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メロンえそ ( 壊疽 ) 斑点病 (MNSV) による枯死 ( 上右 ) と空洞果 ( 左 ) 写真 : 植松清次氏提供 写真提供 : 江尻勝也氏 ( 農薬ゼミ ) 平井一男氏提供 平井一男氏提供 トビイロウンカによる坪 ( 反 ) 枯れ 2013 年 9 月佐賀県で撮影 ( 写真 :A 氏提供 )

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(1)

農薬の役割と環境影響の実態

市民キャビネット「農薬から農業と環境を考える」フォーラム(2014.7.26 東京) ~農薬使用の現状を学び、未来を語る~

本山直樹

千葉大学名誉教授

元農水省農業資材審議会農薬分科会長

連絡先:[email protected]

2014.7.2撮影

農作物等(ゴルフ場、森林を含む)に使用

病害虫・雑草等の 防除に用いる薬剤 成長調整の薬剤 病害虫防除に 利用する天敵

殺虫剤

殺菌剤

除草剤

誘引剤

交信かく乱剤

など

発根促進剤

着果促進剤

無種子果剤

など

寄生バチ

テントウムシ

カブリダニ類

昆虫ウィルス

など

衛生害虫

不快害虫

非農耕地

食料倉庫

木材保存

、など

を対象に使われる殺虫剤・殺菌剤・除草剤は農薬ではない

農作物は何故保護することが必要か

■ 単純生態系

農耕地は生物多様性の貧弱な人工的な空間な

ので自然の生態系のバランスは存在しない

■ 品種改良

農作物は人間が食べることに適したように育種

で選抜した植物なので進化の過程で獲得して

きた外敵に対する防御物質(

天然毒素

)が除去

されている

写真:清水喜一氏他提供

(2)

メロンえそ(壊疽)斑点病(MNSV) による枯死(上右)と空洞果(左) 写真:植松清次氏提供 (農薬ゼミ) 写真提供:江尻勝也氏 トビイロウンカによる坪(反)枯れ 2013年9月佐賀県で撮影(写真:A氏提供) 平井一男氏提供 斑点米の被害をもたらすカメムシ類 アカスジカスミカメ / アカヒゲミドリカスミカメ / クモヘリカメムシ / ホソハリカメムシ シラホシカメムシ / トゲシラホシカメムシ / オオトゲシラホシカメムシ / ミナミアオカメムシ 〇 畦畔や水田付近の遊休地などの雑草から侵入 〇 移動性が高いので広域防除が必要 写真:清水喜一氏提供 平井一男氏提供

(3)

農薬を使用しないで栽培した場合の病害虫等による減収と出荷金額の減益 「農薬を使用しないで栽培した場合の病害虫等の被害に関する調査報告」 (1993年 日本植物防疫協会) 0 20 40 60 80 100 水稲 小麦 大豆 りんご もも キャベツ ダイコン きゅうり トマト ばれいしょ なす トウモロコシ % 減収率 減益率

昔の除草作業は牛馬のような重労働

(農薬ゼミ) 50.6 17.4 8.4 4.3 2.4 1.7 0 10 20 30 40 50 60 昭和24年 昭和40年 昭和50年 昭和60年 平成2年 平成14年 農林水産省「米生産費調査」より作成 10 ア ー ル 当 り 除 草 労 働 時 間 ( 時 間 )

水稲作における除草労働時間の推移

1949 1965 1975 1985 1990 2002

除草剤は人間を牛馬のような重労働から解放してくれた!

世界の人口の推移

http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/1151.html

(資料)国連World Population Prospects: 2012 Revision

40年間で30億人増加 71億人 >95億人 倍増した人口にどうやって 食料を供給したか?

(4)

世界の穀物の生産量、単収、収穫面積及び耕地面積の推移 資料:FAO 「FAOSTAT 」 注1 :穀物とは「小麦、コメ、大麦、トウモロコシ、ライ麦、オート麦、ミレット、ソルガム、ソバ他」 耕地面積 単収 生産量 1人当たり収穫面積

単位面積当りの収穫量を倍増!

我が国のイネの単収の変遷

■ 古代(平安初期 820年)1.1 t/ha(

1.8俵/10a

■ 明治20年(1880年) 2.0 t/ha(3.3俵/10a)

■ 昭和30年(1955年) 3.3 t/ha(5.5俵/10a)

■ 平成9年(1997年) 5.0 t/ha(8.3俵/10a)

■ 平成20年(2008年) 5.4 t/ha(

9.1俵/10a

(三本 2008)

5倍!

2008年5月21日号 食料 穀物 燃料 (バイオエタノール) 世界の飢餓人口 8億4千2百万人(2013年) 日本の食料自給率 39%(2012年)

安全」な食(Food Safety)とは何か?

食物が衛生的であること

・人への寄生虫や病原菌に汚染されていない ・食べても中毒をおこさない / 癌にならない

食の「安全」(Food Security)とは何か?

食物が必要な量だけあること

世界食料危機時代の「安全」の2つの意味

農薬は両方の「安全」を確保するのに貢献

(5)

作物保護の方法

1. 耕種的防除-

抵抗性品種、栽培時期変更

2. 物理的防除-

光による誘引・忌避、ネットで保護

3. 生物的防除-

天敵、微生物、フェロモン、抵抗性誘導

4. 化学的防除-

農薬散布

5. 遺伝子操作による防除-

殺虫活性物質発現など

IPM(Integrated Pest Management 総合的有害

生物管理)ー個別の方法を合理的に組み合わせ

て有害生物密度を経済的許容水準以下に管理

(現在は、IPM=反農薬・非農薬ではない!)

化学農薬の特徴

メリット

方法が簡単

効果が確実、安定

経済的

デメリット(不適切に使用した場合は)

健康に対する影響

環境負荷

抵抗性の発達

農薬は何故作物保護

の主役か?

IPM

の中心技術か?

農薬が果たしている役割

農作物を病害虫・雑草の害から保護し、

最大収穫量を安定的

に確保

■ 虫食いや傷のない

高品質の収穫物

生産を可能にする

労働生産性

の向上

消費者にとっては?

安全でおいしい農作物やその加工食品が

安価に入手できる

(6)

農薬の登録制度

農薬製造業者 薬効、薬害試験 毒性、残留性試験 新規化合物 予備テスト 製造技術 品質管理法 確立 薬効、薬害、毒性、残留性 などについての検査 農林水産省

毒物、劇物の指定 残留農薬基準の設定 環境影響の評価 厚生労働省・環境省・消費者庁 一日摂取許容量(ADI)の設定 内閣府・食品安全委員会

安 全 な 使 用 方 法 の 設 定 総 合 的 に 検 討

農薬の安全性はどう確保されているか

農薬登録に必要な安全性に関する試験

急性経口毒性 急性経皮毒性 急性神経毒性 急性吸入毒性 急性遅発性神経毒性 眼刺激性 皮膚刺激性 皮膚感作性 90日間反復経口投与毒性 1年間反復経口投与毒性 90日間反復吸入毒性 28日間反復投与遅発性神経毒性 21日間反復経皮投与毒性 反復経口投与神経毒性 発がん性 催奇形性 変異原性 繁殖毒性 生体機能影響 動物体内運命 魚類急性毒性 ミジンコ類急性毒性 藻類生長阻害 鳥類影響 ミツバチ影響 蚕影響 天敵昆虫影響 土壌残留性 土壌中運命 作物残留性 植物体内運命 水質汚濁性 水中運命 物理化学的性 強制経口投与 粉末飼料給餌缶 鼻部暴露吸入チャンバー 全身暴露チャンバー (真板敬三氏提供)

次世代影響試験

繁殖毒性試験<次世代影響の試験 >

農薬投与 農薬投与 授乳 農薬投与 農薬投与 授乳 農薬投与 1世代 2世代 3世代 人間年数 約15年 人間年数 約30年 人間年数 約20年 この試験で、胎児、乳児、性比、発育、行動(情緒)、 繁殖能力、などへの影響も検査される (農薬ゼミ)

(7)

一日摂取許容量(ADI)の設定

ヒトが毎日一生涯摂取し続けても安全な量(mg/kgヒト体重/日)

残留基準の設定

各作物(食品)ごとに許容される残留濃度(ppm) 全作物を通しての合計摂取量が << ADI(mg/kgヒト体重/日)×平均体重(53.3kg)

使用基準の設定

収穫時の残留濃度が基準値を超えないような使用方法 適用作物 / 適用病害虫 / 使用濃度(希釈倍数) / 使用液量 / 使用時期 / 総使用回数

農産物中の残留農薬検査結果(厚労省)

2008年度

検査数

3,455,719件

農薬検出数

8,704件(0.28%)

基準値を超えた数 417件(0.0012%)

99.999%

に残留農薬による食の安全の問題はない!

基準値違反の健康リスクはどれくらいか(例)

フェンプロパトリン 0.06ppm ( 基準値: 0.03ppm)

中国産のしいたけから検出

フェンプロパトリンのADI : 0.03 mg/kg/日

ADI x 53.3kg=1.6mg/人/日

0.06ppm=0.06mg/kg しいたけ

1.6/0.06=

27kg しいたけ/人/日

現実的には

あり得ない !

厚労省:“このしいたけを食べてもさしあたって健康に影響はない” 1 2 3 5 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 4 6 調査地:水田の用・排水路20 箇所 田植え: 4月下旬~5月上旬 調査期間:4/28~7/31(2001年) 4/27~6/1 (2002年)

茨城県北浦周辺の水田用・排水路の農薬濃度の実態調査

(8)

用・排水路の水から検出された農薬(2001年)

調査

地点

検出日

農薬名

検出

濃度

(ppb)

環境水中

基準値

(ppb)

3

5/15

フェノブカルブ (殺虫剤)

0.65

200

7

5/15

エスプロカルブ (除草剤)

0.8

100

5/20

0.2

20

4/28

テニルクロール (除草剤)

0.13

2,000

底質中のジメタメトリン(除草剤)の消長 (2002年)

横軸:リテンションタイム 212:フラグメントイオン 5/4 5/11 5/18 0 5 10 15 4/27 5/4 5/11 5/18 5/25 6/1 検出濃度 (μg/kg 乾土) 調査地点13 供試生物と処理時間 ・ ミジンコ (Daphnia pulex) (甲殻類) -3 時間後の遊泳阻害数 ・ ヒメダカ (Oryzias latipes) (魚類) -24 時間後の死亡個体数

用・排水路の水(20地点×6週=120サンプル)の

非標的生物に対する毒性(2002年)

毒性を示した試料水はなかった

千葉県香取郡山田町(現・香取市山田区)

における農薬の空中散布が生態系に及ぼす影響

(この研究は2001年~2006年の6年間継続実施)

堰に隣接する水田での空中散布 散布直下の仁良川

(9)

仁良川から検出された散布薬剤の最高濃度

(2002年)

農薬名 検出された 最高濃度 (ppb) 環境水中 基準値 (ppb) コイに対する LC50 (ppm) ジクロメジン (殺菌剤)

3.7

1,000

11.9

フサライド (殺菌剤)

1.9

500

>320

シラフル オフェン (殺虫剤)

0.45

3,000

>1,000

水生生物調査風景

空中散布前後の生物密度の変化

(2002年:仁良川サイト1)

生物群

捕獲個体数/10m

7/13

7/17

7/20

7/25

8/5

魚 類

130

136

115

133

101

甲殻類

14

7

6

9

7

両生類

2

4

7

31

39

昆虫類

0

0

1

2

0

貝 類

0

0

0

0

1

146

147

129

175

148

7/19 空散実施

田部地区の小水路

(10)

調査区

捕獲個体数/5m

7/14

7/19

7/25(除草後)

1

441

405

46

2

256

459

71

3

389

318

686

平均

362

394

268

7/18 空散実施

空中散布前後のメダカ密度の変化

(2002年:田部地区小水路)

除草後

除草前

水草を抜かれた小水路のメダカは

水草の残っているところに移動した!

2

2002年

10. 11号

暗渠排水

(11)

ポンプで汲み上げた井水を供給する給水栓

ゲンジボタルが生息する水路

• 素掘りの水路(水草・カワニナが発生) • 湧水で年間を通して水がある • 家庭雑排水で汚染されていない

コンクリート3面張り

のU字溝

メダカやホトケドジョウやゲンジボタルが少

なくなった本当の原因は?

1. 水田用・排水路がコンクリート3面張りのU字溝

になった

2. 灌漑水の供給停止による水路の干上がり

3. 暗渠排水設備の普及による水田の乾田化

4. ため池その他の自然湿地の埋め立て・宅地化

5. 家庭の一般雑排水(洗剤を含む)による水路

の汚染

生物の生息環境の悪化

安曇野(アズミノ)市明科(アカシナ)(旧穂高町)のワサビ小屋とワサビ田 この写真:坂 健一氏提供

(12)

アリルイソチオシアネート(AIT)の2面性

• ワサビなどアブラナ科植物に含まれる揮発性の辛味成分 • 植物体内では配糖体シニグリンとして存在 • ミロシナーゼで分解されてアリルイソチオシアネートになる [効能] • 消化液の分泌を高め食物の消化や吸収をよくする • 抗菌作用・殺虫活性・抗ガン作用・抗酸化作用・脳血流改善作用 [有害性] • ラット経口LD50 112mg/kg 経皮LD50 88mg/kg [商品例] • ワサオーロ®(ミドリ十字) • War Gas

CH

2

=CH-CH

2

-NCS

Allyl Isothiocyanate

( 570mg/kg 890mg/kg フェニトロチオン) (>5,000mg/kg >2,000mg/kg ジノテフラン)

現状で環境影響に大きな問題はない

農薬は、最も安全性が確認された、費用

対効果の高い作物保護資材なので、リ

スク管理をしつつ適正に使用して食料生

産確保に前向きに

活用するべき

まとめ

参考資料

(13)

農薬不信はいつから始まったか?

1945年(昭20) 終戦 1948年(昭23) 農薬取締法制定 1952年(昭27) パラチオン登録 1962年(昭37) R・カーソン「沈黙の春」出版 1965年(昭40) 米の自給達成 1970年(昭45) 水田の減反開始 1971年(昭46) 農薬取締法大改正 1975年(昭50) 有吉佐和子「複合汚染」出版 1992年(平4) 環境保全型農業推進 1997年(平9) T・コルボーンら「奪われし未来」出版 2002年(平14) 無登録農薬横行問題露見 2003年(平15) 農薬取締法一部改正 2006年(平18) ポジティブリスト制度導入 2006年(平18) 有機農業推進法制定 2008年(平20) 輸入冷凍ギョーザ殺虫剤混入事件 2013年(平25) 国産冷凍コロッケ農薬混入事件 食品 テロ

(農薬バッシングの原因)

① 刷り込まれている過去の農薬の悪いイメージ

② 農薬批判を自己利益のために利用する人が

いる

・ 自分の商品の差別化

・ 視聴率・購読者数・研究費かせぎ

・ 反農薬活動自体が目的化

現在の農薬に対する消費者の理解不足

使用禁止になった過去の農薬の例

• DDT(殺虫剤):環境中に長期間残留・生態影響

• BHC(殺虫剤):生物濃縮性が高く、食物連鎖

で母乳からも検出

• クロールデン(殺虫剤):環境中に長期間残留

• 有機水銀剤(殺菌剤):作物に移行・残留

• PCP(除草剤):魚介類に対する毒性

• CNP(除草剤):ヒトに対する発がん性の疑い?

• パラチオン(殺虫剤):ヒトに対する急性毒性

農薬の使用拡大や科学の進歩で未知の

毒性や影響が明らかになる場合もある!

(現代資料出版) 米軍兵士による DDTの人体への 直接散布 DDTはマラリア 防除で600万人 以上の人類の 命を救ったと推 定される(WHO)

(14)

パラチオン中毒統計(厚生省薬務局薬事課)

(パラチオン研究会10年のあゆみ 1963年) 死 亡 年度 死亡に至らぬ中毒 散布および取扱 自(他)殺 1952(昭27) 1953(昭28) 1954(昭29) 1955(昭30) 1956(昭31) 1957(昭32) 1958(昭33) 1959(昭34) 1960(昭35) 1961(昭36) 1962(昭37) 106 1,564 1,887 899 706 570 816 484 537 564 304 - 70 70 48 86 29 35 26 26+1*** 21+11*** 20+5*** 5 121 237 462 (900)* 519+(10)** 522+(40)** 470+(32)** 468+(39)** 470+(32)** 420+(20)** * ほかの有機燐剤による自殺を含む ** ( )内は自殺・他殺未遂 *** +の後の数字は散布以外の原因による死亡 パラチオンは稲の大害虫 ニカメイガの防除に卓効を 発揮して食料生産に貢献

農薬の進歩

殺虫剤 LD50(mg/kg) 選択係数 A/B ラット A イエバエ B (パラチオン) 2 0.9 2 (p,p’-DDT) 118 2 59 フェニトロチオン 570 2.3 248 ペルメトリン 1,500 0.7 2,143 マラチオン 2,800 4 700

哺乳動物(ラット)と昆虫(イエバエ)間の選択毒性

植 物 抽 出 液 ・ 漢 方 で ム シ ・ 病 気 退 治 現代農業 1994年 (平成6年)6月号

日本農業新聞

日本農業新聞1994年 (平成6年)8月25日 シペルメトリン 合成ピレスロイド 劇物 マウスLD50 138mg/Kg 魚毒性C類

1994年

20年前

(15)

(2000.7.15 作成) (2005.11.16 改訂) 朝日新聞 2007年 (平成19年)11月22日

2007年

アバメクチン

1300~1600ppm

447農薬

検出されず

計量証明事

業所

青森県

登録番号第

73号(濃度)

(2007年)

アバメクチン

検出されず

(16)

放線菌が生産するマクロライド系抗生物質殺虫剤

B1a(80%以上)とB1b(20%以下)から成る混合物

魚毒性C類

LD50:

ラット 10.0 mg/kg

(毒物相当)

海外では登録があるが日本では無登録(2007年当時)

B1a: H C2H5 H B1b: H CH3 H R1 R2 R3

アバメクチン

↙ ↓ ↖

• 研究室に持ち込まれた有機農業用防除資材

は、防除活性のないものがほとんどであった

• 防除活性を示した資材で分析に供したものに

は、例外なく農薬が混入されていた

• 登録農薬と違って、使用基準のないそのよう

な資材の使用は、

散布作業者

にとっても、

費者

にとっても、

環境

にとっても危険である

*1990年代の有機農業用資材には化学合成農薬が混入

「夢草」「碧露」「健草源・天」「ナースグリーン」 「ムシコロ」 -シペルメトリン(殺虫剤) 「ニュームシギエ」 -デルタメスリン(殺虫剤) 「健草源・空」 -トリアジメホン(殺菌剤) 「健草源・地」 -オキサジアゾン(除草剤)

*2000年代の有機農業用資材には生物由来農薬が混入

「アグリクール」 -アバメクチン(殺虫剤) 「スプレータイプNEW碧露」 -ピレトリン他(殺虫剤) 「乳剤タイプNEW碧露」 -ロテノン他(殺虫剤) 「ニームオイル」 -アバメクチン(殺虫剤)

有機農業用防除資材に関する教訓

■ 資材製造工程説明書は信用できない

■ 農薬分析結果証明書は必ずしも農薬が

混入されていない証明にはならない

その分析条件では検出されないだけ

「不検出」

「存在しない」

■ 疑義資材は、先ず農薬的活性があるか検査

活性があれば天然由来でも安全とは限らない!

活性がなければ何の効果もない詐欺商品!

(17)

無農薬・有機栽培の安全神話?

■ リンゴのアレルゲンタンパク質(リンゴアレル

ギー患者血清IgE結合タンパク質)

無農薬栽培 › 減農薬栽培 › 慣行防除

■ 枝豆における花粉症の原因物質(アレルゲン)

無農薬栽培(虫食い)>慣行防除

■ トウモロコシに発生するかび毒アフラトキシン

無農薬栽培(虫食い)>慣行防除

農薬使用・

不使用と

りんごの

状況

A.慣行防除区

B.省略防除区

C.完全無防除区

(無農薬栽培)

被害なし 被害小 被害大 (森山ら 2005) リンゴ・アレルゲンと農薬5

アレルゲン候補分子

の発現量は無農薬

栽培リンゴほど高い!

0 100 200 300 400 500 (% B 省略防除 (被害小) A 慣行防除 (被害なし) C 無防除 (被害大) ※A(病害なし)の値を100とした場合の増加率

りんごアレルギー患者の血清IgE結合タンパク質

(アレルゲン候補分子)の発現量比較

(森山ら 2005)

無農薬・有機栽培の安全神話?

病原性微生物による汚染

堆肥を使った有機栽培>慣行栽培

■ 毒性物質・

発がん性物質摂取量

作物由来天然物 ›› 作物残留農薬

病害虫が加害した作物 › 慣行防除作物

野生(耐虫性・耐病性)種 › 普通栽培種

(18)

有機栽培野菜 から食中毒の 原因となるサル モネラや病原性 大腸菌O-157や バンコマイシン 耐性腸球菌 (VRE)を検出 朝日新聞(夕刊) 2008年7月16日 日本農業新聞 2011年(平成23年6月27日 ドイツの有機 農家が栽培し たスプラウト が感染源で あることが突 き止められた 腸管出血性 大腸菌O-104 370人が感染 42人が死亡! 食品名 天然毒素 含有量(ppm) セロリ ソラーレン 25ppm からし イソチオシアネート 16,000-72,000ppm コーヒー カフェイン酸 1,000ppm以上 バジル エストラゴール 3,800ppm 農薬名 対象作物名 残留農薬基準(ppm) 殺虫剤「アセフェート」 キャベツ、白菜、トマト等 5ppm 殺虫剤「フェニトロチオン」 大根、レタス、トマト等 5ppm 殺菌剤「イミノクタジン」 キャベツ、白菜等 2ppm 殺菌剤「フルアジナム」 リンゴ等 5ppm 除草剤「ビフェノックス」 米、小麦、大麦等 0.1ppm 除草剤「トリフルラリン」 米、白菜、キュウリ等 2ppm 食品中にもともと含まれている天然毒素の例 作物の残留農薬基準値の例

毒物摂取量の99.99%は天然物由来!

Ames, B.N. et al(1990) Dietary pesticides (99.99% All natural), Natl. Acad. Sci. USA, 87:7777

有機栽培農産物と慣行栽培農産物の比較

■ 残留農薬の安全性-

違いがない

■ 栄養価値-

違いがない

英食品基準庁の委託によるロンドン大学

チームの研究-過去50年間の162論文の検証

国立医薬品食品衛生研究所畝山智香子主任研究官のコラム

http://www.foocom.net/fs/uneyama/2539/

■ 嗜好性、風味、苦味、甘味-

違いがない

米カンサス州立大学 グループの研究

Zhao, X. et al (2007): J. Food Sci. 72(2), S87-S91

100人(18~60才)を対象の官能試験

(19)

ジノテフランとクロチアニジンの蜂群に及ぼす影響

山田敏郎、山田和子、和田直樹 金沢大学理工研究域自然システム学系 この研究でCCD(蜂群崩壊症候群)とネオニコチノイド剤との関係は証明されたか?

山田ら(2012)の研究の概要

• ジノテフランとクロチアニジンの実用散布液濃度の

1/100(低濃度区)、1/50(中濃度区)、1/10(高濃度

区)の濃度になるように餌に混入して、野外に設置

した巣箱の中に入れて長期間自由に摂取させた。

餌は薬剤濃度が変わらないように新しいものと取り

替えた。

• 高濃度区では短期間で急性毒性の影響が発現した

が、低濃度区では徐々に蜂数が減少し約3ケ月後に

コロニーは消滅した。

• ネオニコチノイド剤がCCDを通して蜂群消滅をもたら

すことを初めて明らかにしたと考察。

CCD(Colony Collapse Disorder)

蜂群崩壊症候群とは?

• 餌、幼虫、女王蜂を維持した状態でミツバチ成蜂が消失する現象 • アメリカやヨーロッパで発生 • 過去(1896年)にも同様の大量失踪現象の報告 • 原因は不明 ミツバチヘギイタダニ説、イスラエル急性麻痺ウィルス (IAPV)説、長距離輸送によるストレス説、 密源植物減少による栄養不足説、 電磁波説、遺伝子組み換え作物説、 ネオニコチノイド系殺虫剤説、 複数要因相乗説、など ミ イイミ ダ チアクロプリド(2001年) イミダクロプリド(1992年) アセタミプリド(1995年) ニテンピラム(1995年) チアメトキサム(2000年) クロチアニジン(2001年) ジノテフラン(2002年) 佐藤・宮本(2006)から * *† * ミツバチに低毒性 * EUが規制決定 † † 山田ら(2012)の研究で供試

(20)

ネオニコチノイド剤 (製剤名の例) 2006 2007 2008 2009 2010 2011 イミダクロプリド (アドマイヤー) 78 84 75 70 69 68 アセタミプリド (モスピラン、マツグリーン) 53 61 73 53 50 47 ニテンピラム (ベストガード) 8 9 8 8 8 7 チアメトキサム (アクタラ) 33.5 34.2 34.5 34.9 37.8 38.2 チアクロプリド (バリアード、エコワン) 20 21 24 21 19 16 クロチアニジン (ダントツ、モリエート) 90 100 100 118 114 111 ジノテフラン (スタークル、アルバリン) 132 146 163 168 171 165 計 414.5 455.2 477.5 472.9 468.8 452.2

ネオニコチノイド剤の日本国内の年度別原体出荷量(t)

(メーカー資料) ネオニコチノイド剤 (製剤名の例) ラットLD50(mg/kg)1) 経口 経皮 ミツバチLD50(ng/bee)2) 経口 経皮 イミダクロプリド (アドマイヤー) 440♂ 410♀ >5,000♂♀ 3.7 81 17.9* アセタミプリド (モスピラン) 217♂ 146♀ >2,000♂♀ 14,500 8,100 7,070* ニテンピラム (ベストガード) 1,680♂ 1,575♀ >2,000♂♀ 61) 70.71) 138* チアメトキサム (アクタラ) 1,563♂ 1,563♀ >2,000♂♀ 5 24 29.9* チアクロプリド (バリアード) 836♂† 444♀† >2,000♂♀† 17,320 38,830 14,600* クロチアニジン (ダントツ) >5,000♂ >5,000♀ >2,000♂♀ 3.79 44.3 21.8* ジノテフラン (スタークル) >5,000♂ >5,000♀ >2,000♂♀ 23 141) 47 75.0*, 1091) エトフェンプロックス3) (トレボン) 42,880♂ 42,880♀ >2,140♂♀ 1,433 1) 311) ネオニコチノイド剤のラットとミツバチに対する毒性

1)農薬抄録 2)FERE Report (2013) 3)合成ピレスロイド剤 *Iwasa et al (2003) BCS社(2013)

山田ら(2012)の実験の供試濃度 ミツバチの一日当り摂餌(糖)量(EFSA Guidance) 32-128mg(平均80mg)/bee/day (forager) 34-50mg(平均42mg)/bee/day (nurse) 山田ら(2012)の実験 [クロチアニジン] 実用散布液濃度40ppmの1/100(低濃度)として0.4ppm餌に混入 0.4ppm=0.4mg/kg=0.4ng/mg ミツバチによるクロチアニジン摂取量 0.4x80=32ng/bee/day クロチアニジンの急性経口毒性(LD50) 3.79ng/bee [ジノテフラン] 実用散布液濃度100ppmの1/100(低濃度)として1ppm餌に混入 1ppm=1mg/kg=1ng/mg ミツバチによるジノテフラン摂取量 1x80=80ng/bee/day ジノテフランの急性経口毒性(LD50) 14ng又は23ng/bee 実験で投与した薬量は各々の薬剤の急性毒性による致死量!

ミツバチの飼養蜂群数の推移

0 50 100 150 200 250 300 350 400 年(西暦) み つ ば ち 群 数   み つ 源 面 積 ×1,000群 ×1,000 ha 85 90 95 00 06 07 08 09 10 11 日本では過去 10年間の飼養 蜂群数は減少 していない 「養蜂をめぐる情勢」、農林水産省生産局畜産部、平成24年8月の資料から引用 ミツバチ群数 ■:×1,000群 密源面積 ■:×1,000 ha 密源植物面積 は激減してい る

(21)

飼養コロニー数 ×100万 相対的な割合 1985 7.016 100 1990 7.483 107 1995 6.390 91 2000 7.598 108 2006 8.480 121 2007 8.573 122 2008 8.771 125 2009 8.777 125 2010 8.777 125 2011 8.947 128 2012 8.20 117

中国における飼養蜜蜂コロニー数の推移

資料:FAO *中国政府資料

中国でもCCDは起こっていない!

ネオニコチノイド剤とミツバチに関する最近の文献

中村 純・木村 澄・高橋純一・眞鍋 昇(2014) ネオニコチノイドに関する山田論文の問題点について 現代科学 2014年1月号 p.67-68

木村 澄(2014) ミツバチは不足しているのか? 現代科学 2014年5月号 p.52-55

日本生活協同組合連合会 「ネオニコチノイド系農薬の健康影響・環境影響に関する 調査結果と日本生協連の考え方」 2014年5月 http://jccu.coop/food-safety/qa/qa03_04.html

(独)農研機構・(独)農業環境技術研究所 「夏季に北日本水田地帯で発生が見られる巣箱周辺でのミツ バチへい死の原因について」 平成26年7月18日 http://www.niaes.affrc.go.jp/techdoc/press/140718/

(22)

ネオニコチノイド剤は殺虫剤なので、他の

殺虫剤と同様に、ミツバチに曝露すれば

大量死事故は起こり得る

生産者(農家)と養蜂業者のコミュニケー

ションをよくして、散布直後の農耕地への

ミツバチ放飼を避けて、事故を防ぐことが

必要

ミツバチに対して影響があるので、以下のこと

に注意してください。

• ミツバチの巣箱およびその周辺に飛散するお

それがある場合には使用しないでください。

• 養蜂がおこなわれている地区や受粉などを

目的としてミチバチ等を放飼している地区で

使用する場合は、関係機関(都道府県の畜

産部局や病害虫防除所等)への連絡をし、ミ

ツバチ等の危害防止に努めてください。

注意書き

(ジノテフランの例)

黒木登志夫「がんの原因」

(暮らしの手帖 1990年4・5月号)

農薬のリスクは著しく低い!

• ゴルフ場の松くい虫防除で薬剤散布を予告し

た日時に、約10Km離れたところの化学物質過

敏症の女性2人から体調が悪化したので散布

を中止してほしいという要請があった

• 実際は、現場は降雨のため当日の散布は実施

されていなかった

農薬散布を止めさせるための仮病?

散布を想像するだけで実際に体調が悪化?

化学物質過敏症→

化学物質恐怖症?

農薬によるとする健康被害の訴えは

曝露とは無関係に行われている?

(23)

Multiple Chemical Sensitivity (MCS) 化学物質過敏症に関する論文

• Bornschein et al (2008) Double-blind placebo-controlled provocation study in patients with subjective multiple chemical sensitivity (MCS) and mathched controlled subjects. Clinical Toxicology 46:443-449

• Das-Munshi et al (2006) Miltiple chemical sensitivities: A systematic review of provocation stdies.

J. Allergy Clin. Immunol. 118(6):1257-1264

• S. Barrett (1998) A close look at multiple chemical sensitivities. In “Chemical Sensitivities: The Truth about Environmental Illness” • C. Wolf (1994) Multiple chemical sensitivities. Is there a scientific

bases? Int. Arch. Occup. Environ. Health 66:213-216

化学物質過敏症はpsychosomatic disorder

(精神的ストレスで発症する体調不良)

MPI(Mass Psychogenic Illness) 精神的体調不良集団発症に関する論文 • H. Staudenmayer et al (2011): Mass psychogenic illness:

psychological predisposition and iatroghenic pseudo-vocal cord dysfunction and pseudo-reactive airways disease syndrome. J. Med. Toxicol. DOI 10.1007/s13181-011-0136-8

• L.A. Page et al (2010): Frequency and predictors of mass psychogenic illness. Epidemiol. 21(5):744-747

• W. Lorber (2007): Illness by suggestion: expectancy, modeling, and gender in the production of psychosomatic symptoms. Ann. Behavior. Med. 33(1):112-116

• T.F. Jones et al (2000): Mass psychogenic illness attributed to toxic exposure at a high school. N. Engl. J. Med. 342(2):96-100

Epidemic (or Mass) Hysteria 流行性(又は、集団的)ヒステリー 環境要因関与の証拠はなくても、毒性物質への暴露を想像する ことで起こる精神的体調不良、流行性、特に女性に多く発症

参照

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