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(1)

乙第

3

号証

饂 牢 ,咤琴

...

見 I I � 平成 15 (2003) 年 5 月 3 日 t (' 大学法経学部教授)

t 9 .. ぃ ... 1 はじめに 本鑑定意見書は、 広島高等裁判所平成 1 4 年(ネ)第 ·3 0 7 号事 件(平成1 4年

1

2月1

9

日判決言渡)において争点となった過怠 約款に関して、 筆者の意見を述べるものである。 2-· 本件の事実の概要 貸金業者が貸付けを行う際に付する過怠約款を検討するにあたっ て、 まず、 本件事案を具体的に見ておくことにする。 本件被控訴人 である貸金業者は、 平成 1 0 年 2 月 2 0 日に、 本件債務者に対し、 4 彎・、 ) 金3 4 0万円を以下①、 ②、 ③の約定で貸し付けた。 ①弁済期・弁済方法 平成 1 0 年3 月から同 1 5 年 2 月まで毎

2 7

日限り元金

5

6

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円を経過利息とともに支払う。 ②利息 年率

2 9 . .8 0

バ ー セント

(3 6 5

日の日割計算) ③特約 前記元利金の支払を怠ったときは、 通知催告なくして期 限の利益を失い、 債務全額及び残元本に対する遅延損害金(年 率 3 9 . 8 0 パセント)を即時に支払う。· -� 疇

本件において、 債務者がこ .の約定どおりに支払いをなすとした場 合に、 元金 5 万 6 0 0 0 円を .6 0 回にわたって弁済する(ただし、 最終回は 9 万 6 0 0 0 円)と共に各回ごとに利息を支払うことにな

(2)

•• ‘ . "' • " .• •• • 9r、 •. 』... r ,,

..

各菱-:'. るが、 その額は、 年率

2 9 . 8 0

セントの経過利息によるため、 例えば、 第 1 回目の弁済日には 9 万 7 1 5 6 円、 第 1 2 回目(約 1 年後)の弁済日には

7

5 0 0 7

円、 第

2 4

回目(約

2

年後)の弁 済日には 5 万 5 1 7 8 円、 第 3 6 回目(約 3 年後)の弁済日には 3 万 4 0 9

4

円、 第

4

8 回目(約

4

年後)の弁済日には 1 万 8 8 1 0 円、 第 6 0 回目(約 5 年後)の弁済日には ・2 4 2 9 円となる。 これ によると、 第 2 1 回目(約 1 年 9 か月後)の弁済日までは、 元金を 上回る利息を支払う計算となる。 本件債務者は、 1 9 回目の弁済期である平成 1 1 年 9

2 7 日に 元本充当額5万6 0 0 1円と利息 ・ 遅延損害金6万5 3 9円の支払 うべきであったが、 この支払いを怠り、 期限の利益を失ったとして、 本件被控訴人は` 本件控訴人である連帯保証人に対して` 残元金及 び遅延損害金を訴求した。

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一.

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3 本件事実から読みとれる過怠約款の現実的機能 上述のように、 本件契約では、 債務者は、 借入額金3 4 0万円を 月 5 万 6 0 0 0 円ずつを 6 0 回にわたって弁済するものである(た だし、 最終回は 9 万 6 0 0 0 円を弁済する)・。 この点は、 債務者に とって有利な契約内容となっている。 ただし、 その反面、 債務者は、 総体的には、 利息制限法所定の制限を越える多額の利息を払うこと が契約内容となっている。 本件の場合、 債権者により契約時に提示 されている「償還表」(甲第六号証)によると、 1 年目(第 1 回,..., 12 回、•以下については回は省略)の利息額の合計は 94 万 4816 円、 2 年 目の利息額の合計は 71 万 7899 円、. 3 年目の利息額の合計は 52 万 371 円、 4 年目の利息額の合計は 32 万 70 円、 5 年目の利息額の合計は11 万 9907 円であり、 総利息額は、 262 万 3063 円となる。 その上で、 本件契約においては、 《所定の弁済日に所定の弁済額 の支払を怠ったときには、 期限の利益を喪失し、 残債務を即時に一 括して弁済しなければならない》という旨の過怠約款が付されてい る。 同約款においては、 各回の弁済日に支払がない場合に、 債権者

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(3)

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’ 疇^ヽ・ "`,· .•--·-· -.. がこれに基づいて残債務全額の一括弁済を求めるかどうかは、 全面 的に債権者の裁量に委ねられている。 したがって、 債権者としては、 より多くの利息が得られる初期の段階(例えば、 1年目、 2年目) においてはこの請求を桓力控え、 それ程多額の利息が得られない終 期の段階(例えば、 4 年目、 5 年目)においてはこの請求を極力行 うことも可能である。 これに対し、 債務者の側からは、 所定の弁済 日に約定の弁済額を支払えないないときには、 常に 初期である か終期であるかとは無関係に 、 期限の利益を喪失し 括弁済の 責めを負うことを覚悟しなければならない。 したがって、 このよう な性質を有する過怠約款については、 債務者にとって著しく不利な 過酷条項となることがないような措置がとられなければならない。 4 過怠約款に関する問題と本裁判所等の判断 (, ·)本件の争点及び過怠約款に関する問題 本件における最大の争点は` 本件契約において契約後に債権者よ り債務者に対し交付された書面は、 貸金業規制法 1 7 条で定める要 件を充たしたものと言えるかどうかという点にあると思われる。 そ して、 本件においては本件契約に過怠条項(過怠約款)が付されて •いたことから、 ①このことが、 法1 7条の書面として交付された本

件書面の効力に影響を与えるか(言い換えれば、 その結果として、 •• 本件では法4 3条の適用の要件を欠くことになるのか)が主たる争 点であると考えてよい。 ただ、 この争点と密接にかかわることとし て、 ②本件過怠約款は有効かという点が問題となる。 また` ③本件 過怠約款が付されていた下において、 法 4 3 条の要件としての「任 意性」が問題となる。 本鑑定意見書では、 これら①、 ②及び③の問 題について、 以下で意見を述べる。 ・駆 (2)本裁判所等の判断 上記の問題についての意見を述べる前に、 まず、 ①の点について 判断した本裁判所の見解を確認し、 次に、 この点に関し異なる判断

(4)

望・

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をした他の裁判所(小倉簡易裁判所平成14年9月25日判決)の見解 を見ておこう。 本裁判所は、 上記①の点について次のように判示した。 「法4 3 条の規定は、 利息制限法の特則であり、 一定の要件の下で、 債権者 が同法の制限を越える利息を取得することを容認するものである。 また、 債務者が、 返済期日において、 同法の制限内の利息及び約定 `の元金に充当する旨表明すれば、 同法所定の利息金と約定の元金を 支払えば期限の利益を喪失することはないというべきである。 そし て、 契約当事者は、『元利金の支払いを怠ったときは』通知催告な くして期限の利益を失うことを合意したものであって、 この合意を 『利息制限法上支払義務`のある利息及び元金の支払を怠ったとき』

J t . ぶ.ー-‘ 心'.-;;-·-... .---·,:, こ t若,::—::. .. •'\" . . ヽ•.... と限定的に解釈すべき理由はない。 したがって、 利息制限法所定の ―7今 利率を超える約定利息の支払をしないときは期限の利益を喪失する との約定も有効であるというべきである」「そうすると、 本件契約 書、 本件契約説明書・...には、 明確に期限の利益喪失条項が記載 されているので 法;- 7 条 1 項 8 号、 同法施行規則 1 3. 条 1 項 1 号 リの要件に欠けることはないものというべきである。」 これに対して、 原告である貸金業者が同ーで契約内容についても ほぽ同一の事件に関して、小倉簡易裁判所平成14年9月25日判決は、 上記①の点について次のように判示した。 すなわち.、 「利息の支払 を怠ったときは期限の利益を失う」旨の悌怠約款を含む契約証書は、 債務者が債権者に対し支払期日に制限利息を支払えば期限の利益を 喪失しないにもかかわらず、 約定利息を支払わなければ期限の利益 を喪失するという虚偽の事実を記載したものと解することができる。 契約証書の内容については、 顧客に弁済を強要することになるよう な曖昧な表現を避けて明確な記述ををし、 顧客に不利益を与えない よう配慮すべきであるところ、 本件各契約書の憬怠約款は、 この点 に欠け、 貸金業規制法 1 7 条 1 項及び同法施行規則 1 3 条の要件を 満たしたものとはいえない と判示した。 b

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(5)

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5 過怠約款の意義 金銭消費貸借における過怠約款は、債権者および債務者にとって どのような意味を有し、どのような機能を有するのか。まず、この 点を検討する。 (1) 分割弁済型金銭消費貸借 過怠約款は、債務者の分割弁済を前提としている。そこでは、債 務者は、各回ごとの債務の 一部の弁済をなせば、残債務の弁済につ いては次回(以降)の弁済日まで猶予される。このような分割弁済 は、多額の資金を必要とする債務者(例えば、いわゆる住宅ロ ー の債務者)や、事業または生活のために当面の資金に窮している債 務者(本件のような貸金業者から融資を受ける債務者等がこれに当 たるが、一般的に、このような者は、短期間で借受額を返済するこ とが困難であることが多い。)などにとって有益な制度である。他 方で、このような分割弁済型金銭消費貸借は、金銭の貸付けを業と する金融機関ないし貸金業者にとって、より多くの資金需要者を得 ることができ、また、利息により相当な利益を得ることができる点 で有益な制度である。 分割弁済を内容とする金銭消費貸借にあっては、契約当事者は、 相当な期間にわたる弁済を前提としており、債権者としては、一般 ~、 ) 的に、一括弁済や短期間での弁済が容易である債務者を想定してい 翌苓;.. . \ざ蕊苓: ない。短期間での括弁済が容易であるような債務者は、一般的に、 このような最終的に多くの利息を支払わなければならない契約を締 結することは少ないと思われる。 (2)債権者にとって有利な特約 上述のように、金銭消費貸借における過怠約款は.、相当な期間に わたって分割弁済される金銭消費貸借を前提としている。このこと からすると、 「 元利金の支払を(1回でも)怠ったときは、通知催 告なくして期限の利益を失い、債務全額及び残元本に対する遅延損 害金を即時に支払う」といった過怠約款は、このような契約関係と

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は相矛盾する側面を持つ。 そもそも過怠約款の有する機能は、 債務 者に対し各回の《約定どおりの弁済》を、 これがなされなかったと きには 一括弁済を義務付けるというサンクションを課すことによっ て、 事実上強制することにある。 このこと自体は、 法的に是認でき よう。 ただ、 債権者は、 一方では、 相当な期間にわたる分割弁済を 許容しておきながら、 他方では、 1回でも約定どおりの弁済を怠っ た債務者に対し無催告で解除でき、 しかも、 それを行使をするかど うかは全面的に債権者の意思に委ねられているといった過怠約款は、 債権者にとってきわめて有利で、 債務者にとってきわめて不利な特 約であると言える。

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6 過怠約款の有効性 . -·­ .·.·.·••· • ー ・ ・ r-·.-:-: • ヽ....·-. -.· ·-:. (1) 制限超過利息の約定がある場合の過怠約款の効力 上で述べたように、 過怠約款は、 債権者にとってきわめて有利で、 債務者にとってきわめて不利な特約であるが、 分割弁済型金銭消費 貸借において、 利息につきその約定利率が法律上有効、 すなわち利 息制限法所定の制限内の利率である場合には、 このような特約は、 有効なものと言える。 これに対し、 約定利率が利息制限法所定の利 率を超え、 法律上無効である場合には、 このような特約(過怠約款) は、 一般的に、 公序良俗に反し(民法90条)、 また、 分割弁済型金 銭消費貸借の性質上、 信義則に反し無効であると考える(民法1条 2項)。 すなわち、 違法な利息の支払いを約定して、《利息等の支払 いを怠ったときには残債務につき期限の利益を失い、 残債務を一 して弁済せよ》との特約を付けることは、 違法な利息の支払いを強 いることになるため、 そのような特約自体が無効であると解するべ きである。 学説においては、 期限喪失約款(過怠約款)について、 「公序良俗に反しないかぎり、 当事者が任意にこれを約することが できる」が、 「 その特約条項としての期限喪失事由が不明確なとき とか、 その事由が債務者にとって不当な不利益を強いる結果になる ‘ , /‘ ヽ 一 ,

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ときは、 この特約自体が無効となる」と説かれており(於保不二雄 編『注釈民法(4)』 414 頁(金山正信)有斐閣、 昭和 42 年)、 上掲の 特約も;特約条項としての期限喪失事由が不明確であるか、ーないし は、 その事由が債務者にとって不当な不利益を強いる結果になるも のに該当しよう。 上記の学説が説くように、 当該特約条項において、 期限喪失事由 が明確であり、 また、 期限喪失事由が債務者にとって不当な不利益 を強いるものではないときには 、 当該特約は公序良俗ないし信義則 に反するとは言えず、 無効とはならない。 .. .... ... ... .•• ,. (2)貸金業規制法の1 7条書面との関係 貸金業規制法1 7条は、 貸金業者に対し` 金銭消費貸借をしたと きは遅滞なく契約の内容を明らかにする所定の書面を相手方に交付 することを求めている(同条 1 項)が、 書面に記載すべき事項とし て、 期限の利益の喪失の定めがあるときは、 その旨及びその内容」 (同項9号、 施行規則(内閣府令〕 13条ーヌ)が挙げられている。 このことから、 貸金業者に係る分割弁済型金銭消費貸借において、 法は、 過怠約款を付すること自体を認めた上で、 ただ、 契約締結後、 遅滞なく、・「その旨及びその内容」を書面にて明示し、 債務者に交

付することを義務づけている。 ところで、 同書面の交付によっても、 -: 委各—; 柊:ふ 利息制限法所定の制限利率を超える利息が有効となるのではなく、• 依然として無効であり、 債権者としてこれを請求することはできな い。 この点と、 上記 (l) で述べたことを考え併せると、 ここにお いて書面にて明示する「その旨及びその内容」とは、 《利息に関し ては、 利息制限法所定の制限利息の支払いについて遅滞したときに は、 期限の利益を喪失する》という趣旨・内容であると解するべき である。· このことが明示されて始めて、 当該特約条項について、 期 限喪失事由が明確にされ、 その結果として` その事由が債務者にと って不当な不利益を強いるものではなくなると言えるのである。

(8)

・ベ;: j·. ,• ざ・ ... •..• ••.••• • • 一 .... .. 2... ... •31 . . •• . ,.. .. (3)本判決の立場 本判決は、 前掲のように、「債務者が、 返済期日において、 同法 の制限内の利息及び約定の元金に充当する旨表明すれば、 同法所定 の利息金と約定の元金を支払 ・ えば期限の利益を喪失することはない というべきである。 そして、 契約当事者は、『元利金の支払いを怠 ったときは』通知催告なくして期限の利益を失うことを合意したも のであって、 この合意を『利息制限法上支払義務のある利息及び元 金の支払を怠ったとき』と限定的に解釈すべき理由はない。 したが って、 利息制限法所定の利率を超える約定利息の支払をしないとき は期限の利益を喪失するとの約定も有効であるというべきである」 と述べ、 本件における過怠約款を有効なものとしている。本判決は、 ①本件において、 制限利息を弁済すれば、 過怠約款でいうような期 限の利益を喪失することはない、 したがって、 ②約定利息の支払を しないときは期限の利益を喪失する旨の合意をした以上、 当該過怠 約款は有効であるとしている。 原判決の論理は必ずしも明らかでは ないが、 その言わんとすることは、 債務者が②の合意をした以上、 同過怠約款は有効であり、 そう解したからと言って、 債務者は、 ① で述べたように、 制限利息さえ支払えば期限の利益を喪失すること はないのであるから、 同過怠約款を無効に解すべき理由はない、 と いうものであると推察される。 しかし、 債務者が利息として制限利 息のみを支払えば債務不履行とならないのは、 当該金銭消費貸借に 過怠約款が付されたか否かとは無関係であり、 また、 債務者が利息 として制限利息のみを支払えば債務不履行とならないことと過怠約 款の有効 ・・無効とは全く無関係である。 問題とすべきは、 本件過怠 約款での《約定利息の支払をしないときは期限の利益を喪失する旨 の合意》(又はこのように合意と受け取られ得る合意)自体の有効 性である。 筆者は、 既に述べたように、 債務者に違法な約定利息の 支払を求めるような(又はそう受け取られるような)合意自体が、 公序良俗に反して無効であると考えるのである。

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(9)

(4)制限超過利息の約定がある場合に付された過怠約款の現実 の機能 分割弁済型金銭消費貸借において約定利息の利率が利息制限法所 定の制限利率を超過する場合に、 前記の《利息制限法所定の制限利 息の支払いについて遅滞したときには、 期限の利益を喪失する》と いったことが明示されていないような過怠約款(本件のような過怠 約款)は、 なぜ、 現実に債務者に対し違法な約定利息の支払を強い ることになると言えるのか。 やや蛇足の感はあるが、 以下では、こ の点に関し具体的に実際の場面に即して付言しておこう。 利息制限法1条1項は、 所定の利率を超過する利息については、 その超過部分につき無効としている。これは、利息の利率について、 民法90条で定める公序良俗に反する具体的基準を定めたものと解す ることができる。 超過部分は無効であるので、 債務者はこれを支払 う義務はなく、 また、 債権者はこれを請求することはできない。 債務者は、 利息制限法所定の制限利率について知らない場合も多 々あり、 また、 たとえこれを認識していても、 各弁済期日において 利息制限法所定の制限利率により計算した具体の額がいくらになる かについては正確に把握することは必ずしも容易ではない。 すなわ ち、 特に分割弁済型消費貸借においては、 制限利息の具体の額は、 " ) 残存元本により異なり、 また、 実際の弁済日により異なる。 実際の

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弁済において、 前回までの弁済の状況により、 各回の具体の弁済額 が約定されたものと異なることもあり得ることである。 ここにおい て、 債権者によって残存元本の額及び各回(ないし次回)に支払う べき約定利息の額は具体的に示される(これは、 法令により債権者 に義務付けられている。)が、 制限利息の具体の額が明示されるこ とは現実はほとんどない(このことは、 法令により義務付けられて いない)。 債務者が、 制限利息についての知識がある場合には、 制 限利息のおおよその額は認識することができるかもしれないが、 そ の場合でも、 過怠約款が存するときには、 自己の把握した具体の制 限利息の額が客観的に正確な制限利息の額よりも少ないときには、

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.. 1 . .. .. •• ' 期限の利益を喪失し、 残元利金全額を一括弁済しなければならない ことになる。 そこで、 元金のほかどれだけの利息を支払ったら 一括 弁済を免れることについて十分に認識し得ない債務者としては、 一 括弁済を免れるためには、 債権者によって示されたとおりの元本額 及び約定利息の額を事実上弁済せざるを得ない。 このことは、 経験 則上、 明らかであるものと思われる。 したがって、 前記のような《利息制限法所定の制限利息の支払い について遅滞したときには、 期限の利益を喪失する》といったこと が明示されない限り、 本件のような場面での過怠約款は、 前述のよ うに無効であるでと解するぺきである。なお、 このようなことが貸 金業法法

1 7

条所定の書面において明示されていれば、 たとえ各回 における制限利息の具体の額が示されていなくても、 債務者は、 弁 済に当たりこれを債権者に問い合わせるなどして容易に知りうるこ とから、 当該過怠約款は有効なものと解されよう。 各怒:.. .. . 7 過怠約款が付された場合と貸金業規制法 43 条 分割弁済型金銭消費貸借において約定利率が法律上無効である場 合に、 本件のような過怠約款が付されたときに、 貸金業規制法 43 条 の適用は認められるか。 すなわち、 前述のように` 本件のような過 怠約款は無効であると解されるが、• それでは、 債務者が既に弁済を した制限超過利息については、 貸金業規制法 43 条により有効な利息 の債務の弁済とみなされるのか。 筆者は、 否定的に解するべきであ ると考える。 以下で、 理由を述べる。

(1)

貸金業規制法

4 3

条の趣旨 繰り返しになるが、 利息制限法1条1項は、 所定の利率を超過す る利息についてはこれを無効としている。ただし、貸金業規制法は、 貸金業者が業として行う金銭消費貸借については、 所定の要件を充 たした場合には、 利息制限法所定の制限利率を超過する無効な利息 についても、 これが任意に支払われたときには、 利息制限法 1 条 1

J 1 . イ ..... ”曾

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(11)

.... , .. :. 項の規定にかかわらず、「有効な利息の債務の弁済とみなす」とし ている (43 条)。 同規定が設けられた趣旨は、 貸金業規制法および 出資法により貸金業者に規制を加えた代償として一定の利益を貸金 業者に保障したもの、 ないしは、 一定の利益を保障することによっ て規制を実効力のあるものとすることを狙った政策的なものである と理解することができる。このように貸金業規制法 43 条の《みなし 弁済》の規定は貸金業者を特別に保護するために設けられた規定で あるから、 その適用にあたってはその要件を厳格に解すべきである と言えよう。

i 9 ·30»9 [Jr ;. .. . (2) 貸金業規制法 1 7 条の書面 貸金業規制法 43 条の《みなし弁済》の適用が認められるためには、 債権者から債務者に対し同法 17 条所定の書面の交付がなければなら ない(同法42条1項 1 号)。前述のように、同書面において記載す べき事項としての「期限の利益の喪失の定めがあるときは、 その旨 及びその内容」(同項9号、・施行規則〔内閣府令〕 13条ーヌ)につ いては、 例え ・、《利息に関しては、 利息制限法所定の制限利息の 支払いについて遅滞したときには、 期限の利益を喪失する》という 趣旨 内容であることを要すると解するべきである。したがって、

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この点の記載に欠ける本件書面は、法が要求している法 17 条の書面 斎吝翠:· ··•: 凸 には当たらないと解すぺきである。 (3)利息としての支払いの「任意性」 貸金業規制法 43 条は、前述のように、利息制限法所定の制限利率 を超過する無効な利息についても、これを「債務者が利息として任 意に支払った」ときには、利息制限法 1 1 項の規定にかかわらず、 「有効な利息の債務の弁済とみなす」としている。 ここでの・「債務 者が利息として任意に支払った」の意義については、 議論の余地は ある(学説が分かれている)が、最高裁平成 2 年 1 月 2 2日判決(民 集44巻 1 332 頁)によると、「債務者が利息の契約に基づく利息・

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... ... ● ● .... ··-·: , ... 豆�-· ..の支払に充当されることを認識した上、 自己の自由な意思によ ってこれらを支払ったことをいい、 債務者において、 その支払った 金銭の額が利息制限法1条1項. . • ・に定める利息...の制限額 を超えていることあるいは当該超過部分の契約が無効であることま で認識していることを要しないと解するのが相当である」と述べら れている。 同判例においては、 法43条の《みなし弁済》が認められ るためには、 たとえ制限超過利息でぁるとの認識はなくとも、 「自 己の自由な意思によって」利息を支払ったことを要求している。 こ の判例の立場に立った場合において、《約定利息の支払をしないと きは期限の利益を喪失する》(又はこのように受け取られ得る)旨

:�:·).

の本件のような過怠約款が存するもとで、 制限超過利息の支払いが あったときには、 当該利息の支払は、「自己の自由な意思」による ものではないと解すべきである。・したがって、 本件において、 支払 済みの制限超過利息については、 法43条の定める「債務者が利息と して任意に支払った」ものとは認められないので、 同条の適用はな いものと考える。 以上で述べたように、 本件においては、 上記2つの点で法43条所 定の要件を充足しているとは言えないので、 法43条の適用はないも のと考える。 ..x .••• .... . •.•• .••••• •. 、 ... •.•• ... . :·と d -• 、)-8 結び 本鑑定意見書では、 広島高等裁判所平成1 4年(ネ)第3 0 7号 事件(平成1 4年1 2月1. 9日判決言渡)において争点となった過 怠約款に関して検討を加えたところ、(,·)本件過怠約款は、 公序 良俗及び信義則に反し無効なものであると解されること(民法90条、 同1条2項)、 また、(2)本件過怠約款が存在する下で支払われた 利息制限法所定の制限を超過する利息及び損害金については、 貸金 業規制法43条の適用がないものと解されること、.の結論を得た。 し たがって、 これと異なる判断をした上記判決は、 法の解釈を誤った ものとして、 最高裁判所において正されるべきものと考える。

(13)

平成1 5年5月3日 大学法経学部教授 •.

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参照

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