XOR 符号化パリティ圧縮を用いた高符号化率ターボ符号
北村 康裕
†a)衣斐 信介
†三瓶 政一
†High Rate Turbo Code with XOR Coded Parity Compression Yasuhiro KITAMURA†a), Shinsuke IBI
†, and Seiichi SAMPEI
†
あらまし ターボ符号におけるレート整合では,CBRM(Circular Buffer Rate Matching)を用いたパリ ティビットのパンクチャリング(削除)により符号化率を調整し符号化率を高めているが,この処理に起因して,
ターボ符号の誤り訂正能力の低下が避けられない.削除されたパリティビットは受信機側では復元されないた め,一種の非可逆圧縮と位置付けることができる.この非可逆圧縮の代わりに可逆圧縮を用いて符号化率を調整 することができれば,より多くのパリティビットに関する知識を受信機側で得ることができ,誤り訂正能力の 向上が期待できる.そこで本論文では,ターボ原理の適用を前提とした場合に可逆圧縮となり得るXOR符号 化により圧縮されたパリティ系列を生成するXOR符号化パリティ圧縮(XCPC: eXclusive OR Coded Parity Compression)を導入したターボ符号を提案する.提案するターボ符号の繰り返し復号の収束特性を改善するた めに,XCPCとCBRMを併用するハイブリッド構造を提案し,EXIT(EXtrinsic Information Transfer)解 析の観点からその有効性を確認する.また,計算機シミュレーションにより,提案するハイブリッド構造が高符 号化率ターボ符号のビット検出精度向上に有効であることを示す.
キーワード ターボ符号,パンクチャリング,XOR符号化パリティ圧縮,繰り返し復号,EXIT解析
1.
ま え が きディジタル無線通信では,雑音など様々な要因により 通信品質が劣化する.このような環境で,限られた無 線資源内で送信した信号を正しく受信機に伝わるよう にするためには,
FEC
(Forward Error Correction
) 技術が必須となる.その具体的手法として,伝送容量 をC.E. Shannon
によって1948
年に定義された通信 路容量[1], [2]
に漸近させることが可能なターボ符号が 広く用いられている[3], [4]
.ターボ符号は1993
年にC. Berrou
らにより提案され,非常に高い誤り訂正能 力を実現する符号として認識されており,近年では,LTE
(Long Term Evolution
)など,様々な標準規格 で採用されている.LTE
では更に,任意の伝送レート を実現するため,レート整合(RM: Rate-Matching
) が用いられている.LTE
のRM
アルゴリズムであるCB
レート整合(
CBRM: Circular Buffer Rate-Matching
)では,1/3
†大阪大学大学院工学研究科,吹田市
Graduate School of Engineering, Osaka University, 2–1 Yamada-oka, Suita-shi, 565–0871 Japan
a) E-mail: [email protected]
より低い符号化率を実現する場合,符号化率
1/3
の ターボ符号の符号ビットをCB
(Circular Buffer
)に 格納し,その中から符号ビットを一部繰り返し抽出す ることで対応する.一方,1/3
よりも高い符号化率を 実現する場合には,CB
の中から符号ビットを任意の 数だけ選択抽出する[6]
.この選択抽出により選択され ない符号ビットは受信機には送信されず,パンクチャ リング(削除)される.このパンクチャリングの概念自体は
1984
年に畳み 込み符号器を前提として考案された手法であるが,そ の簡易さゆえに,CBRM
にも適用されている[7]
.し かし,原理的にはパンクチャリングされた符号ビット は受信機で復元することができない非可逆圧縮の一 種であり,この復元されないビットの存在が高符号化 率ターボ符号の誤り訂正能力低下の主な原因となって いる.そこで本論文では,
1/3
よりも高い符号化率を実現す る場合に,ターボ原理の適用が前提であれば可逆圧縮 となり得るXOR
(eXclusive OR
)符号化を用いてパ リティビットを圧縮するXCPC
(XOR Coded Parity
Compression
)を提案する.送信側で,そのXCPC
と符号化率1/3
のターボ符号器を直列連接し,受信機でこの連接構造に対して繰り返し復号を適用する.
XCPC
の興味深い特徴は,十分な事前情報が符号化率1/3
のターボ復号器からフィードバックされている場 合,XOR
されたパリティビットの分離が可能となり,可逆圧縮となる点である.ただし,十分な事前情報を 提供できるか否かは,ターボ原理に基づく繰り返し復 号の収束特性に依存しており,提供できない場合には,
通信路容量に漸近することはできない.繰り返し復号 の収束特性の把握は
EXIT
(EXtrinsic Information Transfer
)解析により行うことができる[8], [9]
.後述するように,単に,パンクチャリングの代わり に
XOR
を適用すると,EXIT
解析により,ターボア ルゴリズムは収束しないことが確認されるので,本論 文では,続いて,繰り返し復号の収束特性を柔軟に調 整するために,CBRM
とXCPC
を施す割合の調整 が可能なハイブリッド構造を適用したターボ符号を提 案する.ハイブリッド構造を用いることで,符号化率1/3
のターボ復号器からフィードバックされる事前情 報の調整を行うことができ,収束特性の調整が可能と なることをEXIT
解析により示し,情報ビットの検出 精度が高まることも同時に示す.原理的には,提案方式は
CBRM
を利用しない一般 的なパンクチャ行列により符号化率を変えるターボ符 号[2]
に対しても有効である.最も符号設計に柔軟性 のあるパンクチャ行列使用時に特性改善が見られても,LTE
で用いられるターボ符号の実装上の制限を入れ た場合に特性改善が見られなければ提案方式の有効性 が限定されてしまう.本論文は,上記の一般的なター ボ符号に対してではなく,CBRM
という拘束条件が 与えられたLTE
準拠のターボ符号に対して提案する ハイブリッド構造を適用しても高い情報ビットの検出 精度を実現可能であることを明らかにすることを特徴 とする.以降,本論文は次のような構成となる.
2.
では,ま ず,本論文で用いる符号化伝送システムの信号モデル を示す.続いて,CBRM
を適用したターボ符号の符号 器及び復号器構成を示し,検討すべき問題点を明らか にする.3.
では,受信機側でターボ原理に基づく繰り 返し復号の適用を前提とし,可逆圧縮としての手法で あるXCPC
をターボ符号へ導入する.更に,XCPC
単体の導入を行った場合,XCPC
の逆処理と符号化率1/3
のターボ復号器間での繰り返し復号の収束性に問 題があることをEXIT
解析により明らかにする.4.
で は3.
の考察を受け,繰り返し復号の収束特性の調整図1 通信路符号化伝送システムの信号モデル Fig. 1 Signal model of channel coded transmission
system.
を目的とし,ハイブリッド構造のターボ符号を提案す る.
5.
でハイブリッド構造に対してEXIT
解析を行 い,収束性を保証しながらレートの最適値を示し,計 算機シミュレーションにより,特に高符号化率におけ るターボ符号のビット誤り率(BER: Bit Error Rate
) 特性が改善できることを示す.最後に,6.
では本論文 の結論を示す.2.
通信路符号化伝送システムの信号モデル2. 1
信号モデルFEC
技術を活用する符号化伝送システムの信号 モ デ ル を 図1
に 示 す.送 信 機 で は ,情 報 ビット 系 列d = [ d (1) , . . . , d ( m ) , . . . , d ( M )]
が 符 号 化 率τ
の 通 信 路 符 号 器( C )
に 入 力 さ れ ,符 号 ビット 系 列c = [ c (1) , . . . , c ( l ) , . . . , c ( L )] ( L = M/τ )
が出力さ れる.ただし,M
は符号語に含まれる情報ビット 長 ,L
は 符 号 語 の 符 号 ビット 長 を 意 味 す る .続 い てc
は変調器( M )
に入力され,送信シンボル系 列s = [ s (1) , . . . , s ( k ) , . . . , s ( K )]
が得られる.ここ で変調多値数をQ (= 2
q)
とすると,K = L/q
と なる.ただし,K
は符号語のシンボル長を意味す る.なお,送信シンボルs ( k )
はQPSK
,QAM
の ような線形変調を前提とした送信シンボル候補集合S ∈ {S
1, . . . , S
q, . . . , S
Q}
に属する.ただし,S
qはQ
個ある送信シンボルの信号点の内,q
番目の信号点 を意味している.AWGN (Additive White Gaussian Noise)
通信路 を前提とすると,受信機で観測された受信シンボル 系列r = [ r (1) , . . . , r ( k ) , . . . , r ( K )]
が次式で与えら れる.r = s + n (1)
ただし,
n = [ n (1) , . . . , n ( k ) , . . . , n ( K )]
であり,そ の要素n ( k )
はCN (0 , N
0)
の複素ガウス過程に従う雑 音,N
0 は雑音電力スペクトル密度である.したがっ て,S
qによって条件づけられたr ( k )
の確率密度関数p ( r ( k ) |S
q)
は次式で与えられる.p ( r ( k )|S
q) = 1 πN
0exp
− |r ( k ) − S
q|
2N
0(2)
受 信 シ ン ボ ル 系 列
r
は 復 調 器M
−1に 入 力 さ れ ,次 式 で 定 義 さ れ る 外 部 対 数 ゆ う 度 比
(LLR: Log-Likelihood Ratio)
系 列α = [ α (1) , . . . , α ( l ) , . . . , α ( L )]
が算出される[3]
.α ( l ) = Pr [ c ( l ) = 1 |r ( k )]
Pr [ c ( l ) = 0 |r ( k )] − Pr [ c ( l ) = 1]
Pr [ c ( l ) = 0] (3)
ここで,b ∈ { 0 , 1 }
とし,式(3)
右辺第一項の分母及 び分子である事後確率Pr[ c ( l ) = b|r ( k )]
を次式の周辺 確率で表現することができる.Pr [ c ( l ) = b|r ( k )] =
Sq∈{S|c(l)=b}
Pr [ s ( k ) = S
q|r ( k )] (4)
ただし,Sq∈{S|c(l)=b}は
c ( l ) = b
を有する送信シ ンボルの集合である.更に,ベイズの定理により式(4)
右辺に含まれるPr [ S
q|r ( k )]
は次式のように変形さ れる.Pr [S
q|r ( k )] = Pr [ r ( k ) |S
q] Pr [ S
q]
Pr [ r ( k )] (5)
ここで,受信シンボルr ( k )
がガウス性雑音により,連 続値を取る変数であることを考慮する必要がある.連 続関数に対する確率は,確率密度関数と微小区間の積で 規定されるため,値[ r ( k ) − Δ
r/ 2 , r ( k ) + Δ
r/ 2]
(ただ し,Δ
rは微小区間)が発生する確率はPr [ r ( k )] = p ( r ( k )) Δ
r で 与 え ら れ る .同 様 に ,条 件 付 き 確 率Pr [ r ( k )|S
q] = p ( r ( k )|S
q) Δ
r も得る.したがって,式
(5)
は次式で与えられる.Pr [ S
q|r ( k )] = lim
Δr→0
p ( r ( k ) |S
q) Δ
rPr [ S
q] p ( r ( k )) Δ
r= p ( r ( k ) |S
q) Pr [ S
q]
p ( r ( k )) (6)
なお,情報ビット系列の
0
と1
の生起確率が等確率 であると仮定すると,Pr [ S
q] =
Q1 となる.以上より,式
(3)
の外部LLR
は次式で与えられる.α ( l ) =
Sq∈{S|c(l)=1}
exp
− |
r(k)−Sq|
2N0
Sq∈{S|c(l)=0}
exp
− |
r(k)−Sq|
2N0
(7)
(a) Encoder
(b) Decoder
図2 CBRMを適用したターボ符号化及び復号の構成 Fig. 2 A schematic of turbo codec with the aid of
CBRM.
最後に,外部
LLR
系列α
は通信路復号器C
−1 に入力され,誤り訂正が行われた後,情報ビット系列 の検出値d ˆ
が検出される.2. 2 CBRM
を適用したターボ符号化及び復号 任意の符号化率τ
を実現するCBRM
を適用した ターボ符号器の構成を図2 (a)
に示す.まず,情報ビッ ト系列d
は符号化率が1 / 3
のターボ符号器( C
1/3)
に入力され,組織ビットの一系列とパリティビット の二系列が出力される.パリティビットの二系列は,LTE
で定義されているサブブロックインタリーバ[6]
(Π
1, Π
2)
を経由した後,符号ビット系列c
1, c
2 とな る.一方,情報ビット系列はインタリーバを経由せず,c
0= d
となる.これらの系列は同一の符号長であるた め,c
i= [ c
i(1) , . . . , c
i( m ) , . . . , c
i( M )] ( i ∈ {0 , 1 , 2})
で表現する.次に,
c
1( m )
とc
2( m )
は[ . . . , c
1( m − 1) , c
2( m − 1) , c
1( m ) , c
2( m ) , c
1( m + 1) , c
2( m + 1) , . . . ]
の順番と なるようにCB ( Υ )
内に交互に格納される.この系 列の先頭から任意の数のパリティビットが選択され,選択されなかったパリティビットはパンクチャリング される.したがって,符号化率
τ
を実現するために は,長さが2 M
のCB
からL =
1τ
− 1
M
ビットのパリティビット系列
c
Υ が選択され,3 −
1τM
ビットのパリティビットがパンクチャリングされる.最終 的に組織ビット系列と選択されたパリティビット系列 が
P/S (Parallel-to-Serial)
変換され,符号ビット系 列c = [ c
0, c
Υ]
が得られる.復号器の構成を図
2 (b)
に示す.復調器出力外部LLR
系 列α
はS/P (Serial-to-Parallel)
変 換 に よ りM
ビットの組織ビットに関する外部LLR
系列α
0= [ α
0(1) , . . . , α
0( m ) , . . . , α
0( M )]
と1τ
− 1 M
ビットのパリティビットに関する外部LLR
系列α
Υ= α
Υ(1) , . . . , α
Υ( l
Υ) , . . . , α
Υ1τ
− 1
M
に分割される.符号化率
1/3
のターボ復号器(C
−1/13)
へは,符 号長M
ビットのc
0, c
1, c
2 に関する外部LLR
を 事前LLR
として入力する必要があるが,パンクチャ リングされた符号ビットに関する外部LLR
は得られ ていない.したがって,それらに対応する外部LLR
は0
と設定する.つまり,CB
の逆処理Υ
−1内で
3 −
1τM
個の0
の系列をパリティビットに関する外 部LLR
系列α
Υ の後方部分に付加し,先頭から交互 に抽出することで二系列α
1とα
2 が得られる.具体 的には,これら二系列はα
1= [ α ( M + 1) , α ( M + 3) , . . . , α
1τ
− 1 M − 1
, 0 , . . . , 0]
及 びα
2= [ α ( M + 2) , α ( M + 4) , . . . , α
1τ
− 1 M
, 0 , . . . , 0]
となる.
得られた外部
LLR
系列α
1,α
2はサブブロックデ インタリーバΠ
−11, Π
−12によりそれぞれが並べ替え られ,符号化率
1/3
のターボ復号器にα
0 とともに入 力され,誤り訂正が行われた後,情報ビット系列の検 出値d ˆ
が出力される.この手法は非可逆圧縮である パンクチャリングに基づいているため,α
1,α
2 に0
が挿入されている部分のパリティビットに関する知識(ゆう度情報)は受信機側で獲得することはできず,パ ンクチャリングされるパリティビット数が多くなるほ ど誤り訂正能力が低下する.本論文の主題は,この誤 り訂正能力の低下を緩和するため,パンクチャリング の代わりに,ターボ原理の適用が前提であれば可逆圧 縮となり得る
XOR
符号化を用いてパリティビットを 圧縮するXCPC
を提案し,その有効性を確認するこ とである.3. XOR
符号化パリティ圧縮(XCPC)
3. 1
符号化及び復号の原理本章では,議論を簡単化するため,符号化率
τ = 1 / 2
を前提とし,2 M
ビットのパリティビット系列をXOR
符号化によりM
ビットに圧縮することを考える.図
3 (a)
にXOR
符号化パリティ圧縮(XCPC) ( χ )
を 適用したターボ符号器を示す.まず,CBRM
と同様 に,符号化率1/3
のターボ符号器(C
1/3)
からc
0, c
1, c
2 が得られる.c
1 とc
2を圧縮したパリティビット系 列をc
χ= [ c
χ(1) , . . . , c
χ( m ) , . . . , c
χ( M )]
とすると,(a) Encoder
(b) Decoder
図3 XCPCを適用したターボ符号化及び復号の構成 (τ= 1/2)
Fig. 3 A schematic of half-rate turbo codec with the aid of XCPC (τ= 1/2).
c
χ( m )
は次式で与えられる.c
χ( m ) = c
1( m ) ⊕ c
2( m ) (8)
ただし,⊕
はXOR
演算を表す演算子である.最終的 に,P/S
変換によりc = [ c
0, c
χ]
が得られる.一 方 ,復 号 器 の 構 成 を 図
3 (b)
に 示 す.ま ず,S/P
変 換 に よ り 復 調 器 出 力 外 部LLR
系 列α
はα
0= [ α (1) , . . . , α ( m ) , . . . , α ( M )]
と
α
χ= [ α
χ(1) , . . . , α
χ( m ) , . . . , α
χ( M )] = [ α ( M + 1) , . . . , α ( M + m ) , . . . , α (2 M )]
の 二 系 列 に 分 割 さ れ る .続 い てα
χ に はXCPC
の 逆 処 理( χ
−1)
が 施 さ れ ,外 部LLR
系 列α
1= [ α
1(1) , . . . , α
1( m ) , . . . , α
1( M )]
とα
2= [ α
2(1) , . . . , α
2( m ) , . . . , α
2( M )]
が出力される.ただし,各要素は 次式で与えられる.α
j( m ) = ln Pr [ c
j( m ) = 1 |α
χ( m )]
Pr [ c
j( m ) = 0 |α
χ( m )] − β
j( m ) (9)
また,j ∈ { 1 , 2 }
,β
j( m )
は符号化率1/3
のターボ復 号器( C
1−1/3)
からフィードバックされたパリティビット に関する事前LLR
でありβ
j( m ) = ln
Pr[
cj(m)=1]
Pr
[
cj(m)=0]
で ある.なお,繰り返し一回目では符号化率1/3
のター ボ復号器からのフィードバックがなくc
j( m )
に関す る知識が得られないため,β
j( m ) = 0
とする.また,ベイズの定理を用い,結合確率の周辺化を行うことで 式
(9)
右辺の事後確率Pr [ c
j( m ) = b|α
χ( m )]
は次式 により与えられる.Pr[ c
j( m )|α
χ( m )]
=
cj(m)∈{0,1}
Pr[ c
1( m ) , c
2( m ) |α
χ( m )]
∝
cj(m)∈{0,1}
Pr[ α
χ( m )|c
χ( m )]Pr[ c
1( m )]Pr[ c
2( m )]
(10)
ただし,
j = j ( j ∈ { 1 , 2 } )
である.次に,
A( m )
とC
j( m )
をそれぞれ外部LLR α
χ( m )
のゆう度比,パリティビットc
j( m )
のゆう度比と定義 すると,次式で与えられる.A ( m ) = Pr[ α
χ( m ) |c
χ( m ) = 1]
Pr[ α
χ( m ) |c
χ( m ) = 0] (11) C
j( m ) = Pr[ c
j( m ) = 1]
Pr[ c
j( m ) = 0] (12)
式(10)
,(11)
,(12)
を用いると式(9)
は次のように表 される.α
j( m ) = ln A ( m ) + C
j( m )
1 + A( m )C
j( m ) (13)
文献[8]
によると,外部LLR α
χ( m )
はガウス性通信 路を介したBPSK
(Binary Phase Shift Keying
)信 号とみなすことができ,一貫性条件を満たすと仮定す ると(注1),A( m )
は次のように変形される.A ( m ) = exp
−
α
χ( m ) −
σ2χ2/
2 σ
χ2exp
−
α
χ( m ) +
σ22χ/ (2 σ
χ2)
= exp ( α
χ( m )) (14)
ただし,
σ
2χはα
χ( m )
に含まれるガウス性雑音の分散 である(注2).更に,C
j( m ) = exp
β
j( m )
となること から,式
(13)
は次のように書き換えることができる.α
j( m ) = α
χ( m ) β
j( m ) (15)
(注1):変調方式がBPSK・グレイ符号化QPSKの場合,一貫性条件 は満たされるものの,他の変調方式の場合には必ずしも満たされる保証 はない.しかし,グレイ符号化を施した変調方式では,一貫性条件を満 たしているものと近似しても,信号検出精度の劣化は顕著には表れてこ ない.
(注2):一貫性条件下で,BPSK信号の振幅はσ2χ/2で与えられる[9]
ただし,演算子
は,文献[11]
に示されているボック ス和演算を意味しており,下記のように定義される.F G = ln exp( F ) + exp( G )
1 + exp( F ) exp( G ) (16)
続いて
α
1 とα
2 が,それぞれサブブロックデイ ンタリーバΠ
−11, Π
−21によりデインタリーブされ,
符号化率
1/3
のターボ復号器( C
1−1/3)
に,α
0 ととも に入力される.復号器で誤り訂正がなされた後,パ リティビット系列c
1 とc
2 に関する外部LLR
系列 が得られる.パリティビット系列に関する外部LLR
系列はそれぞれサブブロックインタリーバ(Π
1,Π
2)
に入力され,出力β
1 とβ
2 が得られる.ただし,β
i= [ β
i(1) , . . . , β
i( m ) , . . . , β
i( M )]
であり,XCPC
の逆処理χ
−1へとフィードバックされる.これら 一連の処理を任意の回数繰り返した後,復号器におい て情報ビット系列の検出値
d ˆ
が出力される.ここで,復号演算量について考える.
XCPC
の逆 処理χ
−1と符号化率
1/3
のターボ復号器( C
1−/13)
間 でLLR
系列の交換を行う繰り返し処理を新たに導入 すると,復号演算量の増加は避けられない.しかしそ の増加は,繰り返し回数に応じた線形オーダーであり,指数オーダーではない.なお,
XCPC
の逆処理はビッ ト当たり一つのXOR
で構成されているため,演算量 は低い.このような繰り返し復号処理では,パイプラ イン処理等の活用により回路規模は大きくなるものの,実運用での適用範囲が極度に限定的となるわけではな いと考えられる.
XCPC
を導入しない従来のターボ 符号を用いた場合でも,判定誤りが生じると再送を行 う必要があり,再送回数に応じて線形オーダーで演算 量が増加する.また,判定誤りが生じないように伝送 レートを下げたとしても,一定量のデータを伝送する ために必要となる時間が長くなるため演算量は増加す る.これらの現象を考慮に入れると,XCPC
の逆処理 とターボ復号器間に新たな繰り返し処理が加わったと しても,誤り訂正能力の向上が見込めれば,従来方式 に比べて著しく演算量が増加するものではないと考え られる.本章では,符号化率
1/3
のターボ復号器から出力さ れる外部LLR
(事前情報)系列の助けを借りて,圧縮 されたパリティビットを分離し,XCPC
を可逆圧縮と みなすことで,CBRM
では必須となっていた復号器 における0
の挿入を回避するターボ符号の構成を示し た.ただし,分離に必要となる十分な事前情報が得ら図4 XCPCを適用したターボ符号のEXIT解析モデル Fig. 4 EXIT analysis model of turbo code with the
aid of XCPC.
れるか否かは,繰り返し復号における相互情報量の変 化の収束特性に依存している.
3. 2 EXIT
チャートによる収束性解析ターボ原理に基づいた繰り返し検出においては,処 理結果が適切に収束する場合と収束しない場合が混在 するため,処理結果を収束に導くための適切な処理が 必要となる.この適切な処理は,
S. ten Brink
によっ て考案されたEXIT
解析[9], [12]
によって判断可能で ある.EXIT
解析は,LLR
の交換を相互情報量の交換 と見立てることで,送信信号に関する知見がどの程度 向上したかを定量的かつ視覚的に評価することのでき る手段である.復号器内での相互情報量のフローを把握するため,
XCPC
を適用したターボ符号のEXIT
解析モデルを 図4
に示すように定義する.I
αを,XCPC
の逆処理 から出力される外部LLR
系列α
1,α
2 を連接した系 列に関する相互情報量と定義すると,XCPC
の逆処理 で行われる演算がボックス和演算であることから,出 力される相互情報量I
αは次式で表される[13], [14]
.I
α= 1 − J
[ J
−1(1 − I
β)]
2+ [ J
−1(1 − I
χ)]
2(17)
ここで,J (·)
とJ
−1(·)
はJ
関数とその逆関数[15]
を 表しており,外部LLR
系列が一貫性条件を満たすガ ウス分布に従う場合,外部LLR
系列に関する相互情 報量I
と,外部LLR
系列の標準偏差σ
はJ
関数と その逆関数を用い,次のような関係で表される.I = J ( σ ) ≈
1−2
−H1σ2H2H3(18)
σ = J
−1( I ) ≈
− 1 H
1log
21 −I
H132H12
(19)
ただし,
H
1= 0.3073
,H
2= 0.8935
,H
3= 1.1064
で定義される.更に,
I
β は符号化率1/3
のターボ復 号器からXCPC
の逆処理へフィードバックされる外 部LLR
系列β
1,β
2 を連接させた系列のもつ相互情 報量を示している.また,I
χは復調器出力外部LLR
系列α
χに関する相互情報量であるため,変調方式がBPSK
,グレイ符号化QPSK
である場合,文献[9]
か ら,次式のように定式化される.I
χ= J
8 τ q · E
b/N
0( Q = 2 , 4) (20)
一方,
Q
が16
以上のグレイ符号化QAM
シンボルに 対しては,次式で与えられる[16]
.I
χ= log
2(1 + τ qE
b/N
0)
− 1 2 log
21 +
τ qE
bQN
0 2( Q ≥ 16) (21)
よって,
I
χはE
b/N
0にのみ依存し,繰り返し処理中 一定値を取ることが分かる.したがって,XCPC
の逆 処理の相互情報量の入出力関係を示すEXIT
関数は次 式のように定式化される.I
α= F ( I
β,E
b/N
0) (22)
続いて,符号化率
1/3
のターボ復号器に注目する と,XCPC
の逆処理へフィードバックされる相互情報 量I
βは復調器から出力される外部LLR
系列α
0に関 する相互情報量I
sysと,XCPC
の逆処理の出力相互 情報量I
αによって決定することが確認できる.また,I
sysは復調器出力外部LLR
系列α
χに関する相互情 報量であるため,I
χと同様,式(20)
または式(21)
により算出可能である.したがって,I
sysはE
b/N
0にのみ依存し,繰り返し処理中一定値をとる.よって,
符号化率
1/3
のターボ復号器のEXIT
関数は次式の ように定式化される.I
β= G ( I
α,E
b/N
0) (23)
図
4
の解析モデルに基づいたEXIT
チャートを図5
に示す.ただし,E
b/N
0= 0.8 [dB]
,再帰的畳み込み 符号の生成多項式は[1 , 15 / 13]
oct,符号化率1/3
の ターボ復号器内での繰り返し回数を8
回と設定し,変 調方式としてグレイ符号化QPSK
を用いた.EXIT
チャート上では,XCPC
の逆処理と符号化率1/3
の ターボ復号器のEXIT
カーブの交差点が繰り返し復 号による相互情報量の収束点を示す.図5
によると,図5 XCPCを適用したターボ符号のEXITチャート(τ
= 1/2)
Fig. 5 EXIT chart of turbo code with the aid of XCPC (τ= 1/2).
E
b/N
0が0.8 dB
と非常に低い値の場合には,符号化 率1/3
のターボ復号器のEXIT
カーブの始点は原点 付近となってしまうため,収束点も必ず原点付近とな る.したがって,圧縮されたビットの分離は進行せず,結果,符号化率
1/3
のターボ復号器から出力される情 報ビットd ˆ
の検出精度を向上させることができない.そこで,符号化率
1/3
のターボ復号器からXCPC
の 逆処理へフィードバックされる相互情報量を高めるこ とにより繰り返し復号の収束特性を調整し,改善す る必要がある.その方策として,次章ではCBRM
とXCPC
のハイブリッド構造のターボ符号を提案する.4. CBRM
とXCPC
のハイブリッド構 造のターボ符号4. 1
符号化及び復号の原理本章では,繰り返し復号の収束特性を柔軟に調整す るため,
CBRM
とXCPC
を施す割合を調整するハイ ブリッド構造のターボ符号を提案する.図
6 (a)
にCBRM
とXCPC
の ハ イ ブ リッド 構 造 の 符 号 器 を 示 す.ま ず,こ れ ま で と 同 様 に ,符 号 化 率1/3
の タ ー ボ 符 号 器(C
1/3)
か ら ,c
0, c
1, c
2 を 得 る .続 い て ,パ リ ティビット 系 列c
1, c
2 をCB ( Υ )
とXCPC ( χ )
に 入 力 し ,そ れ ら の 出 力c
Υ= [ c
Υ(1) , . . . , c
Υ( l
Υ) , . . . , c
Υ( L
Υ)]
とc
χ= [ c
χ(1) , . . . , c
χ( l
χ) , . . . , c
χ( L
χ)]
を得る.ただし,L
Υと
L
χは,各々CB
とXCPC
が出力する符号のビット 数である.最後に,P/S
変換により符号化率τ
の符号 系列を得る.ここで,符号化率τ
の全パリティビット 数L =
1τ
− 1
M
に対するXCPC
を施すパリティ ビットの割合を,XCPC
レートx = L
χ/L
と定義す(a) Encoder
(b) Decoder
図6 CBRMとXCPCのハイブリッド構造の構成 Fig. 6 A schematic of turbo codec with hybrid struc-
ture constituted by CBRM and XCPC.
図7 CBRMとXCPCのハイブリッド構造による符号 生成
Fig. 7 A hybrid structure of coded parity bits.
る.したがって,符号化率
τ
の符号系列c
を構成す るためには,L
Υ= (1 − x ) L
でなければならない.図
7
に具体的な符号系列生成の手法を示す.符号化 率1/3
のターボ符号器のパリティビット二系列c
1とc
2 は,2.
で述べたように,それぞれCB
に交互に格 納され,L
Υ ビットのパリティビットがc
Υ として選 択され,残りがパンクチャリングされる.つまり,先 頭からL
Υ/ 2
ビットのc
1 とc
2 を交互に並べたもの がc
Υ となる.一方,XCPC
では,c
1とc
2 の排他的 論理和c
χが次式で算出される.c
χ( l
χ) = c
1L
Υ2 + l
χ⊕ c
2L
Υ2 + l
χ(24)
図
6 (b)
にハイブリッド構造の復号器を示す.まず,外部
LLR
系列α
はS/P
変換により,c
0 に対する外 部LLR α
0,c
Υ に対する外部LLR α
Υ,そしてc
χに対する外部
LLR α
χ に分割される.α
Υ に対して はCB
の逆処理( Υ
−1)
が施され,0
系列がパリティ ビットに関する外部LLR
系列α
Υ の後方部分に付加図8 ハイブリッド構造のターボ符号のEXIT解析モデル Fig. 8 EXIT analysis model of hybrid structured
turbo code.
された長さ
2 M
の外部LLR
系列に対して,符号ビッ トを交互に抽出することで,α
Υ1とα
Υ2が得られる.また,次式による
XCPC
の逆処理χ
−1で
α
χ1 とα
χ2が算出される.α
χj( l
χ) = ln Pr[ c
j( l
χ) = 1|α
χ( l
χ)]
Pr[ c
j( l
χ) = 0 |α
χ( l
χ)] − β
j( l
χ) (25)
ただし,l
χ=
L2Υ+ l
χであり,α
χj(1)
からα
χjL2Υ
とα
χjLΥ
2
+ L
χ+ 1
から
α
χj( M )
までは0
とす る.続いて,次式によりα
1とα
2 が算出される.α
j( m ) = α
Υ j( m ) + α
χj( m ) (26)
後は
3.
と同様の繰り返し復号法の適用により,情報 ビット系列の判定値であるd ˆ
を得ることでビット検出 精度を高めることができる.4. 2 EXIT
チャートによる収束性解析復号器内での相互情報量のフローを把握するため,
ハイブリッド構造のターボ符号の
EXIT
解析モデル を図8
に示すように定義する.ここで3.
での定義に 加え,復調器から出力される外部LLR
系列α
Υ に関 する相互情報量をI
Υ ,CB
で付加される0
の系列に 関する相互情報量をI
punc= 0
と定義する.ここでもXCPC
の逆処理に関するEXIT
関数とI
αの関係は,式
(22)
で表される.次に,符号化率1/3
のターボ復 号器に注目すると,I
sys,I
Υ,I
punc= 0
及びI
α の 異なる相互情報量をもつ四系列が入力されている.こ のうち,I
sys,I
Υ,I
punc= 0
の異なる相互情報量を もつ三系列は,τ
とx
の値により系列長が変わり,そ れぞれの系列長は符号化率1/3
のターボ復号器から出 力される外部LLR
の信頼性に直接影響を与えるため,それぞれの系列がもつ相互情報量に加え,
τ
とx
も,I
β を算出する上で重要な引数となる.なお,I
γ は復図9 ハイブリッド構造のEXIT特性(τ= 1/2)
Fig. 9 EXIT characteristic of hybrid structured turbo code (τ= 1/2).
調器出力相互情報量であるため,
I
sys 同様,式(20)
または式(21)
により算出可能である.よって,I
γはE
b/N
0 にのみ依存し,繰り返し処理中一定値をとる.したがって,図
8
の点線部を一体化されたターボ復号 器Z
と定義し,Z
に関するEXIT
関数をZ ( · )
と定 義することで,I
β は次式のように定式化される.I
β= Z ( I
α, E
b/N
0, τ, x ) (27)
図
8
のEXIT
解析モデルに基づいたEXIT
チャー トを図9
に示す.ただしE
b/N
0= 0.8 [dB]
,x = 0.1
とし,他の設定は3.
と同様である.図9
の凡例に示 す“Trajectory”
は,実際に繰り返し復号を行った際 に相互情報量I
α,I
β を算出し,得られる相互情報量 の交換の様子を軌跡として表したものである.具体的 には,繰り返し数一回目では,X
−1 がI
α= 0
を出 力するものの,Z
ではI
β= 0 . 38
を出力する.繰り 返し数二回目では,Z
ではI
β= 0 . 38
の知識を活用 して,X
−1がI
α= 0 . 2
を出力し,その知識を活かし てZ
ではI
β= 0 . 7
を出力する.このように,LLR
の交換による相互情報量の交換の様子を直接的に描 いたものがEXIT
軌跡である.EXIT
軌跡がI
β= 1
に到達すると,ビットに関する完全な知識が得られた ことになりビットの検出誤りが存在しない状態とな る(注3).I
β= 1
に到達するための条件は,EXIT
軌跡 がI
β= 1
に至る前に収束(終端)しないこと,つま りX
−1とZ
のEXIT
カーブが,I
β= 1
以外で交差 しないことであり,この条件が満たされる限りビット の検出誤りが存在しない.図
5
では,収束点が原点であることから圧縮された(注3):LLRは二値のビットから成るため,その相互情報量の最大値は 1に制限される.
表1 シミュレーション諸元 Table 1 Simulation parameters.
Modulation Gray coded QPSK Gray coded 16QAM Block lengthK 50000 symbols/block Channel encoderC1/3 Rate-1/3 turbo encoder
Gen. polynomial [1, 15/13]oct
Decoder Max-Log-MAP (Jacobian-log) Num. of iterations Inner loop (forC1/3−1): 8
Outer loop (Cχ−1andC−11/3): 12 Interleaver Πi subblock interleaver
specified in [6]
Channel model AWGN
ビットの分離が行われないものの,図
9
では,Z
のEXIT
カーブの始点で得られる相互情報量が高められ た結果,収束点においてI
β= 1
が得られ,分離が完 全に行われていることが確認できる.よって,ハイブ リッド構造のx
の値により収束特性の調整が可能であ ることが示された.5.
ビット誤り率特性評価提案するハイブリッド構造のターボ符号の有効性を 計算機シミュレーションにより確認した.シミュレー ション諸元を表
1
に示す.変調方式を,グレイ符号 化のQPSK
と16QAM
とし,通信路符号化は符号化 率1/3
(生成多項式は八進数表現で[1 , 15 / 13]
oct)を 基準とするLTE
準拠のターボ符号,その符号長K
は
50000
シンボルとした.また,ターボ符号の繰り返し復号回数(
Inner loop
)を最大で8
回,ターボ符 号に対する復号とXCPC
の逆処理間のLLR
の交換 回数(Outer loop
)を最大で12
回に設定した.ただ し,CRC (Cyclic Redundancy Check)
により誤り が検出されなければ,繰り返し処理を中断した.な お,一回の復号はヤコビアン対数を用いた修正項付きMax-Log-MAP
を用いた.通信路はAWGN
を仮定 した.まず,
XCPC
レートx
の適切性をEXIT
解析によ り評価するため,図10
においてXCPC
レートx
に よる繰り返し処理の収束特性の変化を示す.このとき,E
b/N
0= 0.6 [dB]
,変調方式はグレイ符号化QPSK
としている.図10
から,x = 0.05
の場合にはXCPC
の逆処理のEXIT
特性とZ
のEXIT
特性が中央部で 交差しており,x = 0.15
,0.20
の場合には前方部で交 差していることが分かる.一方,x = 0.10
では,前 方部でも中央部でも交差し難い状態となっており,両図10 最適XCPCレートxの評価(τ= 1/2)
Fig. 10 Evaluation of optimal XCPC rate x (τ = 1/2).
表2 最適XCPCレートx Table 2 Optimal XCPC ratex.
XXXXX
ModulationXXX
τ 1/2 3/4 5/6 7/8Gray coded QPSK 0.10 0.25 0.35 0.35 Gray coded 16QAM 0.15 0.20 0.30 0.30
EXIT
特性の間が開く.よって,E
b/N
0= 0.6 [dB]
で,適切な
XCPC
レートはx = 0.10
であると結論付 けられる.当然ながらE
b/N
0の値が変化すると,適 切なレートx
は変化する.本論文では,BER ≈ 0
を 実現するE
b/N
0の低減にのみ着目をして,最も低いE
b/N
0 でEXIT
特性が交差しないXCPC
レートx
を最適レートと定義する.ただし,上記の条件を満た すXCPC
レートが複数存在する場合には,最も低い 値のx
を最適レートとする.図10
で設定したE
b/N
0= 0.6 [dB]
は,上記の基準を満たす最低のE
b/N
0で あるため,EXIT
解析例として掲載した.同様に他の符号化率と変調方式においても最適レー トを求めることが可能であり,各種組み合わせに対す る最適レート
x
の値を表2
に示す.このとき,E
b/N
0(0.1 dB
刻み)
とx (0.05
刻み)
の全組み合わせに対 してEXIT
解析を行い,表2
の最適値を求めた.た だし,EXIT
解析の結果得られた最適値であるため,符号長が短いあるいは繰り返し回数が少ない場合に は,
EXIT
特性が交差しなかったとしても,必ずしもBER=0
であるとは言えない点に注意する必要がある.CBRM
を適用したターボ符号と,最適XCPC
レー トに調整したハイブリッド構造のターボ符号の,E
b/N
0に対する
BER
特性を図11
に示す.変調方式としてグ レイ符号化QPSK
を用いた場合(
図11 (a))
,符号化 率1/2
では,CBRM
を適用した場合とハイブリッド(a) Gray coded QPSK
(b) BER 16QAM
図11 ハイブリッド構造のターボ符号のBER特性 Fig. 11 BER performance of the proposed hybrid
structured turbo code.
構造の特性を比較し約
0.125 [dB]
の改善が,他の符号 化率についてもそれぞれ約0.25 [dB]
の改善が見られ た.グレイ符号化16QAM
を適用した場合(
図11 (b))
では,符号化率1/2
において,CBRM
を適用した場 合とハイブリッド構造の特性を比較し約0.15 [dB]
の 改善が,他の符号化率についてもそれぞれ約0.30 [dB]
の改善が見られた.
これらの結果から,
XCPC
レートの調整により,特 に高符号化率においてターボ符号の誤り訂正能力の低 下が抑制可能であること,また,その効果は変調方式 によらず獲得できることが分かった.6.
む す び本論文では,一種の非可逆圧縮であるパンクチャリ ングによって引き起こされるターボ符号の誤り訂正能 力の低下を抑制するため,受信機側でターボ原理に基 づく繰り返し復号を前提とし,条件次第で可逆圧縮と なり得る
XCPC
をターボ符号へ導入した.XCPC
の 導入において,送信側でパリティビットの圧縮を行い,受信側でそれに伴う
XCPC
の逆処理と符号化率1/3
のターボ復号器間の繰り返し復号を行った.しかし,繰り返し復号の収束特性に問題があったため,符号化 率
1/3
のターボ復号器からの十分な事前情報が得ら れず,パリティビットの分離は適切に行われなかった.そこで,繰り返し復号の収束特性を柔軟に調整可能な
CBRM
とXCPC
のハイブリッド構造のターボ符号を 提案し,XCPC
レートを調整することで収束特性の調 整が可能であることをEXIT
解析により確認した.更 に,EXIT
解析により最適XCPC
レートx
の存在を 示し,BER
特性を確認することで高符号化率におけ る提案の有効性を明らかにした.謝辞 本研究は
JSPS
科研費10448087, 23360170
の助成を受けたものである.ここに記して感謝の意を 表する.文 献
[1] C.E. Shannon, “A mathematical theory of communi- cation,” Bell Syst. Tech. J., vol.27, pp.379–423, 623–
656, July, Oct. 1948.
[2] S. Lin and D.J. Costello, Error Control Coding, Sec- ond Edition. Upper Saddle River, NJ, USA: Prentice- Hall, 2004.
[3] L. Hanzo, T. Liew, and B. Yeap, Turbo Cod- ing, Turbo Equalisation and Space-Time Coding for Transmission over Fading Channels, John Wiley &
Sons, New York, NY, USA, 2002.
[4] C. Berrou, A. Glavieux, and P. Thitimajshima, “Near Shannon limit error-correcting coding and decoding,”
ICC, pp.1064–1070, May 1993.
[5] 3GPP TS 36.212 V10.2.0, “Multiplexing and channel coding,” June 2011.
[6] J.-F. Cheng, A. Nimbalker, Y.W. Blankenship, B.K.
Classon, and K.T. Blankenship, “Analysis of circular buffer rate matching for LTE turbo code,” Proc.
VTC Fall 2008, Calgary, Alberta, Canada, Sept.
2008.
[7] Y. Yasuda, K. Kashiki, and Y. Hirata, “High- rate punctured convolutional codes for soft decision viterbi decoding,” IEEE Trans. Commun., vol.32, no.3, pp.315–319, March 1984.
[8] S. Ibi, S. Sampei, and L. Hanzo, “Joint channel-and- network coding using EXIT chart aided relay activa- tion,” in Proc. WCNC, Cancun, Mexico, March 2011.
[9] S. ten Brink, “Convergence behavior of iteratively decoded parallel concatenated codes,” IEEE Trans.
Commun., vol.49, no.10, pp.1727–1737, Oct. 2001.
[10] E. Zehavi, “8-PSK trellis codes for a Rayleigh fading channel,” IEEE. Trans. Commun., vol.40, pp.873–
883, May 1992.
[11] J. Hagenauer, E. Offer, and L. Papke, “Iterative decoding of binary block and convolutional codes,”
IEEE Trans. Inf. Theory, vol.42, no.2, pp.429–445, March 1996.