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オオトゲオカヤドカリの若齢個体

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Academic year: 2021

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(1)

e105

日本甲殻類学会 Report

Carcinological Society of Japan

報告

Cancer 28: e105–e107 (2019)

オオトゲオカヤドカリの若齢個体

Young individuals of the land hermit crab Coenobita spinosus (Decapoda: Anomura: Coenobitidae)

笹塚 諒

1

・浜崎活幸

1

・團 重樹

1

Makoto Sasazuka, Katsuyuki Hamasaki, and Shigeki Dan

オオトゲオカヤドカリCoenobita spinosus H. Milne Edwards, 1837は,オカヤドカリ科Coenobitidae, オカ ヤドカリ属Coenobitaに分類される陸生甲殻類の一種 で,西太平洋の熱帯島嶼域に分布している(Hartnoll, 1988).日本では小笠原諸島に極少数分布しており (朝倉,2004),南方の島嶼域から幼生が流入してい ることが推測される.熱帯島嶼域に広く分布するに もかかわらず,生物学的な情報の少ない種である. 大型個体がよく見つかる一方で,若齢の小型個体の 発見報告は見当たらず,形態や体色に関する情報は ない.著者らが成体100個体あまりを野外で観察し た経験によれば,本種は大型種で,成体の体色は黒 褐色・茶褐色・小豆色・暗橙色を呈し,目立つ模様 はない.眼柄は著しく側扁し,基部が細く,先端は 太く全体が丸み掛っている.第1触角は黒色である が,第2触角の基部は薄橙色を呈す.左鉗脚に斜向 顆粒列はない.鉗脚・歩脚に角質棘が多く存在し, 全体的に毛深い.海岸の岩場や海岸林を主な生息域 東京海洋大学海洋生物資源学部門 〒108–8477 東京都港区港南4–5–7

Department of Marine Biosciences, Tokyo University of Marine Science and Technology, 4–5–7 Konan, Minato, Tokyo 108–8477, Japan

E-mail: [email protected]

1. オオトゲオカヤドカリ成体.

(2)

e106

Cancer 28 (2019) 笹塚 諒・浜崎活幸・團 重樹 とする(図1).本稿では,アメリカ合衆国グアム準 州グアム島においてオオトゲオカヤドカリの若齢個 体を発見したので,その概要を報告する. 2018年11月にグアム島で夜間にオカヤドカリ類 の探索を行った.第1著者(笹塚)が懐中電灯を用 いてオカヤドカリ類を観察していたところ,現地時 間11月16日19時33分に前甲長9.23 mmの個体(図 2A, B) を,2018年11月19日23時25分 に 前 甲 長 8.14 mmの個体(図2E)を同じ場所で発見し,記録 した.両個体ともオオトゲオカヤドカリであるが, 成体の体色とは異なる若齢個体であった.なお,雌 雄の判別は行わなかった. 発見した個体は朝倉(2004)によって種判別を 行った.左鉗脚に斜向顆粒列がないこと(図2C), 眼柄は短く著しく側扁すること(図2A, D),鉗脚・ 歩脚には未発達であるが角質棘が見られること(図 2C),などの特徴に基づき,オオトゲオカヤドカリ と同定した. オオトゲオカヤドカリ若齢個体は下草の生い茂っ た海岸林縁で発見され,普段は海岸林内に生息して いると考えられる.同所ではオオトゲオカヤドカリ の成体,オオナキオカヤドカリCoenobita brevima-nus Dana, 1852の成体,オカヤドカリCoenobita cavi-pes Stimpson, 1858の幼体も見られた. オオトゲオカヤドカリ若齢個体の体色と形態をま とめると以下のとおりである.体色は薄茶色を呈し 図2. オオトゲオカヤドカリ若齢個体. A, 前甲長9.23 mm個体の全体背面;B, 同,全体側面;C, 同,左鉗脚外側面;D, 同,頭胸部前半の左側 面;E, 前甲長8.14 mm個体.

Fig. 2. Young individuals of Coenobita spinosus H. Milne Edwards, 1837.

A, dorsal view of a juvenile with 9.23 mm in shield length (SL); B, same individual, lateral view; C, same individ-ual, left cheliped; D, same individindivid-ual, left side carapace; E, dorsal view of a juvenile with 8.14 mm SL.

(3)

e107

Cancer 28 (2019) オオトゲオカヤドカリの若齢個体 (図2A, E),鉗脚・歩脚ともに主に腕節の背面中央 に目立つ黒褐色の縦線が走る(図2A, B, E).眼柄 形態は成体に準ずるが,上部が薄茶色,下辺部が黒 褐色を帯びる(図2D).成長とともに黒褐色部が広 がっていくものと考えられる.第1触角・第2触角 ともに成体に準じ,左鉗脚に斜向顆粒列はない(図 2C).鉗脚・歩脚には微かに角質棘が存在し,毛深 くない(図2A, B, C, E).ナキオカヤドカリCoeno-bita rugosus H. Milne Edwards, 1837やオカヤドカリ の幼体(Hamasaki et al., 2017)と形態,体色的に近 いが,上記の特徴を併せ持ってはいないため区別が 可能である. 文 献 朝倉 彰,2004.ヤドカリ類の分類学最近の話題―オ カヤドカリ科.海洋と生物,26: 83–89.

Hamasaki, K., Tsuru, T., Sanda, T., Fujikawa, S., Dan, S., & Kitada, S., 2017. Ontogenetic change of body color pat-terns in laboratory-raised juveniles of six terrestrial her-mit crab species. Zootaxa, 4226: 521–545.

Hartnoll, R. G., 1988. Evolution, systematic, and geographi-cal distribution. In: W. W. Burggren, & B. R. McMa-hon (eds.), Biology of the land crabs. Cambridge Uni-versity Press, New York, NY, pp. 6–54.

図 1.  オオトゲオカヤドカリ成体.
Fig. 2.   Young individuals of Coenobita spinosus H. Milne Edwards, 1837 .

参照

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