• 検索結果がありません。

Research Report 縮小するロシア経済 :2015 年マクロ実績の分析 降のロシア経済は 7% 台の高成長を記録した時期を含めて 家計消費主導の成長で特徴付けられていたが そのメカニズムが全く働かなくなったことを意味する 家計消費は 2014 年には対前年比 1.5% の増加であったが

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "Research Report 縮小するロシア経済 :2015 年マクロ実績の分析 降のロシア経済は 7% 台の高成長を記録した時期を含めて 家計消費主導の成長で特徴付けられていたが そのメカニズムが全く働かなくなったことを意味する 家計消費は 2014 年には対前年比 1.5% の増加であったが"

Copied!
23
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

特集◆日ロ経済関係の再活性化を目指して

はじめに

2014年には辛うじてプラス成長に留まった ロシア経済であるが、油価がほぼ半減した2015 年は3.7%のマイナス成長となった。ロシア経 済が石油・ガスに依存することを想起するなら ば、油価が半減した際にマイナス成長となるこ とは、驚くに値しない。ロシア経済の石油・ガ ス依存が続く限り、むしろこれはノーマルな現 象であると見なすべきであろう。経済が大きく 縮小した2009年と比べた場合の2015年の特徴 は、家計消費が投資以上に大幅に減少したこと である。家計を中心とする需要の減退が経済全 体を覆っている状況である。油価の下落はルー ブル・レートの大幅な下落をもたらし、それが 12.9%という高いインフレをもたらした。この 高インフレも、需要減退の一因となっている。

継続されている経済制裁は、投資の減少には間 接的に影響したと考えられるが、GDP縮小の大 半は油価の下落で説明されよう。一方、対外経 済関係においては、輸出入が大きく縮小したこ とに加えて、経済制裁の影響で外国との資本取 引が大幅に縮小し、国際収支表の様相はこれま でと一変した。財政については、石油・ガス収 入の減少により、一般政府予算の赤字が対GDP 比3.5%となったが、予備基金の取崩しによる やりくりが続けられている。

1.経済成長の動向

(1)支出GDP

油価は、年平均で見ると、2014年の1バレル

=96.2ド ル か ら2015年 に は 同50.8ド ル へ と 47.2%もの下落となった1)。ロシアの経済成長 率は、油価の動態に連動しており、GDPの成長 率はマイナス3.7%となった(図1)2)。マイナ ス成長となったのは、2009年以来のことである。

2009年には36.3%の油価下落に対してGDPが 7.8%縮小したことと比べると、2015年の3.7% という縮小幅は、意外と小さいという感もある。

ロシアのGDPは、公定レートでドルに換算す ると、2000年には2,597億ドルであったが、その 後の経済成長とルーブルの増価により、2013年 には2兆2,318億ドルに達した(図2)3)。しか し、2014年以降のルーブルの急速な減価により、

2015年には1兆3,321億ドルにまで減少した。

2007年の水準にまで減少したことになる。ドル 建ての1人当りGDPも、2015年には9,098ドル であり、2007年の水準にまで下がっている。ロ シアは2012年から世界銀行により「高所得国」

に分類されるようになっていたが、再び「上位 中所得国」に戻されるものと思われる4)

GDPの支出項目別成長寄与度では、家計消費 の寄与度がマイナス5.1%もの大きさになった ことが最大の特徴である(図3)。2000年代以

縮小するロシア経済:

2015年マクロ実績の分析

北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター センター長 田畑 伸一郎

■ Research Report ■

特 集

日ロ経済関係の再活性化を目指して

(2)

降のロシア経済は、7%台の高成長を記録した 時期を含めて、家計消費主導の成長で特徴付け られていたが、そのメカニズムが全く働かなく なったことを意味する。家計消費は、2014年に は対前年比1.5%の増加であったが、2015年に は同9.6%の減少となった。これまで家計消費 がもっとも大きく減少したのは2009年である が(対前年比5.1%)、2015年の減少率は、ソ連 崩壊後最大である。これに対応する小売商品売 上高の指標も、2014年の同2.7%増から、2015年 には同10.0%減となった。住民向け有料サービ

スも2014年の同1.3%増から、2015年には同

2.0%減となった。

消費の減少は、所得の減少によるところが大 きかった。実質平均賃金は9.3%減少した。名目 の平均賃金は4.8%増加したが、インフレ(消費 者価格上昇)率が12.9%と高かったために、実 質では大きく減少することとなった。一方、実 質可処分所得は、4.0%の減少に留まった5)。平 均年金は実質で3.8%減少した。名目の平均年 金は、2月に10.3%増加した以外は、ほとんど 増加がなかった。

家計消費減少の原因については、貯蓄率が高 まっていることも挙げられる。住民の所得の利 用構成のデータを見ると、貯蓄の構成比は2014 年の6.9%から2015年には14.1%に高まってい る6)。このデータから可処分所得に占める貯蓄 の比率(貯蓄率)を求めると、2014年の7.8%か ら2015年には15.9%に上がっていることが分 かる。ローンの返済も貯蓄に含まれるので、こ の貯蓄率の上昇は、金利が高いなかでローン返 済の負担や新たな預金が増えていることを反 映していると見られる7)

投資(固定資本形成)は、対前年比7.6%もの 大きな減少となった。2014年には同2.6%の減 少であった。投資統計における投資は2014年の 同1.5%の減少から、2015年には同8.4%の減少 へと減少幅が拡大した。部門別の投資のデータ

は、「小企業の投資と直接的統計方法では観察 されない投資」を除くデータしか得られないが、

そのデータによると、表1に示した部門分類で は、鉱業と商業以外のすべての部門で大幅減と なった8)。鉱業部門に次いで投資が多い運輸・

通信、製造業、不動産・事業サービスの各部門 においても、投資が大きく減少した。製造業は、

2010~2014年は投資が増加していたが、2015年

は対前年比9.5%もの減少となった。運輸・通信 業は、鉄道が同18.6%減、パイプラインが同 11.4%減で、全体として同13.6%の減少となっ た。不動産・事業サービスが、2014年の同18.5%

の増加から、2015年には一転して同15.7%の減 少となったことは、好調だった住宅建設が頓挫 したものと見られる。石油・ガスを中心とする 鉱業部門で投資が10.7%も増えていることに は、制裁の下で国家予算からの投資や国民福祉 基金の運用が影響した可能性がある。

輸出は2014年の対前年比0.6%増から、2015 年には同3.6%増となった。輸出は、後述のよう に、金額では大幅な減少となったが、実質(数 量ベース)では、石油・ガスの輸出量が増えた ことなどにより、増加となった。輸入は2014年 の同7.6%減から、2015年には同25.7%もの大幅 な減少となった。輸入の減少は、GDPの増加要 因となるので、2015年の成長寄与度は5.4%と

なり、2015年にもっとも大きく成長を支えるこ

ととなった(図2)。

2015年におけるGDPの縮小は、基本的に油価 下落が引起こした需要減退によるところが大 きいと考えられ、経済制裁の影響は、投資減少 への間接的影響など、限定的なものではなかっ たかと思われる。財務省シンクタンクのグルヴ ィッチらが『経済の諸問題』誌に執筆した「ロ シア経済に対する金融制裁の影響」と題する論

考では、2017年までの試算であるが、GDP縮小

に対しては、油価下落の影響が金融制裁の影響 の3倍以上という見方が示されている9)

(3)

図1 ロシアの経済成長率と油価上昇率

(出所)ロシア統計局ウェブサイトから作成。油価はIMFウェブサイトの世界平均価格。

図2 ロシアのドル建てGDPの推移

(注)ルーブル建ての数値と公定レート、人口から計算した。人口は、年初と年末の数値から求めた年央 の数値を用いた。2014年以降はクリミア連邦管区を含む。

(出所)ロシア統計局と中央銀行のウェブサイト、IFSから作成。

2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

GDP成長率(%、左軸) 8.2 8.5 5.2 ▲ 7.8 4.5 4.3 3.5 1.3 0.7 ▲ 3.7

油価上昇率(%、右軸) 20.5 10.6 36.4 ▲ 36.3 27.8 31.6 1.0 ▲ 0.9 ▲ 7.6 ▲ 47.2

▲ 50

▲ 25 0 25 50

▲ 10

▲ 5 0 5 10

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 1人当りGDP(ドル、左軸) 1,772 2,100 2,378 2,976 4,102 5,322 6,923 9,105 11,655 8,579 10,678 14,228 15,042 15,552 14,159 9,098 GDP(10億ドル、右軸) 260 307 345 431 591 764 990 1,300 1,664 1,225 1,525 2,034 2,154 2,232 2,053 1,332

0 500 1,000 1,500 2,000 2,500

0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000

(4)

図3 ロシアの支出項目別GDP成長寄与度(%)

(出所)ロシア統計局ウェブサイトから作成。

表1 ロシアの投資動態

(対前年比増加率 %)

(注)2015年は、小企業の投資と直接的統計方法では観察されない投資を除く。

(出所)ロシア統計局ウェブサイトから作成。

2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

家計消費 6.0 6.9 5.1 ▲ 2.5 3.0 3.5 3.7 2.3 0.8 ▲ 5.1

総固定資本形成 3.2 3.9 2.2 ▲ 3.2 1.3 2.0 1.2 0.2 ▲ 0.5 ▲ 1.6

在庫品増加 0.4 0.8 0.3 ▲ 7.2 4.1 2.8 ▲ 0.3 ▲ 1.9 ▲ 1.2 ▲ 2.3

輸出 2.6 2.1 0.2 ▲ 1.5 2.0 0.1 0.4 1.3 0.2 1.0

輸入 ▲ 4.6 ▲ 5.5 ▲ 3.2 6.7 ▲ 5.3 ▲ 4.3 ▲ 2.0 ▲ 0.7 1.6 5.4

その他 0.6 0.3 0.6 ▲ 0.1 ▲ 0.5 0.3 0.4 0.2 ▲ 0.2 ▲ 1.0

GDP(市場価格) 8.2 8.5 5.2 ▲ 7.8 4.5 4.3 3.5 1.3 0.7 ▲ 3.7

▲ 15

▲ 10

▲ 5 0 5 10 15

2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2015

構成比

全体 ▲ 13.5 6.3 10.8 6.8 0.8 ▲ 1.5 ▲ 10.2 100.0

農林業 ▲ 21.9 ▲ 10.9 34.8 1.0 3.9 ▲ 5.3 ▲ 10.9 3.1

水産業 ▲ 11.9 8.8 50.4 35.9 14.9 3.0 ▲ 39.9 0.1

鉱業 ▲ 10.1 6.6 10.9 13.5 ▲ 1.5 4.6 10.7 24.0

製造業 ▲ 17.2 1.5 7.9 12.4 7.3 3.4 ▲ 9.5 18.1

電気・ガス・水道業 8.9 12.5 14.8 7.9 ▲ 2.2 ▲ 4.1 ▲ 29.9 8.6

建設業 ▲ 30.1 10.9 ▲ 9.4 ▲ 2.7 16.7 3.8 ▲ 16.3 1.6

卸売・小売業 ▲ 20.8 20.2 ▲ 8.6 24.4 6.5 2.5 2.9 3.3

宿泊・飲食サービス業 ▲ 6.7 14.8 9.4 ▲ 25.3 60.0 10.3 ▲ 61.2 0.4

運輸・通信業 3.5 2.4 23.0 0.6 ▲ 4.6 ▲ 12.3 ▲ 13.6 20.9

金融・保険業 ▲ 0.3 12.9 25.1 20.6 ▲ 12.4 ▲ 13.5 ▲ 18.5 1.3

不動産・事業サービス ▲ 26.3 25.4 ▲ 6.1 9.5 4.9 18.0 ▲ 15.7 10.6

公務・国防・社会保障 ▲ 7.0 ▲ 15.1 54.9 ▲ 5.3 1.3 ▲ 1.1 ▲ 11.3 2.0

教育 ▲ 20.6 9.7 13.4 2.3 3.1 0.6 ▲ 18.1 2.1

保健衛生・社会事業 ▲ 16.2 3.6 4.4 13.0 ▲ 16.0 ▲ 15.3 ▲ 20.2 1.6

その他サービス ▲ 14.3 4.7 16.1 6.0 5.5 ▲ 25.4 ▲ 17.3 2.3

(5)

(2)生産GDPと鉱工業生産

表2の部門分類では、GDPは、3つの部門を 除いて、マイナスの成長率となった。とくに、

3大部門の1つである商業(卸売・小売業)に おいて、部門別では最大の10.0%もの減少とな った。その内訳では、小売業が10.5%、卸売業 が8.5%の減少であった。商業のGDP成長への 寄与度はマイナス1.4%であり、部門別では最 大となった。次に、マイナスの寄与度が大きか ったのは製造業で、マイナス0.6%であった。製 造業も3大部門の1つであるが、成長率はマイ ナス5.1%で、マイナス幅が大きかった。もう1 つの3大部門である不動産・事業サービスの成 長率は、マイナス0.9%に留まった。この部門の なかでは、不動産が対前年比1.6%増であった。

この他の主要部門では、建設業が同7.4%減、運 輸・通信業が同1.5%減を記録した。2014年まで 異常なまでの高成長を遂げていた金融・保険業 も同3.6%減となった。プラスの成長を記録し たのは、農林業、鉱業、保健衛生・社会事業の

3部門だけであった。農林業は、これで3年連 続のプラス成長となった。

表3の鉱工業生産統計を見ると、2015年の鉱 工業生産は対前年比3.4%の減少となった。と くに、製造業が5.4%もの減少となった。製造業 の3大部門のなかでは、冶金・金属製品が6.5%

の減産となった一方で、食品と石油製品はそれ ぞれ2.0%、0.3%の増産となった。この他の主 要部門では、化学は6.3%の増産となったが、輸 送機器は8.5%、電気機械は7.9%の減産となっ た。

食品と化学で増産となったことには、この2 つの部門において輸入代替が進んだことが影 響している10。食品のなかでは、飼料が対前年 比7.8%増、食肉が同5.0%増、乳製品が同2.0%

増となった。食品は2014年からの逆制裁により 輸入が大きく制限されてきたなかで、2015年に はその1年延長や適用対象国の拡大などがな されており11、輸入代替が進まざるを得ない状 況にあった。

表2 ロシアGDPの生産部門別増加率

(対前年比増加率 %)

(出所)ロシア統計局ウェブサイトから作成。

2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2015

構成比

GDP(市場価格) ▲ 7.8 4.5 4.3 3.5 1.3 0.7 ▲ 3.7 100.0

農林業 1.5 ▲ 12.1 14.7 ▲ 1.5 4.8 2.0 3.1 4.4

水産業 5.6 ▲ 9.1 4.1 6.9 3.2 1.8 ▲ 0.7 0.3

鉱業 ▲ 2.4 6.6 3.4 2.0 ▲ 3.5 2.0 1.1 9.8

製造業 ▲ 14.6 8.6 6.3 5.4 4.4 0.6 ▲ 5.1 14.2

電気・ガス・水道業 ▲ 4.7 4.0 0.0 1.6 ▲ 1.9 ▲ 1.1 ▲ 1.4 2.8

建設業 ▲ 14.7 4.4 7.6 4.0 0.1 ▲ 2.8 ▲ 7.4 5.9

卸売・小売業 ▲ 5.8 5.8 3.2 3.4 0.4 1.4 ▲ 10.0 15.8

宿泊・飲食サービス業 ▲ 14.9 6.5 6.6 4.5 2.3 0.1 ▲ 5.3 0.9

運輸・通信業 ▲ 8.6 5.5 6.5 4.0 2.1 ▲ 0.8 ▲ 1.5 7.3

金融・保険業 1.5 0.3 3.5 19.6 12.0 10.5 ▲ 3.6 4.3

不動産・事業サービス ▲ 4.5 6.0 2.2 2.8 0.9 ▲ 0.2 ▲ 0.9 17.4

公務・国防・社会保障 ▲ 0.1 ▲ 0.3 ▲ 3.2 0.9 1.0 0.5 ▲ 0.8 8.1

教育 ▲ 1.4 ▲ 1.8 ▲ 0.8 ▲ 2.9 ▲ 2.1 1.9 ▲ 4.1 2.6

保健衛生・社会事業 ▲ 0.2 0.3 1.1 2.4 0.7 1.7 0.4 4.1

その他サービス ▲ 20.0 2.2 ▲ 0.4 0.8 ▲ 0.1 ▲ 2.3 ▲ 1.4 1.6

(6)

表3 ロシアの鉱工業部門別生産増加率

(対前年比増加率 %)

(注)1)出荷高に占める構成比(%)。

(出所)ロシア統計局ウェブサイトから作成。

化学のなかでは、医薬品が同8.9%増、石鹸・

洗剤・化粧品が同6.6%増、農薬が同4.6%増、

基礎化学品が同4.1%増となった。このほか、電 気機械のなかの医療設備も同19.4%増であっ た。医薬品と医療設備はこれまで輸入の割合が 大きく、国産品についても輸入原材料・部品へ の依存度が非常に高いという特徴があった12。 このため、ルーブル安による価格上昇が輸入を 大きく減少させることになった。さらに、政府

が、2015年以降、医薬品と医療設備の輸入を制

限するような措置を取ってきたことも、輸入代 替が進んだ原因であると考えられる。

2014年に8.5%の増産となった輸送機器は、

2015年には一転して8.5%の減産となった。こ のうち、自動車部門は、乗用車が対前年比 26.7%減の121.3万台の生産に留まるなど、

20.6%の減産となった。自動車以外の部門は

3.1%の増産であった。2014年にはこの自動車 以外の部門が対前年比24.0%の増産であり、軍 用機と宇宙設備の著しい増産が推測された13

2014年については、GDPの詳細部門別増加率デ

ータを利用することにより、このような推測が 可能になったが、2015年については、この部分 の発表形式が変えられ、飛行機・宇宙設備、船 舶などの増加率データが得られなくなったた め、これ以上の推測ができなくなった。

鉱業は0.3%の増産となり、辛うじて減産を 免れた。主要品目では、原油(ガス・コンデン セートを含む)が5億3,300万t(対前年比1.3%

増)、天然ガスが5,540億㎥(同2.6%減)、LNG が1,080万t(同0.2%増)、石炭が3億7,200万t

(同4.5%増)であり、天然ガス以外は増産とな った。対前年比1.6%減となった電気・ガス・水 道業のなかで、発電量は同0.3%増であった。

2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2015 構成比1)

鉱工業全体 ▲ 9.3 8.2 4.7 2.6 0.4 1.7 ▲ 3.4 100.0

鉱業 ▲ 0.6 3.6 1.9 1.1 1.1 1.4 0.3 23.7

燃料・エネルギー 0.4 3.1 1.3 1.2 0.9 1.4 0.0 21.0

その他 ▲ 7.4 7.3 4.8 0.9 2.3 1.6 2.2 2.7

製造業 ▲ 15.2 11.8 6.5 4.1 0.5 2.1 ▲ 5.4 66.6

食品・飲料・タバコ ▲ 0.6 5.4 1.0 5.1 0.6 2.5 2.0 12.0

繊維・縫製 ▲ 16.2 12.1 2.6 ▲ 2.0 4.3 ▲ 2.5 ▲ 11.7 0.6

皮革・製靴 ▲ 0.1 18.7 8.6 ▲ 10.1 ▲ 4.4 ▲ 2.8 ▲ 11.4 0.1

木材加工・同製品 ▲ 20.7 11.4 4.0 3.3 8.0 ▲ 5.3 ▲ 3.4 0.9

紙パルプ・出版・印刷 ▲ 14.3 5.9 1.8 2.1 ▲ 5.2 0.4 ▲ 6.3 1.9

石油製品 ▲ 0.6 5.0 2.9 2.2 2.3 5.7 0.3 15.3

化学工業 ▲ 6.9 14.6 5.2 1.3 5.4 0.1 6.3 5.3

ゴム・プラスチック製品 ▲ 12.6 21.5 13.1 7.4 5.9 7.5 ▲ 3.7 1.6

その他非金属鉱物製品 ▲ 27.5 10.7 9.3 5.6 ▲ 2.0 1.8 ▲ 7.8 2.4

冶金・金属製品 ▲ 14.7 12.4 2.9 4.5 0.0 0.6 ▲ 6.5 10.6

一般機械・設備 ▲ 31.5 12.2 9.5 0.4 ▲ 3.4 ▲ 7.8 ▲ 11.1 2.7

電気・電子・光学機器 ▲ 32.2 22.8 5.1 4.3 ▲ 1.0 ▲ 0.5 ▲ 7.9 3.8

輸送機器  ▲ 37.2 32.2 24.6 12.7 2.2 8.5 ▲ 8.5 5.9

その他 ▲ 20.7 17.7 4.5 ▲ 0.9 ▲ 4.6 2.7 ▲ 6.0 3.6

電気・ガス・水道業 ▲ 3.9 4.1 0.1 1.2 ▲ 2.5 ▲ 0.1 ▲ 1.6 9.7

(7)

2.対外経済関係の動向

(1)経常収支と貿易収支

経常収支については、数字のうえでは、2014 年よりも改善された形となっている(表4)。

経常収支の黒字は対前年比112億ドル(19.3%)

増加して、696億ドルとなった。これは、貿易 収支の黒字は412億ドル(対前年比21.7%)減少 したが、サービス収支と投資収益収支の赤字が それぞれ187億ドル、264億ドル減少したことな どによるものである。

貿易については、輸出額が対前年比31.4%減 少して、3,415億ドルにまで落ち込んだ。2014年 の減少率は4.6%であったから、2015年には大 幅な落込みとなったことが分かる。以下に示す ように、石油・ガスの輸出量はいずれの品目で も増えており、これは輸出価格の大幅な下落に よるものであった。油価が年平均でほぼ半減す るなかでは当然の結果と考えられる。原油の輸 出額は896億ドル(対前年比41.8%減)、輸出量 は2億4,450万t(同9.4%増)、石油製品の輸出 額は675億ドル(同41.8%減)、輸出量は1億 7,170万t(同3.9%増)、天然ガスの輸出額は418 億ドル(同24.3%減)、輸出量は1,855億㎥(同 6.4%増)、LNGの輸出額は45億ドル(同13.3%

減)、輸出量は2,140万㎥(同4.4%増)であった。

2014年に大きく増加した小麦類の輸出は2,123 万tで、対前年比3.8%の減少となった14

輸入額は対前年比37.4%減少して、1,930億ド ルとなった。2014年の減少率は9.7%であった から、輸入についても2015年に落込みが格段に 大きくなったことになる。輸入減少の主因は、

国内需要の減退とルーブル安の進行であろう。

食品・同原料の輸入額は同33.7%減少して、265 億ドルであった。2014年は同7.7%の減少であ った。とくに、全体の21.5%を占めるEU諸国か らは同51.7%の減少、16.2%を占めるCIS諸国 からも同26.1%の減少となった。逆制裁対象国

からの迂回輸入が疑われているベラルーシか らの輸入は、2014年には対前年比27.8%増加し たが、2015年には同16.1%の減少となった。た だし、ベラルーシからのリンゴの輸入量は、

2015年に2.3倍に増加し、ロシアの総輸入量の

46.7%を占めるようになった。2015年の実績報

告では、逆制裁の対象となっている農産物・食 品の輸入数量についても品目別に示されてお り、それによると、総輸入量は対前年比19.7%

減少している。

サービス収支の赤字の減少(187億ドル)は、

輸出の減少(140億ドル)を上回る輸入の減少

(326億ドル)によって生じたが、輸入の減少 のうち155億ドルまでが、旅行収支における輸 入の減少、すなわち、ロシア人による外国旅行 の減少によるものであった。

投資収益の赤字の減少(264億ドル)は、受 取の減少(92億ドル)を上回る支払の減少(357 億ドル)によって生じたが、支払の減少のうち 278億ドルまでが、直接投資に関わる配当など の支払の減少によるものであった。外資系企業 の事業縮小などの影響であると見られる。

(2)資本収支

民間資本収支は、2014年には1,529億ドルも の流出超過であったが、2015年には948億ドル 減少して、581億ドルの流出超過となった15。 これまで、ロシアの資本流出(キャピタルフラ イト)は、外国における資産の増加が外国から 流入する資本の増加を大幅に上回ることで生 じていた(典型的には、表4の2011~2013年の 状況)。2015年は、資産が減少に転じ、負債の 減少が格段と大きくなるという2つの点で、ロ シアにとって全く新しい状況となった。2015年 における581億ドルの流出超過は、実際には、

流入が大幅に減った(負債が減った)ことで形 成されたものである。資産は39億ドル減少し、

負債は670億ドル減少した。

(8)

表4 ロシアの経常収支と民間資本収支

(単位 10億ドル)

(出所)ロシア中央銀行ウェブサイトから作成。

2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

経常収支-民間資本収支 ▲ 7.1 36.7 15.9 17.4 ▲ 26.9 ▲ 94.6 11.5

経常収支 50.4 67.5 97.3 71.3 33.4 58.3 69.6

貿易・サービス収支 95.6 120.9 163.4 145.1 122.3 134.5 111.9

貿易収支 113.2 147.0 196.9 191.7 180.6 189.7 148.5

輸出 297.2 392.7 515.4 527.4 521.8 497.8 341.5

輸入 183.9 245.7 318.6 335.8 341.3 308.0 193.0

サービス収支 ▲ 17.6 ▲ 26.1 ▲ 33.5 ▲ 46.6 ▲ 58.3 ▲ 55.3 ▲ 36.6

第1次所得収支 ▲ 39.7 ▲ 47.1 ▲ 60.4 ▲ 67.7 ▲ 79.6 ▲ 68.0 ▲ 36.7

雇用者報酬 ▲ 8.9 ▲ 8.5 ▲ 9.5 ▲ 11.8 ▲ 13.2 ▲ 10.1 ▲ 5.1

投資収益 ▲ 31.0 ▲ 38.7 ▲ 51.0 ▲ 56.8 ▲ 66.5 ▲ 58.0 ▲ 31.6

その他 0.1 0.1 0.2 1.0 0.1 0.1 0.0

第2次所得収支 ▲ 5.5 ▲ 6.3 ▲ 5.7 ▲ 6.1 ▲ 9.3 ▲ 8.2 ▲ 5.6

民間資本収支 57.5 30.8 81.4 53.9 60.3 152.9 58.1

資産 43.3 64.6 139.5 116.5 166.0 123.3 ▲ 3.9

銀行 ▲ 9.8 ▲ 5.2 35.4 25.3 37.7 48.5 ▲ 25.8

直接投資 1.1 1.0 0.9 6.2 1.3 1.9 1.7

貸付・預金 ▲ 8.7 5.5 38.1 19.4 25.6 ▲ 10.9 ▲ 12.4

その他 ▲ 2.2 ▲ 11.8 ▲ 3.6 ▲ 0.3 10.8 57.6 ▲ 15.1

その他部門 53.1 69.8 104.1 91.2 128.3 74.7 21.9

直接投資 42.1 51.0 65.9 42.5 85.2 55.2 19.8

証券投資 1.8 ▲ 0.1 4.4 1.8 2.2 5.6 3.4

外貨現金 ▲ 4.9 ▲ 7.5 ▲ 7.6 ▲ 9.2 ▲ 10.1 ▲ 8.6 ▲ 14.2

貿易信用 ▲ 4.7 0.8 3.2 7.9 7.6 7.1 5.4

疑わしい取引 24.6 25.9 33.3 38.8 26.5 8.6 1.5

その他 ▲ 5.8 ▲ 0.3 4.9 9.3 16.8 6.8 6.0

負債 ▲ 7.8 43.0 66.8 73.0 114.6 ▲ 37.6 ▲ 67.0

銀行 ▲ 42.1 17.6 7.8 33.3 20.4 ▲ 37.5 ▲ 59.8

直接投資 6.7 5.2 5.1 7.8 9.2 4.4 0.6

借入・預金 ▲ 37.0 19.5 20.5 29.2 17.2 ▲ 20.9 ▲ 32.3

その他 ▲ 11.9 ▲ 7.1 ▲ 17.7 ▲ 3.7 ▲ 5.9 ▲ 21.0 ▲ 28.1

その他部門 34.3 25.4 58.9 39.8 94.2 ▲ 0.2 ▲ 7.2

直接投資 29.9 38.0 50.0 42.8 60.1 17.6 4.3

証券投資 2.7 ▲ 4.9 ▲ 6.2 ▲ 8.1 ▲ 11.1 ▲ 12.3 ▲ 4.7

借入 1.6 ▲ 6.4 16.1 6.7 44.7 ▲ 5.8 ▲ 4.6

その他 0.2 ▲ 1.3 ▲ 0.9 ▲ 1.6 0.6 0.3 ▲ 2.1

誤差脱漏 ▲ 6.4 ▲ 9.1 ▲ 8.7 ▲ 10.4 ▲ 8.9 8.0 5.0

(9)

資産について見ると、銀行部門では、2014年 にはその増加が485億ドルであったのに対し、

2015年には258億ドルもの減少となった。とく に、「その他」が2014年の576億ドルの増加から、

2015年には151億ドルの減少となっている。詳 しい内訳は分からないが、何らかの対外資産の 売却・引上げがあったと見られる。その他部門

(主として企業)では、2015年における資産の 増加が2014年と比べて528億ドル減少したが、

とくに直接投資が354億ドルも減少した。

負債については、2014年と比べた場合のその 減少幅の拡大(294億ドル)のうち、224億ドル までが銀行部門で生じている。とくに、銀行部 門の借入・預金、「その他」において、減少幅 が拡大している。これは、借入・預金などの返 済・引上げが進んだことを示している。その他 部門では、2014年と比べてそれほど大きな変化 はなかった。

負債の減少は、金融制裁の影響で資金再調達 の可能性が狭められているなかで、債務の返済 が行われていることに関連している16。実際、

銀行・その他部門の対外債務は大幅に縮小した。

2015年初現在、銀行・その他部門の対外債務は

5,477億ドルであったが、2016年初現在では

4,743億ドルになっており、1年間に734億ドル 減少した。国際収支表における対外資産の減少 も、債務返済のために資産を回収したという部 分が少なくなかったと見られる。

ロシアへの資本流入にも影響する株価の動 向を見ると、相変わらず油価の動きとの連動性 が観察されるが、2014年ほどの下落はなかった

(図4)。2014年には1年間で油価が53.6%下 落したのに対し、株価が45.5%下落したが、

2015年には油価の37.0%の下落に対し、株価の 下落は3.9%であった17

図4 ロシアの株価指数(RTS)と油価の推移

(注)油価は月平均、株価は月初め。

(出所)IMFとRTSのウェブサイトから作成。

400 600 800 1,000 1,200 1,400 1,600 1,800 2,000 2,200 2,400

20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120

2009年1 7月 2010年1 7月 2011年1 7月 2012年1 7月 2013年1 7月 2014年1 7月 2015年1 2016年1 1995年9月1日=100

1バ当りド

油価(左軸) 株価(右軸)

(10)

30 40 50 60 70 80 90

2009年1月1日 7月1 2010年1月1日 7月1 2011年1月1日 7月1 2012年1月11日 7月3 2013年1月10日 7月2 2014年1月1日 7月1 2015年1月1日 7月1 2016年1月1日

ルー

(3)為替市場

ルーブルの為替レートは2014年末に急落し

た後、2015年4~5月にはある程度回復したが、

その後再び下落し、2015年末から2016年初めに は一段と低い水準にまで下がった。ロシアでは、

対通貨バスケット・レート(1ドル当りのルー ブル・レートと1ユーロ当りのルーブル・レー トにそれぞれ0.55と0.45をかけた合計値)が中 銀による為替管理の指針とされているが、図5 からその大きな変動と全体としての下落傾向 が確認できる。

ロシアの場合、ルーブル・レートは、油価の 動態に大きく左右されている。図6は2000年以 降の実質対ドル・レートと油価の変動を比べた ものである。この図からも、ルーブル・レート が2008年まで油価高騰とともに上昇したこと、

その後は、油価の高止まりに連動して高い水準 で推移したこと、そして、2014年以降、油価の 下落ともに、急落したことが分かる。2015年に おけるルーブル・レートの下落も、油価の下落 によるところが大きい。為替レートと油価との 連動は、ロシアの輸出額が油価に著しく左右さ れること、株価や投資も油価に左右され、それ が外国との資本取引にも影響することなどで 説明されよう。

為替市場の管理に関しては、ロシア中銀は 2014年11月から為替市場への介入を原則とし て止める政策を取るようになった。このため、

中銀による為替市場への介入額のデータを見 ても、2015年には5~7月に合計101億ドルの ドル買い介入があるだけで、その他の月には一 切介入がなかった(図7)。このため、ロシア の外貨準備についても、2015年にはほとんど変 化がなかった(図8)。2015年初と2016年初を 比べると、171億ドル(4.4%)の減少が見られ るだけである。2016年初現在、ロシアは外貨準 備の大きさ(3,684億ドル)で、中国、日本、サ ウジアラビア、スイス、台湾に次ぐ世界第6位 である18

ルーブル・レートについては、年平均で見る

と、2015年に大きく減少したことが分かる(表

5)。名目では、いずれのレートで見ても、25

~37%もの減価であり、これは2009年の減価率 を大きく上回っている。さらに、実質で見ても、

対ドル・レートで27.7%の減価を記録するなど、

大幅な減価となっている。2009年を上回るルー ブルの減価は、2015年の方が油価の下落がより 大きかったことのほか、中銀が為替市場にほと んど介入しなくなったことでも説明されよう。

図5 ルーブル公定レート(対通貨バスケット)の推移

(出所)ロシア中央銀行ウェブサイトの対ドル・レートと対ユーロ・レートからの筆者による計算値。

(11)

図6 ルーブルの実質レートと油価の推移

(出所)ロシア中央銀行、ロシア統計局、IMFのウェブサイトから作成。

図7 ロシア中央銀行による為替市場への介入額

(注)ユーロ建ての介入は公定レートによりドルに換算した。プラスはドル買い介入、マイナスはドル売り介入を示す。

(出所)ロシア中央銀行ウェブサイトから作成。

10 30 50 70 90 110 130

100 150 200 250 300 350 400

2000 Q1 Q2 Q3 Q4 2001 Q1 Q2 Q3 Q4 2002 Q1 Q2 Q3 Q4 2003 Q1 Q2 Q3 Q4 2004 Q1 Q2 Q3 Q4 2005 Q1 Q2 Q3 Q4

2006 Q1 Q2 Q3 Q4 2007 Q1 Q2 Q3 Q4 2008 Q1 Q2 Q3 Q4 2009 Q1 Q2 Q3 Q4 2010 Q1 Q2 Q3 Q4 2011 Q1 Q2 Q3 Q4 2012 Q1 Q2 Q3 Q4 2013 Q1 Q2 Q3 Q4 2014 Q1 Q2 Q3 Q4 2015 Q1 Q2 Q3 Q4

対ドル・レート(2000年Q1=100、左軸) 油価(IMF世界平均価格、1バレル当りドル、右軸)

▲ 30

▲ 25

▲ 20

▲ 15

▲ 10

▲ 5 0 5 10 15 20

2009年2月 7月 2010年1月 7月 2011年1月 7月 2012年1月 7月 2013年1月 7月 2014年1月 7月 2015年1月 7月 2016年1月

10億ドル

(12)

図8 ロシアの外貨準備とマネーサプライ(M2)の推移

(注)月初データ。

(出所)ロシア中央銀行ウェブサイトから作成。

表5 ルーブル・レートの推移

(単位 ルーブル)

(注)実効レートは、主要国の通貨に対するレートを当該国とロシアとの貿易額で加重平均して計算されたもの。実 質上昇率は、ロシアと外国の消費者価格指数(CPI)によるデフレート値。いずれも、ロシア中央銀行による計算値。

対バスケット・レートは、中央銀行発表の毎日の対ドル・対ユーロ・レートからの筆者による計算値。

(出所)ロシア中央銀行ウェブサイトから作成。

0 6,000 12,000 18,000 24,000 30,000 36,000

0 100 200 300 400 500 600

2009年1月 7月 2010年1月 7月 2011年1月 7月 2012年1月 7月 2013年1月 7月 2014年1月 7月 2015年1月 7月 2016年1月 10

10億

外貨準備(左軸) マネーサプライ(M2:右軸)

2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

年平均レート

対ドル・レート 31.7 30.4 29.4 31.1 31.8 38.0 60.7

対ユーロ・レート 44.1 40.3 40.9 39.9 42.3 50.5 67.4

対バスケット・レート 37.4 34.8 34.6 35.0 36.6 44.2 64.3

名目上昇率(%)

対ドル・レート ▲ 21.7 4.3 3.4 ▲ 5.5 ▲ 2.4 ▲ 16.2 ▲ 37.4

対ユーロ・レート ▲ 17.5 9.6 ▲ 1.5 2.3 ▲ 5.5 ▲ 16.2 ▲ 25.2

対バスケット・レート ▲ 19.5 7.3 0.7 ▲ 1.4 ▲ 4.3 ▲ 17.1 ▲ 31.3

実効レート ▲ 13.2 5.8 2.4 2.3 ▲ 2.6 ▲ 12.4 ▲ 25.2

実質上昇率(%)

対ドル・レート ▲ 12.2 9.7 8.8 ▲ 2.7 2.7 ▲ 11.1 ▲ 27.7

対ユーロ・レート ▲ 8.3 15.5 4.1 4.9 ▲ 0.8 ▲ 10.3 ▲ 13.6

実効レート ▲ 5.6 9.6 4.7 2.4 1.2 ▲ 8.4 ▲ 16.5

(13)

3.インフレ

2015年のインフレ率は12.9%であり、2014年 の11.4%を上回る高い率となった19。ロシアで

は、2008年までは、2006年を除いて、2桁台以

上のインフレ率であったが、2009~2013年には 1桁台となっていた(表6)。なお、2015年2 月16日付の経済発展省の予測では、2015年のイ ンフレ率は12.2%とされていたので、大体その 通りになったとも言える。

2014年と比べて1.5%ポイントほどインフレ 率が高くなったわけであるが、その内訳には変 化が見られる。非食品のインフレ率が、2014年 には3品目のなかでもっとも低かった(8.1%)

の に 対 し 、2015年 に は 食 品 に 迫 る 上 昇 率

(13.7%)となった。非食品の価格上昇率が2 桁台となったのは、2002年以来のことである。

価格上昇に対する寄与度を計算すると、食品が 5.1%、非食品が5.2%、サービスが2.6%となっ ている。食品のなかでは、食肉の寄与度が0.8%

(価格上昇率は8.3%)、菓子、野菜・果実、酒 類がそれぞれ0.6%(価格上昇率はそれぞれ 24.2%、17.4%、10.7%)となっており、非食品 では、乗用車が0.9%(価格上昇率は12.5%)、

衣服が0.7%(同12.8%)となっている。高イン フレの主因は、ルーブルの減価である。経済発 展省は、為替レートの影響が71%、逆制裁が

12%、その他の要因が17%と分析している20

鉱工業生産者価格や貨物輸送料金の上昇率 が高かったことも、2014年と比べた場合の2015 年の特徴である。これは、2014年には自然独占 分野(天然ガス、電力、鉄道貨物輸送、原油パ イプライン輸送など)の国家規制価格の凍結や 引上げ抑制が行われたが、2015年にはこれらの 価格の引上げが行われたことによるものであ る。このため、電力、鉄道、パイプラインにつ いて、高い上昇率が記録された。しかし、連邦 反独占局のコロレフ副局長によれば、2015年に おいてガスの国家規制価格の引上げは2%、電 力は7.5%、住宅・公営事業サービスは4%、鉄 道貨物は7.5%、石油パイプライン輸送は5.76%

に留まったとのことである21。なお、2015年7 月21日付大統領令第373号とそれを受けて出さ れた9月4日付政府決定第941号により、連邦 料金局が廃止され、自然独占分野における国家 規制価格設定関連の業務が連邦反独占局に移 管された。行政のスリム化の一環とも見られる が、独占企業にとって価格引上げがより困難に なるという見方も出されている。

2015年におけるマネーサプライ(M2)の増 加率は11.5%で、2014年の2.2%と比べて高い増 加率となった。ただし、2009~2013年の年平均 の増加率は19.5%であり、それと比べると高い ものではない(図8)。

表6 ロシアの価格上昇率

(各年12月末の対前年同期比上昇率 %)

(出所)ロシア統計局ウェブサイトから作成。

2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

消費者価格(CPI) 8.8 8.8 6.1 6.6 6.5 11.4 12.9

食品 6.1 12.9 3.9 7.5 7.3 15.4 14.0

非食品 9.7 5.0 6.7 5.2 4.5 8.1 13.7

サービス 11.6 8.1 8.7 7.3 8.0 10.5 10.2

鉱工業生産者価格 13.9 16.7 12.0 5.1 3.7 5.9 10.7

電力 17.6 13.8 2.1 5.4 6.2 4.9 7.7

貨物輸送料金 ▲ 2.5 33.1 7.7 7.5 8.0 0.9 11.5

鉄道 10.6 9.4 7.5 5.6 5.4 2.3 12.9

パイプライン ▲ 15.7 56.1 7.1 9.6 11.0 ▲ 3.5 11.2

(14)

4.財政の動向

(1)一般政府予算の実績

2015年の一般政府予算(連邦予算、地域予算、

地方自治体予算、予算外基金を含む)は、歳入 は対前年比1.0%の減少、歳出は6.1%の増加と なった(表7)。歳出についても、インフレ率 を考慮すると、実質では減少したことになる。

対GDP比では、歳入は32.8%(2014年は34.3%)、

歳出は36.3%(同35.4%)、財政赤字は3.5%(同 1.1%)である。

歳入が減少したのは、対外経済活動収入と物 品税だけであり、歳入総額の減少は、2兆1,684 億ルーブル(39.7%)減少した対外経済活動収 入によるものであると言える。これには原油等 の輸出関税の減少が影響した。これ以外では、

公有資産収入、自然資源利用税、強制社会保険 料、付加価値税、法人税などが2,000億~3,000 億ルーブル台の増加となった。

歳出については、2014年には2015年1月27日 付政府指令により国民経済費に追加の1兆ル ーブルが含められており、このために、前年と 比べた場合の2015年の国民経済費が大幅な減 少となっている。これ以外の費目では、国防費 の対前年比28.3%の増加と社会政策の同14.2%

の増加が目立っている。増加額はそれほど大き いわけではないが、増加率で見ると、国家・地 方自治体債務利払も同25.8%と高い率となっ ている。

(2)連邦予算の実績

ロシアでは、連邦予算に関して、毎年、当初 予算の修正が数回行われるのが通例だが、2015 年においても、歳入や歳出の総額の改定を伴う ような修正が2回行われた(表8)22。4月に 行われた修正は、当初予算が2014年9月に出さ れた経済発展省の経済予測に基づいていて実 態に合わなくなったので、2015年2月に出され

た予測に基づいて行われたものである23。歳入 が2兆5,427億ルーブル削減され、財政赤字が 2兆2,446億ルーブル増やされるなど、大幅な 修正となった。11月の修正では、逆に歳入が 7,117億ルーブル増やされ、財政赤字も5,094億 ルーブル減らされた。2015年の実績は、歳入も 歳出も、この11月の修正予算を若干上回る結果 となり、一方で財政赤字は小幅に下回ることと なった。

2015年の連邦予算の歳入は対前年比5.8%の 減少、歳出は同5.3%の増加となり、財政赤字は 1兆9,552億ルーブルとなった(表9)。財政赤 字額としては、2009~2010年と同程度である。

対GDP比で見ると、歳入は16.9%で、近年では もっとも低い数字となっている(表10)。とく に、石油・ガス収入(後述)は7.3%で、2009年 を下回る数字となった。歳出は19.3%で、これ は、2011~2014年と比べると高い数字である。

財政赤字は2.4%で、歳出を抑えたことにより、

2009~2010年よりは小さな数字となっている。

ロシアでは、歳入が石油・ガス収入とそれ以 外に分けられている。石油・ガス収入とは、表 11に示された石油・ガスの採掘税と輸出関税の 税収の合計である。これらの税率の多くはドル 建てで定められているため、2014年にはルーブ ル安の影響が油価下落の影響を上回って増収 となった。それが、2015年には一転して、輸出 関税が1兆8,648億ルーブルもの減収となった。

このうち、原油は1兆1,888億ルーブル、石油製 品は7,409億ルーブルの減収であったが、油価 の下落に加えて、原油の輸出関税率が引下げら れたことも影響している。この輸出関税率の引 下げは、ユーラシア経済連合における統合深化 を考慮して、原油の輸出関税を引下げ、その採 掘税を引上げるという政策に基づくものであ った24。このため、原油の採掘税は、2015年に 2,339億ルーブルの増収で、過去最高の水準と なっている。

(15)

表7 ロシアの一般政府予算

(単位 10億ルーブル)

(出所)RSE, 2014, pp. 509-510, 512; SEP, 2015, No.1; 連邦出納局ウェブサイトから作成。

表8 ロシア連邦予算の歳入・歳出額

(単位 10億ルーブル)

(出所)SEP, 2016, No. 1; 各年連邦予算法・同改正法から作成。

金額 構成比

(%) 金額 構成比

(%) 増加額 増加率

(%)

歳入総額 26,766.1 100.0 26,494.1 100.0 ▲ 272.0 ▲ 1.0

法人税 2,375.3 8.9 2,599.0 9.8 223.7 9.4

個人所得税 2,702.6 10.1 2,807.8 10.6 105.2 3.9

強制社会保険料 5,035.7 18.8 5,347.3 20.2 311.6 6.2

付加価値税 3,940.2 14.7 4,233.9 16.0 293.7 7.5

物品税 1,072.2 4.0 1,068.4 4.0 ▲ 3.8 ▲ 0.4

資産税 957.5 3.6 1,068.6 4.0 111.1 11.6

自然資源利用税・納付金等 2,934.7 11.0 3,250.7 12.3 316.0 10.8 対外経済活動収入 5,463.7 20.4 3,295.3 12.4 ▲ 2,168.4 ▲ 39.7

公有資産収入 797.2 3.0 1,148.2 4.3 351.0 44.0

その他(計算値) 1,487.0 5.6 1,674.9 6.3 187.9 12.6

歳出総額 27,611.7 100.0 29,307.8 100.0 1,696.1 6.1

国家的事業 1,640.4 5.9 1,838.8 6.3 198.4 12.1

国防 2,480.7 9.0 3,182.7 10.9 702.0 28.3

安全保障・治安 2,192.9 7.9 2,072.2 7.1 ▲ 120.7 ▲ 5.5

国民経済 4,543.1 16.5 3,774.4 12.9 ▲ 768.7 ▲ 16.9

燃料・エネルギー 44.3 0.2 103.6 0.4 59.3 133.9

農業・水産業 314.3 1.1 362.4 1.2 48.1 15.3

輸送 664.9 2.4 665.0 2.3 0.1 0.0

道路 1,184.7 4.3 1,209.3 4.1 24.6 2.1

通信・情報 89.9 0.3 87.5 0.3 ▲ 2.4 ▲ 2.7

応用科学研究 269.4 1.0 270.5 0.9 1.1 0.4

その他(計算値) 1,975.6 7.2 1,076.1 3.7 ▲ 899.5 ▲ 45.5

住宅・公営事業 1,004.7 3.6 979.9 3.3 ▲ 24.8 ▲ 2.5

社会・文化措置 15,154.2 54.9 16,727.1 57.1 1,572.9 10.4

教育 3,037.3 11.0 3,034.6 10.4 ▲ 2.7 ▲ 0.1

文化・マスコミ 527.4 1.9 521.3 1.8 ▲ 6.1 ▲ 1.2

保健・スポーツ 2,786.3 10.1 3,115.9 10.6 329.6 11.8

社会政策 8,803.3 31.9 10,055.4 34.3 1,252.1 14.2

国家・地方自治体債務利払 525.4 1.9 660.9 2.3 135.5 25.8

その他(計算値) 70.3 0.3 71.8 0.2 1.5 2.1

財政黒字 ▲ 845.6 … ▲ 2,813.7 … ▲ 1,968.1 232.7

2014(実績) 2015(実績)

2014 2016

実績 当初予算

2014.12.1

修正予算 2015.4.20

修正予算 2015.11.28

実績 当初予算

2015.12.14 歳入 14,496.9 15,082.4 12,539.7 13,251.4 13,655.7 13,738.5 歳出 14,831.6 15,513.1 15,215.0 15,417.3 15,610.9 16,098.7 黒字 ▲ 334.7 ▲ 430.7 ▲ 2,675.3 ▲ 2,165.9 ▲ 1,955.2 ▲ 2,360.2

2015

参照

関連したドキュメント

モノづくり,特に機械を設計して製作するためには時

経済特区は、 2007 年 4 月に施行された新投資法で他の法律で規定するとされてお り、今後、経済特区法が制定される見通しとなっている。ただし、政府は経済特区の

夜真っ暗な中、電気をつけて夜遅くまで かけて片付けた。その時思ったのが、全 体的にボランティアの数がこの震災の規

真竹は約 120 年ごとに一斉に花を咲かせ、枯れてしまう そうです。昭和 40 年代にこの開花があり、必要な量の竹

の 45.3%(156 件)から平成 27 年(2015 年)には 58.0%(205 件)に増加した。マタニティハウ ス利用が開始された 9 月以前と以後とで施設での出産数を比較すると、平成

私たちは、2014 年 9 月の総会で選出された役員として、この 1 年間精一杯務めてまいり

平成 24 年度から平成 26 年度の年平均の原価は、経営合理化の実施により 2,785

7 年間、東北復興に関わっています。そこで分かったのは、地元に