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心臓リハビリテーションを基軸とした病院連携システムの効果検証

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Academic year: 2021

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(1)理学療法学 第 152 44 巻第 2 号 152 ∼ 153 頁(2017 年) 理学療法学 第 44 巻第 2 号. 平成 26 年度研究助成報告書. 法にてアンケート用紙を送付し,返信用封筒を用いて回答を回 収した。調査は 2015 年 1 ∼ 2 月の間に実施した。アンケート. 心臓リハビリテーションを基軸とした病 院連携システムの効果検証. 調査項目は(1)施設および心臓リハビリ実施状況に関する質 問,(2)心臓リハビリの実施内容に関する質問, (3)心臓リハ ビリ非実施に関する質問,(4)今後,心臓リハビリの拡大に必. ―急性期病院と回復期リハビリテーション病院の. 要と思われる項目に関する質問の 4 項目である。本研究は兵庫. 医療連携―. 医療大学倫理審査委員会の承認を得たうえで行った(承認番 号:第 14020 号)。 1). 2). 3). 森沢知之(PT) ,岩田健太郎(PT) ,上野勝弘(PT) ,. 3.結果. 北井 豪(MD)4),福田優子(MD)5),高橋哲也(PT)6).  アンケートの回収率は 61.9% で,194 施設中 120 施設から回 答があった。. 1). 兵庫医療大学リハビリテーション学部. (1)施設および心臓リハビリ実施状況に関する回答. 2).  疾患別リハビリ施設基準届出状況は運動器Ⅰが 118 施設,脳. 3). 西記念ポートアイランドリハビリテーション病院リハビリテー. 血管疾患等Ⅰが 113 施設,呼吸器Ⅰが 49 施設,心大血管疾患. ション科. Ⅰが 6 施設であった。心臓リハビリの実施状況について「現在. 神戸市立医療センター中央市民病院リハビリテーション技術部. 4). 神戸市立医療センター中央市民病院循環器科. 行っている」と回答した施設は 7.5%,「行っていない」87.5%,. 5). 「現在準備中である」5% であった。. 6). (2)心臓リハビリの実施内容に関する質問. 西記念ポートアイランドリハビリテーション病院循環器内科 東京工科大学医療保健学部.  心臓リハビリ実施施設のうち,心大血管疾患リハビリの施設 キーワード:回復期リハビリテーション病院,心臓リハビリ テーション,病院連携. 基準を取得している施設は 6 施設で(1 施設は無回答),いず れも心大血管疾患リハビリⅠであった。実施形態の内訳は「入 院患者のみ対応」が 2 施設, 「外来患者のみ対応」が 2 施設, 「入. はじめに. 院・外来患者の両方に対応している」が 5 施設であった。対象.  急性期医療の進歩により心疾患患者の早期退院が進む一方. 疾患は虚血性心疾患に対して全施設で対応している結果であっ. で,患者の高齢化や重複障害患者の増加などの問題から,急性. たが,その他にも多くの施設で慢性心不全,心臓外科手術後,. 期病院の短い入院期間では十分な身体・精神心理機能の回復に. 大血管疾患に対応していた。. 至らずに自宅退院となるケースも多い。急性期病院の心臓リハ. (3)心臓リハビリ非実施に関する質問(111 施設,複数回答可). ビリテーション(以下 , リハビリ)が終了し一旦自宅に退院す.  心臓リハビリを実施しない(できない)理由として「施設基. ると,通院が困難であったり,施設側の受け入れの問題なども. 準がとれない(循環器内科医・心臓血管外科医の不在) 」がもっ. あり,本邦の外来心臓リハビリ継続率は先進諸国の中でも際. とも多く 68.5%,次いで「心臓リハビリ経験者の不在」51.4%,. 立って少ない現状にある. 1). 。心疾患患者の身体・精神心理機能. の回復のためには,ある一定期間のリハビリが必要であり,今 後,急性期病院から回復期リハビリ病院へのシームレスな心臓. 「緊急時の対応が困難」46.8% であった。 (4)心臓リハビリ拡大に必要と思われる項目に関する回答(全 施設対象,複数回答可). リハビリの医療連携が重要になると思われる。.  今後,回復期リハビリ病院で心臓リハビリ実施施設の拡大.  本研究の目的は心臓リハビリを基軸とした急性期病院と回復. にはなにが必要か? という質問に対し,「回復期リハビリ病. 期リハビリ病院の医療連携の効果を検証することであるが,研. 棟入院対象者患者の基準緩和」と回答した施設がもっとも多. 究 1 では全国の回復期リハビリ病院を対象にアンケート調査を. く 55%,次いで「心臓リハビリに関する卒後教育体制の充実」. 行い,心臓リハビリ実施状況や実施にかかわる問題点を抽出. 47.5%,「心臓リハビリ施設基準の緩和(スタッフ)」42.5% の. し,研究 2 では急性期病院と回復期リハビリ病院の心臓リハビ. 回答が多かった。. リ連携が心疾患患者の身体機能,運動耐容能,ADL,健康関. 4.考察. 連 QOL(以下,HR-QOL) ,精神心理機能に及ぼす影響を明ら.  回復期リハビリ病院における心臓リハビリ実施率は 7.5% で. かにすることである。. あった。心臓リハビリ施設基準届出には「循環器科または心臓 血管外科の医師が心大血管疾患リハビリを実施している時間帯. 研究 1:回復期リハビリ病院における心臓リハビリの実態調査. において常時勤務している」必要があり,多くの回復期リハビ. 1.目的. リ病院で「循環器専門医の不在」が心臓リハビリ非実施の要因.  回復期リハビリ病院における心臓リハビリ実施状況および実. になっているものと推測される。今回,循環器専門医が不在か. 施にかかわる問題点を明らかにする。. つ心臓リハビリ非実施の施設が 73.8% にのぼったことも,その. 2.対象および方法. ことを裏づける結果であるものと思われる。また「心臓リハビ.  対象は 2014 年 12 月時点において「回復期リハビリテーショ. リ経験者の不在」も半数以上に認められ,人的な問題の占める. ン病院」と標榜している全国の回復期リハビリ病院とした。回. ところが大きい。今後の心臓リハビリ実施拡大に関する回答で. 復期リハビリ病院理学療法士(以下,PT)代表者宛てに郵送. は「回復期リハビリ病棟入院対象者患者の基準緩和」 ,「心大血.

(2) 心臓リハビリを基軸とした病院連携システムの効果 管疾患施設基準の緩和(スタッフ)」の基準緩和に関する回答 が多く約半数を占めていた。しかし,その一方で「安全に心臓. 表 1 身体機能,運動耐容能,ADL,HR-QOL,精神 心理機能の比較. リハビリを行える環境を保持するために施設基準の緩和はすべ きではない」という意見もあり,循環器専門医不在により疾病. 153. 介入前. 介入後. p value. 身体機能. の管理や緊急時の対応ができないことは心臓リハビリの安全性. 握力(kg). 17.5 ± 1.4. 18.2 ± 1.4. 0.067. を担保するうえでは大きな障壁となる。また,今後の心臓リハ. 膝伸展筋力(N/kg). 5.1 ± 0.4. 6.0 ± 0.5. 0.002. ビリ普及には「急性期−回復期リハビリ病院の連携システムの. SPPB. 8.4 ± 0.8. 10.3 ± 0.6. <0.001. 構築が必要」とする意見も多かったことから,今後は連携シス. FIM. 102.8 ± 4.3. 114.6 ± 2.9. 0.014. テム構築に向けた働きかけも重要になるものと思われる(理学. 6MD(m). 300.9 ± 28.6. 373.9 ± 24.9. <0.001. 療法学 第 43 巻 1 号 10 ∼ 17 項に掲載)。. SF-36 49.6 ± 20.8. 65.3 ± 24.8. 0.02. 研究 2:心臓リハビリを基軸とした病院連携システムの効果検証. 日常役割機能〔身体〕. 44.1 ± 35.5. 64.7 ± 29.3. 0.017. 身体機能 1.目的  急性期病院と回復期リハビリ病院の心臓リハビリ連携が心疾. 体の痛み. 70.2 ± 31.9. 72.4 ± 32.6. 0.389. 全体的健康観. 60.2 ± 16.5. 61.5 ± 24.3. 0.482. 活力. 47.1 ± 24.7. 58.2 ± 21.4. 0.023. 社会生活機能. 78.5 ± 29.9. 80.1 ± 26.2. 0.373. 49.0 ± 37.8. 73.4 ± 33.6. 0.003. 66.7 ± 22.7. 72.7 ± 18.6. 0.064. 抑うつ. 3.8 ± 4.6. 1.8 ± 1.9. 0.049. 不安. 5.1 ± 4.4. 3.7 ± 2.8. 0.034. 歩行. 12.0 ± 12.2. 22.0 ± 20.1. 0.018. 階段昇降. 11.0 ± 13.1. 26.6 ± 16.0. 0.005. 患患者の身体機能,運動耐容能,ADL,HR-QOL,精神心理機 能に及ぼす影響を明らかにする。 2.対象および方法. 日常役割機能〔精神〕.  急性期病院で急性期治療と並行して入院早期より心臓リハビ リを実施した心疾患患者のうち,継続して回復期リハビリ病院. 心の健康 HADS. で心臓リハビリを受けた 33 例(心臓外科 30 例,内科治療 3 例) を解析対象者とした。回復期リハビリ病院入院時および退院時 の身体機能〔握力,膝伸展筋力,Short physical performance. セルフ・エフィカシー. battery(以下,SPPB) ,ADL 能力〔Functional Independence Measure( 以 下,FIM) 〕, 運 動 耐 容 能〔six minute walking distance(以下,6MD)〕,精神心理機能〔MOS 36-Item ShortForm Health Survey( 以 下,SF-36) ,Hospital Anxiety and Depression Scale(以下,HADS) ,セルフ・エフィカシー〕を 計測し,比較を行った。回復期リハビリ病院介入前と介入後の. SPPB; Short physical performance battery, FIM; Functional Independence Measure, 6MD; 6minutes distance, SF-36; 36Item Short-Form Health Survey, HADS; Hospital Anxiety and Depression Scale. 各項目の比較には paired t-test および Wilcoxon signed-rank test を用いた。統計学的解析には SPSS Statistics version 21.0. 伸展筋力,SPPB,FIM,6MD,SF-36,HADS,セルフ・エフィ. (IBM)を使用し,いずれの危険率も 5% 未満とした。本研究. カシーにおいて有意な改善が認められた。回復期リハビリ病院. は兵庫医療大学倫理審査委員会(承認番号:14020 号)ならび. のメリットはセラピストの数が多く,一人ひとりの患者に対し. に西記念ポートアイランドリハビリテーション病院倫理審査委. て比較的長時間にわたり,また集中的なリハビリを実施できる. 員会(承認番号:4 号)の承認を受けている。. ことにある。解析対象者のリハビリ平均実施時間は時間に換算. 3.結果. すると約 130 分に相当する。急性期病院では様々な制限により,.  解析対象者の平均年齢は 76.8 歳で,女性の割合が多かった. リハビリの時間を十分に確保することは難しい現状にある。回. (63.6%) 。回復期リハビリ病院で継続してリハビリが必要な理. 復期リハビリ病院の専門的かつ集中的なリハビリにより身体機. 由でもっとも多かったのは運動器由来(66.7%)で,次いで心. 能や運動耐容能,ADL 能力が改善したものと推測される。ま. 臓由来(30.3%)であり,呼吸器由来は 3% であった。. た身体機能や運動耐容能の改善に伴い,抑うつや不安が有意に. (1)身体機能,運動耐容能,ADL,HR-QOL の比較(表 1). 改善され,セルフ・エフィカシーや健康関連 QOL が改善した.  握力は介入前後で有意な差は認められなかったものの,膝伸. ものと思われる。. 展筋力,SPPB,6MD は介入後に有意な改善が認められた。ま.  本研究の限界はランダム化比較試験ではないため,今回の影. た FIM も介入後,有意に改善が認められた。. 響は急性期病院と回復期リハビリの医療連携のみの効果と言及. (2)精神心理機能の比較(表 1). することはできない。しかし,倫理面などから現実的にはラン.  SF-36 は身体機能,日常生活機能〔身体〕,活力,日常役割. ダム化比較試験は困難であり,これまで心臓リハビリを基軸と. 機能〔精神〕の項目において介入後,有意な改善が認められた。. した急性期病院と回復期リハビリ病院の医療連携による効果に. HADS は抑うつ,不安の項目ともに介入後に有意に改善が認め. ついて示された論文はなく,本研究は今後の医療連携に少なか. られた。移動動作に関するセルフ・エフィカシーは歩行および. らず寄与できるものと思われる。. 階段昇降のいずれの項目も介入後に有意な改善が認められた。. 文  献. 4.結果  回復期リハビリ病院での継続した心臓リハビリにより,下肢. 1)Goto Y,Itoh H, et al.: Use of exercise cardiac rehabilitation after acute myocardial infarction. Circ J. 2003; 67: 411‒415..

(3)

表 1  身体機能,運動耐容能,ADL,HR-QOL,精神 心理機能の比較

参照

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