三重県における農産物の
GAP推進方針
平成29年7月
三重県
- 1 -
みえGAPチャレンジ宣言
~三重からGAP認証の輪を!~
私たちは、農業を志す若者や農業の未来を拓こう
とする生産者など、意欲と情熱に溢れる皆さんとと
もに、「生産者の輪」、「生産者と消費者の輪」、「生産
者と流通業者の輪」など、様々な輪を生み出し、つ
なげることで、GAP認証の取得にチャレンジしま
す。
そして、東京2020オリンピック・パラリンピ
ック競技大会をマイルストーンとして、伊勢志摩サ
ミットで注目された三重の農産物や畜産物をさらに
磨き上げ、世界に通用する食へと高めていきます。
平成 29 年 7 月 24 日
三重県知事 鈴木英敬
三重県農業協同組合中央会会長
全国農業協同組合連合会三重県本部運営委員会会長 谷口俊二
(立会者)全国農業協同組合中央会会長 奥野長衛
(立会者)衆議院議員 小泉進次郎
- 2 - 1 趣 旨 近年、食品流通のグローバル化の進展や地球温暖化による影響が懸念される中、消 費者の食の安全安心への意識や環境保全に対する社会的な関心が高まってきています。 こうした状況の中、東京オリンピック・パラリンピック競技大会(以下「東京オ リ・パラ」という。)の組織委員会が平成29年3月に公表した農産物の調達基準では、 サプライヤーは、「JGAPアドバンス(現アジアGAP)」や「グローバルGAP」 などの国際水準のGAPのほか、「国の農業生産工程管理(GAP)の共通基盤に関す るガイドライン」(以下、「ガイドライン」という。)に準拠した県等の認証を受けて生 産された農産物を調達しなければならないとされました。 また、最近では、輸出に取り組む生産者をはじめ、食品製造・小売事業者の中にも、 原材料等の仕入れにおいて、生産者に対しGAP認証の取得を求めたり、自らがグロ ーバルGAPの認証取得に取り組んだりする事業者が出てきています。 GAPは農薬の使い方、土や水などの生産をとりまく環境、農場の労働者の状況な どあらゆる工程を記録・点検・改善して安全安心な農産物の生産、持続的な農業につ なげる取組であり、食の安全安心に対する消費者のニーズに応えるとともに、経営の 効率化や経営主をはじめとする従事者の資質の向上につながる取組です。 こうしたことから、国は、東京オリ・パラを契機として、国際水準GAP認証の取 得に向けた取組を加速させ、消費者の食に対する安全安心のニーズや農産物の輸出促 進に対応できる環境を整備していくこととしています。 また、農業大学校や農業高校等の教育機関で、若者がGAPを履修することは、真 の農業経営者を育成するうえで極めて重要なことから、国は、農業大学校におけるG AP学習のカリキュラム化や農業高校におけるGAP認証の取得等を推進することと しています。 一方で、全国の消費者のGAPの認知度は 13%とまだまだ低いことから、国はこれ を高めるために、消費者や流通加工業者の購買意欲等の調査や新たな施策を打ち出す こととしています。 三重県ではこれまでの取組や課題をふまえ、GAPは農業経営を改善していくうえ で、必要不可欠な取組であるという意識を高め、国際的に通用するGAPに取り組む 風土を作り、新たな情勢変化にも的確に対応していけるよう、GAPを推進していき ます。また、三重の農業が世界に通用するように、そして夢のある農業、持続可能な 農業が実現するように、県が国際水準のGAP認証取得を推進するための今後 3 年間 の目標や具体的な活動・推進方法等を示します。 2 現状と課題 (1)三重県におけるGAPの取組 ①農業経営体における取組 GAP認証を取得した農場で生産された農産物(以下、「GAP認証農産物」とい う。)に対する実需者(流通業者、製造業者等)の需要や生産者による海外輸出の気 運の高まりにより、平成 21 年頃から茶の生産者を中心に、普及指導組織に対してG AP認証取得へ向けた指導・支援が求められ、実際にJGAP等の認証を取得する 事例が出てきました。これに伴い、県では茶専門の普及指導員を中心に、JGAP 指導員の資格を取得させ、茶生産者等に対する支援を行ってきました。
- 3 - 平成 28 年度には、今後の支援要請の増加を見越して、国の補正予算「国際水準G AP等取得拡大緊急支援事業」を活用し、JGAP指導員研修及びJGAP内部監 査員研修を実施しました。 しかし、実際に取得を支援できる普及指導員等がまだまだ少ないことから、GA P認証の取得申請に向けた指導を経験する中でそれを実践できる知識と経験を備え たGAPリーダー指導員の育成が急務となっています。 ◆農業経営体における農産物のGAP認証取得の現状 ・需要や海外輸出展開に対応するため、農業経営体が個々にGAP認証の取得を 進めており、本県における農産物の認証取得数(平成 28 年度末)は 23 件で、そ の内訳は、JGAP(旧JGAPベーシック)及びアジアGAP(旧JGAPア ドバンス)22 件(内訳:米 3 件、野菜 1 件、果樹 2 件、茶 16 件)、グローバル GAP1 件(マルチサイト認証)となっています。 ②産地における取組 県内の主要産地(110 産地)に対しては、平成 21 年に策定した「みえの安全・安 心農業生産推進方針」に基づき、「三重県型GAP」を推進してきました。 しかし、「三重県型GAP」は、生産者が自ら定めた点検項目(20 項目程度)に より農業生産活動の記録・点検・改善を実践する取組であることから、国際的に通 用するGAPの水準にレベルアップを図る必要があります。 また、アジアGAP、グローバルGAPへのレベルアップに取り組むとともに、 東京オリ・パラの食材調達基準への対応に間に合わない場合に備え、ガイドライン に準拠し、第三者による審査の仕組みを備えた「三重ガイドラインGAP認証制度」 を整備する必要があります。 1 2 4 6 9 12 21 22 1 0 5 10 15 20 25 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 三重県における農産物のGAP認証数の推移 GGAP JGAP
- 4 - ◆産地における現状 ・県内の産地では、8 割の産地部会で「三重県型GAP」に取り組まれており、 部会ごとに点検項目(農薬の使用管理・栽培管理・収穫と調整作業・自己研鑽 等に分類)を定めた「三重県版チェックシート(20 項目程度)」や自主点検シ ート等により、生産者自らで取り組んだ結果を確認(チェック)しています。 ・作業記録・施肥記録・防除記録を記載する生産履歴帳は、部会員が個々に作成 しています。 ・部会員は、生産履歴帳・チェックシートを農産物の出荷前にJAへ提出して、 JA担当者が生産履歴確認システム等によりその内容を確認しています。 ③農業大学校における取組 農業大学校の卒業生は、就農や農業関係団体への就職など、卒業生(H24-H28、年 平均 33 人)の約 8 割が農業に携わっています。 これまで農業大学校では、「農業経営」の授業の中で、GAPを知る講義を行って きましたが、実践的な知識を学ぶ教育には至っていません。 農業大学校でGAPを学び、認証取得の知識と経験を持つことで、就農して自ら GAPを実践することはもとより、農業関係団体でGAPの指導者として活躍する ことなどが考えられ、農業大学校におけるGAP教育は、人材育成の観点から重要 です。 (2)三重県におけるGAPの認知度を高める取組 三重県では、これまでGAPに関する理解を深めるため、県政だよりに特集記事を 掲載するなど、その認知度向上に取り組んできましたが、全国における状況と同様に 県内の消費者のGAPの認知度はまだまだ低いと考えられます。 このため、今後も消費者の認知度向上に、関係事業者とも連携しながら取り組む必 要があります。また、GAP認証農産物を広くPRしていく必要があります。 38 69 76 84 93 0 20 40 60 80 100 H24 H25 H26 H27 H28 三重県型GAP実施産地数の推移
- 5 - 3 基本方針 三重県産の農産物をさらに磨き上げ、世界に通用する食へと高めるため、GAPは 食の安全安心や経営改善を確保するうえで必要不可欠な取組であるという意識を高め、 誰もが取り組む風土づくりを推進するとともに、国際水準GAP認証の取得を進めて いきます。 国際水準GAP認証の取得に向けた各生産者のステージを明確にし、認証を有効に 活用していける生産者に対しては、取得に向けて支援していきます。国際水準GAP のレベルに達することが、すぐには難しい生産者については、経営の中でその重要性 を認識し、できるところから取組を積み上げていく中で、最終的に国際水準GAP認 証に挑戦できるよう支援していきます。 なお、東京オリ・パラの食材調達基準に対応するため、東京オリ・パラまでの期間 限定で運用する(認証は平成 31 年度末まで)県のGAP認証制度「三重ガイドライン GAP認証制度」を整備します。 4 推進上の数値目標 (1)GAP推進体制の整備 GAP指導員(普及指導員・営農指導員、先進的農業者等)の育成者数 平成 28 年度末 51 名 → 平成 31 年度末 150 名 GAPリーダー指導員(認証取得指導の実践が可能)の育成者数 平成 28 年度末 2 名 → 平成 31 年度末 40 名 (2)GAP認証取得の推進 農業経営体・産地部会におけるGAP認証(J・アジア・グローバル)取得数 平成 28 年度末 23 件 → 平成 31 年度末 70 件 農業大学校におけるGAP認証取得 平成 28 年度末 - → 平成 31 年度末までに取得 5 具体的な推進方法 (1) GAP推進体制の整備 ① 県段階の推進体制の整備 県庁関係部局を構成員とする「三重県GAP推進チーム」、県、JAグループ等関 係機関、学識経験者を構成員とする「三重県GAP推進検討会」において、取組の 検討や情報交換を行い、総合的に推進します。 ア)三重県GAP推進チーム ・国際的に通用するGAPに取り組む風土づくり(研修会の開催等) ・県内の農業経営体や産地部会等への国際水準GAP認証取得の推進・支援 ・農業大学校におけるGAPのカリキュラム化、国際水準GAP認証取得の推進 ・農業高校におけるGAP教育に対する支援 ・東京オリ・パラ食材調達基準に係る情報共有
- 6 - イ)三重県GAP推進検討会 ・国際的に通用するGAPに取り組む風土づくり(研修会の開催等) ・県内の産地部会に対する国際水準GAP認証取得の推進・支援 ・国際水準GAP認証を活用した県内農産物の販路拡大 ・「三重ガイドラインGAP認証制度」の整備、運用 ・生産者及び消費者に対するGAPの認知度向上 ・県内のGAP認証農産物の情報発信 ② 地域段階の推進体制の整備 地域事務所農政(農政・農村基盤)室、地域農業改良普及センター、市町、JA 等の関係機関を構成員とする「××地域GAP推進チーム」を設置します。 ア)××地域GAP推進チーム ・各種研修会や座談会におけるGAPの啓発 ・GAP実践のためのGAP研修会の開催 ・国際水準GAP認証取得を目指す農業経営体や産地部会の洗い出し ・国際水準GAP認証の取得に向けた各生産者のステージの明確化 ・対象者に対するステージに応じた個別支援やレベルアップの支援 ・国際水準GAP認証の取得の支援 ・「三重ガイドラインGAP認証」の取得の支援 GAP推進体制 JA三重中央会 農林水産支援センター 学識経験者 JA全農みえ 三重県GAP推進チーム (所掌事項) 風土づくり、GAP認証取得の推進、 東京オリ・パラ関連情報共有 (構成員) ・フードイノベーション課 ・担い手支援課 ・農産園芸課 ・中央農業改良普及センター ・農業大学校 ・農業研究所 ・雇用経済部 ・教育委員会 地域GAP推進チーム (所掌事項) 啓発、対象の明確化、対象に応じたGAP認証取得支援 (構成員) 農政室、地域農業改良普及センター、市町、JA 三重県GAP推進検討会 連携
- 7 - ③ GAP指導人材の育成 ・地域への啓発や国際水準GAPを導入するためのアドバイスを行うGAP指導 員(普及指導員、営農指導員等)の育成 ・GAP認証の取得に向けた指導を行うGAPリーダー指導員(普及指導員・営 農指導員)の育成 ・普及指導員と営農指導員が、国際水準GAP導入の相談から認証の取得、その 後のフォローアップまでの一連の指導を連携して行うことによる人材の相互育 成 ◆GAP指導員の定義と役割 ・JGAP指導員の資格を有する又は、JGAP指導員と同等の知識が得られる 研修を受講するなどにより、国際水準GAPの導入意義や効果、導入手法に関 する知識を有するものとします。 ・地域の農業経営体や産地部会に対し、GAPの啓発や国際水準GAPを導入す るためのアドバイスを行います。 ◆GAPリーダー指導員の定義と役割 ・上記GAP指導員の研修の受講に加え、JGAP内部監査員の資格を有する又 は県が定めた研修の受講及び認証取得の支援経験を有するものとします。 ・販路拡大や海外輸出を目指す農業経営体や産地部会に対するGAPの取組のレ ベルアップ、国際水準GAP認証の取得に向けた指導を行います。 (2)GAP認証取得の推進 ① 農業経営体に対する推進 ・県内の農業法人に対する聞き取り調査等により、GAP認証取得に対する意向 を把握し、対象を定めて推進を行うこととします。 ・GAPの導入効果は、食品安全、農作業リスクの低減、作業の効率化やコスト 削減など多岐にわたり、農業経営体によってその効果は異なると考えられるた め、対象とする農業経営体の導入目的をしっかりと把握し、対象に応じた指導 を行います。 ② 産地部会に対する推進 ・JAグループと連携し、各JA産地部会におけるGAP認証取得に対する意向 を把握し、対象を定めて推進を行うこととします。 ・GAPの必要性の理解を促進する研修会やGAP認証を取得している農場での 現地研修会、先進地視察等により、啓発を行います。 ・普及指導員と営農指導員が連携し、産地部会でのGAP実践の合意形成を進め ます。部会員の考え方に差があり、合意形成が難しいことが想定されるため、 導入手法を工夫します。(次表)
- 8 - 産地部会における導入パターン例 部分参加型 役員や若手生産者など希望者を募り、研究会等を立ち上げて団体 認証を取得するなどモデル的な取組として推進。その後、取り組 んだ生産者を核に他の部会員に波及。 全員参加型 導入当初から部会員すべてを対象に推進。全員の合意形成を図っ たうえで、部会員全員で団体認証を取得。 個別参加型 モデル生産者に対して個別に認証の取得を推進。その後、モデル 生産者の取組を参考に他の部会員に波及させ、団体での認証取得 へ移行。 ③ 東京オリ・パラでの採用を目指す農業経営体や産地部会 ・東京オリ・パラの食材調達基準に対応するため、ガイドラインに則した県のG AP認証制度「三重ガイドラインGAP認証制度」を整備します。 ・農業経営体や産地部会に対しては、国際水準GAP認証の取得を推進しますが、 東京オリ・パラまでにその取得が間に合わない場合に「三重ガイドラインGA P認証」の取得を推進します。 ・なお、「三重ガイドラインGAP認証制度」は、東京オリ・パラまで(認証は平 成 31 年度末まで)の期間限定で運用することを十分に説明し、誤解のないよう に留意します。 ◆「三重ガイドラインGAP認証制度」 ・ガイドラインに則したものとし、東京オリ・パラまで(認証は平成 31 年度末ま で)の認証制度として運用します。 ・基準設定農産物は、穀物・青果物・茶の3種類とします。 ・管理項目は、アジアGAPの管理項目に基づく80項目程度とします。 ・認証の仕組みは、申請書を各農林水産(農林、農政)事務所で受け付け、JGA P内部監査員相当の知識を有し、県が行うGAP審査員研修を受講又はそれと同 等の知識を有した普及指導員が現地確認を行い、その結果を付して農産園芸課に 提出します。その後、学識経験者、消費者団体、生産者団体、県等で組織する 「ガイドラインGAP認証制度」審査委員会の審査を経て知事が認証します。 ④ 農業大学校等における推進 ・農業大学校におけるGAPのカリキュラム化を推進します。 ・農業大学校でのGAP認証取得をめざします。 ・農業高校における認証取得等のGAP教育の推進にあたり、必要な支援を行い ます。
- 9 - GAPの特徴 (3)GAPの認知度を高める対策 ① 認知度の向上 ・ホームページや出前トーク、県政だより等各種広報媒体を通じてGAPの考え 方や意義などの理解促進に取り組みます。 ・JAグループと連携し、県内のGAP認証農産物のPRに取り組みます。 ・JAグループと連携し、各種イベント等を通じて消費者や生産者に対するGA Pの情報発信に取り組みます。 ② 認知度の把握 ・e-モニターアンケートを活用し、県内の消費者の認知度を把握します。
- 10 - 6 スケジュール 平成 29 年度 平成 30 年度 平成 31 年度 国 際 水 準 G A P 推 進 体 制 の 整 備 国 際 水 準 G A P 認 証 取 得 の 推 進 G A P の 認 知 度 の 向 上 附則)この推進方針は平成 29 年 7 月 24 日から施行します。 三重県GAP推進チームの設置 ・GAPに取り組む風土づくり ・国際水準GAP認証取得の推進・支援 ・農業大学校の取組推進 ・農業高校に対する支援 等 農業大学校 GAPカリキュラム化検討 GAP指導人材の育成 ・GAP指導員、GAPリーダー指導員研修等の開催 ××地域GAP推進チームの設置 ・GAPの啓発 ・研修会の開催 ・意向調査 ・GAPの取組やレベルアップの支援・ ・国際水準GAP認証取得の支援 等 三重県GAP認証推進検討会 ・GAPに取り組む風土づくり ・国際水準GAP認証取得の推進・支援 ・GAP認証農産物の販路拡大 ・三重ガイドラインGAP認証制度の整備、審査 等 農業大学校GAPカリキュラム化 三重ガイドラインGAP 認証制度の整備 検討 三重ガイドラインGAP認証制度 の運用 農業大学校 GAP認証取得の取組 検討 農業大学校GAP認証取得 認知度の向上 ・広報媒体を通じた理解促進 ・GAP認証農産物のPR 認知度の把握 ・e-モニターアンケート