジネスモデルを確立し他地域等の 先行モデルとなることを目的とする。

の3つの観点から,電子申請における使えるシステム,使われるシステムの開発を目的と している。

(5)

1.2   背景

近年電子申請は急速な拡大を見せているが、各府省の汎用電子申請システムの利用率は わずか0.7%であると報告されている(総務省)。

これは、電子政府・自治体の先導的事業として、電子的に手続を行うことに対応してき た結果であり、今後はサービスとしての高度化を目指し窓口全体を捉えたサービスデザイ ンへのアプローチが必要と考えている。

これらを背景に札幌市では、平成16年度に「電子申請アクションプラン策定事業」の 一環として、手続サービスの利便性向上に主眼を置いた市民・企業アンケート調査を実施 した。(有効回答:市民837件、企業106件)下図に、アンケート調査の集計結果を示す。

市民のニーズ 市民のニーズ 市民のニーズ

環境環境

ケータイ(携帯電話)保有 65%

ケータイ(携帯電話)保有 65%65%

インターネット経験 69%

インターネット経験 69%69%

インターネット環境の保有 5割程度 インターネット環境の保有 5割程度5割程度

過去3年で半数は手続を経験 改善要望改善要望

1位:役所に行かずに手続が出来る 1位:役所に行かずに手続が出来る

2位:手続を簡単にする 2位:手続を簡単にする

3位:窓口の開設時間を長くする 3位:窓口の開設時間を長くする

【手段】ケータイ(電話含む)

→パソコン→FAX

【手段】ケータイ(電話含む)

→パソコン→FAX

【場所】自宅かコンビニ

【場所】自宅かコンビニ

【時間】土日もあれば便利で 夜間も出来れば便利

【時間】土日もあれば便利で 夜間も出来れば便利

【手数料】コンビニか銀行

【手数料】コンビニか銀行 民間と一緒に手続したい 民間と一緒に手続したい

企業のニーズ 企業のニーズ 企業のニーズ

環境環境

インターネット環境の保有 9割以上 インターネット環境の保有 9割以上9割以上 電子申請・入札の経験 1〜2割 電子申請・入札の経験 1〜2割1〜2割

改善要望改善要望

1位:役所に行かずに手続が出来る 1位:役所に行かずに手続が出来る 2位:国・道と手続が一緒に出来る 2位:国・道と手続が一緒に出来る 3位:手続を簡単にする(添付など)

3位:手続を簡単にする(添付など)

【手段】パソコン(メール含む)

かFAX

【手段】パソコン(メール含む)

かFAX

【場所】会社(自宅)

【場所】会社(自宅)

【時間】通常時間

(夜間もあれば便利)

【時間】通常時間

(夜間もあれば便利)

【手数料】コンビニか銀行

【手数料】コンビニか銀行

モデル検討のヒント モデル検討のヒント

機会がない、専用ソフトを入れたくない 機会がない、専用ソフトを入れたくない

(6)

アンケート調査の結果から、役所に出向かず電話(または携帯電話)の利用により解決 をしたいという市民像が導き出された。さらに、HCDに基づいたユーザシナリオを作成し 市民へのヒアリングを含む調査分析を実施した結果「札幌申請モデル」を作成した。

仮説モデルとして導出した「札幌申請モデル」における、将来的に札幌市が導入する電 子申請システムの姿を念頭に置きながら、アンケート調査の結果から得られた市民ニーズ として窓口を複合化する根幹的な部分をプロトタイプとしてシステム化する必要がある。

 また、昨年度の調査において実施したHCD手法は、システム開発においても適用可能で あり、「使いやすい」「使える」システムまた「失敗しない」システム開発を進めるために 有効であると思われることも背景としてある。

札幌市の抱える課題は、申し込み手続きを行っている他の多くの自治体・団体にも同様 のものと思慮されるため、本プロジェクトをモデルシステムとして事例を広く開示であろ うと思われる。特に、公共サービスにおける民間企業を含む地域の多様な組織との連携に 踏み込んだ事業性検証は、共同利用型サービスの新しい利用形態としてモデルとなること が期待できる。

以上のような背景の元、本プロジェクトを進めることとした。

1.3   システムの特徴

プロジェクトにおいて開発したシステムの特徴は次の3つに大別される。

1. 複合窓口サービスの実現

プロジェクトにおいて開発したシステムは,いわゆる電子申請システムであるが、

従来の電子的な提出に加えて、電話による代行受付や窓口での受付を同期して扱うこ とが可能なシステムとなっており、市民にとっては申請手段としての制約が無く,利 便性が向上するものである。もちろんシステムを提供する自治体や各種団体において は勤務時間中だけではなく受付が可能となることで市民の利便性向上に資すること ができるといえる。

また、個人情報を取り扱うため、札幌市の個人情報保護条例に基づき、申請された 情報はシステム内で利用権限を設定するなどの配慮を行っている。

2. 人間中心設計の適用

システムの設計開発に用いた人間中心設計の実行プロセスは、市民を始めとする利 用者の利用場面の観察分析を元に,システム開発の上流工程において使いやすい,使 われるシステムを目指した定量的な評価を実施したものである。このため,システム 品質の向上に資することが可能であると同時に,類似するシステムの導入のモデルと

(7)

して展開が可能であるといえる。

3. 共同利用型システムへの活用

開発したシステムはオープンソース環境のもと構築されているため,設備基盤構築 が進められている自治体共同利用システムにおけるアプリケーションサービスとし ての活用が可能である。

(8)

2.プロジェクト推進体制

 本プロジェクトは下記の図に示す推進体制のもと実施した。

財団法人ニューメディア開発協会、札幌市 財団法人ニューメディア開発協会、札幌市

札幌総合情報センター株式会社 札幌総合情報センター株式会社

契約、納品、仕様確認

全体事業監理

実施項目と分担

★:主担当、○:支援

サービスデザイン

システム設計・開発 ユーザビリティ評価 検証

報告書作成

z プロジェクト全体企画,事業管理運営 札幌総合情報センター株式会社

z システム開発,環境構築

NECネクサソシューションズ株式会社

z HCDによるサービスデザイン,ユーザビリティ評価 国立大学法人小樽商科大学

z HCDによるユーザビリティ評価支援

特定非営利活動法人人間中心設計開発推進機構 z 共同利用におけるビジネスモデル検討

株式会社三菱総合研究所

(9)

3.事業進捗実績

 実績進捗は下記のとおりである。開発スケジュールは全体的に遅れ気味に推移したが,

着手できる部分から製造工程に入り,また検査工程を圧縮することで,予定とおり進める ことができた(下表参照)。

2005 2006

8 9月 10 11 12 1 2 3

開発会議

要件定義 業務分析

システム化範囲定義

サービスデザイン(HCD分析)

基本設計 機能設計 データ設計

画面設計

   プロトタイプ       HCD対応 詳細設計

製造検査 環境構築 検証評価 報告書作成

(10)

4.システム概要

4.1 システム開発プロセス

 本プロジェクトにおけるシステム開発プロセスは,「3 事業進捗報告」に示したとおり であるが,従来型のウォーターフォール型のプロセスによる設計を進めた一方で,サービ スデザインとして,システム化対象範囲としたうちのコールセンターのオペレータ対応業 務に焦点をあて業務分析を行った。

 具体的にはコールセンターのオペレータの業務を動作レベルで分析し,業務分類を実施 した。その結果として,この受付業務システムを開発する際の目標は,① 市民を待たせな い作業効率を確保する,② 入力ミスが無いようにするの2点に集約されると分析された。

 この分析結果を前提条件として,プロトタイプ的に設計した受付画面に対して,HCD的 な視点からのレビューを行った結果として,オペレータが受付可能な事業を探す場合,事 業コードなどの検索キーによる検索ではなく,デフォルトの状態で受付可能な事業が表示 されることが望ましい点や「登録」「削除」の誤りを少なくする画面デザインなどの提案が 出された。

 本システムはこれらの成果を製造工程に反映するように開発を進めた。

4.2 システム構成

 本システムの構成を以下に示す。

システム構成

複合窓口 WWWサーバ

複合窓口 AP/DBサーバ

DMZ

F/W

札幌市コールセンター オペレータ

インターネット

OS:RedHat Enterprise Linux ES3 WWWサーバ

apache

CMS MobilenetServer/WEB

OS: RedHat Enterprise Linux ES3 APサーバ

Tomcat Java

DBサーバ PostgreSQL インターネット

受付機能

オペレータ 代行窓口機能

F/W

携帯電話

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4.3 システム機能

 本システムの機能は,インターネット窓口機能とオペレータ代行窓口機能に大別される。

(1)インターネット窓口機能

 インターネット窓口機能は,携帯電話ならびに通常のPCを用いて,インターネット経由 で市民が申し込み手続の検索ならびに手続申し込みを行うことができる機能であり、以下 の2つの機能にわけられる。

z インターネット窓口機能

市民が,申し込み手続を実施したいときに,PC や携帯電話を利用して直接インタ ーネットで手続申し込みを行うことができる機能。具体的には,事業選択,事業情 報入力,事業登録結果登録表示機能がある。

z 手続案内機能

市民が,サービスを利用したいときに,携帯電話を利用してインターネットで利用 可能なサービスに関する情報を得ることのできる機能。具体的には,手続一覧や電 子的案内情報へのリンク,申し込みに係る情報に関するポータル機能がある。

(2)オペレータ代行窓口機能

 オペレータ代行窓口機能は「札幌市コールセンター」において,オペレータが代行で申 し込みできるための機能であり、以下の2つの機能にわけられる。

コンテンツ 変換 Mobilenet

Server トップページ

各種データ PostgresSQL JSP

Iモード

Vodafone Live!

EZweb

その他 キャリア

アクセス

表 示

呼び出し

出 力

受付結果 申請情報確認 申請情報入力 同意確認

手続一覧 手続一覧表示機能

受付結果表示機能 申請情報確認表示機能 申請情報入力表示機能 同意確認表示機能 トップページ表示機能 インターネット

携帯電話

(全キャリア)

申請データ 受付データ 手続データ

(12)

z オペレータ代行窓口機能

コールセンターのオペレータが,市民から電話・FAX・メール等による申し込み手 続を受け付けたときに,パソコンのWEBブラウザを利用して手続の代行申し込み を行うことのできる機能。具体的には,利用者管理機能,申込書用紙作成機能,申 込書作成機能,申込内容確認機能,申込結果確認機能がある。

z 受付管理機能

手続の所管課やシステム管理する担当課が,インターネット窓口機能やオペレータ 代行窓口機能により申し込みされた手続に関する業務を実行したいときに,パソコ ンのWEBブラウザを利用して申し込みされている情報に対して操作を行うことの できる機能。具体的には,データベース登録機能,ファイル出力機能,集計機能が ある。

4.4 システム検証結果

 システムの検証結果について、インターネット窓口機能とオペレータ代行窓口機能に分 けて、検証評価を行った結果を示す。

(1)インターネット窓口機能  ■検証内容

WWW サーバ

各種データ PostgresSQL JSP

アクセス 表 示

呼び出し

出 力

受付管理機能 オペレータ代行窓口機能 インターネット

札幌市 コールセンター

オペレータ

オペレータ

管理者

利用者管理機能 申込書用紙作成機能 申込書作成機能 申込内容確認機能 申込結果確認機能

データベース登録機能 ファイル出力機能 集計機能

申請データ 受付データ 手続データ

利用者データ

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インターネット窓口機能について、現在利用可能な携帯電話キャリアの代表的な機種 を用いて、画面が表示され,受け付けが可能であるかを確認した。

 ■検証結果

Vodafone を除いた携帯電話キャリアについて画面が表示され,受け付けが可能であ ることを確認した。

■課題・問題点

Vodafone で画面が表示されない。その原因であるが、今回のシステム構成では、実 験的に構築した環境ということもあり、WWWサーバとMobilenetServer/WEBを並存 する構成としたため、Vodafoneが通信で使用するポート番号80をオペレータ代行窓口 機能(WWWサーバ)で利用し、携帯電話側の通信をポート番号88としたことが原因 である。

 ■対応策

 携帯電話側のWWWサーバをポート番号 80 にて単独で運用することにて対応が可 能である。

(2)オペレータ代行窓口機能  ■検証内容

オペレータ代行窓口機能の検証評価は以下のように実施した。

 今回開発したオペレータ代行窓口機能は、現在の札幌市コールセンターにて運用され ているオペレータの観察分析を元に開発されたものである。観察では、コールセンター の対応を「準備/学習」「案内」「受付登録」「対応履歴記録」に分類した。これらは個々 に独立したものではなく、連続した一つのプロセスないしは一つの系(システム)とし て捕らえるのが妥当であることから、本システムの機能評価に関しても、受付登録に限 定せず,連続したプロセスについて実施した。

 具体的には、次のとおりである。

1)従来と同様のシステム(電話受け付け+エクセル登録)で対応を行う場合 2)今回開発したシステムを用いて対応を行う場合(電話受け付け+システム)

 この2つについて、実験評価で用意した手続について、過去のコールセンター対応履 歴を参考にしながら、スムーズに対応ができるシナリオ、対応に困るようなシナリオな ど3つのシナリオを用意し、仮想的な市民からの受付開始から終了までのオペレータの 対応状況をビデオ撮影により観察するとともに対応時間を記録し、1)と2)のプロセ スの比較を行った。

 ■検証評価ポイント

オペレータは市民と直接対応する窓口であることから,市民とやり取りする時間の短 縮が図れることにより,市民満足度,市民サービス向上につなげることができる。この

(14)

提示するまでの時間および市民と電話で応対しながら受け付け内容を登録する際の時 間を検証評価ポイントとした。

 ■検証結果

その結果、2)の場合が1)の場合に比べて、より短時間での対応が可能であること がわかった(下表)。

実験 比較点 現行プロセス 新プロセス

1 市民が「親子ものづくり教室」に参加したい旨を伝え、オペ レータがその詳細情報を表示し、市民に伝える準備が出来る までの時間値(保留開始から保留解除までの時間値)

約34秒 約24秒

市民が「中央区健康づくり活動交流会」に参加したい旨を伝 え、オペレータがその詳細情報を表示し、市民に伝える準備 が出来るまでの時間値(保留開始から保留解除までの時間値)

約34秒 約12秒

市民が「友達からパソコンのセミナーがあるって聞いたんだ けど・・・」というあいまいな依頼に対して、「再就職を目指 す女性のためのパソコンセミナー」を検索、参照し案内を開 始するまでの時間値

約1分32秒 約26秒

■課題・問題点

上記の通り,3つのシナリオとも市民からの問い合わせに対して受付を開始すること ができるまでの作業プロセスでは新システムに大きな効果があったが,検証評価作業を 通じて以下のような課題も明らかとなった。

・ データ入力(登録)プロセスの柔軟さ

新システムでは,受付のプロセスを汎用的な場面を想定しながら,(聞き取り)→「入 力画面で入力」→「確認画面で復唱確認」→「システムへ登録」→「登録後のお知ら せを通知」→(電話対応終了)としているが,市民との対応によっては短時間での完 結を目指すことを優先とするため,(聞き取り)→「入力画面に一部項目(もしくは 一部分のみ)入力」→「入力した画面内容で復唱確認」→(ここで市民との電話対応 は終了)→「残りデータの追記入力」→「システムへ登録」というプロセスの必要性 がオペレータからのインタビュー調査から得られている。インターネットから直接市 民が入力する場合は前者のプロセスで問題ないが,オペレータが対応する場合は上述 のとおりの課題が明らかとなった。

・ データ入力フォームの自由度

実運用レベルの課題であるが,現行プロセスにおけるデータ入力ツールのエクセル は自由度が高いため,想定しない受け付け内容にもある程度対応(データ入力)が 可能である一方,新システムではあらかじめ受付フォームを設計し入力していくた め,受付事業のデータ登録時にある程度自由度を持たせて,かつ,入力がしやすい ような登録項目や順序を考える必要がある。

(15)

■対応策

・ データ入力(登録)プロセスの柔軟さについて

運用後のオペレータの利用状況などを考慮しながら,改修対応を図る。

・ データ入力フォームの自由度

導入後の運用試験において一定のガイドラインを作成しながら,対応を図る。

5.プロジェクト実施結果

本プロジェクトの実施結果として以下の4点を記載する。

① 様々な手段を市民が利用できることによる利便性の向上がはかられ、行政のサービス水 準の向上に伴う参加型行政への機運をより高める効果が期待できる。

② 使いやすい,使えるシステムを市民をはじめ、市役所内部の窓口などにも提供すること で,IT による申請サービスの利用へ誘導することが可能であり,ひいては行政機関の 内部事務効率化、コスト削減、市民サービス(対応レベル)の均一化が望める。

③ 特定技術によらないオープンソース環境による開発を実施したことで,中小企業におい ても類似のシステム開発を行うことが可能であり、結果的に情報処理産業の活性化が望 める。特に、HCDプロセスは開発における最上流行程に位置するものであり、中小企 業が多い札幌の情報処理産業の開発力向上につながると期待される。

④ 市民の利便性、行政機関の有効性、情報処理産業の開発において、小樽商科大学がもつ 人間中心設計評価手法の知識が活用され、先進的なHCDの確立により、実装品質の向 上が図れる。また、「NPO人間中心設計推進機構」の活動として地域の情報化への貢 献も期待できるところである。

(16)

6.プロジェクトから導き出される課題と発展性

6.1 人間中心設計のシステム開発プロセスへの実務的適用の課題

既述のとおり,本プロジェクトのシステム開発工程において人間中心設計評価の考え方を 適用したことは一定の成果をあげることができた。

■課題・問題点

HCDを活用した業務システム開発自体が、まだ国内に先例が少ない先進的な取り組 みであったことから,試行錯誤的にプロジェクト全体を進めた部分もある。例えば,今 回はHCDによる設計グループとシステム製造グループを分担したが、短期間(8 ヶ月) のプロジェクトであったため,HCD 的な分析に十分な時間が用意できなかったことも 否めない。

HCD の成果を十分に生かし,後戻りの少ないシステムを開発していくためには,従 来型のシステム開発プロセスと比較して,上流工程の期間をより確保する必要があるも のと考えられる。

■対応策

今後,様々な業務への適用や開発期間の長短といった取り組み事例を増やしていく事 が必要であり,また,結果としてHCDの意義や必要性のアピールにつなげることがで きるといえる。

6.2 複合窓口システムの共同利用ビジネスモデルの可能性評価

 本プロジェクトにて開発した複合窓口システムは,様々な手続き申し込みに対応するた め利用登録や削除などの画面作成などを汎用的に使用できるよう,また,HCD的な視点 からITリテラシーがそれほど高くないオペレータが利活用できるように設計・開発を行 い,検証評価を通じて,手続き申し込み受付業務水準の平準化や迅速化などといった効果 を期待できることがわかった。

このことから,近隣自治体を始めとして,民間企業や各種団体等,手続き申し込み業務 は存在するがIT化に投資が行えないところとの共同利用ビジネスの可能性が期待される といえる。

このため,以下においては,複合窓口システムの共同利用型ビジネスの検討を実施した。

(1) 自治体における手続き受付業務

本プロジェクトで対象とした業務を参考に,自治体における手続き受付業務を類型化 した場合,次の3パターンに分類することができる。

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① 申込手続きをコールセンターへ電話・FAX・メール等で連絡し手続きを代行し てもらう場合

②  PC や携帯電話で電子申請システムにアクセスし市民や企業といった利用者自 身で手続きを行う場合

③ 市民や企業といった利用者が直接庁舎に出向き手続きを行う場合

図1 手続き受付業務モデル図

 民間企業や各種団体における手続き受付業務についても,基本的な受付フローに関して は,それほど変わらないものと考えることができる。

これら3パターンのうち,複合窓口システムでは,①と③についてはオペレータ代行窓 口機能が,②についてはインターネット窓口機能が利活用可能である。

(2) 費用構造の分析

 共同利用型ビジネスモデルを検討するにあたって,今回開発したシステムの費用構造 についての分析を行った。

共同利用部分は、コールセンター及びデータセンターに設置するシステム部分である。

データセンターには、「オペレータ受付代行システム」、「インターネット窓口システム」、

「受付管理システム」の3つのシステムを設置し,これらの管理・運用は民間運営会社 が行う。これらの前提のもと、共同利用に関するコスト試算ならびに収入モデルについ

利用者(市民・企業)

市民コールセンター

(オペレーター統括、スーパーバイザー(電話・FAX対応)、リー ダー、オペレーター)

Web申請受付サービス

市役所(手続業務担当部署・コールセンター担当部署)

申込手続き

申込内容登録

申込入力

申込内容登録

申込確認

問い合わせ

(オペレーターでは対応不可の場合)

問い合わせ内容連絡

要望内容連絡

申込内容

確認

申込手続き処理

申込結果

確認通知

申込手続き

申込内容確

オペレーター代行窓口サービス

申込手続き処理

(18)

コールセンター

オペレータ代行受付システム インターネット受付システム

受付管理システム

ハウジング利用

データベース

市民・企業

A 市 B 市 企業

・ ・ ・

・携

電話・FAX・電子メール等から の手続き申込等

申込代行入力

手続き等処理

共同利用部分

共同利用システム 利用者

民 間 運 営 会 社

委託費又 は利用料

図2 共同利用モデル図

(ア)システム運営コスト

システム導入コスト

システム導入コスト 金  額(円)

インターネット窓口システム 1,100,000 オペレータ代行窓口システム 940,000

受付管理システム 1,630,000

Webサーバの構築 100,000

DBサーバの構築 150,000

ネットワーク構築 250,000 構築環境検証 250,000

計 4,420,000

システム運用コスト

システム運用費用 金  額(円)

インターネット窓口システム保守 440,000 オペレータ代行窓口システム保守 376,000

受付管理システム 652,000

Webサーバ運用費 40,000

DBサーバ運用費 6,000

ネットワーク運用費 100,000 計 1,614,000

※運用実績がないため,システム導入コストから試算

(19)

データセンター利用コスト

データセンター利用費用 金  額(円)

ハウジング利用料(1ラック) 1,800,000 計 1,800,000

※国内にあるデータセンターのハウジング利用料をもとに試算

コールセンター運用コスト

コールセンター運用費用 金額(円)

コールセンター運用費用 80,000,000 計

※札幌市コールセンターの運用費用を適用。

(ただしコールセンター運用のためのシステム導入費用は考慮していない)

(イ)収入モデル

共同利用型ビジネスモデルの収入モデルとして2つのパターンを検討した。

狙いとするところでは民間企業や各種団体も対象者であるが,ここでは具体的な需要 予測が困難であるため、まず始めに業務自体の類似性から利用が期待される近隣自治体

(札幌市であれば8つ)を対象とした。

① 利用数による均等負担収入モデル

近隣自治体の人口規模や業務種類などは考慮せず,利用者数で均等にコストを負 担するとした場合,民間運営会社への負担額は¥10,225,000となる。この考え方で は利用者が増えれば,利用者あたりの負担額は減ることとなる。

しかし,複合窓口システムの対象業務が手続き申し込み受付であることを考慮す ると,人口の多い自治体では利用が多く,相対的に人口が少ない自治体においては 利用が少なくなることが考えられ,これらの自治体にとっては前述の負担額は費用 対効果の面でメリットが感じられず,結果として共同利用に対する参加が期待でき ない可能性が高い。同様の理由から,地元民間企業や各種団体への利用促進も促せ ないと考えられる。

② 利用者の規模に応じた比例負担

①で考察した通り,手続き申し込みは人口によって利用の多少が左右されるとい え,このため,ここでは人口比率に応じた比例負担での収入モデルについて検討し た。

その結果は下の表にあるとおりとなる。

(20)

参加自治体(人口) 共同利用サービス 負担額(単位:円)

札幌市(187万人) 62,949,000 小樽市(14万人) 4,713,000 江別市(12万人) 4,040,000 千歳市(9.2万人) 3,097,000 恵庭市(6.8万人) 2,289,000 石狩市(6.1万人) 2,053,000 北広島市(6万人) 2,019,000 当別町(1.9万人) 640,000

この場合,人口規模の小さな自治体での利用可能性が高まる一方で,民間企業や 各種団体が利用する場合は,別の尺度での試算が必要となる。

③ 申し込み業務規模に応じたASPサービス料負担

②で示したとおり,自治体や民間企業・各種団体を対象とした場合は,利用者に 共通した尺度の元での負担の考え方が必要である。この尺度としては,システムが 対照する業務である手続き申し込み受付の規模をあげることができる。

例えば,ある手続き申し込みの参加対象者数や受付期間などを定量的な評価尺度 として,ASPサービスの利用料金を設定することで,利用規模が小さな利用者は相 対的に負担額を押さえることが可能であり,参入の可能性も高まると考えられる

(例えば映画試写会や地域イベントへの参加申し込みなど)。

(3) 実現に向けた課題

(1),(2)の検討結果を踏まえ,共同利用型ビジネスの実現に向けた課題につい て整理する。

(ア)マーケットの有無

■課題・問題点

(2)で検討したように,共同利用サービスは,例えばコールセンターを持たな い(単独では持てない)自治体や民間企業・団体のアウトソース先として活用でき ることが考えられる。その一方で,共同利用型ビジネスとして持続的に運営を図っ ているためには,確固とした基盤の確立が不可欠であるといえる。(2)で示した サービス利用規模に応じた収入モデルのみだけではなく,定常的に発生し,また利 用件数も一定規模が見込める行政手続きの窓口代行機能を担っていくことも視野 に入れなければならないと思われる。

(21)

■対応策

自治体については共同利用の可能性について更に深く調査研究を進めることが必 要であるとともに,民間企業や各種団体に関しても利用場面や利用価値の創造を含 めたマーケッティング活動を行い,市場の有無を確認していく必要がある。

(イ)個人情報保護の観点

■課題・問題点

手続き申し込み業務では必然的に個人情報を扱うこととなる。このため,共同利 用にあたっては,情報の確実な管理が必須である。共同利用型サービスの利用者で ある自治体と民間企業や各種団体との情報の受け渡し方法,収集した個人情報の第 三者提供のあり方など検討すべき課題は多い。

■対応策

自治体、民間企業、各種団体とのポリシーの摺り合わせの可能性や共同利用サー ビス主体のポリシーの策定。

(ウ)地域ワンストップサービスセンターへの発展

■課題・問題点

本システムは,札幌市における手続き申し込み業務の現状からスタートして,複 合窓口化の最初のステップとして実現したものである。今後,インターネットの利 用人口はますます増加し,手続き申し込みの利用割合もインターネット窓口機能が 大部分を占めることが予想される一方で,札幌市における過去の調査結果や既に顕 在化しつつあるデジタルデバイドの問題を考えても,市民接点の手段は,単一手段 では十分とはいえない。

■対応策

その意味で,本システムの意義は高いということができるが,これが発展してい くと,様々な生活シーンにおけるワンストップサービスセンターとしての役割を果 たすことも不可能ではないと思われる。

その際に重要になると思われるのは,市民がここへたどり着き,また,サービス をうまく利活用できるようにするための事前の情報提供といえる。

共同利用型サービスとしてこの部分までカバーすべきかどうかは,別の議論であ るので,ここでは深く掘り下げることはしないが,地域情報の提供を実施する,自 治体を含めた他主体との連携は必要不可欠であることは確かであり,(ア)と同様,

今後も調査研究を図っていきながら,連携の方法論を検討していくことが必要であ る。

以上

(22)

発行日 平成 18 年3月 

作 成 財団法人ニューメディア開発協会 

住 所 〒108‑0073 東京都港区三田 1‑4‑28 三田国際ビル 23 階  電 話 03‑3457‑0673 FAX 03‑3451‑9604 

 

開発事業者 札幌総合情報センター株式会社 

住 所 〒003‑0801 札幌市白石区菊水 1 条 3 丁目 1‑5 メディアミックス札幌  平成 17 年度先進的情報活用事業モデルシステム開発事業 

札幌市「複合窓口システム開発と人間中心設計評価」 

(要旨) 

内容のすべておよび一部を許可なく引用、複製することを禁じます。 

URL:www.nmda.or.jp 

参照

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