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季刊 企業と法創造 第1巻第4号(通巻第4号)

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Academic year: 2021

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1.はじめに 本稿の課題は,新たに構築した企業レベル の デ ー タ ベ ー ス を 用 い て , 日 本 企 業 の パ フォーマンスの 20 世紀全体を対象とした時 系列的推移を示すとともに,同期間における 企業パフォーマンスの決定要因に関する一次 的分析を行うことにある。 20 世紀の日本経済のパフォーマンスに関 しては,すでに非常に多くの研究がなされて きた(篠原 1961,大川・ロソフスキー 1973, 中村 1978)。しかし,とりわけ戦前期の日本 経済に焦点をあてた研究では,マクロレベル ないし産業レベルのデータを用いることが多 く,マイクロレベルのデータを用いる場合で も,対象は特定産業に所属する限定的な企業 群に限定される場合がほとんどであった。ま た,戦前と戦後の両方を視野に入れて日本企 業のパフォーマンスの歴史的推移を描いた研 究も存在しない。 他方で,20 世紀日本の企業システムの進 化に関する研究が進展しつつある(岡崎・奥 野 1993,Aoki and Patrick 1994,Hoshi and Kashyap 2001)。戦後とは異なり,戦前期の 企業システムは市場ベースであったとしばし ば指摘されるが,戦時統制と戦後改革の影響 により,戦後には,内部昇進者から構成され る取締役会,安定株主の存在,緊密なメイン バンク関係,といった特徴を有する均質的な 企業統治構造が出現した。こうした特徴は, 旺盛な設備投資行動を実現する制度的背景と なったと評価されることも多い。しかし,バ ブル経済の崩壊を経て 1990 年代に入ると, わが国の企業システムは一転してそのコスト 面を強く示し始めたとの議論がなされるよう になった。このように,企業システムにはコ ストとベネフィットの両面があり,どちらの 面が強く現れるのかは歴史上の局面により異 なっている。企業システムがパフォーマンス にいかなる影響を与えるかという問いに対し て,長期間を対象とした実証分析に基づき, 歴史的な視野から解答が与えられる必要があ ろう。 われわれの最終的な目的は,企業統治構造 と企業パフォーマンスの関係を総合的に解明 することにある。そのためには,市場競争の 効果,株主によるモニタリング,負債の役割, 銀行の介入,内部ガバナンス,経営者報酬と いった多様な論点を,パフォーマンスとの因 果関係をも念頭に置きつつ検討する必要があ る。本稿はこうした分析の第一歩であり,主 に戦前期を対象に,企業パフォーマンスに対 する所有構造の影響を分析する。 本稿の具体的な課題は以下の3点である。 第1の課題は,新たに構築したデータベース を用い,20 世紀全体を通した日本企業のパ フォーマンスの動向を示すことである。パ フォーマンスとしては主に収益性に着目し, 成長性を用いることで補足する。具体的には, 収益性では株主資本利益率(ROE:税引後

20世紀日本企業の所有構造と

パフォーマンス

―戦前期を中心にして―

宮島英昭

***

齊藤 直

***

尾身祐介

*** * 早稲田大学商学部教授 ** 早稲田大学商学部助手 *** 早稲田大学商学部助手

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利益/株主資本)および総資産利益率(ROA: 営業利益/総資産),成長性では総資産成長 率を,それぞれ指標として採用する。これら の指標について,企業間の平均と標準偏差を 推計することにより,日本企業のパフォーマ ンスの長期的な傾向を明らかにすることが可 能になろう。 第2の課題は,20 世紀における所有構造 の進化の過程を様式化することである。戦前 期における日本企業の所有構造に関しては, いまだ様式化された事実はなく,他方,戦後 の所有構造については,戦前に比較すれば論 及 さ れ る こ と が 多 い も の の (Aoki 1988, Odagiri 1992,宮島・原村・江南 2003),様 式化された事実は主に 1970 年代以降に関す るものであり,それ以前の時期については, やはり戦前同様に情報の蓄積が乏しいのが現 状である。そこで,本稿では,戦前期と戦後 期の対比を念頭に置きつつ,20 世紀全体を 通した日本企業の所有構造の長期的な傾向を 明らかにすることを目指す。 本稿の第3の課題は,所有構造が企業パ フォーマンスに与える影響を分析することに ある。この課題に関連して,本稿では,戦前 期の多様な所有構造がパフォーマンスに与え た影響に焦点をあてる。戦前期を対象とした 近年の研究は企業統治における財閥の役割を 強調しているが(Frankl 1999,岡崎 1999), 分散した所有構造を持つ公開企業を対象とし て,所有構造の効果を検討した研究は存在し ない。そこで,本稿では,同族に所有される ビジネスグループ(財閥)の効果をコント ロールした上で,所有構造がパフォーマンス に与えた影響を分析する。本研究は,いまだ 一次的分析にとどまるが,戦前期における所 有構造と企業パフォーマンスとの関係を解明 する最初の試みと位置づけられる。 次節以降の構成は,以下のとおりである。 2節では,本稿の分析で用いるデータベース について説明する。3節では,20 世紀を通 じた日本企業のパフォーマンスの長期推移を 示し,4節では,所有構造の推移を示す。そ して5節では,戦間期を取り上げ,企業統治 構造がパフォーマンスに与える影響を推計す る。6節では,本稿の結論を要約する。 2.データベースの構築 本節では,分析に用いたデータベース(早 稲田長期マイクロデータベース)の概要を簡 単に説明しておく。本稿の対象は 20 世紀全 体であり,分析の前提として,極めて長期間 にわたる企業レベルのデータベース構築が必 要となる。とはいえ,そうした長期間には, 多くの企業が創業される一方,少なからぬ企 業が倒産や合併により姿を消している。ゆえ に,大企業部門の全体像を描くためには,対 象期間を一貫して存在する企業に加え,期間 中に消滅する企業をも視野に入れる必要があ る1。本稿の対象期間はきわめて長いため, こうした問題に完全に対応することは難しい が,表1に示された複数のデータセットを作 成することで対応を図る。 第1は,Fruin(1992)所収の鉱工業上位 200 社リスト(1918,30 年)をベンチマーク として使用した,戦前期を中心とするデータ セットである。東洋経済新報社『株式会社年 鑑』と三菱経済研究所『本邦事業成績分析』 を使用して財務データを構築した。しかしな がら,当時は多くの非公開企業が存在したた め,これらの資料からデータが得られる企業 は限定的である。そこで,利用可能である場 合は社史や営業報告書を用いて非公開企業の デ ー タ を 補 足 し た 。 そ の 結 果 , 企 業 数 は 1915 年で 94 社(うち 67 社が鉱工業所属企業), 1920 年で 123 社(同 94 社),1930 年で 299 社 (同 199 社),1940 年で 304 社(同 233 社)と なった。 第2は,戦時期を挟む時期を対象とした データセットである。ここでは,1937 年な いし 55 年のいずれかの時点で上場していた 鉱工業所属の上位 100 社(資産ベース)を

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プールした 133 社の中から,データを利用可 能な 126 社を選択した。 第3のデータセットは,主に戦後をカバー するものであり,1990 年度において 500 億円 以上の売上高である製造業所属企業を選んだ (353 社)2。この企業数は,戦前期との比較を する上で,適当な数であるといえよう。なお, 財務データは日本政策投資銀行「企業財務 データバンク」および「日経企業財務データ (NEEDS)」から得た。 3.20世紀における大企業の パフォーマンス 20 世紀を通した日本企業のパフォーマン スをどのように把握するべきであろうか。本 稿では,主に企業の収益性に注目し,会計指 標であるROE(税引後利益/株主資本)と ROA(営業利益/総資産)を用いる。ただ し,戦前においては営業利益の数値が利用で きないため,戦前についてはROEを分析の 中心に据え,戦後についてはROE,ROAを 併用する3。また,戦後の日本企業が目下の 収益性よりも将来の成長性を志向したとしば しば指摘されることからも類推されるように, 収益性は企業成長とトレードオフの関係にあ る可能性があるため,本稿では企業の成長性 にも着目し,総資産の成長率を指標として用 いる。 図1は 20 世紀全期間のデータベースから 計算したROEとその標準偏差の推移を示し たものである。平均と標準偏差は異常値の存 在によるバイアスを含む可能性があるため, ROEの中央値とIQレンジ(第 1 四分位と第 3 四分位の差)を図2に示した5。また,図3 は総資産成長率を描いたものである。 これらの図は,更なる精緻化の余地が多分 に残されてはいるものの,20 世紀における 日本企業のパフォーマンスの推移を描いた最 初の試みであり,以下の諸点を指摘すること ができるであろう。 ¸ 第一次大戦期の高収益を享受した後, 1920 年代の慢性不況下に日本企業は深刻な 収益性低下を経験した。ROEの標準偏差は この時期に高い水準であり,20 年代半ばに は 10 %にまで達していることは注目に値す る。図2は同時期にROEの中央値がその平 均値より高いことを示している。この事実は 深刻な収益性低下に直面している企業が存在 すると同時に,高収益を実現している企業が 一定数存在することを示している。 ¹ 戦時期の企業パフォーマンスは相対的 に高いROEと低い分散によって特徴付けら れる。これは,戦時の生産を高めるためにあ る程度の利益を保証したためであって,それ ほど驚くべきことではない。一方,1950 年 ᦼ㑆 ડᬺᢙ 䉰䊮䊒䊦ㆬᛯ䈱ᣇᴺ 䊂䊷䉺䉸䊷䉴 㪪㪼㫋㩷㪠 㪈㪐㪈㪋㪄㪋㪊ᐕ 㪏㪇㪄㪈㪎㪇␠ 㪝㫉㫌㫀㫅䋨㪈㪐㪐㪉䋩䉕೑↪䈚㪈㪐㪈㪏ᐕ䈫㪊㪇ᐕ䈱㋶Ꮏᬺ਄૏㪉㪇㪇␠䉕䊔䊮䉼䊙䊷䉪 ᧄ㇌੐ᬺᚑ❣ಽᨆ䋨ਃ ⪉⚻ᷣ⎇ⓥᚲ䋩䊶ᩣᑼળ ␠ᐕ㐓䋨᧲ᵗ⚻ᷣᣂႎ 㪪㪼㫋㩷㪠㪠 㪈㪐㪊㪇㪄㪏㪇ᐕ 㪈㪉㪍␠ 㪈㪐㪊㪎ᐕ䇮㪌㪌ᐕ䈱✚⾗↥਄૏㪈㪇㪇␠䊥䉴䊃 䉕૞ᚑ䈚䇮䈇䈝䉏䈎৻ᤨὐ䈪䈖䈱䊥䉴䊃 䈮䈅䉎ડᬺ䉕䊒䊷䊦䈚䈩ᓧ䉌䉏䈢ડᬺ 㪈㪊㪊␠䈱䈉䈤ᚢᓟሽ⛯䈚䈢ડᬺ㪈㪉㪍␠ ᧄ㇌੐ᬺᚑ❣ಽᨆ䋨ਃ ⪉⚻ᷣ⎇ⓥᚲ䋩 㪪㪼㫋㩷㪠㪠㪠 㪈㪐㪌㪍㪄㪐㪐ᐕ 㪊㪌㪊␠ 㪈㪐㪐㪇ᐕ䈮䈍䈇䈩ᄁ਄㜞䈏㪌㪇㪇ం౞એ਄ 䈅䉎ડᬺ㪊㪌㪊␠ ડᬺ⽷ോ䊂䊷䉺䊋䊮䉪 䋨ᣣᧄ᡽╷ᛩ⾗㌁ⴕ䋩 ᚲ᦭᭴ㅧ 㪈㪐㪉㪈㪄㪉㪇㪇㪇ᐕ 㪎㪈␠ 㪈㪐㪉㪈ᐕ䈎䉌㪉㪇㪇㪇ᐕ䉁䈪ᚲ᦭᭴ㅧ䈏೑↪น⢻䈭ડᬺ㪎㪈␠ ળ␠ᐕ㐓䋨ᣣᧄ⚻ᷣᣂ⡞␠䋩ઁ 〔表1〕データベース

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㪄㪌㩼 㪇㩼 㪌㩼 㪈㪇㩼 㪈㪌㩼 㪉㪇㩼 㪉㪌㩼 㪊㪇㩼 㪈㪐㪈㪋 㪈㪐㪈㪍 㪈㪐㪈㪏 㪈㪐㪉㪇 㪈㪐㪉㪉 㪈㪐㪉㪋 㪈㪐㪉㪍 㪈㪐㪉㪏 㪈㪐㪊㪇 㪈㪐㪊㪉 㪈㪐㪊㪋 㪈㪐㪊㪍 㪈㪐㪊㪏 㪈㪐㪋㪇 㪈㪐㪋㪉 㪈㪐㪌㪈 㪈㪐㪌㪊 㪈㪐㪌㪌 㪈㪐㪌㪎 㪈㪐㪌㪐 㪈㪐㪍㪈 㪈㪐㪍㪊 㪈㪐㪍㪌 㪈㪐㪍㪎 㪈㪐㪍㪐 㪈㪐㪎㪈 㪈㪐㪎㪊 㪈㪐㪎㪌 㪈㪐㪎㪎 㪈㪐㪎㪐 㪈㪐㪏㪈 㪈㪐㪏㪊 㪈㪐㪏㪌 㪈㪐㪏㪎 㪈㪐㪏㪐 㪈㪐㪐㪈 㪈㪐㪐㪊 㪈㪐㪐㪌 㪈㪐㪐㪎 㪈㪐㪐㪐 㪤㪼㪸㫅 㪪㫋㪻㩷㪛㪼㫍 〔図1〕ROEの推移Ⅰ(平均と標準偏差) 㪄㪌㩼 㪇㩼 㪌㩼 㪈㪇㩼 㪈㪌㩼 㪉㪇㩼 㪉㪌㩼 㪈㪐㪈㪋 㪈㪐㪈㪍 㪈㪐㪈㪏 㪈㪐㪉㪇 㪈㪐㪉㪉 㪈㪐㪉㪋 㪈㪐㪉㪍 㪈㪐㪉㪏 㪈㪐㪊㪇 㪈㪐㪊㪉 㪈㪐㪊㪋 㪈㪐㪊㪍 㪈㪐㪊㪏 㪈㪐㪋㪇 㪈㪐㪋㪉 㪈㪐㪌㪎 㪈㪐㪌㪐 㪈㪐㪍㪈 㪈㪐㪍㪊 㪈㪐㪍㪌 㪈㪐㪍㪎 㪈㪐㪍㪐 㪈㪐㪎㪈 㪈㪐㪎㪊 㪈㪐㪎㪌 㪈㪐㪎㪎 㪈㪐㪎㪐 㪈㪐㪏㪈 㪈㪐㪏㪊 㪈㪐㪏㪌 㪈㪐㪏㪎 㪈㪐㪏㪐 㪈㪐㪐㪈 㪈㪐㪐㪊 㪈㪐㪐㪌 㪈㪐㪐㪎 㪈㪐㪐㪐 㪤㪼㪻㫀㪸㫅 㪠㪨㩷㪩㪸㫅㪾㪼 〔図2〕ROEの推移Ⅰ(中央値とIQレンジ) 平均 標準偏差 中央値 IQレンジ

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代初期には,戦後経済改革,朝鮮戦争といっ た様々な影響により,日本企業は企業間格差 は大きいものの,高いROEを実現した。 º 1955年に日本経済は高度成長期に突 入したが,この時期については,企業の収益 性が非常に高く,ROEの平均は高度成長期 の 終 わ り で あ る 1970 年 前 後 ま で 10 % か ら 15 %の間で推移した。これは戦前よりも高 い水準である。ROEに関する限り,日本企 業の株主は高度成長期に高いリターンを享受 したということは注目に値する。 » 石油ショック後の企業パフォーマンス は,数回の景気循環を経ながら低下する傾向 に あ っ た 。ROEとROAは バ ブ ル 経 済 期 の 1980 年代後半の好況期にさえ,低い水準の ままであった。収益性の低下傾向は,日本経 済の成熟化(ビジネスチャンスの減少,資本 係数の増大,マクロ経済バランスにおける投 資に対する貯蓄超過)の結果と解釈されうる。 他方で,企業間格差は収益が低下傾向である のと同様に低いままであった。一方,バブル 経済期の特徴として,総資産の成長率が高い ことを指摘することができる。低収益にもか かわらず,投資はハイペースで持続した。低 収益性にもかかわらず高成長が志向された事 実は,過剰投資問題の可能性を示唆する。 ¼ バブル崩壊後の 1990年代には,ROE は 95,96 年に一時的改善が見られることを 除けば,3 %以下へと低下した。これは,90 年代の企業パフォーマンスが,それまでの傾 向とは不連続であることを示しているように 思われる。企業パフォーマンスの分散もまた 金融危機後の 1997 年から拡大した。このよ うに,90 年代後半の日本の際立った特徴は, 拡大する企業間格差と,極度の低収益性にあ る。 㪄㪈㪇㩼 㪇㩼 㪈㪇㩼 㪉㪇㩼 㪊㪇㩼 㪋㪇㩼 㪌㪇㩼 㪈㪐㪈㪋 㪈㪐㪈㪎 㪈㪐㪉㪇 㪈㪐㪉㪊 㪈㪐㪉㪍 㪈㪐㪉㪐 㪈㪐㪊㪉 㪈㪐㪊㪌 㪈㪐㪊㪏 㪈㪐㪋㪈 㪈㪐㪌㪐 㪈㪐㪍㪉 㪈㪐㪍㪌 㪈㪐㪍㪏 㪈㪐㪎㪈 㪈㪐㪎㪋 㪈㪐㪎㪎 㪈㪐㪏㪇 㪈㪐㪏㪊 㪈㪐㪏㪍 㪈㪐㪏㪐 㪈㪐㪐㪉 㪈㪐㪐㪌 㪈㪐㪐㪏 㫄㪼㪸㫅 㫊㫋㪻㪼㫍 〔図3〕資産成長率の推移 平均 標準偏差

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4.所有構造の進化の概観 次に企業の所有構造に目を向けよう。図4 は,1921 年から 2000 年まで継続して存在す る 71 社を対象に,所有構造の時系列的な変 化を示したものである。また,同様に図5は 戦後日本企業の所有構造の推移を示している。 日本企業の所有構造の進化は以下のように要 約できよう。 戦前:多様な所有構造の並存 戦前期における日本企業の所有構造は,す でに宮島(2004)が指摘したように,財閥系 企業のように封鎖的保有を維持する企業から, すでに株式が広範に分散した企業まで,著し く多様であった。図4にもこうした所有構造 の多様性が明確に現れている。株式の上位3 位集中度は,1920 年代にはサンプル平均で 30 %を超え,標準偏差は 28 %に達している。 集中度における大きな企業間格差は,著しく 集中度の高い企業と,分散した所有構造を持 つ公開企業が並存したことを示唆する。一方, 37 年においても,上位3位集中度の平均は 若干低下するものの 28 %と依然高位を維持 し,標準偏差も 24 %と高い。1930 年代には 特に財閥系企業を中心に株式の公開に伴う所 有構造の分散化が進んだが,37 年の段階で は,いまだ所有構造の企業間格差は大きかっ た。戦前期日本における企業統治の特徴とし ては,株主の権限が強いことが広く指摘され てきたが,それに加えて,異なるタイプの統 治構造を持つ企業が並存するという意味で, 企業統治構造が多様であったという点が強調 されるべきであろう。 戦時と戦後改革:移行 戦前期の多様な企業統治構造は,戦時統制 および戦後改革を経て,非常に同質的なもの となった(Miyajima 1994,1995,宮島 2004)。 㪇㩼 㪌㩼 㪈㪇㩼 㪈㪌㩼 㪉㪇㩼 㪉㪌㩼 㪊㪇㩼 㪊㪌㩼 㪋㪇㩼 㪋㪌㩼 㪌㪇㩼 㪈㪐㪉㪈 㪈㪐㪉㪏 㪈㪐㪊㪎 㪈㪐㪌㪇 㪈㪐㪍㪇 㪈㪐㪎㪇 㪈㪐㪏㪉 㪈㪐㪐㪇 㪉㪇㪇㪇 㪤㪼㪸㫅 㪪㫋㪻㩷㪛㪼㫍 㪤㪼㪻㫀㪸㫅 㪈㫊㫋㩷㪨㫉㫋 㪊㫉㪻㩷㪨㫉㫋 〔図4〕株式上位3位集中度の推移 平均 第1四分位 標準偏差 第3四分位 中央値

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戦時統制下においては,1939 年4月の会社 利益配当及資金融通令の施行による利益処分 の制限に示されるように,株主の権限は大き く 制 限 さ れ た (Okazaki 1994,Teranishi 2000)。しかし,株式市場に対する規制の結 果,所有構造は比較的安定していた。一方, GHQに よ っ て 着 手 さ れ た 経 済 シ ス テ ム の 「アメリカ化」により,日本の企業システム は極めて大きな変化を経験した。証券民主化 により株式が個人株主に優先的に販売された ことが,所有構造に影響を与えた最大の要因 であった。図4によれば,1950 年における 株式の上位3位集中度は平均9%であり(中 央値は6%),標準偏差も 10 %程度と非常に 低かった。これは,当時の日本企業の所有構 造が完全に分散しており,しかも企業間格差 が小さかったことを意味している。戦後改革 は,戦後日本企業の特徴として知られる,分 散した所有構造を生み出したのである。 戦後:同質的構造 1950 年には完全に分散した所有構造が見 られたが,その後 1950 年代を通じて株式の 上位3位集中度は,高い標準偏差を伴いつつ 大きく上昇した。これは主に銀行による株式 所有が進展した結果である。一方,1960 年 代以降,上位3位集中度は企業間格差を縮小 させつつ,15%前後で非常に安定的に推移し た。とはいえ,集中度の安定的な推移にもか かわらず,60 年代には株式保有主体の中心 の個人から銀行・企業への移行という,株主 の主体別構成の顕著な変化が生じた(図5)。 とりわけ,70 年代から 90 年代初期にかけて の日本企業の所有構造は,多くの研究者が指 摘 す る よ う に , 非 常 に 安 定 的 で あ っ た (Prowse 1990, Flath 1993, Yafeh and Yosha

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2003)。独占禁止法改正に伴って金融機関に よる株式保有の上限が 10 %から5%に引き 下げられた 80 年代後半以降でさえ,図5に よれば銀行に所有される株式の比率は低下せ ず,むしろ上昇を示した。 第2の転換点 近年,日本企業の所有構造は劇的な変化を 示した。外国法人による所有比率は 1990 年 代初期から特に大企業において増大し,安定 株主の所有比率は低下傾向にある6。90 年代 半ば以降の変化は,戦後日本企業における所 有構造の進化の文脈においては,60 年代後 半の変化と並んで大きなものであるといえよ う。 分析の焦点 前節で示した企業パフォーマンスの特徴と, 本節で要約した所有構造に関する事実を踏ま えることで,以下のような分析課題を提示す ることが可能である。 1)戦前期には,多様な所有構造のもとで, 収益性にも大きな企業間格差が見られた。 では,この時期に,多様な所有構造は収益 性に影響を与えていたのか。 2)持株会社の解体はエージェンシー問題の 増大をもたらすと考えられるが,戦後改革 によって生じた分散した所有構造のもとで, 深刻なエージェンシー問題は発生したのか。 発生したのであれば,どの主体がその問題 の解決に寄与したのか。 3)高度成長期における高収益,低分散は, 銀行による株式所有の増加と軌を一にして いる。銀行による株式保有と企業パフォー マンスの間には何らかの関係があるのか。 4)1970 年代以降の安定した所有構造のも とで,日本企業の収益性は低分散を維持し つつ低下した。安定株主と低収益性の間に はいかなる関係があるのか。 5)90 年代の企業パフォーマンスに対する 所有構造の影響からは,どのようなインプ リケーションが導き出されるのか。 紙幅の制約から,本稿で上記の全ての課題 を扱うことはできないが,これらのうち,2) はYafeh( 1995),Miyajima( 1994, 1999) などの先行研究が既に扱っており,3)の時 期についても堀内・花崎(2000)が対象とし ている。さらに,4)は近年の幾多の研究の 焦点となっている。また,5)については, 宮島・新田・齊藤・尾身(2004)や宮島・黒 木(2002,2003)などで分析する機会があっ た。そこで,次節以降では主に戦前期に対象 を絞り,所有構造とパフォーマンスの関係を 検討する。 5.所有構造とパフォーマンス 実証的推論 上述のように,戦前の大企業の所有構造は 多様であった。こうした多用な所有構造は, パフォーマンスにいかなる影響を与えたので あろうか。 集中度の高い企業としては,家族によって 封鎖的に所有された同族企業を挙げることが できる。そこには,三井・三菱・住友などの いわゆる旧財閥が含まれ,株式が分散し,内 部資本市場を持たない日産・日窒・日曹など の新興財閥は含まれない。一方,片倉・藤田 のように,株式が分散せず,同族の保有比率 が高い企業も同族企業と考えられる。 高い集中度には正負両面の効果があり得る。 少数株主は投資先企業に対するモニタリング コストを負担するインセンティブを持たない ため,株式が分散した所有構造の下ではフ リーライダー問題の発生が不可避であるが, こうした状況下で経営者をモニターする役割 を期待されるのが大株主である(Shleifer and Vishny 1986)。例えば,財閥系企業では, 家族が専門経営者に子会社のモニターを委託 するという形で,持株会社による子会社のモ ニタリングが実現していた(森川 1980)。持

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株会社は専門的な調査部門を持ち,子会社に 年次報告書の提出を要求するとともに,子会 社によって提案された投資プロジェクトの承 認過程を通じてモニタリングを行った。さら に持株会社は,子会社の資金調達面での決定 や配当政策にも介入した。仮に持株会社に代 表される大株主のモニターが効率的であるな らば,大株主が存在する企業のパフォーマン スは,株式が分散し,個人株式の比率が高い 企業よりも高くなるであろう7 しかし,大株主による厳格なモニタリング が経営者のインセンティブを減じてしまう可 能性も否定できない(Burkart, Gromb and Panunzi 1997)。大株主によるモニタリング が過度に厳格なものであった場合,それが経 営者のインセンティブを減殺し,パフォーマ ンスの低下をもたらす可能性もあろう。 戦前の日本企業において想定されるいまひ とつのコストは,大株主と少数株主との利益 相反から生じる。近年の研究は,少数株主の 搾取に企業グループのコスト面を求める議論 を展開している。例えば,Classen, Djankow, Fan and Lang(1999)およびJohnson, Boone, Breach and Friedman(2000)は,アジアに おいて企業グループと少数株主搾取とが結び ついていると議論している。こうした研究か らは,系列企業における家族の持株会社の高 い株式集中度はパフォーマンスの悪化へとつ ながる「トンネリング(少数株主から支配的 な株主への資金の移転)」や,資産代替のよ うなモラルハザードを誘引する可能性が想定 される。 モデルと変数

本 稿 で は ,Lichtenberg and Pushner (1994),堀内・花崎(2000),Yafeh(2003) などに倣って,企業パフォーマンスを基本的 な変数に加え,所有構造を含むガバナンス変 数に回帰する推計式を使用した。なお,所有 構造のデータは作業量の制約により 1921 年, 28 年,33 年の 3 時点についてのみ作成したた め,推計方法としてはOLSを採用した8。具 体的な推計式は以下の通りである。

ROEt=F(GOVt-1, DARt-1, ⊿SALEt-1,

SIZEt-1, IND, YEAR)

ここで,被説明変数ROEは株主資本利益 率であり,推計では産業平均で標準化した値 を用いた。標準化した値を用いる理由は,第 一 に , 産 業 特 有 の 要 因 と は 独 立 の 企 業 パ フォーマンスに焦点を当てるためであり,第 二に,逆の因果性問題(例えば,大株主によ るパフォーマンス向上ではなく,むしろ大株 主が高パフォーマンス企業の株式を購入して いる状態を推計が捉えている可能性)を緩和 す る た め で あ る 。 説 明 変 数 の う ち ,DAR (負債比率),⊿ SALE(売上の成長率)SIZE ( 総 資 産 の 対 数 値 ),IND( 産 業 ダ ミ ー ), YEAR(年次ダミー)は企業パフォーマンス とその変動に影響を与えうる,企業統治面以 外の要因をコントロールするために推計式に 加えた。 GOVは所有構造と制度的特性を表す変数 (ガバナンス変数)である。ガバナンス変数 の具体的な内容は以下のとおりである。 ZAIBATSUは三井・三菱・住友に所属し ている企業を 1 とするダミー変数である。こ の変数は,これらの大企業集団に独自の内部 資本市場の効果をコントロールするためのも のである。ZAIBATSUが1をとる企業は, 1928 年において 171 社のうち 11 社である。 αは外部大株主の保有比率を示す変数であ る。ここでは,経営者を除く最大の株主に よって所有される株式の比率を使用した9 すなわちαは最大の外部株主(個人・持株会 社・その他の企業)を表す10。以上に加え, 所有構造とパフォーマンスの間の非線形の関 係を捉えるために,α 2(αの 2 乗項)を導 入する。 ωは経営者の保有比率である。具体的には, 明らかに株主の代表として取締役会に加わっ

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ているケースを除いて,最も上位の役職の者 を経営者と定義した。標準的な理論によると, 経営者による自社株式の所有は,株主と経営 者の間の利益相反を緩和する効果(アライン メント効果)を持つと期待される。また,経 営者保有比率がある一定の閾値を超えると, 企業経営に対する外部からの干渉を避けよう とする効果(エントレンチメント効果)が生 じる可能性も想定されるが(Morck, Shleifer and Vishny 1988,McConnell and Servaes 1990),その効果を捉えるためにω 2(ωの 2 乗項)を推計式に加えた。 推計期間は 1921 − 27 年と 28 − 36 年の 2 期 間である。推計に用いた企業数は前者で 91 社,後者で 178 社である(年により企業数は 異なる)。すべてのサンプル企業は製造業と 鉱業に属している11。21 − 27 年のサンプルは いまだ限定的であり,Survivorship Biasも 残っているため推計結果は多分に暫定的であ る。そこで,以下では主に 1928 − 36 年の推 計結果を報告する。なお,変数の記述統計量 と相関行列が表2に要約されている。 推計結果 表3は,推計結果を示している。要点は以 下のように要約される。 第一に,内部資本市場を持つ大企業グルー プを意味するZAIBATSUの係数は有意では なかった12。財閥の定義によって結果は変わ る可能性もあり,結果の解釈には注意を払う べきであるが,少なくとも鉱工業を対象とす る本稿の分析に関する限りは,企業グループ への所属がパフォーマンスに貢献するという 実証結果は得られなかった。 第二に,1928 − 36 年の推計ではωの係数 は有意に正であった(有意水準1%)。推計 結果からは,ωの2標準偏差の上昇がROE を約 0.7 %引き上げることが示されるが(コ ラム2),この 0.7 %という数字は同時期の ROEの平均値(6.4 %)の約 12 %にあたる。 一方,ωの 2 乗項ω2の係数は有意に負で あ っ た ( 有 意 水 準 5 % )。Morck, Shleifer and Vishny( 1988),McConnell and Ser-vaes(1990)の実証結果と同様13,戦前期の 日本企業においても,経営者保有比率とパ フォーマンスとの間に非線形の関係が認めら れる。なお,推計されたωの転換点は約 19% であり14,保有比率が 19 %までの領域では, 経営者による株式所有は株主と経営者の間の 利益相反を緩和するアラインメント効果を持 つが,その水準を超えるとパフォーマンス悪 化をもたらすエントレンチメント効果を招来 すると考えられよう。また,ωは資産成長率 とも正に相関している(表4)。この結果は, 経営者による株式所有が積極的投資行動を可 能にするという理解と整合的である。 第三に,1928 − 36 年の推計においてαの 係数は有意に正,αの2乗項α2は有意に負 であった(それぞれ有意水準1%と5%)。 21 − 27 年推計の結果も符号条件は同じであ るが,有意ではなかった。28 − 36 年推計か ら得られたαの転換点は約 56 %である 。こ の結果は,保有比率が約 56 %までの領域で は,大株主が企業経営に対するモニタリング に重要な役割を演じていた可能性を示唆する 一方,56 %を超えると,大株主の保有比率 と企業パフォーマンスの間の関係が反転する ことを示している。なお,αの2標準偏差の 上 昇 はROEを 2.2 % ( 28 − 36 年 に お け る ROEの平均値の 34 %)引き上げるが,これ はωの効果と比較すると大きいといえる。 ところで,大株主は個人株主だけでなく, 持株会社,その他の法人,機関投資家(生命 保険会社) から構成されていた。法人株主 (持株会社と親会社)は高いモニタリング能 力を有するため,エージェンシー問題の緩和 に効果的であると考えられる(Shleifer and Vishny 1986,McConnell and Servaes 1995)。 この関係をテストするために,αを法人の場 合(corpα)と個人の場合(indα)に分割 して推計を行った。両変数の係数はともに有

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る効果の大きさの双方から判断して ,法人 株主が企業パフォーマンス向上に強く貢献し ていたと考えられる(表6コラム2)。これ は,上記の想定と整合的な結果である。 一方,資産成長率を被説明変数とした推計 においても,αの係数は有意に正であった (表7)。この結果は,大株主によるモニタリ ングが経営者を規律付け,投資水準を適切な 㪧㪸㫅㪼㫃㩷㪘㪑㩷⸥ㅀ⛔⸘㊂ 㪥㪑㩷㪌㪐㪈 㪈㪐㪉㪈㪄㪉㪎 ᐔဋ ᮡḰ஍Ꮕ ᦨዊ୯ ᦨᄢ୯ ਛᄩ୯ ╙㪈྾ಽ૏ ╙㪊྾ಽ૏ 㪠㪨䊧䊮䉳 㪩㪦㪜 㪇㪅㪇㪐㪌 㪇㪅㪇㪏㪉 㪄㪇㪅㪌㪌㪊 㪇㪅㪊㪊㪊 㪇㪅㪈㪇㪍 㪇㪅㪇㪎㪈 㪇㪅㪈㪊㪊 㪇㪅㪇㪍㪊 㪩㪦㪘 㪇㪅㪇㪍㪐 㪇㪅㪇㪌㪋 㪄㪇㪅㪈㪌㪍 㪇㪅㪉㪍㪋 㪇㪅㪇㪍㪐 㪇㪅㪇㪋㪊 㪇㪅㪈㪇㪇 㪇㪅㪇㪌㪎

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⽷㑓䉻䊚䊷 〔表2〕記述統計量と相関行列

(12)

ものにした可能性を示唆している。あるいは, 大株主によるモニタリングが企業内部者と外 部の資本提供者との間の非対称情報を緩和し ていた可能性もあろう。 6.結びにかえて 本稿では新たに構築した企業レベルのデー タ ベ ー ス を 用 い , 2 0 世 紀 日 本 企 業 の パ フォーマンスと所有構造の推移を概観すると ともに,戦間期を対象にして,所有構造が収 益性に対して与えた影響について一次的分析 を行った。本稿の分析から得られた結論を, 戦前期を中心に要約すれば,以下のとおりで ある。 第一に,戦前期の日本企業においては,所 有構造の企業間格差が戦後に比べて著しく大 きく,パフォーマンス(収益性)の企業間格 差も少なくとも戦後と同等以上に大きかった。 そして,所有構造がパフォーマンスに無視で きない影響を与えていた可能性が高い。収益 性(ROE)と成長性(総資産成長率)を企 㪈㪐㪉㪏㪄㪊㪍 㪈㪐㪉㪏㪄㪊㪍 ෳ⠨ 㪈㪐㪉㪈㪄㪉㪎 㩿㪈㪀 㩿㪉㪀 㩿㪊㪀 㪚 㪄㪇㪅㪇㪎㪇 㪁㪁㪁 㪄㪇㪅㪇㪍㪏 㪁㪁㪁 㪄㪇㪅㪈㪋㪐 㩿㪋㪅㪋㪌㪀 㩿㪋㪅㪊㪍㪀 㩿㪈㪅㪋㪍㪀 㪪㪠㪱㪜 㪇㪅㪇㪇㪐 㪁㪁㪁 㪇㪅㪇㪇㪐 㪁㪁㪁 㪇㪅㪇㪉㪇 㪁㪁㪁 㩿㪍㪅㪉㪇㪀 㩿㪍㪅㪉㪇㪀 㩿㪊㪅㪈㪏㪀 㼺㪪㪘㪣㪜 㪄㪇㪅㪇㪇㪈 㪄㪇㪅㪇㪇㪇㪋 㪇㪅㪇㪇㪉 㩿㪇㪅㪍㪌㪀 㩿㪇㪅㪌㪇㪀 㩿㪇㪅㪈㪍㪀 㪛㪘㪩 㪄㪇㪅㪇㪎㪌 㪁㪁㪁 㪄㪇㪅㪇㪎㪉 㪁㪁㪁 㪄㪇㪅㪈㪎㪌 㪁㪁㪁 㩿㪐㪅㪋㪈㪀 㩿㪏㪅㪍㪏㪀 㩿㪌㪅㪈㪌㪀 㱍 㪇㪅㪇㪎㪋 㪁㪁㪁 㪇㪅㪉㪇㪉 㩿㪊㪅㪈㪏㪀 㩿㪈㪅㪌㪉㪀 㱍㪉 㪄㪇㪅㪇㪍㪍 㪁㪁 㪄㪇㪅㪉㪈㪏 㩿㪉㪅㪉㪌㪀 㩿㪈㪅㪇㪇㪀 㪺㫆㫉㫇㩷㱍 㪇㪅㪇㪉㪋 㪁㪁㪁 㩿㪉㪅㪏㪏㪀 㫀㫅㪻㩷㱍 㪇㪅㪇㪊㪊 㪁 㩿㪈㪅㪎㪏㪀 㱥 㪇㪅㪉㪊㪈 㪁㪁㪁 㪇㪅㪇㪎㪌 㪁㪁㪁 㪄㪇㪅㪋㪋㪋 㩿㪊㪅㪋㪊㪀 㩿㪉㪅㪏㪉㪀 㩿㪇㪅㪎㪐㪀 㱥㪉 㪄㪇㪅㪍㪈㪈 㪁㪁 㪊㪅㪊㪇㪈 㩿㪉㪅㪋㪋㪀 㩿㪇㪅㪏㪐㪀 㪱㪘㪠㪙㪘㪫㪪㪬 㪄㪇㪅㪇㪇㪎 㪄㪇㪅㪇㪈㪈 㪄㪇㪅㪇㪎㪋 㪁㪁 㩿㪇㪅㪏㪇㪀 㩿㪈㪅㪉㪍㪀 㩿㪉㪅㪇㪏㪀 㪰㪼㪸㫉㩷㪻㫌㫄㫄㫐 㫐㪼㫊 㫐㪼㫊 㫐㪼㫊 㪘㪻㫁㪅㩷㪩㪉 㪇㪅㪇㪏㪉 㪇㪅㪇㪎㪊 㪇㪅㪇㪎㪈 㪦㪹㫊㪅 㪈㪈㪐㪌 㪈㪈㪎㪉 㪋㪎㪋 㱍 㚂૏ᩣਥ䈱ᚲ᦭Ყ₸ 㱥 ⚻༡⠪䈱ᩣᑼᚲ᦭Ყ₸ 㪺㫆㫉㫇㩷㱍 㚂૏ᩣਥ䈏ᴺੱ䈪䈅䉎႐ว䈱㱍 㫀㫅㪻㩷㱍 㚂૏ᩣਥ䈏୘ੱ䈪䈅䉎႐ว䈱㱍 㪱㪘㪠㪙㪘㪫㪪㪬 ⽷㑓䉻䊚䊷 㱍㪉 㱍䈱㪉ਸ਼㗄 㱥㪉 㱥䈱㪉ਸ਼㗄 㩿ᵈ䋩䇭䋨䇭䋩ౝ䈱ᢙ୯䈲䌴୯䉕⴫䈜䇯㪁㪁㪁䈲㪈䋦䇮㪁㪁䈲㪌䋦䇮㪁䈲㪈㪇䋦 䈱᦭ᗧ᳓Ḱ䉕䈠䉏䈡䉏⴫䈜䇯 〔表3〕ROEに対する所有構造の効果

(13)

業規模,産業ダミーなどのコントロール変数 と,所有構造を表す変数(ガバナンス変数) に回帰した推計結果は,企業規模や産業特性 には還元できない,企業統治固有の効果が存 在していたことを示している。 第二に,所有構造のなかでも,外部大株主 がROE,総資産成長率の双方を高めるとい う意味で,重要な役割を果たしていたことが 明らかになった。これは,大株主が効率的な モニタリングを行っていた可能性を示唆する。 一方,大株主の効果に比較すれば弱いものの, 経営者の保有比率もROE,総資産成長率を 有意に高める効果を有していた。これは,経 営者による株式所有が,株主と経営者の間の 利益相反を緩和するアラインメント効果を有 する一方で,成長性を追求するというリスク テイキングな行動をもたらしていた可能性を 示唆している。 第三に,外部大株主を個人と法人に分割し た推計では,上記のようなROE,総資産成 長率に対する正の効果は,法人大株主につい て典型的に確認された。一方,本稿では扱っ ていないが,パフォーマンスに対する法人株 主の正の効果は,戦後を対象とした同様の分 析でも一貫して観察された18。こうした結果 は,わが国の企業統治において,法人による 株式所有が重要な役割を果たしてきたことを 強く示唆しているといえよう。 㩿㪈㪀 㩿㪉㪀 㪚 㪄㪇㪅㪇㪊㪐 㪄㪇㪅㪇㪉㪌 㩿㪈㪅㪇㪐㪀 㩿㪇㪅㪎㪉㪀 㪪㪠㪱㪜 㪇㪅㪇㪇㪍 㪁 㪇㪅㪇㪇㪌 㩿㪈㪅㪏㪏㪀 㩿㪈㪅㪌㪐㪀 㼺㪪㪘㪣㪜 㪇㪅㪇㪇㪊 㪇㪅㪇㪇㪊 㩿㪈㪅㪋㪍㪀 㩿㪈㪅㪌㪉㪀 㪛㪘㪩 㪄㪇㪅㪇㪌㪋 㪁㪁㪁 㪄㪇㪅㪇㪌㪎 㪁㪁㪁 㩿㪉㪅㪐㪐㪀 㩿㪊㪅㪉㪋㪀 㱍 㪇㪅㪇㪐㪏 㪁㪁㪁 㩿㪌㪅㪇㪏㪀 㪺㫆㫉㫇㩷㱍 㪇㪅㪈㪈㪈 㪁㪁㪁 㩿㪌㪅㪍㪈㪀 㫀㫅㪻㩷㱍 㪇㪅㪇㪍㪋 㩿㪈㪅㪍㪇㪀 㱥 㪇㪅㪈㪍㪋 㪁㪁㪁 㪇㪅㪈㪍㪎 㪁㪁㪁 㩿㪉㪅㪏㪉㪀 㩿㪉㪅㪐㪈㪀 㪱㪘㪠㪙㪘㪫㪪㪬 㪇㪅㪇㪇㪇 㪇㪅㪇㪇㪈 㩿㪇㪅㪇㪈㪀 㩿㪇㪅㪇㪌㪀 㪠㫅㪻㫌㫊㫋㫉㫐㩷㪻㫌㫄㫄㫐 㫐㪼㫊 㫐㪼㫊 㪰㪼㪸㫉㩷㪻㫌㫄㫄㫐 㫐㪼㫊 㫐㪼㫊 㪘㪻㫁㪅㩷㪩㪉 㪇㪅㪈㪎㪏 㪇㪅㪈㪎㪊 㪦㪹㫊㪅 㪈㪈㪍㪇 㪈㪈㪏㪊 㱍 㚂૏ᩣਥ䈱ᚲ᦭Ყ₸ 㱥 ⚻༡⠪䈱ᩣᑼᚲ᦭Ყ₸ 㪺㫆㫉㫇㩷㱍 㚂૏ᩣਥ䈏ᴺੱ䈪䈅䉎႐ว䈱㱍 㫀㫅㪻㩷㱍 㚂૏ᩣਥ䈏୘ੱ䈪䈅䉎႐ว䈱㱍 㪱㪘㪠㪙㪘㪫㪪㪬 ⽷㑓䉻䊚䊷 㩿ᵈ䋩䇭䋨䇭䋩ౝ䈱ᢙ୯䈲䌴୯䉕⴫䈜䇯㪁㪁㪁䈲㪈䋦䇮㪁㪁 䈲㪌䋦䇮㪁䈲㪈㪇䋦䈱᦭ᗧ᳓Ḱ䉕䈠䉏䈡䉏⴫䈜䇯 〔表4〕資産成長率に対する所有構造の効果

(14)

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Miyaji-ma, Omi and Saito 2003)。

4 例えば,Odagiri(1992),宮島(2002)。 5 1950年から 1955年の推移には 126社のデー タを使用した。 6 ニッセイ基礎研究所「株式持合い状況調査」 によれば,90年代初頭に 45%であった安定 株主比率は,2002年に27%となった。 7 実際,岡崎(2000)は企業統治における財 閥持株会社の役割を検討し,財閥系企業と非 財閥系企業のROEの比較から,財閥系企業 のROEが有意に高いことを示した。対照的 に,Frankl(1999)は,財閥は子会社の収益 性(ROA)を高めないとしている。 8 ダミー変数を除いた説明変数の推計結果に 対する異常値の効果を考慮して,サンプル平 均より3標準偏差以上乖離した変数は異常値 として欠損値扱いした。 9 もし,経営者が最大の株主である場合,2 番目の大株主がαの対象となる。 10 これらのガバナンス変数の作成にあたって は,主に東洋経済新報社『株式会社年鑑』所 収の大株主リストを使用した。 11 財務データは,三菱経済研究所『本邦事業 成績分析』,東洋経済新報社『株式会社年鑑』 とその他の資料(社史や営業報告書)から得 た。 12 岡崎(2000)のサンプルには金融機関など の非製造業が含まれており,対象産業の相違 が異なる結果をもたらした可能性がある。 13 ただし,これらの先行研究の被説明変数は トービンのQである。 14 転換点よりも高いωの値を持つ企業は 28 年において12社(6.2%)である。 15 転換点よりも高いαの値を持つ企業は 28 年において16社(9%)である。 16 戦前においては,銀行は株主としての機能 を果たさなかった。 17 corpαの2標準偏差の向上がROEを 0.7% 引き上げる一方で,indαの2標準偏差の向 上はROEを0.3%だけ引き上げる。 18 戦後を対象とした分析については,別稿で 扱う予定である。

参照

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