タ イ
ポ
グ
ラ フ
ィ
と
コ
ン
ピ
ュ
ー
タ
・ソ
フ
ト
ウ
ェ
ア の
今
日
的
展 開
The
Role
of
Computer
Software
in
Today
’s
Typography
山 本 太 郎 YAMAMOTO
Taro
ア ド ビ シ ステムズ
株 式 会 社Adobe
Systems
Co
.
,
Ltd.
1 .
タ
イポ
グ
ラ フィを 支 え
る技
術
、
そ の 歴史 的
展
望
と現在
現
在
で は、
タ
イポ グ
ラフ ィ におけ る種
々の作
業工程
は、
:]ン ピュー
タ・
ソフ ト ウェ ア・
ツー
ル を用い て 行 わ れる。
文 字 原 稿 の 入力
、
編 集
、
組 版
、
レイ ア ウ ト、
製 版 な
ど、
印 刷
よ り前
の あ ら ゆ る工程で、
コ ン ピュー
タ・
ソ フ トウェ ア が 用い ら れて い る。
そ の意 味で、
現 在のタイポ
グ ラフィ に おい て は、
「 コ ン ピュー
タ
・
ソフ ト ウェ ア の今
日的展 開
」 とい う ことは、
あ
え て 述べる必 要 がな い程に日常
的な も の と な っ て いて、
:コン ピュー
タ
・
ソ フト
ウm ア はタ
イポ
グラ フ ィ のあ
らゆ
る場 面
に展 開
して い る。他 方
で、
現 在
と未 来
のタ
イポ グラフィ のあ り方
を考
え る こ と、
そ の コ ンピュー
タ・
ソ フ トウェ ア と の関 係
につ い て考
え る こと は重
要である。
なぜ なら、
タイポ グラ フ ィ に関係
する技 術
的、
社 会 的
、
経 済 的
状況
は常
にめま ぐ るしく変 化
し て いる から である。 し か し、
そ の た め に は、
現在
のタイポ グラ フィを成 り 立た せ て い る種
々の要 因
と、 そ の歴史 的 背景
を理解
する こと が 不 可 欠で あ る。
なぜな ら、
そ の 歴史 的背
景の内に、
未 来におけ るタ イ ポ グラ フィの可
能 性 と不
可 能 性 につ い て考 え る た めの素 材 が あるから である。
こ こ で は
、
ま ず タ イ ポ グラ フィの基本
的 な性 質
を 決 定 づ け た 鋳 造 金 属 活 字、
写 真 植 字、
そ して現 代 に お ける デ ジ タ ル・
フォ ン トにつ い て、
そ れ ぞ れの技 術 的 な 特 徴 を 考 え、
現 代 と未 来の タ イ ポ グラ フィが 必要
と してい る ものを 探 る。
1.
1.
活 字の基 本 的 特 徴 印 刷 技 術の歴 史 は 古 く、
用い られ る 素 材・
技 法 も 多 岐 に わ たる。
し か し、
原 理 的 な 共 通 点 は、
「版」 の上 に 記 録 さ れ た 形 状・
濃 淡・
色 彩 な ど を、
最 終 的 に は、
イン キ 等 を 用いて、
印 刷 用 紙に転 写 す る。
し かし、
活 字を用い ず、
手 書 きの文 字 を 原 本 と し て そ の形状
を版
に記録
し た場 合
には、
同一
の文 字
が複 数
回 出現 す る場合 で も、
そ の 形 は 同一
で は あ り えず、
変 化せざる を え ない。
これ は、
手で書いた 文 宇 をコピー
機 を 使っ て複 写 す る 場 合と同じで あ る。
原 本に手で書いた文 字の形は、
その 紙 面 全体
は、
忠 実
に複 数 部数
がコピー
され 印 刷される が、
そ の紙
面の 内 部 に 書 か れ た 文 字は、
同 じ 文 字であっ ても同一
の形に はなら ない。
手 書 きで まっ た く同 じ 形 の 文 字 を 何 個 も 書 くこ と が 困 難 だ か らで あ る。それ に 対し て
、
活 字版
印刷
では、
原本
の手書
きの文字
を定
型 化 さ れ た 文 字の形 に 置 き 換 え る。
たとえ ば、一
つ の版
に 「あ 」 とい う 文字
が、
100
回 出 現 す る な ら、
同 じ文 字の形の型 (活 字 母 型 )か ら鋳 造 に よっ て複 製され た100
個の活 字 を 使 うの で あ る。
そ う す るこ とで、
その版
の上 に 記録
さ れ るIOO
個
の 「あ」 の文字
は基 本
的 に すべ て同 じ 形 を もつ こ とに な る。
その版 の 情 報を印 刷に よっ て 複 製 する こ とで、
活 字を用い ない印 刷 技 術と 同様
に、
そ の版
の上
に記録
さ れた図形 や文 字
を大
蚤 に複 製
す る こ と が可能
と な る。 活字
を用い な い印 刷技
術と の差 異は、
定 型化
され
た文 字
の形
を複 製
し て版 を 作
る際
に用い る こ と であ
る。 こ れ こ そが、
活字 版 印 刷
の もっ と も基本 的
な性 質
で あ る。文 字
の複 製
・
印 刷
に、
印 章
と同 様
の定 型
を複 製
する原 理 を利
用 し た点
が、
活
字版
の特徴
で あ る。
こ の特徴
は、
現代
の デジ タル・
フ ォ ン ト に おいて も変
わらない。(
こ こで、
フォ ン ト と は、
現代
で は、
ある特 定
の文 字
の集 合
の個
々の文 字
に、
特 定
の書 体
デ ザイ ン・
様
式 をもつ形 を 与えた集 合
全体
を意 味
する。)
活
字版 印刷
は、 日本
で は16
世 紀末
の古 活
字版
が 知られるが、
それ 以 前にも、
韓 国
や 中 国で木 活 字 や 金 属活
字 等の技術
が用 い ら れ た記
録 が ある。
しか し、
その技術
の発 展 とそ れ が も た ら し た 社 会 的 影 響の範 囲 と重 要 性におい て、
ヨ 八ネス・
グー
テ ンベ ル ク(
1398
?〜1468
)
の発明
と さ れ る西 洋
の金属 鋳
造活
字 を 用い た 活 字 版 印 刷 術 ほ どに偉 大 な 役 割 を 果 た すこと は な かっ た。
そ して、
グー
テンベル ク に よる西 洋 式 活 字 版 印刷 術
の発明
と普 及
が、 タ イ ポ グ ラフィの起源
と なっ た。西 洋
式活 字版 印刷
術 は、
グー
テ ンベル クの時 代 以 後 さ まざ
ま な 形 に 展 開し、
変 化 して い っ た が、
その 成 果の多
く は、
現 代のタ イ ポ グラ フィに も受
け継
が れている。
1.
2.
鋳 造 金 属 活 字 の 発 展、
工 業 技 術へ の 脱 皮 今 日のタ イ ポ グ ラフィが、
グー
テ ンベル クの時 代のタ イ ポ グ ラ フィ と大 き く 異 な る 点 が あ る と す れば
、
そ れ は タ イポ
グ ラ フィが産業
と して成
立し、
そ れ を支え る技 術 や道具の開 発 製 造 も ま た、
すべ て 工業 化
さ れて い る ことである。 しかし、
グー
テ ン ベルクの 時 代の活 字 版 印 刷 術 は、
む しろ閉 鎖 的 な一
部の職 人 の間で のみ 伝 承 さ れた技 術であ り、
活字
鋳 造の方 法 が 公 に 広 く 解 説書
な どで読ま れ、
そ の技
術 が社
会 的に共 有さ れ る こ と は当 初 な かっ た。
その技 術 は 「black
art、
魔 術 亅と 呼 ば れ た りもし た。
し か し
、
書 籍
を大
量に複 製
で き るこ と によっ て、
書 籍の普22
デ ザ イ ン 学研究特 集号special
issueぴ japanese
society
forthe
scTence
of
design
Voi
.
17−
2No
.
662010及
・
流 通 を 拡 大 し、
同 時 に 書 籍 が 知 識 を伝
播・
普 及 さ せ る力
の 大 き さ が 立 証 さ れ た。
啓 蒙 主 義の時 代 に は、
自 然 科 学 や さ ま ざ ま な技
術 に 関 す る書 籍
、
百 科
全書
な ど が 印 刷・
刊行
さ れ た。
そ れ を 可能
に し たのは タ イ ポ グラ フィ で あっ た。
し か し、
それ だ けで はない。
タ イポ
グラ フィ は自 らの力
で、
自
ら の技 術 を 記 録 し広 く社 会に知 らし め ることにも貢 献 し た。
たとえ ば、
18
世 紀の フラン ス で活 躍 した ピエー
ル・
シモ ン・
フルニ エ (1712〜
1768
) が タ イポ
グ ラフ ィの 技 術 につい て詳 述 し た 『タ イポ グ
ラフィの手 引 き』 (1764
、
1768
刊 )を刊 行 して か ら以 後、
ど れ だ け 多 くのタ イポ
グ ラファが、
自
らの技
術 を 記 録 し、
教 則本
を 刊 行 し、
教えて きたことか。
枚挙
に い とまがない。
初
期 にお い て は 閉鎖 的
な 「black
art」 であっ たタ
イポ
グラ フ ィ は、
タイポ
グラフ ィ それ 自体が可 能に し た、
知 識を解放
し伝達
す るカ
によ
っ て、
その閉鎖 的 な領 域
から自
らを解 放
した
の で ある。
それに よっ て、
活字
製 造と活字
版 印 刷は産
業と な り、
近代
工業
と して成 熟
して い っ た。
タ
イポ グ
ラフィ は 「近代
j の創 造
の主
要 な担
い手
であ
っ た。 その過 程
で重
要となっ た技 術 的
な課 題が、
標 準化
で あっ た。
活 字
の組版
は、
断面
が正方形 また
は長 方 形
の金属
の活 字
を指
定通 り に配
列し て、
行 を構
成 し、
複
数の行を ま と め て頁を構
成 し、
さら に それらを最 終 的
に印刷
・
製本
した段 階
で、
読
みや
す く正 し い配
列 となるよう に構
成した もの である。
活 字
のボヂ ィ の寸 法 に は精
度 が要
求 さ れる。
ある
活
字 ボディの大 き さの指 定 が な さ れ た 場 合、
活 字 製 造 上 のバラ ツキ に よっ て、
わ ず か に異
な る ボ ディの大 き さ を もつ活
字
を用
いよ う と しても、
既に指 定通
りの大 き さで作
られ
た活
字 で組んだ組
版の中で、一
緒
に 用 い る ことは困 難である。
なぜ な ら、
精確
に 活 字のボディ とスペー
シング 用部 材
が 隙間
無 く接
合 する ことによっ ては じめ て、
活 字 組 版 全 体 が 物 理 的に崩 壊 する こと な く 支 持 さ れ う る か らであ る。 他 方で、
活 字 ボディ の大 き さ は、
17
世 紀 半 ば までは インチ や センチ な どの標 準 的 な 長 さ と 関 係づけ ら れてお ら ず、
そ れ ぞ れの国 や 地 域 あ るいは 活 字 鋳 造 所で広 く使 わ れていた 伝 統 的 な 活 字 ボ ディ の 大 き さ (Pica
な どの名前
で区 別 し指 定 す る ) を その ま ま 用いる 場 合 が 多 かっ た。
その よ う な 活 字の大 き さ に は、
バ ラ ツキ が避
け られ な かっ た。
こ の状
況 は、
活字
版 印 刷術
の初 期 におい て は大きな 問 題となら な かっ た。
な ぜなら、
活 字 の生 産
と消 費 が
、
特 定地 域 内
では、
特 定
の印刷 所 (
たとえば あ
る 町の教 会の専
属の活 字 鋳 造 所 と 印 刷 所)
に 限 定 さ れ、
地 域内
で自己完 結 し て い た か ら で あ る。 し か し、
やがて書籍
の出 版量 が増
大 し、
書籍
お よ び活
字 が商 品
と して流 通 し 始 める と、
異
なる鋳 造 所で作 ら れ た 活 字 を 混ぜ て組
む必
要が生 じ ると、
活 字 の ボ ディ の大 き さ を標 準
化 す る 必 要性
が 強 く 認 識 さ れ る よ う に なっ た。 こ の非
互換 性
問題 に対 する 歴 史 上 最初
の記 述 が な さ れ た の は、
ジ
ョゼ フ・
モク スン(
1627
〜
1691
)
に よ る 『Mechanick
Exercises
』 (1694
)で あっ た といわ れ る。
こ の活 字の
ボ
ディ の 非 互 換 性の問 題 に 対 して最 初 に 合 理 的 な 提 案 を 行っ たのは、
フ ラン ス の セ バ ス ティ アン・
トル シェ(
1657
〜
1729
)
で あっ た が、
よ り実 用的
な方 法
で それ を 最 初 に実 践 し たの は ピエー
ル・
シモ ン・
フ ルニ エ で あっ た。
彼 は、
当 時フラン ス で 用いられて い たpouce
という 長 さの基 準
単 位
の1
/72
を1pt
(
ポ
イ ン ト)
と す ると いうポ
イン トシ ス テ ム を提 案 し た。
フラ ン ソワー
ズ・
アンブ
ロ ワー
ズ・
デ ィ ドー
(
1730
〜
1804
)が
その シ ステ ム を よ り精 確
に再 定義
して、
ディ ドー・
ポ
イン トと し て確
立 し た の が18
世
紀末
の こ とで あっ た。 そ れ 以来
、
現代
に いた る まで、
ディ ドー ・
ポ
イン トはヨー
ロ ッ パ諸 国に おい て活 字のボ
デ ィの大 きさ を指 定 する標 準 的 な単位
として用いられ続
け た。他
方で、
米 国に お い て も活 字のボ
デ ィ の大き さ の非 互 換 性の 問 題は19
世 紀
に深 刻
な 問 題とな り、
1886
年
に ア メ リカン・
ポ
イン ト・
シ ステム が標 準
として採
用 さ れた。 こ の シ ステ ムで は、
やは り基 準と な る寸 法の1
/72
を1
ポ
イン トと し た が、
こ の場 合
の基 準 寸法
に は、
合 衆
国 におけ る インチが
用いら れ た。
こ の ア メ リ カ ン・
ポイ ン ト・
シ ス テ ム は、
米
国を主な市
場と す る英
国の活 字 鋳造 業 者
にも採
用され、
後
に日本
に お い ても採
用 さ れる こ と になっ た。こ の
18
世 紀
から19
世 紀 末
にか けての活
字のボデ ィ の大
きさ の 尺度の標 準 化
に対 する努 力は、
丁度
、
活 字の生 産、
組
版、
印刷
という職 能
が、
近代 的
な産 業
・
工業
とし て確
立 して いく過程
と 並行
し てお り、
工業 化
の必
要条 件
と し て、
明確
に定 義
され た標 準
の尺度 系
の制 定と、
そ れ を現実
の製 品に お いて実 装で き る技術
の確
立に貢 献
し た。
こ のような
19
世
紀 まで の鋳 造金属 活字
の時代
の経
験は、
20
世 紀
のタ イ ポ グラ フィに お ける種
々の技術 的
な変 化
に おい ても
活 か さ れる ことになる。
1.
3.
写冥植
字 と組
版 の 自 動 化 鋳 造 金 属 活 字 は、
活 字 母 型 とい う 定 型 か ら 文 字の形 を 鋳 造 に よっ て複 製 し、
そ の 複 製であ る活 字 を 配 列 し、
インキ を 塗 布 し て用 紙 に 転 写 す るこ とで、
文 字の形の定 型化
と複 写 を 可 能 に し た。 そ れ に 対 して、
初
期の写 真植
字で は、
文字
の形の定 型 は、
ネ ガ ティブ
・
フィ ル ムや 乾 板に感 光・
現 像・
定 着され た 文 字の映像
であ り、一
定 数
の文 字
の映像
を集
めて配列
し た文 字盤
が 用 い られ た。
日 本の邦 文 光 学 式 手 動 写 真 植 字 機 は、
1920
年 代 に 森 澤信
夫(
1901
〜
2000
)
の考案
を も と に 石井茂吉(
1887
〜
1963
> と 共 同で開
発・
実 用 化 さ れ た。
森 澤
は、
同 時 期 にロ ン ドン のオー
ガ
ス トと八 ンタ
ー
が試作
して い た欧 文
写植 機
に 触 発 された と いわ れて い る。全 角
の字 幅
で送 る 和文組 版
の特 性
が、
文 字の送 り機構
の簡
素 化 を 可 能にする点に森
澤 は 着R
した。
鑼
驚
:
鷲
:
烈
鷺
邦 文 光 学 式 手 動 写 真 植 字 機 は
、
金 属 活 字 の 製 造、
金 属 活 字 を 組 ん だ 組 版の保 存、
磨 滅 した活 字およ び 母 型の回 収 な ど、
鋳 造 金 属 活字
が 必 要 と し た多
く の作
業 を 不 要 と し、
物
理 的 に も 軽 く、
扱い や すい印 画 紙 やフ ィ ル ム を用いる こと が可 能とな り、
印 刷
の前 段 階
の 工程 を 効率 化
す るだ
けでな
く、
文 字
と文 字
と の 間 隔を詰
め て組
む など、
スペー
シング を調 整し た り、
図 版と文字
とが融合
した紙 面
レイ アウ トな どを可能
と し、
グ
ラフ ィ ック
・
デザ
イン とタ
イポ グ
ラフ ィにお
け る表
現形 式
を 大 き く拡
張 す る こ と に貢献
し た。 写 真と文 字、
図 像・
画 像と文 字と の融 合 など と い う、
20
世
紀前 半
のグ
ラ フィ ック・
デザ
イン の主 導者
達
が 目標
とした こ と を、
自然
に行え るよ うになった の である。
写
真 植 字
にお いても、
活 字
の時 代
と同様
に、
文 字
の仮 想 ボ
デ ィの大き さ の標 準 化は重 要な課 題で あっ た。
日 本の邦 文 光 学式手
動 写真植 字 機
では、
文 字
の仮 想 ボ
ディ の大
きさ
は、
何 種 類
か の拡 大・
縮小率
の レ ンズで印字
可能
な大き さ に限 定さ れ て い たが、
その 大き さの単 位
で あ る 「級 数 (
Q
)
」C
:1
級
が4
分
の1
ミリメー
トル と定
め られ た。 さ ら に、
組 版
上の文 字
の間隔 や
行 長 や 行 間ア キ な ど の指
定に用い る単 位
と し て は、
字 送 りお よび行 送 り機 構
の歯 車
の ピッチ を基
に し た 「歯 数 (
H
)
」 が用
い ら れ たが、
こ れ は 「級
数」 と 同様
に 丁歯
は4
分の1
ミ リ メー
ト ル と定
め られ た。 こ の ミ リ メー
トル を 基準
と する、
日本
の邦 文
光 学
式 手動
写真 植 字 機
に独 自
の単位
は、
日本
で印
刷物
や 用紙
の仕
上 が り寸法
の指 定
に用
いら れる ミ リ メー
トル単
位 との親 和性
が高
い と い う点
で は合
理的 なも の であっ た。
欧米
に おい ては、19
世 紀 以 来
の活 字 鋳
造機 械
の自動 化
の歴史
の自然
な 発展 形
と し て、
特
に1940
年代 以後
、 写真 植
字機
の 開 発が活 発に行
わ れ た。
そ の た め、
日本におい て も、
邦 文 光 学 式 手動
写真 植
字機
が独
自の発 展 を 遂 げ たの とは 異 な り、
自 動 化 さ れた いわ ゆる 「自 動 写 植 機 」 あるいは 「電 算 写 植 機」 と 呼 ば れ るコ ンピュー
タ 化 さ れ た 写 真 植 字 機 (以 後 「電 算 写 植 機」 と 呼 ぶ )の分 野 に おい て は、
欧 米 に お け る 発 展 を 追 う 形で開 発 が 進 ん だの であ る。1948
年 に最 初 に 公 開 さ れ たLumitype
(Pho−
ton) 以 後、
特 に1970
年 代 以 後、
コ ン ピュー
タの応
用 が 進 化 す る につれて、
単 な る 鋳 造 金 属 活 字 時 代の自 動 化・
機
械 化の応
用 の範 囲を脱 して、
自 由 な 文 字 原 稿の編 集と保 存、
多
様 な 組 版 形 式へ の対応
な ど、
電算
写植 機
は改良
と進 化
を遂 げ
て い っ た。 そ の中に は、
種々 の デ ジ タル・
フォン ト の技 術開 発 も含ま れ る。
初 期の電 算 写植
機 が、
ビッ ト・
マップ・
フォ ン トを 用いたのに 対して、
文 字の輪 郭 線を短い直 線ベ ク ト ルで記 述し たア ウ トラ イ ン・
フ ォ ン ト を用い るこ とで、
多種 多様
な書 体
や サ イズに よ る印 字 を 可 能に した り、
さら に数 学 的 な 曲 線 補 間 方 式 を 用い る ことで滑 ら か な 曲 線の表 現 を 可 能 に し た り、
な ど、
今 日でも 有 効に用いられる多 くのフ ォン ト技 術の進 展が1960
−
70
年 代に な され
た。24
デ ザ イン掌研 究 特集号sp
i訓issue
ofiapanese
societyforthe
science
of
design
Vei
.
17−
2 No.
66 201Q し か し、1980
年 代の初 め に 起こっ た、
「タ イ プ・
セッ ター
(写 真 植 字 機 ) か らイ メー
ジ・
セ ッター
(画 像 出 力 機 )へ 亅 と い う 技 術的
な 変 化 は、
かつ て の 「鋳 造 金 属 活 字 か ら 写 真 植 字 へ」 という変 化と同 等 (あ るいはそ れ 以 上の) 大 き な 革 命 的 な影響
を も た ら した。
そ れ までの電算
写植機 が
、
基
本的
に は 「文 字を組む こ と」 し かで き な かっ た の に対して、
図 形 やスクリー
ン処
理 して出力
すべ き 画像
を文 字
と同様
に取 り扱い、
自
由に組 み合
わ せて レ イ ア ウ ト作 業
を行
うこ とが 可能
に なっ た の で あ る。 これは、
フィ ル ム や印 画 紙に出力
す る領 域 全 面を カ パー
す る 記憶
領域
に、
文 字
や 図 形 や 画像
を ビッ トマ ップとしてあら か じめ展 開し、
その結
果を フ ィ ル ムや 印 画 紙 に 投 影・
感
光 させる と いう方 法
であっ た。電
子的
な 記憶 媒体
と マイ クロ コ ンピュー
タ の 進歩・
普
及が、
こ の変 化を可 能に し た。
「
タ
イプ
・
セ ッタ
ー
か らイメー
ジ・
セ ッタ
ー
へ 」 の移 行
が進
む と同時
に、
パー
ソ ナ ル・
コ ンピュー
タの高性 能 化
と普
及 が 進 むな かで、
Adobe
PostScript
ペー
ジ記
述言 語
な どの よう に、
コ ンピュー
タ・
プログラ ミ ング言 語
を 用い て、
ペー
ジ 上に描 画
出
力すべき あらゆる要 素(
画像
、
図 形、
文 字 等を含む)
の 属性
を記 述
・
指
定 し、
同 時
に、印 字 出力 装 置
の制 御
も行
う方法
が採
用 さ れるよう になっ た。
パー
ソ ナ ル・
コ ンピュー
タ 上の レ イ ア ウ ト・
ソ フ ト ウェ ア で文書
を作
成 し、印刷
に必要
な情 報
を、
そ のよ う なペー
ジ 記 述言
語 処 理 系 を搭
載 するブリ ンター
に送信
する ことで、
高
品 位 な 体 裁の文 書 を 廉価
な パー
ソナル・
コ ン ピュー
タ と プリ ンター
を 用い て印 刷 する こと がで きるよう に なっ た。
こ の こと が、
印刷 物
制作
に 使用
でき る装
置 やソ フト ウェ ア の選 択肢
を 飛躍
的 に 拡 大 し た。
これ は、
個 人
でも高 品位
な 印 刷 物 を 作る こと を 可 能に した だ けでな く、
それま では 特 殊 な 専 用の装 置 やソ フ ト ウェ アに 依 存 して いた 印 刷 物 制 作と 出 版工程 に、
大 き な 変 化 を も た ら した。
これ はDTP
(DeskTop
Publishing
) と して知 ら れ 普 及 し、
現 在 に 至っ て いる。
2 .
コ ンピ
ュー
タ
上 の デ ジ タ ル・
フォ ン ト の利 用
と そ れ を支
え る技 術
さて
、
現在
広 く用いられているコン ピュー
タ 上では、
すべ て の情 報 は0
か1
、
ど ち ら かの値 (ビッ ト) しかも た ない。
そ し て、
何
らかの情 報
は、
その ビッ トの 組 み合
わせ として、
す な わ ち、
2
進 数と し て表現 され る。
し たがっ て、
あ る特 定の文 字を 指 定 す る た め に も、
ビッ トの組
み合
わ せ が用
い ら れる。
文
字 を 指 定して情 報 を 交 換 す るには、
次の こ とが 必 要とな る。
a
)
ある文 字
に対
して、
ある特 定
の ビッ トの組 み 合 わせ を 割 り 当て る、
そ の ビッ トの組み合わ せ を
他
の文 字に は割
り当
て な い、
(
3
)
文
字 と ビットの組 み 合 わ せの対 応 関 係の情 報 を 送信 者
と 受信
者で 共 有して、
ビッ トの組 み 合 わせ か ら文 字 を 解 読 する場 合、
ある い は、特 定
の文 字
を指 定
す る ビッ トの組
み 合 わせを作
成 す る 場∴
合
に は、
必 ずそ の共 有
さ れ た 対 応関係
を 用いる。〔
4
に
れら文
字情 報
の符
号化
の手 続
き を送信 者
と受 信
者で取り決め る。 しか し、送 信者
と受信 者
の組
み合
わ せの数
は膨 大
にな り うる の で、 ある一
定の集 合の ビッ トの組み合 わせ と 文 字 との対 応 表 を 作 成 して、
そ れ を標 準
と して制
定 し、
すべ て の者 が そ れ を 共 有 し利 用 する ことで、
電 子 的 な 文 字の情 報 交 換 を 安 定 して成 立 さ せ よ う と す ること が 行 わ れ る。
そ れ が、
文 字コー
ドの標 準 化であ る。現 在
、
コ ンピュー
タ 上でもっ と も 広 く用い られている標 準
的 な 文 字コー
ドの方 式 と しては、
【SO
/lEC
10646
(い わ ゆるUnicode
とほ ぼ 同 じ もの) が あ り、
そ れ に 対 応 す る 日 本工業 規格
はJts
X
0221
:2007
であ る。
ま た、
いわ ゆるJIS
コー
ド と 呼 ば れ る 日 本の国 内 規 格 と しては、JISXO208
:1997
お よ びJISXO213
:2004
が広 く用いられている。
こ の よ うに
、
コンピュー
タ上
で の文字
によ る情 報交 換
は、
通 常 文 字コー
ド に よっ て 行 わ れる が、
文 字コー
ド は、
あ くまで文字 を対象
に して設計 され
て い る。 そこ で の文 字
と は、
微 細
な形
の違い な どを捨 象
し た、
あ る範
囲を もっ た文
字の形で あ る。
た とえば、
「葛
」 の文 字
に は(
明朝体
の場 合
に は)
下部
の部分 字
形の違い によっ て 二種 類
の異
なる形
が あ りう る(
図1
・
参
照)
。
これらは、
文字
:コー
ドが識 別
の対照
と する文字
と しては、
同
じ文 字
であ
っ て、
同じ コー
ドを持
つ 。 し たがっ て、
文 字
コー
ドだ け で は これら2
つの形
を 区別
する こ と は できな い。 日常
の文 書
作 成
やデー
タベー
ス検 索
の場
合であ れ ば、
これら2
つの形
を区
別しな くて もよい、
ある い は 区別 し な い方 が 好ま し い場 合が多
い であろう。
他 方で、
古い文 献 に お け る 文 字の字 形の使い方の 差 異 を 調べ る場 合 や、
人 名 や 地 名 や 商 号 な どで、
これ ら2
つ の 形 を 区 別 す る 必要
が あ る 場 合 も 存 在 す る。
前 者の場 合 に は、
文 字コー
ドだ けの情 報で対 応 す るこ と が 可 能であるが、
後 者の場 合 に は、
特 別 な工夫 が 必 要 と な る。
現 在のデ ジ タ ル・
フ ォン トで は、
その形 式 に 閧 わ ら ず、
文 字 コー
ド に よっ て指定
さ れ る 文字
に 対 して、
そ れ が 上の例のよ う な 文 字の形のバ リエー
ショ ン を 持っ てい る 場 合 に は、
ど の バ リ エー
ショ ンの形(
これ を グ リフと 呼 ぶ)
を 用い るか を指
定でき る よ う に、
グ リフご と に 番 号 を 割 り振っ てい る。
つ ま り、
グ リ フ とは、
文 字 がとり う る 個 別の表 現 形 態 を 意 味 して い る。
た だ し、
書
体 デザ
インの区 別 はここ では 対象
としない。グ
リフに割
葛
図1
「葛 」 の文 字の2
つ のグ リフ り振
ら れ た番 号
は、GID
と かCID
と か呼
ばれ
る場 合
が あるが、
そ れ も単
な る番
号で あ る と い う意 味
で は文字
コー
ド と変わ り は ない。 た だし、 グリ フ に割
り当
てた番号
は、 フ ォ ン トの実 装
を 目的に設 計 さ れ た 便 宜 的 な 番 号であっ て、
フォン トの外 側の世界
で一
般 的 に 通 用 す る よ う な 普 遍性
や標 準
と して の性 質
を 持っ てい るわ けでは ない。
グ リフに番 号 を 割 り振 ること に よっ て
、
いわ ゆ る異 体
字 切 り替
え(
よ り一
般 的 な言 葉
と して は、
グ リフ置
換)
が可 能
に な る。
さて、
今 日の コ ン ピュー
タ 上で用い られて い る デジ タ ル・
フ ォ ン トは、
上 記の各 グ リフ番 号 に 対 応 するプログラム を 内 蔵 していて、
そのプログ ラ ム が グ リフ の輪 郭 線 情 報 を 記 述 して い る。
グ リフの 輪 郭 線の情 報 は、
OS
や 応 用ソ フト ウェ ア の文 字 描 画プ ログ ラム か ら呼 び出
さ れて、
コ ンピュー
タ の 画 面 や プ リ ン ター
上 にグリフ を表 示・
印 刷 する ため に 必 要とな る 大 き さ の記憶 領 域 上
に、
ビットマ ップ と して展 開 さ れ る。
この ピッ ト マ ップ に必 要な記憶
領 域の大き さ は、
通常
、
文 字の大き さ と、
表
示・
印刷 装
置の解 像 度
に依 存
して決
まる。 ま た、
黒白
の2
値
以外
の諧
調表
現 が 可能
な装
置に お いて は、
文字
の輪郭
を滑 ら かに見
え るよう にす
る処
理な どが施
さ れ るこ と もあ
る。
どち ら に せよ、
フ ォ ントの中
のグ
リフ の形 状
に 関 す る情 報
は、
そ の ま ま直接
に目に見え る形と し て実
現され 表 示・
印 刷される ので はな く、最 終 的
な表
示・
印刷 装
置の要 求
す る ビッ トマ ップに展 開す る こ と によっ て表示・
印 刷が可能
と な る。 こ の輪 郭線 情
報 を ビッ トマップ に変 換
する 工程
をラ スター
化処
理と呼
び、 それ を 行 うソ フ ト ウェ アをラ スタラ イザー
と呼ぶ。
ラ スタラ イザー
は、
単 純 に グ リフ の輪 郭 線情 報
を ビッ トマ ップ に展 開 す
るだ け でな く、
そ の前 処 理 と して、
フォ ン トに含 ま れている文 字の画 線の太 さ や 位 置 に 関 す る 情 報 (ヒン ト情 報)
を 利 用 して、
輪 郭
線 を あ ら か じ め 操作
・
修
正 し、
その後 に ビッ トマッ プ に変換
す ること も 行 う。
そ れ に よっ て、
低い解 像 度の表 示 装 置 や プリ ン ター
など で、
画 線の太 さ が 不 均 等 に な るのを 避 け る。
デ
ジ
タ ル・
フ ォ ン トは、
初 め は 主 に 写 真 植字
機 や プリ ンター
に 搭 載 さ れて いた が、
パー
ソナ ル・
コ ンピュー
タの普 及 につれ て、
コン ピュー
タ 側 (ホス ト・
コ ン ピュー
タ 側 )で フォ ン トを 自 由に選 択 して搭 載 し、
必 要 に 応 じてホス ト・
コ ン ピュー
タ側 か らフ ォン ト情 報 あるい は ラス ター
化し た結 果の ビッ トマッ プを プ
リ ンタ
ー
側
に送
る方 式
に変
わっ て いっ た。現 代
の パー
ゾナ ル・
コ ン ピュー
タ上 で 広 く 用 い ら れ て い るOpenType
な どの フォン ト形 式 は、
こ の同 じホス ト・
コ ン ピュー
タ 側の フォン ト を 使 用 して、
コ ン ピュー
タ 画 面 上の文 字の表 示と プ リンター
上 で の印刷
の両方
を行
う フォン ト の利
用形態
を前 提
と し て い る。 上 に述べ たよう に、
金 属 鋳 造 活 字の組 版の機 械 化・
自 動 化、
金 属 鋳 造 活 字 か ら 写 真 植 字へ の移 行、
写 真 植 字 の 技 術のコ ン静
欝
:
:
:
:
二
∵
仁
乞
ピュ
ー
タ 化 とい う一
連の流 れの中で、
デジ タ ル・
フォン トが 開 発 さ れ、
それ が 写 真 植 字 機 という 範 囲 を 超 えて、
イメー
ジ・
セッター、
パー
ソナ ル・
コ ンピュー
タの画面
表 示、
レー
ザー・
プ リン ター
や インクジェ ッ ト式 プ リンター
での文 字の印 刷 な ど、
そ の利 用範
囲 は 拡 大 して き た。
多
様 なデジ
タル・
フォ ン ト を 画 面 表 示 す ることがパー
ソナ ル・
コ ン ピュー
タ 上で 利 用でき る よ う に な る と、
それ に よっ て高 品 位 な タ イポ
グラ フィを 含 む 電 子 文 書 をパー
ソナ ル・
コ ンピュー
タ 上で作 成 し、
編 集 し、
コ ン ピュー
タ に 接 続 さ れ た (あ るい は ネッ トワー
ク 上の) プ リン ター
や イ メー
ジ セッ ター
で印 刷 す ること が 可 能 に なっ た。
さらに
、
高 品 位 な タ イポ
グ ラフ ィ、
画 像、
図 版を記 述で き る 電 子 文書
の作 成
が 可能
にな るこ と で、
単
に印刷
用 原稿
の版 下の 出 力 や 校 正 紙の印 刷を目 的とするだけでな く、
作
成し た電 子 文書
そ れ自体
が、
文 字
と視 覚情 報
の重 要 な媒体
と して利
用でき
る よ う に なっ た。 た と えば、
ワー
ドプロ セッサー ・
ソ フ ト ウェ ア で作 成
したフ ァ イルを電
子メー
ルな どに添 付
する こと が行
わ れ るが、
その場 合
に は、
情 報
の送 信 者
と受 信 者
が、
同じ ワー
ド プロセ ッ サー
の ソ フ ト ウェ ア を持つ 必 要が あ る。
そ れ に対し て、
文 書作 成
に用
い られ
た ソフト
ウェ ア の差 異
に関 係
な く、
そ の文書
を一
旦、
交 換
用の形 式に変 換
する こ と で、
電子文書
が も つ高 品 位
な文 字
と 図形
・
画 像
な どの情 報
を記
述 し、
そ の形
式の ファイ ルを 交 換 する ことで、
情報
の相 互 交 換 を 容 易に行 う 方 法 が 開 発 さ れ た。
その一
つ の形 式 がAdobe
Acrobat
が 採 用 し た、
Portabte
Document
Format
〔。
情 報の送 信 者は
、
受 信 者 は、
そ れ を 表 示・
印 刷 するた めの ソ フ ト ウェ アを 持つ必 要 が ある こと に は 変 わ り は ないが、
文書 作
成 時 にど
のよ う なアプ リ ケー
ショ ン・
ソフ トウェ ア を用い る か につ い て は、
選 択 肢は 広 く な り、
通 常の ワー
ド プロセ ッサー
用の ソ フト ウェ アや レ イ ア ウ ト・
ソ フ トウェ ア や 電 子 メー
ル ソ フ トウコニア な ど、
さ まざ
ま な ア プ リケー
ショ ン・
ソフ ト ウェ ア が作 り 出 す 電 子 文 書を、
交 換 可 能 な 形 式 に 変 換 す るこ とが で き る。
他 方で
、
印 刷・
出 版と い う伝 統的
な分 野だ けで な く、
インタ
ー
ネ
ッ トの普
及に よっ て web 上で はHTML
形 式
そ の他
の電
子文書
の形 式とhttp
などの 配信
プ ロ ト コ ルが開 発 さ れ て き た。
そこ では、
タ イ ポ グラ フィは、
た だ 紙の上 に 印刷
する こと だ け を 最 終 目 的にす るのでは も は や な く、
ネッ トワー
ク に接 続 さ れ た情 報
の送 信 者
と受信 者
と の間で の、
広 範
な情報 交 換
を 可能
に する重要 な基 盤 技 術となっ て い る。
人間 と コ ン ピュー
タ と が や り と りを す るユー
ザー ・
インター
フェー
スや、
ネッ トワー
ク 上 での映 像 表 現な ど に おい ても、
文 字 情 報は重 要 な 役 割 を 果 たし て い る。 そ し て、
文 字 情 報
が何
ら か の形
で必
要と さ れ、
用い ら れる 限 り、
どの ような 形 態で表現 さ れ 利用 さ れ る か に 関係
な く、
必 要 な 時 に、
必 要 な 場 所でその情 報 に ア ク セスす ることが26
デザイ ン 学 研究 特 集号sPecial 「ssue ぴjaPa
冂
esesocletyferthesc [ence
of
design Vol
.
17−
2 Ne.
66 2010 でき る よ う に す る、
す な わ ち 情 報の偏
在 と 交 換 を助
け、
その視
覚 的 な 表 現 形 式 を 豊 かにする上で、
基 盤 技 術 とし て の デ ジ タ ル・
フォ ン ト と タ イ ポ グ ラフィの重要性
は、
今 日 さ ら に高
まっ ている。
3 .
タ
イポ グ
ラ フィ ック な表
現 形 式
の新
た な可 能 性
タ イ
ポ
グラ フィに とっ て、
20
世 紀 は 波 乱 に 富 ん だ 世 紀であっ た。18
世 紀 に 始 ま る 近 代 合 理 主 義 と 科 学 技 術 は、
市 場 経 済の 発 展との椙 互 作 用によっ て、
飛 躍 的 に 進 展 し、
その絶 頂 を 迎 え た といえ る。
組 版・
印 刷 技 術 は 飛 躍 的 に進 歩 し、
鋳 造 金 属 活 字 は 写 真植
字、
さ ら に デジ タル・
フ ォン トへ と姿 を 変 え、
文 字に よ る情 報 伝 達
は、
手 書
きや 印刷 物
の形態
でな さ れ るだ
けでな く、
パー
ソ ナ ル・
コ ン ピュー
タ、
携
帯 電 話、
携 帯
電 子 機 器そ の他 を用
いて、
あ
らゆ
る人 間
の日常 的活 動
の中
で行 わ
れるよ
う に な っ た。
ま た、
電子機
器 や ネ ット ワー
ク 上 の文 字情 報
は、
静 的 に固 定した もの では な く、
印刷 物
な どと は比較
にならない速
い時 間 間 隔
で更新
さ れ変 更
され
る。文 字
による情 報 伝達
は、
よ り 動 的で 可変の も の になりつ つ ある。
ある意 味で、
そ れ は文 字情
報
が よ り脆 弱
で不 安
定 に なる可能 性
を 示唆
して い る。 その意 味
で、
従 来の印 刷 物の記 録・
保 存 媒 体 とし て の重 要 性 が再
び 注目 さ れる。
上 に 述べた、
文 字 情 報 が 動 的 に な り、
流 動 化 する傾 向 は、
文 字 に よ る 情 報 伝 達の範 囲の拡 大 と連 動 している が、
文 字 情 報の 要 素 間の繋 が り と相 互 依 存 関 係の深 ま り に も 関 係 してい る。
た と え ば、
職 場での 受 信 メー
ル やスケ ジュー
ル の 内 容 を、
携 帯 電 話 などで確 認 す る 場 合 など、
動 的に関 連 す る情 報 を 同 期 させ更新
す る必
要性
が高
まっ ている。
他 方
で、
職場
に ある卓
上のコ ン ピュー
タ と携 帯の電 子 機 器とで は、一
画 面に表 示 可 能 な 文 字の 量 や文 字 表
示の技術 的
な条件
も 異 なっ てい る。
同 じ文 字情
報で あっ て も、
そ れが
ア ク セ ス さ れ る 時 点での 利 用 環 境 や技
術 的 な 制 約に、
文 字 表 示の体 裁 や タイポ
グ ラフ ィック な 属 性 を 適 合・
調節
・
変
化 させ る必
要 性 も出
て く る。
この た め に は、
単 に情
報の論
理構
造と体
裁と を分 離
す るた め にマー
ク・
ア ッ プ 言語 (
HTML
や
SGML
、
XML
な
ど)
を 用いれ
ば済
む わ けで は な く、
電子文 書の利用環 境に 順応す る よ う に、
タイポ グラ フィ ッ ク な属
性 を 適 切 に設
定 し、
実際
に 文 字 を 適 正 に組
み、 レイアウ ト し、
表 示・
印 刷 す る 必 要 が あ る。
タ イ
ポ グ
ラ フィ ック な 体 裁 の様
式 につ い ても、
伝 統 的・
慣 習 的な様
式が どの よ う な機
能を持ち、
視
覚的 な情
報 伝 達に おい て どのよ う な 長 所 と 短 所 を 持つ か を 見極
め る必要
が ある。幸
運 な こ とに、
あ わ た だ しい20
世 紀 を 終 え た 今、
タ イ ポ グラ フィ の様
式 を 歴史 的
に辿 り、
その技 術的
・
社 会 的・
経 済 的 な 背 景 を 探 り、
タ イポ グラ フィ の あ り 方 を 再検
討しよう と す る機 運が高 まっ てい る。
現
在で は、
我 が国
に おい ても、 鋳 造 金属 活
字の歴県
史 や 技 術 に 関 す る 著 書 や 記 事 が 多 く書 か れ る よ う に なっ た