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刊行の言葉 アジア 太平洋戦争の終結から65年が過ぎました それでもなお紛争の火種はいたるところ にあります それらは先の戦争が積み残した問題が原因となっているものも多くあります 一方 近隣の国同士の人びとの交流は様ざまな形で広がっており 互いに手をつなごうとす る動きは確実に進んでいます 平和な未

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Academic year: 2021

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(1)

日本・中国・韓国の絵本作家が手をつなぎ

子どもたちにおくる平和絵本シリーズ

1

期・全

3

4 1 

三か国共同出版・童心社創業55周年記念出版

[全12巻]童心社(日本)

・訳林出版社(中国)

イーリン

・四季節出版社(韓国)

サ  ゲ ジョル

(2)

刊行の言葉

 アジア・太平洋戦争の終結から65年が過ぎました。それでもなお紛争の火種はいたるところ にあります。それらは先の戦争が積み残した問題が原因となっているものも多くあります。  一方、近隣の国同士の人びとの交流は様ざまな形で広がっており、互いに手をつなごうとす る動きは確実に進んでいます。  平和な未来を築いていくためにもっとも大切なことは、次代を担う子どもたちの間に、友好 と相互理解を深めていくことでしょう。  「第二次世界大戦後の平和と民主主義を求める広範な国民の声と、子どものしあわせと、 子どもたちのためのゆたかな文化と未来を願う親と教師たちの声に励まされて創立された」 (童心社出版理念より)童心社は、創業55年の今年、6年越しの企画である「日・中・韓 平和絵本」 の共同出版の企画を具体化します。  この企画を進めるために続けられた日本、中国、韓国の絵本作家たちや出版社同士の交流 は、国の違いを超えた、相互理解と痛みの共有への努力の歴史です。そして、三か国共同出版 (それぞれの国で、それぞれの言語で、12冊の絵本を刊行しあう)という絵本史上初めての試み を成功させるための冒険の歴史でもあります。  平和のために立ち上がった三か国12人の絵本作家たちの熱い思いは、強固な「友情と共感」、 そして「希望への連帯」の結びつきを作りました。  童心社は「日・中・韓 平和絵本」を世界に向けて発信していきます。日本、中国、韓国のメッ セージが、世界中の子どもたちに届き、平和の波を起こすことを願って。

日・中・韓 平和絵本

三か国共同出版・童心社創業55周年記念出版 イー リン サ  ゲ ジョル ○Keiko HamadaC

(3)

シリーズの特徴

 アジアに対する侵略という苦い過去を見つめ、平和の大切さを絵本で世界の子どもたちに伝えようと、日本の絵 本作家4名田島征三、田畑精一、浜田桂子、和歌山静子の各氏が中国の絵本作家たちによびかけたのは、2005年6 月のことでした。そして、翌年韓国にもよびかけたのです。よびかけは、次のような内容でした。 「私達の国日本は、古くから中国大陸や朝鮮半島の発達した文化を受け入れ学び、自国の文化を育んできました。 しかし近代、日本は中国、韓国を始めアジアの国々に対し、武力と侵略と植民地支配により多くの犠牲と苦痛を強 いました。戦後も、国としての謝罪や補償はあいまいなまま年月が流れました。(中略)子供たちにとって最も大切 なこと。それは同時代を生きる他の国の人たちと仲良くし豊かな信頼関係を築くことです。そして戦争のない平和 な世界を作ることです。もし、中国、韓国、日本の絵本作家が連帯し、心を一つにして1冊の絵本を作ることが出 来たら、意義は大変大きいのではないでしょうか。絵本は子どもの心に直接働きかけられる媒体ですから。」

1.

日本の絵本作家がよびかける

 日本作家のよびかけに熱い気持ちで応えてくれた中国、 韓国の絵本作家との交流が続きました。そして2007年11月、 各国の出版社も決まり、中国の南京で会議がもたれたのです。 翌年、ソウル・ブックフェアでは、出版社同士の合意も確認さ れ、ここに絵本史上例のない、日・中・韓三か国による共同出 版の試みがスタートしました。 絵本作家たちや編集者たちが、言葉や文化の違いを越えて、 それぞれの企画を発表し合い、厳しい意見交換をしながら 絵本化を進めるという、これまでにない試みです。

2.

初めての試み、三か国共同出版

 東アジアの三か国の作家や出版社が協力し合い、平和をテーマにしたオリジナル絵本を作ることはかつてない意 義ある取り組みです。と同時に、作品を通じて子どもたちに国を超えた相互理解と、交流をしあうことの大切さを 感じ取ってもらい、平和の尊さを理解してもらうことを目的にしたこのプロジェクトは、きわめて重要な意味を持っ ていると確信しています。  この企画で特筆すべきは、参加する絵本作家たちがそれぞれの国の絵本を代表する作家ぞろいであるということ です。『おしいれのぼうけん』の田畑精一、『とべ、バッタ!』の田島征三、『ひまわり』の和歌山静子、『あやちゃん のうまれたひ』の浜田桂子という日本の四人はもちろん、『桃源郷ものがたり』の蔡皋、『ヤンヤンいちばへいく』の 周翔、さらに岑龍、姚紅といった中国の作家たち、そして、『ソリちゃんのチュソク』のイ・オクベ、『こいぬのうんち』 のチョン・スンガク、『マンヒのいえ』のクォン・ユンドク、キム・ファンヨンという韓国の絵本作家たちは、それ ぞれの国の現在の絵本を代表する作家たちです。このように、各国の第一線の絵本作家たちが、この企画の成功を 目指して手を取り合い、全力を傾けて絵本の完成を目指して来たのです。  いま、東アジアから世界に向けて、平和に対する確かなアピールを発信する絵本が生まれつつあります。

3.

三か国それぞれを代表する絵本作家12名が協力する

2007年11月4〜7日、南京会議。絵本作家12名、出版社3社が一堂に会した。 ヂョウ シァン ツァイ ガオ ヤオ ホン ツェン ロン (それぞれの国で、それぞれの言語で、12冊の絵本を刊行しあう)

(4)

日本の作家3名による初打ち合わせ。三か国で合作絵本が作れないか、同時刊行を考える。 日本の作家4名(田畑精一氏、田島征三氏、浜田桂子氏、和歌山静子氏)初顔合わせ。(東京・新宿) 浜田氏、和歌山氏、上海へ。周翔氏(中国)と会談。日本からの呼びかけに賛意を示す。(中国・上海) 韓国側と会談。チョン・スンガク氏、企画に賛成。 企画の具体化・システム化を提言。(東京・新宿) 周翔氏(中国)と会談。(東京・渋谷) 日本の作家4名ソウルへ。韓国の作家4名(チョン・スンガク氏、イ・オクベ氏、クォン・ユンドク氏、 ハン・ビョンホ氏)と会談。一人一つのアイディアを考えることに。(韓国・ソウル) 和歌山氏、上海へ。周翔氏(中国)、中国側の参加作家について提案。(中国・上海) 和歌山氏、上海へ。周翔氏(中国)と南京会議の下打ち合わせ。(中国・上海) 日本での出版が、童心社に決まる。中国は訳林出版社、韓国は四季節出版社に。 南京会議。(中国・南京) 絵本作家12名、出版社3社が一堂に会し、今後の進め方、各作品の企画について意見交換、 打ち合わせなどをおこなう。 ソウルブックフェアで、3出版社が共同出版「日・中・韓 平和絵本」の合意書調印。(韓国・ソウル) 和歌山氏、上海へ。周翔氏、岑龍氏、姚紅氏(中国)と会談。(中国・上海) チョン・スンガク氏(韓国)、取材で来日。 浜田氏、和歌山氏ソウルへ。韓国側4氏と会談。(韓国・ソウル) 田畑氏ソウルへ。韓国側4氏と会談。(韓国・ソウル) クォン・ユンドク氏(韓国)、モニタリングのため来日。 22日、和光鶴川小学校(東京・世田谷)、23日、成瀬台中学校(東京・町田)でモニタリング。 和歌山氏、上海へ。周翔氏(中国)と会談。(中国・上海) 西宮のシンポジウムで打ち合わせ。(兵庫・西宮) イ・オクベ氏、クォン・ユンドク氏(韓国)、浜田氏、和歌山氏出席。 浜田氏、建国大学(韓国)で平和絵本について講演。(韓国・忠州) 『コッハルモニ-花のおばあさん』(クォン・ユンドク作)韓国語版出版。 『非武装地帯に春がくると』(イ・オクベ作)韓国語版出版。 南京で出版社の打ち合わせ。周翔氏、岑龍氏、姚紅氏、3出版社編集者出席。(中国・南京) イ・オクベ氏、ペンクラブ行事で来日。平和絵本について講演。(東京・早稲田) クォン・ユンドク氏、ペンクラブ行事で来日。平和絵本について講演。(東京・上野) 『へいわって どんなこと?』(浜田桂子作)日本語版出版。 『京劇がきえた日』(姚紅作)日本語版出版。 『非武装地帯に春がくると』(イ・オクベ作)日本語版出版。 2005年6月 7月 10月 2006年3月 7月 8月 11月 2007年6月 8月    11月 2008年5月 10月 2009年 4月 6月 11月 2010年2月 2月 5月 6月 6月7日 6月25日 7月 9月 2011年1月 4月1日 … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … …

「日・中・韓 平和絵本」のあゆみ

日・中・韓 平和絵本

三か国共同出版・童心社創業55周年記念出版 イー リン サ  ゲ ジョル ↓    ※その後、キム・ファンヨン氏に変わる。 ヤオ ホン ヂョウ シァン ヤオ ホン ツェン ロン イー リン サ  ゲ ジョル ヂョウ シァン ヂョウ シァン コン グク チュン ジュ ヂョウ シァン ヂョウ シァン ヂョウ シァン ヂョウ シァン ツァイ ガオ ヤオ ホン

(5)

『へいわって どんなこと?』

浜田 桂子 作

 平和、平和と私たちは口にします。でも平和 とはいったいどんな状態をいうのでしょうか。 もちろん、戦争が起きていないことでしょう。 でもそれだけではない。人間として生まれてき た命の尊厳が守られなければ、平和とはいえな いと考えます。そんな思いをこめて「きっとね、 へいわって こんなこと」と、一場面、一場面、 具体的な情景を表現しました。身近な日常から 平和の姿をはっきりさせ、もしそれらが実現し ていないとすれば、なぜなのか、どうしたらい いのか、考えたいのです。平和はあちらから来 てくれるものではなく、能動的に作っていくも のです。武力ではなく、知恵と勇気で。  『へいわってどんなこと?』は、ずっと構想を 温めていた本でした。今回、平和絵本の一冊と して、韓国、中国の作家たちと連帯して制作で きたのは大きな喜びです。率直な意見、指摘は、 考えるべき新たな視点を私に与えてくれました。  どうかたくさんの方にご覧いただけますよう。 1947年埼玉県生まれ。桑沢デザイ ン研究所卒業。田中一光デザイン 室勤務の後、子どもの本の仕事を 始める。絵本に『あやちゃんのう まれたひ』『あそぼうあそぼうおと うさん』『てとてとてとて』(福音館 書店)、『ぼくがあかちゃんだった とき』(教育画劇)、『ぼくのかわいく ないいもうと』(ポプラ社)、『あめ ふりあっくん』(佼成出版社)など、 イラストエッセイに『アンデスまでと んでいった』(講談社)などがある。

私は希望を持っています。

どんな人とも心はつながると。

浜田桂子

著者からのメッセージ

(6)

『京劇がきえた日』

姚 紅 作

 1937年12月、日本軍は南京を占領し、歴史上 もっとも悲惨な「南京大虐殺」がなされたの は、武器も持たない普通の住民に対してでし た。京劇に夢中になっていた近所の人たちの何 人かは、まもなく「大虐殺」によって命を落と し、青年や壮年のなん人かは銃を取って戦場へ 急いだことでしょう…。戦火で肉親が離れ離れ になったいくつもの家庭は、その後もとのよう にひとつの家に集うことができたでしょうか。  そんな人たちを心にとどめ、彼らに敬意を表 することが、この絵本の創作を思い立った動機 です。 1961年南京生まれ。南京芸術学院美術系 (学部)中国画専門課程卒業。江蘇少年児童 出版社の編集責任者を経て、現在は南京芸 術学院美術学院挿画系教授。中央教育科学 研究所早期教育センター美術顧問を兼任。 絵本『もじゃもじゃあたまの女の子』、『明珠』 は、全国優秀少年児童読み物一等賞受賞。

姚 紅

ヤオ ホン

日・中・韓 平和絵本

 三か国共同出版・童心社創業55周年記念出版 イー リン サ  ゲ ジョル 著者からのメッセージ

「文化の命」は、何代にもわたって

受け継がれてきた、民族の知恵の結晶。

文化を大切に、平和を大切に!

ヤオ   ホン

(7)

『非武装地帯に春がくると』

イ・オクベ 作

心の扉がまずひらけば

統一の扉、平和の扉もひらきます。

1960年韓国京畿道龍仁生まれ。弘 益大学彫塑科卒。絵本に『ソリちゃ んのチュソク』(セーラー出版)、『せ か い い ち つ よ い お ん ど り』(新 世 研)、『蚊とうし』(アートン新社)が ある。韓国で初めてブラティスラ ヴァ世界絵本原画展にノミネートさ れるなど、韓国を代表する絵本作家 のひとり。

イ・オクベ

 非武装地帯は、2010年現在、57歳になりま す。朝鮮半島をよこぎるふたつの鉄条網、いま だにそのあたりにうめられているかぞえきれな いほどの地雷、そして、南北からにらみあって いる武器の数かず。それらが、非武装地帯をく るしめています。  もうそろそろ、年をとってつかれはてた非武 装地帯を、解放してやらなくてはなりません。 鉄条網をはずし、地雷や武器をとりのぞき、と ぎれた鉄道をつなげ、わかれた家族たちがふた たび会い、あらゆるいのちがしあわせにくらし てゆける“平和といのち”の地に、もどさなく てはなりません。  そんなうれしい日が、はやくくることを心か らねがいます。 ヨン イン キョン ギ ド ホン イク 著者からのメッセージ

(8)

「日・中・韓 平和絵本」シリーズは、それぞれの国で、それぞれの言語で、12冊の絵本を刊行しあいます。

シリーズラインナップ

日・中・韓 平和絵本

三か国共同出版・童心社創業55周年記念出版 イー リン サ  ゲ ジョル ●しりませんでした 和歌山静子 作 ●チュニというあかちゃん ピョン・キジャ 文 チョン・スンガク 絵 ● 蔡 皋(ツァイ ガオ)作 中 由美子 訳 街のおもいで 非武装地帯に春がくると イ・オクベ 作 おおたけきよみ 訳 定価2,100円(税込) ● ●へいわって どんなこと? 浜田桂子 作 定価1,575円(税込) ● 姚 紅(ヤオ ホン)作 中 由美子 訳  定価1,890円(税込) 京劇がきえた日 へいわってどんなこと?「おなかがすいた ら、だれでもごはんが食べられる」「いやな ことはいやだって、ひとりでも意見がいえ る」「おもいっきり遊べる」…。身近な日常 から、平和の意味と、守らなければいけな い大切ないのちについて考えます。 中国の伝統的な演劇である京劇にふれ、夢中 になった女の子。でも、戦火が近づき、名優 は町をさり、公演をみることはできなくなり ました。その後たくさんのうちがこわされ、 たくさんの人がころされました。戦争は、人 びとから生活と文化をうばうものなのです。 幼かった私は、知りませんでした。自分の国 や軍隊が、アジアの国ぐにで何をしていた のかを。海のむこうの国ぐにで、たくさんの 人をころしてきたことを…。人びとの生活 をふみにじる軍靴を戦争の象徴とし、ほん とうの戦争を知らなければならないという 思いを描きます。 チュニは40歳。でも赤ん坊のようにおむ つをつけて横たわり、お母さんにお世話し てもらって暮らしています。徴用されたお 父さんを探すため、広島に行ったお母さん のおなかの中で、原爆の放射能を浴びたの です。そんな悲しい物語を、10歳の女の 子の目をとおして描きます。 ●ぼくのこえがきこえますか 田島征三 作 ● 岑 龍(ツェン ロン)作 中 由美子 訳 二まいのふるい写真の ものがたり 戦場で砲弾にふきとばされたぼくの体はと びちり、足もおなかも、顔もなくなりまし た。でも、ぼくの心は弟の怒りを見、母さ んの悲しみを見ます。憎悪と復讐がどれだ けむなしいものか。戦争がどれだけ無残な ものか。「ぼくたちの声は、いきているみ んなにきこえますか?」 1930年代、作者の父は日本で学び、日本人 と友情を結びました。その後、中日戦争が勃 発した直後に帰国し、爆撃で家族を失いま した。間もなく、日本人の友人も戦場で死 んだという知らせを聞きます。家族も友人 も奪った戦争の悲劇を伝えます。 13歳で日本軍慰安婦として連れていかれ、 ひどい苦しみをうけ、人生のすべてを失って しまったコッハルモニ。何十年の時が流れ、 人びととの出会いによって、ようやく心の奥 底にしまいこんでいた過去を語り、歴史の証 人となりました。 コッハルモニ-花のおばあさん クォン・ユンドク 作 ピョン・キジャ 訳 ● ●さくら 田畑精一 作 ●少年十字兵 キム・ファンヨン 作 おおたけきよみ 訳 ● 周 翔(ヂョウ シァン)作 中 由美子 訳 きれいなくだもの 1938年、歴史ある街・長沙が大火に遭い、悠 久の文化がまたたくまに火の海に葬られま した。この作品は、美しい街並みとそこに 生きる人びと、そして、火に包まれかわりは ててしまった街を描き、戦争がもたらすこ とについて問いかけます。 桜の花が咲く春に生まれたぼく。その年に日 本の侵略戦争がはじまり、教科書も新聞も戦 争の色にぬりかえられました。ぼくも桜の花 のように美しく散れ、死ねと教えられます。 そして戦争が終わり、大勢の人が死にました。 大人になったぼくに、桜の老木が語りかけま す。「戦争だけはぜったいにいかん!」と…。 ひとつのくだものが芽を出し、大きくな り、いい音色をひびかせました。すると、 いろんな表情で笑っていたお父さんたち が、まるっきり同じ顔をした兵士になっ て、戦場へつれていかれ…。作者は寓話 のような物語を通して、どうやって戦争 を防ぐかを語ります。 戦争で孤児になった子どもたちが、行列を して道を進みます。銃声と砲火を避け、安 全な場所をもとめて歩いて行くのです。寒 い冬の吹雪のなか、お腹をすかせたまま、 休みなく歩きつづけるこの子どもたちは、 はたしてもとめる場所にたどりつけるので しょうか。 以下続刊! 4/1新刊! *本のタイトルや内容は制作中につき変更する場合があります。 分断の象徴である非武装地帯。長い鉄条網 が立ちふさがり、人びとの手のとどかない その場所を、動物たちは自由に行き来しま す。おじいさんは、その四季の移ろいを見 つめながら、何を思っているのでしょうか。 祖国統一と平和への願いを力強く描きます。 新 刊 新 刊 新 刊

(9)

著者からのメッセージ

センカク 心の扉がまず開けば 統一の扉、平和の扉も ひらきます。

イ・オクベ

私は希望を持っています。 どんな人でも どんな人とも 心はつながると。

浜田 桂子

戦火が人の命をほろぼすのはすぐに見えるが、 戦争が「文化の命」をほろぼすのは だんだんと目に映ってくる。 この「命」は、何代にもわたって 受け継がれてきた、民族の知恵の結晶。 文化を大切に、平和を大切に!

姚 紅

平和絵本がはこんできた種が、 読者のみなさんの心に、 人類最高の美しい花を咲かせますように!

蔡 皋

本当の戦争を 知ってほしい。 あなたたちに。

和歌山 静子

「お母さんのおなかの中にいたときに 被爆したチュニは大きくならず、 いまでも赤ちゃんです。 おむつをしなくてはなりません」 1945年原子爆弾によって受けた すさまじい苦痛が被爆二世たちにも そのまま引き継がれている現実を知らせたいです。

チョン・スンガク

いますぐ戦争をやめろ!

キム・ファンヨン

ぼくは 人を殺すのも、 殺されるのも、 大きらいです。

田畑 精一

戦争は、人が人を食う食物連鎖だ。 人びとよ、目覚めよう!

周 翔

人間は恐ろしい獣にもなります。 戦争という仮面を、かぶった時です。 この仮面は、バラバラに 打ち砕かなければなりません。

田島 征三

私たちが過去のできごとを語るのは、 子どもたちに、もっともっと、 幸せで平和で穏やかな生活のすばらしさや大切さを思い、 そのためにせいいっぱい力をつくしてほしいからだ。 そうしたら、いつの日にか、この世界は憎しみもなく、 戦争もなく、ただ愛がみちるだけになるだろう。

岑 龍

お母さんも先生も、近所のおじさんも 戦争が起きてはいけないといいます。 誰も戦争を望んでいないのに、 いったい誰がどうして戦争を起こすのでしょうか?

クォン・ユンドク

(ヤオ ホン)中国 日本 韓国 (ヂョウ シァン)中国 日本 韓国 (ツァイ ガオ)中国 日本 韓国 (ツェン ロン)中国 日本 韓国

(10)

「日・中・韓 平和絵本」刊行によせて

日・中・韓 平和絵本

三か国共同出版・童心社創業55周年記念出版 イー リン サ  ゲ ジョル  敗戦から65年という歳月が流れ、戦争を知らない戦後生まれが、総人口の75.5%を占める時 代になった。日本がアメリカと交戦したという過去を知らない大学生も増えているという。  そして、このところ、尖閣沖の漁船衝突事件、北朝鮮による韓国西方沖延坪島砲撃事件と、 きな臭い事件が相次いでいる。メディアがそれを熱狂的に伝え、日本の核武装まで声高に主張 する人さえ出てきている。偏狭なナショナリズムは戦争への第一歩につながるという教訓を、 今こそ私たちは再確認するべきであろう。  こういう情況の中で、日・中・韓三国の絵本作家が連帯し、「戦争のない世界を願って」「平和絵 本」を刊行するという。2005年に日本の絵本作家が呼びかけ、以後6年有余真剣な話し合いを積 み上げ、いよいよ刊行が実現することになったと聞く。これは、まさに時宜にかなった一大壮 挙である。単に参加する絵本作家が、それぞれ独自に作品を描き、それをシリーズ化するとい うのではなく、一作一作を三国の参加作家や編集者たちが討議し、その結果をふまえて作品化 するというのがすごい。絵本出版の歴史の中で、おそらく、これは初めての試みではないか。  国際子ども図書館の「翻訳データベース」によると、日本の子どもの本の「国・地域別翻訳 出版件数ランキング」の第1位は韓国(2177件)、第2位台湾(1206件)、第3位中国(537件)と なっている。日本からの「輸出超過」の傾向ではあるが、子どもの本の世界で、三国間の国際 交流は、徐々に進んでいることが分かる。今回の大企画が成功し、三国の作家たちの切実な平 和への願いが各国の多くの子どもたちに伝わることを強く希求する。子どもの本にかかわる大 人たちは、このシリーズを着実に子どもたちに手渡すことに力を尽くすべきである。

一大壮挙の成功を!

国際子ども図書館を考える全国連絡会 会長

笠原 良郎

ヨンピョンド センカク  日本・中国・韓国の絵本作家が協力して、「平和絵本」を出版するという話を聞いたのはい つだったか、それはすばらしい、でも本当に出来るんだろうかと、ずっと思っていた。  それが実現した。完成した作品を見せてもらった。平和を願いながら多くの傑作絵本を出さ れている三国の12人の絵本作家による「平和絵本」。これは、すごいことだ。  かつて敵同士であった三国の作家の絵本の実現に拍手をおくり、子どもたちとその親、教師 に強くすすめていきたいと思っている。

三カ国の絵本作家に拍手を

この本だいすきの会代表

小松崎 進

(11)

「日・中・韓 平和絵本」刊行によせて

 このたび、日本、中国、韓国の絵本作家と出版社が手をむすび、平和へのねがいをこめた絵 本の三か国共同出版が実現しました。  これは、これまでの児童書出版界になかった快挙であるとともに、東アジアの絵本交流文化 活動としても意義ある取りくみであったと拍手を送ります。  日本は過去の戦争で、中国、韓国に対して苦痛を与えたにがい歴史があります。  世界では今も紛争や内戦により命を失っている子どもたちもいます。  地球上に平和を築く取りくみとして、どんなことができるのかを考えるとき、三か国共同出 版による絵本は、私たち、子どもと本を結ぶ読書活動をしているものには、力づよい助っ人です。  今回の3冊の絵本は、日本、中国、韓国それぞれが立脚する「平和」のメッセージを伝えて くれています。  絵本は国境を越えて、人びとに話しかけ疎通する力をもっています。  子どもとともに、おとなも読み、語り合い話し合いたいと思います。  その輪を広げることが、平和をより確かにする力にもつながっていくのではないかー そうねがっていますから。

平和のために手を結び、語り合おう

親子読書地域文庫全国連絡会 代表

広瀬 恒子

絵・浜田桂子『へいわって どんなこと?』より

参照

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