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音楽理論講座その 2 調性と音程 音階は全てで 12 個あります しかし 一般的に認知されている ドレミファソラシ という音階の通り 基本的には 12 個の内の7つしか同時には使いません スポーツで例えるならば 12 人いる選手の中でレギュラーを七人選び 残りの五人は補欠としてベンチでスタンバイして

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音楽理論講座その1 楽譜と音階

 音楽を構成する要素は様々にありますが、基本となるのは以下の三つです。 リズム ・ メロディー(旋律) ・ ハーモニー(和音)  演奏の際に音楽として成立していない(どこかしっくりこない)という場合は大抵この 三つのうち何かが適切ではありません。「音が外れている」という表現はメロディーや ハーモニーが調性などに合っていないことを指し、これは音楽理論によって説明可能です。 まずはその入り口として五線譜の読み方、特に音階の判別について説明します。 音名 C D E F G A B C 階名 ド レ ミ ファ ソ ラ シ ド 度数 1 2 3 4 5 6 7 8(≒1)  ※ト音記号は G の変形。だから書き始めである下から二番目の線がソの音。  ※へ音記号は F の変形。だから下記初めである上から二番目の線がファの音。  小学校でも習うので大抵の人はドレミファソラシという7つの音は知ってます。一般的 な音楽(西洋音楽)の音階は実際には12音あり、それぞれの音の間に半音階があります。 但し、ミとファの間とシとドの間にはありません。これはピアノの並びと全く同じです。 半音階は♯(シャープ。半音上げる)と♭(フラット。半音下げる)で表されます。実例 として楽譜を使って説明します。  ♯や♭の出番は二種類あります。上の楽譜では左の方に♯が二つ(ドとファの位置)に ありますが、これは「この曲は基本的にドとファはずっと半音上げて下さい」という指示 記号です。三小節目にある途中でソの音符にくっついている♯は「この音符から半音上げ て下さい」という指示記号です。臨時記号による音高の変化はその音以後も効力を保つの で、♯や♭で音高が変わっている音を元に戻す (ナチュラル)という記号もあります。ま た、楽譜の上にあるアルファベットと数字でできた記号は「コードネーム」といい、和音 を指定するものです。これは後述します。

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音楽理論講座その2 調性と音程

 音階は全てで 12 個あります。しかし、一般的に認知されている「ドレミファソラシ」 という音階の通り、基本的には 12 個の内の7つしか同時には使いません。スポーツで例 えるならば、12 人いる選手の中でレギュラーを七人選び、残りの五人は補欠としてベンチ でスタンバイしているような状態です。もちろんどの七人を選ぶかによってチームの特色 は変わります。音楽も同じようにどの七音を選んだかによって調性(キー)が変わるので す。♯や♭のつかないドレミファソラシを選んだなら「ド=C」(もしくは「ラ=A」) の音がチームのキャプテンになり、C メジャー(ハ長調)、または A マイナー(イ短調) というキーになります。調性には明るい曲調になる長調(メジャーキー)と暗い曲調にな る短調(マイナーキー)の二種類があり、選ばれた7音が一緒でもキャプテン(簡単に言 えば曲の最初の音と最後の音)がどちらかによって決まります。 キャプテン C or A 「ドレミファソラシド」だと曲調は明るく、 「ラシドレミファソラ」だと暗くなる。この 音で終わると終止感が出るという特徴がある。

Key=C

or

Key=Am

※マイナーは小 文字の m で表す レギュラー D,E,F,G,B 簡潔にいうと使える音。多くの場合、これら の音で終わっても終止感がない。 補欠 D♭,E♭,G♭,A♭,B♭ 一定条件下で使えるベンチ組。転調などすれ ばレギュラーになれる。  上記でスポーツに例えたように、音楽は基本的にチーム戦です。同時に複数の音を発す る事で、そのキャラクターや役割がはっきりします。二音以上を同時に出した音を和音と いい、これはコードとも呼びます。コードはそれを構成する音の組み合わせによってキャ ラクターがあり、それを「コードネーム」という記号で表す事ができます。コードは構成 音のそれぞれの距離で響きが変わります。ある音からある音までの距離を音程(インター バル)と呼び、度という単位で表します。まずは下に各インターバルの名前を書きます。 ※基音を C とした場合

音名 C C♯,D♭ D D♯,E♭ E F F♯,G♭ G G♯,A♭ A A♯,B♭ B 度数 完全 1 度 短 2 度 長 2 度 短 3 度 長 3 度 完全 4 度 減 5 度 完全 5 度 増 5 度 長 6 度 短 7 度 長 7 度 振動数比 1:1 15:16 8:9 5:6 4:5 3:4 45:64 2:3 5:8 3:5 9:16 8:15  音程(インターバル)には「完全音程」「長短音程」「増減音程」の三種類の属性があ ります。順に説明すると「完全音程」は「1 度,4 度,5 度」にしかありません。これらが 「完全」と呼ばれるのは協和度が高い(音が濁らない)ためです。なので完全な音程から 半音上がったり下がったりすることを増減で表しています。それ以外の音程は協和度が低 いので、基音からの距離が短いか長いかで属性を分けています。さらに、この長短は調性 のメジャー・マイナーと通じおり、コードの構成音になる時に重要な役割を担います。 ※長 3 度は減 4 度ともいえますし、増 5 度は長 6 度ともいえます。上の表では一般的な方 を選んで省略しています。 ※増減には長短からさらに半音動いた際の音程名になれるというもう一つの特徴があるの ですが、非常にややこしいので省略します。一応例を出すと長 6 度は減 7 度とも呼べます。

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音楽理論講座その3 コードの構成音

 以下の楽譜は KeyC の主な四和音(四つの音で構成されているコード)を並べたもの (ちなみにダイアトニック・コードと呼びます)です。  見ればわかる通り、全て単純にドミソシといった具合に一度飛ばしで積み重ねられてい るだけです。ほとんどの和音はこのような構成になっています。しかし、Key などによっ てそれぞれの音程に違いが出るのでキャラクターが変わります。では C を基音にした基本 のコードをみてみましょう。 メジャー(明るいコード) マイナー(暗いコード) C (ド、ミ、ソ) Cm (ド、ミ♭、ソ) C△7 (ド,ミ,ソ,シ) (ド,ミ,ソ,シ♭)C7 (ド,ミ♭,ソ,シ♭)Cm7 (ド,ミ♭,ソ,シ)Cm△7  このようにコードは明るいコードと暗いコードに分けられます(3度の長短で決まる) また、構成音によって名前もキャラクターも変わります。これ以外にもコードはたくさん あり、それら一つ一つを丸覚えするのには膨大な労力がいります。しかし、コードネーム には規則性があるので、そこから構成音を割り出すことができるのです。 ほとんどのコードは下のような箱に収まるようになっています。

C

-5 (♯9) m 7 ちなみにこれは「C マイナー・セブンス・フラットファイブ・シャープナインス」と読み ます。では、この箱に番号を割り振って、それぞれの示す内容を確認していきます。

③ ⑤② ④ ①は1度箱です。絶対に基音(完全1度)が入ります。 ②は3度箱です。短3度であれば小文字の「m(マイナー)」が入ります。長 3 度であれ ば空白です。 ③は 5 度箱です。完全五度なら空白。減五度なら♭5か−5(フラットファイブ)が、増 5度なら♯5か+5(シャープ・ファイブ)がはいります。 ④は7度箱です。短7度であれば「7」(セブンス)が。長7度であれば「△7」や「M 7」(メジャーセブンス)が入ります。7 度の音がない場合は空白です。 ⑤は 9,11,13 度(≒2,4,6 度)の箱です。それぞれ長音程を基準にしており、それより半音下 なら♭が、半音上なら♯がつきます。2つ入る場合もあり。該当が無ければ空白です。 ※コードは原則最大で 6 和音ですが、ほぼ出てきません。5和音も少ないです。ほとんど が 4 和音か3和音です。2 和音は長短の区別がつかないパワーコードとして使われますが アレンジの範囲内で、コードシンボル上では3和音以上で表されることがほとんどです。

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音楽理論講座その4 特殊なコードネームと五度圏表

◎特殊な書き方をするコードネーム add9 → 完1、長3、完5、長9(長2)の四和音。アド・ナインスと読む。 sus4 → 完1、完4、完5の三和音。サスペンド・フォースと読む。通称サスフォー。 aug → 完1、長3、増5の三和音。オーギュメントと読む。 aug7 → 完1、長3、増5、短7の四和音。オーギュメント・セブンスと読む。 dim → 完1、短3、減5の三和音。ディミニッシュと読む。 dim7 → 完1、短3、減5、長6(減7)の四和音。ディミニッシュ・セブンスと読む。 m6→完1、短3、完5、長6の四和音。マイナーシックスと読む。 6→完1、長3、完5、長6の四和音。シックスと読む。 Etc…。 コードネームは時代や出版社などによって違いがあり、メジャーセブンスだけでも△7、 M7、Maj 7などのバリエーションがある。構成音は同じだが、書き方が違うだけ。 ◎五度圏表 音楽を理論的にするうえで非常に便利なアイテムに五度圏表(四度圏表とも言います)と いうものがあります。右回りで完全四度の下降、左周りで完全五度の上昇で、ぐるっと一 周するようにできています。例えばコードの構成音を割り出そうとした時、Key=C なら 簡単にできるけども、違うキーだとわからない。そんな時、五度圏表があれば転調もス ムーズにできます。Key=C 以外のキーのスケールやダイアトニックコード、その構成音も 五度圏表を見て、まるごとずらしていけばいいわけです。その他にも音楽理論を探求して いくうえで五度圏表は必須になります。

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音楽理論講座その5 ダイアトニック・コードと1次ケーデンス

 ドレミファソラシドの音階列(KeyC とは限らない)をダイアトニック・スケールとい い、それによって構成される和音をダイアトニック・コードといいます。ダイアトニッ ク・コードには三種類の機能が割り振られています。以下は KeyC (=Am)のダイアトニッ ク・コードと機能の一覧です。 C△7 Dm7 Em7 F△7 G7 Am7 Bm7-5 コード T SD T SD D T D 機能

I△7 Ⅱ m7 Ⅲ m7 Ⅳ△7 V7 VIm7 VIIm7-5 度数 ・T = トニック。安定。解決。 ・SD = サブドミナント。少し不安定。経過的。 ・D = ドミナント。不安定。緊張。盛り上がり。  機能は上の三種類のみ。もちろん、それぞれにニュアンスの違いはあります。和声進行 による音楽は安定と不安定の往復によって盛り上がりを作り、これを機能和声といいます。 一番スムーズな形は T→SD→D→T ですが、これも一つの目安であり、基本的にはダイア トニック・コード内はどこへでも動くことができます。展開がスムーズなものがいいのか、 じらすようなものがいいのか、狙いを考えながら並べて行くと面白いです。ちなみに、こ れは KeyC のダイアトニック・コードですが Am でも共通で、機能も同じです。また他の Keyでもコードと機能の並びは変わらないので、ローマ数字を使って度数とコードネーム で表します。この並びは丸暗記必須!  ちなみに、ダイアトニックコードの機能を決定しているのは倍音など音響物理学を根拠 とした「この音の後はこの音に行きたがる」という音の性質が主です。一例を挙げると B は半音上で主音の C に解決する性質を持ってますし、G は四度上の C へ行きやすいという 性質があります。また、G7 や Bm7(♭5)はトライトーンという不協和な音程を含んでおり、 この不協和→協和によって強い解決感を生み出しています。トライトーンは完全一度と減 五度の関係で、ドレミファソラシの音列の中には「ファとシ」にしかありません。この 「ファとシ」の音を含んでいるコードが G7 と Bm7-5 なのです。  上記を踏まえると和声の進行感はルートの関係上、四度上のコードへと上がって行くの が一番スムーズなため、V7→I△7 という進行が最もスムーズと言えます。さらに V7 の四 度下はⅡ m7 なので「Ⅱ m7→V7→I△7」という進行はジャズを中心に多用されており、 これを「ツー・ファイブ・ワン」と言います。この動きはケーデンスとも呼び、Key 内の コードのものを「1次ケーデンス」と呼びます。

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音楽理論講座その6 2次ケーデンス

 ここまでは「ドレミファソラシド」という音だけを使ったコードの使い方について学び ました。では、控え選手である♯や♭の音をどのように導入するのかを、その基本となる 2次ケーデンスから説明します。  上の楽譜は Key=C です。しかし、途中でダイアトニック・コードではない Gm7 と C7 が 出て来ています。このようなダイアトニック環境内に存在しないコードをノン・ダイアト ニック・コードといいます。ノン・ダイアトニック・コードの導入には様々な方法があり ますが、その最も基本的なものがこの2次ケーデンスの導入です。2次ケーデンスとは 「ダイアトニック・コードのコードを終着点としたツー・ファイブ・ワンの進行」のこと です。F△7 は Key=C のダイアトニック・コードですが、それを終着点にし、Key=F だと 仮定したツー・ファイブ・ワンの進行を借りて来たと言えるでしょう。このような進行を した時、コードだけではなく使える 7 音(スケール)も変化します。この楽譜では前半2 小節が Key=C、後半2小節が Key=F のスケールとなります。Key=F は Key=C と比べると Bがフラットしてるので、Key=C の楽曲の中で B♭の入ったメロディーを取り入れること ができるのです。  また、二次ケーデンスはダイアトニック・コードに戻ってくるので Key=C に戻ることが 容易です。このような方法で一部分だけ違う Key にすることを部分転調と呼びます。  上の楽譜ではコードとメロディのみを記しました。2次ケーデンスを用いたコード進行 に合わせてメロディをつけた例です。2小節目の B がフラットしており、4小節目ではナ チュラルの記号がついて B が半音上がって元通りになっているのがわかります。このコー ド進行に合わせたスケールの選択は作曲・アレンジのみではなく、アドリブ演奏(インプ ロヴァイゼーション)でも必要なものです。また、なんとなく作曲した曲のコードがノ ン・ダイアトニック・コードを使っており、メロディやスケールがわからないということ もよくあります。そんなときはまず2次ケーデンスの考え方を基本に「どのコードに解決 しているのか」で転調先やスケールを特定する方法が有効となるでしょう。

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音楽理論講座その7 ハーモニック・マイナー・スケール

 ドミナントという不安定な和音の響きから、安定した和音の響きへ行きたがる力を利用 して転調なども可能になることを説明しました。では、マイナー・コードに強い解決をし たい場合はどうすればいいでしょうか。「ドレミファソラシド」という音の並びであれば、 調性は C(ド)を中心にした Key=C と A(ラ)を中心にした Key=Am の二つの調性が可能にな ります。しかし、Am では五度上にセブンスコードを持たないという違いがあります。 「ツー・ファイブ・ワン」の説明でも触れたように、最も解決感があるコード進行は 「Ⅴ 7→1△7」のような「四度上への進行で尚かつセブンス・コードによるドミナン ト・モーション」という動きです。短調の「Ⅴ→Ⅰ」の動きは「Ⅴ m7→Ⅰm7(Key=Am の 場合は Em7→Am7)」なのでメジャーキーと比べ解決感が生まれません。「調性の中心な のに最も解決感のある進行が使えないのでは味気ない」ということで「Ⅴ m7 をⅤ 7 に変 えてしまう」という方法が使われます。例えば Key=Cm であれば「Gm7→Cm7」という動 きを「G7→Cm7」に変えてしまいます。Gm7 の構成音は「ソシ♭レファ」で G7 の構成音 は「ソシレファ」なのでシ♭が半音上がらなくてはいけません。 この時、もちろんコードの音だけでなくスケールも同時に変化します。Key=Cm は「ドレ ミ♭ファソラ♭シ♭ド」なので「ドレミ♭ファソラ♭シド」となります。このようにハー モニー(和声)の観点から強い解決感をもつように編み出された短調のスケールなので、 このスケールをハーモニック・マイナー・スケール(和声的短音階)といいます。元のマ イナー・スケールはナチュラル・マイナー・スケール(自然的短音階)といいます。

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音楽理論講座その8 メロディック・マイナー・スケール

 ハーモニック・マイナー・スケールは短6度と長7度(ラ♭とシ)の間に1音半もの開 きがあります。普通、スケールは全音と半音で構成されているので、旋律にすると不自然 に聴こえることも多くあります。そのような旋律としての弱点を補うため、ハーモニッ ク・マイナー・スケールの短6度(ラ♭)を半音上げたスケールがメロディック・マイ ナー・スケール(旋律的短音階)です。  つまり、マイナーにはナチュラル、ハーモニック、メロディックと3種類のスケールが 存在することになります。さらに、マイナー・スケールには独特の特性があり、それは 「旋律が上昇するときにハーモニックやメロディックでも、下降するときにはナチュラル に戻る」というものです。楽器の教則本などでマイナー・スケールが上昇型と下降型の二 種類が載せられているのはこのためです。これは元々、クラシックの時代に「シ→ド」と いう半音階上昇で主音に戻って終始するという形がマイナー・キーではできなかったこと を克服するためにハーモニック・マイナーが生み出されたことに由来しており、俗説では ハーモニックやメロディックのまま下降型の旋律を歌うのが難しいため、マイナースケー ルは上昇と下降で分けることになったと言われています。しかし、これもあくまで「絶対 にメロディック・マイナー・スケールで下降してはいけない」というわけでもありません。 使われているコードによっては下降型でも音がぶつからなかったりもします。  ちなみにメタル・ギターの速弾きの教則本などでは3種のマイナー・スケールが必修の ように扱われていますが、これはメタルがクラシック音楽からコード進行を引用し、クラ シックぽさを演出したギターソロなどを演奏するためによく使われるからです。恐らく、 その元祖はディープ・パープルのギター奏者リッチー・ブラックモアで、彼のファンで あったイングウェイ・マルムスティーンが超高速ギターソロをリッチーと同じ和声とス ケールの使い方で演奏したことから、メタルにマイナースケールが普及したと思われます。 ○コードに合わせたスケールの選択例

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音楽理論講座その9 4つの Key と同主調

 ここまでで学んで来た長・短調のスケールを一度まとめてみます。それぞれの対応関係 を把握しておくと楽に覚えられるでしょう。  ダイアトニック・コードは基本のスケールから導き出せるコード群でしたが、マイ ナー・スケールが3種類に増えたので、こちらも一覧にしておきます。 Cメジャー C△7 Dm7 Em7 F△7 G7 Am7 Bm7-5 Cナチュラル m Cm7 Dm7-5 E♭△7 Fm7 Gm7 A♭△7 B♭7 Cハーモニック m Cm△7 Dm7-5 E♭aug7 Fm7 G7 A♭△7 Bdim7 Cメロディック m Cm△7 Dm7 E♭aug7 F7 G7 Am7-5 Bm7-5  Key=C と Key=Cm は同主調(同主調長調、同主調短調)といい、共に C を中心にした 調なので転調に取り入れ易いと言われています。同主調のコードを部分的に取り入れたり、 同主調へ転調することをモーダル・インター・チェンジと言います。二次ケーデンスと3 種のマイナー・キーと同主調のコードの引用を組み合わせると、かなり多彩なコード進行 を作ることが出来ます。また、その仕組みを知ることで、コードに合わせたスケールの選 択も可能になります。尚、マイナー・キーはメジャー・キーとコードの機能が違うとする こともあるので、その一覧を載せておきます。機能にも諸説あるのでそれを考慮して区分 けしておきます。マイナー・キーのサブドミナントをサブドミナント・マイナーと言い、 区別することもあります。 - ナチュラル・マイナー ハーモニック・マイナー メロディック・マイナー トニック Ⅰ m,♭Ⅲ, (♭Ⅳ) Ⅰ m,(♭Ⅲaug,♭Ⅵ) Ⅰ m,Ⅵm7♭5,(♭Ⅲaug) サブドミナント Ⅳ m,Ⅱm7♭5,Ⅵm,♭Ⅶ Ⅵ m,Ⅱm7♭5,♭Ⅵ Ⅳ,Ⅵm7♭5,Ⅱm7 ドミナント Ⅴ m,(♭Ⅶ) Ⅴ、Ⅶ dim Ⅴ,Ⅶm7♭5

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音楽理論講座その 10 Dim7 と Aug と裏コード

 作曲の基本となるダイアトニック・コードの中には含まれていないコードも多いです。 ここではキャラクター(役割)が比較的はっきりとしたディミニッシュとオーギュメント と裏コードを使ったアレンジについて説明します。  ディミニッシュとオーギュメントの構成音については「その4」を参照して下さい。重 要なことはディミッシュとオーギュメントは「短3度の音程・長3度の音程だけで構成さ れている(根音を変えれば代理コードになる)」ということと「コードキャラクターとし ても、調性的にも不安定な響きである」ということです。代表的な使い方を示しておきま す。尚、全て Key=C です。 ○パッシング・ディミニッシュ 例)C△7→C♯dim7→Dm7 G7→G♯dim7→Am7 Em7→E♭dim7→Dm7 全音移動するタイプの進行の間にディミニッシュを挟む方法です。ディミニッシュはトラ イトーンの組み合わせなので機能としてはドミナントなので一度不安定にして着地させる イメージです。 ○トニック・ディミニッシュ 例)C△7→Cdim7→C△7 Am7→Adim7→Am7 同じ根音を持つコードのディミニッシュを挟み、戻って来るという方法です。ルートが動 かないので進行感があまりありません。 ○ドミナント・セブンスを aug で代理させる 例)Dm7→Gaug→C C→Caug→F△7 セブンス・コードの代わりにオーギュメントを使う方法です。響きが不安定なことを利用 したアレンジです。  コード・アレンジの有名なものに裏コードというものがあります。これもセブンス・ コードの代理として使えるもので「同じトライトーンを共有しているセブンス・コードを 代理に使う」というものです。五度圏表でみると真裏にあることから裏コードと呼ばれて います。G7 の裏コードは D♭7 で、構成音を見ると「ソシレファ」「レ♭ファラ♭シ」と 「ファとシ」という不安定な響きであるトライトーンを共有していることがわかります。 例)Dm7→G7→D♭7→C Dm7→D♭7→C  dim7、aug、裏コードに共通することは「調性の外にある音を使っていることが多い」 「響きが不安定であることを利用している」ということです。なので「C→F→G→C」の ような単純で調性感の強いコード進行にいきなり挿入すると異物感が強かったりします。 二次ケーデンスを利用したり、モーダル・インターチェンジを利用している中に使うこと で異物感がちょうどいいスパイスになりますし、逆に言えば、dim7 や aug、裏コードを利 用することで調性の縛りを緩やかにすることができます。また、これらは響きの不安定さ を利用しているので、それぞれを代理コードとして入れ替えてみたりするのも面白いで しょう。もちろん、やりすぎれば調性感が希薄なアレンジになりますし、メロディが乗せ 辛いコード進行になってしまいます。

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音楽理論講座その11 アヴェイラブル・ノート・スケール①

 これまで「コード上で使用可能なスケール(音階列)」と言ってきましたが、それを詳 しくはアヴェイラブル・ノート・スケールといいます。ハーモニック・マイナー・スケー ル等もこれに含まれますが、最も基本となるのはダイアトニック・コードを基本として作 られたいわゆるチャーチ・スケール(教会旋法)と呼ばれる7つのスケールです。どのよ うに使うものなのかはスペースが無いので次に書きます。 イオニアン (Ⅰ△7 に対応) コードトーン=C,E,G,B  アヴォイド・ノート=F  テンション・ノート=D,A ドリアン (Ⅱ m7 に対応) コード・トーン=D,F,A,C  アヴォイド・ノート=B  テンション・ノート=E,G フリジアン (Ⅲ m7 に対応) コード・トーン=E,G,B,D  アヴォイド・ノート=F,C  テンション・ノート=A リディアン (Ⅳ△7 に対応) コード・トーン=F,A,C,E  アヴォイド・ノート=なし  テンション・ノート=G,B,D ミクソリディアン (Ⅴ 7 に対応) コード・トーン=G,B,D,F  アヴォイド・ノート=C  テンション・ノート=A,E エオリアン (Ⅵ m7 に対応) コード・トーン=A,C,E,G  アヴォイド・ノート=F  テンション・ノート=B,D ロクリアン (Ⅶ m7-5 に対応) コード・トーン=B,D,F,A  アヴォイド・ノート=C  テンション・ノート=E,G

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音楽理論講座その12 アヴェイラブル・ノート・スケール②

 チャーチ・スケールの一覧を見ると「ドレミファソラシ」のスタート地点がそれぞれ違 うだけだということがわかると思います。チャーチ・スケールで重要なのはコードの構成 音であるコード・トーン以外の音がアヴォイド・ノートとテンション・ノートに振り分け られている点です。アヴォイド・ノートは意訳すれば「避けるべき音」と言えますが、絶 対に使ってはいけないという訳ではありません。伴奏でコードの中に入れたり、拍が長い 旋律として使うと異物感が出てしまう音ということです。なので、演奏の中でちょろっと 出て来たり、メロディーでも経過音として出て来る分には問題はありません。テンショ ン・ノートは足しても異物感が無いので、コードの中に入れて構いませんし、メロディー の中で強調しても大丈夫ということになります。使用可能なテンション・コードの基本に もなっています。  しかし、作曲における旋律としてこれらのルールを守るのは簡単ですが、即興演奏にお いてコードにあわせてこれほどのスケールを処理するのは並大抵のことではありません。 そこで注目すべきは「避けるべき音」であるアヴォイド・ノートです。それぞれのアヴォ イド・ノートをみると F と B と C しかありません。C は主音なので除くとして、問題にな るのは F と B です。この二音はトライ・トーンとして音がぶつかる可能性が高い音です。 そこで最初から F と B を抜いた五音のみのスケールが出てきます。それが即興演奏でおな じみの「ペンタトニック・スケール」です。 Cペンタトニック・スケール(=Am ペンタトニック・スケール)  ペンタトニック・スケールは「部分転調などをしないダイアトニック・コードのみの コード進行の中ならペンタ一発で乗り切れる」ということで、ロックやブルースを中心に 多用されており、特にギターのアドリブ演奏はペンタを基本としたものが非常に多いです。 ただ、ここで注意しなければいけないポイントがあります。それは「ペンタトニック・ス ケールは単純に利便性の面から F と B を除いたスケールなのではなく、ペンタトニック・ スケールというキャラクターがくっきりと存在している」ということです。一般にも知ら れるようにペンタトニック・スケールは世界中の民族音楽で多用されており、日本でも 「ヨナ抜き音階」として知られています。これはペンタトニック・スケールが歌いやすい ということと、ドミナント・モーションを原動力とした和声による音楽ではない非西洋音 楽の世界で馴染むスケールであったことが原因と考えられます。こういった面から、ペン タでの即興演奏は「ロックにしたいのに民謡っぽくなる」または「演歌っぽくなる」とは よく言われることです。これらはほとんどリズム(譜割り)を気にすればいいわけですが、 Cペンタから C メジャースケールへと移行する場合などにはキャラクターが変わるので、 アレンジや演奏においては配慮する必要があることは覚えておいた方が良いでしょう。

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音楽理論講座その 13 ブルースとブルーノート・スケール

 ここまで学んで来た音楽理論の原型はクラシックの頃から存在するものです。ダイアト ニック・コードから導ける7スケールがチャーチ・スケール(教会旋法)と呼ばれるのも それが原因です。現在主に聴かれているポップスやロックは西洋音楽の子孫と言えますが、 20世紀初頭から巨大な変化があり、音楽の枠組みが拡張されていくことになります。そ れがブルースの登場です。ブルースは奴隷としてアフリカ大陸から連れてこられた黒人た ちが生み出した音楽ですが、彼らは正規な音楽の教育を殆ど受けていませんでした。その ためブルースは和声の理論などで説明がつかない部分が多くかったのです。ブルースには 12小節の定型の進行があります。これはセッションでも多用されるので丸覚えしましょう。

|Ⅰ 7|Ⅳ 7|Ⅰ 7|Ⅰ 7|Ⅳ 7|Ⅳ 7|Ⅰ 7|Ⅰ 7|Ⅴ 7|Ⅳ 7|Ⅰ 7|Ⅰ 7|

 4小節×3行の構造になっていて全ての行の後半2小節はⅠ 7 に戻って来ると覚えると 楽になると思います。ここまで学んで来たアヴェイラブル・ノート・スケールの知識など で、このコード進行にどのスケールが乗せられるか分からないと思います。なにせ全てセ ブンス・コードなので。結論から言えば、これはブルーノート・スケールと呼ばれるス ケールを使います。例によって Key=C のスケールを載せます。 Cブルーノート・スケール  このスケールは簡単に言ってしまえばコード進行に使われている3つのコードの構成音 全てに♭5(ソ♭)を足したものになっています。実際のブルースの演奏ではほとんど 「C メジャー・ペンタトニックと C マイナー・ペンタトニックと♭5を組み合わせる」と いうスケールの使い方をしているといっていいでしょう。ここで素朴な疑問が出て来ると 思います。この音楽理論講座の「その2」で音楽は調性というものがあり、12 音中 7 音し か使えない。いわばレギュラーになれる選手は 7 音でそれ以外は転調などしないと出て来 れないのではなかったのか、と。その通りです。ブルース以前もドビュッシーやシェーン ベルクなど近代のクラシック音楽家で 12 音をフル活用する作曲家はいましたが、彼らの 音楽は大変複雑な構造の中でそれをやっていたので、一見シンプルなブルースで調性の枠 組みが壊せることに西洋音楽家たちは衝撃を受けました。結果的にブルース以降の音楽は この「ブルースの衝撃」によって、ロックのような「つまり音楽は自由なんだ。何をし たってそれがかっこいいなら良い。そのまま使っちまえ」という潮流と、ジャズやポップ スのような「この得体の知れない音楽をなるべく理論的に分析して、エッセンスをうまい こと使えるようにしよう」という二つの潮流が生まれます。20 世紀は音楽の大衆化によっ て爆発的に音楽のジャンルを広げましたが、この「自由」と「分析」の二つの力が音楽の 枠組みを広げたと言ってもいいでしょう。

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音楽理論講座その 14 モード、コーダリティとモーダリティ

 ここまで学んで来た音楽理論というのは和声進行についての理論です。それは協和・不 協和という和音の性質を利用して、音楽を展開・進行させる技術であると言っていいで しょう。このコードによって進行させる力を「コーダリティ」と言います。そして、これ に対応するもう一つの音楽の力があります。それが「モーダリティ」です。コーダル、 モーダルという言い方もします。一般にモードと呼ばれます。モードによる音楽の代表は モード・ジャズであり、マイルス・ディヴィスの『Kind Of Blue』というアルバムが本格 的なモード・ジャズのスタートとなっています。  モードは協和・不協和によって音楽を進行させる形式を持ちません。モード・ジャズの 譜面をみるとコードすら書いておらず「D ドリアン」など書かれていたりします。ドリア ンは前述したチャーチ・スケールの一種ですが、モードは一言で言えばコードではなく、 スケールを主軸とした音楽で、そのスケールが持つキャラクターを強く前面に出すことが 出来ます。従来の Key=C や key=Am は言ってみれば「明るい・暗い」という両極の使い分 けであり、その間にある中庸な雰囲気(例えばクール)を演出することが可能です。そも そもジャズという音楽はブルースの「明るさと暗さが混じっており、調性が曖昧なのに成 立している」というキャラクターを理論的に解析し、利用することで進化してきた側面が あります。そしてその進化は二つの道に分かれており「ドミナント・モーションのような 協和・不協和のエネルギーを利用し、転調などによって調性の外の音をどんどん入れるこ とで調性を曖昧にする」というコーダリティの極地としての方法と「協和・不協和による 進行を使わずに、スケールを中心とした音楽を作る」というモードの方法です。 ○モードの使用例 1、選択されたスケールだけで演奏をする 2、一つのコードとスケールだけで演奏をする 3、C△7→F△7→C△7→F△7…や Em7→Dm7→Em7→Dm7…のようなドミナントを用い ないコードの演奏の上で特定のスケールによるメロディやアドリブを演奏する  こうして見るとワンコードのファンクはモードであることがわかりますし、ドミナント を用いないコードのループが多いこと等から循環性の高い音楽にモードが多いことがわか ります。なのでダンス・ミュージックがモードであることも多いです。A メロ部分はモー ダルで、サビはコーダルといったこともあります。コーダリティとモーダリティは一言で 言えばその力学が違います。これは重力に例えるとわかりやすいです。コード進行という のは G7→C へと戻ろうとする「音の重力」によって進行しています。対してモードは C だ けでなく、それぞれに音の重力が作用し合っていて、その中心が C というだけで、かなで られるメロディ(スケール)がコーダルの重力よりも自由に動くことが出来る。その反面 進行感はなく、循環している感じやとどまっている感じの印象を与えます。この二種類の 重力の例えを図にしました。左がコーダルで、右がモーダルです。

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音楽理論講座その 15 オルタード・テンション

 前回、モーダルとの比較でコーダルが「トニック・キーという地上の重力を利用してい る」という比喩をしましたが「Ⅴ 7→Ⅰ△7」という「最も不協和な和音から、最も安定 した和音へと行こうとする重力」を利用しているということは「Ⅴ 7 の時にはいくら不協 和になっても不安定→安定という重力の機能は変わらない」ということになります。その ため、Ⅴ 7 は調性の外の音をテンションとして使うことができます。このテンション音を オルタード・テンションと呼びます。  但し、#13 のテンションだけはオルタードでも使えません。#13 は長 7 度でもあるため、 セブンス・コードのキャラクターを壊すからと言われています。  G7 とそのオルタード・テンションを五度圏表で表すとこのようになります。原則として 従来のテンション・ノートである A,E はもちろん、アヴォイド・ノートである C も使用可 能で、オルタード・テンションを導入するとアヴェイラブル・ノートは 11 音にまで拡張さ れるということになります。しかしながら、11 音もの音をまとまりなく使えばコードでも スケールでも混沌としたものになるため、前衛系の音楽ぐらいでしかそのまま使うという ことはありません。では、どのように使うかというと拡張された 11 音から使う音を選び、 キャラクターがわかるように再び制限してしまうのです。こうやって作られたスケールを ドミナント・スケールと呼びます。その中でも一般に使われるものは6種類あり、これは ドミナントの6スケールなどと呼ばれています。それぞれの内容については次回以降で書 いていきます。

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音楽理論講座その 16 ドミナント・スケールその1

 6つのドミナント・スケールは数も多く、複雑なので覚えるのが大変です。そのため、 少しでも覚えやすく、わかりやすいようにそれぞれのスケールがどのようにして形成され ているのかを関連づけて覚えるといいでしょう。まずは一覧を示しますが、二つの分類を 組み込みます。第一に「9th のテンションがナチュラルかフラットか」で、ナチュラル 9th であれば明るい感じ、フラット 9th であれば暗い感じと言われています。次に「スケール の作られ方が倍音列音階から由来する自然なものか、作為的に選ばれた人工的なものか」 です。こう書くとややこしいかもしれませんが、倍音列音階に由来する自然なスケールは 既に覚えたスケールの転回形ということになり、意識すれば随分覚えるのも楽になります。  この6種のスケールは基本的に全てのⅤ 7 で使えるとされていますが、実際のところ不 協和なキャラクターを持つものも多いので単純なコード進行のなかでは浮いて聴こえるこ とも多いです。なのでコード進行自体が調性のゆるいものにアレンジしたり、テンション 音とスケールのノートを照らし合わせて使うものを選んだりという配慮が必要になります。 ○ミクソリディアン チャーチ・スケールのミクソリディアンと同じです。Key=C で G ミクソリディアンという ことは「ソラシドレミファ」なので調性の外の音を含んでいません。

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音楽理論講座その 17 ドミナント・スケールその2

○オルタード  セブンス・コードの完全5度以外の音と、全てのオルタード・テンションによって七音 を構成するスケールです。 ○リディアン♭7  リディアンの長7度を短7度にフラットさせたスケールです。  この二つのスケールには「メロディック・マイナー・スケールの転回形」であるという 共通点があります。わかりやすいように五度圏表で表してみましょう。  「C オルタード=D♭メロディック・マイナー」であり「C リディアン♭7=G メロ ディック・マイナー」であることがわかると思います。つまり「オルタードは基音の半音 上のメロディック・マイナー」「リディアン♭7は五度上のメロディック・マイナー」と 認識すれば、メロディック・マイナーが弾けるならオルタードとリディアン♭7も弾ける ということになります。  オルタードはセブンスコードのコードトーンと全てのオルタード・トーンによって作ら れたスケールなのでジャズなどで複雑な響きの演奏をする際などによく使われる基本的な ドミナント・スケールなのですが、上の五度圏表を見るとリディアン♭7と鏡面関係であ るのがわかると思います。このことからリディアン♭7は裏コードに対応しているとして 裏コード上で使われることが多いです。

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音楽理論講座その 18 ドミナント・スケールその3

○HP↓5  「ハーモニック・マイナー・パーフェクト・5th・ビロウ」略して HP↓5です。その名の 通りハーモニック・マイナーの音を全て完全五度下げたスケールです。なので五度圏表で 表すと当然ハーモニック・マイナーと同じ形が出てきます。  五度圏表でみると、一つ分ずれたスケールであることがわかると思います。以前に 「コード進行が G7→Cm7 の場合には C ハーモニックマイナーが使える」としていました が、セブンスを中心にして言えば「G7→Cm7 の場合には GHP↓5が使える」ということに なります。この二つは言い方が違うだけで使う音としては全く同じです。もちろん基音が 違うので中心は G であることは意識しないといけません。オルタードやリディアン♭7と 同じように「HP↓5は四度上のハーモニックマイナー」と覚えておけば楽になります。使 用法は言わずもながら「マイナー行きのセブンスコードに対応」です。  ここまでの四種のドミナントスケールが人工的ではない自然なスケールです。全て転回 形なので調性母体となる4種のスケール(メジャー、ナチュラルマイナー、ハーモニック、 メロディック)を覚えていればその応用で扱うことが出来ます。残りの二種は人工的なス ケールなので新しく覚える必要がありますが、それもどのように構成されているかを認識 していればそれほど難しくありません。では人工的なスケールに入る前にここまでの四種 のドミナント・スケールがどのような転回形であるかをまとめておきましょう。 ○ミクソリディアン→四度上(五度圏表で言えば右隣)のメジャースケール ○オルタード→半音上のメロディックマイナー ○リディアン♭7→五度上(五度圏表で言えば左隣)のメロディックマイナー ○HP↓5→四度上のハーモニックマイナー

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音楽理論講座その 19 ドミナント・スケールその4

○コンディミ  「コンビネーション・オブ・ディミニッシュ」略してコンディミです。ディミニッ シュ・セブンス2つのコードトーンを重ねた8音で構成されています。8音も使っている ことと、その8音がオルタード・テンションを多く含んでいることからかなり複雑な響き を持っており、アドリブに際してはスケールアウト(調性から外れたような響き)を狙っ て使われることが多いです。またディミニッシュ・セブンスに対応しています。Dim7 とそ の半音うえの Dim7 を重ねたスケール、もしくは「半音→全音→半音→全音」の順で構成 されてるスケールと覚えると演奏に際しては楽になるでしょう。 ○ホールトーン  全音階のみで構成されているスケールです。Aug コードを2つ重ねたスケールと考える こともできます。Aug や Aug7 に対応しています。半音の音程がないので浮遊感があり、足 をつける地面がないような印象をもつスケールです。演奏に際しては全音のみの音程しか 持たないことを考えれば扱いが簡単になります。  最後に6種のドミナントスケールの対応するコードをまとめておきます。但し、原理的 にはオルタード・テンションは「使用可能だが響きは複雑になる」ものなので、それぞれ の対応はあくまでセオリーであって絶対ではないと認識した方がいいでしょう。 ○ミクソリディアン→メジャー行きのセブンスコードに対応。響きが明るく単純。 ○オルタード→セブンスコードに対応。響きが暗く、複雑。 ○リディアン♭7→裏コードのセブンスコードに対応。響きは明るい。 ○HP↓5→マイナー行きのセブンスコードに対応。響きは暗い。 ○コンディミ→Dim7 に対応。響きは暗く複雑。 ○ホールトーン→Aug 系に対応。響きは明るく浮遊感がある。

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音楽理論講座その 20 アッパー・ストラクチャー・トライアド

 Cm/D(もしくは Cm on D)のような最低音が指定されたコードを分数コード、もしくはオン・ コードと言います。分数コードは大きくわけて二種類あります。一つは「ベースラインを優先させ ることを目的としたもの」であり、もう一つが「アッパー・ストラクチャー・トライアド(UST)」 と呼ばれる「コード・トーンを省略し、テンション・ノートを用いることでトライアドを形成し、 最低音の上に乗せて四和音にしたもの」です。まずは前者の例を見てみましょう。 C→G/B→Am→Em/G→F→C/E→Dm→G  いわゆるカノン・コードから派生した王道の進行です。着目すべきはベースだけを抜き出すと 「ドシラソファミレ」とダイアトニック・スケールで順に下降していることです。あるコード進行 でベースに独立した特徴的な動きを入れるために、コード・トーンの中からベース音を入れ替えた 転回形を用いたアレンジ(G/B はソシレという音からシを最低音に並び替えている)です。ちなみ に、この進行では Key=C の調性の外には出ていませんが C→C/B→C/B♭→Am  このように、クロマチック(半音階)のクリシェ(コードの中で特定の音が順に動いているこ とが前面に出るようにするアレンジ)をベースに応用して調性外の音を使うこともあります。また、 C/B♭のようなベース音がコード・トーンの中にない分数コードをハイブリッド・コードといいま す。では、このようなコード進行ではどうでしょうか。 C△7→Dm7→Dm/G→C△7  ベースだけを見るとツー・ファイブ・ワンですが、F/G では「レファラ/ソ」となっていて、ハ イブリッド・コードとなっています。これはテンション音を加えた上でコード・トーンを省略し、 三和音+ベース音という形にしているのです。つまり「G7(9)ソシレファラ」という五和音のコー ドから長3度のコードトーンであるシを省略しているのです。このような三和音+ベース音の四和 音を UST といいます。UST には「響きを複雑にしながら、音数を減らして軽くする」という性質 があります。コードを複雑にオシャレにしようとすれば五和音、六和音と音が増えてしまい、響き が重くなってしまうのを避けることができます。さらに応用の進行があります。 C△7→Dm7→E/G→C△7  Key=C であるにも関わらず三つ目のコードは「ミラ♭シ on ソ」ですから調性の外の音が使われ ています。これはどのようにして可能になってるのでしょうか。前回までのドミナント・スケール を思い出して下さい。これは G7 にコンディミのスケールを当てはめ、オルタネート・テンション からコードトーンをひっぱってきているわけです。ドミナント・スケールはそれぞれスケール内に 三和音を内包しているので、ドミナント・セブンスを多様なアッパー・ストラクチャー・トライ アドで代理させることができるのです。

参照

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