I. 総括研究報告
食品を介したダイオキシン類等有害物質摂取量の評価と その手法開発に関する研究
渡邉敬浩
平成25年度厚生労働科学研究補助金 食品の安全確保推進研究事業
食品を介したダイオキシン類等有害物質摂取量の評価と その手法開発に関する研究
総括研究報告書
研究代表者 渡邉敬浩 国立医薬品食品衛生研究所食品部 研究分担者 堤 智昭 国立医薬品食品衛生研究所食品部 研究分担者 片岡洋平 国立医薬品食品衛生研究所食品部
研究分担者 松田りえ子 国立医薬品食品衛生研究所食品衛生管理部 研究分担者 天倉吉章 松山大学薬学部
研究分担者 畝山智香子 国立医薬品食品衛生研究所安全情報部 研究概要
有害物質の摂取量推定値は、ヒトの健康危害リスク管理のための基礎データであり、
高い信頼性と精密さが要求される。リスク管理の施策策定には、懸念される有害物質の 摂取量推定値が適時に必要となる。同時に、リスクへの寄与が大きい有害物質の摂取量 推定値を継続的に監視し、施策効果を検証する必要がある。本研究では、様々な有害物 質の信頼できる摂取量を適時にまた必要に応じて継続的に推定する事を目的に、有害物 質の摂取量推定、摂取量の信頼性向上と精密化、摂取量を推定すべき新規有害物質の選 定の3つに大別できる研究を実施した。
有害物質の摂取量推定研究では、マーケットバスケット方式により全国10地域におい てトータルダイエット試料を調製し、その分析を通じて各種有害物質の摂取量を推定し た。摂取量を推定した有害物質は、耐用摂取量(TDI)が設定されているホウ素、アルミニ ウ ム 、 ニ ッ ケ ル 、 セ レ ン 、 カ ド ミ ウ ム 、 ア ン チ モ ン 、 バ リ ウ ム 、 鉛 、 ウ ラ ン に 加 え 、 一 斉 に 分 析 可 能 と し た ヒ 素 、 総 水 銀 、 ス ズ 、 ク ロ ム 、 コ バ ル ト 、 モ リ ブ デ ン の 元 素 類 、 メ チ ル 水 銀 、P C B s、 ダ イオ キ シン 類(PCDD/PCDFs及びCo-PCBs)であ る。 研 究 の 成 果 と して、
元素類の全国平均摂取量はB:1523.8 μg/man/day、Al:4687 μg/man/day、Ni:156.8 μg/man/day
、Se:90.2 μg/man/day、Cd:17.6 μg/man/day、Sb: 2.2 μg/man/day、Ba:468.4 μg/man/day、Pb:10.4 μg/man/day、U: 1.0 μg/man/day、As:213.9 μg/man/day、Sn:228.9 μg/man/day、Cr:30.2 μg/man/day、Co:9.0 μg/man/day、Mo:225.3 μg/man/dayと推定された。またメチル水銀と PCBsの全国平均摂取量は、それぞれ6.7μg/man/day、436 ng/man/dayと推定された。ダイ オキシン類の全国平均摂取量は0.58(範囲:0.18〜0.97)pg TEQ/kg bw/dayと推定された。
さらにダイオキシン類の摂取量については、精密化の一環として、ハイリスク集団と考 えられる幼児におけるダイオキシン類の1日摂取量を推定するため、幼児用のTD試料を 調製しダイオキシン類を分析した。その結果、幼児によるダイオキシンの摂取量は、0.46 pg TEQ/kg bw/dayと推定された。
TDIが設定されている元素類のうち、ニッケル、メチル水銀、ホウ素、アルミニウム、
セレン、カドミウム、バリウム、ウランのそれぞれの摂取量が耐用摂取量に占める割合 (対TDI比)は、ニッケルの78.4%を筆頭に、メチル水銀が50%以上、ホウ素、アルミニウ ム、セレン、カドミウム、バリウムが30%以上、ウランが10%以上となった。ダイオキ シン類の全国平均摂取量は、平成24年度の調査結果よりやや低い値で推定された。摂取 量の推定値の最大は0.97 pg TEQ/kg bw/dayであり平均値の約1.7倍であったが、日本にお けるTDI(4 pg TEQ/kg bw/day)の24%程度であった。
その他、摂取量推定が必要かを判断するため、毒性や国際的な規制等の動向から優先 度が高いと判断した多環芳香族炭化水素類(PAHs)、臭素系難燃剤(ヘキサブロモシクロド
デカン:HBCD)、塩素系難燃剤(デクロランプラス:DP)を対象に食品濃度の実態等を調
査した。PAHsの含有実態調査では、燻製魚、なまり節、焼き魚、燻製肉、燻製卵、鰹削 り節、及び鰹節等を風味原料に使用したダシパック及びつゆの計43試料を分析した。そ の結果、鰹削り節やダシパックのPAHs濃度が高い傾向が認められた。PAHs16種の中で も分子量の小さいBenzo[a]anthracene、Cyclopenta[c,d]pyrene等はほぼ100%の割合で検出 され、濃度も高かった。燻製魚介類の調査結果を用いてBAP摂取量を試算した結果、多 めに見積もっても11.3 ng/kg体重/日程度と推定された。暴露マージンを計算すると約
8,800であったことから、人の健康への懸念は大きいとは言えなかった。HBCDの含有実
態調査では、魚介類20試料すべてから検出され、その湿重量当たりの濃度範囲は0.12 ng/g
〜22 ng/g(平均3.1 ng/g)であった。異性体別の濃度はα体が0.12〜16 ng/g、β体がND〜0.11 ng/g、γ体がND〜6.2 ng/gであった。濃度が高い試料について光学異性体分析を行った結 果、光学異性体構成比はα体で0.49〜0.56、γ体で0.50〜0.55であり、光学異性体による明 確な差異は見られなかった。DPの含有実態調査では、魚介類20試料中17試料からDPが 検出された。得られた濃度値(湿重量あたり)はsyn体がND〜7.0 pg/g(平均2.2 pg/g)、anti 体はND〜13 pg/g(平均3.7 pg/g)であり、DPのsyn体とanti体の濃度合計値(Total DP)の範囲 はND〜20 pg/g(平均5.9 pg/g)であった。
摂取量の信頼性向上と精密化研究では、1)摂取量推定を目的とした分析法の性能評価 手法の開発、2)リスクを考慮した精密摂取量推定手法開発、3)メチル水銀分析法及びヒ 素形態別分析法の開発について検討した。摂取量推定を目的とした分析法の性能評価手
法の開発の成果として、マーケットバスケット方式によるTD試料を模した性能評価用
試料(SEMP)が開発された。摂取量推定を目的とする分析法の一例として多元素一斉分析
法を取りあげ、本法を用いてSEMPを分析した結果から、食品に本来含まれている元素 が元素ごとに異なる濃度で含まれていたものの、その均質性は非常に高いことが示され た。さらに、SEMPの分析結果及び、推定すべき摂取量の大きさを踏まえ濃度を決め、
調製した添加試料の計画的な分析の結果から、多元素一斉分析法の真度と精度を推定し た。その結果、一部の元素と試料の組合せを除き、真度は90〜110%、併行精度は15%未 満と推定された。
年代別の食品摂取量パターンの比較のため、国民健康・栄養調査結果の、食品小分類 ごとの1日の摂取量の平均値を1-3歳(幼児1)、4-6歳(幼児2)、7-12歳(学童)、13-18歳(中学・
高校生)、19-64歳(成人)、65歳以上(高齢者)の年齢区分ごとに求めた。その結果、年齢区 分に応じた食品摂取重量のパターン等、有害物質の摂取量を推定する上で不可欠な情報 が得られた。得られた情報を踏まえ、1-3歳の幼児の平均的食事を模したTD試料が作製 された。
暫 定 的 規 制 値 へ の 適 合 判 定 を 目 的 と し た メ チ ル 水 銀 分 析 法 を 基 礎 と し 、 主 に
GC-MS/MSを測定機器に採用することにより、摂取量推定を目的とした分析に使用可能
な方法を開発した。本分析法の妥当性は、メチル水銀の主たる摂取源と考えられる10群 (魚介)及び11群(肉・卵)を模したSEMP試料に、それぞれ0.05 mg/kg、0.005 mg/kgになる よう標準品を添加した試料を5併行分析した結果から推定された真度と併行精度によっ て確認した。本法により10群試料を分析した結果から推定された真度及び精度(RSD%) はそれぞれ84%と4.9%、11群試料を試料を分析した結果から推定された真度及び精度は それぞれ97%と3.3%であった。ヒ素の形態別分析法として、2種の無機ヒ素(亜ヒ酸、ヒ 酸)と6種の有機ヒ素(モノメチルアルソン酸、ジメチルアルシン酸、トリメチルアルシン オキサイド、アルセノベタイン、アルセノコリン、テトラメチルアルソニウム) の選択 的な定量分析法の開発を検討した。高速液体クロマトグラフィー−誘導結合プラズマ質
量分析計(HPLC-ICP-MS)による形態別分析法に着目し、無機ヒ素と有機ヒ素を合わせた
計8つのヒ素化合物を分離し測定するための測定法を検討した。特に毒性が高いとされ る無機ヒ素を高分解能で分析可能なODSカラムの選定、及び逆相イオンペアクロマトグ ラフィーによる分離のための移動相条件の最適化を行った。
摂取量を推定すべき新規有害物質の選定研究では、ダイオキシン類バイオアッセイの 鍵となるアリル炭化水素レセプター(AhR)と76種の有害物質の相互作用を評価した他、
暴露マージン(MOE)の大きさで分類した化合物のリストを作成した。AhRとの相互作用
を評価したPAHs及びその誘導体、残留農薬、アミノ酸及びその代謝物のうち、PAHsの 多くは、顕著なAhR活性を濃度依存的に示した。PAHsの誘導体については、環の数が多 くなれば活性が強くなる傾向が認められた。ハロゲン化体は,塩素の数が多くなるほど 活性が弱まった。ニトロ化及びアミノ化体では、本検討だけでは置換基の数や位置で活 性の強弱は考察できなかった。一方、農薬では、インドール骨格を有するcarbendazim、
thiabendazoleの2種の化合物に強い活性が認められた。アミノ酸及びその代謝物について
も同様、インドール化合物tryptamineに活性が認められた。MOEを指標作成した化合物 リストからは、MOEが一桁と評価されている化合物、すなわち、アクリルアミド、テト ラクロロエタン、アフラトキシンB1、鉛、エタノール、ダイオキシン、フラン、無機ヒ 素、アクロレイン、テトラクロロエタン、テトラブロモビスフェノールA、カルバミン 酸エチル、Sudan I、酸化カドミウム、ホルムアルデヒド、メチルオイゲノール、ゲニス テインが比較的摂取量推定の優先順位の高い化合物である可能性が示された。
1. 有害物質の摂取量推定研究
1-1. 各種 有害物 質の適 時及 び継続的 な摂取 量推定
A.研究目的
本研 究 で は、有 害 物 質 の適 時 及 び 継 続 的 な 摂 取 量 推 定 を 目 的 に 、 過 去 の 研 究 成 果 や 耐 用 摂 取 量 が 設 定 さ れ て い る こ と を 基 準 に 、 各 種 有 害 元 素 、 メ チル 水 銀 及び PCBs を 対象 と し た。
各 種有 害 元 素 、メ チル 水 銀及 び PCBs の 摂 取 量 は 、 マ ー ケ ッ ト バ ス ケ ッ ト (MB)方 式 に よ る ト ー タ ル ダ イ エ ッ ト (TD)研 究 の 一 環 と し て 推 定 し た 。 な お 、 こ れ ら 摂 取 量 推 定 の た め の 分 析 は、新 た に 開 発し た 元 素 一斉 分 析 法、
メ チ ル 水 銀 分 析 法 及 び 異 性 体 別 PCBs分 析 法 の性 能 を 確 認し た 後 、国 立 医 薬 品 食 品 衛 生 研 究 所 で 実 施 し た 。
B.研究方法
1)-1. TD試 料 の 調 製
日 本 人 が 日 常 的 に 飲 食 す る 食 事 (日 常 食)か ら の 有 害 物 質 摂 取 量 を 推 定 す る た め 、 日 常 食 の モ デ ル と な る TD 試料 を MB 方式により調製した。
TD試料の調製は、試料に含める食品 数 を 多 く す る こ と と 、 地 域 に よ る 食 品 摂 取 パ タ ー ン の 違 い を 考 慮 し 、 全 国 10 カ所の衛生研究所等で行った。
該 当 す る 各 地 域 に お け る 個 々 の 食 品 の摂取量には、平成 20年度〜22年度
の 3 カ年に行われた国民健康・栄養 調 査 の 結 果 を 入 手 し 、 地 域 別 に 集 計 し た 結 果(3年 間 の 平 均 値)を 用 い た 。 TD 試料は、下記 14 群に分割して 調製した。1群:米及びその加工品、2 群:雑 穀 ・ 芋 、3 群:砂 糖 ・ 菓 子 類 、4 群:油脂類、5 群:豆・豆加工品、6:果 実類、7 群:有色野菜、8 群:その他の 野菜・海草類、9群:嗜好飲料、10 群:
魚介類、11 群:肉・卵、12 群:乳・乳 製品、13群:調味料、14 群:飲料水。
調製 され た TD 試 料は変 質等 によ る 分 析 結 果 へ の 影 響 に 配 慮 し 、 不 活 性 容 器 に 入 れ 冷 凍 状 態 を 保 ち つ つ 、 国 立 医 薬 品 食 品 衛 生 研 究 所 に 収 集 し た 。 全 て の 分 析 は 、 国 立 医 薬 品 食 品 衛生研究所で実施した。
1)-2. 元素の一斉分析
1)-2-1. 試 薬 ・ 試 液
分 析 に 使 用 し た 主 た る 試 薬 を 以 下 に 示す 。
・水:メ ル ク 社製 装 置(Milli Q Element A10)によ り 製造 し た 超 純水 。(比 抵抗
> 18.2MΩ・cm、TOC < 3 ppb )
・ 硝酸 : 硝 酸 1.42 Ultrapur-100 (関 東 化 学株 式 会 社)
・過酸 化 水 素 水:Ultrapure (関 東 化 学
株 式会 社)
・ 各 種 元 素 標 準 原 液 (ウ ラ ン を 除 く):Trace CERT ICP 用 (シ グ マ ア ル ドリ ッ チ 社 製)
・ ウ ラ ン 標 準 原 液 :XSTC-289 (西 進 商 事)
・混 合 内 部 標 準溶 液:ベ リリ ウ ム(Be)、
ガ リ ウ ム(Ga)、 イ ッ ト リ ウ ム(Y)、 イ ン ジ ウ ム(In)、 タ リ ウ ム(Tl)の 濃 度 が そ れぞ れ 50 mg/L、20 mg/L、2 mg/L、
10 mg/L、0.5 mg/Lに な るよ う に 各 元 素 の 標 準 原 液 か ら 適 量 を 分 取 し 、 硝 酸 14 mL を 加え た 後 、 水で 100 mL に 定容 し た 。
1)-2-2. 機 器
・ マ イ ク ロ 波 分 解 装 置:E T H O S - O n e 及 び E T H O S - T C (マ イ ル ス ト ー ン ゼ ネ ラ ル 社 製)
・I C P - M S:I C P - M S i C A P Q (サ ー モ フ ィ ッ シ ャ ー サ イ エ ン テ ィ フ ィ ッ ク 社 製)
1)-2-3. 分 析 法 測 定 溶 液 の 調 製
各 分 析 用 試 料 か ら 0 . 5 g を マ イ ク ロ 波 分 解 装 置 用 容 器 に 量 り と っ た 。 硝 酸 7 m L 及 び 過 酸 化 水 素 水 1 m L を 加 え 、 分 解 し た 。 分 解 後 の 溶 液 に 、 混 合 内 部 標 準 溶 液 0 . 5 m L を 添 加 後 、 水 で 5 0 m L に 定 容 し た 。 定 容 後 の 溶 液 を 測 定 溶 液 と し て
I C P - M S に よ り 測 定 し た 。 試 料 の 分 解 条 件
マ イ ク ロ 波 分 解 装 置 に よ る 分 解 は 、 以 下 の 条 件 で 行 っ た 。
7 0 ℃ ; 2 分 間 → 5 0 ℃ ; 3 分 間
→ 2 0 0℃; 1 8 分 間( 5 0℃か ら 2 0 0℃ ま で の 温 度 変 化 に 要 す る 時 間 )。 2 0 0℃に 到 達 し た 後 、 同 温 度 で さ ら に 1 0 分 間 分 解 さ せ た 。
測 定 条 件
I C P - M S に よ る 測 定 は 、 以 下 の 条 件 で 行 っ た 。 な お 、 各 測 定 パ ラ メ ー タ ー は 、 標 準 試 薬 を 用 い た 機 器 の キ ャ リ ブ レ ー シ ョ ン 結 果 に 基 づ き 設 定 し た 。
・ ス プ レ ー チ ャ ン バ ー :(ペ ル チ ェ 冷 却 ジ ャ ケ ッ ト 付)サ イ ク ロ ン 型
・ コ リ ジ ョ ン ガ ス : ヘ リ ウ ム(99.9999%)
・ 測 定 モ ー ド :K E D ( K i n e t i c E n e r g y D i s c r i m i n a t i o n :運 動 エ ネ ル ギ ー 弁 別 )モ ー ド
・ 元 素 あ た り の 測 定 時 間 :1 秒 (積 分 時 間( s ):0 . 1、 チ ャ ン ネ ル 数 : 1、 ス ペ ー ス( u ):0 . 1、 掃 引 数 (回 ): 1 0 )
・ 繰 り 返 し 測 定 回 数 :3
分 析 対 象 元 素 の 測 定 質 量 数 分 析 対 象 と し た 1 4 種 の 元 素 と 測 定 質 量 数 は 以 下 の 通 り で あ る 。(括 弧 内 の 数 字 が 測 定 質 量 数)
ホ ウ 素 :B(11) 、 ア ル ミ ニ ウ ム: A l ( 2 7 )、 ク ロ ム: C r ( 5 2 )、 コ バ ル
ト: C o ( 5 9 )、 ニ ッ ケ ル: N i ( 6 0 )、 ヒ 素 : A s ( 7 5 )、 セ レ ン: S e ( 7 8 )、 モ リ ブ デ ン: M o ( 9 5 )、 カ ド ミ ウ ム: C d ( 111 )、 ス ズ: S n ( 11 8 )、 ア ン チ モ ン: S b ( 1 2 1 )、 バ リ ウ ム: B a ( 1 3 7 )、 鉛: P b ( 2 0 8 )、 ウ ラ ン: U ( 2 3 8 )。
内 部 標 準 元 素 の 測 定 質 量 数 内 部 標 準 と し た 元 素 と 測 定 質 量 数 は 以 下 の 通 り で あ る 。(括 弧 内 の 数 字 が 測 定 質 量 数)
Be(9)、Ga(71)、Y(89)、In(115)、 Tl(205)。
1)-2-4. 検 出 下 限 及 び 定 量 下 限
試 料 を 含 め ず 全 分 析 操 作 を 実 施 す る 操 作 ブ ラ ン ク 実 験 を 、 試 料 の 分 解 に 使 用 す る す べ て の 容 器(計 5 4 ) を 用 い て 行 い 、 得 ら れ た 定 量 値 か ら 標 準 偏 差(σ)を 推 定 し 、 そ の 3 倍 の 値(3 σ)を 検 出 下 限( L O D )、1 0 倍 の 値(1 0 σ)を 定 量 下 限 ( L O Q )と し て 推 定 し た(表 3 )。L O D を 下 回 っ た 値 は N D と し た 。
1)-3. メチル水銀分析
1)-3-1. 試 薬 ・ 試 液
メ チ ル 水 銀 の 分 析 に 使 用 し た 主 た る 試薬 を 以 下 に示 す 。
・ 塩 化 メ チ ル 水 銀 : ジ ー エ ル サ イ エ ン ス
・ア セト ン 及 びト ル エ ン:残留 農 薬 ・ PCB分 析 用(関 東 化 学 株式 会 社 製)
・臭 化カ リ ウ ム:特 級(和光 純 薬 工 業 株 式会 社)
・硫酸 銅(II):鹿 特 級(関 東化 学 株 式 会 社)
・L-シ ス テ イ ン 塩 酸 塩 一 水 和 物 : 特 級(和 光 純 薬 工業 株 式 会 社)
・ テ ト ラ フ ェ ニ ル ホ ウ 酸 ナ ト リ ウ ム :和 光 純 薬 工業 株 式 会 社
・ポ リエ チ レ ング リ コ ール 200:一 級 (和光 純 薬 工 業株 式 会 社)
・1 mol/L 臭 化 カ リ ウ ム 溶 液 : 臭 化 カ リ ウ ム 119.0 gを 水 に 溶 解 し 、1 Lと し た 。
・硫 酸 銅(II)飽 和 4 mol/L硫 酸 : 水 600 mLに 硫 酸 200 mLを 加 え 、放 冷 後 、水 を 加 え て 900 mL に し た 後 、 無 水 硫 酸 銅(II)を 飽 和 す る ま で 溶 解 さ せ た 。
・1% L-シ ス テ イ ン 溶 液 :L-シ ス テ イ ン 塩 酸 塩 一 水 和 物 10.0 g、 酢 酸 ナ ト リ ウ ム 三 水 和 物 8.0 g、無 水 硫 酸 ナ ト リ ウ ム 125.0 g を 水 に 溶 解 し 、1 Lと し た 。
・0.2 mol/Lり ん 酸 緩 衝 液(pH 7.0): り ん 酸 二 水 素 ナ ト リ ウ ム 二 水 和 物 31.2 g を 水 に 溶 解 し て 1 Lと し 、 こ れ を 第 一 液 と し た 。り ん 酸 水 素 二 ナ ト リ ウ ム 十 二 水 和 物 71.6 gを 水 に 溶 解 し て 1 Lと し 、 こ れ を 第 二 液 と し た 。 第 一 液 380mL と 第 二 液 610mLを 混 合 し 、必 要 に 応 じ て 、 第 一 液 を 用 い て pH を 7.0 に 調 整 し た 。
1)-3-2. 機 器
・GC-MS/MS:TSQ Quantum XLS (サ ー モ フ ィ ッ シ ャ ー サ イ エ ン テ ィ フ ィ ッ ク社 製)
1)-3-3. 分 析 法 測 定 溶 液 の 調 製
各 分 析 用 試 料 か ら 1 0 . 0 g を 量 り と り 、 ア セ ト ン 1 0 0 m L を 加 え 3 0 秒 間 振 と う し た 。 ア セ ト ン を 除 去 後 、 ト ル エ ン 1 0 0 m L を 加 え 3 0 秒 間 振 と う し た 。 遠 心 後 、 ト ル エ ン を 除 去 し 、 1 m o l / L 臭 化 カ リ ウ ム 溶 液 4 0 m L、 硫 酸 銅( I I )飽 和 4 m o l / L 硫 酸 4 0 m L 及 び ト ル エ ン 8 0 m L を 加 え 、3 0 分 間 激 し く 振 と う し た 。 遠 心 後 、 ト ル エ ン 層 を 採 取 し た 。 水 層 に ト ル エ ン 5 0 m L を 加 え 1 0 分 間 振 と う 後 、 同 様 に 操 作 し て 得 ら れ た ト ル エ ン 層 を 合 わ せ た 。1% L-シ ス テ イ ン 溶 液 50 mL を 加 え 5 分 間 振 と う し 、 静 置 後 、 水 層 を 採 取 し た 。6 mol/L塩 酸 30 mL、
ト ル エ ン30 mLを 加 え5分 間 振 と う 後 、 ト ル エ ン 層 を 採 取 し た 。水 層 に ト ル エ ン30 mL を 加 え 5分 間 振 と う し 、ト ル エ ン 層 を 合 わ せ 、 正 確 に 100 mL と し た 。ト ル エ ン 溶 液 4mL に 0.2 mol/Lり ん 酸 緩 衝 液(pH 7.0) 5 mL、1% テ ト ラ フ ェ ニ ル ホ ウ 酸 ナ ト リ ウ ム 溶 液 1 mL を 加 え 、 室 温 に 10 分 間 静 置 後 、 遠 心 し た 。ト ル エ ン 層 を 脱 水 後 、1 mLを 採 取 し 、1.5 mg/mL PEG200 0.5 mL を 正 確 に 加 え 混 合 し た も の を 測 定 溶 液 と
し た 。 測 定 条 件
G C - M S / M S に よ る 測 定 は 、 以 下 の 条 件 で 行 っ た 。
・ カ ラ ム: InertCap 5MS/NP (内 径 0.25 mm、 長 さ 30 m、 膜 厚 0.25 µm)
・ オ ー ブ ン 温 度: 70℃(1 min) →10℃ /min→160℃(0 min)→20℃/min→280℃ (5 min)
・ 注 入 口 温 度: 250℃
・ ト ラ ン ス フ ァ ラ イ ン 温 度: 280℃
・ イ オ ン 源 温 度: 280℃
・ 溶 媒 待 ち 時 間 :6分
・ 注 入 量: 1 μL
・ キ ャ リ ア ガ ス(He)流 量: 1.0 mL/min
・ イ オ ン 化 法 :EI
・ 分 析 モ ー ド: SRM
・ モ ニ タ ー イ オ ン : m/z 294→m/z 279(コ リジ ョ ンエ ネ ル ギ ー:5 V)
1)-4. 異性体別 PCBs 分 析 1)-4-1. 試 薬 ・ 試 液
異 性 体 別 PCBs の 分 析 に 使 用 し た 主 たる 試 薬 を 以下 に 示 す 。
・検 量 線 用PCB標準 液:TPCB-CSL-A、
CS1-A、CS2-A、CS3-A、CS4-A、CS5-A (関東 化 学 株 式会 社)
・ ク リ ー ン ア ッ プ ス パ イ ク 標 準 液 : TPCB-CL-A100 (関東 化 学株 式 会 社)
・ シ リ ン ジ ス パ イ ク 標 準 液 : TPCB-SY-A100 (関 東 化 学株 式 会 社)
・ 209 異 性 体 確 認 用 標 準 液 :
M-1668A-1-0.01X、2-0.01X、3-0.01X、
4-0.01X、5-0.01X (和 光 純薬 工 業 株 式 会 社)等 容 量 混合 し た も の
・ 高 分 解 能 質 量 数 補 正 用 試 薬 : パ ー フ ルオ ロ ケ ロ セン(PFK:L16596 )(日 本 電子 株 式 会 社)
・ ア セ ト ン 、 エ タ ノ ー ル 、 ジ ク ロ ロ メ タ ン 、 ヘ キ サ ン 、 ノ ナ ン : ダ イ オ キ シ ン 類 分 析 用(関 東 化 学 株 式 会 社 製)
・ ヘ キ サ ン 洗 浄 水 : 残 留 農 薬 試 験 用 (関東 化 学 株 式会 社 製)
・ 塩 化 ナ ト リ ウ ム : 残 留 農 薬 試 験 ・ PCB試 験 用(関 東 化 学 株式 会 社 製)
・ 無水 硫 酸 ナ トリ ウ ム :PCB 試 験 用 (関東 化 学 株 式会 社 製)
・水 酸化 カ リ ウム:特 級(関 東 化 学 株 式 会社 製)
・ アル ミ ナ(関東 化 学 株 式会 社 製) : ダ イ オ キ シ ン 類 分 析 用(関 東 化 学 株 式 会社 製)
・多 層 シ リ カ ゲル カ ラ ム:内 径15 mm、
長 さ 30 cm の カ ラ ム に 無水 硫 酸 ナ ト リ ウム 2 g、シ リ カゲ ル 0.9 g、44%硫 酸 シリ カ ゲ ル3 g、シ リ カ ゲル 0.9 g、
及 び無 水 硫 酸 ナト リ ウ ム 2 g が 順 次 充 填 さ れ た も の(ジ ー エ ル サ イ エ ン ス 株式 会 社 製)
・ア ル ミ ナ カ ラム:内 径 15 mm、長 さ30 mmの カラ ム に 無 水硫 酸 ナ ト リ ウム 2 g、ア ルミ ナ 15 g、無 水 硫 酸ナ ト リウ ム 2 g を 順次 充 填 し作 製 し た。
・ GC キ ャ ピ ラ リ ー カ ラ ム : HT8-PCB(内 径 0.25 mm x 60 m)(関東 化 学株 式 会 社 製)
1)-4-2. 機 器
・GC:HP 6890 Series GC System Plus (Hewlett Packard 社 製)
・M S:JMS-700 (日 本 電 子 株 式 会 社 製)
1)-4-3. 分 析 法 測 定 溶 液 の 調 製
均 一 化 し た 試 料 2 0 . 0 g を ビ ー カ ー に 量 り と り 、 ク リ ー ン ア ッ プ ス パ イ ク 1 0 0 µ L を 加 え た 後 、1 m o l / L 水 酸 化 カ リ ウ ム ・ エ タ ノ ー ル 溶 液 を 1 0 0 m L 加 え 室 温 で 1 6時 間 、 ス タ ー ラ ー で 撹 拌 し た 。 こ の ア ル カ リ 分 解 液 を 分 液 ロ ー ト に 移 し た 後 、 水 1 0 0 m L、 ヘ キ サ ン 1 0 0 m L を 加 え 1 0 分 間 振 と う 抽 出 し た 。 静 置 後 、 ヘ キ サ ン 層 を 分 取 し 、 水 層 に ヘ キ サ ン 7 0 m L を 加 え 同 様 の 操 作 を 2 回 行 っ た 。 ヘ キ サ ン 抽 出 液 を 合 わ せ 、2 %塩 化 ナ ト リ ウ ム 溶 液 1 0 0 m L を 加 え て 緩 や か に 揺 り 動 か し 、 静 置 後 、 水 層 を 除 き 同 様 の 操 作 を 繰 り 返 し た 。 ヘ キ サ ン 層 の 入 っ た 分 液 ロ ー ト に 濃 硫 酸 を 適 量 加 え 、 緩 や か に 振 と う し 、 静 置 後 、 硫 酸 層 を 除 去 し た 。 こ の 操 作 を 硫 酸 層 の 着 色 が 薄 く な る ま で 繰 り 返 し た 。 ヘ キ サ ン 層 を ヘ キ サ ン
洗 浄 水 1 0 m L で 2 回 洗 浄 し 、 無 水 硫 酸 ナ ト リ ウ ム で 脱 水 後 、 溶 媒 を 減 圧 留 去 し 約 2 m L の ヘ キ サ ン に 溶 解 し た 。 こ の 溶 液 を 、 ヘ キ サ ン 1 2 0 m L で 洗 浄 し た 後 の 多 層 シ リ カ ゲ ル カ ラ ム に 負 荷 し 、 ヘ キ サ ン 5 0 m L で 溶 出 し た 。 溶 出 液 は 溶 媒 を 減 圧 留 去 し 、 約 2 m L の ヘ キ サ ン に 溶 解 し た 。 こ の 溶 液 を 、 ヘ キ サ ン で 湿 式 充 填 し た ア ル ミ ナ カ ラ ム 負 荷 し 、 ヘ キ サ ン1 0 0 m Lで 洗 浄 後 、2 0 % ( v / v )ジ ク ロ ロ メ タ ン 含 有 ヘ キ サ ン 1 0 0 m L で 溶 出 し た 。 溶 媒 を 窒 素 気 流 下 で ほ ぼ 完 全 に 留 去 後 、 シ リ ン ジ ス パ イ ク 1 0 0 µ L を 加 え 、G C - M S 測 定 溶 液 と し た 。
測 定 条 件
G C - M S に よ る 測 定 は 、 以 下 の 条 件 で 行 っ た 。
・ 注 入 方 式 :ス プ リ ッ トレ ス
・注 入 口温 度:280℃
・注 入 量:2.0 µL
・昇 温 条 件:100℃(1 分 保 持)-20℃/分 -180℃-2℃/分-260℃-5℃/分- 300℃(4 分 保持)
・MS導 入 部 温度:280℃
・イ オ ン源 温 度:280℃
・イ オ ン化 法:EI ポ ジ テ ィブ
・イ オ ン化 電 圧:38 eV
・イ オ ン化 電 流:600 µA
・加 速 電圧:〜10.0 kV
・分 解 能:10,000以 上
分 析 対 象
PCBs全209異性 体 を 分析 対 象 と し た 。
1)-4-4. 検 出 下 限 及 び 定 量 下 限 最 低 濃 度 の 検 量 線 作 成 用 標 準 液 ( TPCB-CSL-A)を ノ ナ ン で 5 倍 に 希 釈 し た 溶 液 を G C - M S に よ り 測 定 し 、 そ の 結 果 か ら 、 S / N = 3 に 相 当 す る 濃 度 を L O D、 S / N = 1 0 に 相 当 す る 濃 度 を L O Q と し た 。
C.D. 結果及び考察
MB方 式 に よ り 全 国10地 域 でTD試 料 を 調製 し 、そ の分 析 に よ り得 ら れ た 値、
す な わ ち 各 種(有 害)物 質 のTD試 料 濃 度 と、各 地 域 の食 品 摂 取 重量 に 基 づ き、
各 種(有 害)物 質の 摂 取 量 を推 定 し た 。
1. 各 種 元 素 の 摂 取 量 推 定
TD試 料 の 分析 を 通 じ 、各 種 元 素 の摂 取 量を 推 定 し た。一 斉 分 析法 の 対 象 と な る14元 素(B、Al、Ni、Se、Cd、Sb、
Ba、Pb、U、AS、Sn、Cr、Co、Mo)の 摂 取量 は 、試 料濃 度 を0あ る い はLOD/2 (ND=0あ る い はND=LOD/2)と す る2つ の 方 式 で 推 定 し た が 、2つ の 方 式 で 推 定 した 摂 取 量 はほ ぼ 一 致 した 。こ の 結 果 は、十 分 に 感度 の 高 い 分析 法 を 採 用 す るこ と で 、分 析 結 果 がNDと な る 機会 を 極力 減 ら し、LODが よ り低 濃 度 に 設
定 され た 効 果 とい え る 。ほぼ 一 致 す る 推 定値 で は あ るが 、よ り 安全 側 に 立 脚 し た 推 定 に 配 慮 し 、2方 式 に よ り 摂 取 量 を 推 定 し た 場 合 に は 、2/LODの 値 を 以 後の 集 計 と 考察 に 用 い た。
今 回 推 定 し た 総 摂 取 量 の 値(食 品 群 別 摂 取 量 推 定 値 の 総 和)は 全10地 域 を 通 じ、元 素 ご とに 以 下 の 範囲 に あ っ た。
B:1294〜1854 μg/man/day、Al:1632〜 23160 μg/man/day 、 Ni:103 〜 214 μg/man/day、Se:78.2〜98.8μg/man/day、
Cd:11.9〜32.4 μg/man/day、Sb: 0.9〜8.8 μg/man/day、Ba:270〜754 μg/man/day、
Pb:3.8〜30.9 μg/man/day、U: 0.5〜1.9 μg/man/day 、 As:159.3 〜 285.7 μg/man/day、Sn:2.4〜1127.8 μg/man/day、
Cr:18.3〜46.6 μg/man/day、Co:5.3〜16.3 μg/man/day 、 Mo:158.5 〜 314.6 μg/man/day。
地域・食 品 群別 摂 取 量 推定 値 を 集 計 し 、食 品 群 別 摂取 量 と 総 摂取 量 の 全 国 平 均を 推 定 し た。全 国 平 均は 以 下 の 通 り 推定 さ れ た 。B:1523.8 μg/man/day、
Al:4687 μg/man/day 、 Ni:156.8 μg/man/day 、 Se:90.2 μg/man/day 、 Cd:17.6 μg/man/day、Sb: 2.2 μg/man/day、
Ba:468.4 μg/man/day 、 Pb:10.4 μg/man/day 、 U: 1.0 μg/man/day 、 As:213.9 μg/man/day 、 Sn:228.9 μg/man/day、Cr:30.2 μg/man/day、Co:9.0 μg/man/day、Mo:225.3 μg/man/day。
総 摂 取 量 推 定 値 に 対 す る 各 群 摂 取
量 推定 値 の 寄 与率 算 出 し た結 果 、食 品 群 別 摂 取 量 の 総 摂 取 量 へ の 寄 与 率 の パ タ ー ン は 元 素 に よ っ て 大 き く 異 な る こと が わ か った 。し か し、本 年 度 の 研 究 に よ っ て は じ め て 摂 取 量 を 推 定 し た元 素 に つ いて は 、寄 与率 が 一 般 的 と いえ る か 判 断で き な い 。つ ま り 、あ る 特 定 の 元 素 の 摂 取 量 を 考 察 す る う え で、総 摂 取 量に 対 す る 寄与 率 が 特 定 の 食 品 群 に お い て 高 く あ る い は 低 く な る と は 、 現 時 点 で は 判 断 で き な い 。 今 後 の 継 続 研 究 の 結 果 を 待 た な け れ ば なら な い 。しか し 、過 去の 研 究 の 結 果 と も 一 致 す る こ と か ら 、1)Pbは 特 定 の 食 品 に よ ら ず 様 々 な 食 品 か ら 摂 取 さ れる 、2)Asは 主 に 魚 介類 か ら 摂 取さ れ 、そ れ に 準 じて そ の 他 野菜・海 藻 類 か らの 摂 取 量 が多 い 、3)Cdは 米 か ら 最 も 多く 摂 取 さ れる と い え る。
元 素 と し て の 特 徴 か ら 一 斉 分 析 に は 向か な い 総 水銀(Hg)は 、別 途ICP-MS 法 によ り 分 析 した 。ま た 、こ れ ま で の 研 究 の 成 果 と し て 、Hgは ほ ぼ 魚 介 類 (10群)と 肉 類(11群)か ら し か 検 出 さ れ ず 、か つ10群 摂取 量 が 支 配的 で あ る こ と が明 ら か と なっ て い た 。こ の こ と を 踏 まえ 、効 率 的に 摂 取 量 を推 定 す る た め に、10群 と11群のTD試 料 のみ を 分析 し た 。Hg摂 取 量 はND=0とND=LOD/2 の2つ の 方 式 で 推 定 し た が 、 結 果 は ほ ぼ 一致 し た 。ま た 、10群 と11群 そ れ ぞ れ か ら の 摂 取 量 の 和 をHg摂 取 量 と し
各 群の 寄 与 率 を計 算 す る と、10群 の 寄 与 率 が 最 も 低 い 地 域 で あ っ て も95.9%
と なり 、支 配 的で あ る こ とが 確 認 さ れ た 。こ のHg摂 取量 の 推 定 結果 を 踏 ま え、
メ チ ル 水 銀 の 分 析 は10群 の み を 対 象 と し実 施 し た 。10群 のTD試料 の 分 析を 通 じ て メ チ ル 水 銀 摂 取 量 を 推 定 し た 結 果、メ チ ル 水銀 摂 取 量 は、全10地 域 を 通 じ2.11〜15.92 μg/man/dayの 範 囲 に あり 、全 国 平均 は6.7μg/man/dayと推 定 され た 。
2. PCB類 の 摂 取 量 推 定
TD試 料 の 分 析 を 通 じ 、PCBs類 の 摂 取 量 を 推 定 し た 。 今 年 度 の 研 究 か ら 、 高 分 解 能GC-MS法 を 用 い る こ と で 、 209あ るPCBsの 異 性 体 別 測 定 を 可 能 と し 、同 じ 塩 素 化数 の 異 性 体を ま と め た 同 族体 別 摂 取 量、ま た 同 族体 別 摂 取 量 の 総 和 と し て 総PCBs摂 取 量 を 推 定 し た 。ま た メ チ ル水 銀 摂 取 量推 定 の 場 合 と 同 様 に 、 こ れ ま で の 研 究 か らPCBs は ほ ぼ10群 と11群 か ら し か 検 出 さ れ ず 、か つ10群 から の 摂 取 量が 支 配 的 で あ る こ と が 明 ら か に な っ て い る こ と を 踏ま え 、10群と11群 のTD試 料 の みを 分 析し た 。
PCBs摂 取 量 はND=0とND=LOD/2の 2つ の 方 式 に より 推 定 し た。2つ の 方式 に よ り 推 定 さ れ た 摂 取 量 を 比 較 す る と 、10群で は ほぼ 一 致 し てい る 。11群 か ら の 摂 取 量 推 定 値 は 、 推 定 方 式 を
ND=LOD/2と し た 場 合 に や や 高 め と な っ てい る が 、大き く 乖 離 して は い な い。
こ の結 果 は 、十分 に 感 度 の高 い 分 析 法 を 採用 す る こ とで 、分 析 結果 がNDと な る 機会 を 極 力 減ら し 、LODを より 低 濃 度 に設 定 し た 効果 と い え る。ほ ぼ 一 致 す る推 定 値 で はあ る が 、より 安 全 側 に 立 脚 し た 推 定 に 配 慮 し 、2方 式 に よ り 摂 取 量 を 推 定 し た 場 合 に は 、2/LODの 値 を以 後 の 集 計と 考 察 に 用い た 。 全10地 域 を 通じ 、10群 から の 総PCBs 摂 取 量 は223〜558 ng/man/dayの 範 囲 、 11群 か ら 総PCBs摂 取 量 は13.3〜88.1 ng/man/dayの 範囲 で 推 定 され た 。 総PCBs摂 取 量 に 占 め る 各 同 族 体 摂 取 量の 割 合 を 算出 し た 結 果、10群 か ら の 総PCBs摂 取 量 は 主 に3〜7塩 素 化 同 族 体 摂 取 量 に よ っ て 占 め ら れ て お り 、 TD試 料 の 調 製 地 域 に 依 存 し た 変 化 は な かっ た 。こ のこ と か ら 、魚 介 類 か ら の 総PCBs摂 取 量 は 主 に3〜7塩 素 化 同 族 体 摂 取 量 に よ っ て 占 め ら れ る の が 一 般的 と い え るか も し れ ない 。一 方 の 11群 には 、こ の特 徴 が 認 めら れ ず 、総 PCBs摂 取 量 に 各 同 族 体 摂 取 量 が 占 め る 割 合 は 地 域(試 料)ご と に 大 き く 変 わ っ てい る 。11群 に分 類 さ れる 畜 肉 等 に 含 まれ るPCBsは 、魚 介 類が 海 洋 環 境に 含 ま れ るPCBsを 食 物 連 鎖 も 経 て 蓄 積 す るの に 対 し 、主 に 餌 と なる 牧 草 等 の 摂 取 に よ っ て 蓄 積 さ れ た も の と 考 え ら れる 。PCBsを 蓄 積 す る経 路 の 違 いや 、
生 体内 で の 代 謝の 異 な り が、今 回 得 ら れ た 同 族 体 摂 取 量 割 合 の 違 い の 原 因 で あり 、10群 と11群 か ら 摂取 す るPCBs 同 族 体 の 特 徴 と い え る の か も し れ な い 。継 続 研 究 によ っ て 確 認す べ き 課 題 で ある 。
10群 と11群 試 料 の 分 析 か ら そ れ ぞ れ 推定 し たPCBs摂取 量 の和 を 求 め、推 定 し たPCBs総 摂 取 量 は10地 域 を 通 じ て239〜629 ng/man/dayの 範 囲 に あ り 、 全 国平 均 は436 ng/man/dayと な っ た 。
3. 有 害 元 素 及 びPCBs摂 取 量 の 対TDI 比 と 経 年 変 化
今 年 度 本 研 究 で 摂 取 量 を 推 定 し た 元 素の う ち 、耐 用 摂取 量(TDI)の 設 定さ れ てい る 有 害 元素(B、Al、Ni、Se、Cd、
Sb、Ba、Pb、U)、 メ チ ル 水 銀 、PCBs 摂 取 量 の 対TDI比 を 求 め た 。 ヒ 素 の 有 害 性 を 疑 う 余 地 は な い が 、JECFAに よ っ て撤 回 さ れ たの ち 、新 たな 耐 用 摂 取 量 の 設 定 は さ れ て い な い た め 、 対TDI 比 の算 出 は 控 えた 。今 回 の推 定 結 果 に 基 づけ ば 、Ni摂取 量 の 対TDI比 が78.4%
と 計算 さ れ 最 も高 い 。こ の値 に 準 じ て メ チ ル 水 銀 摂 取 量 の 対TDI比 も50%を 超 え て い る 。 そ の ほ か 、B、Al、Se、 Cd、Ba摂 取 量 の 対TDI比 が30%を 超 え て おり 、年 次 推移 を 監 視 すべ き と 考 え る。U摂 取 量 とPb摂 取 量の 対TDI比 はそ れ ぞれ 約10%と6% で あ り、上 記 の 有害 元 素 に 比 べ れ ば 低 値 で あ る が 、Uに つ
い て は 初 め て 摂 取 量 を 推 定 し た 有 害 元 素 で あ る た め 複 数 年 に わ た る 監 視 が 必要 と 考 え る。
こ れ ま で30年 以 上 に わ た り 推 定 し て き たPb、Cd、As、Hg、PCBsに つ い て 、今 年 度 の 結果 も 加 え た摂 取 量 推 定 値 の 経 年 変 化 を 解 析 し た と こ ろ 、As、 Hg、Cdの 摂 取 量は30年 間 にわ た り わ ず か に 減 少 が 認 め ら れ る も の の ほ ぼ 一 定 の 値 で 推 移 し て い る こ と が 確 認 さ れ た。PbとPCBs摂取 量 は1990年 代 まで に 大 き く 減 少 し て 以 降 ほ ぼ 下 げ 止 ま り 、安 定 し て 推移 し て い た。
対TDI比 を 指 標 と し てPbとPCBsの 摂 取 量 を 他 の 有 害 元 素 等 の 摂 取 量 と 比 較す る と 、十分 に 低 下 して い る と も 評 価で き る 。しか し 、規 制等 の 場 面 に お い てALARAの 原 則 等 の 適 用 が 図 ら れ るこ と に 鑑 みる と 、少 ない な が ら も 摂 取量 が 推 定 され る 間 は 、検 出 頻 度 を 踏 ま え て 分 析 す るTD試 料 の 群 を 限 定 す るこ と や 、隔年 で 摂 取 量を 推 定 す る な どの 効 率 化 を図 り つ つ 、継 続 し て 監 視 する 必 要 が ある と 考 え る。
昨年 度 ま で は、TD試 料 を調 製 す る 各 協 力 機 関 で そ れ ぞ れ 分 析 さ れ た 結 果 に 基づ き 摂 取 量を 推 定 し てき た 。本 年 度 から は 、協 力機 関 が 調 製し た す べ て のTD試 料 を 国 立 医 薬 品 食 品 衛 生 研 究 所 に集 め 、同 所一 機 関 で 分析 す る こ と に 大き く 方 向 転換 を 図 っ た。分 析 に は、
事 前 に 性 能 評 価 し た 分 析 法 を 用 い た
が 、こ れ は 分 析法 の 性 能 に関 す る 客 観 的 な 証 拠 を 準 備 し 第 三 者 に 開 示 可 能 と する こ と で 、摂 取 量 推 定値 の 信 頼 性 を 確保 す る こ とが 目 的 で ある 。年 次 推 移 をみ る 限 り 、本 年 度 推 定さ れ た 摂 取 量 は、こ れ ま でに 推 定 さ れて き た 摂 取 量 と矛 盾 な く 一致 し て い る。こ の 一 致 に よっ て 、昨 年度 ま で に 推定 さ れ て き た 摂取 量 の 信 頼性 も 、よ り増 し た と 考 え る。
E. 結 論
本 研 究 に よ り 、 元 素 類 の 全 国 平 均 摂 取 量 は B:1523.8 μg/man/day 、 Al:4687 μg/man/day 、 Ni:156.8 μg/man/day 、 Se:90.2 μg/man/day 、 Cd:17.6 μg/man/day 、 Sb: 2.2 μg/man/day、Ba:468.4 μg/man/day、 Pb:10.4 μg/man/day、U: 1.0 μg/man/day、
As:213.9 μg/man/day 、 Sn:228.9 μg/man/day 、 Cr:30.2 μg/man/day 、 Co:9.0 μg/man/day 、 Mo:225.3
μg/man/dayと 推定 さ れ た 。ま た メ チ ル 水 銀 とPCBsの 全 国 平 均 摂 取 量 は 、 そ れ ぞれ6.7μg/man/day、436 ng/man/day と 推 定 され た 。 耐 用摂 取 量(TDI)が 設 定 さ れ て い る 有 害 物 質 に つ い て は 、 推 定 さ れ た 摂 取 量 推 定 値 が 占 め る 割 合(対TDI比)を 求め た 。 そ の結 果 、Ni の78.4%を 筆 頭に 、メ チ ル水 銀 が50%
以 上 、B、Al、Se、Cd、Baが30%以 上 、 Uが10%以 上 とな っ た 。こ れ ら 有 害 物 質 の 摂 取 量 推 定 は 、 積 極 的 に 継 続 し て 実 施 す べ き と 考 え る 。 ま たPbと PCBsの 対TDI比 は そ れ ぞ れ5.8%と 0.2%で あ り 、上 記 の 有 害物 質 の 対TDI 比 に 比 べ 小 さ な 値 で は あ る が 、 規 制 等 の 場 面 に お い てALARAの 原 則 等 の 適 用 が 図 ら れ る こ と に 鑑 み る と 、 少 な い な が ら も 摂 取 量 が 推 定 さ れ る 間 は 、推 定 方 法の 効 率 化 を図 り つ つ、
継 続 し て 監 視 す る 必 要 が あ る と 考 え る 。
1-2. 塩素 化ダイ オキシ ン 類のト ータルダイエット調査
A. 研 究 目 的
TD 試 料 を 用 い た ダ イ オ キ シ ン 類 の 摂取 量 推 定 は、 平 成 9 年か ら 厚生 科 学 研 究(現 在 は 厚 生 労 働 科 学 研 究) 費 補 助 金 に よ り 、 ご と 年 実 施 さ れ て お り 、 国 民 の ダ イ オ キ シ ン 類 暴 露 量
と そ の 経 年 推 移 に 関 す る 知 見 が 得 ら れ て い る 。 国 民 平 均 の ダ イ オ キ シ ン 類 摂 取 量 を 推 定 す る た め 、 本 年 度 は 全 国 7 地 区 8 機 関 に おい て 日 本 人の 平 均的 な 食 品 摂取 に 従 っ た TD 試 料 を 調 製 し 、 試 料 中 の ダ イ オ キ シ ン 類
を 分析 し 、1 日 摂 取量 を 推定 し た 。ま た 、 今 年 度 は 新 た に ハ イ リ ス ク 集 団 と 考 え ら れ る 幼 児 に お け る ダ イ オ キ シ ン 類 摂 取 量 を 推 定 す る た め 、 幼 児 の 食品 摂 取 に 従っ た TD 試 料 を 作 製 し 、 試 料 中 の ダ イ オ キ シ ン 類 を 分 析 し 、1 日摂 取 量を 推 定 し た。
B. 研 究 方 法 1. 試 料
1-1. 日 本 人 の平 均 的 な TD試 料 国 民 平 均 の ダ イ オ キ シ ン 類 摂 取 量 を 推定 す る た めの TD 試 料は 、全 国7 地 区 の 8 機 関で 調 製 し た。 厚 生 労 働 省 が実 施 し た 平成20〜22年 度 の 国民 健 康 ・ 栄 養 調 査 の 地 域 別 食 品 摂 取 量 (1 歳 以上)を 項目 ご と に 平均 し 、各 食 品 の地 域 別 摂 取量 と し た 。TD試料は、
有 害 物 質 の 摂 取 量 推 定 研 究 と 同 様 、 14群に分けて調製した。
1〜9 群 、 及び 12〜14 群 の 試 料は 、 各 機関 で 1 セ ット 調 製 し た。10 及 び 11 群 はダ イ オキ シ ン 類 の主 要 な 摂 取 源 であ る た め 、8 機関 が 各群 3 セ ッ ト ず つ調 製 し た 。こ れ ら 3 セッ ト の試 料 は 、 魚 種 、 産 地 、 メ ー カ ー 等 が 異 な る 食 品 を 合 一 し 調 製 し た 。 昨 年 度 ま での 研 究 で は、12 群 につ い て も 各 機 関 で 3 セ ット の 試 料 調製 を 実 施 し た が、12 群 のダ イ オ キ シン 類 摂 取 量 に 占め る 割 が 低下 し て お り、 平 成 19 年 度以 降 の 割 合は2.1%以 下 で あ っ た。
そ のた め 、12 群 から の ダイ オ キ シ ン 類 摂 取 量 は 全 体 に 占 め る 割 合 が 高 い と は 言 え な い た め 、 今 年 度 よ り 各 機 関で 1 セ ッ ト の試 料 作 製 とし た 。
各 機関 で 3 セ ット ず つ 調 製し た 10 及 び11群 の 試料 は そ れ ぞれ の 試 料 を 分 析に 供 し た 。一 方 、1〜9 群 及 び 12
〜14 群は 、 各機 関 の 食 品摂 取 量 に 応 じ た 割 合 で 混 合 し た 共 通 試 料 と し 、 分 析に 供 し た 。
1-2. 幼 児 の TD 試 料
国 民 健 康 栄 養 調 査 デ ー タ(平 成 20
〜22 年 度)を 集計 し 、 幼 児(1-3 歳)の 食 事摂 取 に 従 っ た TD 試 料 を 作 製し た 。な お 、14 群 とし て 分類 さ れ る 飲 料 水 に つ い て は 、 ダ イ オ キ シ ン 類 摂 取 量 に 対 す る 寄 与 が 極 め て 少 な い こ と が 現 在 ま で の 研 究 に よ り 明 ら か と な っ て い る た め 、 分 析 対 象 よ り 除 い た 。
2. 分 析 対 象 項 目 及 び 検 出 限 界
分析 対 象 項 目は 、WHO が 毒性 係 数 (TEF)を定 めた PCDDs 7種 、PCDFs 10 種 及 び Co-PCBs 12種 の 計 29 種 と し た 。
3. 分 析 方 法
ダ イ オ キ シ ン 類 の 分 析 法 は 、「 食 品 中 の ダ イ オ キ シ ン 類 測 定 方 法 ガ イ ド ライ ン 」(厚生 労 働 省、平 成 20 年 2
月)に 従 っ た 。
4. 推 定 結 果 の 表 記
推定 結 果 は 、1 日摂 取 量を 体 重 あ た り の毒 性 等 量(pgTEQ/kg bw/day)で 示 し た 。TEQ の 算出 に は2005年 に 定め ら れた TEF を 使 用 し 、 分析 値 が 検 出 限 界 値 未 満 の 異 性 体 濃 度 を ゼ ロ と し て 計算 し た 値(以 下 、ND=0と 略 す)と、
個 々 の 異 性 体 の 検 出 限 界 値 濃 度 の 1/2 と し て 計 算 し た 値 ( 以 下 、 ND=LOD/2と 略す)を 示 した 。
C. 研 究 結 果 及 び 考 察
1 . 国 民 平 均 の ダ イ オ キ シ ン 類 摂 取 量 推 定
7 地 区 の 8 機関 に おい て 調 製 した 平 均的 な 食 品 摂取 を 模 し た TD 試 料 を 分 析 し 、 ダ イ オ キ シ ン 類 摂 取 量 及 び 各群 か ら の 摂取 割 合 を 算出 し た 。
1-1.PCDD/PCDFs 摂 取 量
PCDD/PCDFs の 1 日 摂 取 量 は 、 ND=0 と し て 推 定 し た 場 合 、 平 均 9.15(範 囲:1.48〜22.23)pgTEQ/dayで あ っ た 。 こ れ を 、 日 本 人 の 平 均 体 重 を50 kg と し て、 体 重(kg)あ た り の 1 日 摂取 量 に 換 算す る と 、平 均0.18(範 囲 :0.03〜0.44) pgTEQ/kg bw/dayと な った 。 平 成 24 年 度 は 平均 0.21(範 囲 :0.07〜0.43) pgTEQ/kg bw/dayで あ り 、 今 年 度 の 平 均 値 は ほ ぼ 同 等 で
あ った 。
ND=LOD/2 と し て 推 定 した 場 合 の PCDD/PCDFs の 1 日 摂 取量 は 、 平 均 48.11(範 囲 :41.38〜59.72)pgTEQ/day で あり 、 体 重 あた り 平 均 0.96(範 囲 : 0.83〜1.19) pgTEQ/kg bw/dayで あ っ た 。
PCDD/PCDFs 摂 取 量 に 対 す る 寄 与 率 が高 い 食 品 群は 、ND=0の 場 合 、10 群(魚 介 類)80.1%、11 群(肉 ・ 卵 類)17.4%で あ り、 こ れ ら 2 群 で 全 体 の 97.6%を 占 めた 。
ND=LOD/2 の 場 合 は 、 高い 順 に 9 群(酒 類 、嗜 好 飲料)22.8%、10群16.7%、
1 群(米 、 米 加工 品)15.8%で あ っ た。
ND=0 の 場 合 には 、9群 及び 1群 の 寄 与 は ほ と ん ど ゼ ロ で あ る が 、 こ れ ら の 食 品 群 は 摂 取 量 が 多 い た め 、 全 て の ダイ オ キ シ ン類 分 析 値 が ND で あ っ ても 、そ れを LOD/2 の 濃 度と し て 計 算 に 含 め 推 定 値 を 算 出 す る と 、 そ の 結 果 と し て 摂 取 量 が 高 く 推 定 さ れ 、 寄 与率 も 高 く なっ て い る 。
1-2.Co-PCBs摂 取 量
Co-PCBs の 1 日 摂 取 量 は 、ND=0 の 場 合 、 平 均 19.71(範 囲 :7.74〜 32.9)pgTEQ/day であ り 、体 重 あ た り 平均 0.39(範 囲:0.15〜0.66)pgTEQ/kg bw/day で あ った 。平 成 24 年 度 は 平均 0.48( 範 囲 : 0.15 〜 0.85)pgTEQ/kg bw/day で あ り、 今 年 度 の平 均 値 は や
や 低い 値 で あ った 。
ND=LOD/2 の 場 合の 摂 取 量 は、 平
均 32.69( 範 囲 : 20.91 〜
45.58)pgTEQ/dayで あ り 、体重 あ た り と す れ ば 、 平 均 0.65(範 囲 :0.42〜 0.91)pgTEQ/kg bw/dayで あっ た 。 Co-PCBs 摂 取 量 に 対 す る 寄 与 率 が 高 い食 品 群 は、ND=0の 場合 、10 群(魚 介 類)96.2%、11 群(肉 ・ 卵 類)3.5%で あ り、 こ れ ら 2 群で 全 体 の 99.7%を 占 めた 。
ND=LOD/2の 場合 は 、高 い 順 に 10 群58.0%、9 群 11.4% 、1 群 7.9%で あ っ た。PCDD/PCDFs の 場合 と 同 様 に、
9 群及 び 1 群か ら の 寄 与率 が 高 く な っ た。
1-3. ダ イ オ キ シ ン 類 摂 取 量
PCDD/PCDFs とCo-PCBs を 合 わ せ た ダイ オ キ シ ン類 の 1 日摂 取 量 は 、 ND=0の 場 合 、平均 28.86(範 囲:9.22
〜48.37)pgTEQ/dayで あ り 、体 重 あ た り 摂 取 量 は 平 均 0.58(範 囲 :0.18〜 0.97)pgTEQ/kg bw/day であ っ た 。 日 本 にお け る TDI(4 pgTEQ/kg bw/day) の 15%程 度 で あ り 、 最 大 値 の 0.97 pgTEQ/kg bw/day も TDI の 25%程 度 で あっ た 。 平成 24 年 度 は平 均 0.69 (範 囲 :0.22〜1.22)pgTEQ/kg bw/day で あ り 、 今 年 度 の 平 均 値 は や や 低 い 値 であ っ た 。
ND=LOD/2の 場合 の1日 摂 取 量 は、
平 均 80.79( 範 囲 : 62.29 〜 98.96)pgTEQ/day で あ り 、体重 あ た り 摂 取量 は 平 均 1.62(範 囲:1.25〜1.98) pgTEQ /kg bw/dayで あ った 。
ダ イ オ キ シ ン 類 摂 取 量 に 対 す る 寄 与 率が 高 い 食 品群 は 、ND=0 の 場 合、
10 群(魚 介 類)91.1%、11 群(肉 ・ 卵 類)7.9%で あ り 、こ れ ら 2 群 で 全 体 の 99.0%を 占 め た 。ND=LOD/2の 場 合は 、 高 い順 に 10 群33.4%、9 群(酒 類 、嗜 好 飲 料)18.2%、1 群(米 、 米 加 工 品)12.6%で あ り 、PCDD/PCDFs 及 び Co-PCBs の 場合 と 同 じ く 1 群 及 び 9 群 の寄 与 率 が 高か っ た 。
ダ イ オ キ シ ン 類 摂 取 量 に 占 め る Co-PCBs の 割 合 は 、ND=0 の 場 合 、 68%で あ っ た 。Co-PCBs か ら の 摂 取 率 は平 成 23〜24 年 度 が 70%で あ り、
ほぼ 7 割 を 推 移し て い る 。
本 調 査 研 究 で は 、 ダ イ オ キ シ ン 類 摂 取へ の 寄 与 が大 き い 10 群 、及 び 12 群 の試 料 を 各 機関 で 各 3 セッ ト 調製 し、ダ イ オ キ シン 類 摂 取 量の 最 小 値、
中 央 値 及 び 最 大 値 を 求 め て い る 。 こ れ ま で の 調 査 結 果 と 同 様 に 、 同 一 機 関 で あ っ て も 、 推 定 さ れ る ダ イ オ キ シ ン 類 摂 取 量 の 最 小 値 と 最 大 値 に は 1.2〜3.5 倍 の 開 き が あ っ た(平 成 25 年 度)。3 セ ット の 試 料 は同 一 地 域 で 市 販 食 品 を 購 入 し 調 製 さ れ て い る が 、 各 試 料 に 合 一 し た 魚 種 、 個 体 等 の 差 が 影 響 し て い る も の と 考 え ら れ る 。
特に10群 か らの 摂 取 量 推定 値 の 差 は 大 き く 、 魚 介 類 中 の ダ イ オ キ シ ン 類 濃 度 の 分 布 が 広 い こ と が 推 察 さ れ た 。 1セ ッ ト のTD試 料に 合 一す る こ と が 可 能 な 食 品 の 数 は 限 ら れ て い る た め 、 本 研究 の よ うに10群 と して 調 製 す る 試 料 数 を 多 く し て 、 全 試 料 を 通 じ て 広 範 な 魚 介 類 が 試 料 に 含 ま れ る よ う に す る こ と が 、 国 民 平 均 の ダ イ オ キ シ ン 類 摂 取 量 の 精 密 な 推 定 に 有 用 で あ ると 考 え ら れる 。
1-4.ダ イ オ キ シ ン 類 摂 取 量 の 経 年 推 移
平成 10〜18 年 度 の 推定 値 は 、平 成 12 年 度厚 生 科学 研 究 費 補助 金 研 究 事 業 「 ダ イ オ キ シ ン 類 の 食 品 経 由 総 摂 取 量調 査 研 究 報告 書 」、 平 成 15 年 度 厚 生 労 働 科 学 研 究 費 補 助 金 研 究 事 業
「 ダ イ オ キ シ ン の 汚 染 実 態 把 握 及 び 摂 取低 減 化 に 関す る 研 究 報告 書 」、及 び 平成18年 度厚 生 労 働 科学 研 究 費 補 助 金 研 究 事 業 「 ダ イ オ キ シ ン 類 に よ る 食 品 汚 染 実 態 の 把 握 に 関 す る 研 究 報 告書 」か ら 、平 成 19〜21年度 の 推 定 値は 、平 成 21 年 度 厚 生労 働 科 学 研 究 費 補 助 金 研 究 事 業 「 ダ イ オ キ シ ン 類 等 の 有 害 化 学 物 質 に よ る 食 品 汚 染 実 態 の 把 握 に 関 す る 研 究 報 告 書 」 か ら 、平 成 22〜24 年度 の 摂取 量 は 、平 成24年度 厚 生労 働 科 学 研究 費 補 助 金 研 究 事 業 「 食 品 を 介 し た ダ イ オ キ シ
ン 類 等 有 害 物 質 摂 取 量 の 評 価 と そ の 手 法開 発 に 関 する 研 究 」か ら 引 用 し、
ダ イ オ キ シ ン 類 摂 取 量 の 経 年 推 移 を 解 析し た(平 成 19〜21 年 度 の 推 定 値 は 2005 年 の TEF を 用 いて 再 計 算 し た)。
平成25年 度の ダ イ オ キシ ン 類 摂 取 量(平 均 値)は 0.58 pgTEQ/kg bw/day で あり 、平 成 10 年 度 以 降の 調 査 結 果 の 中 で 最 も 低 い 値 で あ っ た 。 ま た 、 調 査研 究 が 開 始さ れ た 平成10年 度 及 び11年度 の ダイ オ キ シ ン類 摂 取 量 は 1.75 及 び 1.92 pgTEQ/kg bw/day で あ り 、 こ れ ら の 値 と 比 較 す る と 、 最 近 の 摂取 量 は 40%以 下 まで 低 下 し てい る 。低 下 率 は 平成 10 年 度か ら 18 年 度 まで が 大 き く、18 年 度以 降 は 小 さ く な っ て い る 。 ま た 、 各 年 度 で 推 定 さ れ た ダ イ オ キ シ ン 類 摂 取 量 の 最 大 値 とし て 、平成 11年 の 関西 地 区 Aに お いてTDIで ある4 pgTEQ/kg bw/day を 超 え た こ と が あ っ た 。 し か し 、 そ れ 以降 は 最 大 値 で TDI を超 え る 摂 取 量 は推 定 さ れ てお ら ず 、平 成 20 年 度 以 降 は 継 続 し て 2 pgTEQ/kg bw/day を 下 回 っ て お り 、 特 に 本 年 度 の 最 大 値 は 1 pgTEQ/kg bw/day 以 下と な っ た 。
ダ イ オ キ シ ン 類 摂 取 量 が 減 少 し て い る要 因 の 一 つと し て 、 平成 11 年 7 月 に成 立 、平成 12 年 1 月 に 施行 さ れ た DXNs 対 策特 別 措 置 法が 考 え ら れ
る 。 こ れ に 基 づ き 環 境 基 準 が 設 定 さ れ た こ と に よ り 、 焼 却 施 設 等 か ら の ダ イ オ キ シ ン 類 の 排 出 が 大 幅 に 抑 制 さ れ た こ と が 、 摂 取 量 の 低 下 に 大 き く 寄与 し て い ると 考 え ら れる 。ま た、
そ の 他 の 要 因 と し て は 、 魚 介 類 の 摂 取 量 が 過 去 に 比 べ 減 少 し て い る こ と が 挙げ ら れ る。平 成 10 年 度 のダ イ オ キ シ ン 類 摂 取 量 の 推 定 に 用 い た 魚 介 類の 1 日 摂 取量 は 97.0 g/day で あっ た が、 平 成 25 年度 の 調査 で は 70.7 g/dayで あ り、27%程 度 減少 し て い る。
2.幼 児 の ダ イ オ キ シ ン 類 摂 取 量 推 定 幼児 用 の TD 試 料 の分 析 結 果 に基 づ き推 定 さ れ たダ イ オ キ シン 類 1 日 摂 取 量 は 、 ND=0 の 場 合 は PCDD/PCDFs が 2.08 pgTEQ/day 、 Co-PCBsが 3.66 pgTEQ/day、 及 びそ の 和 で あ る ダ イ オ キ シ ン 類 が 5.74 pgTEQ/day で あ っ た 。 幼 児 の 平 均 体 重 を 12.6 kg と 仮定 し た場 合 、 体 重 (kg)あ た り の 1 日 摂 取 量 に 換 算 す る と 、PCDD/PCDFs が 0.17 pgTEQ /kg bw/day、Co-PCBs が 0.29 pgTEQ /kg bw/day、 及 び ダ イ オ キ シ ン 類 が 0.46 pgTEQ /kg bw/dayで あ った 。 ダ イ オ キ シン 類 摂 取 量推 定 値 の 対 TDI 比 は、
約 12%で あ った 。 ま た 、幼 児 に よ る ダ イ オ キ シ ン 類 の 摂 取 量 推 定 値 は 本 年 度 の 国 民 平 均 の 摂 取 量 推 定 値(0.58 pg TEQ/kg be/day)と 大 差 は な か っ た 。
幼 児 の 体 重 は 、 当 然 の こ と な が ら 国 民 平 均 と 比 較 し て 小 さ い が 、 ダ イ オ キ シ ン 類 の 主 要 な 暴 露 経 路 で あ る 魚 介 類 の 摂 取 量 も ま た 国 民 平 均 と 比 較 し て 少 な い た め 、 両 者 の ダ イ オ キ シ ン 類 摂 取 量 に 顕 著 な 差 が 生 じ な か っ た と考 え ら れ る。
また 、ND=LOD/2 の 場合 の 1 日 摂 取 量 は PCDD/PCDFs が 16.78 pgTEQ/day 、 Co-PCBs が 8.67 pgTEQ/day、及 び その 和 であ る ダ イ オ キ シン 類 が 25.45 pgTEQ/dayで あ り、
体 重 あ た り の 摂 取 量 は そ れ ぞ れ 、 1.33、0.69、2.02 pgTEQ /kg bw/day と 推 定さ れ た 。
ダ イ オ キ シ ン 類 摂 取 量 に 対 す る 寄 与 率が 高 い 食 品群 は 、ND=0 の 場 合、
10 群(魚 介 類)91.0%、 次 い で 7 群(緑 黄 色野 菜)6.6%で あ り 、こ れら 2 つ の 群 で全 体 の 97.5%を 占 めた 。通 常は 7 群 か ら の 総 ダ イ オ キ シ ン 類 摂 取 量 へ の 寄 与 は 小 さ い が 、 今 回 調 製 し た 7 群 試 料 か ら は 、 TEF が 大 き い 1,2,3,7,8-PeCDD が 検 出 下限 値 近 い 低 濃 度 で は あ る が 検 出 さ れ た た め 、 摂 取 量推 定 値 が 大き く な っ た。
ND=LOD/2 の 場 合は 、 寄 与 率が 高 い 順に 10 群21.4%、9 群(酒類 、嗜 好 飲 料)13.5%、12 群(乳・乳 製品)13.0%、
1 群(米 、 米 加 工 品)11.5%で あ り 、 ND=0 の 場 合 と比 較 す る と、 1 群 、9 群 、及 び 12 群の 寄 与 率 が高 か っ た。
こ れ ら の 食 品 群 に つ い て は ダ イ オ キ シ ン 類 が ほ と ん ど 検 出 さ れ て い な い が 、摂 取 量 が 多い た め ND=LOD/2で 計 算 し た 場 合 の 摂 取 量 推 定 値 が 高 く な った 。
日 本 に お い て 幼 児 の ダ イ オ キ シ ン 類 の 摂 取 量 を 推 定 し た 事 例 と し て は 、 2002年に 東 京都 が 実 施 した 調 査 が あ る 。 こ の 調 査 で は 、 国 民 健 康 ・ 栄 養 調 査 の 2 歳 〜6 歳 の 食 品摂 取 量 に 基 づ き調 製 し た TD 試 料 を分 析 し て い る 。 得 ら れ た 分 析 結 果 に 基 づ き 、 ダ イ オキ シ ン 類 摂取 量 は 30.4 pg TEQ/
日(2.03 pg TEQ/kg/day)と推 定 さ れ て い る。本 研 究 が対 象 と し た年 齢 層 や、
推 定 の 実 施 時 期(試 料 の 調 製 時 期)等 が 異 な る た め 、 推 定 さ れ た 摂 取 量 を 直 接 比 較 す る こ と は 困 難 で あ る が 、 二 つの 摂 取 量 推定 値 に は 約 4 倍 の 違
い があ る 。
D. 結 論
1.全 国 7 地区 8機 関 で 調製 し た TD 試 料 の分 析 を 通 じ、 ダ イ オ キシ ン 類 の 摂取 量 を 推 定し た 結 果 、平 均 1 日 摂 取量 は 0.69 pgTEQ/kg bw/dayで あ り 、日 本 に お ける TDI の 約 17%で あ っ た 。ダ イ オ キ シン 摂 取 量 は経 年 的 に 減 少傾 向 に あ るが 、 食 品 の安 全 を 確 保 する た め 、 今後 も ダ イ オキ シ ン 類 摂 取に 対 す る 寄与 が 大 き い魚 介 類 に 重 点を 置 い た 調査 を 継 続 し、 動 向 を 見守 る 必 要 があ る 。
2. 幼 児(1 歳 〜3 歳)を 対象 に し た TD 試 料 を用 い て ダ イオ キ シ ン 類の 摂 取 量 調 査を 実 施 し た結 果 、1 日摂 取 量 は 0.46 pg TEQ/kg w/dayと推 定 さ れ た 。
1-3. ハロ ゲン化 難燃剤 の実 態調査
A. 研 究 目 的
難 燃 剤 に は 、 ハ ロ ゲ ン 系 や リ ン 系 な ど の 有 機 系 難 燃 剤 及 び 金 属 酸 化 物 や ア ン チ モ ン 系 な ど の 無 機 系 難 燃 剤 が あ り 、 こ の う ち ハ ロ ゲ ン 系 難 燃 剤 は そ の 効 率 の 良 さ か ら プ ラ ス チ ッ ク 製 品 の 難 燃 剤 と し て 幅 広 く 使 用 さ れ て いる 。
ハ ロ ゲ ン 系 難 燃 剤 の う ち 、 臭 素 系
難 燃 剤 は 、 人 体 へ の 影 響 や 、 よ り 毒 性 が 高 い 臭 素 系 ダ イ オ キ シ ン 類 の 発 生 等 へ の 懸 念 が あ る 。 高 臭 素 化 難 燃 剤 で あ る ヘ キ サ ブ ロ モ シ ク ロ ド デ カ ン(HBCD)は 、分 子 量 641.7 の 臭 素系 化 合物 で 、16 の 立体 異 性体 が あ り 、 主 な 異 性 体 は α 体 、 β 体 及 び γ 体 で あ る 。HBCD は 難 燃 剤 と し て 優 れ た 性 質 を 持 つ 一 方 、 環 境 中 で の 残 留 性
や 生 物 蓄 積 性 を 有 す る こ と か ら 、 平 成 25 年 に ス トッ ク ホ ル ム条 約(POPs 条 約)の 締 結 国 会 議 に お い て 同 条 約 付 属 書 A(廃 絶)に 追 加 さ れ る こ と が 決 定 さ れ 、 日 本 に お い て も 化 学 物 質 審 査 規 制 法 の 第 一 種 特 定 化 学 物 質 へ の 指 定 が 決 定 し た 。 し か し 、HBCD を 使 用 し た 製 品 の 廃 棄 が 今 後 増 加 し て い く こ と か ら 、 環 境 や 食 品 に お け る 汚 染 実 態 調 査 を 継 続 的 に 行 っ て い く 必 要 が あ る 。HBCD に つ い て は こ れ ま で の 研 究 に お い て 、 マ ー ケ ッ ト バ スケ ッ ト 方 式に よ り 調 製さ れ た 10 群(魚 介 類)試 料 か ら の み か ら 検 出 さ れ て い る 。 そ の た め 、 魚 介 類 の 個 別 試 料 を 分 析 す る こ と で 、 食 品 汚 染 の 実 態 を 把 握 す る こ と が で き る と 考 え ら れる 。
一 方 、 デ ク ロ ラ ン プ ラ ス (Dechlorane Plus、 以 下 DP)は 、 分 子 量 653.7 の 塩素 系 化 合 物で あ る 。 化 学 名(IUPAC名)は1, 2, 3, 4, 7, 8, 9, 10, 13, 13, 14, 14-dodecachloro-, 4, 4a, 5, 6, 6a, 7, 10, 10a, 11, 12, 12a-dodecahydro-1,4:7,10-dimethanodi benzo [a, e] cyclooctene で あり 、syn 体 と a nti 体 の二 つ の 異 性体 が 存 在 す る 。DP は POPs 条 約 で 指定 さ れ た 塩 素 系 難 燃 剤 ・ マ イ レ ッ ク ス(Mirex)の 代 替 製 品 と し て 需 要 が 増 大 傾 向 に あ り 、 近 年 環 境 汚 染 物 質 と し て 注 目 さ れ て い る 物 質 で あ る 。 食 品 中 の DP
に つ い て は 、 国 内 で 魚 介 類 か ら 検 出 し た 事 例 が 報 告 さ れ て い る が 、 食 品 汚 染 実 態 に 関 す る 十 分 な デ ー タ が 得 ら れて い な い のが 現 状 で ある 。
上 記 の 現 状 に 鑑 み 、 本 研 究 で は 臭 素 系難 燃 剤 で ある HBCD 及び 塩 素 系 難 燃剤 で あ る DP に つ い て、魚 介 類 試 料 中の 汚 染 実 態調 査 を 行 った 。
B. 研 究 方 法 1 試 料 ・ 試 薬 等 1.1 試 料
平成25年 度 に福 岡 県 内 の食 料 品 店 で 購入 し た 生 鮮魚 介 類 20 試料(主に 九 州 地 区 を 産 地 と す る)を 調 査 対 象 と し た 。 各 々 の 可 食 部 を 採 取 し 、 細 切・均 一 化 し たも の を 分 析に 用 い た。
1.2 標 準 物 質
α-、 β-、 γ-HBCD 標 準 品 、 及 び α-、β-、γ-13C12ラ ベ ル化 HBCD は Cambridge Isotope Laboratories 社 製 を 用 い た 。 各 異 性 体 を メ タ ノ ー ル で 適 宜希 釈 ・ 混 合し て 分 析 に用 い た 。
DP の 標 準 溶 液 は 、 Wellington Laboratories 社 製を 使 用 した 。DP の syn 体 と a nti 体 の 各 々 につ い て ネ イ テ ィ ブ 体 標 準 液 と 13C-ラ ベ ル 体 標 準 液 を 購 入 し 、 こ れ ら を ノ ナ ン で 適 宜 希 釈 ・ 混 合 し て 分 析 に 用 い た 。 シ リ ン ジ ス パ イ ク に は 、13C-2,3,3’,55’- pentaCB(13C-PCB111)を 使用 し た 。
1.3 試 薬 及 び 器 材
ア セ ト ン 、 ヘ キ サ ン 、 ジ ク ロ ロ メ タ ン、ノ ナ ン、メ タ ノ ー ル、蒸 留 水(ヘ キ サン 洗 浄 品)、無水 硫 酸ナ ト リ ウ ム 及 び 塩 化 ナ ト リ ウ ム は 関 東 化 学 社 製 の ダ イ オ キ シ ン 類 分 析 用 又 は 残 留 農 薬 ・PCB 試 験用 を 用 い た。 硫 酸 は 和 光 純 薬 工 業 社 製 の 有 害 金 属 測 定 用 を 使 用 し た 。44%硫 酸 シ リ カ ゲ ル は 和 光 純 薬 工 業 社 製 ダ イ オ キ シ ン 類 分 析 用 を 用 い た 。 珪 藻 土 は International Sorbent Technology 社 製 の BULK ISOLUTE SORBENT HM-Nを用 いた。フ ロ リ ジ ル カ ー ト リ ッ ジ カ ラ ム は Waters 社 製 の Sep-pak Vac RC (500 mg)を 使 用 し た 。スル ホ キシ ド カ ラ ム は Supelco 社 製 の Supelclean Sulfoxide(3 g)を用 い た 。
2 機 器 及 び 使 用 条 件
2.1 液 体 ク ロ マ ト グ ラ フ・タ ン デ ム 型 質 量 分 析 計(LC-MS/MS)
HBCD 分 析 に は LC-MS/MS(Waters 社製 2695 / Quattro Ultima Pt)を 用 い た 。
2.2 高 分 解 能 ガ ス ク ロ マ ト グ ラ フ ・ 質 量 分 析 計(HRGC-HRMS)
HRGC-HRMS は 下 記 の 2 つの シ ス テ ムを 使 用 し た。
シ ステ ム 1 :
HRGC:Agilent 6890N(スプ リ ッ ト
レ ス 注 入 )-HRMS : Micromass AutoSpec Premier
シ ステ ム 2:
HRGC:Agilent 7890N(大量 注 入 装 置 ア イ ス テ ィ サ イ エ ン ス 社 製 LVI-S200 付 き)-HRMS:Micromass AutoSpec Premier
2.3 GPC 装 置
GPC と し て 、ポ ン プ は ジー エ ル サ イ エン ス 社 製の PU 714、カ ラ ム オ ー ブ ン は ジ ー エ ル サ イ エ ン ス 社 製 の CO 705、 検 出器 は ジ ー エル サ イ エ ン ス 社 製 の GL-7452、 分 画 装 置 は 東 京 理 化器 械 社 製 の DC-1500 を使 用 し た。
プ レ カ ラ ム 及 び 分 離 カ ラ ム は 昭 和 電 工 社製 Shodex CLNpak EV-G AC 及 び EV-2000 AC を用 い 、移 動相 は ア セ ト ン/シ ク ロ ヘ キサ ン(3:7, v/v)、 流速 5 mL/min と し た。
2.4 高 速 溶 媒 抽 出 装 置
高 速 溶 媒 抽 出(ASE)に は DIONEX 社 製の 大 容 量 型装 置 ASE-350を 使 用 し た 。 抽 出 条 件 は 下 記 の 通 り で あ っ た 。
セ ル温 度:100℃、セ ル 圧 力:1500psi、
加 熱時 間 :5 分 、 静 置 時 間:10 分 、 抽 出サ イ ク ル 数:2、抽 出溶 媒:ヘ キ サ ン
3 実 験 操 作
3.1 HBCDの 分 析 操 作
試 料約 5 g を 秤取 し て 精 製水 5 mL を 加え 、13C12-α-、13C12-β-及 び 13C12- γ-HBCD 各 1 ng を 内 部標 準 と し て 添 加 し た 。 こ れ に 抽 出 溶 媒 と し て メ タ ノー ル 20 mL を 加 え 2 分 間 高 速 ホ モ ジ ナ イ ザ ー に よ り 攪 拌 抽 出 し た 。 こ れを ろ 過 し 、ろ 液は 300 mL 分 液 ロ ー ト に 移 し た 。 残 渣 は 、 メ タ ノ ー ル 10 mLと10%ジク ロ ロ ロメ タ ン/ヘキ サ ンの 混 液(以下 DCM/Hex)10 mL で 再 度 ホ モ ジ ナ イ ズ 抽 出 を 行 い 、 さ ら に10% DCM/Hex 20mLで 抽 出を 行 っ た 。 ろ 紙 を メ タ ノ ー ル 及 び 10%
DCM/Hex 各 10 mL で 洗い 、 ろ 液 及 び 洗液 を 300 mL 分 液 ロー ト に 合 わ せ 、 あ ら か じ め ジ ク ロ ロ メ タ ン で 洗 浄 した 5% NaCl水 溶 液 120 mL を 加 えて5分 間 振 とう し た 後、静 置 し た 。 分 離 し た 有 機 層 は 綿 栓 し た 三 角 ロ ー ト 上 の 無 水 硫 酸 ナ ト リ ウ ム を 通 過 さ せ 、 ナ ス 型 フ ラ ス コ に 採 っ た 。 そ の 後、10% DCM/Hex 40 mLで 同 様 の 液
− 液抽 出 及 び 脱水 を 2 回行 っ た 。 得 ら れ た 有 機 層 は エ バ ポ レ ー タ で 減 圧 濃 縮 し 、 ア セ ト ン/シ ク ロ ヘ キ サ ン (3:7)に 置 換 し 10 mL に 定容 し た 。 そ のう ち の2 mL を GPC装 置 に注 入 し 、粗 脂 肪 溶 出直 後 の HBCD 溶 出画 分(溶 出 時 間 12.5 分 〜18.5 分)を 採取 し て 濃 縮 乾 固 し た 。 残 渣 を 少 量 の ヘ キ サ ン に 溶 解 し 、 パ ス ツ ー ル ピ ペ ッ
ト に 44%硫 酸シ リ カ ゲ ルを 1 g 充 填 し た ミ ニ カ ラ ム に 負 荷 し た 。20%
DCM/Hex 8mLで 溶 出 し 、窒 素 ガ ス 吹 付 け 乾 燥 し た 。 少 量 の ジ ク ロ ロ メ タ ン に 溶 解 さ せ イ ン サ ー ト バ イ ア ル に 移 し、自 然 乾 燥後 に メ タ ノー ル 50 μ L を加 え て 溶解 さ せ 、LC-MS/MS で 測 定し た 。
3.2 DP分 析 の 分 析 操 作
均 一化 し た 魚 介類 試 料 の約 10 g を 250 mL容 テ フロ ン 製 遠 沈管 に 秤 量 し、
珪 藻土 約 20g を 加 え て 混合 し た 。 混 合 物を ASE-350 用の ス テン レ ス 製 抽 出 セル(99mL 容)に 充 填 し 、クリ ー ン ア ッ プ ス パ イ ク (13C-syn-DP 及 び
13C-a nti-DPの2成 分 を 各250 pg相 当) を 添加 し 、2.3 項 に 示 し た条 件 で 抽 出 を 行っ た 。抽 出液 は 250 mL 容 の 捕 集 ボ トル に 回 収 し 、2%塩 化ナ ト リ ウ ム 水 溶液 50 mL を 加 え て 緩や か に 振 り 混 ぜ て 抽 出 液 を 洗 浄 し た 。 抽 出 液 を 300 mL 容 ナ ス型 フ ラ ス コに 移 し 、ロ ー タリ ー エ バ ポレ ー タ ー で 約 10 mL に なる ま で 濃 縮し た 。
こ の 濃 縮 液 を 、 風 袋 を 量 っ た 100 mL 容 ビ ー カ ーに 移 し 、室 温下 で 一 夜 静 置 し て 大 部 分 の 有 機 溶 媒 を 揮 散 さ せ た。そ の 後 、105℃ に 設定 し た ア ル ミ ブロ ッ ク 上 で 3 時 間 加熱 し 乾 燥 さ せ た 。 放 冷 後 重 量 を 測 定 し 、 得 ら れ た 抽出 物(脂 肪 成 分)の 重 量 を 求 め た 。