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プロコフィエブの音楽作品に関する一考察 ーピアノ・ソナタ第

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Academic year: 2021

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プロコフィエブの音楽作品に関する一考察

ーピアノ・ソナタ第7番作品 83と鑑賞教材「出発J(組曲 f冬のかがり火j作品 122より)を中心に一

教科・領域教育専攻 芸術系(音楽)コース 片 山 智 子

指導教員 村 津 由 利 子

{修了演奏曲目:ピアノ独奏】 く学ぶ必要性を感じた。

そこで,本研究では,プロコブイエフの生涯 セルゲイ・セノレゲ エヴィチ・プロコブイエフ作曲 を時代背景との関わりの中で検討し,彼の音楽 Sergey Sergeyevich Prokofiev  観や音楽作品の特性を理解する手がかりとす る。また,彼の作品を小学校音楽科の鑑賞教材 ピアノ・ソナタ第7番 変 ロ 長 調 作 品 83

Piano Sonata NO.7 in B‑f1at m勾or;>Op.83 

1 .はじめに

セノレゲイ・セルゲエヴィチ・プロコブイエフ (Sergey Sergeyevich Prokofiev 1891‑1953)は, 舞台音楽,交響曲,協奏曲,そしてピアノ曲に おいても, 20世紀を代表する音楽家の一人で ある。

彼は早くから音楽の世界に親しみ, 5歳半で 最初のピアノ曲を作曲したと伝えられている。

13歳からの 10年間,ベテルブノレグ音楽院で、学 び¥革命後はアメリカ,パリで過ごすが,スト ラヴィンスキーのように欧米に留まらず,ソ連 へ帰国する道を選んだ。祖国への復帰後は,ス ターリンによって実施された文化政策の下で制 約を受けながらも,今日もなお名曲としてしば しば演奏される作品を多く作曲した。その中の 1曲であるピアノ・ソナタ第7番 作品 83を 演奏するにあたり,その作品への理解をより豊 かなものとするために,彼の人間性や音楽の特 性,彼と同時代を生きた人々や芸術について深

として取り上げる可能性を探り,彼の音楽をど のような方法で子どもたちに提示し,その魅力 を発見させるように促していくべきかについて 吟味し,具体的な授業の展開方法を検討する。

さらに,演奏曲の楽曲分析と演奏解釈を通して,

彼の音楽をより深く理解し,自らの音楽表現の 一助とする。

2.研究の目的

本研究は,プロコフイエフの生き方や音楽観 についての理解を深め,小学校において彼の作 品を鑑賞教材として取り上げる可能性を検討す ると同時に,彼のピアノ・ソナタ第7番 作品 83の楽曲分析と演奏解釈を通して,この作品 の本質に迫り,演奏に反映させることを目的と する。

3.研究の概要

(1)生涯と各時期の主な作品

第1章では,プロコフイエフの生涯を,彼が 生活した場所によって次に示す4つの時期に分 けて検討した。

‑394‑

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1期のロシア時代 (1891‑1918)は,文化 的な家庭に生まれたプロコプイエフが,ベテル ブルグ、音楽院に入学し,第 1次世界大戦や政治 的混乱の中で,急進的な作風の優れた作品群を 発表した時期で、あったロ

第2期のアメリカ時代 (1918‑1922)は,ア メリカの諸都市で活動したが,作曲家としての 彼の存在や作品は理解も支持もされなかった時 期で、あった。

第3期のパリ時代(1922‑1936)は,経済的 な安定によって作曲に集中できる状況となり,

ますます不協和で複雑な饗きの作品を創った時 期で、あった。そして,欧米・ソ連への演奏旅行 を繰り返す中,彼の音楽観に変化が現れ,新古 典主義を示すようになった。故国の土や人々と の接触によって,自分自身の内に初めから存在 する一種の叙情性を伸ばしたい,生き生きとし た刺激を得たいと切望し,帰国を決意した。

第4期のソヴィエト連邦時代 (1936‑1953) は,彼の作風が複雑から単純へ,不協和音から 協和音へ,形式の革新から古典的ソナタ形式へ と変化していった時期で、あった。そして,戦争 の勃発,健康状態の悪化等,様々なことを乗り 越えながら,多数の作品を残した白

以上のように,彼の人生や作風の変遷,そし て音楽観について考察した。

(2)小学校音楽科の授業におけるプロコブイ エフ作品を教材とした鑑賞指導について 第2章では,プロコフイエフの個性と子ども たちへの暖かい愛情が表現された作品を,小学 校音楽科の鑑賞教材として取り上げ,子どもた ちにその音楽のよさや美しさを伝える音楽授業 の展開方法について検討した。

まず最初に,子どもを意識して作曲された7

つの作品を概観し,その中から fピーターと狼j

と「出発J (組曲「冬のかがり火j作品 122よ り)に着目し,それぞれの楽曲の特徴を文部省 学習指導要領に示されている指導内容と教材選 択の観点に照らし合わせて検討した。

次 に 出 発j を教材とした一つの指導事例 を試案として明らかにした。

そして,最後に,

r

出発jが彼の作風の変遷 において,最終段階にあたる時期に創られてい ることをふまえながら,この作品の典型的な特 徴を明らかにした上で子どもたちに教材として 提示することが重要であることを確認した。

(3)ピアノ・ソナタ第7番 変 ロ 長 調 作 品 83に関する楽曲分析および演奏解釈 第3章では,最初に,作曲家としてだけでな く,優れたヒ。アニストとしても活躍していたプ ロコフィエフの全作品の中で,彼自身が抱いて いたピアノ・ソナタやその他のピアノ音楽が持 つ意味について考察した口

次に,ピアノ・ソナタ第7番 変 ロ 長 調 作 品 83の楽曲分析と演奏解釈を試みた。その結 果,この曲はフ。ロコブイエフの音楽語法が随所 に現れた作品であることが明らかになり,ここ で得られた知見が,演奏において非常に有効な 手助けとなった。

4.おわりに

本研究のすべてが,プロコフイエフの音楽作 品への理解を深める上で,有効で価値のあるも のとなった。しかし,練習の過程で,技術面や 表現面における課題が多く表出し,解決への取 り組みを継続していく必要性を感じている白今 後もプロコフイエフの音楽を探究して作品解釈 を深め,自らの音楽表現に生かしていきたい。

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参照

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