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FT-IRにおけるATR測定法

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Academic year: 2021

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ü

ATR法は試料の表面分析法で最も一般的な手法で、高分子、ゴム、半導体、バイオ関連等で広く利 用されています。

ü

ATR(Attenuated Total Reflectance)は全反射測定法とも呼ばれており、直訳すると減衰した全反射で、 IRE(Internal Reflection Element 内部反射エレメント)を通過する赤外光はIREと試料界面で試料側

に滲み出した赤外光(エバネッセント波)が試料により吸収され、スペクトルを得ることができます。

ü

このエバネッセント波の滲み出し量(試料への潜り込み深さ =dp)は試料の屈折率()、IREの屈 折率()、IREへの入射角(θ)、波長(λ)の関数で、以下のような計算式が成り立つ。 試料 IRE 赤外光

=

1

2

1

2

2 2

sin

n

n

n

dp

θ

π

λ

計算式

ü

この計算式で√の項に注目して下さい。ある入射角で試料の屈折率()、IREの屈折率()の差が 小さいと√の項は不正となります。 例えば、入射角45°の時sin2θは0.5、n 1=4、n2=3とした時、(n2/n1) ^2=0.5625となり、√の中が負の値 になってしまい不正となります。 つまり、この場合結晶にGe(n=4)、試料Si(n=3)の組み合わせで入射角45°ではATR測定が出来ま せん。

FT-IRにおけるATR測定法

FT-IRにおけるATR測定法

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0 1 2 3 4 5 6 4000 3800 3600 3400 3200 3000 2800 2600 2400 2200 2000 1800 1600 1400 1200 1000 800 600 400 ZnSe45 ZnSe60 Ge30 Ge45 Ge60 Ge70 KRS-5 45

dp by Each IRE

d p ( m ic ron s) Wavenumber 試料の屈折率を1.5として計算

ü

前ページの計算式を用い、代表的な結晶での各入射角におけるdpをExcelで計算、グラフ化してみま した。このグラフからお判りのように、結晶の屈折率とその入射角からdpの測定が可能で有ることが 判ります。(実際のFT-IR試料室では、赤外光はある幅を持った光束で集光しますので、必ずしも計 算通りにはなりません。)

FT-IRにおけるATR測定法

FT-IRにおけるATR測定法

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Harrick型 Willks型 水平ATR

ATRプローブ CIRCLE Diamond ATR

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ATRアクセサリーは下図に示すように種々の光学系が考案されています。上の3種類は主にフィル ム、板状試料、ペースト状試料等に用いられ、水平ATRでは粉体、液体用としてトラフ(溝)型もあり ます。 ATRプローブは反応モニター等で、CIRCLEは液体用として用いられています。 Diamond ATRは、その結晶の性質(高硬度、耐酸性、耐アルカリ性)から微量の粉体、液体、ペース ト等ほとんどの試料測定に応用されています。

FT-IRにおけるATR測定法

FT-IRにおけるATR測定法

集光レンズ Diamond

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FT-IRにおけるATR測定法

FT-IRにおけるATR測定法

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ATR測定で最も注意すべき点は結晶と試料との密着にあります。 もし、試料と結晶の間に隙間(空気)があると、先のATRの計算式で試料が空気になってしまい、空 気のATRスペクトルを測定してしまうことになります。 試料表面が凸凹していたり、粉体であったりした時、強い圧着で結晶に密着させる必要があります。 この時、強い圧力により結晶が破損することがありますので、結晶の物理的な性質に注意しましょう。

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また、液体ATRでは溶質の濃度がTGS検出器で0.5%以上、MCT検出器で0.05%以上の濃度に適し ます。

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ATR法で試料のdp情報を測定する場合、この密着度の再現性が非常に重要となります。 試料の屈折率は強い圧力によって変化してしまいます。 また、結晶へ試料を密着させたり、はがしたりの再現性は、トルクレンチを使用しても、それほど精度 良くはいきません。 次ページで紹介している試料を密着させた状態で入射角を変えられるThe Seagull はdp測定に適して います。

試料表面が凸凹

試料が粉体

液体試料

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Harrick The Seagull

The Seagull

多機能連続角度可変反射測定アクセサリー

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Seagullは入射角を5°~85°まで連続的に可変でき、 ATR測定で試料の深さ分析を行う時に最も重要とされ る試料の密着度を一定にした状態で測定を行うことが できます。 試料を密着させた状態で入射角を連続的に変化できま すので、それぞれの入射角におけるデプスプロファイル の測定が精度良く可能となります。

ü

また、偏光子、回転ステージを組み合わせることで試 料表面の配向測定も可能です。

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ATR測定以外に角度可変反射、RAS(高感度反射)、 粉体の反射等が可能です。 加熱ステージ、フローセルなどのオプションもあります。

FT-IRにおけるATR測定法

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Golden Gate MIRacle ATR GladiATR

FT-IRにおけるATR測定法

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Single Bounce ATR

(一回反射型ATR)

QUEST

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0 .2 .4 .6 .8 1 1.2 1.4 1.6 A b s o rb a n ce 1800 1600 1400 1200 1000 800 Wavenumber (cm-1)

Acetone by Diamond ATR

1回反射 3回反射 9回反射

FT-IRにおけるATR測定法

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ATR測定で使用する結晶の反射回数で測定感度が異なります。 現在使用している結晶が何回反射しているか計算してみましょう。 結晶内部での反射回数は次式で計 算されます。 N = L* tan(結晶の入射角) / 2t ここでLは結晶の長さ、t は結晶の厚 み長辺が80mm、短辺が72mm、厚さ 4mmの45°入射の結晶では N = 80*tan(45)/2*4 = 10 N = 72*tan(45)/2*4 = 9 でトータル19回反射していることに なります。 平行四辺形の結晶で長さが50mm、 厚さ3mmの45°入射の結晶では N = 50*tan(45)/2*3 = 8.3 でトータル16回反射していることに なります。 薄い結晶で反射回数を増やし感度 を上げられますが、スループットが 悪くなる分、積算回数を増やす必要 があります。

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FT-IRにおけるATR測定法

FT-IRにおけるATR測定法

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ATR測定における異常分散 異常分散はどの様なときに起き、どの様に対処したら良いでしょうか。

ü

ATR測定における異常分散は冒頭で説明したようにATRの計算式が成り立たない状況、 つまり、屈折率の小さい結晶で屈折率の大きい試料を測定した時に起こります。 例えば、結晶にKRS-5、ZnSe、Diamond等を用い、架橋剤の多いゴムや含窒素化合物等 を測定した時や入射角の小さい結晶を使用したときに発生します。

ü

この様な場合、 高屈折率の結晶(Ge、Si等)を使う。 入射角の大きい(例えば60°の)結晶を使うと、異常分散が抑えられます。 A:ブチルゴム B: ブチルゴムを 除去後の残渣 C: ブチルゴムを Ge-ATRで測定 ブチルゴムのATRスペクトル A B C

参照

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