• 検索結果がありません。

Vision Sciences Society 2017の参加報告

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "Vision Sciences Society 2017の参加報告"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

DOI: http://doi.org/10.14947/psychono.36.31

173 上田: Vision Sciences Society 2017の参加報告

Vision Sciences Society 2017の参加報告

上 田 祥 行

京都大学こころの未来研究センター

Attendance Report of the Vision Sciences Society 2017

Yoshiyuki Ueda

Kokoro Research Center, Kyoto University

This is a short attendance report of the annual meeting of Vision Sciences Society in this year. This conference was held in Florida, USA every year and gathered more than 2,000 researchers, including visual psychophysics, neu-roscience, computer vision, and cognitive psychology, from around the world. In this year, there were 216 oral pre-sentations and 1173 poster prepre-sentations for 5 days. In this report, I briefly introduced this conference and its fasci-nations.

Keywords: Vision Sciences Society, VSS, perception, cognition, visual control of action, neuroimaging, multidisci-pline

Vision Sciences Society (通称VSS)は,毎年5月の中旬 から下旬にかけてアメリカのフロリダ州で行われる学会 である。この学会は,「幅広い学問領域から視覚の機能 的側面を検討すること」を目的にしており,毎年,心理 物理学・神経科学・計算機科学・認知心理学などの分野 から2,000 人以上の研究者が集まって開催されている。 開催期間は5日間で,例年200件程度の口頭発表と1200 件程度のポスター発表がある(2017年は口頭発表が216 件,ポスター発表が 1173件であった1)。目的に「視覚 の機能的側面」とあるように,これらの発表は,視覚に おける細胞やタンパク質などの生化学的側面や医学的側 面ではなく,認知・行動・脳と視知覚の関係性の理解に 焦点が置かれている。 毎日のプログラムは午前と午後に分かれており,それ ぞれ2回の口頭発表の時間と1回のポスター発表の時間 が設けられている。この学会の特徴の一つとして,1回 の口頭発表の時間に並行して行われるのは2セッション のみであることが挙げられる。これらの発表は隣同士の カンファレンスルームで行われているため,話者が交代 する間に容易に会場を移動することが可能であり,自分 の興味のある分野の最新の研究発表をできるだけ聞ける ように構成されている。また,ポスター発表では1回あ たり4時間の発表時間が設けられている。発表テーマご とに掲示場所がまとめられているため(例えば,“動き の錯視”や“社会認知に関する顔知覚”など),当該分 野で近年どのような研究が行われているのかを概観した り,同じ分野の発表者とまとまってディスカッションし たりすることが比較的容易にできるようになっている。 さらに,ポスター発表の時間帯には,必ず口頭発表のな い時間が 1時間設定されており,どの時間帯において も,聴衆が口頭とポスターの両方の発表にアクセスでき るように配慮されている。 この学会が充実したものなのは,研究発表への配慮だ けではない。VSSのwebページに,「リラックスして打ち 解けた環境の中で,多様な領域の研究者が議論すること」 がミッションとして掲げられているように,色々な場所 で参加者同士の交流が深まるような工夫が凝らされてい る。例えば,午前と午後に1度ずつコーヒーブレークの 時間が設けられており,無料でコーヒーが提供されるが (ちなみに午後はアイスクリームなどのちょっとしたお菓 子とジュースも提供される),このときには多くの参加者 が提供場所に集まってくる。必然的に,顔を見知った人 たちと会うことになり,そこここで情報交換の輪ができ

The Japanese Journal of Psychonomic Science

2017, Vol. 36, No. 1, 173–174

報  告

Copyright 2017. The Japanese Psychonomic Society. All rights reserved. Correspondence address: Kokoro Research Center, Kyoto

University, 46 Yoshida Shimoadachi-cho, Sakyo, Kyoto 606–8501, Japan. E-mail: [email protected]

1 プログラム記載数(http://www.visionsciences.org/pro

(2)

174 基礎心理学研究 第36巻 第1号 て い る。 ま た,3日 目 の 夜 に は“デ モ ナ イト(Demo Night)”と称して,古典的知見から最新の研究結果まで, 様々な研究者がブースを出してデモンストレーションを 行っており,まるで学祭のような雰囲気の中で楽しく知 見を広げることができる仕掛けが用意されている。 このような雰囲気の中で行われている1,400件余りの 発表を見ていると,近年どのようなトピックが注目され ているのか,どのトピックに多くの研究者が取り組んで いるのかが見えてくる。著者の興味が強く反映されてい ることと思うが,特に著者の目に付いたものをいくつか 紹介したい。まず,全体を通じて,今年は深層ニューラ ルネットワーク(deep neural network)を利用した研究 発表が多くあった。機械学習の可能性には多くの関心が 集まっており,昨年の VSSでは深層ニューラルネット ワークに関するシンポジウムも開催されていたが,今年 は物体認識や顔認識のトピックだけに留まらず,目や手 の運動の予測にもこれらが適応できる可能性について議 論されていた。視覚記憶のトピックでは,脳波のアル ファ帯域の活動に着目した研究が多く発表されていた。 記憶した内容を明らかにするため,これまでは行動実験 や事象関連電位からのアプローチが多く見られたが,こ の帯域が記憶した内容に関する情報を含んでいる可能性 を多くの研究者が注目していることが示唆される。ま た,アンサンブル知覚と呼ばれる複数の物体の統計情報 に関する知覚にも多くの研究発表があった。昨年から少 しずつ増えていたものの,今年は初日のシンポジウムの トピックの一つとしても取り上げられており,大きさ・ 色・表情・顔のアイデンティティ・時間周波数など, 様々な要素を対象としたアンサンブル知覚の研究発表が 見られた。個別の物体の認識過程だけでなく,ヒトが物 体の集まりをどのように認識しているかにも関心が集 まっていることが示唆される。ここに挙げた以外にも, 明るさの知覚や質感の知覚といった比較的低次なものか ら,社会性の認知や人と人の関係性の認知といった比較 的高次なものまで多くの研究発表があった。VSSのweb ページには,今年のものも含め,過去のプログラム・ア ブストラクトもすべて公開されているので2,来年以降 の参加を検討する際には参考になると思われる。 学会の開催地は,数年ごとにフロリダ州の中を移動し ており,ここ4年ほどはタンパ空港から車で30分ほどの St. Pete Beachという街で行われている(2019年までここ で行われる予定)。5月なので少々暑いが,青い空と青 い海に囲まれた場所で,空き時間にはビーチに行ったり とちょっとしたバカンス気分も味わうことができる。先 述のようにホスピタリティに れた学会であるが,現状 に満足せず,事後のアンケートで不満が多かった点につ いては毎年改善が試みられている。研究発表のクオリ ティや会場の環境も良く,視覚に関する様々なトピック が集まっているので,本稿を見て興味を持った方がいれ ば,ぜひ参加を検討していただきたいと思う。 2 http://www.visionsciences.org/previous-programs/

参照

関連したドキュメント

1) DO NOT make more than two applications of ARGOS HERBICIDE per year. oz./A in a single application and not more than 9 fl.oz./A of ARGOS HERBICIDE per year. 3) DO NOT harvest

In tank mixes with one or more of the following herbicides for between crop applications, apply 4 –16 fluid ounces of VISION™ per acre for control of annual weeds, or 16 – 32

Building on the achievements of the Tokyo Climate Change Strategy so far, the Tokyo Metropolitan Government (TMG) is working with a variety of stakeholders in

(1) As explained in Note 26 to the accompanying consolidated financial statements, regarding nuclear damages caused by a series of accidents at Fukushima Daiichi Nuclear

事業名 22 23 24 25 26 5年後の.

Kita City, Tokyo Vision of Culture and the Arts 2020.. 第

Kita City, Tokyo Vision of Culture and the Arts 2020... 第

1951 1953 1954 1954 1955年頃 1957 1957 1959 1960 1961 1964 1965 1966 1967 1967 1969 1970 1973年頃 1973 1978 1979 1981 1983 1985年頃 1986 1986 1993年頃 1993年頃 1994 1996 1997