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楽観性の喚起がリスク確率判断の更新に与える影響

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Academic year: 2021

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日本認知・行動療法学会 第44回大会 一般演題 P1-42 204

-楽観性の喚起がリスク確率判断の更新に与える影響

○橋本 勇真1)、吉村 晋平2) 1 )河崎会水間病院、 2 )追手門学院大学心理学部 【問題】 楽観性とは楽観主義傾向の高さであり,物事が良い 結果になると予想し(Carver, C. S., & Gaines, J. G. 1987),また,未来のpositiveなライフイベントが 起 こ る 確 率 を 過 剰 に 高 く 見 積 も り,逆 に 未 来 の negativeなライフイベントが起こる確率を過剰に低く 見積もる(Weinstein, N. D. 1980)傾向とされてい る.高い抑うつ症状を示す者は,negativeな結果が生 じ,positiveな結果は生じないだろうと予測すること で将来を悲観的に予測する (Alloy & Ahrens, 1987; Andersen & Limpert, 2001;Andersen, Spielman, & Bargh, 1992)。Sharot et al (2011)において,「将 来のnegativeなライフイベントが生じる確率を過剰に 低く見積もる(Weinstein, N. D. 1980)」という楽観 性の定義に焦点を当て,研究参加者にnegativeなライ フイベントについてその発生確率を判断させ,その後 ライフイベントの生じる一般統計に基づく平均確率を 提示する(リスク確率判断)課題を行った. その結 果,The revised Life Orientation Test (LOTR)にお ける高い得点を示す者は,リスクに対する自らの予測 よりも実際のリスクが高い時に,リスクに対する予想 の 更 新 を 行 う 時 の 下 前 頭 回(Inferior frontal gyrus:IFG)の活動が低いという結果が示されている。 この結果から,高い楽観性を有する者は,negativeな情 報による判断の抑制が解放され,リスクを無視し,リス クによる判断の変化が生じにくい可能性が示唆され た。Miranda, Weierich, Khait, Jurska, & Andersen (2017)において,実験参加者(N=170)の将来に対し て の 楽 観 的 な 予 測 を 向 上 さ せ る た め に,Mental r e h e a r s a l 課 題( 未 来 の ラ イ フ イ ベ ン ト 1 4 4 個 (positiveなライフイベント72個・negativeなライフ イベント72個)がそれぞれ自分の未来にどれ位の確率 で生じるかあるいは生じないかを素早く判断を求める 課題)を行った結果,介入の前後でThe Center for Epidemiologic Studies depression Scale (CESD)得 点が高得点(24点以上)の実験参加者群(N=55)にお いて抑うつ的な未来予測が有意に減少することが明ら かになった。この結果から,Miranda et al. (2017) で用いられたMental rehearsal課題が楽観的な認知バ イアスの変容に効果があると考えられる。しかし,こ れまでの楽観性に関する研究では質問紙を用いた意識 的なレベルの楽観性の測定が行われてきたが,Sharot et al.(2011)の研究結果から楽観性について行動的 なレベルでの測定の必要性が示唆される。 【目的】

本 研 究 で はMiranda et al.(2017) のMental rehearsal課題を行い楽観的な認知バイアスを誘導す ることにより,間接的にCESD得点における抑うつが減 少するかを検討する。また,Sharot et al.(2011)の リスク確率判断課題を用いて,行動的な次元で楽観性 の表象となる指標を測定する。仮説として,Mental rehearsal課題を行った介入群において,介入前と比較 して介入後に有意なCESD得点の減少が確認され,リス ク確率判断課題におけるnegativeな情報の更新量が, 形容詞探索課題を行った統制群に比べて低い値を示す と考えられる。 【方法】 下 記 の 全 て の 質 問 紙 尺 度・ 実 験 課 題 はPsychopy (Peirce, 2009)を使用してPC上で実施した。実験参 加者 大学生71名を対象に実験を行った。研究参加者 の群の振り分けは乱数表に基づいて無作為に行った。 介入群は29名(平均20.00歳±1.20,男性 9 人,女性20 人),統制群は39名(平均19.44歳,SD=±1.23男性 7 人, 女性32人)が割り当てられた。倫理審査 本研究の手 続きについて、追手門学院大学研究倫理委員会の審査 及び承認を受けた。質問紙尺度  1 )日本語版Center for Epidemiologic Studies Depression Scale (CESD):抑うつ傾向の測定. 2) The revised Life Orientation Test (LOTR):楽観性傾向の測定. リス ク 確 率 判 断 課 題  リ ス ク 確 率 判 断 課 題 の 手 続 き を Figure1に示した。( a )画面にnegativeなイベントが 提示され、そのイベントについて一生で自分自身にど のくらいの確率で発生するかを判断させた。その後、 一般的にそのライフイベントに遭遇する平均的な確率 を提示した。First sessionでの判断確率と提示され る一般的に遭遇する確率の差はEstimation errorとし た。Second sessionではFirst sessionと同じ刺激、 同 じ 手 続 き を 行 っ た。F i r s t s e s s i o n と S e c o n d sessionにおける判断確率の差をupdateとした。( b ) は判断確率が提示される確率より高い場合、( c )は 低い場合として例を示した。( b )の場合をdesirable と し、( c ) の 場 合 をundesirableと し た。Mental rehearsal(介入群)及びLexical desicion(統制群) M i r a n d a e t a l .(2 0 1 7) で 使 用 さ れ た M e n t a l rehearsal課題を使用した。介入群・統制群には同じ 刺激を使用し、それぞれ異なる教示を行った。介入群

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日本認知・行動療法学会 第44回大会 一般演題 P1-42 205 -では提示されたライフイベントについて「将来、自分 に起こるか」をイメージさせ、キー押しで“Yes or No”を判断させた。提示されたライフイベントについ て「形容詞が含まれているか」をキー押しで“Yes or No”を判断させた。手続き 研究目的及び手続きの説 明後,内容を理解したことを確認した上で同意書の取 得 を 行 な っ た。 初 め に 抑 う つ・ 楽 観 性 を 測 定 し た (pre)。その後,実験群ごとにMental rehearsal(介入 群)もしくはLexical desicion(統制群)を行った。 その後、各群共にリスク確率判断を行った。最後に、 抑うつ・楽観性を測定した(post)。 【結果】 Miranda et al.(2017)と同様に,介入条件ごとに CESD得点により度数分布の最小値から順に抑うつ低 群・中群・高群に分けて分析を行った。実験条件ごと に抑うつ程度(低群・中群・高群)×測定時期(pre・ post)の混合計画 2 要因分散分析を行った結果,介入 群においてのみCESD得点で抑うつ程度と測定時期の交 互作用が有意傾向であった(F(2,26)=3.095,p<.10, η²=.192)。その後、多重比較を行った結果,抑うつ中 群 の み 測 定 時 期 の 主 効 果 が 有 意 で あ っ た(t(26) =2.175,p<.05)。その後,介入群について抑うつ程度 を独立変数,Update error(desirable)・Update error (undesirable)それぞれを従属変数として一要因の分

散分析を行った結果,Update error(desirable)にお い て 群 の 主 効 果 に 有 意 差 が 確 認 さ れ(F(2 , 2 6) =8.048,p<.01,η²=.382),多重比較の結果,抑うつ低 群―抑うつ中群(t(26)=-3.277,p<.01),抑うつ中群 ―抑うつ高群(t(26)=3.617,p<.01)でそれぞれ有意 差 が 確 認 さ れ , 抑 う つ 中 群 の U p d a t e e r r o r (desirable)が抑うつ低群・高群と比較して有意に高 い こ と が 確 認 さ れ た(Figure2)。Update error (undesirable)には有意差確認されなかった。 【考察】 Miranda et al.(2017)の結果とは異なり,Mental rehearsal課題を行った中程度の抑うつを示す群にお いて,望ましい情報に対する認知バイアスが改善され ることが明らかとなった。

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