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80 の選挙の総称が中間選挙だ 10 月22 日時点の選挙情勢では 下院は民主党 上院は共和党に引き続き勢いがあるようだ 下院では過半数を得た多数派政党が議院運営の全般を掌握する議長を輩出し 各委員会の委員長も独占する 民主党が過半数を占めれば ロシア疑惑をめぐる調査権限の行使や 大統領を罷免できる

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アジア時報 11月 6 日 の 米 中 間 選 挙 を 直 前 に 控 え、 ト ラ ン プ 米 大 統 領 の 精 力 的 な 活 動 が い よ い よ 際 立 っ て い る。 共 和 党 候 補 の 応 援 に 全 米 を 回 っ て 支 持 者 ら を 奮 い 立 た せ る 演 説 は、 2 0 1 6 年 大 統 領 選 の 最 終 盤 の 盛 り 上 が り を 彷 彿 と さ せ る。 難 民 の 制 限 や 中 距 離 核 戦 力( I N F ) 全 廃 条 約 の 破 棄 な ど 既 存 の 秩 序 を 破 壊 す る 政 策 の 連 打 は、 批 判 を も の と も し な い 挑 発 的 な 政 治 ス タ イ ル を 改 め て 印 象 付 け て い る。 も し、 下 院 で の 議 席 減 を 最 小 限 に と ど め、 上 院 の 過 半 数 を 維 持 で き れ ば、 2 0 2 0 年 次 期 大 統 領 選 へ の 明 確 な 布 石 に な る ――。 「 共 和 党 逆 風 」 と 言 わ れ る な か、 「 ト ラ ン プ 流 」 を 貫く強気の姿勢で形勢を逆転させることができるのか。

下院は民主、上院は共和の流れ

4 年 ご と の 大 統 領 選 の 中 間 年 に 行 わ れ る 連 邦 議 会( 下 院 は 定 員 4 3 5 人 全 員、 上 院 は 定 員 1 0 0 人 の ほ ぼ 3 分 の 1 が 改 選、 今 回 は 35議 席 )、 州 知 事、 州 議 会 や 地 方 議 会 な ど

おいかわ

 

まさや

(毎

新聞論説副委員長)

トランプ

政権

定 点

観 測

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10月 22日時点の選挙情勢では、 上院は共和党に引き続き勢いがあるようだ。 院 で は 過 半 数 を 得 た 多 数 派 政 党 が 議 院 運 営 の 全 般 を 掌 握 る 議 長 を 輩 出 し、 各 委 員 会 の 委 員 長 も 独 占 す る。 民 主 党 過 半 数 を 占 め れ ば、 ロ シ ア 疑 惑 を め ぐ る 調 査 権 限 の 行 使 選 挙 区 ご と の 情 勢 を「 確 実 」「 優 勢 」「 や や 優 勢 」「 拮 抗 」 に 分 類 し た 米 政 治 メ デ ィ ア「 ポ リ テ ィ コ 」 の 10月 22日 時 点 の 分 析 に よ る と、 与 党・ 共 和 党 は「 確 実 」 1 3 5、 「 優 勢 」 37、「 や や 優 勢 」 28の 計 2 0 0 議 席 で 優 位。 一 方、 野 党・ 民 主 党 は「 確 実 」 1 7 2、 「 優 勢 」 20、「 や や 優 勢 」 17の 計 2 0 9 議 席 で 優 位 だ。 過 半 数 は 2 1 8 で、 共 和 党 は あ と 18 議席、民主党はあと9議席を得れば過半数に到達する。 そ こ で 重 要 に な る の が、 勢 い が 拮 抗 す る 激 戦 区 と 呼 ば れ る 選 挙 区 だ。 ポ リ テ ィ コ の 分 析 で は 26選 挙 区 あ る が、 このうち、 与党 ・ 共和党の現有議席が 23、 野党 ・ 民 主 党 の 現 有 議 席 が 3 で、 共 和 党 が 苦 し い 戦 い を 強 い ら れ て い る の が わ か る。 ビ ッ グ デ ー タ を 駆 使 し た 選 挙 結 果 予 測 サ イ ト「 フ ァ イ ブ サ ー テ ィ ー エ イ ト( 5 3 8) 」 の 22日 現 在 の 予 測 で は、 民 主 党 が 下 院 を 奪 還 す る 確 率 を「 85・ 1 %」 と 弾 い て い る。 6日時点の「 74・ 1%」よりも 10ポイント以上上昇 し て お り、 最 終 盤 に な っ て、 民 主 党 が 勢 い を 強 め ている。 し か し、 2 0 1 6 年 の 事 前 の 世 論 調 査 で は 民 主 党 の ヒ ラ リ ー・ ク リ ン ト ン 氏 の 支 持 率 が 高 く、 結 果 も 全 米 の 投 票 総 数 の 比 較 で は ク リ ン ト ン 氏 が 共 和 党 の ド ナ ル ド・ ト ラ ン プ 氏 を 上 回 っ た が、 各 州 に 振 り 分 け ら れ た 選 挙 人 の 獲 得 競 争 と い う 米 大 統 領 選 特 有 の シ ス テ ム に よ っ て、 結 果 的 に は ト ラ ン

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アジア時報 プ 氏 が 勝 利 す る 波 乱 が 起 き た。 今 回 は 中 間 選 挙 と は い え、 当 日 ま で 勝 敗 は わ か ら な い の が 現 実 だ ろ う。 そ れ だ け に、 ト ラ ン プ 大 統 領 が ま だ 奮 闘 す る 余 地 が あ る、 と い う こ と な のだろうか。その張り切りぶりが目立つ。

「トランプ流」選挙戦術が全開

中 間 選 挙 は 現 職 大 統 領 や 政 権 へ の「 信 任 投 票 」 の 色 合 い が 濃 い。 今 回 は、 ト ラ ン プ 政 権 へ の 審 判 と な る わ け だ が、 従 来 の 傾 向 で は 与 党 が 議 席 を 減 ら す の が 常 だ。 だ か ら、 よ ほ ど の 自 信 が な い 限 り、 ホ ワ イ ト ハ ウ ス で 身 を す く め、 選 挙 戦 か ら 距 離 を 置 い て 責 任 回 避 に 走 る の が 普 通 だ。 だ が、 ト ラ ン プ 氏 に は 通 じ な い よ う だ。 10月 だ け で 10回 以 上 も 選 挙 応 援 の た め に 地 方 を 飛 び 回 る。 空 港 で は 記 者 団 の 質 問 に も 意 気 揚 々 と 答 え、 「 I N F 離 脱 方 針 」 も 記 者 団 と の や り と り の 中 で 飛 び 出 し た。 米 ワ シ ン ト ン・ ポ ス ト 紙 の コ ラ ム ニ ス ト、 ダ ン・ ボ ル ズ 氏 は「 記 憶 す る 限 り、 中 間 選 挙 で ト ラ ン プ 氏 の よ う な 行 動 に 出 た 現 代 の 大 統 領 は い な い 」 と 指 摘している。どういうことか。 不 法 移 民 へ の 強 制 措 置、 環 太 平 洋 パ ー ト ナ ー シ ッ プ 協 定 ( T P P ) や パ リ 協 定、 い く つ も の 国 際 機 関 か ら の 脱 退、 中国だけでなくカナダやメキシコ、 日本や欧州連合(EU) な ど 同 盟 国 を 相 手 に し た 貿 易 戦 争・ 摩 擦、 ロ シ ア 捜 査 を め ぐる司法省や連邦捜査局 (FBI) など行政機関との対立、 急 転 直 下 の 米 朝 首 脳 会 談 開 催 と 在 韓 米 軍 撤 退 示 唆 な ど 軍 の 在 外 駐 留 展 開 へ の 消 極 的 姿 勢、 大 統 領 に 似 つ か わ し く な い 数々のスキャンダル…。 米 国 が 築 き 上 げ て き た 国 内 や 世 界 の リ ベ ラ ル な 秩 序 を 次 々 と 崩 壊 さ せ ん ば か り の ト ラ ン プ 氏 の 政 策 は、 ト ラ ン プ 氏 に 責 任 が あ り、 そ の 審 判 を 受 け る の は、 ま さ に ト ラ ン プ 氏 で あ る。 ト ラ ン プ 氏 に も そ う い う 意 識 が あ る か ら こ そ、 支 持 率 が 不 支 持 率 を 下 回 っ て 40% 台 に 低 迷 し な が ら も、 火 中 の 栗 を 拾 う が ご と く 選 挙 戦 に 参 戦 し、 む し ろ 独 壇 場 と し ている。 「共和党の選挙ではなく、 トランプ氏のための選挙」 と位置付けているからにほかならない。 ト ラ ン プ 氏 は 10月 2 日、 南 部 ミ シ シ ッ ピ 州 で の 演 説 で こ う 呼 び か け た と い う。 「 私 自 身 が 選 挙 に 出 て い る わ け で は な い が、 あ る 意 味、 出 て い る よ う な も の だ。 だ か ら 投 票 に 行 っ て ほ し い 」。 中 間 選 挙 の 投 票 率 は 一 般 的 に 低 く、 前 回 は 36・ 4 % に と ど ま る。 政 権 に 不 満 を 感 じ て い る 人 が よ り 投 票 に 行 く 動 機 付 け を 持 っ て い る。 ト ラ ン プ 氏 に と っ て は ど れ だ け 熱 烈 な 支 持 者 を 動 員 で き る か が ポ イ ン ト と な る。 全国遊説はその起爆剤とする狙いがある。

メディア批判も「健在」

例えば、 10月 18日の西部モンタナ州ミズーラでの演説だ。 「 ボ デ ィ ス ラ ム が で き る や つ は だ れ だ っ て、 私 の お 気 に 入

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り だ よ 」。 ト ラ ン プ 氏 が こ う 言 っ て 称 賛 し た の は、 モ ン タ ナ全州区の共和党現職グレッグ ・ ジアンフォルテ氏 ( 57)だ。 ボ デ ィ ス ラ ム と い え ば、 人 を 持 ち 上 げ て 放 り 投 げ る プ ロ レ スの荒業。それをほめたたえるとはどういうことか。 ジ ア ン フ ォ ル テ 氏 は 2 0 1 7 年 5 月 の 下 院 補 選 で 当 選 し た が、 投 票 日 前 日 に 英 ガ ー デ ィ ア ン 紙 の 記 者 に 暴 力 を ふ る っ た 映 像 が 流 れ、 批 判 を 浴 び た。 ジ ア ン フ ォ ル テ 氏 は 裁 判 で 暴 行 の 事 実 を 認 め、 同 年 6 月 12日 に 40時 間 の 社 会 奉 仕 と 20時 間 の ア ン ガ ー マ ネ ジ メ ン ト 講 習、 1 8 0 日 の 宣 告 猶 予、 3 0 0 ド ル の 罰 金 な ど を 言 い 渡 さ れ た。 そ し て 6 月 21 日 に 正 式 に 下 院 議 員 に 就 任 し た 経 過 が あ る。 だ が、 こ の 演 説 は、 サ ウ ジ ア ラ ビ ア 政 府 を 米 国 批 判 す る 米 国 在 住 の サ ウ ジ 人 記 者 ジ ャ マ ル・ カ シ ョ ギ 氏( 59) が 行 方 不 明 に な り、 サ ウ ジ 側 に 殺 害 さ れ た の で は な い か と 国 際 的 に 問 題 に な っ ていたときに重なった。ジアンフォルテ氏への称賛は、 「ト ラ ン プ 氏 の ニ ュ ー ス メ デ ィ ア へ の 蔑 視 と 二 重 写 し 」( 米 ワ シ ン ト ン・ ポ ス ト 紙 ) に な り、 あ た か も サ ウ ジ 側 を 擁 護 し ていると受け止められてもしかたないタイミングだった。 ト ラ ン プ 氏 は 2 0 1 6 年 大 統 領 選 で も 支 援 者 に 反 ト ラ ン プ デ モ 参 加 者 へ の「 肉 体 的 抵 抗 」 を 促 し た こ と も あ る。 今 回 も、 後 悔 や 謝 罪 の 念 す ら 示 さ ず、 暴 力 行 為 を 称 賛 す る よ う な 態 度 に は、 批 判 が 相 次 い で い る が、 ト ラ ン プ 氏 の 勝 利 す る た め に 必 要 な こ と は 何 で も や る、 と い う 流 儀 の 反 映 で 就任宣誓するカバノ—氏(左)=ホワイトハウスのホームページから

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アジア時報 あ り、 モ ン タ ナ 州 だ け で な く 共 和 党 支 持 層 を 投 票 所 に 向 か わせようという選挙戦術の一環とも受け取れる。

カバノー判事を政治利用か

党 派 対 立 を 勝 ち 抜 い た 成 果 も 選 挙 利 用 す る し た た か さ も ここぞとばかりに見せる。 「 カ バ ノ ー 家 に 起 こ っ た こ と は、 公 平、 良 識、 正 当 な 手 続 き と い う 全 て の 概 念 に 反 す る も の だ。 ( カ バ ノ ー 氏 の ) 無 実 が 証 明 さ れ た と 言 わ な け れ ば な ら な い 」。 ト ラ ン プ 大 統 領 は 10月 8 日、 ホ ワ イ ト ハ ウ ス で の 宣 誓 式 に 臨 ん だ ブ レット ・ カバノー氏( 53)と、その家族にこう声をかけた。 カ バ ノ ー 氏 を 巡 っ て は、 高 校 や 大 学 時 代 に、 複 数 の 女 性 が 性 的 な 暴 行 を 受 け た と 告 発 し、 野 党・ 民 主 党 が 承 認 に 反 対 し、 「カバノー氏にノーを」運動が全米に広がった。 こ の 日、 ト ラ ン プ 氏 は「 国 を 代 表 し、 ブ レ ッ ト と 家 族 に 対 し、 あ な た 方 が 強 い ら れ た ひ ど い 痛 み と 苦 し み に つ い て 謝罪したい。 国に奉仕するため前に進む人が受けるべきは、 公 正 か つ 厳 粛 な 評 価 で あ り、 う そ や ご ま か し に 満 ち た 政 治 的、 個 人 攻 撃 の キ ャ ン ペ ー ン で は な い 」 と 野 党 な ど を 批 判 した。共和党も、 運動家らから 「暴力団のような妨害があっ た」 (ミッチ ・ マコネル上院院内総務)などとし、カバノー 氏の承認プロセスの正当性を強調している。 今回のカバノー氏の承認は、 トランプ氏にとっての勝利、 民 主 党 に と っ て の 敗 北 を 意 味 す る。 こ れ に よ り、 ト ラ ン プ 氏 は「 地 方 の 大 学 未 修 学 の 白 人 男 性 」 と い う 最 も コ ア な 支 持 層 を 固 め 直 し、 共 和 党 候 補 を 活 気 づ け る き っ か け に な る 可 能 性 も あ る。 ト ラ ン プ 氏 の 発 言 に は、 民 主 党 と の 党 派 対 立 に 勝 ち 抜 い た ア ピ ー ル だ け で な く、 白 人 支 持 層 を 奮 い 立 たせる効果を狙ったものといえよう。 民 主 党 は、 当 初 は 名 前 を 伏 せ る よ う 求 め た フ ォ ー ド 氏 の 実 名 公 表 に こ ぎ つ け、 疑 惑 の 信 頼 性 を 高 め な が ら 最 終 的 に 敗 北 に 終 わ っ た 事 実 は、 選 挙 戦 に も 影 響 す る だ ろ う。 民 主 党 内 に は「 こ れ が 踏 み 絵 と な り、 カ バ ノ ー 氏 に 賛 成 票 を 入 れた改選議員は女性白人層の支持を失う」 との見方もある。 「 上 院 で 民 主 党 が 過 半 数 を 得 れ ば、 カ バ ノ ー 氏 へ の 新 た な 捜 査 を 求 め、 公 聴 会 で の 証 言 に ウ ソ が あ る か ど う か 追 及 す る こ と が 可 能 に な る 」( 民 主 党 支 持 の 米 学 者 ) と い う 指 摘 もある。この問題は中間選挙後も尾を引きそうだ。

民主党が支持地盤で勢い

一 方、 民 主 党 に と っ て 攻 め 入 る 材 料 は な に か。 女 性 候 補 を 大 量 に 擁 立 し た 選 挙 戦 術 は 以 前 取 り 上 げ た が、 最 終 盤 の 情 勢 を 占 う の に あ た っ て、 激 戦 区( 下 院 は 26区、 上 院 は 5 州)の動向を注視したい。 まず、 下院だが、 共和党が苦戦している激戦区はカリフォ ル ニ ア や ニ ュ ー ジ ャ ー ジ ー、 ニ ュ ー ヨ ー ク な ど も と も と 民

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党 が 強 い 地 域 が 目 に 付 く。 カ リ フ ォ ル ニ ア 州 で は 現 有 が 和 党 の 4 選 挙 区 で 拮 抗 し て い る が、 い ず れ も 過 去 3 回 の 挙 で は 共 和 党 が 勝 利 し て き た 選 挙 区 だ。 た だ し、 特 徴 的 の は、 2 0 1 6 年 大 統 領 選 で は い ず れ も 民 主 党 の ク リ ン ン 氏 が 勝 利 し た 選 挙 区 で、 し か も 過 去 3 回 の 大 統 領 選 を このうち3選挙区は初めて民主党(クリントン氏) 勝 利 し て い る こ と だ。 つ ま り、 昨 年 に な っ て 民 主 党 が 食 込 ん で き た 地 域 で、 そ の 流 れ が 下 院 選 に も 持 ち 込 ま れ そ な 気 配 が あ る と い う こ と だ ろ う。 こ の 傾 向 は、 州 と し て 共 和 党 が 強 い テ キ サ ス 州 で も み ら れ る。 同 州 の 激 戦 は 2 挙 区 あ る が、 と も に カ リ フ ォ ル ニ ア と 同 様 に 過 去 3 回 は 和 党 だ が、 大 統 領 選 で は 昨 年 初 め て 民 主 党( ク リ ン ト ン カ リ フ ォ ル ニ ア 州 の 激 戦 区 は サ ン フ ラ ン シ ス コ 近 郊 の 1 挙 区 と、 ロ サ ン ゼ ル ス 近 郊 の オ レ ン ジ 郡 な ど を 含 む 3 選 区 で、 い ず れ も 中 南 米 系( ヒ ス パ ニ ッ ク ) や ア ジ ア 系 が い。 テ キ サ ス 州 の 2 選 挙 区 は ダ ラ ス や ヒ ュ ー ス ト ン と っ た 大 都 市 に 近 く、 や は り ヒ ス パ ニ ッ ク の 比 率 が 高 い 地 だ。 例 え ば、 サ ン フ ラ ン シ ス コ に 近 い 地 方 の 10区 の 人 口 率 は 白 人 46% に 対 し ヒ ス パ ニ ッ ク 40%、 ロ ス 近 郊 の 39区 白 人 34%、 ヒ ス パ ニ ッ ク 33% と 拮 抗 し て い る。 ヒ ュ ー ス ン を 中 心 と す る テ キ サ ス 州 7 区 は 白 人 45% に 対 し て ヒ ス ニ ッ ク は 32% と い っ た 具 合 だ。 ク リ ン ト ン 氏 が 昨 年 の 大 統 領 選 で 共 和 党 現 有 の 下 院 選 挙 区 で 勝 利 し た の は 23選 挙 区 あ り、 こ の う ち 11選 挙 区 は ヒ ス パ ニ ッ ク 人 口 の 比 率 が 20% を 超 え る。 こ う し た 傾 向 を 踏 ま え れ ば、 こ れ ら の 選 挙 区 で 民主党が勝利してもおかしくはないだろう。

ヒスパニックの動向が左右

た だ し、 現 実 は も っ と 複 雑 だ、 と 米 紙 ニ ュ ー ヨ ー ク・ タ イ ム ズ が 指 摘 し て い る( 10月 21日 付 電 子 版 )。 急 増 す る ヒ ス パ ニ ッ ク は 共 和 党 が 支 援 し た キ ュ ー バ 移 民 を 除 い て 民 主 党支持者が多かった。しかし、 地域によっては、 ヒスパニッ クの投票動向が共和党支持を強めており、 「ラティーノ(ヒ ス パ ニ ッ ク ) す べ て が 民 主 党 支 持 で、 移 民 問 題 も 含 め た 政 策 に 革 新 的 な 見 解 を 持 っ て い る と 考 え る の は、 あ ま り に 単 純 化 し て い る 」 と い う 米 ブ ル ッ キ ン グ ス 研 究 所 の ウ イ リ ア ム・フレイ氏のコメントを記している。 民 主 党 は 2 0 1 6 年 大 統 領 選 で「 誤 算 」 を し て い る。 ヒ ス パ ニ ッ ク 移 民 の イ メ ー ジ を あ れ ほ ど ひ ど く 棄 損 し た ト ラ ン プ 氏 の 言 動 に よ っ て ヒ ス パ ニ ッ ク が 大 挙 し て 民 主 党 に 投 票 す る と 期 待 し た。 ヒ ス パ ニ ッ ク 人 口 の 増 加 も あ っ て 確 か に 投 票 総 数 は 前 回 2 0 1 2 年 大 統 領 選 の 1 1 2 0 万 人 か ら 1270万人に増えたが、 ヒスパニックの投票率は 47・6% と、 前回の 48・0%から減ってしまった。しかも、 米メディ ア の 出 口 調 査 で は、 約 3 割 が ト ラ ン プ 氏 に 投 票 し て い た の

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アジア時報 ◆ 9月~10月の米国での主な出来事 ◆ 【9月】 9月17日 ポンペオ米国務長官が2019年の難民受け入れ数を現在の4万5000人から3万 人にひきさげる方針を発表。国際人権団体は受け入れ枠の拡大を要望していた 9月21日 米紙ニューヨーク・タイムズはローゼンスタイン司法副長官が密かにトランプ 大統領の会話を録音することや、大統領を解任できる合衆国憲法修正25条の 発動することを議論していたと報道。ローゼンスタイン氏は否定し、トランプ 大統領は解任しない考えを表明 9月25日 トランプ大統領が国連総会での一般討論演説で「歴代のほとんど政権よりも多 くのことを成し遂げた」と表明。議場からは異例の失笑が起きる。大統領は「本 当だ。こんな反応が起きるとは思わなかった」と反論 9月27日 トランプ大統領が連邦最高裁判事に指名したブレット・カバノー氏と、若い頃 にカバノー氏に性的暴力を受けたと告発したクリスティナ・ブラジー・フォード さんの公聴会を上院司法委員会が開催。大統領はカバノー氏に他の性的疑惑 があるかどうかの限定的な調査を連邦捜査局(FBI)に指示 【10月】 10月2日 サウジアラビア政府を批判している米国在住のサウジ人ジャーナリストのジャ マル・カショギ記者カショギ氏が訪問したトルコ・イスタンブールのサウジ総領 事館で行方不明に。サウジ王室の関与説が浮上 10月6日 FBIによる他の疑惑はないとする調査を受け、上院がカバノー氏の連邦最高裁 判事指名承認について採決、賛成50、反対48の小差で承認。8日の宣誓式でト ランプ大統領は「(カバノー氏が)無実だと証明された」と強調 10月9日 ニッキー・ヘイリー国連大使が年内の辞任を発表。次期大統領選候補の呼び名 が高いが、ヘイリー氏は「2020年大統領選に出馬しない」 10月16日 ポンペオ国務長官がサウジアラビアを訪れムハンマド皇太子と会談。カショギ 氏の失踪を巡り徹底調査を確認 10月16日 就任前のトランプ米大統領と不倫関係にあったと主張しているポルノ女優ス トーミー・ダニエルズさんがトランプ氏に名誉毀損で損害賠償を求めた訴訟で、 カリフォルニア州の連邦地裁が訴えを棄却 10月17日 ホワイトハウスのドン・マクガーン法律顧問が退任。ロシアによる2016年米大 統領選介入とトランプ陣営との疑惑捜査への対応を巡り、トランプ氏との対立 が表明化していた 10月17日 トランプ大統領がカショギ記者失踪に関してサウジアラビア政府を擁護 10月20日 サウジ政府はカショギ記者が争う中で死亡したと発表。容疑者18人を逮捕。死 亡について初めて関与を認めたが、トランプ大統領はこれまでの説明に「ごま かしやウソ」があり、「満足していない」と不満を表明 10月20日 トランプ大統領が米露間で締結している中距離核戦力(INF)全廃条約からの 離脱を表明。地上配備型の中距離核ミサイル(射程500~5500キロ)を廃棄し、 恒久的に放棄する内容。1987年、当時のレーガン米大統領とソ連のゴルバチョ フ書記長が締結

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あ る よ う だ。 最 近 来 日 し た 民 主 党 系 の シ ン ク タ ン ク 幹 部 は オ フ レ コ の 昼 食 会 で「 マ イ ノ リ テ ィ ー の 失 業 率 が 大 き く 改 善 さ れ、 そ れ が ト ラ ン プ 批 判 や ト ラ ン プ 離 れ を 抑 制 し て い る の で は な い か。 最 近 は イ ン ド 系 に も 共 和 党 支 持 者 が 多 く な っ て い る 」 と 話 し て い た。 マ イ ノ リ テ ィ ー は ト ラ ン プ 氏 の強みにもなっている、というわけだ。 ト ラ ン プ 大 統 領 は 9 月 25日 の 国 連 総 会 で の 一 般 討 論 演 説 で「 ほ と ん ど の 歴 代 大 統 領 よ り も 多 く の こ と を 達 成 し た 」 と 冒 頭 に 表 明 し て 会 場 の 失 笑 を 買 っ た の は 記 憶 に 新 し い が、 そ の 後 に 述 べ た「 黒 人、 ヒ ス パ ニ ッ ク、 ア ジ ア 系 の 失 業 率 は 過 去 最 低 に な っ た 」 と い う の は、 事 実 で あ る。 米 国 の 雇 用 統 計 に よ れ ば、 9 月 の 失 業 率 は 黒 人 が 6 ・ 0 %、 ヒ ス パ ニ ッ ク が 4 ・ 5 % で、 と も に 最 低 水 準 だ。 リ ー マ ン ショック前と比較してもほぼ半減している。 戦 後 の 選 挙 を 平 均 す る と、 現 職 が 再 選 す る 確 率 が 93% に 達し、 現職が圧倒的に有利なのが下院選だ。一方で、 戦後、 大 統 領 の 支 持 率 は 50% を 下 回 る 中 で の 中 間 選 挙 で は 与 党 が 平均で 37議席を失っている。 どちらにバランスが傾くかは、 なお予断を許さない。

上院もマイノリティー次第

上 院 を ど ち ら の 党 が 支 配 す る か も、 今 後 の ト ラ ン プ 大 統 領の政権運営や、 2020年大統領選に向けて重要になる。 だ か ら、 民 主 党 が 動 員 に 失 敗 し た と 指 摘 さ れ て も 仕 方 な い。 激 戦 区 の 多 く で ヒ ス パ ニ ッ ク 票 が 勝 敗 を 左 右 す る の は 間 違 い な い が、 そ れ は ヒ ス パ ニ ッ ク の 投 票 率 に か か っ て い る こ と を 民 主 党 は 認 識 す べ き だ ろ う。 タ イ ム ズ 紙 の 記 事 で は、 民 主 党 が こ れ ら の 議 席 を 確 実 に す る に は、 「 普 段 は 投 票 に 行 か な い ラ テ ィ ー ノ 票 の 掘 り 起 こ し が 必 要 だ 」( 民 主 党 系 の フ ァ イト ・ バック ・ カリフォ ル ニ ア の 戦 略 家、 ケ テ ィ・ メ リ ル 氏 の コ メ ント)としている。 ヒ ス パ ニ ッ ク 票 の 行 方 が 不 透 明 な 要 因 に は、 「 好 調 な 経 済 」 も  早稲田大学政治経済学部卒。1988年毎日新聞社入社。水 戸支局を経て、92年政治部。首相官邸、自民党、新進党、民主 党、防衛庁(現防衛省)、外務省などを担当。2005年からワシ ントン特派員としてホワイトハウスや国防総省を担当。オバマ氏 が勝利した08年大統領選では全米を取材で回った。政治部、 経済部、外信部各副部長を経て13年4月、北米総局長。16年 4月論説委員、18年4月論説副委員長。「琉球の星条旗」(毎 日新聞政治部、講談社)、「検証『大震災』」(毎日新聞『震災 検証』取材班、毎日新聞社)などの執筆、編集に参加した。

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アジア時報 年 大 統 領 選 を 含 め て 過 去 3 回 の 大 統 領 選 で い ず れ も 民 主 党 が 勝 利 し て い る。 現 在 の 人 種 別 人 口 比 率 は、 白 人 が 38%、 ヒ ス パ ニ ッ ク が 37% と ほ ぼ 拮 抗 し て い る。 だ が、 投 票 率 の 比 較 で は、 2 0 1 6 年 大 統 領 選 の 場 合、 白 人 62% に 対 し ヒ スパニックは 18%にとどまっている。 ここでも、 ヒスパニッ ク票をいかに投票につなげるかが課題となる。 多 く の 識 者 が 指 摘 す る よ う に、 ヒ ス パ ニ ッ ク だ か ら と いって、 重視する政策が移民問題だけにあるとは限らない。 む し ろ ど の 人 種 で あ っ て も 同 じ に よ う に 教 育 や 医 療、 社 会 保 障 な ど 身 近 な 問 題 こ そ 重 要 な は ず だ。 に も か か わ ら ず、 民 主 党 も 政 治 団 体 も ヒ ス パ ニ ッ ク 層 の 掘 り 起 こ し に ど れ だ け の 労 力 を 割 い て い る か に は 疑 問 も 残 る。 世 論 調 査 会 社 ラ テ ィ ー ノ・ デ ィ シ ジ ョ ン の 調 査 に よ る と、 電 子 メ ー ル や 電 話、 戸 別 訪 問 な ど を 通 じ て 政 治 活 動 の 働 き か け を う け た ヒ ス パ ニ ッ ク は 全 米 で 55% に と ど ま る と い う 結 果 が 出 て い る。すでに人口動態では 「大票田」 になっているヒスパニッ ク 層 だ が、 そ こ へ の 政 治 的 な ア プ ロ ー チ は 十 分 と は 言 え な いだろう。 今回の中間選挙は、 将来の大統領選に向けた 「ヒスパニッ クの争奪戦」という様相を呈している。 上 院 は 政 権 に よ る 人 事 案 や 条 約 案 な ど を 審 議 し、 通 常 は 5 分 の 3( 60票 ) の 議 事 進 行 プ ロ セ ス を 経 て 採 決 に 付 す。 と く に 条 約 は、 さ ら に 3 分 の 2 の 賛 成 が 必 要 に な る。 だ が、 オ バ マ 政 権、 ト ラ ン プ 政 権 を 通 じ て 大 統 領 指 名 の 行 政 職 は す べ て 過 半 数 で の 採 決、 可 決 が 可 能 に な っ た。 こ の た め、 ト ラ ン プ 政 権 は と く に 党 派 性 が 強 い 人 事 案 が 提 案 さ れ る よ うになり、 カバノー氏の最高裁判事指名もその一例である。 仮 に、 民 主 党 が 上 院 で 過 半 数 を 獲 得 す れ ば、 そ う し た 党 派 色の強い人事案は通りにくくなるのは間違いない。 そ の 上 院 選 で も、 ヒ ス パ ニ ッ ク 票 の 動 向 は 大 き な 影 響 を 及 ぼ す。 す で に 述 べ た よ う に、 米 ポ リ テ ィ コ に よ れ ば、 非 改 選 を 含 め て 優 勢 な の は 共 和 党 が 50に 対 し て 民 主 党 は 45に と ど ま る。 予 測 通 り な ら、 共 和 党 は あ と 1 議 席 で 過 半 数 に 達 す る が、 民 主 党 は 5 つ の 激 戦 州 の す べ て で 勝 利 し て も よ うやく 50のイーブンにできるギリギリのところにある。 激 戦 州 の 現 有 議 席 は 民 主 党 が フ ロ リ ダ、 イ ン デ ィ ア ナ、 ミ ズ ー リ の 3 州、 共 和 党 は ア リ ゾ ナ、 ネ バ ダ の 2 州 だ。 計 量 的 な 分 析 に よ る「 5 3 8」 の 予 測 で は、 民 主 党 は 現 有 の フ ロ リ ダ、 イ ン デ ィ ア ナ、 ミ ズ ー リ に 加 え、 共 和 党 が 持 つ ア リ ゾ ナ で も 優 位 に 戦 い を 進 め て い る。 一 方、 共 和 党 が 持 つネバダは共和党が有利な戦いだ。 そ れ で ポ イ ン ト に な る の は、 や は り ヒ ス パ ニ ッ ク だ と い え る。 ネ バ ダ 州 は、 ト ラ ン プ 氏 が 全 米 で 勝 利 し た 2 0 1 6

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